JP2011510617A - 精製タグ又は不活性可変ドメインを具えるタンパク性結合分子 - Google Patents

精製タグ又は不活性可変ドメインを具えるタンパク性結合分子 Download PDF

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Abstract

本発明は、タンパク性結合分子、特に、少なくとも2個の可変ドメインを有する抗体を提供する。一方の可変ドメインが対象のターゲット分子に結合する。少なくとも1つの他方の可変ドメインが前記タンパク性結合分子の精製に適した精製タグを具える。ターゲット分子に対する一価の結合特性を有するタンパク性結合分子の簡便な精製を精製タグによって可能にする。
【選択図】図1

Description

抗体などの免疫グロブリンは、医薬品工業用として継続的に関心が寄せられ、関心が高まっている。20個を超えるモノクローナル抗体(mAb)が市場に出ており、100個を超えるモノクローナル抗体が臨床試験中である。この十年間に、従来の免疫グロブリン及び抗体とは異なるいくつかの特性を有する免疫グロブリンの誘導体及び断片が数多く設計された。これらは、診断及び治療への応用に望ましい。具体例は、組み換え抗体断片(古典的一価抗体断片(Fab、scFv)など)、又は、人工的に作り出した変異体(二重特異性抗体、三重特異性抗体、ミニ抗体及びシングルメイン抗体)である。現在、これらのいくつかは、信頼性のある選択肢として浮上している。そのような断片及び変異体は、通常、完全長免疫グロブリンのターゲット特異性を保持しているが、多くの場合、より安価に生産することができる。さらに、新規な「抗体様」タンパクディスプレイ骨格が開発された。これらは、同様に、従来の免疫グロブリン及び抗体にはない、いくつかの特性を有している。
治療用アプリケーションとして、一価の抗体抗原相互作用、すなわち、免疫グロブリン、又は、別の骨格を、対象ターゲット分子に結合する1個のみの可変ドメインと共に、有することが望ましい。いくつかのIgGは、ターゲットレセプタと架橋することによって天然リガンドの効果を模倣することがわかっている。架橋することによってレセプタを活性化(例えばレセプタリン酸化)できる。対照的に、同じ抗体に由来する一価のFabは、レセプタと橋架せず、適切な抗原決定基がターゲットにされていれば、天然リガンドが結合するのを防ぐ。従って、IgGがアゴニスト的に作用するのに対して、同じ抗体のFab断片はアンタゴニスト的に作用する。具体例は、インシュリン受容体(Kahn et al.,Proc Natl Acad Sci USA.(1978)75:4209−13)、EGFレセプタ(Schreiber et al.,J Biol Chem.(1983)258:846−53)、EPOレセプタ(Schneider et al,Blood(1997)89:473−82)、GHレセプタ(Wan et al.,Mol Endocrinol.(2003)17:2240−50)又はβ2−アドレナリン受容体(Mijares et al.,Mol Pharmacol.(2000)58:373−9)である。
しかしながら、そのような一価の特性を有する構築物(例えばFab断片)は、インビボ短半減期などの別の特性のせいで不利である場合もある。従って、一価の抗体抗原相互作用を、Fcドメインを具える完全長免疫グロブリンの特性と組み合わせることが非常に望ましい。本発明においてはそのような分子を提供する。
本発明は、ターゲット分子との結合に関しては一価であるが、Fcドメインのサイズ及び存在に関しては完全長免疫グロブリンの特性を保持している、免疫グロブリンなどのタンパク性結合分子を提供することを目的とする。
本発明は、一価のタンパク性結合分子、特に、各生産細胞系の培養液上清から容易に精製することができる完全長免疫グロブリンを提供することも目的とする。
本発明は、精製タグに対する親和性を有するマトリックス又は樹脂へのタンパク性結合分子の結合などの精製工程用精製タグを使用することによって、本発明によるタンパク性結合分子を精製する方法を提供することも目的とする。
本発明のタンパク性結合分子は、完全長免疫グロブリンなどのタンパク性結合分子の少なくとも1個の可変ドメイン中に精製タグを導入することによって生成される。精製タグを、好ましくは免疫グロブリンの1つのアームの可変重鎖中に導入し、最も好ましくはH−CDR3領域中又は代替的にH−CDR2領域中に導入する。精製タグの導入は、免疫グロブリンの各アームを特異性の欠損を生じさせる。
本発明のタンパク性結合分子は、例えば、精製タグに対する親和性を有するマトリクスを用いた親和性クロマトグラフィーによって、各生産細胞系の培養液上清を簡便に精製することができる。
少なくとも2個の可変ドメインを具えるタンパク性結合分子であって、一方の可変ドメインがターゲット分子と結合し、他方の可変ドメインが不活性であるタンパク性結合分子を提供することも本発明の目的である。そのようなタンパク性結合分子は、ターゲット分子と結合することに関しては一価であるが、Fcドメインのサイズ及び存在に関しては完全長免疫グロブリンの特性を保持している。
本発明のタンパク性結合分子は、癌、免疫疾患又は炎症性疾患などの、疾病及び疾患の診断及び治療において多くの用途がある。
図1は、Ni−NTAクロマトグラフィーによる本発明のタンパク性結合分子の精製を示している。x軸は時間軸である。y軸は、カラム(このケースにおいてはイミダゾール)から物質を溶出させるために用いた成分の濃度を示している。「黒丸」は、VH又はVLのそれぞれが精製タグを具えていないことを示している。そのようなVHが精製タグを具えていないVLと結合している場合は、それぞれのアームがターゲット分子に対して特異的である。「白丸」は、VH又はVLのそれぞれの少なくとも1つのCDRが精製タグを具えていることを示している。イミダゾール勾配中の異なる画分において、3つの異なる免疫グロブリン種が溶出している。精製タグを有していない免疫グロブリン種はフロースルー画分中にみられ、分子の1のアームに精製タグを具えている免疫グロブリン種は、分子の両方のアームに精製タグを具えている免疫グロブリン種と比較して、早く溶出される。 図2は、ELISAによって分析した4つのFab断片の結合特異性を示している。ニワトリ卵白リゾチーム又はCD38−FcのいずれかをMaxisorp ELISAプレート(Nunc)にコーティングした(5μg/ml)。Fab断片を加え、洗浄した後に、特異的に結合しているFab断片を、APが結合した抗ヒトIgG(Fab)特異抗体を用いたインキューベーションによって検出し、次いで、水中に希釈した可溶性Atto−Phos基質(Roche)を用いて現像した。螢光測定を535nmの発光においてTecanプレートリーダで行った。試験を行ったFabは、MOR03207(ニワトリ卵白リゾチーム特異的)、MOR03080(CD38特異的)、MOR08428(MOR03207のH−CDR3はGYSGHHHHHHSGDYで置換されている)及びMOR08441(MOR08428のVH及びMOR03080のVL)であった。 図3は、組み換えられてヒトCD38を発現するCHO−K1細胞を用いてFACSによって分析した3つのFab断片の結合特異性を示している。Fab断片を細胞に加え、洗浄の後、特異的に結合したFab断片を、PEが結合した抗ヒトIgG(Fab)特異的抗体(Jackson lmmuno Research)を用いたインキューベーションによって検出した。中央の螢光をFACSアレー装置(Becton Dickinson)を用いて測定した。試験を行ったFabは、MOR03207(ニワトリ卵白リゾチーム特異的)、MOR03080(CD38特異的)及びMOR08441(MOR08428のVH及びMOR03080のVL)であった。 図4は、溶出にイミダゾール勾配を適用するヒスバインドフラクトゲル(Merck#70693−3)カラムを用いたIMAC精製から得たタンパク画分の還元SDS−PAGEを示している。pMorph2_h_IgG1_MOR08428、pMorph2_h_IgG1_MOR03080、pMorph2_h_Ig_lambda2_MOR03080の共トランスフェクション後に得た、プロテインAカラムで予め精製したIgG1画分を、還元SDSゲルにロードした。1ml/分の流速で1mlの画分を得た。20mMNaリン酸、pH7.4/500mMNaCl/10mMイミダゾールを泳動バッファとして用いた。前記泳動バッファに250mMのイミダゾールを加えたものを溶出バッファーとして用い、溶出バッファーの勾配(0〜100%)を適用した。LRM:タンパクサイズマーカー;CL:予備精製してカラムにロードしたIgG1画分;FT:カラムフロースルー;番号は、異なる溶出画分を示している。 図5は、親和性クロマトグラフィーフロースルー(レーン3)から得たタンパク画分及びプールした画分#30−58(レーン2)及び#70−90(レーン1)からのサンプルの還元SDS−PAGEを示している。レーン4にタンパクサイズマーカーをロードした。詳細については実施例3を参照されたい。
本発明は、当業界で知られている分子よりも優れた有点がある、免疫グロブリンなどのタンパク性結合分子を提供する。免疫グロブリンは、多くの場合、その分子の二価の性質によってそれぞれのターゲットと橋架する。そのような架橋活性は、例えばレセプタ活性化(例えばレセプタのリン酸化を介する)といった、特定の用途においていくつかの望ましくない効果を生じさせることがある。
一方で、非常に多くの場合、完全長の免疫グロブリンと必要とされている。この要求は、より長い半減期を有する分子の必要性(例えば、Fab分子は免疫グロブリンと比較して非常に短い短半減期を有する)、又は、免疫グロブリン、特に完全長の免疫グロブリンの全特性(一例としてエフェクター機能)を有する分子の必要性といった、いくつかの理由による。
この明らかなジレンマは本発明によって解決される。本明細書に記載されているタンパク性結合分子は、本来は一価であるが、完全長免疫グロブリンの特性をすべて具えている。更に、タンパク性結合分子を構築する方法によって、本発明は、これらの分子の簡便な精製を可能にする方法も提供する。
ここで用いていられているように、タンパク性結合分子などの分子が、「特異的に結合する」とは、結合特異性が絶対的ではないが相対的な特性であることによって、そのようなタンパク性結合分子がそのようなターゲット分子と1以上の参照分子とを区別することができる場合に、抗原などのターゲット分子「に対して/について特異的に」又は「を特異的に認識する」ことをいう。その大部分の一般形態において(及び基準が定められていない場合)、「特異的結合」は、タンパク性結合分子が、例えば下記方法の1つに従って決定されるように、対象のターゲット分子と無関係な分子とを区別できることを意味している。そのような方法は、限定されるものではないが、ウェスタンブロット、ELISA、RIA試験、ECL試験、IRMA試験及びペプチドスキャンを含んでいる。例えば、標準的なELISA分析を実行することができる。スコアリングは、標準的色現像(例えばホースラディッシュ過酸化水素と第2抗体、及び、テトラメチルベンジジンと過酸化水素)によって実行してもよい。いくつかの穴における反応を、例えば450nmで光電密度によってスコアリングする。標準的なバックグラウンド(=陰性反応)は0.1ODであってもよい。標準的な陽性反応は1ODであってもよい。これは、陽性と陰性との差が10倍を超えることがあることを意味している。一般的に、結合特異性の測定は、単一の参照分子ではなく、粉乳、BSA、又は、トランスフェリンなどなどの約3〜5個の無関係な分子の1セットを用いて行う。
しかしながら、「特異的結合」は、ターゲット分子と、例えば、ターゲットXとターゲットY間のような、基準点として用いられる1以上の密接に関連する分子とを区別するタンパク性結合分子の能力を意味するものでもある。さらに、「特異的結合」は、例えば、ターゲットの分子N末端若しくはC末端領域の抗原決定基などのターゲット分子の異なるドメイン又は領域といった、ターゲット分子の異なる部分間、又は、1個以上の重要なアミノ酸残基、又は、ターゲット分子のアミノ酸残基の伸展間を区別するタンパク性結合分子の能力に関するものである。
ここで用いられている「タンパク性結合分子」という用語は、互いに結合したペプチド結合中に少なくとも2つのアミノ酸を具えている分子を意味する。そのタンパク性分子は、好ましくは生物有機体によって生産される分子、又は、その一部、誘導体及び/又は類似化合物である。生体分子による生産の後に化合物の修飾によって生成される誘導体も本発明の好ましい化合物であることは明らかである。特に好ましい実施形態において、タンパク性結合分子は、抗体などの免疫グロブリン又はその断片である。別の好ましいタンパク性結合分子は、アフィボディ(プロテインAのZドメインを具えている)、免疫タンパク(lmmE7など)、チトクロムb562、アンキリン反復、PDZドメイン又はクニッツドメインを具えているタンパク、昆虫デフェンシンA、サソリ毒(カリブドトキシン又はCTLA−4など)、ノッティン(Min−23、ネオカルチノスタチン、CBM4−2又はテンダミスタットなど)、アンチカリン又はアルマジロ反復タンパクなどの抗体様特性を有する骨格を含む。
「免疫グロブリン」(Ig)は、ここで用いられているように、IgGクラス、IgMクラス、IgEクラス、IgAクラス又はIgDクラス(又はこれらの任意のサブクラス)に属するタンパクを意味し、従来既知の抗体及びその機能性断片をすべて含む。ここで定義されている抗体/免疫グロブリンの「機能性断片」は、少なくとも2個の可変ドメインを具えている抗体/免疫グロブリン断片(例えばIgGの可変領域)であって、第1可変ドメインが、それぞれの完全長免疫グロブリンのターゲット分子に対する結合特性を保持している断片を意味する。本発明の機能性断片は、F(ab’)2断片又はFab−dHLXの断片を含む。そのような断片を組み替えて、CH1ドメインとCLドメインとの間に生じる分子間ジスルフィド相互作用を最小にするか又は完全になくしてもよい。本発明のタンパク性結合分子の「機能性断片」という用語は、任意のタンパク性の部分であって、第1可変ドメインが、対象のターゲット分子に結合するが、別の可変ドメインのいずれもが対象のターゲット分子に結合しない部分を意味する。いくつかの好ましい実施形態においては、本発明の免疫グロブリンは、完全長の免疫グロブリン又は実質的に完全長の免疫グロブリンである。
「可変ドメイン」という用語は、異なるタンパク性結合分子間で配列が大きく異なり、対象のターゲット分子(又はその欠損)にタンパク性結合分子の結合及び特異性を与えるタンパク性結合分子の部分を意味する。本発明によれば、ペプチド配列、特に、ここで定義されている精製タグが、可変ドメインがもはやターゲット分子に特異的に結合しなくなるような態様で可変ドメイン中に導入される。可変ドメインは、いかなる形状又は形態を有していてもよい。可変ドメインは、1個、2個又は2個より多いポリペプチド鎖に含まれるポリペプチド配列からなっていてもよい。抗体などの免疫グロブリンの可変ドメイン、又は、その機能性断片は、一般的に免疫グロブリン分子の1つのアームの完全な抗原結合領域を具えている。その領域には、免疫グロブリン分子の1本のアームの両方の可変鎖のCDR領域、すなわち、H−CDR3、H−CDR2、H−CDR1、L−CDR3、L−CDR2、及び、L−CDR1及び、所定のターゲット分子に特異的に結合するために必要な隣接する骨格領域が含まれる。
抗体の「抗原結合領域」は、一般に、抗体の1つ以上の超可変領域、すなわち、CDR−1、CDR−2及び/又はCDR−3中にみられるが、可変「骨格」領域も、CDRのための骨格を提供することなどによって、抗原結合に重要な役割を果たし得る。「抗原結合領域」は、好ましくは可変軽鎖(VL)のアミノ酸残基4〜103と可変重鎖(VH)のアミノ酸残基5〜109とを少なくとも具えており、より好ましくはVLのアミノ酸残基3〜107とVHのアミノ酸残基4〜111とを具えており、特に好ましくは完全長のVL鎖とVH鎖(VLのアミノ酸位置1〜109とVHのアミノ酸位置1〜113;WO97/08320による番号付けに従う)である。本発明で使用される好ましいクラスの免疫グロブリンはIgGである。
本発明によれば、タンパク性結合分子の第1可変ドメインは、ターゲット分子に結合する。タンパク性結合分子のその他の可変ドメインは、同じターゲット分子に対する結合特異性を有さない。従って、タンパク性結合分子は、ターゲット分子に結合することに関して一価である。更に、その他の可変ドメインの少なくとも1つ、すなわち、ターゲット分子に結合しない可変ドメインは、前記タンパク性結合分子の精製に適した精製タグを具えている。
本発明の抗体は、コンピュータ内で設計されて合成によって作成された核酸でコードされたアミノ酸配列をベースとする組み換え抗体ライブラリに由来するものでもよい。抗体配列のコンピュータによる設計は、例えば、ヒト配列のデータベースを分析し、このデータベースから得たデータを利用してポリペプチド配列を開発することによって達成される。コンピュータ作成配列における設計及び取得の方法は、例えば、Knappik et al.,J.Mol.Biol.(2000)296:57;Krebs et al.,J.Immunol.Methods.(2001 )254:67;Rothe et al.,J.Mol.Biol(2008)in press、及び、Knappik et alに付与された米国特許第6300064号に記載されており、これらの文献はここで言及することによって全体が組み込まれている。
本明細書中に言う「ターゲット分子」は、タンパク性結合分子の第1可変ドメインに結合する任意の対象分子を意味する。ターゲット分子は、そのターゲット分子へのタンパク性結合分子の結合が、ある生物学的作用を達成する目的において望ましく、精製タグを具えているか又は不活性である、第2可変ドメイン又は後の任意の可変ドメインの結合パートナーから識別可能な分子を意味する。一般的に及び好ましくは、このターゲット分子は、ペプチド、タンパク又はその他の任意のタンパク性分子である。代替的に、ターゲット分子は、炭水化物、脂肪酸、脂質、染料又は蛍光色素分子などの、その他の有機分子又は無機分子であってもよい。
本明細書で用いられている「精製タグ」という用語は、タンパク性結合分子の精製又は同定に適したすべてのペプチド配列を意味する。精製タグは、精製タグに対する親和性を有する別の部分に特異的に結合する。精製タグに特異的に結合する部分は、通常、アガロースビーズなどのマトリクス又は樹脂に付いている。精製タグに特異的に結合する部分には、抗体、ニッケルイオン若しくはコバルトイオンン若しくは樹脂、ビオチン、アミロース、マルトース及びシクロデキストリンが含まれる。例示的精製タグは、ヒスチジンタグ(ヘキサヒスチジンペプチドなど)を含み、そのタグは、ニッケル又はコバルトイオンなどの金属イオンに結合する。従って、ある実施形態において、精製タグは、金属イオンに特異的に結合するペプチド配列を具えている。その他の実施形態においては、精製タグは、金属イオンに特異的に結合するペプチド配列からなる。好ましい実施形態において、精製タグは、ニッケルイオン又はコバルトイオンに特異的に結合するペプチド配列を具えているか、又は、該ペプチド配列からなる。その他の実施形態において、精製タグは、ニッケルイオンに特異的に結合するペプチド配列を具えているか、又は、該ペプチド配列からなる。代替の実施形態において、精製タグは、コバルトイオンに特異的に結合するペプチド配列を具えているか、又は、該ペプチド配列からなる。その他の例示的精製タグは、mycタグ(EQKLISEEDL)、Strepタグ(WSHPQFEK)、Flagタグ(DYKDDDDK)及びV5タグ(GKPIPNPLLGLDST)である。「精製タグ」という用語には、「抗原決定基タグ」、すなわち、抗体によって特異的に認識されるペプチド配列も含まれる。例示的な抗原決定基タグには、モノクローナル抗FLAG抗体によって特異的に認識されるFLAGタグが含まれる。抗FLAG抗体によって認識されるペプチド配列は、配列DYKDDDDK又はこれと実質的に同一な変異体からなる。従って、ある実施形態において、精製タグは、抗体によって特異的に認識されるペプチド配列を具えているか、又は、該ペプチド配列からなる。「精製タグ」という用語には、精製タグと実質的に同一な変異体が含まれる。ここで用いられている「実質的に同一の変異体」は、オリジナルの精製タグ(例えばアミノ酸置換、欠失又は挿入による)と比較して修飾されるが、特異的に精製タグを認識する部分に特異的に結合する精製タグの特性を保持する精製タグの誘導体又は断片を意味する。精製タグは、4個未満、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個又は20個より多いアミノ酸からなるペプチド配列を具えてもよいし、又は、該ペプチド配列からなっていてもよい。ある実施形態において、精製タグは、4〜20個のアミノ酸、5〜20個のアミノ酸、6〜20個のアミノ酸、4〜15個のアミノ酸、5〜15個のアミノ酸、6〜15個のアミノ酸、4〜12個のアミノ酸、5〜12個のアミノ酸、6〜12個のアミノ酸を具えているか、又は、該アミノ酸からなる。
ある実施形態において、本発明は少なくとも2個の可変ドメインを具えるタンパク性結合分子であって、一方の可変ドメインがターゲット分子と結合し、他方の可変ドメインが不活性であるタンパク性結合分子に関する。
可変ドメインの結合特異性に関する文脈において用いられている「不活性である」とは、別の分子に対する結合特異性を有しない可変ドメイン表す。特に、不活性可変ドメインは、ターゲット分子又はその他のいずれの分子にも結合せず、不活性可変ドメインは、精製タグを具えていない。少なくとも2個の可変ドメインを具えるタンパク性結合分子であって、一方の可変ドメインがターゲット分子に結合し、他方の可変ドメインが不活性である分子は、ターゲット分子に対して一価の結合特異性を有しており、本発明に従って用ることができる。
本発明は、可変ドメイン中に精製タグを導入することができるタンパク性結合分子を開示する。好ましくは、前記タンパク性結合分子は、可変重鎖及び可変軽鎖が由来するオリジナルの親バインダのターゲット分子にもはや結合しない。代替的に、前記タンパク性結合分子は、可変重鎖及び可変軽鎖が由来するオリジナルの親バインダと比較して、少なくとも10倍、少なくとも100倍、又は、少なくとも1000倍より小さい親和性でターゲット分子と結合する。代替的に、前記タンパク性結合分子は、可変重鎖及び可変軽鎖が由来するオリジナルの親バインダーと比較して、ターゲット分子に残されている結合親和性だけを示す。親和性を測定及び比較する方法及び分析は、当業者に知られており、実験手順セクションに記載されている。
本発明によれば、免疫グロブリンの可変ドメインなどの可変ドメイン中に精製タグを導入することができる。免疫グロブリンの任意のCDR領域中に精製タグを導入することができる。免疫グロブリンのCDR領域は骨格領域に隣接している。それぞれの構造及びCDR領域と骨格領域との境界は、当業者に知られている。いくつかの異なる方法で可変ドメイン中に精製タグを導入することができる。精製タグがオリジナルのCDR領域全体を置換するような方法で、CDR領域中に精製タグを導入することができる。また、オリジナルのCDR領域のオリジナルのアミノ酸の1つ以上が精製タグによって置換されるが、オリジナルのCDR領域のオリジナルのアミノ酸の1つ以上がなお存在するように精製タグを導入することができる。また、精製タグがCDR領域に挿入されるように、すなわち、CDR領域のオリジナルのアミノ酸のいずれもが削除又は置換されないように精製タグを導入することができる。また、言い換えれば、例えば構造変化によって、前記精製タグの導入後にそれぞれの可変ドメインがもはやターゲット分子に結合しない方法で精製タグを可変ドメインの骨格領域中に導入することができる。また、CDR領域及び骨格領域と重複する可変ドメインの領域中に精製タグを導入することができる。すべてのこのような可能性及びオプション並びにこれらの組み合わせは当業者に自明である。
本発明は、本発明のタンパク性結合分子をコードするDNA分子にも関する。本発明のDNA分子は、ここで開示されている配列に限定されず、その変異体を含む。本発明に含まれるDNA変異体をハイブリダイゼーションにおける物性を参考にして記載してもよい。当業者は、DNAが2本差であるので、核酸ハイブリダイゼーション技術によって、DNAを用いて、DNAの相補体やDNAの相当物又は同族体を同定できることを理解するであろう。相補性が100%未満であってもハイブリダイゼーションが生じる場合があることも理解されるであろう。しかしながら、条件を適切に選択すれば、ハイブリダイゼーション技術を用いて、特定のプローブに対するDNA塩基配列の構造的関連性に基づいてそのDNA塩基配列を区別することができる。そのような条件に関するガイダンスとしては、Sambrook et al.,1989(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,米国)、及び、Ausubel et al.,1995(Ausubel,F.M.,Brent,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Sedman,J.G.,Smith,J.A.,& Struhl,K.eds.(1995).Current Protocols in Molecular Biology.ニューヨーク:John Wiley and Sons)を参照されたい。
本発明は、本発明のヌクレオチド配列の1つ以上を具える組換DNA構築物をさらに提供する。本発明の組み換え構築物は、本発明のタンパク性結合分子をコードするDNA分子が挿入される、プラスミド、ファージミド、ファージ又はウイルスベクターなどのベクターに接続させて用いることができる。コードされた遺伝子は、Sambrook et al.,1989及びAusubel et al.,1989に記載されている技術によって作ることができる。代替的に、例えば合成装置を用いて、DNA塩基配列を化学的に合成してもよい。例えば、Oligonucleotide Synthesis(1984,Gait,ed.,IRL Press,Oxford)に記載されている技術を参照されたい。この文献はここで言及することによってその全体が組み込まれている。本発明の組み換えの構築物は、RNA及び/又はコードされたDNAのタンパク産物を発現することができる発現ベクターで構成されている。このベクターは、オープンリーディングフレーム(ORF)に作用可能な状態で連結されたプロモータを含む調節配列をさらに具えていてもよい。このベクターは、選択可能なマーカー配列をさらに具えてもよい。特定の開始シグナル及び細菌分泌シグナルが、挿入されたターゲット遺伝子コード配列の効率的な翻訳に必要な場合もある。
本発明は、本発明のDNA構築物の少なくとも1つを含む宿主細胞をさらに提供する。この宿主細胞は、発現ベクターを入手可能な事実上すべての細胞であり得る。この宿主細胞は、例えば、哺乳動物細胞などの高等真核生物性宿主細胞若しくは酵母菌などの下等真核生物性宿主細胞であってもよいし、又は、細菌細胞などの原核細胞であってもよい。宿主細胞中への組み換え構築物の導入は、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE、デキストラン媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション又はファージ感染によって実行することができる。
ある実施形態において、本発明は、少なくとも2個の可変ドメインを具えるタンパク性結合分子であって、1個の可変ドメインがターゲット分子に結合し、少なくとも1個の別の可変ドメインが精製タグを具えているタンパク性結合分子を提供する。タンパク性結合分子は、2個、3個、4個又は4個以上の可変ドメインを具えていてもよい。好ましい実施形態においては、タンパク性結合分子が2個の可変ドメインを具えている。
本発明によれば、タンパク性結合分子の1個の可変ドメインは、ターゲット分子に結合する。その他の可変ドメインのいずれも、特に精製タグを具える可変ドメインは、ターゲット分子に結合しない。ある実施形態において、本発明は少なくとも2個の可変ドメインを具えるタンパク性結合分子に関し、第1可変ドメインがターゲット分子に結合し、少なくとも1つの別の可変ドメインが前記タンパク性結合分子の精製に適した精製タグを具えており、前記別の可変ドメインのいずれもが前記ターゲット分子に結合しない。その他の実施形態においては、少なくとも2個の可変ドメインを具えるタンパク性結合分子は、第1可変ドメインがターゲット分子に結合するが、その他の可変ドメインのいずれもが前記ターゲット分子に結合しない。
ある実施形態において、精製タグは、ヒスチジンタグ、Strepタグ、mycタグ、V5タグ、及び、Flagタグ、又は、これらと実質的に同一な変異体から選択される。好ましい実施形態において、精製タグは、ヒスチジンタグ(Hisタグ)であり、最も好ましくはヘキサヒスチジンペプチドである。代替的実施形態において、精製タグは、ペンタヒスチジンペプチド又はヘプタヒスチジンペプチドなどのヒスチジンタグと実質的に同一な変異体である。8個、9個、10個又はそれ以上のヒスチジン残基などのように、さらなるヒスチジン残基を有するその他のヒスチジンタグ、又は、1個以上のヒスチジン残基が別のアミノ酸で置換されているが、Ni−NTAになお結合することができるポリヒスチジン配列を、本発明に従って同様に用いてもよい。
ある実施形態において、タンパク性結合分子は、免疫グロブリン又はその機能性断片である。前記免疫グロブリンは、好ましい実施形態においては抗体であり、より好ましくは完全長の抗体である。
ある実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンである。他の実施形態において、前記免疫グロブリンは、マウス又はラットなどのげっ歯動物の免疫グロブリンである。
ある実施形態において、免疫グロブリンは、IgGクラス、IgMクラス、IgEクラス、IgAクラス及びIgDクラスのいずれかである。好ましい実施形態において、免疫グロブリンはIgGクラスである。ある実施形態において、免疫グロブリンは、IgGクラス、IgMクラス、IgEクラス、IgAクラス及びIgDクラスのいずれかのヒト免疫グロブリンである。好ましい実施形態において、免疫グロブリンは、IgGクラスのヒト免疫グロブリンである。
ある実施形態において、免疫グロブリンは、IgG1サブクラス、IgG2サブクラス、IgG3サブクラス及びIgG4サブクラスのいずれか1つである。好ましい実施形態においては、免疫グロブリンがIgG1サブクラスである。ある実施形態において、免疫グロブリンは、IgG1サブクラス、IgG2サブクラス、IgG3及びIgG4サブクラスのいずれか1つのヒト免疫グロブリンである。好ましい実施形態において、免疫グロブリンはIgG1サブクラスのヒト免疫グロブリンである。
好ましい実施形態においては、タンパク性結合分子が免疫グロブリンである。これらの実施形態において、可変ドメインは可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)を具える。好ましい実施形態において、タンパク性結合分子は、それぞれの可変ドメインが可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)とを具えている2個の可変ドメインを具える免疫グロブリンである。
ある実施形態においては、可変重鎖(VH)が3つの相補性決定領域であるH−CDRを具える。好ましい実施形態において、タンパク性結合分子は、3つの相補性決定領域であるH−CDR1、H−CDR2及びH−CDR3を具えている可変重鎖(VH)を具える免疫グロブリンである。
ある実施形態においては、可変軽鎖(VH)が3つの相補性決定領域であるL−CDRを具える。好ましい実施形態において、タンパク性結合分子は、3つの相補性決定領域であるL−CDR1、L−CDR2及びL−CDR3を具えている可変軽鎖(VH)を具える免疫グロブリンである。
ある実施形態において、精製タグは、タンパク性結合分子又は免疫グロブリンの可変重鎖(VH)又は可変軽鎖(VL)に含まれている。好ましい実施形態において、前記精製タグは、タンパク性結合分子又は免疫グロブリンの可変重鎖(VH)に含まれている。より好ましい実施形態において、精製タグは、可変重鎖(VH)の3つの相補性決定領域(H−CDR)のいずれか1つに含まれている。さらに好ましい実施形態においては、精製タグが、H−CDR3、H−CDR2又はH−CDR1に含まれており、より好ましくはH−CDR3又はH−CDR2に含まれ、最も好ましくはH−CDR3に含まれている。
ある実施形態において、精製タグは、タンパク性結合分子又は免疫グロブリンの可変軽鎖(VL)に含まれている。より好ましい実施形態において、精製タグは、可変軽鎖(VL)の3つの相補性決定領域(L−CDR)のいずれかに含まれている。さらに好ましい実施形態において、精製タグは、L−CDR3、L−CDR2又はL−CDR1に含まれており、最も好ましくはL−CDR3に含まれている。
「CDR領域」という用語は、一般的に、任意の相補性決定領域を含む免疫グロブリンの領域を意味する。免疫グロブリンの相補性決定領域は、可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)に含まれている。特に、免疫グロブリンの相補性決定領域は、H−CDR1、H−CDR2、H−CDR3、L−CDR1、L−CDR2又はL−CDR3領域である。
本発明は、本発明のタンパク性結合分子をコードする核酸配列をさらに提供する。本発明のタンパク性結合分子は、1個、2個、3個、4個又はそれより多いポリペプチドからなっていてもよい。前記ポリペプチドのそれぞれは、同一又は異なる核酸によってコードされてもよい。同様に、本発明のタンパク性結合分子のそれぞれの前記ペプチドをコードする核酸は、同一又は異なるベクター上に存在していてもよい。
本発明は、精製タグを具える可変ドメインをコードする核酸配列をさらに提供する。好ましくは、前記可変ドメインは、免疫グロブリン又はその機能性断片に含まれている。ある実施形態において、前記可変ドメインは、前記免疫グロブリンの可変重鎖(VH)又は可変軽鎖(VL)に含まれており、好ましくは可変重鎖(VH)に含まれ、より好ましくは前記可変重鎖(VH)のH−CDR3に含まれている。
本発明は、タンパク性結合分子の核酸配列を具えているか又は本発明による精製タグを具える可変ドメインの核酸配列を具えているベクターをさらに提供する。
本発明は、前記ベクターを具えている細胞及び宿主細胞をさらに提供する。好ましくは前記細胞又は宿主細胞が哺乳動物細胞である。また、前記細胞又は宿主細胞が単離された細胞又は単離された宿主細胞であることが好ましい。
本発明は、本発明のタンパク性結合分子と、該タンパク用の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを具えている医薬品組成物をさらに提供する。
本発明は、疾病又は疾患を治療するための治療方法であって、本発明のタンパク性結合分子と、該タンパク用の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを具えている医薬品組成物の治療的有効量を、必要性のある対象に投与するステップを具える方法をさらに提供する。好ましくは、前記疾病又は疾患は、望ましくないターゲット分子の存在を伴うものである。
本明細書による「治療的に有効な」量は、単独で又は別の治療と組み合わせて、不都合な病状の治療又は処置において治療的な利益を与えるタンパク性結合分子の量として定義される。この用語は、治療を全般的に改善するか、望ましくない効果を低減若しくは回避するか、治療的効果又は別の治療薬と相乗作用を強める量を包含し得る。治療を必要とする「対象」は、ヒト又はヒト以外の動物(例えばウサギ、ラット、マウス、サル又は別の下等霊長類)であってもよい。
本発明のタンパク性結合分子を公知の医薬品と共に共投与してもよく、ある事例においてはタンパク性結合分子自体を修飾してもよい。例えば、タンパク性結合分子を抗毒素又は放射性同位元素に結合させて有効性をさらに高めることができる。
ターゲット分子が望ましくなく発現され又はみられる様々な状況における治療的又は診断的ツールの1つとしてタンパク性結合分子を用いることができる。任意の疾病又は疾患を治療するために、本発明の使用のための医薬品組成物を、1以上の生理的に許容可能な担体又は賦形剤を用いて従来の方法で調剤してもよい。本発明のタンパク性結合分子を任意の適切な手段で投与することができ、その手段は治療する疾患の種類に応じて変わり得る。可能な投与経路には、非経口投与(例えば、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は、皮下)、肺内投与及び鼻腔内投与、及び、局所的免疫抑制療法において必要であれば、病巣内投与が含まれる。さらに、例えば用量を減らしたタンパク性結合分子と共に、本発明のタンパク性結合分子をパルス注入によって投与してもよい。投与が短期的であるか又は長期的であるかに応じて、好ましくは注射によって、最も好ましくは静脈内注射又は皮下注射によって投薬する。投与量は、臨床症状、患者の体重、その他の医薬品を投与するか否かなどの様々な要因に依存するであろう。当業者は、治療する疾患又は病状に応じて投与経路が変わることを理解するであろう。
本発明のタンパク性結合分子の治療的有効量の決定は、大部分において、特定の患者の特性、投与経路及び治療する疾患の性質に依存するであろう。一般的なガイダンスは、例えば、ハーモナイゼーション国際会議の出版物及びRemington’s Pharmaceutical Sciences,第27章及び28章,第484−528頁(18th ed., Alfonso R.Gennaro,Ed.,Easton,Pa.:Mack Pub.Co.,1990)においてみることができる。特に、治療的有効量の決定は、医薬品の毒性及び効能のような要因に依存するであろう。当業界で周知の方法及び先行文献にみられる方法を用いて毒性を決定してもよい。効能を同じガイダンスを用いて決定してもよい。
本発明は、対象又はサンプル内のターゲット分子を検出する方法であって、前記対象又はサンプルを、本発明のタンパク性結合分子に接触させるステップを具える方法をさらに提供する。
本発明は、対象の疾病又は疾患を診断する方法であって、前記対象又はサンプルを、本発明のタンパク性結合分子に接触させるステップを具える方法をさらに提供する。
本発明は、本発明のタンパク性結合分子の、医薬品製造のための使用をさらに提供する。
本発明は、疾病又は疾患の治療のための本発明のタンパク性結合分子をさらに提供する。
本発明は、本発明のタンパク性結合分子の、疾病又は疾患の診断のための使用をさらに提供する。
本発明は、本発明のタンパク性結合分子の、ターゲット分子の検出のための使用をさらに提供する。
ある実施形態においては、タンパク性結合分子が抗体などの免疫グロブリンである。そのようなケースにおいて、本発明の核酸分子をトランスフェクトされた細胞系は、2つの異なる可変重鎖(VH):ターゲット分子に結合する可変ドメインの一部であるVH鎖(以下、「VH−targ」とする。);及び、精製タグを具える可変ドメインの一部であるVH鎖(以下、「VH−puri」とする。代替的に、このVH鎖は不活性であってもよい。)を生産する。1種のみの可変軽鎖(VL)が作られる。これは3つの異なる免疫グロブリン種の生産をもたらす。
−種Aは、タイプVH−targの2つの可変重鎖(VH)を具える。
−種Bは、タイプVH−targの1つの可変重鎖(VH)と、タイプVH−puriの1つの可変重鎖(VH)とを具える。
−種Cは、タイプVH−puriの2つの可変重鎖(VH)を具える。
すべての免疫グロブリン種は、2つの同じ可変軽鎖(VL)を具える。
上述した免疫グロブリン種Aは、精製タグを具えていない。種Bは、1個の精製タグを具えており、種Cは、2個の精製タグを具えている。種Bは、本発明による望ましい特性、すなわち、ターゲット分子の一価結合を有する種である。
種B及び種Cはいずれも、精製タグに対する親和性を有する部分によって、例えば精製タグがヒスチジンタグであればNi−NTAによって、精製することができる。免疫グロブリン種Cの親和性は、第2精製タグの存在によって種Bよりもはるかに強いので、これらの種は、適切な精製ステップによって簡便に分離することができる。可能な精製技術には、カラムクロマトグラフイーなどのクロマトグラフィーが含まれる。様々な方法によって溶出を実行することができる。好ましくは、勾配を適用する。それぞれの技術は当業者に知られている。ヒスチジンタグを用いれば、イミダゾール勾配によって最も容易に溶出させることができる。そのプロセスを図1に示す。より結合力が強いため、種Cはカラムとのより強い親和性を有しており、従って、クロマトグラフィーカラムから前記種を回収するためにイミダゾールを含む溶液などのより高濃度の溶液が必要であろう。この技術(すなわち、溶出用高濃度イミダゾール)によって、種Bを種Cから簡便に分離することができる。
従って、本発明は、本発明のタンパク性結合分子を精製する方法であって、(a)本発明のタンパク性結合分子を含む溶液を提供するステップと、(b)ステップ(a)の溶液を、前記タンパク性結合分子の精製タグに対して親和性を有する部分に接触させるステップと、(c)タンパク性結合分子を前記部分に結合させるステップと、(d)前記部分に結合しない溶液成分のすべて又は実質的すべてを除去するステップと、(e)前記部分からタンパク性結合分子を回収するステップとを具える方法を提供する。
本発明のタンパク性結合分子を含む溶液は、好ましくは前記タンパク性結合分子を発現する細胞の培養液上清である。代替的に、本発明のタンパク性結合分子を含む他の溶液を用いてもよい。
本発明のタンパク性結合分子を含む溶液は、2個の精製タグを具えるタンパク性結合分子をさらに具えてもよい。
好ましくは、本発明のタンパク性結合分子は、勾配、好ましくはイミダゾール勾配によって、2個の精製タグを具えるタンパク性結合分子を含む溶液から分離される。
ある実施形態において、本発明は、少なくとも2個の可変ドメインを具える第1タンパク性結合分子であって、一方の可変ドメインがターゲット分子に結合しており、他方の可変ドメインが精製タグを具えている第1タンパク性結合分子を、2個の精製タグを具える第2タンパク性結合分子から分離する方法であって、(a)第1タンパク性結合分子と第2タンパク性結合分子とを含む溶液を提供するステップと、(b)ステップ(a)の溶液を、前記タンパク性結合分子の精製タグに対する親和性を有する部分に接触させるステップと、(c)前記タンパク性結合分子を前記部分に結合させるステップと、(d)前記部分に結合しない溶液成分のすべて又は実質的すべてを除去するステップと、(e)前記第2タンパク性結合分子から第1タンパク性結合分子を分離する方法で、前記部分から前記タンパク性結合分子を回収するステップと、を具える方法を提供する。好ましい実施形態において、ステップ(e)は、精製タグに対する親和性を有する部分からタンパク性結合分子を回収するために勾配を適用するステップを具える。精製タグがヒスチジンタグであれば、イミダゾール勾配が好ましい。
ある実施形態において、本発明は、少なくとも2個の可変ドメインを具える免疫グロブリン又はその機能性断片であって、1個の可変ドメインがターゲット分子に結合し、少なくとも1個の別の可変ドメインが精製タグを具えており、前記精製タグが前記別の可変ドメインのCDR領域に具えられている免疫グロブリン又はその機能性断片を提供する。最も好ましい前記免疫グロブリンは、完全長の免疫グロブリンである。
ある実施形態において、本発明は、少なくとも2個の可変ドメインを具えるタンパク性結合分子であって、1個の可変ドメインがターゲット分子に結合し、少なくとも1個の別の可変ドメインが精製タグを具えているか又は不活性であるタンパク性結合分子を提供する。ある実施形態において、前記タンパク性結合分子は、2個の可変ドメインを具えていてもよい。ある実施形態において、精製タグを具える可変ドメインは、ターゲット分子に結合しない。ある実施形態において、精製タグは、ヒスチジンタグ、Strepタグ、mycタグ、Flagタグ、V5タグ及びこれらと実質的に同一の変異体から選択される。ある実施形態において、精製タグは、ヒスチジンタグ又はこれと実質的に同一の変異体である。ある実施形態において、ヒスチジンタグは、ヘキサヒスチジンペプチドである。ある実施形態においては、タンパク性結合分子が免疫グロブリン又はその機能性断片である。ある実施形態においては、免疫グロブリンが抗体である。ある実施形態において、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である。ある実施形態においては、抗体がヒト抗体である。ある実施形態においては、ヒト抗体がIgGクラスである。ある実施形態において、ヒト抗体は、IgG1サブクラス、IgG2サブクラス、IgG3サブクラス及びIgG4サブクラスのいずれかである。ある実施形態において、ヒト抗体は、IgG1サブクラスである。ある実施形態において、前記可変ドメインは、それぞれ、可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)とを具える。ある実施形態においては、可変重鎖(VH)が3つの相補性決定領域(H−CDR)を具える。ある実施形態においては、可変軽鎖(VL)が3つの相補性決定領域(L−CDR)を具える。ある実施形態において、精製タグは、可変重鎖(VH)又は可変軽鎖(VL)に含まれている。ある実施形態においては、精製タグが可変重鎖(VH)に含まれている。ある実施形態においては、精製タグが、可変重鎖(VH)の3つの相補性決定領域(H−CDR)のいずれか1つに含まれている。その他の実施形態においては、精製タグが、可変重鎖(VH)の3つの相補性決定領域(H−CDR)の1つ以上に含まれている。ある実施形態においては、精製タグがH−CDR3又はH−CDR2に含まれている。ある実施形態においては、精製タグがH−CDR3に含まれている。ある実施形態においては、精製タグが可変軽鎖(VL)に含まれている。ある実施形態においては、精製タグが、可変軽鎖(VL)の3つの相補性決定領域(L−CDR)のいずれか1つに含まれている。他の実施形態においては、精製タグが、可変軽鎖(VL)の3つの相補性決定領域(L−CDR)の1つ以上に含まれている。ある実施形態においては、精製タグがL−CDR2に含まれている。
ある実施形態において、本発明は、列挙されている上記タンパク性結合分子を含む、本発明のタンパク性結合分子をコードする核酸配列を提供する。ある実施形態において、これらの核酸配列は、精製タグを具える可変ドメインをコードする。ある実施形態において、可変ドメインは、免疫グロブリン又はその機能性断片に含まれている。ある実施形態において、これらの核酸配列の可変ドメインは、前記免疫グロブリンの可変重鎖(VH)又は可変軽鎖(VL)に含まれている。ある実施形態において、これらの核酸配列の可変ドメインは、前記免疫グロブリンの可変重鎖(VH)に含まれている。ある実施形態において、これらの核酸配列の可変ドメインは、前記可変重鎖(VH)のH−CDR3に含まれている。
ある実施形態において、本発明は、上記核酸配列を具えるベクターを提供する。
ある実施形態において、本発明は、上記ベクターを含む、本発明のベクターを具える細胞を提供する。ある実施形態においては、この細胞が哺乳動物細胞である。ある実施形態において、この細胞は、単離された細胞である。
ある実施形態において、本発明は、上記タンパク性結合分子と、該タンパク用の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と具える医薬品組成物を提供する。
ある実施形態において、本発明は、疾病又は疾患を治療する方法であって、必要性のある対象に上記医薬品組成物を含む本発明の医薬品組成物を治療的有効量で投与するステップを具える方法を提供する。ある実施形態において、疾病又は疾患は、ターゲット分子の望ましくない存在を伴うものである。
ある実施形態において、本発明は、対象又はサンプル中のターゲット分子を検出する方法であって、前記対象又はサンプルを上記タンパク性結合分子に接触させるステップを具える方法を提供する。
ある実施形態において、本発明は、対象の疾病又は疾患を診断する方法であって、前記対象又はサンプルを上記タンパク性結合分子に接触させるステップを具える方法を提供する。
ある実施形態において、本発明は、上記タンパク性結合分子の医薬品製造のための使用を提供する。
ある実施形態において、本発明は、疾病又は疾患の治療のための上記タンパク性結合分子を提供する。
ある実施形態において、本発明は、上記タンパク性結合分子の疾病又は疾患の診断のための使用を提供する。
ある実施形態において、本発明は、ターゲット分子を検出するための、上記タンパク性結合分子の使用を提供する。
ある実施形態において、本発明は、上記タンパク性結合分子を精製する方法であって、(a)タンパク性結合分子を含む溶液を提供するステップと、(b)ステップ(a)の溶液を精製タグに対する親和性を有する部分に接触させるステップと、(c)前記タンパク性結合分子を前記部分に結合させるステップと、(d)前記部分に結合しない溶液成分のすべて又は実質的にすべてを除去するステップと、(e)前記部分からタンパク性結合分子を回収するステップと、を具える方法を提供する。ある実施形態においては、溶液が、2個の精製タグを具えるタンパク性結合分子をさらに含んでいる。ある実施形態においては、2個の精製タグを具えるタンパク性結合分子から、1個の精製タグを具えるタンパク性結合分子を勾配によって分離する。ある実施形態においては、勾配がイミダゾール勾配である。
実施例
実施例1:H−CDR3領域に精製タグを含むFab断片の生成
MOR03207_FSは、ニワトリ卵白リゾチームに対する特異性を有するFabである。MOR03207_FSは、VH鎖のC末端、すなわち、可変ドメインの外に、FlagタグとStrepタグとを具える。適切なプライマー設計及び従来のクローニング技術によって、ヘキサヒスチジンタグは、H−CDR3配列:GYSGHHHHHHSGDYをコードするpMx9_MOR08428を作るコード発現ベクターであるpMx9_MOR03207_FS(Rauchenberger et al,2003)の可変重鎖のH−CDR3に導入される。MOR08428は、VH鎖のC末端にFlagタグとStrepタグ(FS)とを具える。
試験精製によって、MOR03207_FS及びMOR08428_FSの両方をStrepタグによって精製することができることが確かめられた。しかしながら、ヘキサヒスチジンタグを自由に入手でき、それによって親和性クロマトグラフィーの目的に利用することができることを確認して、代替的に固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)によってMOR08428_FSを精製することができる。最後に、ELISAによる試験によって、MOR03207_FSがニワトリ卵白リゾチームに結合することができ、MOR08428_FSは結合できないことが確認され、H−CDR3にヘキサヒスチジンタグを導入することによってオリジナルのFab断片の特異性が破壊されたことが示された(図2)。
次いで、MOR08428_FSのVHを、クローンニングによってMOR03080のVLと結合させた。MOR03080は、ヒトCD38に対する特異性を有するFabである。得られる構築物は、MOR08441_FSと呼ばれ、従ってMOR08428のVHとMOR03080のVLとを含んでいる。
FACS分析(図3)及びELISA試験(図2)によって、MOR03080はヒトCD38に結合できるが、MOR08428及びMOR08441はヒトCD38に結合できないことを確認した。同様に、MOR03207_FSはニワトリ卵白リゾチームに結合することができるが、MOR08428及びMOR08441はニワトリ卵白リゾチームに結合できないことが確認された。最後に、MOR08428_FSをNi−NTAクロマトグラフィーによって精製できることは、H−CDR3に組み込まれた6His配列が親和性カムマトリクスに近接可能であることを示している。
要約すると、ヒトFab断片のH−CDR3中へのヘキサヒスチジンタグの導入などの、タンパク性結合分子の可変ドメイン中へのヘキサヒスチジンタグなどの精製タグの導入によって、(a)各親和性樹脂への結合によって容易に精製することができ、かつ、(b)可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)が由来したオリジナルの親バインダのターゲット分子にもはや結合できないFabを生成することが可能であることが証明されている。
実施例2:H−CDR3領域中に精製タグを含む完全長IgGの生成
この実施例に記載されているように、本発明の一価免疫グロブリンを生成することができる。代替的に、別の技術を使用してもよい。例えば、所望の免疫グロブリン重鎖の好ましい対合を可能にするいくつかの実験技術が存在する。例えば、組み換えたジスルフィド結合及び「knob into holes」突然変異(Merchant et al,Nature Biotechnology(1998)16,677)を用いた技術よって二重特異性IgGを生成することができ、所望の重鎖の効率的な対合を可能する。当業界で知られているその他の関連技術を同様に使用してもよい。
下記において実施例1のFab断片をIgG1型に変換する。従って、各構築物を適切なベクターにクローンニングする。
不変ヒトガンマ1定常領域を有するベクターであるpMorph2_huIgG1中にMOR08428及びMOR03080の可変重鎖をクローニングすることによってpMorph2_h_IgG1_MOR08428ベクター及びpMorph2_h_IgG1_MOR03080ベクターをそれぞれ生成した。不変ヒトラムダ軽鎖を有するベクターであるpMorph2_h_Ig_ラムダ2中にMOR03080の可変軽鎖ををクローニングすることによってベクターpMorph2_h_Ig_ラムダ2_MOR03080を作成した。3つの構築物のすべてをHKB11(ATCC番号:CRL−12568;Cho et al.J Biomed Sci.(2002):631−8)などのヒト細胞系中に共トランスフェクトして発現させる。細胞培養上澄みはさらなる試験に用いられる。標準的なプロテインA親和性クロマトグラフィーによって細胞培養上澄みを予め精製した。
トランスフェクトされた細胞系において2つの異なる重鎖と1つの軽鎖とが作られるので、全部で3つの異なる免疫グロブリン種が生産される。1つの種は、MOR03080の2つの重鎖を含む。この免疫グロブリン種は、ヘキサヒスチジンタグを含んでおらず、従って、Ni−NTAに対しては親和性がないが、CD38に対しては一価ではなく二価の特異性を有する。第2の免疫グロブリン種は、MOR03080の1つの重鎖とMOR08428の1つの重鎖とを含む。この免疫グロブリン種は、本発明における望ましい特性を有する種である。この免疫グロブリン種は、1つのMOR08428重鎖のH−CDR3中のヘキサヒスチジンタグによって、Ni−NTAに対する親和性を有している。最後に、第3の免疫グロブリン種は、MOR08428の2つの重鎖を含む。この種は、ターゲット分子(このケースにおいてはヒトCD38)に対する親和性を有していない。しかしながら、この種は、免疫グロブリンの両方のアームにヘキサヒスチジンタグを含んでおり、従って、IMACカラム(例えばNi−NTA(Qiagen)又はヒスバインドフラクトゲル(Merck))の樹脂に対して二価の結合を示し、従って樹脂に対してより高い親和性を有する。この免疫グロブリン種の樹脂に対する親和性は、望ましい第2の免疫グロブリン種の一価の親和性よりもはるかに強いので、例えば、イミダゾール勾配などの親和性クロマトグラフィーによってこの免疫グロブリン種を簡便に分離することができる。この溶出プロセスを図1に示す。
このプロテインAで精製したIgG1分子の混合物をIMAC精製に供した。Akta−FPLCシステムを用い、予備精製したIgG1混合物をヒスバインドフラクトゲル(Merck#70693−3)カラムに装填した。1ml/分の流速で1mlの画分を得た。
20mMのNaリン酸(pH7.4)/500mMのNaCl/10mMのイミダゾールを泳動バッファとして用いた。泳動バッファに250mMのイミダゾールを加えたものを溶出バッファーとして用い、溶出バッファーの勾配:0〜100%を適用した。代表的な画分を還元分析的SDS PAGEにロードした(図4)。予想したように、約30KDに単一の軽鎖バンドがみられた。対照的に、2本の別々の重鎖バンドを区別することができた(いずれも約50KD)。カラム流出液中に下のバンドが観察され、一方で、イミダゾールを用いた溶出時には上のバンドのみが確認された。高濃度のイミダゾール(すなわち、後の画分)では、上の重鎖バンドだけが溶出された。下の重鎖バンドがMOR03080の重鎖を示しており、一方で、上のバンドがヘキサヒスチジンタグを有するMOR08428の重鎖を示していることが結論付けられる。
従って、ヘキサヒスチジンでタグされたIgG種によって、タグされていない(二価の)MOR03080IgG1を容易に分離することができる。更に、イミダゾール勾配による溶出は、1個のヘキサヒスチジンでタグされたIgG1種と2個のヘキサヒスチジンでタグされたIgG1種とのさらなる分離を可能にした。
実施例3:分離したIgG1種の機能分析
画分#30−58及び画分#70−90を貯留した(図4を参照)。これらの貯留した画分のバッファー及びカラム流出液を透析によってPBSに交換した。これらのサンプルのタンパク濃度をA280nm測定によって決定した。これらの3つのサンプルを還元条件下のSDS−PAGEで分析した(図5)。MOR03080の重鎖は、MOR08428の重鎖よりも見掛けの分子量が小さかった。流出液サンプルはMOR03080の重鎖だけを含んでいたが、一方で、画分#70−90の貯留サンプルは、主としてMOR08428の重鎖を含んでいた。対照的に、#30−58の貯留サンプルは、およそ1:1の比率で両方の重鎖を含んでいた。これらのデータは、1つのヘキサヒスチジンでタグされた一価のIgG1及びヘキサヒスチジンで二重にタグされたIgG1から、溶出のためにイミダゾール勾配を適用して親和性クロマトグラフィーを用いることによって、二価のIgG1が分離されたことを示している。
FACSにおけるEC50の決定
これらのIgG1画分の結合特性を明らかにするために、CD38を発現するRPMI8226細胞を用いてFACS EC50試験を行った。この目的のために、規定の濃度(250nM〜0.24pM)のIgGを一次抗体として用いた。1ウェル当たり50μlの1:200に希釈したPEが結合した第2抗体(ヤギ抗ヒトIgG(Fab)’断片特異的;JIRLaboratories#109−116−097)を用いて検出を行った。非線形回帰曲線フィットモデル(S字用量反応;可変傾斜)を応用するプリズム3.03ソフトウェア(グラフバッドソフトウェア)を用いてEC50値を決定した。表1は、このFACS滴定試験で得られたEC50値を示している。
Figure 2011510617
流出液IgG1画分のEC50値がMOR03080参照IgG1と非常に近似していたことは、流出液が二価のCD38結合IgG1に一致することを示している。対照的に、画分#30−58は、1/3のEC50(1.5nM)を示し、MOR03080の一価の参照Fab断片と同じ範囲内であった。このことは、IgG1画分#30−58が、CD38が結合する一価のIgG1からなっていたことを示している。基準IgG1、MOR08588は、もっぱらMOR08428の可変重鎖(VH)とMOR03080の可変軽鎖(VL)とからなっており、従って、予想したように、2個のヘキサヒスチジンでタグされており、CD38には結合しない。高濃度のイミダゾールで溶出された画分#70−90は、そのEC50が画分#30−58のEC50と比較して10分の1であることによって証明されるように、主として、2個のヘキサヒスチジンでタグされたIgG1種からできている。残りの結合特性は、共溶出した1個のヘキサヒスチジンでタグされたIgG1種のサンプル不純物に起因する。
プラズモン表面共鳴(バイアコア)による親和性測定
バイアコア3000装置(バイアコア、ウプサラ、スウェーデン)を用いて、共有結合で固定化されたヒトCD38−Fcに結合する各精製抗体の段階希釈を用いて反応速度定数kon及びkoffを決定した。標準的なEDC−NHSカップリング手法で共有結合による抗原固定化を実行した。1.5〜500nMの濃度の抗体を用いてPBS(pH7.2)中で20μl/分の流速で反応速度測定を行った。各濃度における注入時間は1分であり、次いで、3分の電離段階を行った。再生のために、5μlの10mMグリシンバッファー(pH1.5)を2回注入した。1:1の結合反応速度を想定して、BIA評価ソフトウェア3.2(バイアコア)を用いてすべてのセンサーグラムを合わせた。
表2は、バイアコア試験から得たみかけの親和性値を示している。
Figure 2011510617
流出液サンプルのみかけのKが精製したMOR03080IgG1に非常に近似していたことは、このサンプルが二価のIgG1からなっていることを示している。対照的に、#30−58の貯留サンプルは、MOR03080IgG1の10分の1であるMOR03080Fab断片に非常に近似したみかけのKを示した。この結果は、画分#30−58の貯留サンプルが、MOR03080Fab断片と同じ一価の結合特性を示すことを表している。MOR08588IgG1は、予想したように、CD38−Fcに対していかなる結合性も示さなかった。しかしながら、画分#70−90IgG1は、CD38−Fcに対する結合性を示した。高濃度のイミダゾールで溶出された画分#70−90は、主として、2個のヘキサヒスチジンでタグされたIgG1種からなっているようである。このことは、例えば画分#30−58よりも低いRmaxによって説明される。これらのサンプルにおいてみられたkon及びkoffは、ほとんど、共溶出された1個のヘキサヒスチジンでタグされたIgG1種のサンプル不純物に起因している。
要約すると、ターゲット分子に対して一価の親和性を有する完全長の免疫グロブリンが生産される。これらの分子は、容易に生産され、精製タグを用いてNi−NTAクロマトグラフィーによって精製され、それによって、そのような精製タグ有しない二価結合する免疫グロブリン分子から分離される。

Claims (50)

  1. 少なくとも2つの可変ドメインを具える免疫グロブリン又はその機能性断片において、一方の可変ドメインがターゲット分子に結合し、少なくとも1つの他方の前記可変ドメインが精製タグを具えており、前記精製タグが前記別の可変ドメインのCDR領域中に含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  2. 請求項1に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、2つの可変ドメインを具えることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  3. 請求項1又は2に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグを具える可変ドメインが、ターゲット分子に結合しないことを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグは、金属イオンに特異的に結合するペプチド配列を具えることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  5. 請求項4に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記金属イオンがニッケル及びコバルトから選択されることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  6. 請求項4に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグがヒスチジンタグ又はそれと実質的に同一な変異体であることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  7. 請求項6に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記ヒスチジンタグがヘキサヒスチジンペプチドであることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグが抗原決定基タグであることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  9. 請求項8に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記抗原決定基タグが、抗体によって特異的に認識されるペプチド配列からなることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグが、ヒスチジンタグ、Strepタグ、mycタグ、Flagタグ及びV5タグ又はこれらと実質的に同一な変異体から選択されることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の免疫グロブリンにおいて、前記免疫グロブリンが抗体であることを特徴とする免疫グロブリン。
  12. 請求項11に記載の免疫グロブリンにおいて、前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体であることを特徴とする免疫グロブリン。
  13. 請求項12に記載の免疫グロブリンにおいて、前記抗体がヒト抗体であることを特徴とする免疫グロブリン。
  14. 請求項13に記載の免疫グロブリンにおいて、前記ヒト抗体がIgGクラスであることを特徴とする免疫グロブリン。
  15. 請求項14に記載の免疫グロブリンにおいて、前記ヒト抗体がIgG1サブクラス、IgG2サブクラス、IgG3サブクラス及びIgG4サブクラスのいずれかであることを特徴とする免疫グロブリン。
  16. 請求項15に記載の免疫グロブリンにおいて、前記ヒト抗体がIgG1サブクラスであることを特徴とする免疫グロブリン。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記可変ドメインのそれぞれが可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)とを具えることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  18. 請求項17に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記可変重鎖(VH)が3つの相補性決定領域(H−CDR)を具えることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  19. 請求項17に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記可変軽鎖(VL)が3つの相補性決定領域(L−CDR)を具えることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  20. 請求項17〜19のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグが可変重鎖(VH)又は可変軽鎖(VL)に含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  21. 請求項20に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグが可変重鎖(VH)に含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  22. 請求項21に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグが、可変重鎖(VH)の3つの相補性決定領域(H−CDR)のいずれか1つに含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  23. 請求項12に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグがH−CDR3又はH−CDR2に含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  24. 請求項23に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグがH−CDR3に含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  25. 請求項20に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグが可変軽鎖(VL)に含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  26. 請求項25に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグが、可変軽鎖(VL)の3つの相補性決定領域(L−CDR)のいずれか1つに含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  27. 請求項26に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片において、前記精製タグがL−CDR2に含まれていることを特徴とする免疫グロブリン又はその機能性断片。
  28. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片をコードすることを特徴とする核酸配列。
  29. 精製タグを具える可変ドメインをコードすることを特徴とする核酸配列。
  30. 請求項28又は29に記載の核酸配列において、前記可変ドメインが免疫グロブリン、又はその機能性断片に含まれていることを特徴とする核酸配列。
  31. 請求項30に記載の核酸配列において、前記可変ドメインが、前記免疫グロブリンの可変重鎖(VH)又は可変軽鎖(VL)に含まれていることを特徴とする核酸配列。
  32. 請求項31に記載の核酸配列において、前記免疫グロブリンの可変重鎖(VH)に含まれていることを特徴とする核酸配列。
  33. 請求項32に記載の核酸配列において、前記可変ドメインが前記可変重鎖(VH)のH−CDR3に含まれていることを特徴とする核酸配列。
  34. 請求項28〜32のいずれか1項に記載の核酸配列を具えることを特徴とするベクター。
  35. 請求項34に記載のベクターを含むことを特徴とする細胞。
  36. 請求項35に記載の細胞において、前記細胞が哺乳動物細胞であることを特徴とする細胞。
  37. 請求項35又は36に記載の細胞において、前記細胞が、分離された細胞であることを特徴とする細胞。
  38. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片と、その薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と、を具えることを特徴とする医薬品組成物。
  39. 疾病又は疾患を治療する方法において、必要性がある対象に請求項38に記載の医薬品組成物を治療的有効量で投与するステップを具えることを特徴とする方法。
  40. 請求項39に記載の方法において、前記疾病又は疾患がターゲット分子の望ましくない存在を伴うものであることを特徴とする方法。
  41. 対象又はサンプル中のターゲット分子を検出する方法において、前記対象又はサンプルを、請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片に接触させるステップを具えることを特徴とする方法。
  42. 対象の疾病又は疾患を診断する方法において、前記対象又はサンプルを、請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片に接触させるステップを具えることを特徴とする方法。
  43. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片の医薬品製造のための使用。
  44. 疾病又は疾患の治療のための請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片。
  45. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片の、疾病又は疾患を診断するための使用。
  46. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片の、ターゲット分子を検出するための使用。
  47. 免疫グロブリン又はその機能性断片を精製する方法において:
    (a)請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫グロブリン又はその機能性断片を含む溶液を提供するステップと;
    (b)前記免疫グロブリン又はその機能性断片の精製タグに対する親和性を有する部分にステップ(a)の溶液を接触させるステップと;
    (c)前記免疫グロブリン又はその機能性断片を前記部分に結合させるステップと、
    (d)前記部分に結合しない溶液成分のすべて又は実質的すべてを除去するステップと;
    (e)前記部分から免疫グロブリン又はその機能性断片を回収するステップと、
    を具えることを特徴とする方法。
  48. 請求項47に記載の方法において、前記溶液が、2個の精製タグを具える免疫グロブリン又はその機能性断片をさらに含むことを特徴とする方法。
  49. 請求項48に記載の方法において、請求項1〜27のいずれか1項に記載の前記免疫グロブリン又はその機能性断片を、勾配によって2個の精製タグを具えるタンパク性結合分子から分離することを特徴とする方法。
  50. 請求項49に記載の方法において、前記勾配がイミダゾール勾配であることを特徴とする方法。
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