JP2011510261A - アーチ状鞍形核磁気共鳴用無線周波数コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】シム調整が容易な、NMR RFコイルを提供する。
【解決手段】1つの態様によると、核磁気共鳴(NMR)分光計のNMR無線周波数(RF)コイルは、コイルの遮蔽領域に沿ってコイルウィンドウの長手方向両端に、対向するアーチを有する。アーチ状のコイル形状は、追加コイル長ひいては横方向導体を境界面から離すために必要とされるコイルインダクタンスおよびキャパシタンスを最小限にしながらも、サンプルの測定空間とコイルのシールドとの境界からコイルの横方向部分を離して位置させることができる。コイルの横方向部分を測定空間から離すことによりシム調整が容易になる。コイルは、コイルと関連するシールドとの間のキャパシタンスを減少させるために、コイルの周囲に沿って離間した複数の長手方向支持ロッドに持ち上げられていてもよい。
【選択図】図2A

Description

本発明は一般的には核磁気共鳴(NMR)分光計に関し、詳細には、NMR無線周波数(高周波;RF)コイルに関する。
核磁気共鳴(NMR)分光計は、一般に、静磁場Bを生成するための超電導磁石と、前記磁場Bに対して垂直な経時変化する磁場Bを生成して、印加された磁場に対するサンプルの反応を検出するための1以上の専用無線周波数(RF)コイルを含むNMRプローブとを備えている。各RFコイルおよび関連する回路は、サンプル内に存在する対象原子核のラーモア周波数において共鳴することができる。一般的なNMR用途において分析される対象原子核には、H(陽子)、13C(炭素)および15N(窒素)が含まれる。RFコイルは、一般に、NMRプローブの一部として提供され、サンプルチューブまたはフローセル内に位置するサンプルを分析するために使用される。静磁場Bの方向は、通常、z軸すなわち縦方向で示される一方、z軸に対して垂直な平面は、通常、x−yすなわち横方向と呼ばれる。
何種類かのRFコイルがNMRシステムで用いられている。詳細には、NMRシステムの多くは横磁場RFコイルを含み、このコイルはx−y平面に沿った向きのRF磁場を発生させる。横磁場コイルには、鞍(サドル)形コイルや鳥かご形コイルがある。鳥かご形コイルは、一般に、2つの横方向リングと、前記リングを接続する比較的多くの縦桟とを含む。鳥かご形コイルは多重共鳴構造であり、特定の位相関係が複数の縦桟に沿って流れる電流に対して確立される。鞍形コイルは、通常、コイルウィンドウ周辺の導体パターンによって画定される電流経路を有している。
対象NMR周波数は、対象原子核と、印加された静的磁場Bの強度とによって決定される。NMR測定の精度を最大化するために、励起/検出回路の共鳴周波数は、対象周波数と等しくなるように設定する。励起/検出回路の共鳴周波数は下記のように変化する。
Figure 2011510261
ここで、LおよびCは、それぞれ、励起/検出回路の実効インダクタンスおよびキャパシタンスである。
高分解能NMRスペクトルの生成は、時空間的に均一な静磁場を採用することで容易になる。静磁場の強度は、とりわけ温度の変動や付近の金属性物体の移動のために時間とともに変化する。静磁場の空間的な変動は、サンプルチューブもしくはサンプルの特性の変化、付近の物質の存在、または磁石の設計によって引き起こされる。静磁場の小さな空間的不均一性は、通常、一組のシムコイルを用いて修正される。シムコイルは印加された静磁場の不均一性に対抗して打ち消す小さな磁場を発生させる。従って、NMRプローブの種々の部品が静磁場に極小の不均一性をもたらすのであれば、シム調整は一般に容易になる。
本発明の一局面によれば、核磁気共鳴用無線周波数コイル組立体は、コイル支持部と、前記コイル支持部に装着された鞍形核磁気共鳴用無線周波数コイルとを備え、前記無線周波数コイルは一対の対向する横向きコイルウィンドウを画定し、各コイルウィンドウは、その長手(縦)方向両端に一対の対向するアーチを備えている。
別の局面によれば、核磁気共鳴装置は、サンプルに静磁場を印加するための磁石と、前記磁石に結合され、静磁場の空間的不均一性を減少させるためのシムコイルと、前記磁石に結合され、前記サンプルに無線周波数磁場を印加するための鞍形核磁気共鳴用無線周波数コイルであって、当該無線周波数コイルは一対の対向する横向きコイルウィンドウを画定し、各コイルウィンドウは、その長手(縦)方向両端に一対の対向するアーチを含む無線周波数コイルを備えている。
さらに別の局面によれば、核磁気共鳴測定方法は、長手(縦)方向両端に一対の対向するアーチをそれぞれ備えた一対の対向する横向きコイルウィンドウを画定し、一組の無線周波数パルスをサンプルに印加するための鞍形核磁気共鳴用無線周波数コイルを採用する工程と、前記一組の無線周波数パルスに対する前記サンプルの反応を検出する工程とを含む。
本発明の上記態様および利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照すれば、よりよく理解できよう。
本発明のいくつかの実施形態に係る例示的NMR分光計の模式図である。 本発明のいくつかの実施形態に係るアーチ状鞍形RFコイルを含む無線周波数(RF)NMRコイル組立体の等角図である。 本発明のいくつかの実施形態に係る、図2−AのRFコイル組立体の支持/遮蔽構造の等角図である。 本発明のいくつかの実施形態に係る、縦軸を中心に巻かれた図2Bに示すようなコイルを作製するために使用されるパターン化された箔を示す図である。 本発明のいくつかの実施形態に係る、円状湾曲を有する例示的RFコイルのアーチ形状を示す図である。 本発明のいくつかの実施形態に係る、楕円状湾曲を有する例示的RFコイルのアーチ形状を示す図である。 本発明のいくつかの実施形態に係る、鋭尖アーチ頂部を有する例示的RFコイルのアーチ形状を示す図である。
以下の説明において、一連の要素は1つ以上の要素を含む。要素に対する如何なる言及も、1つ以上の要素を包含するものと理解される。各記載される要素または構造は、一体(モノリシック)構造によって形成することができるか、一体構造の一部とすることができ、または複数の異なる構造から形成することができる。長手方向に一体構造の箔とは、複数の長手方向に分離された部分を接続することによって形成されていない箔である。よって、長手方向に一体構造の箔は、非長手方向に沿って積み重ねた複数の層を含んでいてもよい。コイルを使用してサンプルの核磁気測定を実施するという記述は、そのコイルが送信機、受信機、または両方として用いられることを意味するものと理解される。特に記載しない限り、記載される電気的または機械的接続は、直接的接続、または中間の回路要素または構造を介する間接的接続とすることができる。導電性リングは、リング状の電流経路をRF電流に提供する構造である。このような構造は2つまたは3つの同軸状容量結合型物理リングを備えることができ、このような物理リングのいくつかまたはすべては長手方向の細長い孔を備えていてもよい。また、このような物理リングは、例えば、中心箔、容量性シールド、および容量帯の一部によって形成することができる。また、導電性リングは、DC電流にリング状の経路を提供する単一の一体構造の物理リングを含むこともできる。長手方向導体が2つの導電性リングを電気的に結合するという記述は、長手方向導体が2つのリング間を流れるRF電流に電流経路を提供することを意味すると理解される。このような長手方向導体は、(DCおよびRF電流経路の両方を提供する)リングの一方または両方に物理的(抵抗的)に接続することができるか、リングの一方または両方に容量的に結合することができる。
以下の説明は、本発明の実施形態を例として説明するものであって、必ずしも限定するものではない。
図1は本発明のいくつかの実施形態に係る例示的な核磁気共鳴(NMR)分光計12を示す模式図である。分光計12は、磁石16と、磁石16の筒状孔に挿入されたNMRプローブ20と、磁石16およびプローブ20に電気的に接続された制御/取得システム(コンソール)18とを備えている。プローブ20は、入れ子状の無線周波数(RF)コイル24a,24bおよび関連する電気回路部品を含む。いくつかの実施形態では、コイル24a,24bの一方はプロトンコイルであり、他方はXコイルである。また、いくつかの実施形態では、プローブ20は単一のRFコイルを備えていてもよい。対象NMRサンプルの測定が実施されている間に、当該サンプルをコイル24a,24b内に保持するために、サンプル容器22がプローブ20内に配置されている。サンプル容器22はサンプルチューブまたはフローセルとすることができる。一組のシムコイル30がコイル24a,24bを横方向に取り囲んでいる。
測定を実施するには、サンプルをコイル24a,24b内に画定された測定空間に挿入し、磁石16がサンプル容器22内に保持されたサンプルに静磁場Bを印加する。そして、シムコイル30を使用して、静磁場Bの空間的不均一性を修正する。制御/取得システム18は、所望の無線周波数パルスをプローブ20に印加して、プローブ20内のサンプルの核磁気共鳴特性を示すデータを取得するように構成された電子部品を備えている。コイル24a,24bを使用して、無線周波数磁場Bをサンプルに印加し、かつ/または印加された磁場に対するサンプルの反応を測定する。RF磁場は静磁場に対して垂直である。同一のコイルを、RF磁場を印加するためと、印加された磁場に対するサンプル反応を測定するためとの両方に用いてもよい。あるいは、1つのコイルをRF磁場を印加するために使用し、別のコイルを印加された磁場に対するサンプルの反応を測定するために使用してもよい。
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る、支持/遮蔽組立体(アセンブリ)44と、支持/遮蔽組立体44に装着されたアーチ状鞍(サドル)形RFコイル24とを含む無線周波数(RF)NMRコイル組立体40の等角図を示している。図2Aの例では、RFコイル24は2回巻きコイルである。
RFコイル24は、2つの反対側の側面(図2Aにおける前後)のそれぞれに、横方向に対向するコイルウィンドウ46を包囲する2つの同軸状ループ52a,52bを備えている。電流はループ52a,52bを通って同一方向(時計回りまたは反時計回り)に流れるため、2つのループによって発生したRF磁場は互いに補強し合う。コイル24により発生したRF磁場の方向は一般に、図2Aにおける紙面に入る方向/紙面から出る方向である。各ループ52a,52bは、一直線状の長手方向導体80a,80bと、導体80a,80bの間に横方向接続を提供する長手(縦)方向に離間した対向接続アーチ82a,82bとを備えている。長手方向導体80a,80bは、サンプル測定空間に沿って延びている一方、アーチ82a,82bは、組立体40の遮蔽された長手方向部分に沿って位置している。各アーチ82a,82bは支持組立体44の筒状外側面をたどり、それに沿って方位角方向に湾曲している。
図2Bは、支持/遮蔽組立体44の等角図を示している。組立体44は略長手方向の筒状絶縁コイル支持部50と、コイル支持部50の内側側面に沿って配設された一対の導電性シールド60a,60bとを備えている。シールド60a,60bは、対象サンプルを収容する測定空間64の長手方向両側に配設された、長手方向の細長い孔を有する筒状導体によって形成されている。各シールド60a,60bの中心軸は組立体44の長手方向中心軸と整合している。対象NMRサンプルを測定空間64内に配置するために、サンプルを収容するサンプル容器(サンプルチューブおよび/またはフローセル)を、支持組立体44によって画定される縦孔48を通じて、順次、挿入して取り出す。シールド60a,60bは、コイル導線や他の導電性構造からのRFピックアップによるNMRサンプルの寄生励起を減少させ、好ましくない外部電場からNMRサンプルを遮蔽するよう作用する。また、シールド60a,60bは、測定空間64内の静磁場をアーチ82a,82bを貫ぬいて流れる電流の影響から遮蔽する。また、追加分布キャパシタンスをコイル組立体40に提供してもよい。
コイル支持部50は2つの長手方向に離間した剛性支持リング58a,58bと、支持リング58a,58bの間に延びている筒状チューブ54と、チューブ54の外面に隣接し、チューブ54の互いに反対側の側面で支持リング58a,58bの間に延びている一対の長手方向筒状導体スぺーサロッド62a,62bとを有する。コイル24はロッド62a,62bに取り付けられている。ロッド62a,62bはコイル24をチューブ54の表面から離して持ち上げている。
組立体44の種々部品の材質および寸法は、所望のNMR用途および/またはシステムと適合するよう選択してもよい。いくつかの実施形態では、RFコイル24は磁化率を補償された単一の薄い導電性箔である。箔は、材料の1つまたは複数の層を含んでいてもよく、主表面(平面)に沿って一体的(モノリシック)である。また、いくつかの実施形態では、RFコイル24は磁化率を補償されたPd−CuまたはAl−Cu−Al箔から形成され、シールド60a,60bは磁化率を補償されたパラジウムメッキを施した銅製であってもよい。反対符号の磁化率を有する他の材質を使用して、空気または真空の磁化率と同等の磁化率を生じさせることもできる。例えば、ロジウム、白金、銅、およびこれら材料の積層をRFコイル24および/またはシールド60a,60bに使用してもよい。支持リング58a,58bは、PCTFE(商標名Kel−F(登録商標)で知られているポリクロロトリフルオロエチレン)などの剛性ポリマー製であってもよい。いくつかの実施形態では、チューブ54はサファイアまたは石英からなり、ロッド62a,62bはガラスからなる。RFコイル24は、ミル(ミリインチ、すなわち約2.5×10−5メートル)の桁、例えば、約1ミルの厚さを有する導電性シートから形成してもよい。RFコイル24の導体幅は、ミリメートルの桁、例えば約1ミリメートルでもよい。チューブ54は、センチメートルの桁、例えば、約1センチメートルの直径と、センチメートルないし数十センチメートルの桁、例えば、約10センチメートルの長手方向長さとを有していてもよい。ロッド62a,62bは、ミリメートルの桁、例えば、約1ミリメートルの直径を有していてもよい。コイル24の長手方向長さは、センチメートルないし数十センチメートルの桁、例えば、約10センチメートルであってもよい。他方、各アーチ82a,82bの長手方向長さは、センチメートルの桁、例えば、約1〜2センチメートルであってもよい。
図3は、本発明のいくつかの実施形態に係る、縦(長手)軸の回りに巻いたコイル24(図2A)を作製するために使用されるパターン化された箔を示している。パターン化された箔は、2つの2回巻きループ86,86’を有し、それぞれがコイル24の一方の側面(図2Aにおける前/後)に対応している。ループ86は、直線状(まっすぐな)長手方向導体80a,80bと、導体80aと導体80bとを接続する対向相互接続アーチ82a,82bとを備えている。長手方向外部接続リード88が導体80bに沿って後方へ曲がり、コイル24の2つの外部端子の1つとして作用する。一組の一時的安定化ブリッジ90a,90bが、アーチ82a,82bの先端部でループ86aの外側および内側導体をそれぞれ相互接続している。ブリッジ90a,90bはコイル24のパターン成形中に画定され、コイル24を支持組立体44(図2B)に装着した後、取り除かれる。
いくつかの実施形態では、コイル24は磁化率を補償された平面状のAl−Cu−Alの3層箔をパターン成形することで作製される。パターン化された平面状箔は縦軸の回りに巻かれてコイル24を形成し、支持組立体(図2B)に装着される。その後、一時的安定化ブリッジ90a,90b(図3)は取り除かれる。
図4A〜図4Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る3つの例示的なコイルのアーチ形状を示している。アーチ状コイル124,224,324は、直線状の長手方向導体180,280,380と、対応するアーチ182,282,382とをそれぞれ備えている。長手方向導体180は対応する測定空間に沿って延びている一方、アーチ182,282,382は対応する遮蔽部分に沿って延びている。測定空間と遮蔽領域との境界面が、図4A〜図4Cにおいて160,260および360で模式的にそれぞれ示されている。図示されているように、コイル124,224,324は境界面160,260,360に沿って、それぞれまっすぐである。アーチ124は円状湾曲を有し、アーチ224は楕円状湾曲を有し、アーチ324は鋭角の頂部を有するゴシックアーチである。一般に、図4Bに示すような平らな設計は、コイルの横方向部分を遮蔽/測定空間境界に比較的接近させるか、また、横方向部分が当該境界からさらに離れていれば、遮蔽領域に沿ったコイル導体が比較的長くなる可能性がある。図4Cに示すような鋭い形状の設計は、遮蔽領域に沿って比較的少ない追加コイル長を導入しつつ、横方向導体を当該境界から離すことができる。
上記例示的なアーチ状RFコイル設計は、NMR用RFコイル設計者が一般的に考慮する一連の複雑かつ競合することが多い制約の状況においても、改良されたシム調整性能を達成することができる。理想的には、NMR用RFコイルは、高い品質係数(Q)と、対象原子核の共鳴周波数よりはるかに高い自己共鳴周波数(SRF)とを有し、シム調整しやすいために、対象サンプルの線形ができるだけ狭くなる。太い導体(例えば、ワイヤ)をコイルに使用すれば、高いQ値が得られるかもしれないが、シム調整が難しくなる可能性がある。シム調整は、磁化率を補償された薄い箔からコイルを形成することで、そして、さらに、コイルのシム調整が特に難しい部分をサンプルから遮蔽するシールドを使用することで、容易になる。このようなシールドは一般に追加キャパシタンスをサンプルに導入してしまい、コイルのSRFを低くし、コイルのQに悪影響を及ぼす。コイルのSRFはまた、コイル導体の付加的長さを導入することによっても低くなる可能性があり、コイルのインダクタンスおよびキャパシタンスを増加させる。
横方向導体は一般に、平滑な直線状長手方向導体よりもシム調整と磁場均一性とに著しく大きな影響を与えることが認められている。詳細には、筒状シールドによってサンプルから分離された横方向導体であってもシム調整に影響を及ぼす可能性がある。実際上、横方向導体によって発生した磁場に対する摂動は離れて感知することができる。シールドによって遮蔽されたサンプル領域は、ほとんど、またはまったく線幅拡大を引き起こさない一方、横方向導体が十分近接している場合、コイルウィンドウのすぐ内側のサンプル領域(シールドの縁付近)は著しい磁場摂動を受けやすく、結果として、シム調整が困難であろう広い線形になる。上記のようなアーチ状のコイル形状は、コイルの横向き部分を遮蔽/測定空間境界から離して位置させることができ、コイル導体は、コイル長ひいてはコイルの遮蔽部分によって導入される追加インダクタンスおよびキャパシタンスを過度に増加させることなく、実質的にまっすぐで長手方向である。コイルキャパシタンスは、上述したように、長手方向ロッド上にコイルを持ち上げ、誘電支持部からコイルを分離することによって、さらに減少する。一般に、サファイアは空気/真空よりも非常に大きな(例えば、約1桁大きい)誘電率を有するため、コイルとサファイアコイルの支持チューブとの間の小さな間隙でも、シールドとコイルとの間のキャパシタンスを実質的に減少させることができる。
シム調整についての配慮は、入れ子式コイルを用いるシステム、例えば、2重コイルシステム、2重広帯域システムおよび切替可能プローブシステムなどにおいては、特に複雑となることがある。このようなシステムでは、外部コイル信号の線形が内部コイルの存在で著しく悪化する可能性がある。入れ子式コイルを用いるシステムでは、上記の例示的アーチ状コイルの設計は、内部コイルとしての使用にとりわけ有用かもしれない。それにもかかわらず、このようなアーチ状のコイル設計は、入れ子式コイルシステムにおける外部コイルにも使用してもよい。
上記実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な方法で変更することができる。例えば、RFコイルは箔ではなくワイヤを備えていてもよく、このようなワイヤは磁化率を補償されていてもよい。いくつかの実施形態では、特に、強化された振動抑制/制御が好ましい場合、多数の持上げ/支持ロッドを使用してもよい。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって決定されるべきである。

Claims (15)

  1. サンプル容器に保持されたサンプルに静磁場を印加するための磁石と、
    前記磁石に結合され、前記静磁場の空間的不均一性を減少させるためのシムコイルと、
    前記磁石に結合され、前記サンプルに無線周波数磁場を印加するための鞍形核磁気共鳴用無線周波数コイルであって、当該無線周波数コイルは一対の対向する横向きコイルウィンドウを画定し、各コイルウィンドウは各コイルウィンドウの長手方向両端に一対の対向するアーチを含む無線周波数コイルとを備えている、核磁気共鳴装置。
  2. 測定空間の長手方向両側に位置する一対のシールドをさらに備え、前記一対のアーチの各々は前記一対のシールドのうち対応するシールドに沿って位置している、請求項1に記載の装置。
  3. 前記無線周波数コイルは、前記対応する一対のシールドと前記測定空間との間の一対の境界に沿って実質的にまっすぐな長手方向電流経路を画定している、請求項2に記載の装置。
  4. 円筒の周囲に沿って離間した複数のコイル支持ロッドを有する無線周波数コイル支持部をさらに備えた、請求項1に記載の装置。
  5. 前記アーチの各々は鋭角の頂部を有する、請求項1に記載の装置。
  6. 前記無線周波数コイルは、長手方向に一体構造のパターン化された単一の箔から形成されている、請求項1に記載の装置。
  7. 前記無線周波数コイルは少なくとも2回巻かれている、請求項1に記載の装置。
  8. 長手方向両端に一対の対向するアーチをそれぞれ備えた一対の対向する横向きコイルウィンドウを画定し、一組の無線周波数パルスをサンプルに印加するための鞍形核磁気共鳴用無線周波数コイルを採用する工程と、
    前記一組の無線周波数パルスに対する前記サンプルの反応を検出する工程とを含む、核磁気共鳴方法。
  9. 前記サンプルを収容する測定空間の長手方向両側に位置する一対のシールドを使用して前記サンプルを前記アーチから遮蔽する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記無線周波数コイルは、前記対応する一対のシールドと前記測定空間との間の一対の境界に沿って実質的にまっすぐな長手方向電流経路を画定する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記無線周波数コイルは、円筒の周囲に沿って離間した複数のコイル支持ロッドに装着されている、請求項8に記載の方法。
  12. 前記アーチの各々は鋭角の頂部を有する、請求項8に記載の方法。
  13. 前記無線周波数コイルは、長手方向に一体構造のパターン化された単一の箔から形成される、請求項8に記載の方法。
  14. 前記無線周波数コイルは少なくとも2回巻かれている、請求項8に記載の方法。
  15. 前記サンプルに静磁場およびシム調整磁場を印加して、前記静磁場の空間的不均一性を減少させる工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
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