JP2011509966A - 抗菌組成物 - Google Patents

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Abstract

抗菌剤として使用するための単離されたタンパク質は、複数のLRR(ロイシンリッチリピート)ドメインを含み、ここでLRRドメインはそれぞれ独立して、式(I)
(F1LxxLxL(xxZ)F2) (I)
〔式中:F1およびF2は独立して、1〜30残基の近接アミノ酸配列であり;xは任意のアミノ酸であってよく;LはLeu、Ile、ValまたはPheであってよく;ZはNxLまたはCxxLであってよく;NはAsn、Thr、SerまたはCysであり;CはCysまたはSerであり;そしてY=0または1である〕
のアミノ酸配列を含んでなる。

Description

1. 発明の分野
本発明は、抗菌組成物および病原菌感染を処置または予防する方法に関する。より具体的には、本発明は、細菌感染およびそれに関連した疾患の処置または予防用抗菌医薬組成物に関する。本発明の他の局面、対象および利点は、以下の説明から明らかとなる。
2. 発明の背景
腸膜における腸上皮リング−フェンス(ring-fence)細菌は、宿主自体が合成できない原核生物代謝産物を宿主に回収させ、宿主を感染から保護する。胃腸管の微生物叢にそれらが一定して曝されているため、上皮細胞も多くの病原体が侵入する主要点である。宿主の感染を予防するために、上皮細胞はNod2のような多様なパターン認識受容体(PRR)を発現して、侵入に対する防御の第一線を提供する。PRRは生来の免疫系の必須成分である。それらは細菌、卵菌、線虫、糸状菌、ウイルスおよび昆虫において見出される保存されたモチーフを認識して、宿主において侵襲微生物に対する規則的かつ標的特異的な速やかな応答を惹起する(Ting JPY and Davis BK, 2005)。
Nod、Nalpおよび植物Rタンパク質ファミリーを含む多くのPRRの共通の要素は、ロイシンリッチリピート(LRR)ドメインである。保存されたロイシンリッチリピートはLRRドメインの特徴的な馬蹄形の構造足場を提供し、PRR隣接領域は共通の微生物モチーフの認識を与える多様なポリペプチドセグメントである(Matsushima N. et al., 2005)。LRRドメインは植物からヒトまでのPRRにおいて見出され、病原体に対する宿主の抵抗に必須である。特定のLRR含有タンパク質の欠失または自然発生的突然変異は、感染に対する易罹患性を宿主に与える(Dangl JL and Jones JDG, 2001)。無顎類魚は、個々のLRRペプチド配列の組換えに基づく新規な適応免疫系の開発のための足場としてのLRRドメインを利用している(Pancer Z et al., 2004, Alder MN et al., 2005, Nagawa F et al., 2007)。
ヒトにおける遺伝子研究によって、感染性または炎症性起源の疾患を含む多様な疾患に対する易罹患性に関連している、多くのLRRにおける一塩基多型(SNP)が同定されている(Matsushima N., et al, 2005)。Nod2はおそらく、疾患関連LRR含有タンパク質の最も広範に研究されているものである。それはクローン病に対する易罹患性を与え、その疾患との関連は多くの独立した研究において確認されている(Hugot JP et al., 2001, Ogura Y et al., 2001, Hampe J et al., 2007, Libioulle C et al., 2007, Raelson JV et al., 2007, The Wellcome Trust Case Control Consortium, 2007)。LRRドメインにおけるNod2突然変異はクローン病に対する易罹患性を与えるが、Nod2の隣接NACHTドメインにおける特定の突然変異は、ブラウ症候群(早期発症型肉芽腫関節炎、ブドウ膜炎および屈指症を有する皮疹によって特徴付けられる、稀な常染色体優性障害)の遺伝的原因である(Miceli-Richard C et al., 2001)。これはNod2 LRRドメインの特定の分子機能が腸疾患に対する易罹患性を与えることを示唆している。
Nod2にまつわるほとんどの研究は、推定リガンドに応答するシグナル伝達経路の活性化に集中している。クローン病に最も共通して関連している3つのNod2 SNPは、全てMDP(細菌プロテオグリカンコートの成分)に対するそれらの応答の欠損であり、NFkB転位およびサイトカイン類生産の欠如を示す(Barnich N et al., 2005)。逆に、クローン病は上昇したNFkB依存的サイトカイン類生産によって特徴付けられる。クローン病関連Nod2 SNPは機能変異の獲得であるか喪失であるかについての議論は進行中である(Watanabe T et al., 2004, Kobayashi KS et al., 2005, Maeda S, 2005)。
細菌による感染に対して宿主を保護するNod2の役割も、Nod2ノックアウトマウス株を用いた研究において注目されている(Kobayashi KS et al., 2005)。Nod2ノックアウトは、リステリア菌による経口(全身性ではなく)感染により易罹患性であった。クローン病患者は、それらの細胞内および上皮関連細菌の実質的な増加を示すことが報告されているため(Swidsinski A et al., 2002, Darfeuille-Michaud A, 2002, Liu Y et al., 1995)、これは重要な観察である。細胞の細菌感染の防止におけるNod2の役割を示唆する報告も存在する(Hisamatsu T et al., 2003)。これらの研究は、クローン病関連Nod2 3020insCタンパク質の欠損が細胞内細菌に対する防御因子として機能することを示した。同じグループによる追跡試験は、サルモネラ菌感染に対するNod2依存的保護がミトコンドリアタンパク質grim19に依存していることを示した(Barnich N et al., 2005)。Nodファミリーの他のメンバー(Nod1)も細胞内細菌に対する保護機能を示している(Zilbauer M et al., 2007, Travassos LH et al., 2005)。Nod2とは逆に、Nod1はgrim19と関連しておらず(Barnich N et al., 2005)、このことはNodタンパク質が細菌による感染を防止するメカニズムについて、決定すべきことが残っていることを示唆している。
本願が優先権を主張するいずれかの明細書を含む、本明細書に記載した全ての文献は、明示的かつ全体について、ここに参照により本明細書の一部とする。
3. 発明の概要
本発明は、少なくとも一部において、ロイシンリッチリピート(LRR)モチーフを含むタンパク質が直接的抗菌活性を有するという発見に基づく。
本発明の一つの局面において、式(I):
(F1LxxLxLxxZF2) (I)
〔式中、
F1およびF2は独立して、1〜30残基の近接アミノ酸配列であり;
xは任意のアミノ酸であってよく;
LはLeu、Ile、ValまたはPheであってよく;
ZはNxLまたはCxxLであってよく;
NはAsn、Thr、SerまたはCysであり;
CはCysまたはSerである〕
のLRRを含む(または本質的にそれからなるか、あるいはそれからなる)単離されたタンパク質を提供する。
本発明の別の局面において、タンデムで2個またはそれ以上(例えば2〜15個)の式(I)のLRRを含む(または本質的にそれからなるか、あるいはそれからなる)単離されたタンパク質を提供する。
本発明の別の局面において、2個またはそれ以上(例えば2〜15個)の、天然に生じるLRR含有タンパク質由来の式(I)のLRR(例えばタンデムで)を含む(または本質的にそれからなるか、あるいはそれからなる)単離されたタンパク質を提供する。
本発明の別の局面において、ヌクレオチド結合部位(NBS)−LRR、例えばNOD−LRR(例えばNOD2−LRRまたはNOD1−LRR、特にヒトNOD2−LRRまたはヒトNOD1−LRR)を含む(または本質的にそれからなるか、あるいはそれからなる)単離されたタンパク質を提供する。他の局面において、CIITA−LRR、Toll受容体−LRR(例えばTLR2,4,5,7,8,9−LRRドメイン)、NAIP−LRRを含む(または本質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなる)単離されたタンパク質を提供する。
本発明の一つの態様において、ヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン(NOD)、アミノ末端エフェクタードメインおよびカルボキシル末端ロイシンリッチリピート(LRR)ドメインを含む(または本質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなる)単離されたタンパク質を提供する。
本発明の別の局面において、NODドメイン、アミノ末端デスフォールドドメイン(例えばCARD、Pyrin、デスドメインまたはデスエフェクタードメイン)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む(または本質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなる)単離されたタンパク質を(例えばその単独の有効成分として)含んでなる、組成物(特に抗菌活性を有する医薬組成物)を提供する。
本発明の別の局面において、NODドメイン、アミノ末端カスパーゼ採用ドメイン(CARD)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む(または本質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなる)単離されたタンパク質を提供する。
本発明の別の局面において、NODドメイン、アミノ末端CARDドメインおよびカルボキシル末端LRRドメインを含むかあるいは本質的にそれらからなる単離されたタンパク質を(例えばその単独の有効成分として)含んでなる組成物を提供する。
本発明のさらに別の局面において、単離されたNODタンパク質、特にNOD1および/またはNOD2、よりとりわけヒトNOD1および/またはヒトNOD2を(例えばその単独の有効成分として)含む組成物、特に医薬組成物を提供する。
本発明のさらに別の局面において、単離されたTLRタンパク質、特に哺乳類TLRタンパク質、よりとりわけヒトTLRタンパク質、例えばヒトTLR2および/またはヒトTLR4および/またはヒトTLR5を(例えばその単独の有効成分として)含む組成物、特に医薬組成物(例えば殺菌医薬組成物)を提供する。
別の局面において、単離されたNOD2タンパク質(特にヒトNOD2)を(例えばその単独の有効成分として)含む、抗菌(例えば殺菌)組成物(特に医薬組成物)を提供する。
本発明の別の局面において、例えば単独の有効成分として、NODドメイン、アミノ末端デスフォールドドメイン(例えばCARDドメイン)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む(または本質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなる)単離されたタンパク質と、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の局面において、例えば単独の有効成分として、単離されたNODタンパク質(例えばヒトNOD1またはヒトNOD2)、特に単離されたヒトNOD2と、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物(特に殺菌医薬組成物)を提供する。
本発明の別の局面において、病原体感染(特に細菌感染)を処置または予防する方法であって、NODドメイン、アミノ末端デスフォールドドメイン(例えばCARDドメイン)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む(または本質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなる)単離されたタンパク質を含んでなる組成物を提供することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面において、病原体感染(特に細菌感染)を処置または予防する方法であって、NODドメイン、アミノ末端デスフォールドドメイン(例えばCARDドメイン)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む(または本質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなる)単離されたタンパク質を含んでなる組成物を提供することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面において、病原体感染(特に細菌感染)を処置または予防する方法であって、単離されたNODタンパク質、例えば単離されたヒトNOD1および/またはヒトNOD2を含む組成物を提供することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面において、ヒト患者における病原体感染、特に細菌感染を処置または予防する方法であって、当該患者に治療上有効量の単離されたNODタンパク質、特に単離されたヒトNOD1および/またはヒトNOD2(それを含む医薬組成物)を投与することを含む方法を提供する。
本発明の別の局面において、医薬、特にヒト医薬におけるNODドメイン、アミノ末端デスフォールドドメイン(例えばCARD)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む、単離されたタンパク質の使用を提供する。
本発明の別の局面において、病原体感染、特に細菌感染、より特にグラム陽性菌感染の処置用医薬の製造における、NODドメイン、アミノ末端デスフォールドドメイン(例えばCARD)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む単離されたタンパク質(例えば単離されたヒトNOD2)の使用を提供する。
本発明の別の局面において、クローン病、炎症性腸疾患、敗血症の処置用医薬の製造における、NODドメイン、アミノ末端デスフォールドドメイン(例えばCARD)およびカルボキシル末端LRRドメインを含む単離されたタンパク質の使用を提供する。
本発明の別の局面において、クローン病、炎症性腸疾患の処置用医薬の製造における、単離されたNODタンパク質(例えばヒトNOD1またはヒトNOD2)の使用を提供する。
本発明の別の局面において、例えば単独の有効成分として、LRRドメインを含む(または本質的にそれからなるか、あるいはそれからなる)タンパク質と、薬学的に許容される担体を含む殺菌医薬組成物を提供する。一つの態様において、LRRドメインはヒトNOD1−LRRまたはヒトNOD2−LRRのようなヒトNOD−LRRである。他の態様において、LRRドメインはTLR−LRRドメイン、例えばヒトTLR−LRR、例えばTLR2−LRR、TLR4−LRR、TLR5−LRR、TLR7−LRR、TLR8−LRR、TLR9−LRRである。
細菌、特にグラム陽性菌を殺すための本発明のタンパク質の使用および/またはタンパク質も意図される。
他の態様において、単離された非ヒト哺乳類LRRタンパク質(例えばNODまたはTLRタンパク質)であって、該LRRドメインタンパク質が由来する非ヒト哺乳類における病原菌感染の処置および/または予防に使用するための、タンパク質を提供する。
本発明の別の局面において、殺菌タンパク質を同定する方法であって、細菌、特にヒトのような哺乳類に対する病原菌と単離されたLRRタンパク質を接触させて、当該タンパク質が殺菌活性を示すかどうかを同定することを含む方法を提供する。ある態様において、細菌は好気性であり、他の態様において嫌気性であり、さらに他の態様において、細菌はグラム陽性またはグラム陰性である。
結腸上皮におけるNod2発現の免疫組織化学的決定。パネルA:ラットおよびヒト結腸のホルマリン固定パラフィン包埋切片をアフィニティー精製ウサギ抗Nod2抗体(AB5;左)またはネガティブコントロールとしてウサギIgG(右)で探索した。DAPI染色は紫色で示される。パネルB:ラット結腸をSDS−PAGEサンプルバッファーに直接抽出し、AB5を用いてウェスタンブロットで分析した。約100kDaの1個のタンパク質がNod2と関連して同定された。 SW480腸管上皮細胞の大腸菌とのインキュベーション後のNod2の免疫学的局在決定。SW480細胞を10000:1のMOIで4時間、大腸菌と共にまたは非存在下で、インキュベーションした。細胞を抗Nod2(緑)、ファロイジン(赤)およびDAPI(紫)で固定および染色した。大腸菌とのインキュベーション後に、Nod2は細胞質において細胞質ゾルから点状構造に移動した。 腸管上皮細胞における大腸菌でのNod2の免疫学的局在決定。Caco2腸管上皮細胞のコンフルエントな単層を、10000:1のMOIで2時間、大腸菌と共にインキュベーションした。細胞を抗Nod2(AB5)および抗LPS抗体で免疫染色して固定し、共焦点顕微鏡を用いて分析した 組換えNod2 LRRドメインとのインキュベーション後のインビトロでの大腸菌の凝集。1mlのPBS中の大腸菌(10)を20μg/mlのBSAまたは精製組換えNod2 LRRドメインと共に12時間インキュベーションした。培養物のアリコートをカバーガラス付スライドガラス上に播種し、63倍の対物レンズを用いて光学顕微鏡で分析した。 Nod2発現293細胞の肺炎レンサ球菌感染。クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(対照)、Nod2またはクローン病関連Nod2変異(Nod2−3020insC)を同じ遺伝子座から安定的に発現する293細胞を、10:1のMOIで肺炎レンサ球菌(ATCC 49619)に感染させた。ゲンタマイシン保護細菌をチョコレート寒天上に播種し、各細胞系の細胞内細菌数を観察した。 精製Nod2 LRRドメイン(Nod2:30μg/ml)を200μg/mlの示した細菌成分とプレインキュベーションした後、黄色ブドウ球菌を添加した。BSAをタンパク質対照として加えた。市販のプロテオグリカン抽出物(sPGN:可溶性プロテオグリカン、iPGN:不溶性プロテオグリカン)、リポテイコ酸(LTA:粗リポテイコ酸抽出物、upLTA:超純粋リポテイコ酸抽出物)、または熱殺菌した黄色ブドウ球菌(HKSA)を使用した。対照はBSAのみの存在下での細菌増殖を示す。 Nod2 LRR抗菌剤標的(大腸菌)の精製。大腸菌(ATCC)をLBブロス中で一夜増殖し、ペレット化して、細菌ペレットをフレンチプレスで抽出した。黄色ブドウ球菌(ATCC 29233)に対するNod2 LRRドメイン活性をモニターするため、競合アッセイを実施した。それぞれの段階で、分画の体積は等量までとし、抗菌アッセイにサンプルを加えた。阻害分画は最終的に界面活性剤(NP40)不溶性分画において発見された。この分画をグアニジニウムHClで抽出し、ゲル濾過で分離し、それぞれの分画を回収して、黄色ブドウ球菌に対するNod2 LRR活性の阻害について評価した。分画5(F5)は、プロテイナーゼKに対する感受性によって決定されるとおり、LRR活性を阻害するタンパク質を含んでいた。 Nod2抗菌標的のLRRアフィニティー精製および質量分析による同定。パネルA:図2におけるグアニジニウムHCl抽出界面活性剤不溶性大腸菌分画のゲル濾過に由来する分画5を、Nod2 LRRドメインアフィニティーカラムにロードした。結合タンパク質をNaClグラジエントで溶出した。 パネルB:分画5(F5)のクーマシー染色ゲルの後Nod2 LRRドメインアフィニティー精製、およびアフィニティーカラムから塩溶出分画(E)。 パネルC:パネルBに示す抽出バンドにおけるマススペクトロメータータンパク質同定。 大腸菌由来の野生型および3020insC LRRドメインアフィニティー精製界面活性剤不溶性タンパク質の分離。大腸菌をフレンチプレスで分画し、遠心分離し、ペレットをグアニジニウムHClで抽出した。可溶化ペレットを2つに分け、それぞれの分画をNod2 LRR(WT)またはNod2 3020insC LRR(3020)アフィニティーカラムに分けた。いずれかのカラムに随伴するタンパク質を塩で溶出し、冷アセトンまたはTCA/アセトンで沈殿させ、SDS PAGEゲル電気泳動で分離した。ゲルのそれぞれの領域を選択し、切り取って、タンパク質のマススペクトロメーター同定のために処理した(表4,表5に示すとおり)。 TLR2およびNalp3 LRRドメインは、ATP共役発光アッセイによって示すとおり、リステリア菌生存能を阻害する。リステリア菌(5×10細菌/100μl)を増加濃度の記載した組換えLRRドメインと共に37℃で6時間インキュベーションし、ATPレベルを発光アッセイ(BacTiter-Glo: Promega)で評価した。示した値はLRRドメインの非存在下でインキュベーションした対照(100%)に対する相対値である。結果は、TLR2およびNalp3についての2つの実験の代表である。 精製Nod2 LRRドメインによる殺菌は、クローン病関連Nod2 3020insC変異を担持するタンパク質を欠く。示した結果は複数の実験の全ての代表である。パネルAおよびB:Nod2 LRRドメインは大腸菌(パネルA)および枯草菌(パネルB)の膜極性に影響する。タンパク質を記載の濃度で、100μLの増殖培地中の5×10細菌に加え、37℃で2時間インキュベーションした。タイムコースの終了15分前に、10μg/mlのDiBAC4溶液50μlを各ウェルに加えた。プレートを750μlの氷冷PBS/ウェルで洗浄した。色素を取り込んだ脱分極した細菌の割合を、フローサイトメトリーで決定した。 パネルAおよびB:Nod2 LRRドメインは大腸菌(パネルA)および枯草菌(パネルB)の膜極性に影響する。タンパク質を記載の濃度で、100μLの増殖培地中の5×10細菌に加え、37℃で2時間インキュベーションした。タイムコースの終了の15分前に、10μg/mlのDiBAC4溶液50μlを各ウェルに加えた。プレートを750μlの氷冷PBS/ウェルで洗浄した。色素を取り込んだ脱分極した細菌の割合を、フローサイトメトリーで決定した。 パネルC:枯草菌膜極性は、ある範囲のパターン認識受容体由来のLRRドメインによって影響される。細菌を示したLRRドメインで、パネルAおよびBに記載のとおり処理し、細菌の膜極性に対するそれらの影響を定量した。 パネルD:寒天拡散アッセイによって、Nod1およびNod2の抗菌活性が示されたが、Nod2 3020insC LRRドメインでは示されなかった。寒天プレートに示した細菌叢を播種した。滅菌ガラスピペットで寒天に直径約0.5cmの穴を空け、各ウェルに滅菌PBS中濃度0.5mg/mlで示したタンパク質(BSAタンパク質対照または示したLRRドメイン)または抗生物質(アンピシリンまたはカナマイシン)を加えた。 Nod2 SNP(全長)は、ATP共役発色アッセイで示すとおり、枯草菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌およびフェカリス菌の生存能を阻害する。クローン病関連Nod2 3020insCおよびG908R変異を担持するタンパク質はこの活性を欠く。 ATP共役発色アッセイで示すとおり、黄色ブドウ球菌生存率に対するNod2の効果を、35℃、37℃および39℃の細菌ストレス条件下で試験した。Nod2抗菌活性は細菌ストレスによって上昇した。 上昇した濃度のNod2は、枯草菌(パネルA)および黄色ブドウ球菌(パネルB)の増殖を阻害する。示した値はLRRドメインの非存在下でインキュベーションした対照(100%)に対する相対値である。 上昇した濃度のNod2は、枯草菌(パネルA)および黄色ブドウ球菌(パネルB)の増殖を阻害する。示した値はLRRドメインの非存在下でインキュベーションした対照(100%)に対する相対値である。 NAIPはステノトロホモナス・マルトフィリア(S.maltophilia)の増殖を阻害した(パネルA)。 Nod1は大腸菌増殖を阻害した(パネルB)。 リステリア菌増殖はNod1、Nod2、Nod2 3020insCおよびCIAS1(パネルC)によって阻害された。 Nod2は黄色ブドウ球菌の増殖を阻害した。この阻害はMDP、LPSまたはPGNの共投与によって影響されなかった。
5. 発明の詳細な説明
本発明に従って、抗菌剤として使用するための、複数のLRR(ロイシンリッチリピート)ドメインを含む単離されたタンパク質が提供される。例えば以下に記載のとおり、本発明の使用によって、これらのタンパク質が広範な細菌を、既知の抗生物質と同等の効力で殺すのに有効であることが見出された。
本発明の好ましい態様において、本タンパク質のC末端にLRRが存在する。これは本タンパク質の抗菌活性を上昇することが見出された。
さらに好ましくは、LRRドメインはそれぞれ独立して、式(I):
(F1LxxLxL(xxZ)F2) (I)
〔式中:
F1およびF2は独立して、1〜30残基の近接アミノ酸配列であり;xは任意のアミノ酸であってよく;
xは任意のアミノ酸であってよく;
LはLeu、Ile、ValまたはPheであってよく;
ZはNxLまたはCxxLであってよく;
NはAsn、Thr、SerまたはCysであり;
CはCysまたはSerであり;そして
Y=0または1である〕
のアミノ酸配列を含むかあるいは本質的にそれからなる。
ロイシンリッチリピート(LRR)は、一般に、α/β馬蹄形を形成するタンパク質構造モチーフである。各LRRは典型的には、ロイシン残基に異常に富んだ反復20〜30アミノ酸伸展から成るが、これらは他の疎水性残基で置換されていてもよい。各反復単位は、複数のかかるLRRから成る集合部分が内部平行βシートおよびヘリックスの外部アレイによって馬蹄形または弧形を有するように、β鎖−ターン−αヘリックス構造を有していてよい。βシートの一方の表面およびヘリックスアレイの片側が溶媒に曝されており、従って典型的には、親水性残基によって支配されている。ヘリックスとシート間の構造は、一般に、ロイシン残基で構造的に緊密にパックされている疎水性コアを形成する。本発明の別の態様において、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンまたはシステインのような他の疎水性アミノ酸がロイシンを置換していてもよい。
一般に、本発明のタンパク質において、全てのLRRドメインが1個の連続構造を形成し、弧または馬蹄形を取る。弧または馬蹄形の内側凹面は主として平行β鎖から成り、外側凸面はαヘリックス、310−ヘリックス、ポリプロリンIIヘリックスまたはβターンのタンデム配列のような多数の二次構造を含んでいてよい。本発明の態様において、凹面のβ鎖と凸面の主なヘリックス要素は、短いループまたはβターンで結合されている。
本発明のタンパク質は、抗菌活性を有するのに十分なLRRを含み、そして本発明のタンパク質は、好適には3〜20個のLRRドメインを含む。本発明の特定の態様は、少なくとも3個のLRR、少なくとも5個のLRRまたは少なくとも7個のLRRを含む。本発明の他の態様において、本タンパク質は、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19または少なくとも20個のLRRドメインを含んでいてよい。
本発明の態様を形成するタンパク質群には、高い割合でロイシン残基が存在する。したがって、各LRR中少なくとも2個のL残基がLeuであり、あるいは各LRR中少なくとも3個のL残基がLeuである。ある態様において、実質的に全てのL残基がロイシンである。本発明のタンパク質は、さらに好ましくは、水溶性である。
抗菌剤として使用するための本発明のタンパク質の特定のサブクラスは、5個以上のLRR(ロイシンリッチリピート)を含み、ここで前記タンパク質のC末端がLRRドメインであり、LRRドメインがそれぞれ式(I):
(F1LxxLxL(xxZ)F2) (I)
〔式中:
F1およびF2は独立して、1〜30残基の近接アミノ酸配列であり;xは任意のアミノ酸であってよく;
xは任意のアミノ酸であってよく;
LはLeu、Ile、ValまたはPheであってよく;
ZはNxLまたはCxxLであってよく;
NはAsn、Thr、SerまたはCysであり;
CはCysまたはSerであり;そして
Y=0または1である〕
のアミノ酸配列を含む。
タンパク質のこのサブクラスにおいて、各LRRの少なくとも2個のL残基が、好ましくはLeuである。
用語「単離された」は、本明細書において使用するとき、場合によっては、天然に生じるものとは異なる物理的環境に存在する、本発明のタンパク質およびポリヌクレオチドを意味する。例えば、単離されたタンパク質またはポリヌクレオチドは、それが天然に生じる複雑な細胞環境に関して、実質的に単離(例えば精製)されていてよい。しかし、本発明のタンパク質が「単離された」と記載されている場合であっても、これはタンパク質が天然に存在すべきであることを意図していないことに注意する。
用語「由来の」および「由来する」は、その物理的起源に拘わらず、問題となっているタンパク質またはポリヌクレオチドを意味する。したがって、例えば、「天然に生じるLRR含有タンパク質に由来する(例えばタンデムの)式(I)のLRR」は、天然に生じるLRR含有タンパク質において見出されるものと同じ一次アミノ酸配列を有するLRRを意味し、必ずしも天然に生じる源から精製する必要はない。
用語「デスフォールドドメイン」は、プログラムされた細胞死(アポトーシス)において顕著な役割を有する、6個の緊密にパックされたαヘリックスによって特徴付けられるドメイン群を意味する。このファミリーのメンバーは、カスパーゼ採用ドメイン(CARD)、ピリンドメイン(PYD)、デスドメイン(DD)およびデスエフェクタードメイン(DED)を含む。読者は特に、このファミリーに関するさらなる情報のために、Lahm A et al (2003); Cell death and Differentiation, 10, 10-12およびそれに引用している文献を参照されたい。
用語「LRR」または「LRRモチーフ」およびその文法的変形は、式(I)のロイシンリッチリピートを意味する。
用語「LRRドメイン」は、2個以上(約50まで)の、典型的にはタンデムの、LRRを含む(または本質的にそれからなる、あるいはそれからなる)タンパク質ドメインを意味する。
用語「NODタンパク質」は、中心ヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン(NOD)、アミノ末端CARDドメインおよびカルボキシル末端LRRドメインを含むタンパク質を意味する。読者は特に、ヒトNODファミリーのメンバーの詳細(必ずしも網羅的ではないが)については、Inohara N. et al (2005), Annu.Rev.Biochem 74:355-383のページ361、表Iを参照されたい。
接尾語「LRR」は、上記タンパク質の天然に生じるLRRドメインを意味し、したがって「NOD−LRR」は天然に生じるNODファミリーのメンバーにおいて見出されるLRRドメインを意味する。
「LRRタンパク質」は、少なくとも1個のLRRドメインを含むタンパク質を意味する。
「TLR」はtoll様受容体ファミリーを意味する。toll様受容体(TLR)は、微生物に由来する構造的に保存された分子を認識する、シングル膜貫通非触媒受容体のクラスである。Mitchell JA (2007), J Endocrinol 193(3); 323-30を参照されたい(その全内容を参照により本明細書の一部とし、読者は特に参照されたい)。
「タンパク質」はポリペプチドを含む。
「ヒトNOD2」は配列番号1のタンパク質を意味する。
「ヒトNOD1」は配列番号2のタンパク質を意味する。
「ヒトNOD2−LRR」は配列番号3のタンパク質を意味する。
「ヒトNOD1−LRR」は配列番号4のタンパク質を意味する。
「ヒトCIITA−LRR」は配列番号5のタンパク質を意味する。
「ヒトTLR2−LRR」は」は配列番号6のタンパク質を意味する。
「ヒトNalp3−LRR」は配列番号7のタンパク質を意味する。
「抗菌医薬組成物」は、特に対象に投与する前に、抗菌活性を有する医薬組成物を意味する。
5.1 タンパク質
本発明は、少なくとも一部において、(式(I)の)LRRモチーフを含むタンパク質が抗菌(特に殺菌)活性を有するという驚くべき発見に基づく。本発明者らはLRRドメインと他のドメイン(例えばタンパク質のNODファミリーにおいて見られるような)を含む天然に生じるタンパク質が顕著な抗菌活性を有することを示すが、本発明者らはまた、LRRドメインが、それ自体で、抗菌活性を有することも示す。
ある態様において、単離されたタンパク質は、2〜100個、特に2〜50個、例えば2〜45個のタンデムに配置された式(I)のLRRモチーフを含む。
典型的な態様において、LRRモチーフは15〜50残基長、例えば20〜30残基長である。したがって、ある態様において、本単離されたタンパク質は、2〜100個(例えば2〜50個)のタンデムに配置された式(I)のLRRモチーフを含み、ここで各モチーフは15〜50個の連続アミノ酸残基(例えば20〜30残基)から成る。
ある態様において、本タンパク質は人工であり、すなわちそれは天然には見られない配列を有する。これらの態様において、本タンパク質は、中心ヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン(NOD)、カルボキシル末端LRRドメイン(例えば、人工的数のLRRドメインを含み、好ましくはタンデムに配置されている)およびアミノ末端エフェクタードメインを含んでいてもよい。エフェクタードメインは、例えば、病原菌のような標的細胞の殺傷(例えばアポトーシスによる)を促進し得る。かかるエフェクタードメインの例は、デスフォールドドメイン、例えばCARD、Pyrin、デスドメインおよびデスエフェクタードメインである。
本発明の別の局面において、天然に生じるタンパク質に由来するLRRドメインを含む単離されたタンパク質を提供する。本発明のこの局面のある態様において、単離されたタンパク質は、LRRドメインを含む天然に生じるタンパク質である(本明細書において、「LRRタンパク質」と称することもある)。天然に生じるLRRタンパク質は、「RI様」、「CC」、「細菌性」、「SDS22様」、「植物特異的」、「典型的」または「TpLRR」であってよく、Kajava A.V. (1998), J.Mol.Biol. 277, 519-527 および Ohyanagi T et al (1997), FASEB J 11:A949を参照されたい(いずれもそれらの全体において、本明細書の一部とし、読者は特に参照されたい)。かかる天然に生じるタンパク質の例は、動物由来のタンパク質であり、NODファミリーのメンバー、特にヒト(または他の霊長類)NODタンパク質(例えばヒトNOD1またはヒトNOD2)を含む。他のメンバーは、Toll様受容体(TLR)ファミリーを含み、TLR2、4、5、7、8および9、特にそのヒトおよび他の哺乳類オルトログを含む。他のさらなる例は、CIITAおよびNAIPを含むメンバーを含む。
ある態様において、単離されたタンパク質は、配列番号1、2、3または4から成る群から選択される。
本発明の別の局面において、単離されたLRRドメイン、すなわち単離されたLRRドメインから成るタンパク質を提供する。ある態様において、該タンパク質は単離されたLRRドメインであってよい。
本発明の別の局面において、単離LRRタンパク質であって、該LRRが存在タンパク質がN末端ロイシンリッチリピート、1個以上のロイシンリッチリピート、C末端ロイシンリッチリピートおよびαヘリックスを含む連結ペプチドを含む単離されたポリペプチドではない、単離LRRタンパク質を提供する。
5.2 ポリヌクレオチド
本発明の別の局面において、本発明のタンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチド(例えばRNAまたはcDNA)を提供する。かかるポリヌクレオチドは、本発明の単離されたタンパク質の製造方法において、例えば本発明の単離されたタンパク質を含む医薬(例えば医薬組成物)の製造において、使用することができる。他の局面において、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、病原菌のような病原体に対する宿主防御を増強するため、治療的または予防的免疫原性組成物(例えばワクチン、例えばDNAワクチン)の一部として、ベクター、例えばプラスミド、ウイルス、ミニ染色体、トランスポゾン等に組み込んでもよい。
したがって、本発明の一つの局面において、式(I)のLRRを含む(または本質的にそれからなる、あるいはそれからなる)タンパク質をコードするDNA(例えばcDNA)またはRNAのような単離されたポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の局面において、LRRドメインを含むタンパク質をコードするDNA(例えばcDNA)またはRNAのような単離されたポリヌクレオチドを提供する。この局面のある態様において、天然に生じるLRRドメイン、例えばNOD LRRドメイン、特にヒトNOD LRRドメイン、例えば配列番号2または3のタンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の局面において、LRRタンパク質、特に動物由来の天然に生じるLRRタンパク質、例えばNODタンパク質、よりとりわけヒトまたは他の霊長類NODタンパク質をコードするDNA(例えばcDNA)またはRNAのような単離されたポリヌクレオチドを提供する。他の例には、Toll様受容体(TLR)、例えばTLR2、7、8または9およびCIITAまたはNAIPをコードする単離されたポリヌクレオチドが含まれる。
5.3 生産プロセス
本発明のある局面は、単離されたタンパク質および本発明のタンパク質、特にセクション5.1に記載のものを製造する方法に関する。
単離されたタンパク質および本発明のタンパク質は、典型的には、当業者に周知の組換え細胞培養技術を用いて製造する。タンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはタンパク質を単離して、さらなるクローニング(増幅)または発現のための複製ベクター、例えばプラスミドに挿入する。有用な発現系の一つは、特に宿主細胞がCHOまたはNSO(下記参照)である、グルタメートシンセターゼ系(例えばLonza Biologiesによって市販されている)である。ポリヌクレオチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、常套の方法(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)を用いて、容易に単離し、配列決定される。使用することができるベクターは、プラスミド、ウイルス、ファージ、トランスポゾン、ミニ染色体を含み、中でもプラスミドが典型的な態様である。一般に、かかるベクターはさらに、発現を促進するように、本ポリヌクレオチドと作動可能に連結した、シグナル配列、複製起点、1個以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーターおよび転写終止配列を含む。
5.3.1 シグナル配列
本発明のタンパク質は、成熟タンパク質のN末端で特異的な切断部位を有する異種シグナル配列との癒合タンパク質として作成してもよい。シグナル配列は宿主細胞によって認識され、処理される。原核生物宿主細胞について、シグナル配列は、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼまたは熱安定エンテロトキシンIlリーダーであってよい。酵母の分泌のために、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダーまたは酸性ホスファターゼリーダーであってよい(例えば、WO90/13646参照)。哺乳類細胞系において、ウイルス性分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルおよび天然免疫グロブリンシグナル配列が利用可能である。典型的には、シグナル配列はリーディングフレームにおいて、本発明の抗体をコードするDNAとライゲートしている。
5.3.2 複製起点
複製起点は当該技術分野において周知であり、多くのグラム陰性菌にはpBR322が、多くの酵母には2μプラスミドが、そして多くの哺乳類細胞には多様なウイルス起点、例えばSV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPVが好適である。一般に、複製起点成分は哺乳類発現ベクターには必要ではないが、SV40は早期プロモーターを含むため、使用することができる。
5.3.3 選択マーカー
典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクリンに対する抵抗性を与えるか、あるいは(b)栄養要求欠損を補完するか、または複合培地で利用できない栄養素を補給するタンパク質をコードする。選択スキームは、宿主細胞の増殖を停止させることを含んでいてもよい。本発明の治療用抗体をコードする遺伝子でのトランスフェクションに成功した細胞は、例えば選択マーカーによって与えられる薬物耐性のために、生存する。別の例は、形質転換細胞をメトトレキセートの存在下で培養する、いわゆるDHFR選択マーカーである。典型的な態様において、細胞は、目的の外来遺伝子のコピー数を増幅するため、増加量のメトトレキセートの存在下で培養される。CHO細胞は、DHFR選択のために特に有用な細胞系である。さらなる例は、グルタメートシンセターゼ発現系(Lonza Biologies)である。酵母に使用するのに好適な選択遺伝子は、trp1遺伝子である(Stinchcomb et al Nature 282, 38, 1979)参照。
5.3.4 プロモーター
本発明のタンパク質およびポリヌクレオチドを発現するのに好適なプロモーターは、抗体をコードするDNA/ポリヌクレオチドと作動可能に連結している。原核生物宿主のプロモーターは、phoAプロモーター、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファンおよびハイブリッドプロモーター、例えばTacを含む。酵母細胞の発現に好適なプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース六リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼおよびグルコキナーゼを含む。誘導性酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネインおよび窒素代謝またはマルトース/ガラクトース利用に関する酵素を含む。
哺乳類細胞系における発現のためのプロモーターは、ウイルス性プロモーター、例えばポリオーマ、鶏痘およびアデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(特に急性早期遺伝子プロモーター)、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、アクチン、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターおよび早期または後期サルウイルス40を含む。プロモーターの選択は、当然、発現に使用する宿主細胞との好適な適合性に基づく。一つの態様において、したがって、RSVおよび/またはSV40および/またはCMVプロモーター、本発明のDNAコード化軽鎖V領域(VL)、ネオマイシンおよびアンピシリン耐性選択マーカーと共にKC領域を含む第1プラスミドと、RSVまたはSV40プロモーター、本発明のDNAコード化重鎖V領域(VH)、DNAコード化γ1定常領域、DHFRおよびアンピシリン耐性マーカーを含む第2プラスミドを提供する。
5.3.5 エンハンサー要素
例えば高等真核生物における発現に適切であるとき、ベクター内でプロモーター要素と作動可能に連結したエンハンサー要素を用いることができる。好適な哺乳類エンハンサー配列は、グロ便、エラスターゼ、アルブミン、フェトプロテインおよびインスリン由来のエンハンサー要素を含む。あるいは、真核細胞ウイルス、例えばSV40エンハンサー(bp100−270で)、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、ポリオーマ(polyma)エンハンサー、バキュロウイルスエンハンサーまたはマウスlgG2a座(WO04/009823参照)を使用してもよい。エンハンサーは、好ましくはベクター上でプロモーターの上流位置に位置する。
5.3.6 宿主細胞
本発明の単離されたタンパク質をコードするベクターをクローニングまたは発現する好適な宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞または高等真核細胞である。好適な原核細胞は、真正細菌、例えば腸内細菌科、例えばエシェリキア属、例えば大腸菌(例えばATCC 31, 446; 31, 537; 27,325)、エンテロバクター属、エルウィニア属、クラブシエラ・プロテウス、サルモネラ属、例えばサルモネラ・チフィリウム、セラチア属、例えばセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescans)およびシゲラ属、ならびに桿菌、例えば枯草菌およびバチルス・リケニホルミス(DD 266 710参照)、シュードモナス属、例えば緑膿菌およびストレプトマイセス属を含む。酵母宿主細胞として、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、クリベロマイセス属(例えばATCC 16,045; 12,424; 24178; 56,500)、ヤロウイア属(EP402, 226)、ピキア・パストリス(EP183, 070、Peng et al J.Biotechnol. 108 (2004) 185-192も参照)、カンジダ属、トリコデルマ・リーゼイ(Thchoderma reesia)(EP244, 234J、ペニシリウム属、トリポクラジウム属およびアスペルギルス属宿主、例えばアスペルギルス・ニデュランスおよびアスペルギルス・ニガーも意図される。
本発明の宿主細胞は、高等真核細胞であってもよい。好適な高等真核宿主細胞は、哺乳類細胞、例えばCOS−1(ATCC No.CRL 1650)、COS−7(ATCC CRL 1651)、ヒト胚腎臓系293、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)(ATCC CRL.1632)、BHK570(ATCC NO: CRL 10314)、293(ATCC NO.CRL 1573)、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO(例えばCHO−K1、ATCC NO: CCL 61、DHFR−CHO細胞系、例えばDG44(Urlaub et al,(1986) Somatic Cell Mol.Genet.12, 555-556参照))、特に懸濁培養に適合するCHO細胞系、マウスセルトリ細胞、サル腎臓細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(ATCC CRL-1587)、HELA細胞、イヌ腎臓細胞(ATCC CCL 34)、ヒト肺細胞(ATCC CCL 75)、Hep G2および骨髄腫またはリンパ腫細胞、例えばNSO(US 5,807,715参照)、Sp2/0、YOを含む。したがって、本発明の一つの態様において、2個以上の式(I)のLRR、LRRドメインまたはLRRタンパク質を含む単離されたタンパク質をコードするベクターを含む、安定にトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
5.3.7 細菌発酵
細菌系を用いて、本発明のタンパク質を製造することができる。典型的にはそれらは、不溶性ペリプラズムタンパク質として製造され、当業者に既知の方法に従って抽出し、再フォールドによって活性なタンパク質を形成することができる(Sanchez et al (1999) J.Biotechnol. 72, 13-20 and Cupit PM et al (1999) Lett Appl Microbiol, 29, 273-277参照)。
5.3.8 細胞培養方法
本発明のタンパク質またはその抗原結合フラグメントをコードするベクターでトランスフェクトした宿主細胞は、当業者に既知のいずれかの方法で培養することができる。宿主細胞は、スピナーフラスコ、ローラーボトルまたはホローファイバー系で培養することができるが、大規模生産のためには、特に懸濁培養のために、撹拌タンクリアクターを用いるものが好ましい。好ましくは、撹拌タンカーは、例えばスパージャ、バッフルまたは低剪断羽根車を用いたエアレーションに適合する。バブルカラムおよびエアーリフトリアクターについて、空気または酸素バブルによる直接エアレーションを用いてもよい。宿主細胞を無血清培養培地で培養するとき、エアレーションプロセスの結果としての細胞損傷を防止するのを補助するため、プルロニックF−68のような細胞保護剤を培地に補うことが好ましい。宿主細胞の特性に依存して、アンカレッジ依存細胞系のための増殖基質としてマイクロキャリアを用いるか、あるいは細胞を懸濁培養に適合させてもよい(これが典型的である)。宿主細胞、特に無脊椎動物宿主細胞の培養は、流加培養法、反復回分培養(Drapeau et al (1994) cytotechnology 15: 103-109参照)、拡張型回分培養または灌流培養のような多様な操作モデルを利用することができる。組換え形質転換哺乳類宿主細胞は、胎児ウシ血清(FCS)のような血清含有培地で培養でき、かかる宿主細胞は、例えばKeen et al (1995) Cytotechnology 17:153-163に記載されているような合成無血清培地、またはProCHO-CDM または UltraCHO(TM) (Cambrex NJ, USA)のような商業的に入手可能な培地で、必要であればグルコースのようなエネルギー源および組換えインスリンのような合成増殖因子を補って、培養することが好ましい。宿主細胞の無血清培養には、これらの細胞が無血清条件での増殖に適合する必要があり得る。適合アプローチの一つは、かかる宿主細胞を血清含有培地で培養し、80%の培養培地を無血清培地に繰り返し交換して、宿主細胞に無血清条件への適合を学習させることである(例えば、Scharfenberg K et al (1995) in Animal Cell technology: Developments towards the 21st century (Beuvery E.G. et al eds), pp619-623, Kluwer Academic publishers参照)。
培地中に分泌される本発明のタンパク質は、意図する使用に適した純度を得るための多様な技術を用いて、回収し、精製することができる。例えば、ヒト患者の処置のための本発明の治療用タンパク質の使用は、典型的には少なくとも純度95%、より典型的には98%または99%またはそれ以上の純度が必要とされる(粗培養培地と比較して)。最初の例では、培養培地由来の細胞片は、典型的には遠心分離、次いで例えばマイクロフィルトレーション、ウルトラフィルトレーションおよび/またはデプスフィルトレーションを用いた上清の清澄工程を用いて、除去される。透析およびゲル電気泳動のような多様な他の技術、ならびにヒドロキシアパタイト(HA)、アフィニティークロマトグラフィー(所望によりポリヒスチジンのようなアフィニティータグシステムを含む)および/または疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC、US 5, 429,746参照)のようなクロマトグラフィー技術が利用可能である。典型的には、多様なウイルス除去工程も使用する(例えばDV−20フィルターを用いた例えばナノフィルトレーション)。これらの多様な工程の後、少なくとも35mg/ml以上、例えば100mg/ml以上の本発明の単離されたタンパク質を含む精製調製物が得られ、したがって本発明の態様を形成する。好適には、かかる製造は実質的に、本発明のタンパク質の凝集形態を含まない。
5.4. 医薬組成物
ある態様において、本発明の単離されたタンパク質またはポリヌクレオチドは、病原菌感染の処置および/または予防のための医薬組成物中に含める。ある態様において、医薬組成物は、ヒトに対する病原菌による感染の処置および/または予防用である。他の態様において、医薬組成物は非ヒト動物に対する病原菌感染の処置および/または予防用、例えば獣医的使用のためである。特定の病原菌による感染を処置および/または予防する態様は、以下により詳細に記載している。読者はセクション3、セクション5.1およびセクション5.2に記載の局面または態様のそれぞれおよび全てのタンパク質またはポリヌクレオチドが、特異的に、そして個々に、医薬組成物に含まれることを意図していると想定することができる。
一般に、本発明の医薬組成物は、治療上有効量(例えば単位投与量中)の本発明の単離されたタンパク質と、許容されている薬務によって知られており、要求される薬学的に許容される担体を含む(または本質的にそれらからなる)。医薬的使用のためのタンパク質の製剤はよく理解されており、読者は特に、Hovgaard L (2000) “Pharmaceutical formulation development of peptides and proteins”, CRC Press, ISBN: 0748407456; Nail S. et al (2002) “Development and manufacture of protein pharmaceuticals”, Springer, ISBN: 0306467453; McNally E.J. (1999) “Protein formulation and delivery (Drugs & the Pharmaceutical Sciences), Marcel Dekker Ltd, ISBN: 0824778839を参照されたい。Oslo et al編、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th ed., 1980, Mack Publishing Co.も参照されたい(その開示を参照により本明細書の一部とする)。本発明の医薬組成物は、処置することが望まれる原因となる疾患または状態に依存して、いずれかの常套または必要な経路による投与に好適となり得る。したがって、ある態様において、治療上有効量の本発明のタンパク質を含む、静脈内投与用医薬組成物を提供する。他の態様において、治療上有効量の本発明のタンパク質を含む、皮下投与に好適な医薬組成物を提供する。
本発明のタンパク質は、所望の純度を有する本発明のタンパク質と生理的に許容される担体、賦形剤または安定化剤を混合して、貯蔵または投与のために製造される。かかる物質は使用する用量および濃度で受容者に非毒性である。本発明のタンパク質が水溶性であるとき、それはリン酸塩または他の有機酸塩のようなバッファー中で、好ましくはpH約7〜8で製剤することができる。タンパク質が部分的にのみ水に溶解性であるとき、溶解度を上昇させるために、それを0.04〜0.05%(w/v)の量のTween、PluronicsまたはPEG、例えばTween 80のような非イオン性界面活性剤と製剤して、ミクロエマルジョンとして製造することができる。
所望により、他の成分、例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、例えばポリアルギニンまたはトリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニン;単糖類、二糖類および他の炭水化物、例えばセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリン;キレート剤、例えばEDTA;および糖アルコール、例えばマンニトールまたはソルビトールを加えてもよい。
治療投与に使用する本発明のタンパク質は、滅菌されていなければならない。滅菌は、滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロン膜)での濾過によって容易に達成される。本発明のタンパク質は、通常、凍結乾燥形態またはそれが熱および酸化的変性に極めて安定であるとき、水溶液として保存する。本発明のタンパク質調製物のpHは典型的には約6〜8であるが、ある例においてはより高いまたはより低いpH値も適切であり得る。特定の上記賦形剤、担体または安定化剤の使用は、本発明のタンパク質の塩の形成をもたらすことがあると理解される。
本発明のタンパク質が非経腸的に使用されるとき、本発明のタンパク質を含む治療用組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば皮下組織注射針によって刺し通すことができるストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に入れる。
一般に、疾患/障害が許容するとき、本発明のタンパク質を部位特異的送達のために製剤し、投与するべきである。これは創傷および潰瘍の場合に便利である。例えば、本発明のタンパク質は、ゲル(例えばヒドロゲル)に含めて、創傷または潰瘍床に投与することができる。
徐放製剤も製造してよく、マイクロカプセル粒子およびインプラント可能な製品の形成を含む。徐放組成物の製造のために、本発明のタンパク質は、好ましくは生分解性マトリックスまたはマイクロカプセルに含める。この目的に好適な物質はポリラクチドであるが、ポリ−(a−ヒドロキシカルボン酸)の他のポリマー、例えばポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988A)を用いることができる。他の生分解性ポリマーは、ポリ(ラクトン)、ポリ(アセタールs)、ポリ(オルトエステル)またはポリ(オルトカルボネート)を含む。ここで最初に考慮することは、担体それ自体またはその分解生成物が標的組織において非毒性であること、そして状態をさらに増悪させないことであるべきである。これは標的障害の動物モデルまたはかかるモデルが入手できないときは正常動物において、日常的なスクリーニングによって決定することができる。多数の科学的刊行物にかかる動物モデルが記載されている。
徐放組成物の例については、米国特許第3,773,919号、EP 58,481A、米国特許第3,887,699号、EP 1 58,277A、カナダ特許第1176565号、U. Sidman et al., Biopolymers 22, 547 [1983]、および R. Langer et al., Chem. Tech. 12, 98 [1982]を参照されたい。
局所適用するとき、本発明のタンパク質は、他の成分、例えば担体および/またはアジュバントと好適に組み合わせる。かかる他の成分について限定はないが、それらは薬学的に許容され、そして意図した投与に有効であり、上記組成物の有効成分の活性を分解しない必要がある。好適なビークルの例は、精製したコラーゲンを含むかまたは含まない、軟膏、クリーム、ゲルまたは懸濁液を含む。組成物はまた、経皮パッチ、プラスターおよびバンデージに、好ましくは液体または半液体形態で、含浸させてもよい。
ゲル製剤を得るために、本発明のタンパク質は、有効量の水溶性ポリサッカリドまたは合成ポリマー、例えばポリエチレングリコールと混合して、局所適用に適した年度のゲルを形成することができる、液体組成物で製剤される。使用することができるポリサッカリドは、例えばセルロース誘導体、例えばエーテル化セルロース誘導体、例えばアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびアルキルヒドロキシアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース;デンプンおよび分画されたデンプン;寒天;アルギン酸およびアルジネート;アラビアゴム;プルラン;アガロース;カラギーナン;デキストラン;デキストリン;フルクタン;イヌリン;マンナン;キシラン;アラビナン;キトサン;グリコーゲン;グルカン;および合成バイオポリマー;ならびにキサンタンゴムのようなゴム;グアーガム;ローカストビーンガム;トラガカントガム;およびカラヤガム;ならびにそれらの誘導体および混合物を含む。本明細書において、好ましいゲル化剤は、生物学的系に不活性であり、非毒性であり、製造が容易であり、低粘度または粘稠すぎず、そしてそれが保持する本発明のタンパク質を不安定化しないものである。
好ましくは、ポリサッカリドはエーテル化セルロース誘導体、より好ましくは十分に定義され、精製され、そしてUSPに列挙されているもの、例えばメチルセルロールおよびヒドロキシアルキルセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。本明細書において最も好ましいものは、メチルセルロースである。
ゲル化に有用なポリエチレングリコールは、典型的には、適切な粘度が得られる低および高分子量ポリエチレングリコールの混合物である。例えば、分子量400〜600のポリエチレングリコールと分子量1500のものとの混合物は、適切な比で混合してペーストを得たとき、この目的に有効である。
用語「水溶性」は、ポリサッカリドおよびポリエチレングリコールに用いるとき、コロイド溶液および分散液を含むことを意味する。一般に、セルロース誘導体の溶解度は、エーテル基の置換度によって決定され、本明細書において有用な安定化誘導体は、セルロース鎖中の無水グルコース当たり、該誘導体を水溶性にするのに十分な量のかかるエーテル基を有するべきである。エーテル置換度少なくとも0.35エーテル基/無水グルコース単位が一般に十分である。さらに、セルロース誘導体はアルカリ金属塩、例えばLi、Na、KまたはCsの塩の形態であってもよい。
メチルセルロースがゲルにおいて使用されるとき、好ましくは、それは約2〜5%、より好ましくは約3%のゲルを含んでおり、そして本発明のタンパク質は、ゲル1ml当たり約300〜1000mgの量で存在している。
使用する用量は、上記要因に依存する。一般的な提案として、本発明のタンパク質は、組織において約0.1ng/cc以上、有効であるが過度の毒性ではない最大用量までのレベルを確立することができる投与量で、製剤され、標的部位または組織に送達される。この組織内濃度は、可能であれば、連続輸液、徐放、局所適用または実験的に決定された頻度での注射によって維持されるべきである。
特に本発明の実施に使用される本発明のタンパク質の臨床的投与に十分適する組成物は、例えば滅菌水溶液または凍結乾燥タンパク質のような滅菌水和粉末を含む。一般に、本製剤中に、一般に製剤を等張にするのに十分な量の、適切な量の薬学的に許容される塩をさらに含めることが望ましい。pH調節剤、例えばアルギニン塩基およびリン酸も、典型的には、適切なpH,一般に5.5〜7.5を維持するのに十分な量で含まれる。さらに、水性製剤の有効期間または安定性の改善のために、グリセロールのようなさらなる薬物を含めることも望まれ得る。このようにして、製剤は非経腸投与、特に静脈内投与に適したものとされる。
本発明の医薬組成物の用量および所望の薬物濃度は、想定される具体的な使用に依存して変化し得て、担当医師/医療関係者の範囲内にある。
したがってある態様において、単離されたNODタンパク質、特に単離されたヒトNODタンパク質、例えばヒトNOD1またはヒトNOD2を(例えば単独の有効成分として)含む抗菌(例えば殺菌)医薬組成物を提供する。
他の態様において、医薬組成物、特に抗菌医薬組成物の製造方法であって、単離されたNODタンパク質、特に単離されたヒトNODタンパク質、例えばヒトNOD1および/またはヒトNOD2を提供することを含む方法を提供する。
したがってある他の態様において、単離されたNOD−LRRドメイン、特に単離されたヒトNOD−LRRドメイン、例えばヒトNOD1−LRRまたはヒトNOD2−LRRを(例えば単独の有効成分として)含む抗菌(例えば殺菌)医薬組成物を提供する。
したがってある他の態様において、単独の有効成分として、単離されたLRRドメイン、例えば単離されたNOD−LRRドメイン、特に単離されたヒトNOD−LRRドメイン、例えばヒトNOD1−LRRまたはヒトNOD2−LRR、あるいは単離されたヒトTLR−LRRドメイン、例えばTLR2−LRR、TLR4−LRR,TLR5−LRR、TLR9−LRRから成るタンパク質を(例えば単独の有効成分として)含む医薬組成物(例えば抗菌、例えば殺菌医薬組成物)を提供する。
他の態様において、医薬組成物、特に抗菌医薬組成物を製造する方法であって、単離されたLRRタンパク質、例えば単離されたヒトLRRタンパク質、例えば単離されたNOD−LRRドメイン、特に単離されたヒトNOD−LRRドメイン、例えばヒトNOD1−LRRおよび/またはヒトNOD2−LRRを提供することを含む方法を提供する。
他の態様において、単離されたTLRタンパク質、例えば単離された哺乳類TLRタンパク質、例えばヒトTLR4、5を(例えば単独の有効成分として)含む抗菌(例えば殺菌)医薬組成物を提供する。
他の態様において、単離されたTLR−LRR、例えば単離された哺乳類TLR−LRR、例えばヒトLTR4−LRR、ヒトTLR5−LRR、ヒトTLR2−LRRを(単独の有効成分として)含む抗菌(例えば殺菌)医薬組成物を提供する。
他の態様において、抗菌(例えば殺菌)医薬組成物を製造する方法であって、単離されたTLR−LRR、例えば単離された哺乳類TLR−LRR、例えばヒトLTR4−LRR、ヒトTLR5−LRR、ヒトTLR2−LRRを(単独の有効成分として)提供することを含む方法を提供する。
5.4.1 他の組成物および製品
ある態様において、それを必要とする表面または製品を消毒するための消毒組成物、例えば水性消毒組成物に含めた有効量の本発明の単離されたタンパク質(例えば上記セクション3および5.1に詳述)を提供する。読者は本明細書のセクション3および5.1に記載の全ての局面および態様が個々に、そして具体的に、このセクションにおける使用を意図すると想定することができる。かかる表面の例は、病室、外科手術表面等のような臨床設備および病原菌への曝露を低減することが望まれる他の表面において通常見出されるものを含む。本発明の消毒組成物は、医療器具、例えばカテーテルまたは手術器具のような消毒製品に、所望により良好な臨床業務に知られており、必要とされる他の滅菌技術と組み合わせて、使用してもよい。本発明のタンパク質はまた、病原菌で汚染された水を消毒するために使用してもよく、そして本発明は、細菌、特にヒトおよび/または他の哺乳類に対する病原菌で汚染された水を消毒する方法であって、当該汚染水と本発明のタンパク質とを混合することを含む方法を含む。
他の態様において、本発明のタンパク質を含む(または本質的にそれからなる)創傷包帯および/または包帯も提供する。
5.5 病原菌
本発明のある態様において、医薬組成物のような組成物を用いて、病原菌による感染を処置および/または予防することができる。記載のとおり、細菌は、ヒトおよび/または他の哺乳類に病原性であり得る。ある態様において、病原菌はグラム陽性であり、他の態様においてグラム陰性である。別の意図される態様において、病原菌は宿主(例えばヒト)に病原性の嫌気性細菌である。病原菌の例は、以下のものを含む:
アシネトバクター・バウマンニイ(Acinetobacter baumanii)、アクチノバチルス菌種(Actinobacillis spp)、放線菌類、アクチノマイセス属(例えばアクチノマイセス・イスラエリイ、アクチノマイセス・ナエスランディイ、アクチノマイセス菌種)、アエロモナス菌種(例えばアエロモナス・ヒドロフィラ、アエロモナス・ソブリア、アエロモナス・キャビエ)、嫌気性球菌、例えばペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococus)、ベイロネラ属、グラム陽性嫌気性桿菌、例えばモビルンカス菌種、プロピオニバクテリウム・アクネス、ラクトバチルス属、ユウバクテリウム属、ビフィズス菌種、グラム陰性嫌気性桿菌、例えばバクテロイデス属、プレボテラ菌種、ポルフィノモラス菌種、フソバクテリウム菌種、バチルス菌種(例えばバチルス・アントラシス、バチルス・セレウス、バチルス・スブチリス、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearthermophilus))、バクテロイデス菌種(例えばバクテロイデス・フラジリス)、ボルデテラ菌種(例えばボルデテラ・パータシス、ボルデテラ・パラパータシス、ボルデテラ・ブロンキセプチカ)、ボレリア菌種(例えばボレリア・レカレンティス、ボレリア・ブルグドルフェリ)、ブルセラ菌種(例えばブルセラ・アボルタス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melintensis)、ブルセラ・スイス) バークホルデリア菌種(例えばバークホルデリア・シュードマレイ、バークホルデリア・セパシア)、カンピロバクター菌種(例えばカンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、カンピロバクター・ラリ、カンピロバクター・フィタス)、シトロバクター菌種(例えばシトロバクター・フロインデイ、シトロバクター・コセリ(Citrobacter diversus))、クロストリジウム菌種(例えばクロストリジウム・ハーフリンゲンス、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ボツリヌム)、コリネバクテリウム菌種(例えばコリネバクテリウム・ジフテリエ、コリネバクテリウム・ジェイケウム(Corynebacterium jeikeum)、コリネバクテリウム・ウレアリティカム)、エドワージエラ・タルダ、エンテロバクター菌種(例えばエンテロバクター・アエロゲネス、エンテロバクター・アグロメランス、エンテロバクター・クロアカエ)、大腸菌(例えば毒素原性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管出血性大腸菌、尿路病原性大腸菌)、クレブシエラ菌種(例えばクレブシエラ・ニューモニエ、クレブシエラ・オキシトカ)、モルガネラ・モルガニー、プロテウス菌種(例えばプロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス)、プロビデンシア菌種(例えばプロビデンシア・アルカリファシエンス、プロビデンシア・レットゲリ、プロビデンシア・スチュアーティイ)、サルモネラ・エンテリカ(例えばチフス菌、パラチフス菌、腸炎菌、ブタコレラ菌、ネズミチフス菌)、セラチア菌種(セラチア・マルセセンス、セラチア・リクファシエンス)、シゲラ菌種(例えば志賀赤痢菌、シゲラ・フレックスネリ、シゲラ・ボイディ、シゲラ・ソネイ)、エルシニア菌種(例えばエルシニア・エンテロコリチカ、エルシニア・ペスチス、エルシニア・シュードツベルクロシス)、エンテロコッカス菌種(例えばエンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム)、エリジペロトリックス・ルジオパシアエ、フランシセラ・ツラレンシス、ヘモフィルス菌種(ヘモフィルス・インフルエンザエ、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus dureyi)、ヘモフィルス・エジプチウス、ヘモフィルス・パラインフルエンザ、ヘモフィラス・パラヘモリティカス)、ヘリコバクター菌種(例えばヘリコバクター・ピロリ、ヘリコバクター・シネディ、ヘリコバクター・フェネリアエ)、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ・インターロガンス、リステリア・モノサイトゲネス、ミクロコッカス菌種、モラクセラ・カタラーリス、らい菌、結核菌、ノカルジア菌種(例えばノカルジア・アステロイデス、ノカルジア・ブラジリエンシス)、ナイセリア菌種(例えば淋菌、髄膜炎菌)、パスツレラ・マルトシダ、プレジオモナス・シゲロイデス、緑膿菌、ロドコッカス菌種、ブドウ球菌種(例えば黄色ブドウ球菌、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌)、ステノトロホモナス・マルトフィリア、レンサ球菌種(例えば化膿レンサ球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、ストレプトコッカス・アンギノサス、ストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equismilis)、ストレプトコッカス・ボビス、ストレプトコッカス・アンギノサス、ミュータンス菌、ストレプトコッカス・サリバリウス、サンギス菌、ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・ミレリ)、ストレプトマイセス菌種、トレポネーマ菌種(例えば梅毒トレポネーマ、トレポネーマ・エンデミキュム(Treponema endemicum)、フランベシア・ヨー(Treponema pertenue)、トレポネーマ・カラテウム)、ビブリオ菌種(例えばコレラ菌、例えば01および0139のようなその病原性セロタイプ、ビブリオ・パラヘモリチカス、ビブリオ・バルニフィカス、ビブリオ・アルギノリチカス、ビブリオ・ミミカス(Vibrio minicus)、ビブリオ・フルビアリス、ビブリオ・メチニコフィイ、ビブリオ・ダムセル、ビブリオ・フルニッシー)。
従って本発明は、特にヒト患者における、上記病原菌のいずれかによる感染を処置および/または予防するための医薬組成物であって、セクション3および/またはセクション5.1に記載のいずれかの態様のタンパク質を含む(または本質的にそれからなる)組成物(およびそれに関連した処置方法)を提供する。読者は、セクション3またはセクション5.1に記載のタンパク質のあらゆる可能性のある組合せが、このセクションに記載のいずれかの病原菌による感染を処置および/または予防するために使用されることを特に、そして個別に意図していること、そしてあらゆるかかる組合せがそれぞれ本発明の別個の態様を形成することを想定できる。しかし、具体的に記載されるものは、ヒトLRRタンパク質、例えばヒトNODタンパク質(例えばヒトNOD1またはヒトNOD2)またはヒトTLRタンパク質を含む医薬組成物であって、通常使用されている薬物に対する耐性を生じるか、あるいは生じた病原菌(例えばその菌株)、例えばMRSAおよびVRSAによるヒトにおける感染の処置および/または予防のための医薬組成物である。
5.6 臨床疾患
本明細書の開示に基づいて、組成物、特に医薬組成物を使用して、多数の疾患、特にヒト疾患を処置および/または予防することができると、当業者に理解される。従って、上記セクション3および/またはセクション5.1のいずれかのタンパク質を含むおよび/または本質的にそれからなる医薬組成物を使用して、特にヒトにおける、次の感染症のいずれか一つを処置および/または予防することができる:
炭疽病、細菌性髄膜炎、ボツリヌス症、ブルセラ症、カンピロバクター症、ネコひっかき病、コレラ、ジフテリア、発疹チフス、食品媒介性疾患、例えば食中毒、淋病、膿痂疹、レジオネラ症、ハンセン病(ハンセン氏病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、MRSA感染、髄膜炎、ノカルジア症、百日咳(Whooping Cough)、ペスト、肺炎球菌性肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱、細菌性赤痢、梅毒、破傷風、トラコーマ、結核、野兎病、腸チフス熱、チフス、尿路感染症。
ある態様において、医薬組成物を使用して、ヒトのような易罹患性の患者(例えば、嚢胞性線維症および/または免疫抑制されているヒト)における日和見感染を処置および/または予防することができる。
読者は、セクション3またはセクション5.1に記載のタンパク質のあらゆる可能性のある組合せが、上記感染症のいずれか一つを処置および/または予防するために使用されることを個別にそして特に意図していることを想定できる。
他の態様において、細菌が病理学的役割を有し得る疾患の処置および/または予防における、上記セクション3および5.1に記載のタンパク質を含む医薬組成物の使用を提供する。その例は、消化性潰瘍疾患および他の消化器疾患、例えば炎症性腸疾患(IBD)、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)ならびに血液疾患、例えば敗血症を含む。
他の態様において、炎症性疾患または障害の処置における、上記セクション3および5.1に記載のタンパク質を含む医薬組成物の使用を提供する。その例は、乾癬性関節炎のような関節障害を含む。
6. 実施例
本発明は、次の非限定的例示によって説明される。
6.1 略語一覧
Figure 2011509966
6.2 市販薬
6.2.1 細菌
次の菌株をATCCから購入した:リステリア・モノサイトゲネス(ATCC 7644)、枯草菌(ATCC 6633)、エンテロコッカス・フェカリス(ATCC 29212)、黄色ブドウ球菌(ATCC 29213)、肺炎レンサ球菌(ATCC 49619)、大腸菌(ATCC 8739)、大腸菌(ATCC 25922)、クレブシエラ・ニューモニエ(ATCC 700603)、緑膿菌(ATCC 27853)、ブタコレラ菌(ATCC 13076)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(ATCC 17666)、バクテロイデス・フラジリス(ATCC 25285)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(ATCC 29148)、プレボテラ・インターメディア(臨床分離株)、ユウバクテリウム・レンタム(ATCC 43055)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(ATCC 13124)、クロストリジウム・ディフィシル(臨床分離株)、クロストリジウム・ラモーザム(ATCC 25582)、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(ATCC 49031)、プロピオニバクテリウム・アクネス(ATCC 25746)。
6.2.2 その他
プロテオグリカン、リポテイコ酸および熱殺菌黄色ブドウ球菌は、全てInvivogenから購入した。ローダミン結合ファロイジンはSigmaからであった。
6.2.3 プラスミド
末梢血リンパ球ライブラリーからの複数のPCR産物を統合して全長NOD2 cDNAを得て、pENTR/SD/D-Topoベクター(Invitrogen)にクローン化した。NOD1をコードするcDNAはInvitrogenから購入した(pENTR221-Nod1)。NOD1およびNOD2のLRRドメインは、LRR領域に隣接するプライマー:NOD1について、Nod1LRR Fwd: 5’-caccatgaacaaggatcacttccagttcacc-3’ (配列番号8)およびNod1LRR rev: 5’-tcagaaacagataatccgcttctcatc-3’(配列番号9)、NOD2について、Nod2LRR Fwd: 5’-caccatgaccatgccagctgcaccgggtgagg-3’(配列番号10)および Nod2LRR rev: 5’-tcaaagcaagagtctggtgtccctgcagc-3’(配列番号11)を用いたPCRによって作成した。NOD2のクローン病関連3020insC変異を作成するために、デオキシシトシンをヌクレオチド位置3020で挿入した(NM_022162)。使用した全てのcDNAの完全性をDNA配列決定で確認した。全長タンパク質またはそれぞれのLRRドメインをコードするcDNAを示した適用のために次のプラスミド(Invitrogen)に移行した:293細胞での発現(pEF5/FRT/V5-Dest)、細菌性発現(pDEST17)、バキュロウイルスアセンブリ(pDEST10)。
6.2.4 抗体
使用した市販の一次抗体は次のとおりであった:Alexa−488、−568または−647と結合したヒツジ、ウサギおよびマウス二次抗体はMolecular Probes(Leiden、The Netherlands)からであった。ウサギまたはマウスに対するIR−標識化二次抗体は、Rockland Laboratories(West Grove、PA)からであった。ウサギ抗NOD2抗体は、免疫原として大腸菌から精製した組換えNod2 LRRドメインを用いてEurogenetecによって作成された。血清は組換えLRRカラムを用いてアフィニティー精製した。抗体の特異性は、ウェスタンブロットおよび組換えNod2またはNod1を発現する細胞系を用いた免疫蛍光顕微鏡観察によって試験した。
6.3 Nod2、Nod2 3020insC、Nod1およびそれらそれぞれのLRRドメインを発現する293細胞系
リポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いて、製造業者の推奨に従って、Nod2、Nod2 3020insC、Nod1、Nod2 LRR、Nod2 3020insC LRR、Nod1 LRRをコードするcDNAを含む発現プラスミド(pEF5/FRT/V5-DEST)を293 Flp-In細胞(Invitrogen)にトランスフェクトした。安定な細胞系を200μg/mlのハイグロマイシン中で選択した。それぞれのタンパク質の発現は、定量的PCRおよびウェスタンブロットによって確認した。
6.3.1 免疫蛍光法
免疫染色のために、腸管上皮細胞をカバーガラス上で増殖し、3%パラホルムアルデヒド(PFA)で20分間固定した。PFA固定した細胞をPBS中0.1%のTriton X-100で5分間透過処理した。抗体のインキュベーションは、全て0.2%のBSAを含むPBS中で実施した。0.5mg/mlのHoechst(Sigma)で核を染色し、カバーガラスをpro-gold試薬(Invitrogen)にマウントした。標準の対物レンズおよびフィルターセットを有するNikon eclipse顕微鏡で画像を得た。Adobe Photoshop 6で画像を処理した。
6.3.2 タンパク質精製
LR組換えによるゲートウェイ技術を用いて、NOD1、NOD2およびNOD2−3020をコードする相補DNA配列(セクション6.2.3に記載のとおり)をpDEST17(Invitrogen)に移した。LRRドメインを大腸菌Rossetta(DE3)細胞(Novagen)中で過剰発現し、グアニジンHCl(6M)で可溶化し、15000xgで回転して、Ni-NTAおよびHiLoad 16/60 Superdex 200サイズ排除カラムでの逐次的クロマトグラフィーによって精製した。精製したタンパク質は、クーマシーブルー染色で可視化した。全長NOD2およびNOD2−3020 cDNAをpENTR/SD/D-Topo(Invitrogen)からpDEST10に、LR組換えによって移し、次いでDH5αBacに形質転換して、バクミドを製作した。Bac-to-Bacバキュロウイルス発現系(Invitrogen)からのプロトコルに従って、組換えウイルスを得た。全長NOD2およびNOD2−3020insCの精製のため、Hi5細胞を有する20個のT-162 Nunc組織培養フラスコを72時間感染させた。細胞を掻爬し、冷PBSで洗浄した。細胞ペレットを0.5MのKCl、50mMのTris、10%のグリセロール、5mMのメルカプトエタノール、1mMのMgCl、0,1%のTriton X100、10mMのイミダゾールおよびプロテアーゼ阻害剤(完全無EDTA(Roche))(pH 7.0)25mlに再懸濁し、氷上で15分間インキュベーションした。懸濁液を40秒間2回超音波処理し、40℃で30分間、15000xgで遠心分離した。混合物をNi-NTAカラムおよびHiLoad 16/60 Superdex 200サイズ排除カラムに逐次的にロードした。精製したタンパク質をクーマシーブルー染色で可視化した。
6.4 抗菌アッセイ
個々の培養物中のATPの定量に基づいて培養物中の生存細菌細胞数を測定するために、BacTiter-Glo(TM)微生物細胞生存度アッセイ(Promega)を用いた。細菌を5×10細胞/mlで、記載の濃度のタンパク質と共に播種した。培養物を37℃で4時間インキュベーションし、BacTiter-Glo試薬を培地中の微生物細胞に直接加え、Pherastar(BMG scientific)を用いて発光を定量した。報告した値は、2連で実施した少なくとも3回の個別の実験の結果である。IC50の標準偏差は、Excel(Microsoft)を用いて計算した。最小阻害濃度の値は、標準的な手法を用いて好気性または嫌気性培養で決定した。簡潔には、記載した濃度のLRRドメインまたは抗生物質コントロールを含む0.1mlのMHBブロスに5×10個の細菌を播種した。培養物を20〜24時間インキュベーションして、視覚鏡を用いた目視観察によって、細菌増殖を評価した。MICは、視覚的に細菌増殖が完全に抑制される最低薬物濃度として決定した。
6.4.1 ゲンタマイシン保護アッセイ
クロラムフェニコールトランスフェラーゼ(対照)、Nod2またはNod2 3020insCを発現する安定な293 FlpIn(Invitrogen)細胞系を、24ウェルトランスウェル培養プレート(1×10/ウェル)(Corning Incorporated, Corning, NY)で培養した。コンフルエンスに達した後、肺炎レンサ球菌を10:1のMOIで加えた。37℃で1時間インキュベーションした後、細胞をHanks液で洗浄し、0.5mg/mLのゲンタマイシン/Hanks液の存在下で90分間培養して、細胞外細菌を殺菌した。次いで、機械的破壊によって細胞溶解物を得て、溶解物を0.5mlのMHBブロスで希釈し、チョコレート寒天プレートにのせた。プレートを37℃で一夜静置し、翌日にコロニーを計測した。
6.4.2 Nod2 LRR関連タンパク質のアフィニティー精製および質量分析タンパク質同定
大腸菌(ATCC 3556、ATCC 1655)をMHBブロスに播種し、細菌を飽和まで増殖させた。細菌を遠心分離(2800xg)により回収した。emulsiflex C5を用いて細胞を溶解し、細菌溶解物を15000xg、4℃で30分間遠心分離して分離した。細菌ペレットを回収し、Triton X100(PBS中1%)に再懸濁し、30000xgで再度回転した。残留ペレットをグアニジンHCL(6M)で可溶化し、ゲル濾過で脱塩した。速やかな希釈によりタンパク質をリフォールディングさせ、記載のとおりNOD2−LRRまたはNOD2−LRR−3020insCドメインと共有結合した活性化NHSカラムにロードした。アフィニティー精製タンパク質を塩勾配によってカラムから溶出させ、SDS−PAGE電気泳動で分離し、クーマシーブルー染色によって分析した。同定されたタンパク質バンドをゲルから切り抜き、DTTで還元し、ヨードアセトアミドでアルキル化して、修飾トリプシンで37℃で一夜消化した。ペプチドを1μlの100%ギ酸で酸性化した後、LC−ESI−MS/MSで分析した。LTQ-FTマススペクトロメーター(Thermo Electron, Bremen, Germany)と接続したEksigent/PAL HPLC システム(Axel Semrau GmbH, Sprockhoevel, Germany)を用いて、ナノ−LC−MS実験を実施した。ペプチド混合物を分析PicoFritカラム(New Objective, Woburn, MA)に直接ロードし、50分、200nl/分で98%フェーズA(0.1%のギ酸水溶液)から75%フェーズB(0.1%のギ酸、80%のアセトニトリル)のグラジエントを用いて、カラムから溶出した。MSとMSで自動的に切り替わるデータ依存取得モードで装置を操作した。その後、社内のMascotサーバー(Matrix science Ltd., London, UK)を用いて、大腸菌配列ライブラリーに対して生ファイルをサーチした。酵素としてトリプシンを選択し、2個のミス切断を許容して、サーチを実施した。カルボキシメチル(C)を固定された修飾として選択し、酸化(O)を変化し得る修飾として選択した。±5ppmのペプチド質量許容度および±0.8Daのフラグメント質量許容度でデータをサーチした。同定したタンパク質は、少なくとも2個のペプチドが20以上のスコアで同定されたとき、受け入れられた。
6.5 結果
多くの独立した試験により、Nod2のLRRドメインにおける特定のSNPがクローン病の発症の易罹患性因子であることが決定されている。胃腸管における共生細菌に対する頑強な免疫応答は、該疾患の病因の主要な要因であると認識されている。次の実験を実施して、細菌に対する宿主応答におけるNod2およびクローン病関連SNPの機能的役割を評価した。
6.5.1 結腸におけるNod2のインビボ発現
胃腸管は、一層の上皮細胞によって宿主から分離されている約1013個の細菌の巣である。Nod2のLRRドメインに対するポリクローナル抗体を用いて、インビボでNod2タンパク質の発現を評価した(図1)。免疫組織科学的分析によって、Nod2が結腸上皮において主に発現されていることを決定した。第1に、管腔の共生細菌叢と直接接触する上皮の頂端膜側において、強い染色が発見された。さらに、マクロファージおよび単球様細胞の粘膜下染色が、上皮の基部で観察できる。
6.5.2 細菌に応答する細胞Nod2局在化
培養SW480腸管上皮細胞中のNod2
上皮におけるNod2の機能を調べるため、SW480腸管上皮細胞を大腸菌と共にインキュベーションし、細胞におけるNod2の位置を免疫蛍光法で決定した(図2)。細菌の非存在下では(SW480対照)、Nod2は一次的に、培養細胞の細胞質ゾル中に見られた。大腸菌とのインキュベーションの後、Nod2は、細胞内の長さ約1マイクロメートルの点状構造、しばしば長方形の構造中に観察できた。これらの異なるドメイン中でのNod2の観察は、大腸菌それ自体の形を暗示しており、したがってさらなる実験を行って、これらの構造中のNod2の同定を明らかにした。実験をCaco2腸管上皮細胞で反復した。この細胞系は、密着結合を有し、経上皮耐性を生じる正常上皮層の表現型をより密接に発現する。こららの細胞と大腸菌とをインキュベーションして、細菌との共培養後のSW480細胞において見られるものと同様の点状構造中に、Nod2が同定された(図3)。これらの細胞は、グラム陰性菌の外膜の成分である大腸菌LPSに特異的な抗体で共染色した。LPSとNod2間で明確な共局在化が見られ、これは同定したNod2ポジティブ構造が細菌であることを示している。
培養細胞の細胞質における細菌のNod2ポジティブ染色は、Nod2と細菌の直接相互作用であるか、あるいは同定されなかった小胞構造におけるそれらの共局在からもたらされ得た。Nod2と大腸菌の相互作用が直接であるという仮説を検証するために、Nod2由来の精製した組換えLRRドメインを大腸菌とインキュベーションした(図4)。PBS中での大腸菌対照培養は、個々の細菌がカバーガラスにわたって均一に拡散することを示した(図4、上図)。しかし、Nod2 LRRドメインとのインキュベーション後、大腸菌は凝集し、実験中にデブリが観察できた。これはNod2 LRRドメインが直接大腸菌と相互作用し得るという仮説を支持する。
6.5.3 細菌感染
これまでの研究により、細菌による感染に対するNod2の保護効果が示されている(Hisamatsu T, 2003)。上記のデータは、この保護効果がNod2 LRRドメインと細菌の直接相互作用によるものであり得ることを示唆している。この仮説を検証するため、Nod2またはNod2 3020insC LRRドメインを発現する安定なコンジェニック細胞系を構築し、タンパク質発現レベルおよび他の因子を調節した。培養細胞を肺炎レンサ球菌(培養物中で293細胞に活性に感染することが知られている病原体(Opitz B, 2004))と共に播種した。次いで、ゲンタマイシン保護された細胞内細菌を評価した(図5)。細菌叢が感染対照細胞から観察された。Nod2 LRRドメインを発現する細胞において、この数は劇的に減少した。クローン病関連Nod2 3020insC LRRドメインを発現する細胞において、肺炎レンサ球菌からの明らかな保護は観察されなかった。これは、CardおよびNachtドメインはこれらの細胞において発現されなかったため、Nod2のシグナル伝達機能が感染から細胞を保護するために不必要であることを示している。さらに、Nod2 LRRドメインは細菌感染から細胞を保護するために十分である。
6.5.4 インビトロでのNod2およびLRRドメインの抗菌活性
提示したデータは、Nod2 LRRドメインが細菌と直接結合して、感染から細胞を保護することを示している。LRRドメインがシグナル伝達能を有さないことが報告されているため、我々はNod2 LRRドメインが抗菌ポリペプチドであるという仮説を検討した。増加濃度の、Nod2、クローン病関連Nod2 3020insCまたはNod1由来の精製した組換えLRRドメインを、好気性グラム陽性菌およびグラム陰性菌のパネルとインキュベーションして、ATP濃度をモニターすることで細菌増殖を評価した(表1)。LRRドメインについて抗菌活性が示され得た。多様な観察により、特定の細菌に対するNod2およびNod1 LRRドメインの特異性が示された。Nod2 LRRドメインは、エンテロコッカス・フェカリスおよび黄色ブドウ球菌に対して、Nod1 LRRよりも少なくとも1オーダー分以上強力であった。Nod1 LRRドメインは、大腸菌(ATCC8739)および肺炎レンサ球菌のようないくつかのグラム陰性菌に対して、Nod2よりも有効であることが示された。さらに、Nod2 LRRドメインは一般に、リステリア・モノサイトゲネスを除き、全ての感受性細菌に対して、Nod2 3020insC LRRドメインよりも顕著に強力であった。これはクローン病関連SNPがその抗菌活性において欠損していることを示しており、現在の技術知識の流れを考慮して、これはこのアレルを有する患者におけるクローン病の基礎的原因であることを示唆している。
6.5.5 好気性細菌
表1. 細菌ATP含量によって測定した好気性細菌に対するNod LRRの抗菌活性(IC50)。
Figure 2011509966
>100は活性が検出されたが、<50%阻害であることを示す。
6.5.6 嫌気性細菌
胃腸管における細菌の大多数は嫌気性である。したがって、Nod2 LRRドメインの抗菌活性を、グラム陽性およびグラム陰性嫌気性細菌のパネルに対して評価した(表2)。シプロフロキサシンは試験した全ての株に対して活性である、広範囲な抗生物質である。試験した全ての株に対して、組換えNod2 LRRドメインの活性は重量基準(μg/ml)でシプロフロキサシンと同等であった。重要なことに、2つの化合物の分子量を考慮すると、試験した全ての株に対して、Nod2 LRRドメインはモル基準(mmole/ml)でシプロフロキサシンよりも約25〜200倍強力である。
表2. 嫌気性細菌に対するNod2 LRRの最小阻害濃度(MIC) :シプロフロキサシンとの比較(μg/ml)
Figure 2011509966
Nod2 LRRドメインの分子量〜30000da。シプロフロキサシンHClの分子量=386da。
6.5.7 他のLRRドメイン
Nod2の抗菌メカニズム
Nod2について示唆される推定のみのリガンドは、グラム陽性およびグラム陰性菌にのプロテオグリカンコートにおいて見出されるMDPモチーフである。この相互作用がNod2 LRR抗菌効果の開始因子であるならば、このモチーフを含む細菌成分と該ドメインをプレインキュベーションすることによって、抗菌活性が阻害されると予期される。黄色ブドウ球菌に対するNod2 LRR活性を用いて、競合アッセイを組み立てた。組換えLRRドメインまたはBSA(対照)を黄色ブドウ球菌膜の多様な成分と共にプレインキュベーションした後、これを生存黄色ブドウ球菌に加えて、細菌生存率を上記表1におけるとおりに評価した(図6)。MDPモチーフを含む黄色ブドウ球菌プロテオグリカンもリポテイコ酸も、Nod2 LRRドメインの抗菌効果を阻害しなかった。熱殺菌黄色ブドウ球菌のみがNod2 lRR活性を阻害し得た。これは、Nod2の抗菌効果の標的が、細菌性プロテオグリカンとのそれらの相互作用とは独立しており、Nod2のシグナル伝達機能と抗菌活性は異なる細菌性標的を有することを示唆している。
6.5.8 グラム陰性菌排出ポンプ変異体に対するNod2活性
Nod2 LRRドメインの抗菌活性の標的を調査した。該活性は、細菌の外膜との結合に依存しないと考えられる(図6)。したがって、大腸菌、緑膿菌またはヘモフィルス・インフルエンザエの排出ポンプ変異体を用いて、Nod2、Nod1およびNod2 3020insC LRRドメインの作用メカニズムを調査した(表3)。排出ポンプ変異体は、細胞内分子を細胞膜周辺腔から外膜の向こうへポンピングすることによって、それらの濃度を低下させる。試験した2種の排出変異体(大腸菌およびヘモフィルス・インフルエンザエ)は、Nod2およびNod1のLRRドメインに対する感受性の顕著な上昇を示した。これら2種の細菌は、野生型よりもNod2のクローン病関連LRR変異体により耐性でもあった。これは、LRRドメインの標的が細胞内に存在し、クローン病関連Nod2よりも野生型により感受性であることを示唆している。
表3. 好気性グラム陰性菌に対するNod LRRドメインの最小阻害濃度(MIC)(μg/ml)。
Figure 2011509966
*は排出ポンプ(TolC:大腸菌、ヘモフィルス・インフルエンザエ; mexAB/oprM:緑膿菌)変異株を示す。
6.5.9 質量分析によるNod2抗菌剤標的の同定、部分的精製および可能性同定。
提示した証拠は、Nod2はそのLRRドメインを介して細胞内細菌標的と結合して直接的抗菌活性を有することを示唆している。さらに、クローン病関連Nod2変異体3020insCはその抗菌活性が欠損している。一連の実験を実施して、LRRドメインの抗菌活性を仲介するNod2細菌標的を同定した。大腸菌をフレンチプレス、界面活性剤およびグアニジニウムHClによって順次分画し、競合アッセイによって評価して、Nod2 LRRによる黄色ブドウ球菌殺菌を粗がした分画を見出した(図7)。阻害分画は当初は、界面活性剤不溶性分画において見出され、これをグアニジニウムHCl中で可溶化してゲル濾過によって分画した。ゲル濾過分画5は、該分画をプロテイナーゼKで処理した後に検出された活性によって示されるとおり、黄色ブドウ球菌に対するNod2 LRR抗菌活性を阻害するタンパク質を含んでいた。この分画をNod2 LRRアフィニティーカラムにロードし、会合したタンパク質をNaCl勾配で溶出した(図8)。溶出したタンパク質をSDS−PAGEで分離し、バンドを抽出し、タンパク質を質量分析により同定した。主な溶出バンド(図8、パネルB、バンドH1)は、2種類の外膜タンパク質(ポリン)OmpFおよびOmpCを含んでいた。これらのタンパク質はグラム陰性菌の外膜において見られ、タンパク質を細菌の細胞膜周辺腔に侵入させる(参考文献)。ポリンはNod2 LRRドメインの最初の接触点である可能性があり、それをグラム陰性菌の細胞膜周辺腔に浸透させる。大腸菌の排出ポンプ変異体に対するLRRドメインの向上した効果(表3)を考慮すると、ポリンは標的それ自体ではないが、細菌への侵入点として働くことにより抗菌メカニズムに関与している可能性がある。さらに、グラム陽性菌は一般にポリンを発現しないが、Nod LRRドメインに感受性であり、このことはNod2抗菌活性の最終的な標的ではないことを示唆している。
推定細胞内標的を同定するため、大腸菌から全界面活性剤不溶性分画をグアニジニウムHClで抽出し、2つの分画に分けて、該分画を1)Nod2 LRRドメインアフィニティーカラムまたは2)Nod2 LRR 3020insCドメインアフィニティーカラムのいずれかにロードした。いずれかのカラムと結合したタンパク質を質量分析、次いでSDS−PAGEで分析した(図9)。バンドC3およびE3で再びポリンが同定された(バンドは図9に示した)。表4はNod2 LRRアフィニティーカラムから溶出したバンドE3およびNod2 LRR 3020insCアフィニティーカラムから溶出したバンドF3において同定された全てのタンパク質を列挙している。特に、ポリン(OmpCおよびOmpF)はWT LRRカラムからの溶出物において特異的に同定され、3020insC LRRカラムでは同定されなかった。これは、クローン病関連変異が細胞内細菌区画へのアクセスを得られないことを示している。表5はWTまたは3020insCアフィニティーカラムで具体的に同定した全てのタンパク質を列挙している。示したとおり、OmpCおよびOmpFはWT LRRアフィニティーカラムと結合することを特異的にしめした。他の特異的タンパク質も同定し、それらのいくつかは正常な大腸菌増殖に必須であることが示されている。したがって、Nod2 LRR抗菌標的として複数の推定候補が同定された。
表4. 界面活性剤不溶性大腸菌分画から、3020insCではなくWT LRRドメインアフィニティー精製されたタンパク質OmpCおよびOmpFの質量分析。
Figure 2011509966
E3およびF3は図9に示すとおりに切り取ったバンドを示す。
表5. WTまたは3020insC LRRドメインと特異的に結合する大腸菌タンパク質の質量分析同定。
Figure 2011509966
タンパク質は、GuHClで抽出した大腸菌の1%Triton不溶性分画から同定した。示したバンドは、図3〜9に同定したものと関連する。
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Claims (35)

  1. 抗菌剤として使用するための、複数のLRR(ロイシンリッチリピート)ドメインを含んでなる単離されたタンパク質。
  2. タンパク質のC末端がLRRドメインである、請求項1のタンパク質。
  3. LRRドメインがそれぞれ独立して、本質的に式(I):
    (F1LxxLxL(xxZ)F2) (I)
    〔式中:
    F1およびF2は独立して、1〜30残基の近接アミノ酸配列であり;xは任意のアミノ酸であってよく;
    xは任意のアミノ酸であってよく;
    LはLeu、Ile、ValまたはPheであってよく;
    ZはNxLまたはCxxLであってよく;
    NはAsn、Thr、SerまたはCysであり;
    CはCysまたはSerであり;そして
    Y=0または1である〕
    のアミノ酸配列からなる、請求項1または2のタンパク質。
  4. それぞれのLRR中の少なくとも2個のL残基がLeuである、請求項3のタンパク質。
  5. それぞれのLRR中の少なくとも3個のL残基がLeuである、請求項4のタンパク質。
  6. 少なくとも3個のLRRドメインを含む、請求項1〜5のいずれかのタンパク質。
  7. 少なくとも4個のLRRドメインを含む、請求項1〜6のいずれかのタンパク質。
  8. 少なくとも5個のLRRドメインを含む、請求項1〜7のいずれかのタンパク質。
  9. 少なくとも6個のLRRドメインを含む、請求項1〜8のいずれかのタンパク質。
  10. 抗菌剤である、請求項1〜9のいずれかのタンパク質。
  11. グラム陽性菌に対して使用するための、請求項10のタンパク質。
  12. グラム陰性菌に対して使用するための、請求項10のタンパク質。
  13. ヒトにおける細菌感染の処置のための、請求項10〜12のいずれかのタンパク質。
  14. NOD、TLR、CIITAから成る群から選択される、請求項1〜13のいずれかのタンパク質。
  15. NODがNOD1またはNOD2である、請求項14のタンパク質。
  16. TLRがTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、TLR13から成る群から選択される、請求項14のタンパク質。
  17. TLRがTLR2、TLR4またはTLR5である、請求項16のタンパク質。
  18. タンパク質それ自体が直接的抗菌活性を有する、請求項1〜17のいずれかのタンパク質。
  19. 直接的抗菌活性がインビトロ条件下で有効である、請求項18のタンパク質。
  20. 抗菌剤として使用するための、5個以上のLRR(ロイシンリッチリピート)ドメインを含む請求項1〜19のいずれかのタンパク質であって、該タンパク質のC末端がLRRドメインであり、LRRドメインがそれぞれ独立して、式(I):
    (F1LxxLxL(xxZ)F2) (I)
    〔式中:
    F1およびF2は独立して、1〜30残基の近接アミノ酸配列であり;xは任意のアミノ酸であってよく;
    xは任意のアミノ酸であってよく;
    LはLeu、Ile、ValまたはPheであってよく;
    ZはNxLまたはCxxLであってよく;
    NはAsn、Thr、SerまたはCysであり;
    CはCysまたはSerであり;そして
    Y=0または1である〕
    のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
  21. それぞれのLRR中の少なくとも2個のL残基がLeuである、請求項20のタンパク質。
  22. 請求項1〜21のいずれかの単離されたタンパク質を含む医薬組成物。
  23. 抗菌剤として使用するための、請求項20の医薬組成物。
  24. 感染に易罹患性の宿主における細菌感染の処置および/または予防に使用するための、請求項22または23の医薬組成物。
  25. 宿主がヒトのような哺乳類である、請求項24の組成物。
  26. ヒトがクローン病、IBDまたはIBSのような消化器疾患に罹患している、請求項24の組成物。
  27. ヒトにおける微生物感染を処置する方法であって、当該ヒトに有効量の、複数のLRR(ロイシンリッチリピート)ドメインを含む単離されたタンパク質を投与することを含んでなる、方法。
  28. タンパク質のC末端がLRRドメインである、請求項27の方法。
  29. LRRドメインがそれぞれ独立して、本質的に式(I):
    (F1LxxLxL(xxZ)F2) (I)
    〔式中:
    F1およびF2は独立して、1〜30残基の近接アミノ酸配列であり;xは任意のアミノ酸であってよく;
    xは任意のアミノ酸であってよく;
    LはLeu、Ile、ValまたはPheであってよく;
    ZはNxLまたはCxxLであってよく;
    NはAsn、Thr、SerまたはCysであり;
    CはCysまたはSerであり;そして
    Y=0または1である〕
    のアミノ酸配列からなる、請求項27または28の方法。
  30. それぞれのLRR中の少なくとも2個のL残基がLeuである、請求項29の方法。
  31. それぞれのLRR中の少なくとも3個のL残基がLeuである、請求項29の方法。
  32. タンパク質が少なくとも3個のLRRドメインを含む、請求項27〜31のいずれかの方法。
  33. タンパク質が少なくとも4個のLRRドメインを含む、請求項27〜31のいずれかの方法。
  34. タンパク質が少なくとも5個のLRRドメインを含む、請求項27〜31のいずれかの方法。
  35. タンパク質が少なくとも6個のLRRドメインを含む、請求項27〜31のいずれかの方法。
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