JP2011506947A - 熱分析方法および装置 - Google Patents

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Abstract

等価条件下で温度変化に付される2つの試料(84、84')間の物理的パラメータの示差測定法を含み、前記2つの試料は、組成および熱特性が実質的に同一であり、測定の開始時に既知の大きさの初期温度差を示すことを特徴とする、試料の熱特性を測定する熱分析方法。

Description

この発明は、示差型測定法に基づく熱分析方法に関する。
この発明はまた、そのような方法を実施する装置に関する。
熱分析および熱量測定の分野において、様々な方法の示差測定手順が存在する。最も古いものは、示差熱分析(DTA)である。前記方法において、2つの同一のセルであって、一方は調査中の試料を含み、もう一方は基準物質を含むものが、同一条件下で温度の時間変化、通常は、傾斜変化(ramp)(すなわち、温度の線形増加)に付される。
2つのセル間の温度差は、1つ以上の検温器(熱電対、熱電対列、抵抗プローブなど)によって連続的に測定される。傾斜変化中に試料が位相変化のような物理化学的変換を受けるなら、あるいは試料が熱容量の変化を示すなら、当該試料を含むセルの温度は、基準セルの温度とは異なる変化を示す。それゆえ、傾斜変化中の2つのセル間の温度差の測定結果は、試料(物理化学的変換、熱容量の変化など)に起因する熱イベント(thermal event)を表す。
現在、示差走査エンタルピー測定法または示差走査熱量測定法(DSC)のうち、もっとも広く知られた方法は、上記の長年にわたる方法から派生したものである。2種類の主要な方法がある。
1つは、入力補償型示差走査熱量測定と呼ばれる。傾斜変化中、2つのセルは、各セルに位置する2つの発熱素子を用いることにより、同一の温度に保たれる。そのような状況下では、前記の2つのセル間の温度差をゼロに保つため、発熱素子によって与えられる(または、冷却素子によって引き出される)必要がある熱量差が直接測定される。それゆえ、この入力補償型示差走査熱量測定は、傾斜変化中に試料内で発生する物理化学的変換(熱容量の変化を含む)を直接表す。
2つ目は、熱流束型示差走査熱量測定と呼ばれる。セル間の温度差に伴う熱流束差は、補償なしに熱素子(熱電対、熱電対列)により測定される。このように動作するとき、示差熱分析のように温度差(より正確には、熱素子を通じた熱流束差)のみが、試料の物理化学的性質を表す。
前記技術への入門のために、以下の著作物を参照してもよい:
S. Randzio, Recent developments in calorimetry, Ann. Rep. Prog. Chem. (The Royal Society of Chemistry) sect. C, 94, pp. 433-504 (1998); C. Eyraud and A. Accary, Analyses thermique et calorimetrique differentielles [示差熱および熱量分析], Techniques de l'Ingenieur, traite Analyse et Caracterisations, P1295, pp. 1-15 (1992); M. Brun and P. Claudy, Methodes Thermiques, Microcalorimetrie [熱的方法、微小熱量測定], Techniques de l'Ingenieur, traite Analyse et Caracterisations, P1200, pp. 1-23 (1983); and C.B. Murphy, Differential thermal analysis, Anal. Chem., 30, pp. 867-872, 1958.
上記2つの従来の熱分析法に加え、「自明でない(non-trivial)」種類の温度の時間変化を利用する新規な方法が、過去数十年間にわたって激増した。これらの方法では、2つのセルの温度変化が、実験者により選択される十分に確定された時間の関数(のこぎり歯、振動、傾斜変化と結合した振動など)に追随するために必要とされる。これらの関数は、通常の線形の傾斜変化に重ね合わされる。
そのような技術の例は、文献US 5 224 775およびUS 6 170 984によって提供される。それらの文献は、変調型示差走査エンタルピー測定または温度変調型示差走査熱量測定(TMDSC)として知られる方法を挙げており、その方法では、熱振動は線形の傾斜変化に重ね合わされる。温度(または、熱流束モードの示差測定を実施するときの熱流束)の差の定常および振動成分を分離することにより、異なる物理的意味を有する情報を取り出すことが可能となる。
前記の示差熱分析技術は、物質を熱的に特徴づけるのに極めて有力な道具となり、その応用は、材料科学、地球科学、物理学、化学、薬品製造工学、農産業および食品産業などで見られる。それにもかかわらず、いくつかの欠点がある。
第1の欠点は、実際には試料および基準物質は、厳密に同一の熱容量を有しないという事実に関する。しばしば、それらは測定セルの壁、従って界面の熱伝導との接触特性についても違いを示す。さらに、熱量計の構成によって、各セルと熱浴との間の熱伝導率は、必ずしも完全には一致しない。このことは、系統誤差を生じる。
前記欠点を、少なくとも部分的に改善すべく、示差測定からベースラインとして知られる基準曲線を差し引くことが一般的な方法である。ベースラインは、両方の測定セル内で同一の基準物質を用いて単独測定を行うことによって得られる。理論的には、上のように差し引くことによって装置の熱的非対称性の影響が克服できる。その影響は、実際には、両方の測定で完全に同じように起こるべきであり、それゆえ差し引くことによって完全に除去されるはずである。それにもかかわらず、実際には、瞬時の熱条件(干渉、温度ドリフト、電子ドリフト、センサードリフトなど)は、それら2つの異なる測定のいずれの間も、厳密に同じにはなりえない。その結果、誤差が残る。
第2の欠点は、熱計量システムが適切に設計され、その温度測定のノイズレベルがセンサーのノイズのみに起因するときは、測定の分解能はセンサーの信号対雑音比によって決まるため、示差測定法の原理より、測定の分解能の改善ができない、ということである。
第3の欠点は、注目している物理的な規模が、測定(例えば試料の熱容量)によって「直接」与えられる規模でなく、その温度に関する導関数であるときに直面する。この導関数を数値計算によって得てもよい。しかしながら、そのような演算はいずれも、測定が受けるいかなる高周波ノイズも増幅させる影響を有することがよく知られている。
この発明は、少なくとも部分的には、従来技術の上記の欠点のうち、少なくとも1つを軽減するものである。
この発明の基礎となる原理は、示差測定の間、1つの試料および1つの基準物質を用いる代わりに、実質的に同一の既知の温度差を示す2つの試料を用いることにある。それゆえ、界面の熱条件は両方のセルで同一であり、もはや系統誤差は生じない。
また、当該方法は、注目している物理的な規模(通常は熱容量)の温度に関する導関数を直接与える。それゆえ、数値微分演算に頼る必要はもはやない。求めるものが熱容量なら、数値積分によってそれを得ることができる。このことは、従来技術の公知の方法と比べて雑音レベルの減少をもたらす。
さらに、2つの試料間の初期温度差は、解明すべき物理的または物理化学的現象の関数として、使用者に追加の自由度を与え、測定法の最適化を可能にする。信号対雑音比は、この温度差の増加とともに増大する。しかしながら、測定の温度分解能は、小さな温度差用に改善されている。同様に、傾斜変化中の温度の急速な変化は、良好な信号対雑音比を生じさせるが、温度分解能はよくない。それゆえ、この発明の方法は、従来技術のように1つのパラメータ(温度変化率)のみを利用可能にする代わりに、信号対雑音比および温度分解能についての矛盾する条件の間の最適条件を見つけるため、使用者に2つのパラメータ(初期温度差および温度変化率)に作用する可能性を提供する。
より正確には、この発明は等価条件下で温度変化に付される2つの試料間の物理的パラメータの示差測定法を含み、前記2つの試料が、組成および熱特性が実質的に同一であり、測定の開始時に既知の大きさの初期温度差を示すことを特徴とする、熱分析方法を提供するものである。
用語「等価条件」の正確な意味は、実施の詳細、特に前記の温度変化を与えるために実際に用いられる方法に依存する。それゆえ、ある状況では、試料は同じ温度変化に従うが、そのことは、試料に(わずかに)異なる熱量を与える必要がある、ということを意味する。それとは対照的に、他の状況では、試料は同じ熱量を受けるが、結果として、それらの温度変化は必ずしも同一であるとは限らない。さらに他の状況では、それらは温度可変の共通の熱浴に同じように結合する。いずれの状況下においても、有益な情報を引き出し得る。なぜなら具体的には、2つの試料の温度変化は、初期温度差を除いて、できる限り似た条件下で生じるからである。
特に、前記示差測定法が、前記2つの試料の熱容量、前記熱容量の温度に関する導関数または潜熱から選択された1つの試料の熱特性を測定するものであってもよい。
この発明の実施の詳細において、前記測定が、示差温度分析によって行われ、前記2つの試料間の温度差の時間変化を測定し、前記温度差の時間変化から前記2つの試料の熱容量の温度に関する導関数を測定するものであってもよい。
前記測定が、入力補償型示差走査エンタルピー測定によって行われ、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から差分熱量を与えまたは引き出して、前記温度差を前記測定の間一定に保ち、前記差分熱量から前記2つの試料の熱容量の温度に関する導関数を測定するものであってもよい。
前記測定が、熱流束差走査エンタルピー測定によって行われ、前記2つの試料を同一の既知の熱伝導率によって熱浴に結合(coupling)し、前記2つの試料と前記熱浴との間を流れる熱流束の差の時間変化を測定し、前記熱流速の差の時間変化から前記2つの試料の熱容量の温度に関する導関数を測定するものであってもよい。
前記2つの試料が付される前記温度の時間変化が、少なくとも部分的には、前記2つの試料を熱浴に結合することにより得られ、前記熱浴が、温度の時間変化に同様に付されるものであってもよい。
変形または追加として、前記2つの試料が付される時間変化が、少なくとも部分的には、各試料に付随する個々の加熱または冷却手段によって得られるものであってもよい。
前記方法が、前記示差測定の結果の数値積分の段階をさらに含み、前記測定が行われた温度範囲内の前記2つの試料の熱容量を測定するものであってもよい。
前記2つの試料が付される温度の時間変化が、実質的に線形または区分的に線形であってもよい。
前記2つの試料間の初期温度差が、測定が行われる温度の変動範囲の10分の1以下、好ましくは100分の1以下であってもよい。
この発明は、示差熱量計測定ヘッドを備え、さらに前記測定ヘッドを制御し、測定によって得られたデータを分析する制御手段および上記の方法を実施するために調整されている制御手段を含む、試料の熱特性を測定する熱分析装置も提供するものである。
特に、前記の示差熱量計測定ヘッドが、示差熱分析を行うヘッドであって、実質的に同一の熱特性を有し、前記2つの試料を収容する2つの容器と、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えるまたは引き出す手段と、前記初期温度差を与えるため前記2つの試料を選択的に加熱または冷却する加熱または冷却手段、前記2つの試料間の瞬時の温度差、および前記2つの試料のうち少なくとも1つの試料の温度の時間変化率を測定する測定手段を備え、前記制御分析手段は、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えまたは引き出して、前記2つの試料が前記温度変化に付されるように調整された、前記手段を制御する制御手段と、少なくとも前記初期温度差、前記2つの試料のうちの1つの温度の時間変化率、および前記2つの試料間の瞬時の温度差の情報から試料の前記熱特性を計算する手段を備えるものであってもよい。
変形として、前記の示差熱量計測定ヘッドが、入力補償型示差走査熱量測定用のヘッドであって、実質的に同一の熱特性を有し、前記2つの試料を収容する2つの容器と、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えるまたは引き出す手段と、前記2つの試料間の瞬時の温度および温度差を測定する測定手段を備え、前記制御分析手段は、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えまたは引き出して、前記2つの試料の温度差を一定かつ前記初期の差に等しく保つ間、前記2つの試料が前記2つの試料の温度の前記時間変化に付されるように調整されている、前記手段を制御する制御手段と、少なくとも前記初期温度差、前記2つの試料の温度の時間変化率、および前記温度差を一定に保つために対応する手段によって、前記2つの試料に与えられるまたは前記2つの試料から引き出される熱量差の情報から試料の前記熱特性を計算する手段を備えるものであってもよい。
変形として、前記の示差熱量計測定ヘッドが、熱流束示差走査熱量測定のためのヘッドであって、実質的に同一の熱特性を有し、前記2つの試料を収容する2つの容器と、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えるまたは引き出す手段と、前記2つの試料間の前記初期温度差を与えるため、前記容器を加熱または冷却する加熱または冷却手段と、前記2つの試料の瞬時の温度、前記2つの試料間の温度差、および各試料に入るまたは各試料から出る熱流束を測定する測定手段を備え、前記制御分析手段は、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えまたは引き出して、前記2つの試料が前記温度変化に付されるように調整された、前記手段を制御する制御手段と、少なくとも前記熱交換係数、前記初期温度差、および前記2つの試料のうちの1つの温度の時間変化率および前記2つの試料間の瞬時の温度差の情報から試料の前記熱特性を計算する手段を備えるものであってもよい。
前記容器が、同一の既知の熱伝導率によって熱浴に熱的に結合し、前記熱浴が次いで熱量を与えるまたは引き出す手段を備え、前記容器の温度の時間変化を生じさせるものであってもよい。
この発明のその他の特徴、詳細、利点は、実施例として与えられる添付図に関してなされる以下の説明を読めば明らかになる。
この発明の方法を実施可能にする装置の簡易図である。 示差走査熱量測定装置の通常の動作を示す極めて簡易な図である。 この発明の測定法の実施に用いられる示差走査熱量測定装置の動作を示す極めて簡易な図である。 従来技術の手法に従って測定された、ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の試料について、熱容量曲線を温度の関数としてプロットしたグラフである。 同一の試料について、熱容量の温度に関する導関数の曲線を温度の関数として示すグラフである。実線は、図4の曲線を微分することにより得られ、破線は、この発明に従って直接測定することにより得られる。 図6Aおよび図6Bは、図5の曲線を拡大したグラフであり、信号対雑音比の点から、この発明の利点を示すグラフである。
前記図面において、同一または類似の構成要素は、同一の符号によって識別される。
図1は、この発明を実施するために調整された示差熱量測定を示す。そのような装置は、基本的に測定ヘッドTMを備え、(従来技術において知られた)従来型のものであってもよい。制御データ分析手段は、この発明の実施のために特別に調整されたMCAである。
測定ヘッドTMは、2つの測定セル50および51を有するが、これらは前記2つのセル50および51のそれぞれの熱容量と比べて無限とみなしてもよい熱容量の熱浴52に熱的に結合している。セルおよび熱浴52との間の熱的な結合53は、両方のセルに対して同一の熱伝導率Κによって表される。この熱的な結合は、用いられ得る多様な熱量計装置(伝熱ガス、確定物質の熱伝導など)に依存して多様な方法で行われる。2つのセル50および51は互いに熱的に分離されているが、それらは熱的な観点から実質的に同一である。各セルは検温素子54または55および発熱素子56または57を含む(理論的には、冷却素子も同様によく用いられ得るが、まれである)。検温素子は、抵抗検温、熱電対検温、熱電対列など、様々な測定原理で動作するものであってもよい。これらの技術はいずれも熱量測定において一般的に使用されるものである。これらの検温素子54および55は、2つのセル50および51間の温度差を与えるために、差動モードで、例えばホイートストン・ブリッジを用いて接続される。この温度差は、増幅器58によって増幅され、アナログデジタル変換器66によってデジタル信号に変換され、それから実時間または遅延時間での処理のため、制御データ処理装置60に送られる。
セル50および51の一方または両方の「絶対」温度がそれ自体測定され、増幅され、デジタル形式に変換され、制御処理装置60(図示せず)に送られるものであってもよい。このことは、以下に説明するように、この発明の確実な実行のために必須なものとしてもよい。
この発熱(または冷却)素子56および57は、所定の熱量を2つのセル50および51に与えるため、デジタルアナログ変換器67および電流源61を用いて制御処理装置60により制御される(冷却素子を用いる場合、熱量はマイナスであってもよい)。
2つのセル間の初期温度差を確立するため(また、装置が入力補償DSCモードで使用されている場合、入力補償も確立するため)、追加電力の供給が必要である。追加電力を、発熱素子(この実施例の素子56)の1つに接続されている独立電流源64によって供給する。
熱浴52はまた、同様にデジタルアナログ変換器67ともう1つの電流源70を用いた制御処理装置60の制御の下、検温器62(および付随する増幅器65)および発熱または冷却素子(63)を備える。通常、この検温素子62および発熱素子63の組によって、温度傾斜変化または他の温度変化がセル50および51に作られる。そのような状況の下、素子56および57は、初期温度差を確立するため、もっぱら選択加熱または冷却手段として機能する(かつ入力補償手段としても機能するように適用できる)。
変形として、発熱素子56および57を、セル50および51に要求される温度変化を直接作り出すために用いてもよい。
測定ヘッドTMを、3つの異なるリンクに分割してもよい。収集リンクまたは示差測定リンクは、2つの検温器54および55、差温計測増幅器58および変換器66に含まれるまたは制御処理装置60に接続した1つ以上の収集カード(acquisition cards)を備える。温度調節リンクを、例えば比例・積分・微分(PID)制御ループによって示差測定リンクにサーボ制御する。それは、制御処理装置60とともに2つの発熱素子56および57、電流源61および64ならびにデジタルアナログ変換器67を備える。3番目のリンクは、それ自身の測定系(増幅器65、アナログデジタル変換器66、装置60)を有する検温器62および熱浴52の温度を制御するため装置60に接続している制御系を有する発熱素子63を備える。
図1の測定ヘッドの装置は極めて一般的であり、この発明の実施のため、または従来技術における公知の技術(2つのセル間の温度差のみを測定する単純な差温分析。温度差が熱電対列または熱電対のような熱素子によって測定するときの熱流束モード示差エンタルピー測定。いかなる測定モードを用いたとしても、セル50および51間の温度差を2つの加熱器56および57を用いてゼロに保つ入力補償型示差エンタルピー測定。十分に確定された周波数、素子58、66および60からなる吸収系によって測定されている振動温度差で、発熱素子56および57が交流電力を供給するために用いられる交流熱量測定。温度傾斜変化の供給に加えて、温度も熱浴52を通じてセル50および51内で振動するように変調される温度変調示差熱量測定など)による測定の実施のため、同様によく用いられるものであってもよい。
図2は、従来技術による入力補償型示差走査エンタルピー測定の簡易図である。測定すべき物理化学的特性を有する試料84をセル50に挿入する一方で、セル51を検討中の温度範囲内で同じ物理化学的特性の著しい変化を示さない基準物質85で満たす。符号Sはセル50および試料84からなるセットを指し、符号Rはセル51および基準物質85からなるセットを指す。セットSおよびRは、実質的に同一の熱容量を示す。
測定を実施する間、セットSの温度およびセットRの温度はともに熱浴52によって、または2つの発熱素子56および57によって直接与えられる温度傾斜変化に従う。図2の矢印81によって図示されるセットSおよびR間の温度差ΔTは、2つの発熱素子56および57によって傾斜変化する間、値ゼロにサーボ制御される。この温度差を、3つのコンダクタならびに2つの溶接部54および55からなる熱電対によって測定する。
入力補償型示差走査エンタルピー解析において、特に試料が受ける物理化学的変化の結果として、基準85および試料84によって吸収される熱量の差を、2つの加熱器56および57によって瞬時に補償する。この補償示差熱量を、図2に示されないシステムによって、例えばジュールの法則を用いて、実験中、抵抗器のいずれか一方によって伝達される補償電流の測定により直接測定する。
図3は、この発明の実施による試料の熱容量の温度に関する導関数の直接測定の簡易図である。より正確にいえば、この発明の実施は、補償入力の原理に基づく。
図2の方法と違い、セル50および51は、原理的に同一の試料84および84'をそれぞれ含む。それぞれ試料84を含むセル50および試料84を含むセル51からなるセットをSおよびS'とかく。
さらに、矢印81によって図示される測定された温度差ΔTは、2つのセットS、S'間で与えられ、発熱素子56および57によってゼロ以外の一定値にサーボ制御する。図2の方法で発生するものと類似の方法によって、2つの試料84および84'によって吸収された熱量差を、2つの加熱器56および57によって瞬時に補償する。この補償示差熱量は、温度Tの試料84によって発せられるまたは吸収される熱量差を表し、温度T+ΔTの試料84'は、図3に示されないシステムによって直接測定する。例として、この熱量は抵抗器56および57によって伝達される電流の測定とそれらの端末を通した電圧の測定によって測定してもよい。
従来技術の方法で発生するものと違って、温度傾斜変化中、測定セル50および51の両方に含まれる物質は、同じ物理化学的変換を受けるものの、瞬間的には異なることに注意することが重要である。
図3に関して記述された動作原理によると、この発明は従来の示差走査熱量測定において通常遭遇するいくつかの問題を克服することを可能にする。
なぜなら、この発明によれば、両方のセルは調査すべき熱特性を有する同一の物質で満たされており、試料および異なる性質の基準物質を収容するセルの界面の問題に起因する熱的非対称性が除去されるからである。
示差走査熱量測定で通常測定される信号の温度導関数が、この発明によって、従来の示差法で通常得られる直接信号と同レベルの雑音で得られる。導関数の信号を積分することにより、従来技術を用いて得られるものと比べ大幅に(例えば10分の1まで)減少した雑音レベルで、通常の直接信号を修復することが可能である。
この発明の非限定の実施において、測定原理の数学的記述が以下に続く。
SおよびCSをセットSの温度および熱容量、TS'およびCS'をセットS'の温度および熱容量、TBを熱浴の温度とするとΔT=TS−TS'であり、Kを2つのセットS、S'のそれぞれおよび熱浴間のそれぞれの間の熱結合係数(thermal coupling coefficient)とする。
2つのセルの温度は、一般的なエネルギー保存則に従う。このことは、次の(1)式のような一次線形微分方程式系によって記述される。
Figure 2011506947
ここで、PSおよびPS'は、発熱素子56および57によって、それぞれセットSおよびS'に与えられる熱量である。
S=TS'+ΔTとおくと、次の(2)式が得られる。
Figure 2011506947
これら2つの方程式の差をとり、ΔP=PS−PS'およびΔC=CS−CS'とおくと、次の(3)式が得られる。
Figure 2011506947
発熱素子57を、セットS'の温度の線形増加(傾斜変化)を定数で与えるように制御し、ΔT=ΔT0を保つように(それゆえ)、発熱素子56を用いることによって同じ傾斜変化に従うように、温度TSをサーボ制御するものと仮定する。このことは、次の(4)式を与える。
Figure 2011506947
もう1つの単純化は、熱量差ΔPを2つの項にさらに分割することによって得られる。初期温度差ΔT0を確立する機能を果たし、厳密にKΔT0に等しい定数項ΔP0および温度傾斜変化中にΔT=ΔT0を維持できるようにする補償項ΔPCである。このことは、次の(5)式を与える。
Figure 2011506947
現在のところ、セットSおよびS'は、温度を除いて同一とみなさなければならない。熱容量差ΔCは完全にこの温度差に起因し、次の(6)式のように書いてもよい。
Figure 2011506947
上記の(6)式を上記の(5)式に置換し、左辺および右辺をβΔTで割ることにより、次の(7)式が得られる。
Figure 2011506947
ここで、温度の指数S'は省略されており、
Figure 2011506947
である。
上記の(7)式は、補償示差熱量を測定すれば、2つのセット間の一定の温度差および所定の温度変化率に対して、試料の容量の温度に関する導関数が測定できることを示している。傾斜変化中、TS(従って
Figure 2011506947
)は、決められた範囲内で変化する。その結果、上記の(7)式は、導関数
Figure 2011506947
が前記の全範囲にわたって計算され得る。よって、温度の関数としての試料の熱容量の値CS(T)は、数値積分のみで得られる。必要ならば、積分定数は独立の熱量測定によって測定されるものであってもよい。
上記の(7)式は、
Figure 2011506947
が近似的にのみ測定できるようにする。原則、前記の近似は(従って温度分解能は)ΔTの減少とともに改善する。しかしながら、信号(ΔPC)の測定雑音に対する比は、ΔTの増加とともに改善する。従って、これら2つの矛盾する要件の間の最良の妥協を見出すことが必要である。上記の(7)式は、測定信号(ΔPC)は温度上昇率の増加とともに(すなわちβの増加とともに)増加するということを示している。
しかしながら、熱量計の熱時定数を考慮に入れる必要があるため、急速すぎる傾斜変化も、測定の温度分解能の点で不都合がある。
この時定数を考慮に入れるには、次いで信号をデコンボリューションする必要があるだろう。それゆえ、調査すべき試料の特性の関数として、パラメータΔTおよびβを最適化する必要がある。
例として、2回の相転移変化に伴い、熱容量が互いに近い温度で突然の変化を2回示す物質を考慮してもよい。これらの変化は導関数
Figure 2011506947
、従って補償示差熱量ΔPCの2つの互いに近いピークによって明らかにされる。そのような状況下では、原則として比較的大規模な信号が生じるが、2つのピークを分離できるように良好な温度分解能で測定する必要がある。従って測定のため、比較的小さな値のΔTおよびβを用いることが好ましい。例えば、ΔTがピーク間の間隔または各ピーク幅の10分の1を超えないことが好ましい。それとは対照的に、熱容量が緩やかなかつ規則的な変化を示す試料に対しては、信号対雑音比を改善するため、温度分解能を犠牲にし得る。
一般に、指標となる基準は、測定が行われる(すなわち傾斜変化によって走査される)温度の値の範囲の振幅の10分の1または100分の1をΔTが通常は超えるべきでないということである。
この発明による測定は、入力補償なしに熱流束モードで行われてもよい。そのような測定を行う場合、試料84'の温度は、熱浴の温度変化から生じる線形増加(傾斜変化)に従うようにサーボ制御されていてもよい。そのような状況下では、2つの試料間の温度差は一定のままではない。ΔT(t)=ΔT0+δT(t)とかける。この温度差を測定すれば、試料の熱容量の温度に関する導関数が測定できる。
以上のことを理解するため、上記の(3)式から開始できる。入力補償モードと違い、熱量差ΔPはKΔT0に等しくなるよう一定に保たれる。
Figure 2011506947
すなわち、
Figure 2011506947
温度上昇が早すぎず、温度差δT(t)が熱量計の時定数と比べて比較的緩やかに変化するならば、項
Figure 2011506947
を無視することにより、上記の(9)式を単純化し得る。左辺および右辺をΔT=ΔT0+δTで割り、ΔCをCS(T+ΔT)−CS(T)に置換して、次の(10)式が得られる。
Figure 2011506947
入力補償法のパラメータβおよびΔTの最適値について、上でなされた見解は、この発明の実施において同様に適用される。
この発明の方法において、測定セル50および51は実質的に同一の物質を含むため、従来技術の方法と比べて、界面の問題に伴う熱的非対称性が除去されることが予想され得る。それにも関わらず、熱量計の製造方法から生じるその他の熱的非対称性が完全に無くなるわけではない。
そのことが、従来技術のように1つの「ベースライン」を決定し、どのベースラインを測定結果から差し引くべきか決定することが適切となり得る理由である。ベースラインは、この発明に従って測定を行うことにより決定される。
簡単にいえば、用いる「試料」は、測定温度の範囲においていかなる変化も示さず、当該範囲の全体にわたって比較的一定の熱容量を有する「中性物質」である。
それにもかかわらず、ベースラインを決定してそれを差し引く段階が、従来技術よりはるかに重要性が低いことに注目すべきである。非対称性から生じる誤差は、一般に
Figure 2011506947
の値の数パーセント(10−2)を超えない。CS(T)が、この発明に従って測定を行うことにより得られるように、その導関数を積分することによって計算されるならば、
Figure 2011506947
、積分定数
Figure 2011506947
は明らかに優勢であり、その積分は、数パーセントまたは千分の幾らか(10−2、10−3)に寄与するだけである。それゆえ、
Figure 2011506947
の測定に影響する非対称に起因する誤差は、全体で熱容量の10−4〜10−5の値を示すのみである。それとは対照的に、従来技術では、非対称の誤差が熱容量測定に直接影響を及ぼし、その数パーセントのオーダーを有する。
この発明の基礎となる理論は、βを定数として
Figure 2011506947
の線形の温度傾斜変化において上で詳細に述べた。実際には、βの値を局所的に規定できるように区分的な線形変化で近似できれば、温度の非線形の時間変化を用いることができる。特に、正弦波状の温度変化を線形または準線形の傾斜変化に重ね合わせる交流熱量測定によって、この発明の方法を実施することも全く可能である。
区分的な線形変化の発想はまた、与える熱量にかかわらず、試料の一方または双方の温度が一定期間、一定に保たれるような状況にも及ぶ。この状況は、例えば一次相転移の存在下で生じる。そのような状況下では、熱容量の概念は一時的に意味を持たなくなり、潜熱の概念に取って代わられる。しかしながら、この発明の方法は、それにもかかわらず、試料の物理的特性についての情報を提供する「熱イベント」を明らかにし得る。同じ状況が従来技術の公知の技術にも起こり得る。
図4は、10℃〜70℃の範囲の温度の関数として、ポリテトラフルオロエチレンの試料の熱容量の曲線を示す。この曲線を、本発明者の実験室で作製したマイクロ熱量計を用いて、温度振動の原理に基づいて操作することにより測定した。用いた試料は、50マイクロメートル(μm)の厚さと、1平方センチメートル(cm2)の面積を有する(約5ミリグラム(mg)の質量を有する)ポリテトラフルオロエチレンの薄膜のディスクである。試料の温度は、毎分摂氏0.5度(℃/分)の傾斜変化を用いて時間変化させ、それに頂点間振幅が0.1℃および周波数0.32ヘルツ(Hz)の正弦波振動を重ね合わせた。図において、292Kと303Kにて、PTFEの特徴である2つの相転移を見出し得る。
論文E. Chateau, J.-L. Garden, O. Bourgeois, and J. Chaussy, Appl. Phys. Lett. 86, 151913 (2005)を参照。
図5は、上記のPTFE試料の規格化(前置増幅器利得、検温器の較正などを考慮した)後の熱容量の温度の関数としての導関数を示す。実曲線C1は、図4の実験の点から数値的に計算した導関数を示す。破線C2は、ΔT0=1.3℃に対するこの発明の示差測定によって得た導関数の直接測定を示す。2つの曲線間の温度のずれは、訂正すべき不自然な結果(artifact)である。この発明の方法は、上記のように、熱容量の導関数の値を平均温度の関数として提供する。図5に現れる垂直のずれは、単に2種類の実験(この発明によるものおよびC(T)の直接測定によるもの)で用いられる電子系のより優れた較正によって、また用いられる多様な検温器のより優れた較正によっても除去し得る。
図6Aおよび図6Bに示すように、曲線C1とC2の拡大図を比較することによって、この発明が雑音レベルの減少を実現し得ることがわかる。
上述において、試料は閉じたセル内に位置すると仮定しているが、そのことは必ずしも必要ではない。
この発明の実施に適した市販の熱量計は、天秤の受け皿状の支えを有するのみであり、検温器および発熱素子を包含し、受け皿の上に単に試料を乗せるだけか、あるいは試料をカプセル内に包み込む。より一般的には、いかなる種類の容器も、この発明の実施に必要な測定セルの供給に適したものとなり得る。
入力補償原理に基づくこの発明の実施は、各セルに付随する個々の発熱または冷却素子によって試料の温度変化が直接得られる試料に基づいて上述される。反対に、入力補償なしの実施は、熱浴によって試料の温度が変化する試料に関して述べられる。
これらの試料は非限定的であることを理解すべきである。すなわち、いかなる測定技術が用いられようとも、直接または熱浴によって、あるいはこれらの両手法の組合せのいずれかによって温度変化を制御するものであってもよい。このことは、すでに従来技術において公知である。
50、51・・・測定セル
52・・・熱浴
53・・・熱的な結合
54、55、62・・・検温素子
56、57、63・・・発熱素子
58、65・・・増幅器
60・・・制御データ処理装置
61、64・・・電流源
66・・・アナログデジタル変換器
67・・・デジタルアナログ変換器
81・・・温度差
84、84' ・・・試料
85・・・基準物質

Claims (15)

  1. 等価条件下で温度変化に付される2つの試料(84、84')間の物理的パラメータの示差測定法を含み、
    前記2つの試料は、組成および熱特性が実質的に同一であり、測定の開始時に既知の大きさの初期温度差を示すことを特徴とする、試料の熱特性を測定する熱分析方法。
  2. 前記示差測定法が、前記2つの試料の熱容量、前記熱容量の温度に関する導関数または潜熱から選択された1つの試料の熱特性を測定するのに役立つ、請求項1に記載の熱分析方法。
  3. 前記測定が、示差温度分析によって行われ、前記2つの試料間の温度差の時間変化を測定し、
    前記温度差の時間変化から前記熱特性を測定する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記測定が、入力補償型示差走査エンタルピー測定によって行われ、
    前記2つの試料(84、84')にまたは前記2つの試料(84、84')から差分熱量を与えまたは引き出して、前記温度差を前記測定の間一定に保ち、
    前記差分熱量から前記熱特性を測定する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記測定が、熱流束差走査エンタルピー測定によって行われ、
    前記2つの試料(84、84')を同一の既知の熱伝導率(53、K)によって熱浴(52)に結合し、
    前記2つの試料(84、84')と前記熱浴(52)との間を流れる熱流束の差の時間変化を測定し、
    前記熱流速の差の時間変化から前記熱特性を測定する、請求項2に記載の方法。
  6. 前記2つの試料(84、84')が付される前記温度の時間変化が、少なくとも部分的には、前記2つの試料を熱浴(52)に結合することにより得られ、
    前記熱浴(52)が、温度の時間変化に同様に付される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
  7. 前記2つの試料(84、84')が付される時間変化が、少なくとも部分的には、各試料に付随する個々の加熱または冷却手段(56、57)によって得られる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
  8. 前記示差測定の結果の数値積分の段階をさらに含み、前記測定が行われた温度範囲内の前記2つの試料(84、84')の熱容量を測定する、請求項2〜7のいずれか1つに記載の方法。
  9. 前記2つの試料が付される温度の時間変化が、実質的に線形または区分的に線形である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
  10. 前記2つの試料間の初期温度差が、測定が行われる温度の変動範囲の10分の1以下、好ましくは100分の1以下である、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. 示差熱量計測定ヘッド(TM)を備え、
    さらに前記測定ヘッドを制御し、測定によって得られたデータを分析する制御手段(MCA)および請求項1〜10のいずれか1つを実施するために調整されている制御手段を含む、試料の熱特性を測定する熱分析装置。
  12. 前記の示差熱量計測定ヘッド(TM)が、示差熱分析を行うヘッドであって、
    実質的に同一の熱特性を有し、前記2つの試料(84、84')を収容する2つの容器(50、51)と、
    前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えるまたは引き出す手段(56、57、63)と、
    前記初期温度差を与えるため前記2つの試料を選択的に加熱または冷却する加熱または冷却手段(56、57)と、
    前記2つの試料間の瞬時の温度差および前記2つの試料のうち少なくとも1つの試料の温度の時間変化率を測定する測定手段(54、55、58)を備え、
    前記制御分析手段(MCA)は、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えまたは引き出して、前記2つの試料が前記温度変化に付されるように調整された前記手段(56、57、63)を制御する制御手段(60、67、70)と、
    少なくとも前記初期温度差、前記2つの試料のうち1つの試料の温度の時間変化率、および前記2つの試料間の瞬時の温度差の情報から試料の前記熱特性を計算する手段(60)を備える、請求項11に記載の熱分析装置。
  13. 前記の示差熱量計測定ヘッド(TM)が、入力補償型示差走査熱量測定用のヘッドであって、
    実質的に同一の熱特性を有し、前記2つの試料(84、84')を収容する2つの容器(50、51)と、
    前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えるまたは引き出す手段(56、57、63)と、
    前記2つの試料間の瞬時の温度および温度差を測定する測定手段(54、55、58)を備え、
    前記制御分析手段は、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えまたは引き出して、前記2つの試料の温度差を一定かつ前記初期の差に等しく保つ間、前記2つの試料が前記2つの試料の温度の前記時間変化に付されるように調整された、前記手段(56、57、63)を制御する制御手段(60、67、70)と、
    少なくとも前記初期温度差、前記2つの試料の温度の時間変化率、および前記温度差を一定に保つために対応する手段によって、前記2つの試料に与えられるまたは前記2つの試料から引き出される熱量差の情報から試料の前記熱特性を計算する手段(60)を備える、請求項11に記載の熱分析装置。
  14. 前記の示差熱量計測定ヘッド(TM)が、熱流束示差走査熱量測定のためのヘッドであって、
    実質的に同一の熱特性を有し、前記2つの試料(84、84')を収容する2つの容器(50、51)と、
    前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えるまたは引き出す手段(56、57、63)と、
    前記2つの試料間の前記初期温度差を与えるため前記容器を加熱または冷却する加熱または冷却手段(56、57)と、
    前記2つの試料の瞬時の温度、前記2つの試料間の温度差、および各試料に入るまたは各試料から出る熱流束を測定する測定手段(54、55、58)を備え、
    前記制御分析手段は、前記2つの試料にまたは前記2つの試料から熱量を与えまたは引き出して、前記2つの試料が前記温度変化に付されるように調整された、前記手段(56、57、63)を制御する制御手段(60、67、70)と、
    少なくとも前記熱交換係数、前記初期温度差および前記2つの試料のうち1つの試料の温度の時間変化率、および前記2つの試料間の瞬時の温度差の情報から試料の前記熱特性を計算する手段(60)を備える、前記の請求項11に記載の熱分析装置。
  15. 前記容器が、同一の既知の熱伝導率(53、K)によって熱浴(52)に熱的に結合し、前記熱浴が熱量を与えるまたは引き出す手段(63)を備え、前記容器の温度の時間変化を生じさせる、請求項11〜14のいずれか1つに記載の熱分析装置。
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