JP2011506860A - フライホイール - Google Patents

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Abstract

【解決手段】本発明は、エネルギー貯蔵用のフライホイールを構成する装置および方法に関する。フライホイールは、駆動伝達要素(60)と、質量要素を備えるリム(10)とを有し、駆動伝達要素は巻線(80)によってリムに結合される。
【選択図】図7

Description

本発明は、エネルギーを貯蔵するフライホイールを構成する装置および方法に関する。
運動エネルギーのかたちでエネルギーを貯蔵する、例えば車両で用いられるフライホイールが知られている。この場合、車両の減速時に車両の制動システム内で熱に変換されるようなエネルギーを貯蔵するためにフライホイールを使用することが知られている。この貯蔵されたエネルギーは、必要に応じて車両を加速するために利用することができる。
図1による既知のタイプのフライホイールは、中心に金属支持部(1)を有し、金属支持部がシャフトなどの中心サポートに取り付けられる。少なくとも一つの複合材料リング(2)が中心支持部上に取り付けられる。このタイプのフライホイールにおける複合材料リングは、カーボンファイバーで巻き付けられたフィラメントである。フライホイールが回転すると、リングに作用する遠心力のために、リングが直径方向に広がる傾向にある。リングは、フライホイールが回転するときの遠心力に対抗するために高いフープ強度を有する。しかしながら、外側のリングの中心支持部に対するはめ合いが緩くなり、潜在的に(危険なことに)中心支持部から外れる可能性がある。加えて、半径方向の応力により複合材料リングが破壊する可能性がある。
リングが伸びようとする傾向に対抗するために、典型的にリングは中心支持部の外形よりも小さな内径に加工され、締まりばめによって中心支持部に取り付けられる。この直径の不一致により、リングが中心支持部に対して内向きの力を及ぼすプレロードが生じる。この内向きのプレロードは、フライホイールが回転していないときに最大となるので、フライホイールの静止時に中心支持部がプレロード力に耐えうる十分な構造強度を有することが要求される。二つ以上の複合材料リングが互いに押し付けられ、さらに中心支持部に取り付けられることが知られている。プレロードは、互いに押し付けられるリングの数とともに、フライホイールの中心に向けて増加する。結果として、このプレロード力に対抗するために、フライホイールの中心支持部には大量の材料が必要になる。フライホイールの中心近くにあるこの材料は、フライホイールの回転慣性を非常に非効率に増加させるに過ぎない。
さらに、既知のシステムでは、複合材料リングの最大応力定格を越えるとリングが破壊してしまう。上述の既知のタイプのフライホイールでは、中心支持部がプレロードにより複合材料リングに外向きの力を及ぼす。この力は、フライホイールの回転時にリングに作用する遠心力と同一の方向である。したがって、フライホイールが最大速度で回転しているとき、リングは、プレロード力と遠心力の合計に十分対抗するほどの強度がなければならない。したがって、この既知のタイプのフライホイールにおける別の問題は、プレロードがフライホイールの最大回転速度を低下させることである。
既知のシステムに伴う別の問題は、フライホイールが例えば車両のトランスミッションに結合される場合、高い過渡トルクレベル(例えば、車両のギヤボックス比が急激に変更すると、フライホイールの急速な加減速が要求される)をすべりなしにフライホイールに伝達するために、通常はスプラインカップリングが必要とされることである。
本発明は特許請求の範囲で示される。本発明の第1の態様によると、駆動伝達要素と、質量要素を有するリムとを備え、リムと駆動伝達要素が巻線によって結合されるフライホイールが提供される。
本発明の第1の態様によると、質量要素と駆動伝達要素との間のプレロードが与えられた締まりばめ(interference fit)を必要とせずに、質量要素を含むリムを巻線が駆動伝達要素(例えば、シャフト)上に支持する。これにより、プレロード力に対抗するためのしっかりとした中心支持部が不要になり、フライホイールにおける慣性上非効率な質量の量が低減される。さらに、フライホイールの回転速度が増加すると、リムが駆動伝達要素上にさらにしっかりと固定される。この利点のため、回転速度が増加してリムに作用する遠心力によってリムの直径が増加すると、巻線がきつく締められるようになる。
さらに、駆動伝達要素と質量要素の間に実質的にプレロードがないので、中心支持部のプレロードに対する反作用に対抗するために使用されるリムの引張強度の一部が不要になる。これにより、フライホイールをさらに速い回転速度で動かすことができ、所与のフライホイール質量および回転速度に対してさらに大きなエネルギーを貯蔵できるようになる。よって、所与のフライホイール重量に対してより高いエネルギー貯蔵密度が実現される。
本発明の第2の態様によると、質量要素と、少なくとも一部が質量要素の半径方向外側に配置される円周支持要素と、を有するリムがフライホイールに設けられる。一実施形態では、円周支持要素は、リムと駆動伝達要素とを結合する巻線の半径方向の最も外側の部分を備えることができる。
本発明のこの態様では、強化要素が質量要素の半径方向外側にあるために、回転速度が増加するときにリムの直径が増加して支持要素から離れるというリムの傾向が低下するので、実質的なプレロードを必要とせずに質量要素を支持することができる。フライホイールの回転速度が増加すると、遠心力によって質量要素が支持要素に向かって力を受ける傾向になり、したがって二つの要素間でのはめ合いの安全性が向上する。よって、より効率的な方法で遠心力に対抗することで、実現可能な回転速度をさらに高め実現可能なエネルギー貯蔵密度をさらに高めるために、フライホイールの構成に使用される材料の利用可能な強度が使用される。
別の実施形態では、質量要素は密度の高い液体である。適切な密度の高い液体は水銀である。これは、質量要素が自己平衡的になるという利点をもたらす。
本発明の第3の態様では、例えばシャフトである駆動伝達要素が実質的にねじりコンプライアンスを有する(torsionally compliant)フライホイールが提供される。このねじりコンプライアンスを有する駆動伝達要素を組み込んだフライホイールは、質量要素を含むリムと巻線によって結合されてもよい。
本発明のこの態様における駆動伝達要素のねじりコンプライアンスは、駆動伝達要素のカップリングにわたるピークトルクレベルが低下するように、ばねがエネルギーを貯蔵するのと同様の方法でエネルギーを貯蔵可能とするクッション効果(cushioning effect)を提供する。これにより、スプラインカップリング以外のカップリング手段の使用が可能になる。例えば、スプラインカップリングよりもピークトルク処理能力の低い摩擦カップリングまたは磁気カップリングを使用してもよい。
別の態様では、本発明はフライホイールの製造方法または組み立て方法を含む。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
既知のフライホイールの説明である。 本発明の一実施形態の等角図である。 図2の実施形態の断面図である。 シャフト構造の図である。 巻線パターンの詳細図である。 シャフトでの巻線の図である。 代替的なリムでの巻き付け方法を示す図である。
概要として、本明細書で述べる装置および方法は、フライホイールエネルギー貯蔵デバイスに関する。デバイスの構築に使用される材料が慣性上効率的な態様で配置され、支持構造が張力を受ける。質量要素を備えるリムは、例えば圧縮締まりばめによって内面に保持されるのではなく、駆動伝達要素の周りを通る巻線によって外面の適切な位置に保持される。
他の態様では、支持要素がリムを取り囲んで遠心力に対抗し、またねじりコンプライアンスを有するかまたは弾性のあるシャフトなどの駆動伝達要素を設けることができる。
巻線は以下で述べるように多くの方法で構成することができ、また巻線にプレテンションを与えることができる。駆動伝達要素は、巻き付けられたカーボンファイバーで構成される中空のシャフトであってもよい。リムは円周支持部材を備えてもよく、また支持部材の半径方向内側に取り付けられた質量要素を備えてもよい。
実施の形態では、例えば巻き付けられたカーボンファイバーと樹脂などの複合材料でリムが構成されてもよい。質量要素は、強化要素の中に圧入されたり成型されたリングであってもよい。代替的に、質量要素は、鋳造、ドリル、プレス、または強化要素の内側への接着取り付けによってリムの中に組み込まれた一つ以上の高密度要素であってもよい。
駆動伝達要素は例えば中空のシャフトであってもよく、巻き付けられたカーボンファイバー複合材料で形成されてもよい。複合材料は、シャフトの曲げおよびシャフトのねじりの両方がファイバー長さの変化を生じるような方向に配向されたファイバーを用いて巻き付けられてもよい。したがって、これらの変形は、長さの変化に抵抗するファイバーの自然傾向によって抵抗を受ける。これにより、ねじり動作に対してコンプライアンスを有するようにシャフトを形成することができる。
図2および図7を参照すると、高い慣性を効率的に得るために、例えば比較的重い材料のリングで構成される質量要素(10)を備えるリム(50)が、中央回転軸(20)を与えるシャフト(60)などの駆動伝達要素から、フライホイール(30)のサイズと比較して大きな半径に配置される。質量要素(10)は、慣性を効率的に与えるために高い密度を有する。適切な材料は、例えば鉛、鋼鉄であってもよいが、他の材料も使用可能である。質量要素(10)は、フライホイール(30)の回転時に応力を受けるが、この応力は遠心力によって引き起こされる。
質量要素の半径方向外側には外側円周支持部材(40)が配置される。支持部材(40)は高いフープ強度を有し、フライホイール(30)の回転時に質量要素(10)に作用する遠心力に対抗することができる。支持部材(40)は、フープに高い強度を与えるために、円周方向に巻かれたカーボンファイバー複合材料であることが好ましい。図示の実施形態では、支持部材(40)と質量要素(10)が効率的に接合されてリム(50)を形成するように、わずかな締め付けのプレロードで支持部材(40)が質量要素(10)の上に押し付けられている。プレロードはフライホイールの静止時に二つの要素を締まりばめで保持する機能を有するに過ぎないので、プレロードは小さくてよい。代替的に、二つの要素は接着剤または類似物で接合されてもよい。質量をフライホイールのリムの近傍に集中させる効率的な質量配置によって、所与のエネルギー貯蔵能力に対して軽量のフライホイールが得られる。図2に示した質量要素は連続リングであるが、代替的に、質量要素が別々のリング部分であってもよいし、または不連続の質量要素であってもよい。例えば、図7に示す代替的な構成では、支持部材(40)の受け入れ穴の中に、リングとしてまたは不連続要素として質量が挿入されるか成形されてもよい。
図2、5および6を参照すると、巻線がリム(50)をシャフト(60)に結びつけている。シャフト(60)からリム(50)に延びる実質的または部分的な半径方向部分(80)と、リム(50)の周りに延びる実質的に軸方向の部分(90)とを含むように、巻線が構成される。図示の実施形態では、巻線は、以下のように進行する巻線操作で巻き付けられたフィラメントである。すなわち、シャフト(60)からリム(50)への半径方向部分、「スリング」を形成するためにリム(50)の上を通る軸方向部分、そしてリム(50)からシャフト(60)へと戻る半径方向部分が繰り返し形成される。巻線(87)は、いくつかの操作の間にシャフト(60)の円周を少なくとも部分的に通過してもよいが、巻線操作の繰り返し過程の全てで通過する必要はない。巻線(80、90)は、遠心力によってリム(50)が伸びるとわずかに伸張し、リムに対抗力を生じさせる。これによって巻線(80、90)は、質量要素(10)に作用する遠心力に抵抗し、またリム(50)の半径方向の伸びに抵抗することで、リム(50)の支持部材(40)を補助する。巻線(80、90)は、カーボン、グラスファイバー、ケブラー、ザイロンまたはナイロンを含むファイバーで作られてもよいし、応力の小さい金属ワイヤで作られてもよい。結果として、中心支持部またはスポークなどの、より重い取り付け部を配置する必要がなくなる。
質量要素が延性のある材料または展性のある材料である実施形態では、以下の方法による製造の間、支持部材(10)と巻線(80、90)に対してプレテンションを与えることができる。駆動伝達要素(60)とリム(50)とが巻線によって結合され、リム(50)が質量要素(10)と外側支持部材(40)とを含むフライホイールが、本明細書で上述した方法で組み立てられる。この段階では、内側に加えられるプレロードは必要ないか、または無視できる程度である。続いて、質量要素(10)にかかる遠心力がフライホイールの最大引張強度以下の力を発生させるような十分に高い角速度でフライホイールが回転される。その結果、質量要素(10)が外側に押し戻され、その円周が増加する。質量要素(10)の円周の増加は、質量要素(10)と支持部材(40)の間の締まりばめを強固にし、これによって支持部材(40)を引き延ばしプレテンションが与えられ、また巻線(80、90)を引き延ばしプレテンションが与えられる。遠心力下での質量要素(10)の変形傾向が支持部材(40)の変形傾向よりも大きくなるように、質量要素(10)のヤング率は支持部材(40)のヤング率よりも小さな低から中程度である。この操作の結果、支持部材(40)と巻線(80、90)の両方にプレテンションが与えられる。このようにすると、巻線を追加する前に締まりばめによって質量要素(10)を支持部材(40)にフィットさせることで支持部材(40)のみにプレロードが与えられる結果と比較して、支持部材(40)と巻線(80、90)の両方にプレテンションが与えられる。他の実施形態では、上述の方法を用いて支持部材のみにプレテンションを与えることができる。
他の実施形態では、水銀などの極めて低いヤング率を有する材料が質量要素(10)を構成する。水銀などの密度の高い液体を使用すると、質量要素(10)が自動で平衡を保つフライホイールが実現する。支持部材(40)は、支持部材(40)の半径方向内側に質量要素(10)を拘束する。
質量要素(10)の構成に用いられる適切な延性材料または展性材料は、それらの降伏強度の第1点と比較して大きな最大引張強度を有しており、材料の最大引張強度を越えるというリスクを冒すことなく、上述の製造工程の間にその材料の降伏点を越えうる十分に大きな延性領域を定義する。降伏強度対最大引張強度の適切な比率は、約1:2である。質量要素(10)に用いられる材料は、フライホイールの他の部分(例えば、外側支持部材(40)と巻線(80、90))の破壊が避けられるような適度のフライホイール速度で越えることができるような、十分に低い降伏第1点を有している。材料は以下のような特性も有している。すなわち、プレロード過程を生じさせる遠心力によって質量要素(10)に十分大きな円周方向の変形が生じ、通常動作中に遭遇する典型的な回転速度で回転しているときに、支持部材(40)と巻線(80,90)の変形が、質量要素(10)に作用する遠心力と十分に対抗できるプレロードを生じさせるような特性である。
質量要素(10)に延性がなく上述の方法を用いてプレロードが与えられない実施形態では、質量要素の最大引張強度が支持部材(40)の最大引張強度と近く、質量要素(10)の降伏強度が支持部材(40)の最大引張強度と可能な限り近いことが好ましい。
図5を参照して、シャフト(60)からリム(50)までの巻線部分(80)の角度は、シャフト(60)とリム(50)の間でのトルク伝達特性を決定するように選択されてもよい。使用される角度は、i)シャフト円周に対する接線と、ii)シャフト円周に対して直角の間で選択されてもよい。シャフト(60)に対して直角に近い角度を選択すると、質量要素(40)に作用する遠心力に対抗するという巻線(80)の貢献が強化される。シャフト円周に対する接線に近い角度が選択されると、リム(50)とシャフト(60)との間での巻線(80)のトルク伝達性能が強化される。巻線のなす貢献を最適化するために、上述の角度範囲内で妥協した角度を選択することができる。巻線(80、90)は引っ張られているときにのみトルクを伝達することができるので、半径方向巻線部分(80)を時計回り方向(85)および反時計周り方向(86)の両方で構成することができる。この結果、フライホイールが加速されているか減速されているかに応じて、時計回り巻線部分(85)または反時計回り巻線部分(86)のいずれかが引っ張られた状態になる。さらに、引っ張り支持の強度を変えるために、その周囲に巻線が配置されるシャフトに沿った軸方向部分を変更することができる。
図2を参照して、巻線(80、90)の巻数と、その結果としての強度を変更することができる。同様に、カーボン支持部材(40)内のファイバーの巻数も、その強度を変えるために変更することができる。質量要素(10)に作用する遠心力に対する反作用は、支持部材(40)からの反作用と巻線(80、90)からの反作用の組み合わせである。それぞれの要素からの相対的な貢献は、巻線(80、90)の巻数と、支持部材(40)の巻数とを変えることで変更することができる。一態様では、支持部材(40)を完全に取り除いて、質量要素に作用する遠心力に対して巻線(80、90)のみによって対抗させてもよい。さらに、巻線は全周で連続的に延びてもよいし、あるいは個々のファイバーまたはファイバー群の間が円周方向にあるギャップで中断されてもよい(「はしごの段(spoke)のような」構成となる)。例えば、質量要素が複数の不連続な要素である場合、リム(90)における巻線と不連続な質量要素とを揃えるようにしてもよい。
図3を参照して、シャフト(60)であってよい駆動伝達要素上のキャリア部(70)によって、リム(50)が少なくとも一時的に支持される。キャリア部は、フライホイール全体の質量を低下させ質量を周縁部に集中させるために、軽量の材料で作られることが好ましい。キャリア部は、例えば、木、ろう、樹脂、または他の軽量材料で作られてもよい。キャリア部によって、製造中に巻線を付けている間に駆動伝達要素上にリムを取り付けることが可能になる。巻線をリムおよび駆動伝達要素に貼り付けた後、腐食、溶解、融解または昇華によってキャリア部を取り除いてもよいし、取り除き可能としてもよい。
巻線とキャリア部はリムと比較すると軽量であるので、フライホイールの質量の大半がリムの近傍に位置し慣性的に効率が最も高くなるように、質量要素を備えるリムを有するフライホイールを構成することができる。キャリア部(70)は、シャフト(60)および/またはリム(50)に接着されてもよい。
図4を参照して、シャフト(60)は中実であってもよいが、その質量を減らすために中空であることが好ましい。シャフトは、ねじりコンプライアンスを有しつつ軸方向に堅くなるように編まれたカーボンファイバー複合材料であることが好ましい。しかしながら、シャフトは、ガラス繊維、鋼鉄、チタン、他の金属または複合材料などの他の材料で作られてもよい。ファイバー複合材料のシャフトの場合、ファイバーの編みパターンは、曲げおよびねじりに対する抵抗の度合いに影響を及ぼすように変更したり、またシャフトのねじりコンプライアンスを微調整するよう変更したりすることができる。シャフトは、その上にプレスされるか接着された一つ以上の軸受け面(65)有していてもよい。一つ以上の軸受け面(65)が駆動カップリング(66)を含んでいてもよいし、あるいは別の駆動カップリングをシャフト上に接着するかプレスしてもよい。シャフトのねじりコンプライアンスは、駆動カップリングのピークトルクレベルを制限する効果を有している。したがって、スプライン駆動カップリングよりもピークトルク処理能力が低い駆動カップリング(例えば、摩擦カップリングや磁気カップリング)の使用が可能になる。
図3および図6を参照することで、フライホイールの製造をさらに理解することができる。巻線(80、90)は、「ウェットワインディング(wet winding)」プロセスによって形成することができる。このプロセスでは、例えば樹脂または接着剤を使用するバインダーを用いる。巻線(80、90)を形成するファイバーに樹脂または接着剤を含浸させ、樹脂または接着剤がまだ「濡れて」いる間に、すなわち樹脂または接着剤が硬化していない状態で巻線を巻き付ける。代替的に、巻線(80、90)が支持部材(40)にくっつくように、巻線(80、90)を形成する過程の前にまたはその過程の間に、支持部材(40)に樹脂または接着剤をコーティングしてもよい。同様に、巻線(80、90)がシャフト(60)にくっつくように、巻線過程の前にまたはその過程の間に、シャフト(60)に樹脂または接着剤をコーティングしてもよい。これらの技術により、シャフト(60)とリム(50)の間でのトルク伝達が強化される。代替的に、巻線(80、90)、シャフト(60)およびリム(50)の間で締まりばめを使用してもよい。
図7を参照して、巻線(80、90)と支持部材(40)を別々の巻かれた要素として述べてきた。しかしながら、例えば巻線(80、90)のターンと支持部材(40)のターンとを交互に配置することによって、両方の要素を組み合わせることが可能である。また、最初に支持部材(40)を形成し、支持部材を通る穴を形成し、その後に支持部材(40)内の穴(45)を通して巻線部分(80、90)を有する巻線(80、90)を形成することも可能である。支持部材(40)に接触する巻線(90)の部分内で応力を分散するために、支持部材(40)の形状は半球状またはパラボラ状であってもよい。任意のなめらかな断面外形形状が適切であると考えられる。
図2ないし図5を参照して、キャリア部(70)へのアクセスを維持するように、リム(80、90)の巻線部分の間に空間を残してもよい。キャリア部(70)は、巻線(80、90)が形成された後に、適切な位置に残されてもよいし、あるいは爆破、腐食、溶解、融解または昇華によって取り除かれてもよい。キャリア部は、例えばセラミック、樹脂、ろうまたはこの動作を可能とする他の適切な材料で作られてもよい。キャリア部(70)を取り除くことで、慣性的に効率の悪い質量の比率がさらに低い、さらに軽量のフライホイールが実現される。キャリア部を取り除いた場合、巻線は、駆動伝達要素のリムを支持する唯一の実体手段となる。
代替的なアプローチでは、フライホイールは、フープ強度を与える円周方向支持部材と、巻線の代わりに従来の中心支持部を用いて取り付けられたリングとを備えるように構成することができる。
使用時に、フライホイールは、エネルギーの貯蔵または安定などの他の目的のために車両または任意の他の適切な設定に取り付けることができる。また、フライホイールは、駆動伝達要素を介して、必要に応じてモータ、エンジン、発電機などの駆動供給部品または駆動受け取り部品に対して結合または分離することができる。
上述した構成の結果として、より強力でより効率的なフライホイールが得られることが理解されるだろう。

Claims (47)

  1. 駆動伝達要素と、質量要素および該質量要素の半径方向外側に少なくとも一部が配置された円周支持要素を備えるリムと、を有し、
    前記駆動伝達要素が巻線によって前記リムに結合されることを特徴とするフライホイール。
  2. 前記巻線がファイバーであることを特徴とする請求項1に記載のフライホイール。
  3. 前記ファイバーがカーボンであることを特徴とする請求項2に記載のフライホイール。
  4. 前記巻線に樹脂または接着剤が含浸されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフライホイール。
  5. 前記巻線に張力がかかっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフライホイール。
  6. 前記駆動伝達要素がシャフトであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のフライホイール。
  7. 前記巻線が前記シャフトの円周の周りを少なくとも部分的に通過することを特徴とする請求項6に記載のフライホイール。
  8. 前記巻線が前記リムの外側の周りを通過することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のフライホイール。
  9. 前記巻線がリムを通り抜けることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のフライホイール。
  10. 前記支持要素が円周方向に巻かれたファイバーを含むことを特徴とする請求項1に記載のフライホイール。
  11. 前記巻線が、前記駆動伝達要素と前記リムとの間に延びる実質的に半径方向の部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のフライホイール。
  12. 前記半径方向の部分が、前記駆動伝達要素の円周面に対する法線方向から時計回りにおよび反時計回りに巻かれることを特徴とする請求項11に記載のフライホイール。
  13. 前記巻線が、前記リムの周りにまたは前記リムを通って延びる実質的に軸方向の部分を含むことを特徴とする請求項11または12に記載のフライホイール。
  14. 前記軸方向の巻線部分が、前記リムの円周の周りに実質的に等間隔で配置されることを特徴とする請求項13に記載のフライホイール。
  15. 前記駆動伝達要素が、実質的にねじりコンプライアンスを有する駆動伝達要素を含むことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載のフライホイール。
  16. リムを有するフライホイールであって、
    前記リムが質量要素および円周支持要素を含み、
    前記支持要素が前記質量要素の半径方向外側に少なくとも部分的に配置されることを特徴とするフライホイール。
  17. 前記円周支持要素が円周方向に巻かれたファイバーを備えることを特徴とする請求項16に記載のフライホイール。
  18. 前記円周支持要素がさらにバインダーを備えることを特徴とする請求項17に記載のフライホイール。
  19. 駆動伝達要素と巻線とをさらに備え、前記巻線が前記駆動伝達要素および前記リムと結合することを特徴とする請求項16ないし18のいずれかに記載のフライホイール。
  20. 前記リムのエッジが半球状またはまたは放物線断面形状であることを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載のフライホイール。
  21. 前記質量要素が、前記支持要素に圧入されるか、支持要素の中に成型されるか、支持要素に接着されるか、または前記支持要素の受け入れ孔の中に挿入されることを特徴とする請求項16ないし20のいずれかに記載のフライホイール。
  22. 前記質量要素が延性を有することを特徴とする請求項1ないし21のいずれかに記載のフライホイール。
  23. 駆動伝達要素をさらに備え、
    前記駆動伝達要素が実質的にねじりコンプライアンスを有する駆動伝達要素であることを特徴とする請求項16ないし22のいずれかに記載のフライホイール。
  24. 実質的にねじりコンプライアンスを有する駆動伝達要素を有するフライホイール。
  25. 前駆動伝達要素がシャフトであることを特徴とする請求項24に記載のフライホイール。
  26. 前記シャフトが中空であることを特徴とする請求項25に記載のフライホイール。
  27. 前記駆動伝達要素がファイバーで巻かれた複合材料を備えることを特徴とする請求項24ないし26のいずれかに記載のフライホイール。
  28. 前記複合材料が樹脂または接着剤を含むことを特徴とする請求項27に記載のフライホイール。
  29. リムをさらに備え、
    前記リムが巻線によって前記駆動伝達要素に結合されることを特徴とする請求項24ないし28のいずれかに記載のフライホイール。
  30. キャリア部を備え、
    前記フライホイールのリムが、前記キャリア部によって前記駆動伝達要素に対して適切な位置に保持されることを特徴とする請求項1ないし29のいずれかに記載のフライホイール。
  31. フライホイールの構成方法であって、
    質量要素と該質量要素の半径方向外側に少なくとも一部が配置される円周支持要素とを備えるリム、および駆動伝達要素の周りに巻線を設けることを含む方法。
  32. 前記駆動伝達要素から前記リムまで半径方向に進み、前記リムの周囲で軸方向に進み、前記リムから前記駆動伝達要素まで半径方向に進む経路にファイバーを巻き付けることによって、前記巻線が設けられることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 前記巻線が、時計回り方向および反時計回り方向の両方で前記駆動伝達要素の周りに巻き付けられることを特徴とする請求項31または32に記載の方法。
  34. 前記巻線が、半径方向の巻線部分を分離する軸オフセットまたは角度オフセットの少なくとも一つが存在するように巻かれることを特徴とする請求項32または33に記載の方法。
  35. 前記巻線にバインダーが含浸されることを特徴とする請求項31ないし34のいずれかに記載の方法。
  36. 前記バインダーが未硬化状態にあるときに前記巻線が巻かれることを特徴とする請求項35に記載の方法。
  37. 前記巻線操作が実行されている間に、前記リムがキャリアによって前記駆動伝達要素上に支持されることを特徴とする請求項31ないし36のいずれかに記載の方法。
  38. 前記巻線操作の完了後、前記キャリアが取り除かれることを特徴とする請求項37に記載の方法。
  39. 腐食、溶解、融解または昇華のうち少なくとも一つによって前記キャリアが取り除かれることを特徴とする請求項38に記載の方法。
  40. 前記質量要素を内側に促すように、前記支持部材にプレロードが与えられることを特徴とする請求項39に記載の方法。
  41. 前記質量要素が延性を有しており、前記質量要素に作用する遠心力によって質量要素が外側に押し戻されるようにフライホイールを回転させることによって、前記巻線および前記質量要素の両方にプレロードが与えられることを特徴とする請求項39に記載の方法。
  42. 前記フライホイールが、通常の動作回転速度よりも速い速度で回転することを特徴とする請求項40に記載の方法。
  43. 延性材料である質量要素と、該質量要素の半径方向外側に少なくとも一部が配置される円周支持要素と、を有するフライホイールを構成する方法であって、
    前記質量要素に作用する遠心力によって質量要素が外側に押し戻されるようにフライホイールを回転させるステップを含む方法。
  44. 前記質量要素および支持要素がリムを備え、
    前記リムを巻線によって駆動伝達要素に結合することを含む請求項42に記載の方法。
  45. 前記フライホイールが、通常の動作回転速度よりも速い速度で回転されることを特徴とする請求項43または44に記載の方法。
  46. 図面を参照して明細書で実質的に説明されたフライホイールまたは方法。
  47. 駆動伝達要素と、質量要素を備えるリムとを有するフライホイールであって、
    前記駆動伝達要素が巻線によって前記リムに結合されることを特徴とするフライホイール。
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