JP2751551B2 - 糸条の巻取装置 - Google Patents

糸条の巻取装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、糸条の巻取装置に関し、詳しくは巻き取
りスピンドルが小径、かつ長尺でありながら振動防止に
も優れた高速巻き取りが可能な糸条の巻取装置に関す
る。
〔従来の技術〕
近年、糸条の巻取装置において、生産性の向上を図る
ために糸条を5000m/分以上の高速で巻き取るスピンドル
の高速化と、生産性のより一層の効率化を図るために一
回の巻取で複数の巻取パッケージが得られるボビンの多
山化、すなわちスピンドルの長尺化が試みられている。
このような長尺型で、かつ、多山化した巻取装置として
は、EP−234,844が知られている。
ところで、ボビンの多山化は、スピンドルへの装着ボ
ビン数が多いため、ボビンの消費量も膨大な数に上る
が、昨今ではボビンの管理費、回収費およびこれらに要
する人件費などに多額の費用を要することからボビンは
殆ど回収されることなく、一回の使用で使い捨てにされ
ているのが現状である。一般にボビンコストは材料費が
支配的であるから、ボビン径の小さいものが当然に安価
になる。また、ボビン径が小さくなると、一回の巻取で
巻き取れる糸条重量が増加するから、ラージパッケージ
化にも寄与することになる。
従って、糸条の巻取装置においては、上記スピンドル
の高速化、長尺化の他にボビンの小径化、すなわちスピ
ンドルの小径化も同時に要求されている。
従来、このようなスピンドルの高速化、長尺化、小径
化を同時に解決した巻取装置としては、実用的なものが
見出されていないのが現状である。すなわち、従来の巻
取装置の性能としては、ボビン内径が120mm、装着ボビ
ン全長が1200mm、材質が金属製のスピンドルによる巻取
装置で糸速が5000〜6000m/分の糸条を巻き取っていた。
一方、繊維強化複合材料を回転体の材質として用いた
ものが遠心分離機の分野では散見されてはいるが、糸条
の巻取装置の分等においては、スピンドルを繊維強化複
合材料で構成すると、繊維強化複合材料製のスピンドル
は従来の金属製スピンドルに比べて表面硬度、耐衝撃
性、耐摩耗性などの機械的強度が格段に劣るため、すな
わちボビンホルダの筒状体とその外周に配置されるボビ
ン保持具との間の摺動部、筒状体とボス、ボスと駆動軸
との結合部分、駆動軸を支承する軸受部などにおいて度
重なる使用による摩耗、この摩耗によるガタ、振動など
が発生して信頼性、耐久性に随分と劣るため、未だ実用
には供されていないのが現状であった。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、繊維強化複合材料からなる糸条の巻取装置の
スピンドルは、その高速性能を発揮させるためには、上
記摺動部、結合部、軸受部などにおける加工精度、表面
硬度などが高精度であること、しかもこの精度は回転に
よる振動、パッケージ重量、上記結合部での締付け力な
どの外乱、応力などによって経時変化せず、維持される
ことが必要である。
また、金属製の長尺の小径スピンドルで高速巻き取り
が可能な巻取装置を得ようとすると、スピンドルの長尺
化は必然的にスピンドルの剛性、支持構造の脆弱化を招
くことより、スピンドルの強度不足に起因する振動の問
題が新たに発生し、高速巻取の障害となる。
一般に回転体、特に高速スピンドルは、巻き始めから
巻終りまでの回転数領域において、激しい曲げ振動を発
生させる危険速度のない領域で使用することが安定した
巻取をするための必須条件とされる。この場合、危険速
度ωは、スピンドル質量をm、スピンドルの剛性を
k、スピンドル長さをL、スピンドルの支持条件で定ま
る定数をαとすると、i=nのときの第n次危険速度
ωは下式(1)で決まる。
(機械工学便覧(日本機械学会編)、A3編第52頁) ここで、ボビン径、ボビン全長を決めると、このボビ
ンを装着するスピンドル全長L、スピンドル外径が必然
的に定まるので、スピンドルの断面二次モーメントI、
断面積Aが定まる。次いでスピンドル材質を決めると密
度ρ、ヤング率Eが定まるので、スピンドルの質量m
(m=ρAL)、EIに比例する剛性kの概略値およびスピ
ンドルの支持条件で定まる定数αなどが順次確定し、
これらの数値を上式(1)に代入すると危険速度ω
第一義的に定まり、結局、スピンドルの製作仕様と巻取
可能な速度範囲とほぼ確定することとなる。
従って、小径の長尺スピンドルで高速巻き取りを達成
しようとすると、上式(1)から明らかなようにボビン
の小径化は剛性kを低下させ、更にスピンドルの長尺化
はスピンドル全長Lの3乗で作用するため、危険速度ω
を極端に低下させることとなる。
従って、金属製の小径、長尺スピンドルで糸条の高速
巻取を行うと、従来発生しなかった危険速度が巻取速度
範囲まで低下してくるため、巻取時に激しい振動が発生
し、安定して糸条の巻き取りが続行できないばかりでな
く機械的な破損をもたらすので、安全の面からも到底実
用に供することができなかった。
この発明は、上述した問題点を解消するためになされ
たもので、特にスピンドルのボビンホルダに着目し、そ
の構造およびその使用材質の最適化を図ることにより、
スピンドルの長尺化、小径化を達成すると共に、併せて
振動の問題をも解決した信頼性、耐久性の高い高速巻き
取りが可能な糸条の巻取装置を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、糸条を巻き取る筒状のボビンと、前記ボ
ビンを着脱自在に保持するボビンホルダとこのボビンホ
ルダの駆動軸とを有するスピンドルと、前記スピンドル
の駆動手段とを備えた糸条の巻取装置であって、上記目
的を達成するために、前記ボビンホルダは、材質が金属
材料からなりその外周にボビン保持具が摺動自在に配置
される第1筒状体と、材質が金属材料からなり前記第1
筒状体の内周部略中間位置に嵌合連結されてその中心部
に前記駆動軸が結合されたボスと、材質が繊維強化複合
材料からなり前記ボスの両側で前記第1筒状体の内周部
にそれぞれ嵌合連結された第2筒状体とを備えている。
ここで、ボビンとは、糸条を巻き取るための筒状体
で、公知の各種ボビンを用いることができる。
また、スピンドルには、ボビンを着脱可能に保持する
手段として、公知の保持手段、例えば上記EP−234,844
に記載の手段を用いることができる。
繊維強化複合材料としては、無機繊維や有機繊維に対
し、マトリクスとして樹脂や金属を用いたものを使用す
ることができる。具体的には、ポリアクリルニトリル、
セルロースピッチなどを高温で焼成して得られる高弾性
炭素繊維や、芳香族ポリアミドなどを主成分とする例え
ば、米国デュポン社製の“ケブラー”などの高弾性有機
繊維あるいはガラス繊維などの強化繊維に対し、マトリ
クスとして、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化
性樹脂、ポリスルホン樹脂などの熱可塑性樹脂などの樹
脂や、アルミニューム、マグネシューム、銅などの金属
を用いたものであってもよい。これら、繊維強化材料の
うち、本発明の糸条の巻取装置により適している繊維強
化複合材料は、強化繊維として高弾性繊維を用い、マト
リクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いたものが好まし
い。なお、引張強度、層間剪断強度などスピンドルの構
成材料に必要な機械的強度を上げるためには、強化繊維
のマトリクス樹脂に対する混合体積比率Vfは、40〜75%
が好ましく、50〜70%がより好ましい。
また、強化繊維の第2筒状体に対する巻き付け角度
θ、すなわち、強化繊維の長さ方向と第2筒状体の軸芯
(スピンドル軸の軸芯)とのなす角度θ(鋭角側)は、
理論的には0度に近い方がボビンホルダの曲げ振動に対
するヤング率Eが高くなるので最も効果的であるが、反
面捻れに対する強度が低下するので、この巻き付け角度
θは、ボビンへの伝達トルク、必要とされるヤング率な
どにより適宜設計するのがよい。一般には、3〜45度と
するのが好ましく、3〜30度とするのがより好ましい。
上記繊維強化複合材料からなる第2筒状体の形成方法
としては、繊維状物を螺旋状に巻回したもの、あるいは
螺旋か右廻りのものと左廻りのものを交互に重ねたも
の、あるいは編物にしたものなどに樹脂を含浸させるこ
とにより得ることができ、これらの例としては、例えば
USP3,553、978、USP4,089,190、UK1,356,393に記載の形
成方法がある。
第2筒状体を構成する繊維強化複合材料の厚みt1(第
1図)は、少なくとも第1筒状体を構成する金属材料の
厚みt2(第1図)と同等以上とすることによって、比ヤ
ング率を大きくするのが良い。厚みt1は、物理上可能な
限り厚くすることが望ましいが、使用条件により必要な
ヤング率を有するように適宜決めても良い。なお、ボス
の両側に挿入するそれぞれの第2筒状体の厚みt1は、物
理的な制約から決定され、両者を強いて等しくする必要
はない。また、2つの第2筒状体の合計長さ(L1+L2
(第1図)のボビンホルダの全長L(第1図)に占める
比率(L1+L2)/Lは、少なくとも60%、好ましくは70%
以上とすることが、比ヤング率が大きくできて良い。そ
の際、L1とL2の各々の長さは、同一に揃える必要はな
く、厚みt1と同様に、使用条件により、個々に必要な比
ヤング率を有するように決めて良い。
次に、第1筒状体を構成する金属材料は、その材質が
特に限定されず、従来常用されている炭素鋼,工具鋼,
ステンレス鋼、ひいては一般構造用圧延鋼材など公知の
金属材料で十分である。
また、上述した第1筒状体と第2筒状体とを一体化す
る方法としては、両者をそれぞれ筒状に加工したうえ
で、第1筒状体の内部にボスを溶接等で固定し、そのボ
スの両側に第2筒状体を焼嵌め、圧入,冷し嵌め,接着
剤による接着などで一体化する方法が挙げられる。
なお、本発明のボビンホルダが、繊維強化複合材料と
金属材料との組合せにより構成されることを要する理由
は、このような構成とすると、スピンドル材料として従
来常用されてきた炭素鋼やアルミニュームなどの材料に
比べて、曲げ振動に対する比ヤング率(ヤング率を材料
の密度で除した値)が高くなるからである。
すなわち、スピンドルの危険速度を決定する前式
(1)は、上述したようにm=ρAL、k=EIであるか
ら、 と展開することができるが、本式(2)から明らかなよ
うに繊維強化複合材料の比ヤング率E/ρは金属に比べて
3〜10倍と大きいから、危険速度ωを同様に著しく上
げることができるからである。
また、第1筒状体およびボスが金属材料で構成される
理由は、上述したように結合部、摺動部など、機械的強
度、耐摩耗性等が要求される部位の材質としては繊維強
化複合材料よりは金属の方が好ましいからである。
次に、スピンドルの駆動手段とは、上記駆動軸の回転
手段であり、例えばモータとしては直流モータ,誘導モ
ータ,同期モータなどの公知のものが用いられ、また、
その動力伝達手段もカップリング,ベルト,ギアなど公
知の手段を用いることができる。本発明においては、ス
ピンドルの駆動軸とモータとを直結し、しかも駆動軸に
モータの回転子を固定し、フレーム側に固定子を固定す
る方がスピンドルをコンパクトにできるのでより好まし
い。
なお、本発明の第1筒状体の長さは特に限定されない
が、衣料用(例えば250デニール以下)の繊維に対して
通常使用される内径94mm以上のボビンを用いる場合は、
1000mm以上、また産業用(例えば250デニール以上)の
繊維に対して用いられる内径73mm以上のボビンを用いる
場合は、600mm以上とするのが振動を小さくする点で好
ましい。
〔作用〕
この発明の糸条の巻取装置によれば、ボビンホルダに
駆動手段によって駆動軸を経て回転トルクが伝達される
と、ボビンホルダは、材質が金属材料からなる第1筒状
体およびボスと、このボスの両側に配設された繊維強化
複合材料からなる第2筒状体とを備えているので、ボビ
ンホルダ全体としての密度を小さくすることができると
共にヤング率も大きくすることができるため、比ヤング
率が著しく向上し、危険速度を従来の金属のみで構成さ
れたボビンホルダの場合よりも引き上げる作用を奏す
る。
また、ボビン着脱用の保持具を摺動自在に支持する第
1筒状体が金属材料により構成されるとともに、第1筒
状体と駆動軸とを連結するボスも金属材料で構成されて
いるので、ボビンホルダを繊維強化複合材料単独で構成
した場合に比べ、摺動部および結合部における表面強
度,摺動特性等の機械的強度が優れ、上記繊維強化複合
材料単独で構成した場合の欠点を捕完する作用を奏す
る。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて具体的に説
明する。
第1図は、本発明の一実施例である4山取りの糸条の
巻取装置の縦断面図である。
図において、1a〜1dは、それぞれの外周に糸条Yを巻
き取るための筒状のボビンで、本実施例では4個が直列
にボビンホルダ2に外挿されている。ボビン1a〜1d内周
部の3は、ボビン1a〜1dを略筒状のボビンホルダ本体5
に着脱するためのボビン保持具を構成する弾性リング
で、各ボビン1a〜1d毎に筒状のスペーサ4を介してボビ
ンホルダ本体5の外周部に摺動自在に取付けられてい
る。
ボビンホルダ本体5は、金属材料で構成された第1筒
状体6の内周部略中央位置に、同じく金属材料からなる
ボス7を溶接し、繊維強化複合材料からなる第2筒状体
8をボス2の両側で第1筒状体6の内周部に嵌合連結す
るとともに、一方の第2筒状体8の一端側内周部に金属
材料で構成された第3筒状体9を嵌合連結している。
ボス7の中央部には、貫通孔10を有する駆動軸11の一
端が貫通されてナット12により固定されている。この駆
動軸11は、フレーム13と一体の筒状支持体14に収納され
た軸受15a,15bで回転自在に支持されるとともに、その
他端がモータの回転軸16の一端にカップリング17を介し
て連結されている。回転軸16は、フレーム13に設けられ
た軸受15c,15dで回転自在に支持され、その中心部に貫
通孔17が設けられるとともに、外周部にモータの回転子
18が固着されている。また、フレーム13には、モータの
固定子19が固定され、駆動軸16に固定された回転子18と
フレーム13に固定された固定子19とで、駆動軸11の駆動
手段20を形成している。
本実施例では、ボビン1a〜1dの内径、外径および長さ
をそれぞれ94mm,110mm,300mm(ボビン全長1200mm)と
し、ボビンホルダ本体5の内径(第2筒状体8の内
径),外径(第1筒状体8の外径)およびボビンホルダ
全長Lをそれぞれ61mm,80mm,1170mmに設定した。
また、ボス7の長さlは150mm、一方の第2筒状体8
の長さL1は470mm、他方の第2筒状体8の長さL2は550mm
とした。
この場合、第2筒状体8は、炭素繊維“トレカM−5
0"(東レ株式会社製)とエポキシ系樹脂で次のようにし
て製作した。
まず、エポキシ系樹脂の含浸された厚さが0.17mmの炭
素繊維のシートを所定の寸法に切断し、外径が61mmの離
型剤を塗布したマンドレルに一層毎に巻きつける。ただ
し、その巻付けは、シート中の炭素繊維の長さ方向とマ
ンドレルの軸芯とが平行となるようにして、外径が77mm
となるまで巻き付けた。
次いで、これをテープラッピングして乾燥炉で130℃
に加熱してエポキシ樹脂を硬化させ、硬化後、マンドレ
ルを抜き取って、第2筒状体8を得る。そして、第1筒
状体6の内周面との間に、直径で0.05〜0.2mmの隙間が
生じるように第2筒状体8の外周面を外径が75mmとなる
まで研摩し、その外周面に接着剤を塗布して第1筒状体
6の両側から挿入、接着することによりボビンホルダ本
体5を得た。
なお、第2筒状体8の内周部の一端に外径が65mm、長
さが300mmからなる第3筒状体9を形成する場合には、
例えば次のようにして行えばよい。すなわち、まず所定
形状の第3筒状体9を準備して、その外周に第2筒状体
8の一部となる繊維強化複合材料層を形成し、こうして
2層構造の筒状体を得る。次に、既述の方法で単層構造
の繊維強化複合材料層を形成し、この複合材料層と、上
記2層構造の筒状体とを、この順で第1筒状体6の一端
より挿入して接着すればよい。
ところで、上記のように第3筒状体9をマンドレルと
して利用してその外周に第2筒状体8の一部とになる複
合材料層を形成した場合には、その複合材料層から第3
筒状体9が抜き取られることはないので、冷却に際して
複合材料層と第3筒状体9との線膨張係数の差によっ
て、複合材料層にクラックを生じるおそれがある。そこ
で、その複合材料層の線膨張係数を第3筒状体9のそれ
に合わせるため、第3筒状体9またはマンドレルの軸方
向に対するシート中の炭素繊維の長さ方向の傾き角度θ
を、まず最初のシート5枚は0度(第3筒状体9の軸芯
と平行)とし、次の1枚は30度として巻付け、続いて5
枚は再び0度とし、次の1枚は−30度として巻き付け
た。これにより、複合材料層の線膨張係数を第3筒状体
9のそれにほぼ合わせることができた。
なお、傾き角度θ、巻き付け枚数は、所望の線膨張係
数に応じて任意に選択することができる。
駆動軸11,16は、材質を炭素鋼(S55c,JIS G4051)と
し、軸受15a,15dの軸間距離を500mmとした。
一方、21は、ボビン1a〜1dをボビンホルダ本体5から
着脱する着脱手段であり、それぞれピストン22,バネ23,
バネ座24,Oリング25とで構成されている。ピストン22
は、第3筒状体9の内周面でOリング25によって気密が
保持された状態で摺動可能に支持されている。
よって、糸条Yの巻取状態においては、第3筒状体9
の左端に設けられた突起26を起点とするバネ23の反発力
によってピストン22が図の右方向に移動し、これにより
弾性リング3が半径方向に拡開することによってボビン
1a〜1dがボビンホルダ本体5に一体に保持される。ま
た、巻取終了時においては、駆動軸16の右端から貫通孔
17,10を介して加圧流体を送り、ピストン22をバネ23の
反発力に逆らって図の左方向に移動させ、弾性リング3
の外径を元の状態に復元させることによってボビン1a〜
1dをボビンホルダ本体5から外すことができる。
したがって、これらボビンホルダ本体5,駆動軸11,着
脱手段21,弾性リング3,スペーサ4等によりスピンドル
が構成される。
上記のように構成された巻取装置に対し、スピンドル
回転数とその振幅との関係を調べるため、ボビン1a〜1d
として前記寸法の紙管を装着し、単糸繊度が2.1デニー
ル、フィラメント数が36本のポリエステルマルチフィラ
メントを毎分6000mの速度で巻き取るため、所定回数数
の17362rpmまで昇速し、スピンドル回転数とボビン1aの
左端における振幅との関係を測定したのが第2図であ
る。
この第2図から明らかなように、第1次,第2次危険
速度がそれぞれ、1750,2400rpm近傍(それぞれの振幅
は、0.5mm,0.3mm)に現れたが、17362rpm近傍において
も第3次危険速度は何ら現われなかったので、スピンド
ルが小径、長尺でありながら振動のない状態で巻取速度
6000m/分もの高速巻き取りが満巻き(20kg巻)まで7時
間達成することができた。
また、長時間に渡る巻き取りでも何ら変化がなかった
ことから、本実施例装置は信頼性、耐久性の高い高速巻
取装置であることが確証された。
〔比較例〕
一方、上記実施例装置に対し、ボビンホルダ本体5の
材質を、何ら繊維強化複合材料を用いない炭素鋼(S55
C、JIS G4051)だけで構成し、他の条件は全て上記実
施例と同様にしてスピンドル回転数とその振幅との関係
を調べたところ、第3図の結果が得られた。
すなわち、第1次,第2次における振幅もそれぞれ1.
2mm,0.8mmと高くなり、第3次危険速度が、12500rpm
(巻取速度4320m/分)で現われ、本発明の目的とする高
速巻き取りをすることができなかった。
このように、上記実施例においてスピンドルを小径化
しながら高速巻取を可能にできたのは、上記実施例のボ
ビンホルダ本体5の比ヤング率を、ボビンホルダ本体5
が全て金属である場合の約3.5倍とすることができたた
めである。
〔発明の効果〕
本発明の糸条の巻取装置は、以下に述べる優れた効果
を奏することができる。
(1) スピンドルは、外径形状が小径、かつ長尺化さ
れても、その材質が金属材料からなる第1筒状体および
ボスと、このボスの両側に配設された繊維強化複合材料
からなる第2筒状体とを備えているので、従来の金属材
料のみで構成されたスピンドルに比べて曲げ振動に対す
る比ヤング率が高くなり、巻取時の危険速度をより高い
領域に引き上げることができる。
よって、危険速度が引き上げられた分だけ小径ボビン
で巻取速度をより高速化することができる。
また、ボビン径の小径化は、ボビンコストを低減化さ
せ、従来の大径ボビンに比べて1ボビン当りの巻取重量
が増加するので、ラージパッケージ化も可能となるなど
生産性が向上する。
(2) また、ボビンホルダは、繊維強化複合材料を用
いながらも、摺動部や、嵌合部、ネジ部などの結合部な
どは金属材料で構成されているので、従来の繊維強化複
合材だけで構成されたものに比べ、格段に耐久性、信頼
性の点で優れた巻取装置が得られる。
(3) 更に、ボビンホルダは、繊維強化複合材料の使
用により、従来の金属製ボビンホルダに比べてスピンド
ル重量が軽減されるので、少ない駆動トルクでより高速
化が達成できる。
また、ボビンホルダ内部に用いられている繊維強化複
合材料は減衰効果が大きいため、糸条の巻取時の振動が
小さくなる。よって、巻姿が向上し、騒音が低下し、軸
受寿命が延長するという効果も併せて奏することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例である糸条の巻取装置の縦
断面図、第2図は第1図の糸条の巻取装置における回転
数と振動との関係を示すグラフ、第3図は従来の糸条の
巻取装置における回転数と振動との関係を示すグラフで
ある。 1a〜1d……ボビン、2……ボビンホルダ、 3……弾性リング、6……第1筒状体、 7……ボス、8……第2筒状体、 11……駆動軸、20……駆動手段、 Y……糸条

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糸条を巻き取る筒状のボビンと、前記ボビ
    ンを着脱自在に保持するボビンホルダとこのボビンホル
    ダの駆動軸とを有するスピンドルと、前記スピンドルの
    駆動手段とを備えた糸条の巻取装置において、 前記ボビンホルダは、材質が金属材料からなりその外周
    にボビン保持具が摺動自在に配置された第1筒状体と、
    材質が金属材料からなり前記第1筒状体の内周部略中間
    位置に嵌合連結されてその中心部に前記駆動軸が結合さ
    れたボスと、材質が繊維強化複合材料からなり前記ボス
    の両側で前記第1筒状体の内周部にそれぞれ嵌合連結さ
    れた第2筒状体とを備えていることを特徴とする糸条の
    巻取装置。
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JP9289990A Expired - Lifetime JP2751551B2 (ja) 1990-04-06 1990-04-06 糸条の巻取装置

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JPH03293263A (ja) 1991-12-24

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