JP2011506546A - 多重後蒸留を伴うシクロヘキサノン生産プロセス - Google Patents
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Abstract
本発明は、白金およびパラジウムから選択される少なくとも1つの触媒活性金属を含む触媒を使用してフェノールからシクロヘキサノンを連続的に調製する方法において、フェノールを水素化してシクロヘキサノンおよび未反応フェノールを含む生成物流を形成させるステップと;生成物流の少なくとも一部または、シクロヘキサノンよりも低い沸点を有する1つ以上の成分が除去された生成物流の少なくとも一部を、蒸留を用いて、シクロヘキサノンを含む第1の画分とフェノールおよびシクロヘキサノールを含む第2の画分とに分離するステップと;第2の画分を、蒸留を用いて、シクロヘキサノールを富有する第3の画分とフェノールを富有する第4の画分とに分離するステップと;第4の画分の少なくとも一部をさらなる蒸留ステップに付して、第5の画分および第6の画分を形成させるステップであって、ここで第5の画分は第6の画分に比べてフェノールが富化されており、第6の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物およびフェノールを含むステップとを含み、第6の画分の少なくとも一部をさらに1つのさらなる蒸留ステップへと連続的または間欠的に分離して第7の画分および第8の画分を形成させるステップであって、ここで第7の画分が第8の画分に比べてフェノールが富化されており、第8の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物を含んでいるステップ、という付加的なステップを特徴とする方法に関する。
Description
本発明は、フェノールからシクロヘキサノンを調製するための方法および本発明に係る方法を実施するのに適したプラントに関する。
シクロヘキサノンは、工場用溶媒としてまたは酸化反応における活性剤として利用可能である。これは、なかでもアジピン酸、シクロヘキサノン樹脂、カプロラクタム、ナイロン6またはナイロン6,6の生産における中間体としても同様に使用可能である。
シクロヘキサンは従来、例えば白金またはパラジウム触媒を用いて、フェノール水素化反応装置内で接触水素化によりフェノールから調製されている。反応は、液相または蒸気相で実施可能である。[「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」, e.g. 3rd Edition, Vol 7 (1979) p. 410−416; I. Dodgson et al. 「A low Cost Phenol to Cyclohexanone Process」, Chemistry & Industry, 18, December 1989, p 830−833;またはM.T. Musser 「Cyclohexanol and Cyclohexanone」, Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry (7th Edition, 2007), (以下「Musser」と呼ぶ)、
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より電子的に入手可能]。
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より電子的に入手可能]。
フェノールからシクロヘキサノンを調製する際には、典型的にはシクロヘキサノール(これはさらにシクロヘキサノンへと転化させるための有用な中間生成物と考えることができる)および様々な望ましくない副産物が形成される。
シクロヘキサノンは典型的には、蒸留プロセスによって、シクロヘキサノンを富有する生成物(通常90重量%以上)としてか、または本質的に純粋な生成物(99重量%以上)として回収される。蒸留においては、液体は少なくとも2つの画分に分離される。2つの画分を比較した場合、一方を「軽質」画分、他方を「重質」画分と呼ぶことができる。特に、蒸発による分離に関連して本明細書で「軽質」画分または「重質」画分に言及される場合、これらの用語は本明細書において、比較的低い沸点をもつ画分(軽質画分)を比較的高い沸点をもつ画分(重質画分)と区別するため、特定の蒸発ステップにおいて相対的に用いられる。したがって、特定の化合物は、第1の蒸留ステップにおいては「重質」化合物(主として重質画分中に見られる)であり、第2の蒸留ステップでは「軽質」化合物(主として軽質画分中に見られる)であり得る。一般に公知であるように、混合物の重質画分および軽質画分への分離は、決して絶対的なものではない。
フェノール供給原料からシクロヘキサノンを調製および回収するための従来のプロセスが、図1に概略的に示されている。
シクロヘキサノンは、水素化反応区分(1)内で調製される。この反応区分は特に、水素化反応装置(これは使用中水素およびフェノールの供給を受ける)を含み、付加的な機器を含んでいてよい。例えばMusser中または米国特許第3,305,586号明細書中の図1を参照のこと。水素化は、蒸気相プロセスまたは液相プロセスのいずれで行われてもよい。
シクロヘキサノン、(未反応)フェノールおよび副産物例えばシクロヘキサノールは通常、いくつかの蒸留区分を用いて、反応区分を出る流れから回収される。本明細書中で使用される蒸留区分とは、1つの蒸留塔または各々同じ機能性をもつ複数の並列蒸留塔を含む設備である。さらにこの区分は、蒸留ユニットのその他の典型的部分を含んでいてよい。
任意の第1の蒸留区分(2)(予備蒸留区分、すなわちシクロヘキサノンが回収される蒸留区分の上流側の蒸留区分の第1の部分)においては、軽質成分たとえばベンゼン、シクロヘキサン、水が反応生成物から除去され、この反応生成物は、導管aおよびhを介して蒸留区分(2)の中に入り、一方、シクロヘキサノン、残留フェノール、シクロヘキサノールおよびその他の副産物は、導管bを介して底部画分として予備蒸留区分から出る。
この底部画分は、第2の蒸留区分(3)(主蒸留区分、すなわちシクロヘキサノンが回収される区分)の中で蒸留される。ここでは、シクロヘキサノンが軽質画分としてプロセス流から回収される。蒸留区分(3)の重質画分は、残留フェノール、シクロヘキサノール、さまざまな副産物および一般になお幾分かのシクロヘキサノンを含有する。この重質画分は導管cを介して蒸留区分(3)から出る。適切な蒸留条件は当該技術分野において公知である。例えば米国特許第2,829,166号明細書または米国特許第3,076,810号明細書を参照のこと。この重質画分からは典型的には、有価成分、残留フェノール、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンが回収される。
シクロヘキサノールは典型的に、(第1の)後蒸留区分(4)内で(後蒸留とは、シクロヘキサノンが回収される主蒸留の下流側と意味する)、主蒸留から出るこの重質画分から軽質画分として回収される。シクロヘキサノンも幾分か含むこの軽質画分は、通常少なくとも70重量%のシクロヘキサノール、特に少なくとも80重量%のシクロヘキサノールを含むシクロヘキサノール富有流である。この軽質画分はその後、導管dを介してシクロヘキサノール脱水素化区分(6)に導かれる(例えばMusser、段落3.5を参照)。シクロヘキサノール脱水素化区分(6)内では、シクロヘキサノールは部分的に脱水素化されて、シクロヘキサノンを形成する。典型的には、区分(6)は脱水素化反応装置、そして通常はさらに、反応装置の上流側でフィードを蒸留させるための蒸発器、そして反応から出る生成物流を凝縮するための凝縮器を含む。区分(6)を出たシクロヘキサノン富化流は、次に導管hを介して予備蒸留区分(2)まで導かれる。
フェノールは、第1の後蒸留の底部画分の一部を成す。この底部画分は、導管eを介してさらなる後蒸留区分(5)に補給され、ここで残留有価成分、主としてフェノールおよび一般にいくらかのシクロヘキサノンおよびいくらかのシクロヘキサノールが軽質画分として回収され、導管gを介してフェノール水素化区分に戻される。最終後蒸留からの底部画分は典型的に導管fを介して廃棄、例えば焼却されるか、またはボイラー室内での蒸気発生用に使用される。あるいは、底部画分を、例えばタール、アスファルト、靴クリームなどの残留生成物用の低価格材料として使用してもよい。
本発明者らは、上述のプロセスにおいて、重質残渣での重大な汚染が後蒸留区分(5)の中で発生する、ということを認識した。プラントの後蒸留区分(5)における(所与のシクロヘキサノン生産能力についての)エネルギー消費量は経時的に増大し、後蒸留区分(5)内の分離効率は経時的に減少する。したがって、プラントは、後蒸留区分(5)を清浄するために、頻繁に(年4回、各回毎に2〜4日間)運転を停止しなければならない。これは結果として多大な生産損失をもたらす。
本発明の目的は、上述の欠陥のうちの1つ以上を克服するかまたは少なくとも軽減する、シクロヘキサン調製方法を提供することにある。
本発明者らは、付加的な分離ステップを導入することにより、水素化によりフェノールをシクロヘキサノンに転化するためプロセスにおいて生産能力を増大し、エネルギー消費量を削減し、かつ/または汚染を削減することが可能であるということを発見した。
したがって本発明は、白金およびパラジウムから選択される少なくとも1つの触媒活性金属を含む触媒を使用してフェノールからシクロヘキサノンを連続的に調製する方法であって、
a)フェノールを水素化してシクロヘキサノンおよび未反応フェノールを含む生成物流を形成させるステップと;
b)生成物流の少なくとも一部または、シクロヘキサノンよりも低い沸点を有する1つ以上の成分が除去された生成物流の少なくとも一部を、蒸留を用いて、シクロヘキサノンを含む第1の画分とフェノール、シクロヘキサノールを含む第2の画分とに分離するステップと;
c)第2の画分を、蒸留を用いて、シクロヘキサノールを富有する第3の画分とフェノールを富有する第4の画分とに分離するステップと;
d)第4の画分の少なくとも一部をさらなる蒸留ステップに付して第5の画分および第6の画分を形成させるステップであって、ここで第5の画分は第6の画分に比べてフェノールが富化されており、第6の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物およびフェノールを含むステップと、
を含む方法において、
e)第6の画分の少なくとも一部をさらに1つのさらなる蒸留ステップへと連続的または間欠的に分離して第7の画分および第8の画分を形成させるステップであって、ここで第7の画分が第8の画分に比べてフェノールが富化されており、第8の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物を含んでいるステップ、
という付加的なステップを特徴とする方法に関する。
a)フェノールを水素化してシクロヘキサノンおよび未反応フェノールを含む生成物流を形成させるステップと;
b)生成物流の少なくとも一部または、シクロヘキサノンよりも低い沸点を有する1つ以上の成分が除去された生成物流の少なくとも一部を、蒸留を用いて、シクロヘキサノンを含む第1の画分とフェノール、シクロヘキサノールを含む第2の画分とに分離するステップと;
c)第2の画分を、蒸留を用いて、シクロヘキサノールを富有する第3の画分とフェノールを富有する第4の画分とに分離するステップと;
d)第4の画分の少なくとも一部をさらなる蒸留ステップに付して第5の画分および第6の画分を形成させるステップであって、ここで第5の画分は第6の画分に比べてフェノールが富化されており、第6の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物およびフェノールを含むステップと、
を含む方法において、
e)第6の画分の少なくとも一部をさらに1つのさらなる蒸留ステップへと連続的または間欠的に分離して第7の画分および第8の画分を形成させるステップであって、ここで第7の画分が第8の画分に比べてフェノールが富化されており、第8の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物を含んでいるステップ、
という付加的なステップを特徴とする方法に関する。
本発明はさらに、本発明に係る方法を実施するのに適した化学プラントにおいて
− フェノール水素化反応区分(1)と;
− フェノール水素化反応区分(1)の下流側の、任意には水素化区分からの生成物流から1つ以上の軽質画分を除去するための予備蒸留区分(2)を含み、それぞれフェノール水素化反応区分(1)の生成物流を第1の画分(「シクロヘキサノン」導管を介して区分(3)から外へ導かれるべきもの)および第2の画分(導管cを介して区分(4)に導かれるもの)に分離するため、前記第2の画分を第3の画分(導管dを介して区分(4)から外へ導かれるべきもの)および第4の画分(導管eを介して区分(5)に導かれるべきもの)に分離するため、前記第4の画分を第5の画分(導管gを介して区分(5)から外へ導かれるべきもの)および第6の画分(導管fを介して区分(7)に導かれるべきもの)に分離するため、および前記第6の画分を第7の画分(i(図2Bおよび3A)またはi’(図2Bまたは3B)を介して区分(7)から外へ導かれるべきもの)および第8の画分(通常はプラントからの流出路である導管jを介して区分(7)から外へ導かれるべきもの)に分離するための区分(3)、(4)、(5)および(7)を含む、複数の蒸留区分と、
を含む化学プラント(図2A、2B、3Aおよび3B参照)に関する。
− フェノール水素化反応区分(1)と;
− フェノール水素化反応区分(1)の下流側の、任意には水素化区分からの生成物流から1つ以上の軽質画分を除去するための予備蒸留区分(2)を含み、それぞれフェノール水素化反応区分(1)の生成物流を第1の画分(「シクロヘキサノン」導管を介して区分(3)から外へ導かれるべきもの)および第2の画分(導管cを介して区分(4)に導かれるもの)に分離するため、前記第2の画分を第3の画分(導管dを介して区分(4)から外へ導かれるべきもの)および第4の画分(導管eを介して区分(5)に導かれるべきもの)に分離するため、前記第4の画分を第5の画分(導管gを介して区分(5)から外へ導かれるべきもの)および第6の画分(導管fを介して区分(7)に導かれるべきもの)に分離するため、および前記第6の画分を第7の画分(i(図2Bおよび3A)またはi’(図2Bまたは3B)を介して区分(7)から外へ導かれるべきもの)および第8の画分(通常はプラントからの流出路である導管jを介して区分(7)から外へ導かれるべきもの)に分離するための区分(3)、(4)、(5)および(7)を含む、複数の蒸留区分と、
を含む化学プラント(図2A、2B、3Aおよび3B参照)に関する。
通常プラントは、蒸留区分(4)からの前記第3の画分内のシクロヘキサノールの少なくとも一部をシクロヘキサノンに転化し結果として得られた流れを予備蒸留区分(2)内に補給するためのループ(導管d、脱水素化区分(6)および(導管hを含む)を含んでいる。その上プラントは、通常、前記第5の画分の少なくとも一部を水素化区分(1)内に再循環させるための再循環ループ(導管gを含む)を含む。
好ましくは、プラントは同様に、蒸留区分(7)からの前記第7の画分iの少なくとも一部を水素化区分(1)内に再循環させるための再循環ループ(図2Aおよび3A)または前記第7の画分i’の少なくとも一部を後蒸留(5)に再循環させるための再循環ループ(図2Bおよび3B)も含む。
当業者であればわかるように、図2A、2B、3Aおよび3Bにおいて例として示され、本明細書中以下でより詳細に論述されている実施形態またはその一部を組合せて、本発明の別の実施形態を提供してもよい。これらの図面においては、付番された区分に対するフィード流が別々の流れとして表わされているものの、当業者にとっては1つの区分に補給される流れがその区分に入る前に組合されてもよいしまたは区分内に別々に進入してもよいということは明白である、という点に留意されたい。たとえば、1区分内に補給される流れを、この区分の真空蒸留塔内に塔の異なるレベルにおいて導入してよい。
本発明の方法においては、(ダウンタイムが少なく汚染が少ないことから)生産能力は増大し、(汚染に起因する)エネルギー損失は減少する。特に、本発明者らは、本発明の方法が実施される例えば図2A、2B、3Aおよび3Bに概略的に示されている通りのプラントが、蒸留区分特に各図中に示されている区分(5)を清浄するための運転停止をもはや必要としないか、または少なくともそれほど頻繁には必要としない、ということを発見した。これは、追加の後蒸留ステップ(蒸留区分(7))によって達成される。同様に分離効率も増大するかもしれない。追加の後蒸留ステップf)のため、後蒸留ステップe)(各図中の区分(5)参照)に必要とされるエネルギー投入量は少なくなる。区分(5)の底面には比較的多くのフェノールが存在することから、後蒸留塔(5)の底部内の液体の温度および滞留時間は著しく削減され、その結果その中で生産される重質残渣の量は著しく低いものとなる。したがって、区分(5)の汚染は、大幅に減少される。
本発明に係る方法においては、後蒸留区分(5)の底部画分は、導管fを介してさらなる後蒸留区分(7)へと補給され、ここで残留有価成分、主としてフェノールおよび一般に幾分かのシクロヘキサノンおよび幾分かのシクロヘキサノールは軽質画分として回収され、(所望の場合には)導管iを介してフェノール水素化区分(1)(図2Aおよび3A)へまたは導管i’を介して後蒸留区分(5)(図2Bおよび3B)へと戻される。最後の後蒸留区分(7)の底部画分は、典型的に導管j(流出口(out))を介して廃棄され、例えば焼却されるかまたは、ボイラー室内での蒸気発生のために用いられる。あるいは、底部画分は、例えばタール、アスファルト、靴クリームなどの残留製品向け低コスト材料として使用されてよい。後蒸留区分(5)内でフェノールが部分的にしか除去されないことから、ステップe)が実施される後蒸留区分(5)内の底部温度および液体滞留時間は削減され、その結果重質残渣の形成は少なくなり、したがって後蒸留区分(5)内での汚染は少なくなる。
本発明によると、後蒸留区分(5)の汚染は、数年間にわたりその清浄の必要性がなくなるほどにまで削減できる。ステップf)が実施される後蒸留区分(7)は時々、例えば年二回以下の頻度で清浄する必要があるかもしれないものの、このような後蒸留区分(7)の清浄中、プラントを従来のプロセスの通りにすなわちステップf)無く操業することができる。このようにして、プラントを運転停止する必要がない。したがって、一部の時間中、ステップf)を省略する一方でステップa)、c)、d)、e)そして任意にはステップb)を含むシクロヘキサノンプラントを稼働させることができる(そしてステップf)が実施される区分を適切に清浄できる)。本発明によると、後蒸留区分(7)、ステップf)はフェノールの回収のために必ずしも連続的に使用されないが、後蒸留区分(7)は通常、操業時間の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の間フェノールを回収するために稼働している。
したがって、本発明の方法は、後蒸留区分(5)の清浄のためにプラントの運転を停止することなく、連続的に実施可能である。かくして運転停止回数を、例えば政府規制により要求されている運転停止および/または定期的プラントメンテナンスのためおよび/または触媒交換のための、合計で通常4年に約一回の運転停止に制限できる。
このようにして、本発明は、上述の通りの従来の方法に比べて長時間にわたるシクロヘキサノンの連続的生産を可能にする。さらなる後蒸留ステップf)の実施によって汚染が削減されるため、シクロヘキサノンプロセスのエネルギーおよび分離効率は改善される。その上、清浄のための付加的なプラント運転停止が回避され、その結果、生産能力は著しく増大する。
本明細書において、特定の成分を「富有する」または「富化された」流れ、生成物またはその他の組成物が言及されている場合、これは一般に、この成分が主成分であること、そして特にこの成分が50重量%超の濃度で存在することを意味する。しかしながら、この下限は、特定の流れまたは成分については異なっていてよい。
一般的に、第1の画分はシクロヘキサノンを富有し、生成物流に比べてシクロヘキサノンが富化されている。好ましくは第1の画分は、少なくとも99重量%のシクロヘキサノン、より好ましくは少なくとも99.8重量%のシクロヘキサノンを含む。
シクロヘキサノンを富有する第3の画分は特に、第3の画分が形成される蒸留ステップの軽質画分であってよく、一方第4の画分は特に重質画分であってよい。第3の画分は好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%のシクロヘキサノールを含む。第4の画分は好ましくは少なくとも65重量%のフェノールを含む。
第4の画分よりも高いフェノール含有量を有する第5の画分は特に、第4の画分が蒸留される蒸留ステップの軽質画分であり、一方第6の画分は特に重質画分である。第6の画分は第4の画分よりも低いフェノール含有量を有する。第6の画分中のフェノール含有量は、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも25重量%のフェノールである。第6の画分中では比較的高いフェノール濃度が有利であるが、これは、フェノール濃度が増強されると第6の画分の沸点が低下し、(汚染に対する寄与度が高い)ポリマー副産物の形成が減少するからである。
第7の画分は、特に第7の画分が形成される蒸留ステップの軽質画分であってよく、一方第8の画分は特に重質画分であってよい。第7の画分は好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%のフェノールを含む。第8の画分は、通常小画分であり、好ましくは、25重量%未満、より好ましくは20重量%未満のフェノールを含む。
ステップb)を予備蒸留ステップ、そしてステップc)を主蒸留ステップ(シクロヘキサノンがこのステップで回収されるため)と呼んでもよい。ステップd)、e)およびf)は同様に、それぞれ第1、第2および第3の後蒸留ステップとも呼んでよい。
フェノールが富化された後蒸留ステップ由来の画分の1つ以上を、特に水素化ステップa)へ、またはステップf)からステップe)へ(本発明に係る実施形態を示す各図においては第3の後蒸留区分(7)から第2の後蒸留区分(5)まで)、完全にまたは部分的に再循環させてよい。同様に、以下でより詳しく記述する通り、かかる画分またはその一部および/または第5の画分またはその一部を、フェノールからシクロヘキサノンを調製するためのプロセスとは異なる第2のプロセスまで導くことも同様に可能である。
フェノールの水素化は、基本的に、例えばKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology 3rd Edition, Vol 7, 1979 p. 410−416; I. Dodgson et al. “A low Cost Phenol to Cyclohexanone Process”, Chemistry & Industry, 18, December 1989, p 830−833; 英国特許第890,095号明細書; Hancil and Beranek Chem. Eng. Sci., 25, 1970, p. 1121−1126; または Sakai et al. Nippon Kagaku Kaishi, 5, 1972, 821−829; Musser(ウルマン百科(Ullmans’s)中、上記参照)、米国特許第2,829,166号明細書または米国特許第3,076,810号明細書中に記述されているかまたはこれらの中で言及されている任意の技術に基づいて、任意の要領で、蒸気相中または液相中で実施可能である。水素化反応区分は、水素化が行なわれる反応装置を出た流れの一部分を再循環させるため内部再循環流を含んでいてよい。水素化反応区分を出た生成物流は、一般にシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、フェノールおよび、副産物を含む。
蒸留ステップ(予備蒸留、主蒸留および後蒸留)は、それ自体既知の要領で達成可能である。適切な蒸留条件は、共通の一般知識そして任意には一部の日常的検査に基づいて、当業者が日常的に決定できる。特に、当業者は、本明細書中で引用している先行技術を参考にしてよい。ステップf)または区分(7)のためには、例えば先行する後蒸留ステップについて当該技術分野において記述されている通りの蒸留塔などの従来の蒸留塔を使用することができる。同様に、より単純な蒸留装置、例えば薄膜蒸発器、特にワンパス薄膜蒸発器を使用することも可能である。薄膜蒸発器は、ステップf)を適切に実施するのに充分な分離効率を示し、それが投資を削減し、その単純な設計のため清浄がさらに早くなるという点で、特に有利である。
上述の通り、本発明のプロセスは、シクロヘキサノンの合成および、なかでもシクロヘキサノンを回収するための数多くの蒸留ステップを含む。
図2Aおよび2Bに示されているように、水素化ステップa)、任意の予備蒸留ステップb)、主蒸留ステップc)および後蒸留ステップd)およびe)を、図1について論述した時に以上で一般的に記述した通りに実施してよい。図2Aおよび2Bに概略的に示されているような本発明の実施形態によると、導管fはもはや(図1にしたがった実施形態において存在するような)プロセスの流出路としては使用されず、後蒸留区分(5)から後蒸留区分(7)内に底部区分を導くように配置されている。導管iは、後蒸留区分(7)の軽質画分を水素化区分(1)まで再循環させるように配置され(図2A)、一方導管i’は、後蒸留区分(7)の軽質画分を後蒸留区分(5)まで再循環するために使用されている(図2B)。重質画分を後蒸留区分(7)から放出するために流出路jが提供されている。しかしながら、後蒸留区分(7)からの重質画分をさらなる後蒸留区分(図示せず)内に導くために導管jを使用するようにすることも可能である。
図3aでは、導管iは、軽質画分の少なくとも一部を後蒸留区分(7)から水素化区分(1)まで再循環させるように配置された導管i1と、第2のプロセスを実施するための設備内へと軽質画分またはその一部を導くように配置された導管i2とに分割されている。導管i1を削除することも同様に可能である。任意には、導管g(後蒸留区分(5)由来の軽質画分用)は、前記軽質画分またはその一部を水素化区分(1)まで再循環させるための導管g1、および前記軽質画分またはその一部をフェノールからのシクロヘキサノン調製用プロセスとは異なる第2のプロセス内に導くための導管g2に分割される。
図3Bは、後蒸留区分(7)から後蒸留区分(5)までの再循環ループi1’が存在し、かつ後蒸留区分(7)由来の軽質画分またはその一部をフェノールからのシクロヘキサノンの調製プロセスとは異なる第2のプロセス内へと導くために導管i2’が存在している、1つの設備を概略的に示す。
原則的には、このような画分を使用できるあらゆるプロセスを第2のプロセスとして使用することができる。特に適切な第2のプロセスとしては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂生産プロセスが含まれる。したがって、導管i2およびi2’および/または導管g2は特にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂設備へと導いてよい。
代替的にまたは付加的に、後蒸留区分(4)からの軽質画分、後蒸留区分(5)からの軽質画分または区分(6)からの生成物流を、別のプロセスまで完全にまたは部分的に導くように、導管dおよび/またはhを配置してよい。特に、シクロヘキサノールが目的物質を生産するための適切な試薬であるか、シクロヘキサノールが適切な溶媒であるか、またはシクロヘキサノールが目的物質である任意のこのような他のプロセスを使用することができる。このような他のプロセスは、特に、シクロヘキサン酸化プロセス、シクロヘキサノール脱水素化プロセスおよびアジピン酸生産プロセスからなる群から選択されてよい。
ここで本発明について、以下の実施例によって例示する。
[実施例]
図1に概略的に描かれている通り、フェノールの水素化によりシクロヘキサノンが生産される従来のプラント内で比較実験を実施した。本発明に係る実施例との比較の便宜上、実際のプラントデータを、本質的に純粋なシクロヘキサノン100000メートルトンの年間プラント能力に整合させた。本発明に係る実施例については、以下に記述する通り、本発明にしたがって修正された年間100000メートルトンのプラントをシミュレートすることにより得られた結果が提示されている。後蒸留区分5の主要ユニット(比較実験および実施例中)は、直径1m、高さ15mの蒸留塔である。この塔の頂部から出る蒸気は凝縮器内で液化される。得られた液体の一部は還流としてこの塔の頂部に補給され、もう一部である流量gは水素化区分(1)に補給される。塔内の蒸留プロセスのために必要とされるエネルギーは、蒸気を介した間接的加熱を用いて導入される。なかでも副産物、フェノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む流量fは、後蒸留区分(5)の蒸留カラムの底部を介してプロセスから出る。
図1に概略的に描かれている通り、フェノールの水素化によりシクロヘキサノンが生産される従来のプラント内で比較実験を実施した。本発明に係る実施例との比較の便宜上、実際のプラントデータを、本質的に純粋なシクロヘキサノン100000メートルトンの年間プラント能力に整合させた。本発明に係る実施例については、以下に記述する通り、本発明にしたがって修正された年間100000メートルトンのプラントをシミュレートすることにより得られた結果が提示されている。後蒸留区分5の主要ユニット(比較実験および実施例中)は、直径1m、高さ15mの蒸留塔である。この塔の頂部から出る蒸気は凝縮器内で液化される。得られた液体の一部は還流としてこの塔の頂部に補給され、もう一部である流量gは水素化区分(1)に補給される。塔内の蒸留プロセスのために必要とされるエネルギーは、蒸気を介した間接的加熱を用いて導入される。なかでも副産物、フェノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む流量fは、後蒸留区分(5)の蒸留カラムの底部を介してプロセスから出る。
実施例I(本発明による)においては、付加的な後蒸留区分(7)がシクロヘキサノンプラントの精製部分に追加されている(図2Aに示した通り)。この場合、後蒸留区分(5)の底部流量fはプロセスから離れず、後蒸留区分(7)へのフィードとして使用される。後蒸留区分(7)の主要ユニットは、直径0.7m、高さ15mの蒸留塔である。この塔の頂部から出た蒸気は、凝縮器内で液化される。得られた液体の一方の部分は還流として塔の頂部に補給され、他の部分である流量iはフェノール水素化区分(1)に補給される。塔内の蒸留プロセスのために必要とされるエネルギーは、蒸気を介した間接的加熱を用いて導入される。なかでも副産物、フェノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む流量jは、後蒸留区分(7)の蒸留カラムの底部を介してプラントから出る。
実施例II(本発明による)は、付加的な後蒸留区分(7)が蒸留塔の代りにワンパス薄膜蒸発器を含むという点において実施例Iと異なっている。実施例IIのためのプラント設備は、図2B内で概略的に描かれている。この場合、後蒸留区分(5)の底部流量fは、後蒸留区分(7)のフィードとして使用される。後蒸留区分(7)の主要ユニットはここでは、直径0.5m、高さ5.4mのワンパス薄膜蒸発器である。フィードfは蒸発器の頂部で導入される。ワンパス薄膜蒸発器の頂部から出た蒸気、流量iは、後蒸留区分(5)に補給される。後蒸留区分(7)のワンパス薄膜蒸発器のための所要エネルギーは、蒸気を介した間接的加熱を用いて導入される。後蒸留区分(7)の薄膜蒸発器を出た重質流jは、なかでも、副産物、フェノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む。
[比較実験]
区分(5)内の蒸留塔のリボイラーおよび底部区分を含むプラント全体の清浄の直後、以上で記述し図1に示されているフェノール水素化区分、回収/精製区分およびシクロヘキサノール転化装置区分からなるシクロヘキサノンプラントは、理論的には、(清浄直後に到達した生産レベルを運転停止無く維持できた場合)、100000メートルトンの本質的に純粋なシクロヘキサノンの年間生産能力で操業することができる。
区分(5)内の蒸留塔のリボイラーおよび底部区分を含むプラント全体の清浄の直後、以上で記述し図1に示されているフェノール水素化区分、回収/精製区分およびシクロヘキサノール転化装置区分からなるシクロヘキサノンプラントは、理論的には、(清浄直後に到達した生産レベルを運転停止無く維持できた場合)、100000メートルトンの本質的に純粋なシクロヘキサノンの年間生産能力で操業することができる。
後蒸留区分(5)内の蒸留条件は以下の通りであった:
− 還流比:1.3
− リボイラの高負荷:0.40MW。
− 還流比:1.3
− リボイラの高負荷:0.40MW。
これらの条件下で、後蒸留区分(5)内の蒸留塔の以下の性能を、始動から一週間後に観察する。
しかしながら、底部区分、ポンプ内の篩および後蒸留区分(5)内の蒸留塔のリボイラーの汚染のため、分離およびエネルギー効率は経時的に悪化している。
プラントの適切な操業を維持するためには、プラントを3カ月毎に2〜4日間運転停止して後蒸留区分(5)内の蒸留塔の汚染を除去しなければならなかった。汚染および清浄のための運転停止の結果として、シクロヘキサノンプラントの実際の年間生産能力で3600メートルトン/年超の損失を計算することができる。
[実施例I]
清浄なプラントの始動の直後、以上で記述し図2Aに示されているフェノール水素化区分、回収/精製区分およびシクロヘキサノール転化装置区分からなるシクロヘキサノンプラントは、理論的には、100000メートルトンの本質的に純粋なシクロヘキサノンの年間生産能力で操業することができる。
清浄なプラントの始動の直後、以上で記述し図2Aに示されているフェノール水素化区分、回収/精製区分およびシクロヘキサノール転化装置区分からなるシクロヘキサノンプラントは、理論的には、100000メートルトンの本質的に純粋なシクロヘキサノンの年間生産能力で操業することができる。
後蒸留区分(5)内の蒸留条件は以下の通りであった:
− 還流比:1.14
− リボイラの負荷:0.30MW。
− 還流比:1.14
− リボイラの負荷:0.30MW。
後蒸留区分(7)内の蒸留条件は以下の通りであった:
− 還流比:2.1
− リボイラ負荷:0.11MW。
− 還流比:2.1
− リボイラ負荷:0.11MW。
これらの条件下で、後蒸留区分(5)および(7)内には、蒸留塔の以下の性能が存在する:
このシクロヘキサノンプラントの4年間の操業期間中に、後蒸留区分(5)を含めたプラント全体を、清浄のために運転停止することなく、後蒸留区分(7)のわずかな<年2回>短期清浄だけで、最大生産能力で連続的に稼動させることができた。しかしながら、これらの後蒸留区分(7)の清浄期間中、比較実験で記述された通りにシクロヘキサノンプラントのその他の部分の操業を継続することができたために、本質的に純粋なシクロヘキサノンの生産を最大能力で続行することが可能であった。したがって、生産能力の利得は、比較実験で記述された通りの従来の方法に比べて、約3600メートルトン/年であった。
[実施例II]
前述した通り、かつ図2Bで描かれているように、フェノール水素化区分、回収/精製区分およびシクロヘキサノール転化器区分からなるシクロヘキサノンプラントは、清浄なプラントの運転開始直後に、理論的には、最終生成物としてのシクロヘキサノン100000メートルトンの年間生産能力で操業することができる。
前述した通り、かつ図2Bで描かれているように、フェノール水素化区分、回収/精製区分およびシクロヘキサノール転化器区分からなるシクロヘキサノンプラントは、清浄なプラントの運転開始直後に、理論的には、最終生成物としてのシクロヘキサノン100000メートルトンの年間生産能力で操業することができる。
後蒸留区分(5)内の蒸留条件は以下の通りであった:
− 還流比:1.3
−リボイラ負荷:0.35MW。
− 還流比:1.3
−リボイラ負荷:0.35MW。
後蒸留区分(7)内の蒸留条件は以下の通りであった:
− エネルギー負荷:0.05MW。
− エネルギー負荷:0.05MW。
これらの条件下で、後蒸留区分(5)および(7)内では蒸留塔の以下の性能が達成された:
このシクロヘキサノンプラントの4年間の操業期間中に、後蒸留区分(5)を含めたプラント全体を、清浄のために運転停止することなく、ワンパス薄膜蒸発器(7)のわずかな(年2回)短期清浄だけで、最大生産能力で連続的に稼動させることができた。しかしながら、これらのワンパス薄膜蒸発器(7)の清浄期間中、比較実験で記述された通りにシクロヘキサノンプラントのその他の部分の操業を継続することができたために、シクロヘキサノンの生産を最大能力で続行することが可能であった。したがって、生産能力の利得は、比較実験で記述された通りの従来の方法に比べて、約3600メートルトン/年であった。
Claims (14)
- 白金およびパラジウムから選択される少なくとも1つの触媒活性金属を含む触媒を使用してフェノールからシクロヘキサノンを連続的に調製する方法であって、
a)フェノールを水素化してシクロヘキサノンおよび未反応フェノールを含む生成物流を形成させるステップと;
b)生成物流の少なくとも一部または、シクロヘキサノンよりも低い沸点を有する1つ以上の成分が除去された生成物流の少なくとも一部を、蒸留を用いて、シクロヘキサノンを含む第1の画分とフェノールおよびシクロヘキサノールを含む第2の画分とに分離するステップと;
c)第2の画分を、蒸留を用いて、シクロヘキサノールを富有する第3の画分とフェノールを富有する第4の画分とに分離するステップと;
d)第4の画分の少なくとも一部をさらなる蒸留ステップに付して、第5の画分および第6の画分を形成させるステップであって、ここで第5の画分は第6の画分に比べてフェノールが富化されており、第6の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物およびフェノールを含むステップと、
を含む方法において、
e)第6の画分の少なくとも一部をさらに1つのさらなる蒸留ステップへと連続的または間欠的に分離して第7の画分および第8の画分を形成させるステップであって、ここで第7の画分が第8の画分に比べてフェノールが富化されており、第8の画分がフェノールよりも高い沸点を有する副産物を含んでいるステップ、
という付加的なステップを特徴とする方法。 - 第5の画分の少なくとも一部、フェノールを含む第7の軽質画分の少なくとも一部、または前記第5の画分および前記第7の軽質画分の両方の少なくとも一部がステップa)に連続的または間欠的に再循環される、請求項1に記載の方法。
- 第7の画分の少なくとも一部がステップe)まで再循環される請求項1または2に記載の方法。
- 第5画分の少なくとも一部、フェノールを含む第7の軽質画分の少なくとも一部または前記第5の画分および前記第7の軽質画分の両方の少なくとも一部が、フェノールからシクロヘキサノンを調製するためのプロセスと異なる第2のプロセス内に連続的または間欠的に導入される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 第2のプロセスがホルムアルデヒド−フェノール樹脂を調製するためのプロセスである、請求項4に記載の方法。
- 第3の画分の少なくとも一部が、フェノールからシクロヘキサノンを調製するためのプロセスと異なる第2のプロセス内に連続的または間欠的に導入される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 第2のプロセスがシクロヘキサン酸化プロセスであり、ここでシクロヘキサンからシクロヘキサノールおよび/またはシクロヘキサノンが生産される、請求項6に記載の方法。
- 第2のプロセスは、シクロヘキサノールが少なくとも部分的にシクロヘキサノンへと転化されるシクロヘキサノール転化装置の使用を含むシクロヘキサノール脱水素化プロセスであり、その後第2のプロセスにおいてシクロヘキサノンが、第1のプロセスに由来する残留シクロヘキサノールおよび再循環する副産物から分離される請求項6に記載の方法。
- 第2のプロセスがアジピン酸生産プロセスであり、シクロヘキサノールがアジピン酸に転化される、請求項6に記載の方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の方法を実施するのに適した化学プラントにおいて、
− フェノール水素化反応区分(1)と;
− フェノール水素化反応区分(1)の下流側の、任意には予備蒸留区分(2)を含み、それぞれフェノール水素化反応区分(1)の生成物流を第1の画分(「シクロヘキサノン」)および第2の画分(c)に分離するため、前記第2の画分を第3の画分(d)および第4の画分(e)に分離するため、前記第4の画分を第5の画分(g)および第6の画分(f)に分離するため、および前記第6の画分を第7の画分(i,i’)および第8の画分(j)に分離するための区分(3)、(4)、(5)および(7)を含む、複数の蒸留区分と、
を含む、化学プラント。 - 区分(1)の下流側のプラントが、区分(1)を出る生成物流から1つ以上の軽質成分を除去するための予備蒸留区分(2)を含み、第3の画分内のシクロヘキサノールの少なくとも一部をシクロヘキサノンに転化し結果として得られた流れを予備蒸留区分(2)内に補給するためのループをさらに含んでおり、任意には、第5の画分の少なくとも一部を水素化区分(1)内に再循環させるための再循環ループも含む、請求項10に記載の化学プラント。
- 第7および第8の画分を形成させるために蒸留区分(7)内で形成された軽質画分の少なくとも一部を、第5および第6の画分を形成させるために蒸留区分(5)へと再循環させるための再循環ループを含む、請求項10または11に記載の化学プラント。
- 第7および第8の画分を形成するための蒸留区分(7)が薄膜蒸発器を含む、請求項10〜12のいずれかに記載の化学プラント。
- 軽質画分群から選択される少なくとも1つの画分またはその一部を、後蒸留区分(4)、(5)および(7)の少なくとも1つから、フェノールからシクロヘキサノンを調製するためのプロセスとは異なる別の設備、特に、シクロヘキサノールを脱水素化するための設備、アジピン酸を調製するための設備、シクロヘキサンを酸化するための設備およびホルムアルデヒド−フェノール樹脂を調製するための設備から選択される設備まで導くための導管を含む請求項10〜13のいずれかに記載の化学プラント。
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