JP2011506258A - 改良された加熱デバイスによる無機酸化物または鉱物を含む溶融物を成形する装置 - Google Patents
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Abstract
高融点無機酸化物あるいは鉱物で作られる繊維、管、ロッド、ストライプは、大量に使用される。これらの製品を製造するために、溶融コンテナの底部に配置された個別オリフィスあるいはオリフィスプレートを有する溶融コンテナを含む装置が使用される。溶融コンテナの中の溶融物は、個別オリフィスあるいはオリフィスプレートの上方を可能な限り均質な動作温度に保たなければならない。電流の直接貫通流によって通常加熱される溶融コンテナは、周囲への高い放射損失をもたらし、高い電気エネルギを必要とする。溶融物の加熱に対して、1つ以上のパイプを溶融コンテナに配置し、パイプがコンテナケーシングを通る、外側への少なくとも1つの接続を有し、電気加熱要素がパイプの中に挿入されるタイプの加熱は、個別オリフィスあるいはオリフィスプレートの上方に均質な温度分布の溶融物をもたらし、50%より多いエネルギ節約を可能にする。
Description
本発明は、無機酸化物または鉱物を含む溶融物を成形する装置に関し、特に、ガラス繊維および玄武岩繊維を製造する方法に関する。装置は、コンテナ筺体および溶融コンテナの底部に配置された個別オリフィスあるいはオリフィスプレートを有する溶融コンテナを含む。
高融点無機酸化物あるいは鉱物で作られる繊維、管、ロッド、ストライプあるいは外形は、大量に製造される。この材料からの繊維は、例えば、プラスチック、セラミックおよび金属を強化するために使用される。
ガラス糸を製造するための初期の装置が、特許文献1に示されている。円筒形の加熱チャンバは、焼成耐火粘土あるいは耐熱金属合金のような耐熱性材料から作られ、一方の側に沿って1つ以上の回転ノズルが提供され、回転ノズルを通ってチャンバからガラスが引き出される。加熱チャンバ内には、円筒の軸に平行な複数の加熱要素が配置される。各々は、電気抵抗がそれらの内面に配置された、磁器あるいは耐熱金属合金から製造される管からなる。この装置は、焼成耐火粘土あるいは磁器の好ましい用途が原因で、今日の品質要件および繊維の生材料の必要とされる送達に対処することはできない。装置が耐熱金属合金から製造される場合、加熱要素、抵抗および加熱チャンバが一体化ユニットを形成するので、加熱電流は装置全体を通って流れる。
ガラス繊維あるいは鉱物繊維を製造する今日の装置は、主として、白金族金属の合金からなり、装置のケーシングを通って流れる直接電流によって加熱される。そのような装置は、溶融コンテナの底部に配置された個別オリフィスあるいはオリフィスプレートを有する溶融コンテナを含む。溶融コンテナは、管、樋、円錐、円筒等であり得る。溶融コンテナの中の溶融物は、引き出しプロセスの妨害のない繊維が同じ繊維断面を有して、形成オリフィスのすべてから引き出され得るように、可能な限り均質な、個別オリフィスあるいはオリフィスプレート上方の温度分布を有さなければならない。オリフィスプレートは、繊維を成形するための数百の個別オリフィスが装備され得る。オリフィスプレートを有する装置が、特許文献2、特許文献3および特許文献4に示されている。個別オリフィスを有する装置は、特許文献5に記述されている。
無機酸化物あるいは鉱物は、公知の方法を使用して炉の中で溶融され、装置の中に導入される。再溶融プロセスの場合、装置は直接的に炉に接続され、直接溶融プロセスの場合、装置は、分配チャネルに固定的に接続される。金属、特に白金および白金合金は、装置の材料としてまたオリフィスプレートおよびオリフィスの材料として通常使用される。金属の高い熱伝導率のため、装置は、溶融物の一定の粘性と、可能な限り均質な、個別オリフィスあるいはオリフィスプレート上方の温度分布とを確実にするために、熱損失に対して遮断される。比較すると、溶融コンテナの底部の個別オリフィスあるいはオリフィスプレートは、熱的に遮断され得なく、従って、より冷たい周囲への、熱の対流および放射の熱移動が生じる。熱損失は、溶融物の高い動作温度によって、また金属装置の直接の電気加熱によって通常補償され、従って、高いエネルギ消費をもたらす。周囲への熱損失の結果として温度勾配があり、それに関連して、溶融物中の粘性の勾配がある。
無機酸化物あるいは鉱物を含む溶融物を成形する装置および、溶融物中においてより均質な温度分布および従来のこのタイプの装置よりも顕著に減少したエネルギ消費を有する装置を特定するのが本発明の対象である。
この対象は、無機酸化物あるいは鉱物を含む溶融物を形成する装置(1)によって達成され、この装置はコンテナケーシング(3、4)を有する溶融コンテナ(2)および、溶融コンテナの底部(6)に配置される複数のオリフィス(8)を有するオリフィスプレート(7)あるいは個別オリフィスを含む。この装置において、1つ以上のパイプ(9)が溶融コンテナ中に配置される。パイプは、コンテナケーシングを通って外側への少なくとも1つの接続/開口部を有し、電気加熱要素(10)がパイプの中に挿入される。溶融コンテナ(2)、個別オリフィスあるいはオリフィスプレート(7)および管(9)は、白金、パラジウムあるいは、ロジウム、イリジウムおよび金から選択される1つ以上の金属とのそれらの合金から製造される。
加熱要素あるいは加熱カートリッジは、商業的に利用可能な加熱要素であり得、それらは、1850℃までの動作温度に対して、例えばKanthal社から得られる。加熱要素が、それが挿入される管から電気的に絶縁されていることが、本発明に対して本質的である。特許文献1とは反対に、本発明に従った装置は、溶融コンテナのケーシングを通って流れる直接電流によっては加熱されない。
本発明によると、溶融物の温度は、パイプの中に挿入された加熱要素の助けにより、動作温度に保たれる。溶融物を加熱するための熱源は、従って、直接に溶融物の中に配置される。熱は、熱伝導および熱放射によって溶融物に送達される。結果として、金属装置の直接加熱に比べて、加熱システムの周囲への熱損失は50%以上減少させられる。母線も、電流を金属装置中に導入するためには、もはや必要とされなくなり、従って、貴金属が削減できる。加えて、本発明に従った装置は、溶融物の温度が容易に調節されることを可能にする。
装置は、数百のオリフィスを有するオリフィスプレートに対して、および個別オリフィスに対して、の両方に適切である。第1の場合、溶融コンテナは、三角形の底部表面を有し、4側面の壁によって境界が定められている。この場合、パイプが加熱要素と共に2つの対向するコンテナ壁の間に導かれ、複数のそのようなパイプが互いに平行に配置される場合に、有利である。そのような装置は、ガラスあるいは鉱物からの技術繊維の大量生産に適している。対照的に、コンテナガラスおよび高度な技術ガラスが形成される場合、装置をただ数個のオリフィスあるいはただ1つの個別オリフィスで使用することが得策である。溶融物コンテナは、そして、ポット、三角錐あるいは円筒の形状である。この場合、溶融物を加熱するパイプは、閉じた循環パイプとして設計され得る。加熱パイプは従って、溶融コンテナの内部幾何形状に適合される。供給パイプは、溶融コンテナのケーシングを通って外側から導入し、循環パイプに接続される。加熱要素は、供給パイプを介して循環パイプ中に挿入され、電気エネルギが供給される。
装置のコンテナケーシング、個別オリフィスあるいはオリフィスプレート、およびパイプは、白金、パラジウムあるいはパラジウム金属の、ロジウム、イリジウムおよび金の金属のうちの1つ以上との合金から製造される。より高温での強度の要求を満たすために、白金あるいはパラジウム合金が、金属中に微細に分配された酸化物金属によって安定化され得る。酸化ジルコニウムおよび酸化イットリウムが、安定化の目的に対して特に適切である。加熱パイプは、コンテナケーシングに溶接され、溶融物の逃げ出しに対する密封を提供する。
本発明は、例示的実施形態および図1から6を参照してより詳細に説明される。
図1は、本発明に従った装置(1)の特定の実施形態を通る断面を示している。装置は、コンテナケーシング(3,4)および円周のフランジ(5)を有する溶融物コンテナ(2)を含み、このフランジは、上側面上においてコンテナケーシングを取り囲み、溶融コンテナを前炉チャネルに固定するように意図されている。オリフィス開口部(8)を有するオリフィスプレート(7)は、溶融コンテナの底部(6)に埋め込まれている。オリフィス開口部は、穿孔あるいは深絞りオリフィスあるいはそうでなければ個別に製造されたオリフィスを通る単純なものであり得る。動作の間、溶融コンテナの内部全体が溶融物で満たされる。オリフィスプレートより上では、本装置のこの実施形態においては、貫通パイプ(9)が、コンテナケーシング(3,4)の2つの対向部の間に配置され、コンテナケーシングを通って導かれる。上記パイプは、好ましくは、角のない断面を提供されるが、また、任意の他の適切な断面形状を有し得る。外側方向に導かれる接続配線(11)を有する電気加熱カートリッジ(10)が上記パイプに挿入される。溶融物の動作温度を維持するために、加熱カートリッジは電流を提供される。図2は、図1からの装置の上からの図を示している。同じ参照番号は図1と同じ要素を示す。
図3は、熱遮断の目的のための、セラミックの絶縁複合物(23)において一体化して鋳造される溶融コンテナ(2)の装置を示す。前炉チャネル(20)は、装置の上に直接配置される。図3に示された前炉チャネルの長手方向の延長部は、図面の平面に対して垂直である。さらなるセラミックれんがあるいはブッシングブロック(22)は、アダプタブロックとして熱遮断のために働く。前炉チャネル(20)は、溶融物によってあるレベル(21)まで満たされる。溶融物は、炉から前炉チャネルを介して直接的に装置の中に通過する。溶融コンテナ(2)は、溶融物によって完全に満たされる。図1のように、装置は貫通パイプ(9)を備えている。貫通パイプは、セラミック埋め込み複合物(23)のボアを通って導かれる。
図1から3は、複数のオリフィス(8)を有する装置の実施形態を示している。対照的に、図4は、コンテナガラスおよび高度な技術ガラスを成形するための、ただ1つの個別オリフィス(8)を有する装置を示している。図4a)は、装置を通る断面を示しており、一方、図4b)は、矢印Aの方向の装置の図を示している。加熱の目的のために、溶融コンテナ(2)はパイプ(9)を含み、このパイプは曲げられて共に円形状の環を形成する。円形状のパイプは、フィードパイプ(12)に接続され、このフィードパイプはコンテナケーシング(3)を通って導かれ、コンテナケーシングに溶接され、加熱要素が加熱パイプ(9)中に挿入されることを可能にする。参照番号(13)は、オリフィスボアを示し、これは上から見える。
図5は、図1に従った装置の透視図を示す。貫通パイプ(9)の構成が、明確に見られる。図6は、図5と同じ例示を示しているが、貫通パイプ上のカバー網目(30)を伴っている。網目は、とりわけ、溶融物の中に時折含まれる未分解の粒子を集める働きを有し、それによって、オリフィスが詰まることを防ぐ。
(例)
図1に従った装置内の温度分布、従来の直接加熱に対するオリフィスプレート下の温度プロファイルおよび本発明に従った貫通パイプ中に挿入された加熱カートリッジによる加熱に対する温度プロファイルが、シミュレーション計算の助けにより決定された。計算は、次の寸法を有する装置に基づいて計算された。長さ=510mm、幅=160mm、高さ=50mm、シート状金属の厚さ=1.5mmである。装置は、明確な直径2mmを有する2400のオリフィスを備えていると仮定された。そのような装置は、1日あたり1500kgのガラスを回転することができ、13μmの直径を有するガラス繊維を形成する。計算は、公知の白金、ガラスおよびセラミックの熱特性を使用してなされた。下の表は、使用された材料のデータ一覧である。
(表) シミュレーション計算に使用された材料データ
図1に従った装置内の温度分布、従来の直接加熱に対するオリフィスプレート下の温度プロファイルおよび本発明に従った貫通パイプ中に挿入された加熱カートリッジによる加熱に対する温度プロファイルが、シミュレーション計算の助けにより決定された。計算は、次の寸法を有する装置に基づいて計算された。長さ=510mm、幅=160mm、高さ=50mm、シート状金属の厚さ=1.5mmである。装置は、明確な直径2mmを有する2400のオリフィスを備えていると仮定された。そのような装置は、1日あたり1500kgのガラスを回転することができ、13μmの直径を有するガラス繊維を形成する。計算は、公知の白金、ガラスおよびセラミックの熱特性を使用してなされた。下の表は、使用された材料のデータ一覧である。
(表) シミュレーション計算に使用された材料データ
装置の従来の直接加熱の間、1125℃の動作温度に溶融物を維持するために、21kWの加熱電力が必要とされた。抵抗加熱によってオリフィスプレート中に導入された熱エネルギの大部分は、直接下側方向に放射される。対照的に、同じ加熱電力が、貫通パイプを介して直接ガラス溶融物中に導入される場合、溶融物の温度はオリフィスプレートのちょうど上まで1400℃を超える温度に増加する。従来の加熱の間、溶融物コンテナ内の溶融物は、上の縁からオリフィスプレートへ鋭い温度低下を有する。本発明に従った加熱の場合、この温度勾配は、実質上存在しない。さらに、従来の金属装置の直接加熱の間、外側から中心への温度低下を有する横方向の温度勾配が観測される。本発明に従った加熱の場合、この温度勾配も実質上存在しない。
従来の加熱と同じエネルギの入力による、本発明に従った加熱は、従って、より均質な溶融物の加熱をもたらす。熱はここで加熱源からパイプを通って溶融物に輸送され、最終的にオリフィスプレートを有する溶融物コンテナに輸送される。熱は、従って、周囲には直接的には放射されない。しかしながら、本発明に従った加熱の間のより小さな熱損失のために、溶融物はより厳密に加熱し、従って、供給される熱量が減少されなければならない。わずか3.9kWへの加熱電力の減少でもって、21kWにおいて得られた従来の加熱の間とほぼ同一の温度条件であった。本発明に従った加熱は、従って、エネルギの入力が、溶融物の動作温度を維持するために約1/5に減少されることを可能にする。
もちろん、本装置の発明に従った間接加熱は、複数のオリフィスを有する装置の場合に使用され得るのみでなく、個別オリフィスの場合にも有利に使用され得る。
高融点無機酸化物あるいは鉱物で作られる繊維、管、ロッド、ストライプあるいは外形の製造に対して、本装置は好ましく使用される。
Claims (6)
- 無機酸化物または鉱物を含む溶融物を成形する装置(1)であって、該装置は、コンテナケーシング(3、4)を有する溶融コンテナ(2)と、該溶融コンテナの底部(6)に配置される個別オリフィスあるいは、複数のオリフィス(8)を有するオリフィスプレート(7)とを含み、1つ以上のパイプ(9)が該溶融コンテナ中に配置され、該パイプは、コンテナケーシングを通る外側への少なくとも1つの接続部を有し、電気加熱要素(10)が該パイプの中に挿入され、該溶融コンテナ(2)、該個別オリフィスあるいはオリフィスプレート(7)および該管(9)は、白金、パラジウムあるいは、ロジウム、イリジウムおよび金から選択される1つ以上の金属とそれらとの合金から製造される、
装置。 - 前記パイプ(9)は、前記加熱要素(10)と共に、前記コンテナケーシング(3、4)の2つの対向する部分の間に配置され、該コンテナケーシングを通って導かれる、請求項1に記載の装置。
- 前記貴金属あるいは前記貴金属合金は、該金属中に微細に分配された酸化物材料によって安定化される、請求項2に記載の装置。
- 1平方センチメートルあたり1個から25個のオリフィスが、前記オリフィスプレート(7)に埋め込まれる、請求項1に記載の装置。
- ただ1つの個別オリフィスが、前記装置の前記底部(6)に存在する、請求項1に記載の装置。
- 高融点無機酸化物あるいは鉱物で作られる繊維、管、ロッド、ストライプあるいは外形を製造するための、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の前記装置の使用。
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