JP2011505840A - ヒト乳癌の転移能を予測するコピー数変化 - Google Patents
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Abstract
本明細書に開示されているのは、予後値の染色体領域を定義するため、染色体の既定部分におけるすべてのSNP(一塩基多型)の有意性を要約することによって、予後値の染色体領域を定義する方法である。特定の遺伝子におけるSNPに基づいて、乳癌のより正確な予後診断が提供される。
Description
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、同時係属中の米国特許仮出願第61/007,650号(2007年12月14日出願)に対して優先権及び利益を主張し、この出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、同時係属中の米国特許仮出願第61/007,650号(2007年12月14日出願)に対して優先権及び利益を主張し、この出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
〔発明の分野〕
本発明は、1つの実施形態において、特定の遺伝子中の一塩基多型(SNP)の数を測定することによって乳癌の予後診断を提供する方法に関連する。
本発明は、1つの実施形態において、特定の遺伝子中の一塩基多型(SNP)の数を測定することによって乳癌の予後診断を提供する方法に関連する。
〔発明の背景〕
乳癌は、幅広い種類の臨床的様相、組織学的タイプ及び成長速度を呈する不均質な疾患(heterogeneous disease)である。検出可能なリンパ節関与のない患者(低リスクと見なされる母集団)では、それら患者の20〜30%が、5〜10年後の追跡調査で再発疾患を生じている。再発のリスクがあるこの群の個人を特定するのは、現在のところ、信頼性のある方法で行うことはできない。
乳癌は、幅広い種類の臨床的様相、組織学的タイプ及び成長速度を呈する不均質な疾患(heterogeneous disease)である。検出可能なリンパ節関与のない患者(低リスクと見なされる母集団)では、それら患者の20〜30%が、5〜10年後の追跡調査で再発疾患を生じている。再発のリスクがあるこの群の個人を特定するのは、現在のところ、信頼性のある方法で行うことはできない。
欠失、挿入及び増幅などの、DNAコピー数変化(CNA)又はコピー数多型(CNP)は、発癌現象に寄与する主な遺伝子変化の1つであると考えられている。従来型及びアレイに基づく比較ゲノムハイブリダイゼーションの両方によって、乳房腫瘍中で変化している染色体領域が明らかにされている。しかしながら、高スループット、高解像度プラットフォームを使用して、DNAコピー数変化と乳癌の予後との関連を調査した研究は存在しない。
〔発明の概要〕
本明細書に開示される方法は、患者の予後結果を予測するためにコピー数変化(CNA)の利用を実行可能にするものである。予後診断のための遺伝子発現に基づく署名(gene expression based signatures for prognosis)と組み合わせると、コピー数署名(CNS)はリスク分類をより正確にし、有意に不良の予後見通しと、化学療法薬剤に対して潜在的に特異な反応とを有する乳癌患者を特定することができる。
本明細書に開示される方法は、患者の予後結果を予測するためにコピー数変化(CNA)の利用を実行可能にするものである。予後診断のための遺伝子発現に基づく署名(gene expression based signatures for prognosis)と組み合わせると、コピー数署名(CNS)はリスク分類をより正確にし、有意に不良の予後見通しと、化学療法薬剤に対して潜在的に特異な反応とを有する乳癌患者を特定することができる。
本明細書で検討される実施例では、乳癌ゲノム中の100,000超のSNP座についてのCNA分析に、高スループットかつ高解像度のオリゴヌクレオチド系一塩基多型(SNP)アレイ技術が使用された。313人のLNN(リンパ節陰性)乳癌患者の大規模コホートにおいて、遠隔転移を生じる可能性が非常に高い患者のサブセットと相関関係にあるCNAが同定された。CNAの予後診断能(prognostic power)は、2つの独立した患者コホートにおいて検証された。加えて、公開されている予測遺伝子署名を使用して、異なる予後を有するものとして同定された患者サブグループに対して、推定される薬剤有効性の試験が行われた。この結果、DNAコピー数分析と遺伝子発現分析とを組み合わせることにより、乳癌患者のリスク評価について、追加的かつより良い手段がもたらされることが示された。
本発明は、下記の添付図面を参照して開示されている。
予後コピー数変化(CNA)を有する遺伝子(SNP)を同定するための分析ワークフロー。
予後CNAの染色体領域を図示。
予後CNAの染色体領域を図示。
遠隔転移のない生存数をCNSの関数として示している。
化学療法化合物に対する感受性。
ER陽性腫瘍及びER陰性腫瘍の分化をグラフで表わしたもの。
ER陰性腫瘍の特定のデータ。
本明細書に述べられている実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示すものであるが、いかなる意味でも本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
〔詳細な説明〕
欠失及び増幅などの特定のDNAコピー数変化(CNA)は、アポトーシスの低下、抑制のない増殖、運動性及び脈管形成の増加を介して、発癌及び腫瘍の発達に寄与する主要なゲノム変化である。かなりの割合のゲノム異常は癌の生物学には無関係であり、単にランダムな中立の事象によるものであるため、究極的に悪性の形質転換及び進行に至る遺伝子発現制御をもたらす原因遺伝子CNAを同定するのは難しい。蛍光in situハイブリダイゼーションと比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)の両方によって、乳房腫瘍のCNAを示す染色体領域が明らかにされている。51例の乳房腫瘍を含む最近の研究において、乳癌アンプリコン境界を精密にし、可能性のあるドライバー遺伝子のリストを絞り込むために、高解像度SNPアレイが遺伝子発現プロファイリングと共に使用された。しかしながら、予後有意性との関連でCNAを調べた研究はごく限定的な数しかなく、これらの研究のサンプルサイズは確かな結論を導くには小さすぎた。加えて、十分なサンプルサイズで、ヒトゲノムの適切な適用範囲及びマッピング解像度を有するテクノロジーを用い、CNA分析と遺伝子発現プロファイリングとを組み合わせて使用して乳癌予後を調べた研究は更に少ない。
欠失及び増幅などの特定のDNAコピー数変化(CNA)は、アポトーシスの低下、抑制のない増殖、運動性及び脈管形成の増加を介して、発癌及び腫瘍の発達に寄与する主要なゲノム変化である。かなりの割合のゲノム異常は癌の生物学には無関係であり、単にランダムな中立の事象によるものであるため、究極的に悪性の形質転換及び進行に至る遺伝子発現制御をもたらす原因遺伝子CNAを同定するのは難しい。蛍光in situハイブリダイゼーションと比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)の両方によって、乳房腫瘍のCNAを示す染色体領域が明らかにされている。51例の乳房腫瘍を含む最近の研究において、乳癌アンプリコン境界を精密にし、可能性のあるドライバー遺伝子のリストを絞り込むために、高解像度SNPアレイが遺伝子発現プロファイリングと共に使用された。しかしながら、予後有意性との関連でCNAを調べた研究はごく限定的な数しかなく、これらの研究のサンプルサイズは確かな結論を導くには小さすぎた。加えて、十分なサンプルサイズで、ヒトゲノムの適切な適用範囲及びマッピング解像度を有するテクノロジーを用い、CNA分析と遺伝子発現プロファイリングとを組み合わせて使用して乳癌予後を調べた研究は更に少ない。
本明細書は、ゲノム全体の遺伝子発現データも入手可能な313例のリンパ節陰性(LNN)原発性乳房腫瘍から得たゲノムDNAにおいて、ヒトゲノム全体で100,000を超えるSNP座のDNAコピー数の分析を記述している。これら2つのデータセットを組み合わせることにより、ゲノム座の同定、及び、遠隔転移と高い相関性を有するマップされた遺伝子の同定が可能になった。同定された患者サブグループは、更に、公開されている予測診断署名に基づいて、推定される薬剤有効性の試験が行われた。
DNAコピー数及び遺伝子発現の組み合わせ分析が、アジュバント全身性治療を受けていない、大規模コホートの313人のLNN乳癌患者に対して実施された。我々の知る限り、これはaCGHよりもはるかに高い解像度を有する高密度SNPアレイ技術を用いた乳癌予後診断のためにCNA分析を行う研究として最大のものである。CNA及び一致する遺伝子発現制御を示した81の遺伝子の署名が、200人のLNN患者のトレーニング群から同定された。このCNSは、独立した113人のLNN患者において検証され、また116人のLNN患者の外部aCGHデータセットにおいても検証された。81遺伝子CNSによって同定された特に急速な再発を伴う非常に予後不良の群が、実際には76遺伝子GESのみによって予測された予後不良患者のサブセットを構成したため、予備的臨床有用性が示された。よってGESに加えてCNSを適用することにより、乳癌患者の予後のリスク分類が明らかに改善される。更に、化学療法化合物に対する感受性についての既報の遺伝子署名プロファイルを使用することによって、非常に予後不良の群が、手術前T/FAC混合化学療法、特にシクロホスファミド及びドキソルビシン化合物に対して、より強い抵抗性を有する可能性があり、一方エトポシド及びトポテカンからは効果が得られる可能性が示された。これは、このカテゴリーに属する患者を、他の患者群よりもしっかりと監視すべきこと、他の患者群とは異なる化学療法レジメンで管理すべきこと、並びに、81のCNS遺伝子も、化学療法感受性において重要な役割を果たしていることを示唆している可能性がある。
遺伝子増幅と乳癌予後との間の関係を調べた過去の研究では、ER陽性及びER陰性などの異なる乳癌サブタイプを単一の均質コホートと見なしていた。しかしながらこれらの腫瘍は、おびただしい量の明確かつ全体的な遺伝子発現プロファイルによって証明されるように、病理学的及び生物学的に非常に異なることが知られている。この相違は、DNAコピー数の全体的なパターンにも敷延される。よって、ER陽性及びER陰性(エストロゲン受容体陽性及び陰性)の腫瘍については、別々に分析を実施する必要がある。実際に、ER陽性腫瘍から同定された、予後染色体領域は、ER陰性腫瘍から同定されたものと共通する部分はほとんどない。例えば、染色体領域8qは、乳癌の予後不良に関係するDNA増幅の部位として広く知られている。この領域8qは実際にER陽性腫瘍の増幅のホットスポットであったが、ER陰性腫瘍の明らかな増幅領域はここに含まれていなかった。ER陰性腫瘍はLNN乳癌の少ないパーセンテージ(25%以下)しか構成していないため、分析においてこの2つのタイプの乳癌を分けない研究では、その結論が、ER陽性腫瘍の多数派サンプルの結果に埋もれてしまっていたと推測するのが妥当である。我々の分析で観察された、この2つのタイプの腫瘍間の明らかな違いとして、もう1つは、染色体領域20q13.2〜13.3であった。ER陽性腫瘍におけるこの領域のコピー数の増加、しかしながらこれとは対照的に、ER陰性腫瘍におけるこの領域のコピー数の減少は、早期再発に関連していた。合わせて考えると、これらの結果は、ER陽性腫瘍とER陰性腫瘍は、癌の発生と進行に関して異なる生物学的経路をたどることを再強調している。
予後染色体領域の同定
各SNPの四分位数間コピー数見積りから算出された平均コピー数の中央値は2.1であり、ゲノムの大半が二倍体であると全体的に仮定した場合と首尾一貫している。313例の腫瘍すべてについてPCAを使用した無管理分析では、染色体コピー数の変化が、ER陽性腫瘍とER陰性腫瘍との間に明白な分離の傾向を表わしたことを示している(図5)。したがって、これら2つのタイプの乳房腫瘍は、これまでの多くの研究で示唆された全体的な遺伝子発現プロファイルについて異なるだけでなく、DNAレベルで異なる染色体変化も有している。よって、ER陽性腫瘍とER陰性腫瘍について別々に実施する後続の分析が必要である。患者は無作為に、約2:1の比率で、200人のトレーニング群(ER陽性腫瘍133人、ER陰性腫瘍67人)と113人の試験群(ER陽性腫瘍66人、ER陰性腫瘍47人)とに分けた(表1及び図1)。このトレーニング群は、予後染色体領域及びマップされた遺伝子の同定と、遠隔転移を予測するためにCNSの作成に使用された。この試験群は、検証目的のためにのみ、別に分類された。
各SNPの四分位数間コピー数見積りから算出された平均コピー数の中央値は2.1であり、ゲノムの大半が二倍体であると全体的に仮定した場合と首尾一貫している。313例の腫瘍すべてについてPCAを使用した無管理分析では、染色体コピー数の変化が、ER陽性腫瘍とER陰性腫瘍との間に明白な分離の傾向を表わしたことを示している(図5)。したがって、これら2つのタイプの乳房腫瘍は、これまでの多くの研究で示唆された全体的な遺伝子発現プロファイルについて異なるだけでなく、DNAレベルで異なる染色体変化も有している。よって、ER陽性腫瘍とER陰性腫瘍について別々に実施する後続の分析が必要である。患者は無作為に、約2:1の比率で、200人のトレーニング群(ER陽性腫瘍133人、ER陰性腫瘍67人)と113人の試験群(ER陽性腫瘍66人、ER陰性腫瘍47人)とに分けた(表1及び図1)。このトレーニング群は、予後染色体領域及びマップされた遺伝子の同定と、遠隔転移を予測するためにCNSの作成に使用された。この試験群は、検証目的のためにのみ、別に分類された。
第一に、CNAが患者のDMFSに相関している染色体領域が同定された。ER陽性腫瘍については、17本の染色体にわたって分布する45の染色体領域が、DMFSに相関するCNAを有するものとして同定され(図2A及び表7)、ER陰性腫瘍については、19本の染色体にわたって分布する56の染色体領域があった(表8)。ER陽性腫瘍及びER陰性腫瘍のこれら領域サイズの合計は、それぞれ521Mb(表4)及び496Mb(表5)であった。ER陽性腫瘍から同定された、予後染色体領域は、ER陰性腫瘍から同定されたものと共通する部分がほとんどない(図2A及び2B)。
200人の患者のトレーニング群において、81遺伝子予後コピー数署名(CNS)が作成され、113人の患者の独立試験群(ハザード比[HR]:2.8、95%信頼区間[CI]:1.4〜5.6、p=0.0036)において、及び、116人の患者の外部データセット(HR:3.7、95CI:1.3〜10.6、p=0.0102)において、高い遠隔転移確率を有する患者サブグループを識別した。これらの高リスク患者は、我々が既に確立した76遺伝子発現署名(GES)によって予測された高リスク患者のサブセットを構築する。このCNS及びGESによって同定された非常に予後不良の群は、手術前パクリタキセル及び5−FU−ドキソルビシン−シクロホスファミド(T/FAC)の混合化学療法に対してより強い抵抗性を有すると推定され、(p=0.0003)、特にドキソルビシン及びシクロホスファミド化合物に対して、より強い抵抗性を有すると推定され、一方エトポシド及びトポテカンからは効果が得られる可能性が示された。
患者サンプル
Erasmus Medical Center(オランダ・ロッテルダム)の腫瘍バンクから選択した313人のLNN乳癌患者の凍結腫瘍試料がこの研究に使用された。これらの患者のいずれも、全身性(ネオ)アジュバント治療を受けていなかった。局所的な主要治療のガイドラインは同じであった。これら試料のうち、273件が、Affymetrix U133Aチップを使用した遠隔転移の予測に関する76遺伝子署名を調べるのに使用された。残る40人の患者は、予後生物学的経路を研究するのに使用された。この研究はMedical Ethics Committee of the Erasmus MC(オランダ・ロッテルダム)(MEC 02.953)によって認可され、Code of Conduct of the Federation of Medical Scientific Societies in the Netherlands(http://www.fmwv.nl/)に準拠して実施され、可能な場合にはReporting Recommendations for Tumor Marker Prognostic Studies REMARKに従った。
Erasmus Medical Center(オランダ・ロッテルダム)の腫瘍バンクから選択した313人のLNN乳癌患者の凍結腫瘍試料がこの研究に使用された。これらの患者のいずれも、全身性(ネオ)アジュバント治療を受けていなかった。局所的な主要治療のガイドラインは同じであった。これら試料のうち、273件が、Affymetrix U133Aチップを使用した遠隔転移の予測に関する76遺伝子署名を調べるのに使用された。残る40人の患者は、予後生物学的経路を研究するのに使用された。この研究はMedical Ethics Committee of the Erasmus MC(オランダ・ロッテルダム)(MEC 02.953)によって認可され、Code of Conduct of the Federation of Medical Scientific Societies in the Netherlands(http://www.fmwv.nl/)に準拠して実施され、可能な場合にはReporting Recommendations for Tumor Marker Prognostic Studies REMARKに従った。
前述のER(及びPgR)カットオフを使用して、199の腫瘍のサンプリングがER陽性、114がER陰性として分類された。手術時の患者の年齢中央値(乳房温存手術:患者230人、非定型的根治的乳房切除術:患者83人)は54歳であった(範囲26〜83歳)。生存患者(n=220)の追跡検査時期中央値は99ヶ月であった(範囲20〜169ヶ月)。合計114人の患者(36%)に遠隔転移が発生し、DMFSの分析においては失敗として数えられた。死亡した93人の患者のうち、7人は疾患の形跡がなく、DMFS分析において最後の追跡検査で検閲された。86人は、先の再発の後に死亡した。患者の臨床病理学的特徴は表1に記載されている。臨床データ及びSNPデータを含むデータセットは、アクセッション番号10099(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo、ユーザー名:jyu8、パスワード:jackxyu)でGene Expression Omnibusデータベースに提出された。
独立した検証として、本研究において使用された116人のLNN患者の外部アレイCGH(aCGH)データセットは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?acc=GSE8757からダウンロードされた。このデータセットに関連する臨床データ(表1)は、Dr.Teschendorff(英国・ケンブリッジ大学)の好意により提供された。
DNA分離、ハイブリダイゼーション及びDNAコピー数分析
ゲノムDNAは、QIAamp DNAミニキット(Qiagen、オランダ・ヴェンロー)を用いて、メーカー提供のプロトコルに従い、5〜10片の30μm腫瘍クライオスタット切片(10〜25mg)から分離された。各患者サンプルのゲノムDNAは、Affymetrix GeneChip(登録商標)Mapping 100Kアレイセット(Affymetrix、カリフォルニア州サンタクララ)を用いて、標準プロトコルに従い、対立形質化された。簡単に言えば、ゲノムDNA 250ngをHind III又はXbaIで消化し、次に凝集性の4つの塩基対(bp)のオーバーハングを認識するアダプターにライゲーションした。アダプター配列を認識するジェネリックプライマーを使用して、DNA Engine(MJ Research、マサチューセッツ州ウォータータウン)を用い、250〜2000bpサイズの範囲のフラグメントを優先的に増幅するよう最適化したPCR条件で、このアダプターライゲーションしたDNAフラグメントを増幅した。Qiagen MinElute 96 UF PCR精製システムで精製した後、PCR生成物の合計40μgをフラグメント化し、約2.9μgを4%TBEアガロースゲル上で可視化し、DNAフラグメントの平均サイズが180bp未満になるようにした。フラグメント化したDNAを次にビオチンで標識し、ハイブリダイゼーションオーブン中480℃で17時間、Affymetrix GeneChip(登録商標)Human Mapping 100Kアレイセットにハイブリダイズした。このアレイを洗浄し、Affymetrix Fluidics Stationを用いて染色し、GeneChip Scanner 3000 G7及びGeneChip(登録商標)Operatingソフトウェア(GCOS)(Affymetrix)でスキャンした。GTYPE(Affymetrix)ソフトウェアを使用して、アレイ上の各プローブセットについてSNPコールを生成した。SNPコールは、研究全体にわたってプローブセットの96.6%について決定され、標準偏差は2.6%であった。次にCCNT 3.0ソフトウェアを使用して、各プローブセットのコピー数を表わす値を生成した。これは、各チップのハイブリダイズされた強度を、さまざまな人種にわたる健常者100人について強度測定したメーカー提供の参照用セットと比較することによって行われた。コピー数測定は、ウィンドウサイズ0.5MbでCCNTのゲノム平滑化機能を使用して平滑化した。Affymetrix GeneChip(登録商標)Human Mapping 100Kアレイセットには115,353のプローブセットが含まれ、これらについて正確なマッピング位置が定義された。プローブセット間の間隔の長さ中央値は8.6kbであり、間隔の75%が28kb未満であり、95%が94.5kb未満であった。
ゲノムDNAは、QIAamp DNAミニキット(Qiagen、オランダ・ヴェンロー)を用いて、メーカー提供のプロトコルに従い、5〜10片の30μm腫瘍クライオスタット切片(10〜25mg)から分離された。各患者サンプルのゲノムDNAは、Affymetrix GeneChip(登録商標)Mapping 100Kアレイセット(Affymetrix、カリフォルニア州サンタクララ)を用いて、標準プロトコルに従い、対立形質化された。簡単に言えば、ゲノムDNA 250ngをHind III又はXbaIで消化し、次に凝集性の4つの塩基対(bp)のオーバーハングを認識するアダプターにライゲーションした。アダプター配列を認識するジェネリックプライマーを使用して、DNA Engine(MJ Research、マサチューセッツ州ウォータータウン)を用い、250〜2000bpサイズの範囲のフラグメントを優先的に増幅するよう最適化したPCR条件で、このアダプターライゲーションしたDNAフラグメントを増幅した。Qiagen MinElute 96 UF PCR精製システムで精製した後、PCR生成物の合計40μgをフラグメント化し、約2.9μgを4%TBEアガロースゲル上で可視化し、DNAフラグメントの平均サイズが180bp未満になるようにした。フラグメント化したDNAを次にビオチンで標識し、ハイブリダイゼーションオーブン中480℃で17時間、Affymetrix GeneChip(登録商標)Human Mapping 100Kアレイセットにハイブリダイズした。このアレイを洗浄し、Affymetrix Fluidics Stationを用いて染色し、GeneChip Scanner 3000 G7及びGeneChip(登録商標)Operatingソフトウェア(GCOS)(Affymetrix)でスキャンした。GTYPE(Affymetrix)ソフトウェアを使用して、アレイ上の各プローブセットについてSNPコールを生成した。SNPコールは、研究全体にわたってプローブセットの96.6%について決定され、標準偏差は2.6%であった。次にCCNT 3.0ソフトウェアを使用して、各プローブセットのコピー数を表わす値を生成した。これは、各チップのハイブリダイズされた強度を、さまざまな人種にわたる健常者100人について強度測定したメーカー提供の参照用セットと比較することによって行われた。コピー数測定は、ウィンドウサイズ0.5MbでCCNTのゲノム平滑化機能を使用して平滑化した。Affymetrix GeneChip(登録商標)Human Mapping 100Kアレイセットには115,353のプローブセットが含まれ、これらについて正確なマッピング位置が定義された。プローブセット間の間隔の長さ中央値は8.6kbであり、間隔の75%が28kb未満であり、95%が94.5kb未満であった。
予後コピー数変化を伴う染色体領域の同定
CNAが遠隔転移に関係している、染色体領域及びマッピング済み候補遺伝子の同定を行うため、我々の以前の研究で生成されたRNA遺伝子発現と、本研究で利用可能となった患者の同じコホートのDNAコピー数の両方についてのゲノムデータを活用することによって、統合分析手法が設計された(図1)。我々の方法は、Adler et al.が取った、ゲノムワイドのDNAコピー数と遺伝子発現データとを交差させることにより発現署名の遺伝子レギュレーターを同定するための、マイクロアレイ署名のステップワイズ連鎖分析(SLAMS)として記述されているアプローチの原理に、非常に類似している。ER陽性患者及びER陰性患者は別個に分析され、ランダムに約2:1の比率で分けて、ただしTステージ、グレード、閉経状況及び再発などの臨床的及び病理学的パラメータのバランスを取り、トレーニング群患者200人及び試験群患者113人とした(図1)。このトレーニング群は、予後染色体領域及びマップされた遺伝子の同定と、遠隔転移を予測するためにCNSの作成に使用された。この試験群は、検証目的のためにのみ、別に分類された。
CNAが遠隔転移に関係している、染色体領域及びマッピング済み候補遺伝子の同定を行うため、我々の以前の研究で生成されたRNA遺伝子発現と、本研究で利用可能となった患者の同じコホートのDNAコピー数の両方についてのゲノムデータを活用することによって、統合分析手法が設計された(図1)。我々の方法は、Adler et al.が取った、ゲノムワイドのDNAコピー数と遺伝子発現データとを交差させることにより発現署名の遺伝子レギュレーターを同定するための、マイクロアレイ署名のステップワイズ連鎖分析(SLAMS)として記述されているアプローチの原理に、非常に類似している。ER陽性患者及びER陰性患者は別個に分析され、ランダムに約2:1の比率で分けて、ただしTステージ、グレード、閉経状況及び再発などの臨床的及び病理学的パラメータのバランスを取り、トレーニング群患者200人及び試験群患者113人とした(図1)。このトレーニング群は、予後染色体領域及びマップされた遺伝子の同定と、遠隔転移を予測するためにCNSの作成に使用された。この試験群は、検証目的のためにのみ、別に分類された。
我々の分析の第一ステップは、遠隔転移に関係するコピー数変化のある染色体領域を同定することであった。簡単に言えば、トレーニング群においては、各個人のSNPのコピー数とDMFSの時間との間の関係における統計的有意性を評価するため、一変量Cox比例ハザード回帰分析が使用された。次に、予後染色体領域を定義するため、染色体を、平均250SNPを含む5Mbのスライディングウィンドウを用いて1Mb刻みでスキャンし、ウィンドウ内の全SNPのCox回帰p値をコンパイルし、順列で入れ替えたデータセットに比較して全体としての全SNPの平滑化したp値を決定した。簡単に言えば、n個のSNPを含むサイズ5Mbの所与のウィンドウについて、βiはCox回帰係数を表わし、Piはi番目のSNPについてのCox回帰からのP値を表わす。このウィンドウの対数スコアSは、次の式のように、このウィンドウ内の全SNPの統計的有意性を全体として要約することによって定義された:
指示変数Iiは、Cox回帰係数βiの符号によって示される、正の相関のコピー数変化と、負の相関のコピー数変化とを表わし、これらを区別するために使用された。正の係数は、疾患が再発した患者が疾患のない患者よりも高いコピー数を有していたことを表わし、負の係数は、その逆を示唆する。対数スコアから平滑化したp値を計算するため、順列を用いて、対数スコアのヌル分布を誘導した。患者IDに関する臨床的情報をシャッフルすることにより、400の順列が実施された。平滑化したp値から、平滑化したp値がすべて0.05未満である染色体領域として、予後染色体領域が定義された。
CNSの構成体と予測モデル
予後染色体領域が同定されたら、UCSC Genome Browser(http://genome.ucsc.edu)Human March 2006(hg18)アセンブリを用いて、この十分に定義された遺伝子を、これらの領域内でEntrez Gene IDと共にマッピングした。次に、2つのフィルタリングステップを使用して、CNSを構築する予後値を有する信頼性がより大きい遺伝子を選択した。まず、少なくとも1つの対応するAffymetrix U133AプローブセットIDを有する遺伝子を、フィルターした。遺伝子発現データの中から、統計的に有意なCox回帰p値(p<0.05)を有するこれらの遺伝子だけが続行された。次に、遺伝子発現レベルとコピー数との間の相関関係は、0.5よりも大きくなければならない。遺伝子が複数のSNPを内部に含む場合は、最良のCox回帰p値を伴うSNPが選択された。SNPが含まれていない場合は、最も近いSNPが選択された。U133Aプローブセットについては、最良のCox p値を有するものが使用された。
予後染色体領域が同定されたら、UCSC Genome Browser(http://genome.ucsc.edu)Human March 2006(hg18)アセンブリを用いて、この十分に定義された遺伝子を、これらの領域内でEntrez Gene IDと共にマッピングした。次に、2つのフィルタリングステップを使用して、CNSを構築する予後値を有する信頼性がより大きい遺伝子を選択した。まず、少なくとも1つの対応するAffymetrix U133AプローブセットIDを有する遺伝子を、フィルターした。遺伝子発現データの中から、統計的に有意なCox回帰p値(p<0.05)を有するこれらの遺伝子だけが続行された。次に、遺伝子発現レベルとコピー数との間の相関関係は、0.5よりも大きくなければならない。遺伝子が複数のSNPを内部に含む場合は、最良のCox回帰p値を伴うSNPが選択された。SNPが含まれていない場合は、最も近いSNPが選択された。U133Aプローブセットについては、最良のCox p値を有するものが使用された。
遠隔転移を予測するため、CNSの遺伝子を用いてモデルを構築するために、遺伝子のコピー数見積り数が、増幅、変化なし、又は欠失といった別個の値に変換された。この変換を行うために、代表的なSNPコピー数データの混合正規分布モデリングを実施し、モデル化された分布の主ピークを二倍体コピー数の見積りとして使用することによって、各遺伝子の二倍体コピー数を予測した。次に増幅について、固有のデータ変動による低い偽陽性率を確実にするため、二倍体コピー数見積りより上の1.5ユニットとして定義されたのに対し、欠失は、その変化の性質と、コピー数の喪失に関するコピー数データの狭い分布とにより、二倍体コピー数見積りより下の0.5ユニットとして定義された。コピー数データが変換された後、次の単純かつ直感的なアルゴリズムを使用して、予測モデルを構築した。このアルゴリズムは、ある患者が、少なくともn個の遺伝子が変化したコピー数を有している場合に、再発患者として分類し、そうでない場合は非再発患者として分類した。CNSにおいてnが1〜全遺伝子の範囲について、ログランク検定の有意なp値によって測定することでトレーニング群において署名のパフォーマンスを調べ、nが増加したときに陽性が非常に小さな数になる状況を避けるため陽性(予測された再発患者)の割合の下限を設定することによって、可能なすべてのシナリオが調べられ、nの値が決定された。
CNSの検証
CNSのパフォーマンスは、上述と同じアルゴリズムを使って、残る検査患者のコピー数データセットと、外部aCGHデータセットの両方において評価された。外部データセットについては、全く異なるaCGH技術から誘導され、そのデータフォーマットはlog2比であったため、SNPアレイ技術として生成された陽性に匹敵するパーセンテージを確保するため、増幅のカットオフは0.45に設定され、一方欠失のカットオフは−0.35に設定された。CNSの構成体では、CNSの遺伝子の対応するサブセットを使用して、ER陽性腫瘍とER陰性腫瘍について別々に検証が行われた。ただし、最終的に示されたパフォーマンスは、試験群において、ER陽性患者とER陰性患者の両方を合わせたパフォーマンスを表わしていた。
CNSのパフォーマンスは、上述と同じアルゴリズムを使って、残る検査患者のコピー数データセットと、外部aCGHデータセットの両方において評価された。外部データセットについては、全く異なるaCGH技術から誘導され、そのデータフォーマットはlog2比であったため、SNPアレイ技術として生成された陽性に匹敵するパーセンテージを確保するため、増幅のカットオフは0.45に設定され、一方欠失のカットオフは−0.35に設定された。CNSの構成体では、CNSの遺伝子の対応するサブセットを使用して、ER陽性腫瘍とER陰性腫瘍について別々に検証が行われた。ただし、最終的に示されたパフォーマンスは、試験群において、ER陽性患者とER陰性患者の両方を合わせたパフォーマンスを表わしていた。
化学療法に対する推定反応
化学療法化合物に対する試験群患者の推定反応を検査するため、公開されている2つの研究における遺伝子発現署名が使用された。元の遺伝子発現データセットと、30遺伝子の手術前のパクリタキセル、フルオロウラシル、ドキソルビシン及びシクロホスファミド(T/FAC)の反応署名に関する対角線形判別分析(DLDA)の予測アルゴリズムのためのR関数が、http://bioinformatics.mdanderson.org/pubdata.htmlからダウンロードされた。このモデルは、与えられたR関数を使用して元のデータセットから調整を行い、次に我々の遺伝子発現データセットにおいて試験を行った。個々の化学療法薬剤に対する感受性を予測する7つの遺伝子発現署名それぞれについて、二値プロビット回帰モデルのベイズフィッティングを使用した、各化合物に対する感受性の予測確率が、Anil Potti及びJoseph Nevins両博士の助力により計算された(詳細はPotti A,Dressman HK,Bild A,Riedel RF,Chan G,Sayer R,et al.Genomic signatures to guide the use of chemotherapeutics.Nat Med.2006 Nov;12(11):1294〜300を参照)。
化学療法化合物に対する試験群患者の推定反応を検査するため、公開されている2つの研究における遺伝子発現署名が使用された。元の遺伝子発現データセットと、30遺伝子の手術前のパクリタキセル、フルオロウラシル、ドキソルビシン及びシクロホスファミド(T/FAC)の反応署名に関する対角線形判別分析(DLDA)の予測アルゴリズムのためのR関数が、http://bioinformatics.mdanderson.org/pubdata.htmlからダウンロードされた。このモデルは、与えられたR関数を使用して元のデータセットから調整を行い、次に我々の遺伝子発現データセットにおいて試験を行った。個々の化学療法薬剤に対する感受性を予測する7つの遺伝子発現署名それぞれについて、二値プロビット回帰モデルのベイズフィッティングを使用した、各化合物に対する感受性の予測確率が、Anil Potti及びJoseph Nevins両博士の助力により計算された(詳細はPotti A,Dressman HK,Bild A,Riedel RF,Chan G,Sayer R,et al.Genomic signatures to guide the use of chemotherapeutics.Nat Med.2006 Nov;12(11):1294〜300を参照)。
統計分析
主成分分析(PCA)を使用した非監視分析(Unsupervised analysis)が、腫瘍の潜在的サブクラスを調べるため、すべてのSNPのコピー数データセットについて実施された。カプラン−マイヤー生存プロット及びログランク検定を使用して、予測される高リスク群及び低リスク群のDMFSにおける相違が評価された。HR及びその95%CIを計算するため、Cox比例ハザード回帰が実施された。グレードに関するデータ欠落のため、多変量Cox回帰分析は、一般配置モデル下のマルコフ連鎖モンテカルロ法(Schafer JL.Analysis of incomplete multivariate data.London:Chapman & Hall/CRC Press;1997)を使用した多重代入法によって行われた。予後群の中で治療に対する特異な反応の有意性を評価するため、T検定が実施された。すべての統計分析は、Rバージョン2.6.2を使用して実施された。
主成分分析(PCA)を使用した非監視分析(Unsupervised analysis)が、腫瘍の潜在的サブクラスを調べるため、すべてのSNPのコピー数データセットについて実施された。カプラン−マイヤー生存プロット及びログランク検定を使用して、予測される高リスク群及び低リスク群のDMFSにおける相違が評価された。HR及びその95%CIを計算するため、Cox比例ハザード回帰が実施された。グレードに関するデータ欠落のため、多変量Cox回帰分析は、一般配置モデル下のマルコフ連鎖モンテカルロ法(Schafer JL.Analysis of incomplete multivariate data.London:Chapman & Hall/CRC Press;1997)を使用した多重代入法によって行われた。予後群の中で治療に対する特異な反応の有意性を評価するため、T検定が実施された。すべての統計分析は、Rバージョン2.6.2を使用して実施された。
CNS構築のための予後候補遺伝子の探求
遺伝子発現プロファイルとコピー数変化との間に一貫した変化パターンを有する遺伝子をスクリーニングするため、同じ腫瘍に関する我々の以前の研究からの遺伝子発現プロファイリングデータが使用された(Wang Y,Klijn JG,Zhang Y,Sieuwerts AM,Look MP,Yang F,et al.Gene−expression profiles to predict distant metastasis of lymph−node−negative primary breast cancer.Lancet.2005 Feb 19;365(9460):671〜9 and Yu JX,Sieuwerts AM,Zhang Y,Martens JW,Smid M,Klijn JG,et al.Pathway analysis of gene signatures predicting metastasis of node−negative primary breast cancer.BMC Cancer.2007 Sep 25;7(1):182)。コピー数の変化は、ある表現型効果をもたせるために遺伝子発現レベルにおいて対応する変化に反映されていなければならない、ということが、妥当であると見なされた。これらの予後領域において、ER陽性腫瘍については合計2,833の遺伝子(表4)、ER陰性腫瘍については合計3,656の遺伝子(表5)がマッピングされた。ER陽性腫瘍については、遺伝子発現データとコピー数データの両方において、122の遺伝子が有意なCox回帰p<0.05を有し、DNAコピー数と遺伝子発現における変化について同じ方向性を示した。ER陰性腫瘍については、両方のデータセットにおいて78の遺伝子が有意なp値を有し、同じ変化の方向性を示した(表6)。これらのうち、ER陽性腫瘍については53(43%)の遺伝子、ER陰性腫瘍については28(36%)の遺伝子がそれぞれ、0.5を超える遺伝子発現とコピー数の間の相関係数を有していた。よって合計81の予後候補遺伝子が同定され、これらが予後CNSとして使用された(表2並びに表6A及び6B)。
遺伝子発現プロファイルとコピー数変化との間に一貫した変化パターンを有する遺伝子をスクリーニングするため、同じ腫瘍に関する我々の以前の研究からの遺伝子発現プロファイリングデータが使用された(Wang Y,Klijn JG,Zhang Y,Sieuwerts AM,Look MP,Yang F,et al.Gene−expression profiles to predict distant metastasis of lymph−node−negative primary breast cancer.Lancet.2005 Feb 19;365(9460):671〜9 and Yu JX,Sieuwerts AM,Zhang Y,Martens JW,Smid M,Klijn JG,et al.Pathway analysis of gene signatures predicting metastasis of node−negative primary breast cancer.BMC Cancer.2007 Sep 25;7(1):182)。コピー数の変化は、ある表現型効果をもたせるために遺伝子発現レベルにおいて対応する変化に反映されていなければならない、ということが、妥当であると見なされた。これらの予後領域において、ER陽性腫瘍については合計2,833の遺伝子(表4)、ER陰性腫瘍については合計3,656の遺伝子(表5)がマッピングされた。ER陽性腫瘍については、遺伝子発現データとコピー数データの両方において、122の遺伝子が有意なCox回帰p<0.05を有し、DNAコピー数と遺伝子発現における変化について同じ方向性を示した。ER陰性腫瘍については、両方のデータセットにおいて78の遺伝子が有意なp値を有し、同じ変化の方向性を示した(表6)。これらのうち、ER陽性腫瘍については53(43%)の遺伝子、ER陰性腫瘍については28(36%)の遺伝子がそれぞれ、0.5を超える遺伝子発現とコピー数の間の相関係数を有していた。よって合計81の予後候補遺伝子が同定され、これらが予後CNSとして使用された(表2並びに表6A及び6B)。
CNSの検証
検証はER陽性腫瘍及びER陰性腫瘍において、CNSからそれぞれ53及び28の遺伝子を使用した試験群について、別個に行われた。最終的に示されたパフォーマンスは、この2つのサブグループを合わせた結果を表わしていた。113の独立した患者の試験群において、81遺伝子CNSによって階層分けされた2つの患者群のカプラン−マイヤー分析により、ハザード比(HR)2.8(p=0.0036)で、遠隔転移の時間に統計的有意差が示された(図3、A)。この2つの群の5年後遠隔転移の見積り率は、それぞれ27%[95%信頼区間(CI)、17%〜35%]及び67%(95%CI、32%〜84%)であった。我々が以前同定した76遺伝子GESと共に使用した場合(Wang Y,Klijn JG,Zhang Y,Sieuwerts AM,Look MP,Yang F,et al.Gene−expression profiles to predict distant metastasis of lymph−node−negative primary breast cancer.Lancet.2005 Feb 19;365(9460):671〜9)、81遺伝子CNSによって定義される、より悪い予後の結果を有する患者群は、見積もられる5年後遠隔転移は同じ67%のままであった。76遺伝子GESは、より良い予後を有する他の患者群を更に、5年後の再発率見積りがそれぞれ11%及び37%の、予後良好群と予後不良群とに階層分けした(図3、B)。この結果、GES良好/CNS良好、GES不良/CNS良好、GES不良/CNS不良の群それぞれについて、良好、不良、及び非常に不良の群として定義される3つの予後群がもたらされた。従来の臨床及び病理学的因子と合わせた、両方の署名の多変量Cox回帰分析により、この2つの署名の組み合わせは、非常に不良対良好の予後群を比較したHRが8.86、不良対良好の予後群を比較した場合が3.59であり、DMFSに関する唯一の有意な(尤度比検定p=0.0003)予後因子であることが示された(表3)。
検証はER陽性腫瘍及びER陰性腫瘍において、CNSからそれぞれ53及び28の遺伝子を使用した試験群について、別個に行われた。最終的に示されたパフォーマンスは、この2つのサブグループを合わせた結果を表わしていた。113の独立した患者の試験群において、81遺伝子CNSによって階層分けされた2つの患者群のカプラン−マイヤー分析により、ハザード比(HR)2.8(p=0.0036)で、遠隔転移の時間に統計的有意差が示された(図3、A)。この2つの群の5年後遠隔転移の見積り率は、それぞれ27%[95%信頼区間(CI)、17%〜35%]及び67%(95%CI、32%〜84%)であった。我々が以前同定した76遺伝子GESと共に使用した場合(Wang Y,Klijn JG,Zhang Y,Sieuwerts AM,Look MP,Yang F,et al.Gene−expression profiles to predict distant metastasis of lymph−node−negative primary breast cancer.Lancet.2005 Feb 19;365(9460):671〜9)、81遺伝子CNSによって定義される、より悪い予後の結果を有する患者群は、見積もられる5年後遠隔転移は同じ67%のままであった。76遺伝子GESは、より良い予後を有する他の患者群を更に、5年後の再発率見積りがそれぞれ11%及び37%の、予後良好群と予後不良群とに階層分けした(図3、B)。この結果、GES良好/CNS良好、GES不良/CNS良好、GES不良/CNS不良の群それぞれについて、良好、不良、及び非常に不良の群として定義される3つの予後群がもたらされた。従来の臨床及び病理学的因子と合わせた、両方の署名の多変量Cox回帰分析により、この2つの署名の組み合わせは、非常に不良対良好の予後群を比較したHRが8.86、不良対良好の予後群を比較した場合が3.59であり、DMFSに関する唯一の有意な(尤度比検定p=0.0003)予後因子であることが示された(表3)。
次に、低解像度aCGH技術(Chin SF,Teschendorff AE,Marioni JC,Wang Y,Barbosa−Morais NL,Thorne NP,et al.High−resolution array−CGH and expression profiling identifies a novel genomic subtype of ER negative breast cancer.Genome Biol.2007 Oct9;8(10):R215)から誘導された116人のLNN患者(ER陽性腫瘍79人、ER陰性腫瘍37人)の完全に独立した外部データセットにおいて、CNSが試験された。81遺伝子CNSはこの患者コホートを2つの予後群に有意に階層分けし(図3、C)、HRは3.7(p=0.0102)で、年齢、腫瘍サイズ、グレード、ER状態を含む多変量Cox回帰分析において依然として唯一の有意な予後決定因子であった(p=0.015)。予後不良群について5年後の遠隔転移率が、我々独自のデータセットのそれに比べて低率(19%)であるのは、このコホートにおいて腫瘍サイズが比較的小さいこと(78%が2cm未満)、及び3分の1を超える患者がアジュバントホルモン療法及び/又は化学療法を受けていたことによるものである可能性が高い(表1)。
化学療法に対する反応
次に、GES及びCNS予後検定によって決定された3つの予後群について、2つの研究(Potti A,Dressman HK,Bild A,Riedel RF,Chan G,Sayer R,et al.Genomic signatures to guide the use of chemotherapeutics.Nat Med.2006 Nov;12(11):1294〜300及びHess KR,Anderson K,Symmans WF,Valero V,Ibrahim N,Mejia JA,et al.Pharmacogenomic predictor of sensitivity to preoperative chemotherapy with paclitaxel and fluorouracil,doxorubicin,and cyclophosphamide in breast cancer.J Clin Oncol.2006 Sep 10;24(26):4236〜44)(及びこの追跡検証研究も利用可能である:Bonnefoi H,Potti A,Delorenzi M,Mauriac L,Campone M,Tubiana−Hulin M,et al.Validation of gene signatures that predict the response of breast cancer to neoadjuvant chemotherapy:a substudy of the EORTC 10994/BIG 00−01 clinical trial.Lancet Oncol.2007 Dec;8(12):1071〜8及びPeintinger F,Anderson K,Mazouni C,Kuerer HM,Hatzis C,Lin F,et al.Thirty−gene pharmacogenomic test correlates with residual cancer burden after preoperative chemotherapy for breast cancer. Clin Cancer Res.2007 Jul 15;13(14):4078〜82)から誘導された、適切に検証された遺伝子署名を使用して、化学療法反応プロファイルを調べた。第一に、手術前T/FAC化学療法に対する病理学的完全奏効(pCR)を予測した、既に公開されている30遺伝子署名を使用することにより(Hess KR,Anderson K,Symmans WF,Valero V,Ibrahim N,Mejia JA,et al.Pharmacogenomic predictor of sensitivity to preoperative chemotherapy with paclitaxel and fluorouracil,doxorubicin,and cyclophosphamide in breast cancer.J Clin Oncol.2006 Sep 10;24(26):4236〜44)、異なる予後サブグループの各患者は、pCRを有する者と、残留疾患を依然として有する者の、2つの反応群のいずれかが割り当てられた。非常に予後不良の群においては、15人の患者のうちわずか2人だけ(13%)がpCRを有するものとして予測され、一方、予後不良の群及び予後良好の群においてはそれぞれ、60人の患者中34人(57%)、38人の患者中14人(37%)が、pCRを有するものとして予測された。非常に予後不良の群についての化学療法反応スコアは、予後不良群にくらべて有意に低く(p=0.0003)、もしこれらの患者が手術前T/FAC化学療法を受けた場合には、手術前T/FAC化学療法に対してより強い抵抗性を有するであろうことが示された(図4、A)。第二に、細胞株で確立された発現署名を用いて(Potti A,Dressman HK,Bild A,Riedel RF,Chan G,Sayer R,et al.Genomic signatures to guide the use of chemotherapeutics.Nat Med.2006 Nov;12(11):1294〜300)、7つの異なる化学療法化合物に対し、3つの予後群について反応プロファイルが決定された。各化合物について、化合物に対する感受性の予測確率が、二値プロビット回帰モデルのベイズフィッティングを用いて計算された。予後不良群と比較して、非常に予後不良の群の患者は、ドキソルビシン(図4、D)及びシクロホスファミド(図4、E)に対する抵抗性がより大きいことが観察され、これは、30遺伝子署名によるT/FACに対する反応の予測と一貫している(図4、A)。一方、非常に予後不良の群は、エトポシド(図4、G)及びトポテカン(図4、H)に対して感受性がより大きかった。ゆえに、予後診断及び治療予測のために遺伝子発現に基づく署名と組み合わせると、SNPアレイによって測定されたCNAは、リスク分類を改善し、有意に不良の予後見通しと、化学療法薬剤に対して潜在的に特異な反応とを有する乳癌患者を特定することができる。
次に、GES及びCNS予後検定によって決定された3つの予後群について、2つの研究(Potti A,Dressman HK,Bild A,Riedel RF,Chan G,Sayer R,et al.Genomic signatures to guide the use of chemotherapeutics.Nat Med.2006 Nov;12(11):1294〜300及びHess KR,Anderson K,Symmans WF,Valero V,Ibrahim N,Mejia JA,et al.Pharmacogenomic predictor of sensitivity to preoperative chemotherapy with paclitaxel and fluorouracil,doxorubicin,and cyclophosphamide in breast cancer.J Clin Oncol.2006 Sep 10;24(26):4236〜44)(及びこの追跡検証研究も利用可能である:Bonnefoi H,Potti A,Delorenzi M,Mauriac L,Campone M,Tubiana−Hulin M,et al.Validation of gene signatures that predict the response of breast cancer to neoadjuvant chemotherapy:a substudy of the EORTC 10994/BIG 00−01 clinical trial.Lancet Oncol.2007 Dec;8(12):1071〜8及びPeintinger F,Anderson K,Mazouni C,Kuerer HM,Hatzis C,Lin F,et al.Thirty−gene pharmacogenomic test correlates with residual cancer burden after preoperative chemotherapy for breast cancer. Clin Cancer Res.2007 Jul 15;13(14):4078〜82)から誘導された、適切に検証された遺伝子署名を使用して、化学療法反応プロファイルを調べた。第一に、手術前T/FAC化学療法に対する病理学的完全奏効(pCR)を予測した、既に公開されている30遺伝子署名を使用することにより(Hess KR,Anderson K,Symmans WF,Valero V,Ibrahim N,Mejia JA,et al.Pharmacogenomic predictor of sensitivity to preoperative chemotherapy with paclitaxel and fluorouracil,doxorubicin,and cyclophosphamide in breast cancer.J Clin Oncol.2006 Sep 10;24(26):4236〜44)、異なる予後サブグループの各患者は、pCRを有する者と、残留疾患を依然として有する者の、2つの反応群のいずれかが割り当てられた。非常に予後不良の群においては、15人の患者のうちわずか2人だけ(13%)がpCRを有するものとして予測され、一方、予後不良の群及び予後良好の群においてはそれぞれ、60人の患者中34人(57%)、38人の患者中14人(37%)が、pCRを有するものとして予測された。非常に予後不良の群についての化学療法反応スコアは、予後不良群にくらべて有意に低く(p=0.0003)、もしこれらの患者が手術前T/FAC化学療法を受けた場合には、手術前T/FAC化学療法に対してより強い抵抗性を有するであろうことが示された(図4、A)。第二に、細胞株で確立された発現署名を用いて(Potti A,Dressman HK,Bild A,Riedel RF,Chan G,Sayer R,et al.Genomic signatures to guide the use of chemotherapeutics.Nat Med.2006 Nov;12(11):1294〜300)、7つの異なる化学療法化合物に対し、3つの予後群について反応プロファイルが決定された。各化合物について、化合物に対する感受性の予測確率が、二値プロビット回帰モデルのベイズフィッティングを用いて計算された。予後不良群と比較して、非常に予後不良の群の患者は、ドキソルビシン(図4、D)及びシクロホスファミド(図4、E)に対する抵抗性がより大きいことが観察され、これは、30遺伝子署名によるT/FACに対する反応の予測と一貫している(図4、A)。一方、非常に予後不良の群は、エトポシド(図4、G)及びトポテカン(図4、H)に対して感受性がより大きかった。ゆえに、予後診断及び治療予測のために遺伝子発現に基づく署名と組み合わせると、SNPアレイによって測定されたCNAは、リスク分類を改善し、有意に不良の予後見通しと、化学療法薬剤に対して潜在的に特異な反応とを有する乳癌患者を特定することができる。
グレードは、地元の病理学者によって評価されたもので、腫瘍が採取された当時の医療状況を反映している。ER陽性及びPgR陽性:>10fmol/mgタンパク質、又は>10%陽性腫瘍細胞。NA=該当なし。
上の53の遺伝子はER陽性腫瘍から、下の28の遺伝子はER陰性腫瘍から。
〔実施の態様〕
(1) 予後値の染色体領域を定義するために染色体の既定部分におけるすべてのSNPの有意性を要約するステップを含む、予後値の染色体領域を定義する方法。
(2) 前記要約ステップが、前記領域における各SNPのCox比例ハザード回帰のP値を決定することと、組み合わせた該P値を要約することと、によって行われる、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記SNPのコピー数と、前記既定の染色体領域内にある遺伝子の発現レベルとを相関させるステップを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記組み合わせたP値に基づく治療レジメンを開発するステップを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) ヒトからDNAサンプルを採取するステップと、
少なくとも、SMC4、PDCD10、PREP、CBX3、NUP205、TCEB1、TERF1、TPD52、GGH、TRAM1、ZBTB10、YTHDF3、EIF3E、POLR2K、RPL30、CCNE2、RAD54B、MTERFD1、ENY2、DPY19L4、ZNF623、SCRIB、SLC39A4、ATP6V1G1、TCTN3、PSMA6、STRN3、CLTC、TRIM37、NME1、NME2、RPS6KB1、PPM1D、MED13、SLC35B1、APPBP2、MKS1、C17又はf71、HEATR6、TMEM49、USP32、ANKRD40、NME1−NME2、ZNF264、ZNF304、ATP5E、CSTF1、PPP1R3D、AURKA、RAE1、STX16、C20又はf43、RAB22A、HDAC1、BSDC1、C1又はf9、COX5B、EIF5B、DDX18、TSN、p20、METTL5、MGAT1、TUBB2A、RWDD1、PGM3、FOXO3、CDC40、REV3L、HDAC2、TSPYL4、C6又はf60、ASF1A、MED23、TSPYL1、ACTR10、KIAA0247、RARA、KRT10、RIOK3、IMPACT、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された遺伝子において、一塩基多型について該DNAサンプルを調べるステップと、
該DNAサンプルを調べるステップの結果に基づいてヒト乳癌の予後診断を提供するステップと、を含む、ヒト乳癌の予後診断を提供するための方法。
(6) 前記ヒトから乳房腫瘍サンプルを採取するステップを更に含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であるか又はエストロゲン受容体陰性であるかを判断するステップを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であると判定され、前記一塩基多型がTCTN3の減少であると判定される、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陰性であると判定され、前記一塩基多型がHDAC1、BSDC1、又はこれらの組み合わせの減少であると判定される、実施態様7に記載の方法。
(10) ヒトからDNAサンプルを採取するステップと、
染色体番号1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、14、16、17、18、19、20、21、23、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの染色体において、一塩基多型について該DNAサンプルを調べるステップであって、該一塩基多型が表7及び8に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、ステップと、
該DNAサンプルを調べるステップの結果に基づいてヒト乳癌の予後診断を提供するステップと、を含む、ヒト乳癌の予後診断を提供するための方法。
(1) 予後値の染色体領域を定義するために染色体の既定部分におけるすべてのSNPの有意性を要約するステップを含む、予後値の染色体領域を定義する方法。
(2) 前記要約ステップが、前記領域における各SNPのCox比例ハザード回帰のP値を決定することと、組み合わせた該P値を要約することと、によって行われる、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記SNPのコピー数と、前記既定の染色体領域内にある遺伝子の発現レベルとを相関させるステップを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記組み合わせたP値に基づく治療レジメンを開発するステップを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) ヒトからDNAサンプルを採取するステップと、
少なくとも、SMC4、PDCD10、PREP、CBX3、NUP205、TCEB1、TERF1、TPD52、GGH、TRAM1、ZBTB10、YTHDF3、EIF3E、POLR2K、RPL30、CCNE2、RAD54B、MTERFD1、ENY2、DPY19L4、ZNF623、SCRIB、SLC39A4、ATP6V1G1、TCTN3、PSMA6、STRN3、CLTC、TRIM37、NME1、NME2、RPS6KB1、PPM1D、MED13、SLC35B1、APPBP2、MKS1、C17又はf71、HEATR6、TMEM49、USP32、ANKRD40、NME1−NME2、ZNF264、ZNF304、ATP5E、CSTF1、PPP1R3D、AURKA、RAE1、STX16、C20又はf43、RAB22A、HDAC1、BSDC1、C1又はf9、COX5B、EIF5B、DDX18、TSN、p20、METTL5、MGAT1、TUBB2A、RWDD1、PGM3、FOXO3、CDC40、REV3L、HDAC2、TSPYL4、C6又はf60、ASF1A、MED23、TSPYL1、ACTR10、KIAA0247、RARA、KRT10、RIOK3、IMPACT、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された遺伝子において、一塩基多型について該DNAサンプルを調べるステップと、
該DNAサンプルを調べるステップの結果に基づいてヒト乳癌の予後診断を提供するステップと、を含む、ヒト乳癌の予後診断を提供するための方法。
(6) 前記ヒトから乳房腫瘍サンプルを採取するステップを更に含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であるか又はエストロゲン受容体陰性であるかを判断するステップを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であると判定され、前記一塩基多型がTCTN3の減少であると判定される、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陰性であると判定され、前記一塩基多型がHDAC1、BSDC1、又はこれらの組み合わせの減少であると判定される、実施態様7に記載の方法。
(10) ヒトからDNAサンプルを採取するステップと、
染色体番号1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、14、16、17、18、19、20、21、23、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの染色体において、一塩基多型について該DNAサンプルを調べるステップであって、該一塩基多型が表7及び8に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、ステップと、
該DNAサンプルを調べるステップの結果に基づいてヒト乳癌の予後診断を提供するステップと、を含む、ヒト乳癌の予後診断を提供するための方法。
(11) 前記ヒトから乳房腫瘍サンプルを採取するステップを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であるか又はエストロゲン受容体陰性であるかを判断するステップを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記腫瘍サンプルが、エストロゲン受容体陽性であると判定され、前記一塩基多型が、表7に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記腫瘍サンプルが、エストロゲン受容体陰性であると判定され、前記一塩基多型が、表8に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、実施態様12に記載の方法。
(12) 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であるか又はエストロゲン受容体陰性であるかを判断するステップを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記腫瘍サンプルが、エストロゲン受容体陽性であると判定され、前記一塩基多型が、表7に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記腫瘍サンプルが、エストロゲン受容体陰性であると判定され、前記一塩基多型が、表8に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、実施態様12に記載の方法。
Claims (14)
- 予後値の染色体領域を定義するために染色体の既定部分におけるすべてのSNPの有意性を要約するステップを含む、予後値の染色体領域を定義する方法。
- 前記要約ステップが、前記領域における各SNPのCox比例ハザード回帰のP値を決定することと、組み合わせた該P値を要約することと、によって行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記SNPのコピー数と、前記既定の染色体領域内にある遺伝子の発現レベルとを相関させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 前記組み合わせたP値に基づく治療レジメンを開発するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
- ヒトからDNAサンプルを採取するステップと、
少なくとも、SMC4、PDCD10、PREP、CBX3、NUP205、TCEB1、TERF1、TPD52、GGH、TRAM1、ZBTB10、YTHDF3、EIF3E、POLR2K、RPL30、CCNE2、RAD54B、MTERFD1、ENY2、DPY19L4、ZNF623、SCRIB、SLC39A4、ATP6V1G1、TCTN3、PSMA6、STRN3、CLTC、TRIM37、NME1、NME2、RPS6KB1、PPM1D、MED13、SLC35B1、APPBP2、MKS1、C17又はf71、HEATR6、TMEM49、USP32、ANKRD40、NME1−NME2、ZNF264、ZNF304、ATP5E、CSTF1、PPP1R3D、AURKA、RAE1、STX16、C20又はf43、RAB22A、HDAC1、BSDC1、C1又はf9、COX5B、EIF5B、DDX18、TSN、p20、METTL5、MGAT1、TUBB2A、RWDD1、PGM3、FOXO3、CDC40、REV3L、HDAC2、TSPYL4、C6又はf60、ASF1A、MED23、TSPYL1、ACTR10、KIAA0247、RARA、KRT10、RIOK3、IMPACT、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された遺伝子において、一塩基多型について該DNAサンプルを調べるステップと、
該DNAサンプルを調べるステップの結果に基づいてヒト乳癌の予後診断を提供するステップと、を含む、ヒト乳癌の予後診断を提供するための方法。 - 前記ヒトから乳房腫瘍サンプルを採取するステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
- 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であるか又はエストロゲン受容体陰性であるかを判断するステップを更に含む、請求項6に記載の方法。
- 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であると判定され、前記一塩基多型がTCTN3の減少であると判定される、請求項7に記載の方法。
- 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陰性であると判定され、前記一塩基多型がHDAC1、BSDC1、又はこれらの組み合わせの減少であると判定される、請求項7に記載の方法。
- ヒトからDNAサンプルを採取するステップと、
染色体番号1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、14、16、17、18、19、20、21、23、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの染色体において、一塩基多型について該DNAサンプルを調べるステップであって、該一塩基多型が表7及び8に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、ステップと、
該DNAサンプルを調べるステップの結果に基づいてヒト乳癌の予後診断を提供するステップと、を含む、ヒト乳癌の予後診断を提供するための方法。 - 前記ヒトから乳房腫瘍サンプルを採取するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
- 前記腫瘍サンプルがエストロゲン受容体陽性であるか又はエストロゲン受容体陰性であるかを判断するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
- 前記腫瘍サンプルが、エストロゲン受容体陽性であると判定され、前記一塩基多型が、表7に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、請求項12に記載の方法。
- 前記腫瘍サンプルが、エストロゲン受容体陰性であると判定され、前記一塩基多型が、表8に記載されている対応する開始塩基と終了塩基との間に生じている、請求項12に記載の方法。
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