JP2011502111A - 非グリカン化ポリペプチドの癌治療での使用 - Google Patents

非グリカン化ポリペプチドの癌治療での使用 Download PDF

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Abstract

本明細書に記載の配列番号1および配列番号2から成る群の中から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの非グリカン化形態の癌予防または治療用薬剤の製造での使用。

Description

本発明は、ポリペプチドによる癌の治療を含む、癌の薬物療法の分野に関するものである。
2000年、世界中で、1000万人以上の癌患者、および、600万以上の癌に関連した死亡が確認された。2000年の米国での全死因の23%を癌が占める。
世界中で報告される癌患者の増加は重大な問題である。現在、特定タイプの癌に利用できる治療はわずかしかない上、絶対に成功するという保証はない。特に、卵巣癌は女性の癌で(皮膚癌以外で)5番目に多い。卵巣癌は女性の癌死で5番目に多い原因である。米国癌協会では、2004年の米国での新たな卵巣癌患者は約25,580人となると推定される。約16,090人がこの病気で亡くなる。
化学療法、外科および支持療法が進歩したにもかかわらず、癌の死亡率はここ20年間変わらないままである(国立癌研究所、SEER Cancer. Statistics Review 1973-1997, 2001)。従って、新規な診断法および治療が必要である。
国立癌研究所、SEER Cancer. Statistics Review 1973-1997, 2001
さらに、ほぼ全ての現在入手可能な新生物治療薬は骨髄抑制、腎機能障害、口内炎、腸炎および抜毛のような有意な毒性を有するので、患者にとってより良い治療を得るために、単独でまたは既存の薬剤と組み合わせて利用でき、好ましくは治療法自体に起因する損傷の危険がない、比較的毒性の少ない薬剤を得ることが大きな利点となる。
本発明の対象は、配列番号1および配列番号2から成る群の中から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの非グリカン化形態の癌予防または治療用薬剤の製造での使用にある。
本発明は特に、配列番号1および配列番号2から成る群の中から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであってポリペプチドがそのグリコシル化に関与する一種以上のアミノ酸残基で突然変異するポリペプチドの、癌予防または治療用薬剤の製造での使用に関する。
本発明の別の対象は、配列番号5、6、7、8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むこのような突然変異ポリペプチドを含む医薬組成物にある。
本発明のさらに別の対象は、上記定義の突然変異ポリペプチドをコードする核酸および発現カセット、および、対応する組換えベクターおよび組換え宿主細胞にある。これらはそれ自体で癌に対する薬剤として使用することもできる。
SCIDマウス中の形質移入されたHT29細胞。 SCIDマウスに0.2×106細胞のヒトエンドカン(黒い三角)、マウスエンドカン(黒い四角)、非グリカン化ヒトエンドカン(白い三角)、非グリカン化マウスエンドカン(白い四角)、または対照ベクター(星)を形質移入したHT29細胞(1グループにつきn=4)を注射した。エンドカン−HT29形質移入細胞株の4つの個別のクローンを試験した。結果から、一つのクローンが残りのクローンの代表となることが分かる。週に一度の腫瘍サイズの測定によって各実験で腫瘍成長を分析した。腫瘍体積が1000mm3に達したときにマウスを麻酔した。横軸:細胞注射後の時間(週)。縦軸:腫瘍体積(mm3)。結果はメジアン±四分位間で表す。 エンドカンがインビトロでHT29細胞増殖に与える影響。 培地、マイトマイシン(100μg/mL)または0.001〜1μg/mLの種々の量のエンドカンを用いたHT29培地の24時間後のBrDUおよびMTT OD。ヒトおよびマウス野生型および非グリカン化エンドカンを試験した。縦軸:吸光度値(O.D)。結果はメジアン±で表す。 SCIDマウス中のマウスエンドカンHT29細胞の動態。 SCIDマウスに0.2×106細胞のエンドカン(黒い四角)、または対照ベクター(白い四角)形質移入HT29細胞(1グループにつきn=4)を2つの個別の実験で注射した。マウスエンドカン−HT29形質移入細胞株の第1クローン(ひし形)、4つの個別のクローンを試験した。週に一度、腫瘍サイズの測定によって各実験で腫瘍成長を分析した。腫瘍体積が1000mm3に達したときにマウスを麻酔した。横軸:細胞注射後の時間(週)。結果はメジアン±四分位間で表す。 マウスエンドカン/S138A−HT−29細胞の、図3Aと同様な図。 ヒトエンドカン/S137A−HT−29細胞の、図3Aと同様な図。 細胞クローンに依存しない、非グリカン化エンドカンを過剰発現するHT29の成長速度。 E1またはE11を過剰発現する3つの個別のHT29細胞クローンをSCIDマウスに皮下注射した(マウス一匹当たり2×105細胞、クローン一つ当たり4匹のマウス)。マウスを毎週検査した。7週でマウスを犠牲にし、腫瘍を顕微鏡で分析した。3つのクローン(12マウス)の平均のMean+/−SD。 非グリカン化ヒトエンドカンの抗腫瘍活性におけるF115およびF116の役割。 E11、E15、E16またはE17を過剰発現する3つのHT29細胞クローン(限界希釈によって得られる)をSCIDマウスに皮下注射した(クローン一つ当たり4匹のマウス)。マウスをそれぞれ検査した。マウスを7週で犠牲にし、腫瘍を顕微鏡で分析した。3つのクローン(12マウス)の平均のMean+/−SD。 HT29形質移入腫瘍を有するマウスの血中エンドカン濃度。 血中E1およびE11をヒトエンドカンに特異的なELISA規格によって測定した。結果はMean+/−SDである。 HT29形質移入腫瘍を有するマウスの血中エンドカン濃度。 血中E11、E15、E16、E17をヒトエンドカンに特異的なELISAによって測定した。結果はMean+/−SDである。 二重腫瘍モデル。元の(source)腫瘍の成長速度。 E16の全身投与がHT29腫瘍に与える影響を調べるために二重腫瘍モデルを開発した。このモデルはE16を過剰発現するHT29細胞の右肩甲部(Source腫瘍)への注射と、親HT29細胞の対側背(Target腫瘍)(n=4、Mean+/−SD)への注射とを同時に行うことにある。対照は親HT29(n=4)からなり、HT29はE1(n=4)またはE11(n=4)を元の腫瘍として過剰発現する。マウスを毎週検査した。マウスを7週で犠牲にし、腫瘍を顕微鏡で分析した。Mean+/−SD。横軸:細胞注射後の時間(日)。縦軸:腫瘍体積(mm3)。 二重腫瘍モデル。標的腫瘍の成長速度。 マウスを毎週検査した。マウスを7週で犠牲にし、腫瘍を顕微鏡で分析した。Mean+/−SD。横軸:細胞注射後の時間(日)。縦軸:腫瘍体積(mm3)。
驚くべきことに、本発明は「エンドカン」または「ESM1」として公知の非グリカン化形態のポリペプチドが抗癌または抗腫瘍特性を有することを見出した。
特に、本発明では、非グリカン化形態のエンドカンがインビボで腫瘍の成長を抑制する能力を有することがわかった。
ヒトエンドカンは、以前は、癌患者、特に肺癌、腎臓癌、乳癌または血管内皮癌患者の血漿中に高濃度で見られる内皮細胞由来の糖タンパク質として知られていた。
無傷グリコシル化ヒトエンドカンが、ヒト腎臓非腫瘍細胞へ向かうHGF/SF(肝細胞成長因子/散乱因子)のインビトロ分裂促進活性を増加させる一方で、非グリカン化形態のエンドカンは全く影響を与えないことは知られている。エンドカンのインビボ作用は知られていなかったが、HGF/SFの調節、および、胚発生、組織再生または腫瘍進行の分野でのこのタンパク質の役割は仮説が立てられていた(Bechard et al., 2001, J Biol Chem, Vol. 278(Nー51) : 48341-4834 9参照)。
Bechard et al., 2001, J Biol Chem, Vol. 278(Nー51) : 48341-48349
さらに、ヒトエンドカンcDNAを形質移入した後に、非腫瘍性ヒト腎細胞株HEK293を誘発してSCIDマウス中でインビボで腫瘍を形成するので、エンドカンは前腫瘍化であることも当技術分野で公知である。さらに、エンドカンの前腫瘍化活性を発揮するためには、エンドカンのグリカンとフェニルアラニンの多い領域の両方が必要であることも公知である。特に、グリコシル化突然変異エンドカンの形質移入HEK293細胞(それぞれ(i)F116Aおよび(ii)F115A−F116A)による発現は、グリカンの有無にかかわらずインビボでの腫瘍形成を誘発しないことがわかった。従って、エンドカンのF115およびF116残基は初期非腫瘍化細胞の腫瘍成長を介在することがわかった。これらの結果から、エンドカンは将来的に、抗癌治療の独創的且つ新規な標的、および、ある種の固形腫瘍マーカーとなると仮定された(Scherpereel et al., 2003, Cancer Research, Vol. 63 : 6084-6089参照)。
Scherpereel et al., 2003, Cancer Research, Vol. 63 : 6084-6089
また、国際特許出願第PCT/WO 02/38178号には、エンドカン特異性モノクローナル抗体(MEP−08)が開示されている。この抗体はエンドカンを組み換え技術によって発現するHEK293細胞で腫瘍を実験的に誘発したマウスの生存時間を増加させた。この国際特許出願第PCT/WO 02/38178号には、さらに、F115とF116アミノ酸残基の一方または両方がアラニン残基によって置換された突然変異グリコシル化エンドカンポリペプチドおよびペプチドが開示されている。これらの突然変異グリコシル化エンドカンは潜在的ESM−1(すなわち、エンドカン)アンタゴニスト化合物として記載されている。
国際特許出願第PCT/WO 02/38178号
従って、ヒトエンドカンは、初期非腫瘍細胞のための前腫瘍化タンパク質として当技術分野で公知である。さらに、エンドカンの腫瘍化活性にはグリカン部分とフェニルアラニンの多い領域の両方が関与し、従って、これらを新規な癌治療をデザインする標的タンパク質として使用できることも公知である。また、グリコシル化ヒトエンドカンの突然変異形態も天然エンドカンのアンタゴニストとしての使用で提案されている。
HEK293細胞増殖でのエンドカンの従来のインビトロ分析によって下記のことがわかった:
エンドカン単独ではHGF/SFの分裂促進活性の増加以外の影響はない、
エンドカンの共分裂促進活性はそのグリカンによってのみ模倣される、
非グリカン化エンドカンは単独でもHGF/SFの存在下でも細胞増殖への影響はない。
さらなる調査によって、非グリカン化エンドカンはウシ胎児血清の存在下ではHT29細胞増殖への影響がないことがわかった。
さらに、HEK293またはHT29細胞中の野生型または非グリカン化エンドカンの安定な形質移入によってこれらの細胞の成長速度は変わらなかった。
従って、インビトロ研究では、非グリカン化エンドカンによって、HEK293またはHT29細胞のような腫瘍上皮細胞株の成長速度は変わらない。従って、SCIDマウスの皮膚に注射したときに腫瘍を誘発しない非グリカン化エンドカンを過剰発現するHEK293に関して最初に説明したように、非グリカン化エンドカンは、異種移植片モデルでは抗腫瘍活性をもたないと思われていた(Scherpereel et al Cancer Res, 2003)。
Scherpereel et al Cancer Res, 2003
しかし、既に述べたように、本発明では驚くべきことに、非グリカン化形態のエンドカンがインビボで腫瘍の成長を抑制できることを見出した。
特に、本発明の実施例では、癌性細胞が組み換え技術で非グリカン化形態のエンドカンを発現する場合は、癌性細胞はインビボで腫瘍に進行しないことがわかった。さらに、組換え非グリカン化エンドカンは(i)この組換え非グリカン化エンドカンが局所的に存在するときと、(ii)この組換え非グリカン化エンドカンが全身投与されたときに、標的固形腫瘍の進行を抑制することがわかった。いずれの場合も、非グリカン化エンドカンを投与した動物の腫瘍部位で間質炎症反応が誘発され、これによって、非グリカン化エンドカンの特に癌免疫療法のアジュバント化合物としての有用性が立証される。
本発明の実施例では、非グリカン化エンドカンのインビボ抗腫瘍活性は非グリカン化形態のヒトエンドカンと、非グリカン化形態のマウスエンドカンの両方で示された。ヒトエンドカンとマウスエンドカンのアミノ酸配列間では、それぞれアミノ酸同一性は75%である。
本発明者は、さらに驚くべきことに、複数の変形形態のエンドカンの非腫瘍化特性と、腫瘍に対するその抑制特性との間に特に関係がないことを見出した。例えば、(i)F116Aおよび(ii)F115AおよびF116A突然変異エンドカンは従来技術では非腫瘍化ポリペプチドと完全に同じ挙動を有すると示されていたが、本発明では、F116A非グリカン化エンドカンは腫瘍抑制剤であり、F115A、F116A非グリカン化エンドカンは腫瘍抑制活性を全くもたないことがわかった。
本発明の対象は、配列番号1および配列番号2から成る群の中から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの非グリカン化形態の癌予防または治療用薬剤の製造での使用にある。
本発明で「非グリカン化」または「未グリカン化」ポリペプチドとは、ポリペプチドのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸残基のいずれか一つに共有結合する糖類または多糖類部分を全くもたないポリペプチドを意味する。
いくつかの実施例では、非グリカン化ポリペプチドは、対応するグリカン化ポリペプチドを、好ましくは一種以上の適切な酵素を用いて、当業者に周知な方法で脱グリカン化反応させることによって産生できる。例えば、所定の非グリカン化形態のポリペプチドを、[非特許文献2]Bechard et al. (2001, J Biol Chem, Vol. 276(Nー51) : 48341-48349に記載されているようなGAG−分解酵素、例えばコンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼB、コンドロイチナーゼACI、コンドロイチナーゼCおよびヘパリナーゼIIによる初期グリカン化ポリペプチドの脱グリカン化の最終産物として得ることができる。
しかし、好ましい実施例では、この非グリカン化形態のポリペプチドは、対応する非突然変異ポリペプチドのグリカン化に関与する一種以上のアミノ酸が同数の異なるアミノ酸によって置換されたポリペプチドから成る。
配列番号1のアミノ酸配列は長さが165アミノ酸の分泌形態のヒトエンドカンのアミノ酸配列から成る。
配列番号2のアミノ酸配列は長さが165アミノ酸の分泌形態のマウスエンドカンのアミノ酸配列から成る。
本発明では、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、N−末端からC−末端に向かって下記(i)〜(iii)を含むポリペプチドから成る:
(i)長さが0〜250アミノ酸残基のN−末端アミノ酸配列、
(ii)配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列、
(iii)長さが0〜250アミノ酸残基のC−末端アミノ酸配列。
従って、N−末端またはC−末端アミノ酸配列の長さは下記のアミノ酸残基にすることができる:1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40,41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 157, 158, 159, 160, 161, 162, 163, 164, 165, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 178, 179, 180, 181, 182, 183, 184, 185, 186, 187, 188, 189, 190, 191, 192, 193, 194, 195, 196, 197, 198, 199; 200, 201, 202, 203, 204, 205, 206, 207, 208, 209, 210, 211, 212, 213, 214, 215, 216, 217, 218, 219, 220, 221, 222, 223, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231, 232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 239, 240, 241, 242, 243, 244, 245, 246, 247, 248, 249または250。
上記のN−末端アミノ酸配列(i)は長さが0〜19アミノ酸残基であるのが好ましい。
いくつかの好ましい実施例では、上記のN−末端アミノ酸配列(i)は対応する非分泌形態のヒトまたはマウスエンドカンポリペプチドのN−末端配列の全部または一部からなり、このヒトまたはマウスN−末端配列は長さが19アミノ酸のシグナルペプチドから成る。非分泌形態のヒトエンドカンポリペプチドのアミノ酸配列は本明細書の配列番号3のアミノ酸配列から成る。非分泌形態のマウスエンドカンポリペプチドのアミノ酸配列は本明細書の配列番号4のアミノ酸配列から成る。従って、上記のN−末端配列(i)は長さが0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18または19アミノ酸であるのが好ましい。
上記のC−末端配列(iii)は長さが0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29または30アミノ酸にすることができる。
2つのアミノ酸配列の同一性のパーセントを決定するためには、配列を最適比較で整列させる。例えば、最適整列用の第1および第2アミノ酸配列の一方または両方にギャップを導入でき、比較では非相同配列を無視できる。
最適比較ではCLUSTAL W (バージョン 1.82)で下記パラメータを用いて2つのアミノ酸配列の同一性のパーセントを決定することができる: (1) CPU MODE = ClustalW mp; (2) ALIGNMENT = 《full》; (3) OUTPUT FORMAT = 《aln w/numbers》; (4) OUTPUT ORDER = 《aligned》; (5) COLOR ALIGNMENT = 《no》; (6) KTUP (word size) = 《default》; (7) WINDOW LENGTH = 《default》; (8) SCORE TYPE = 《percent》; (9) TOPDIAG = 《default》; (10) PAIRGAP = 《default》; (11) PHYLOGENETIC TREE/TREE TYPE = 《none》; (12) MATRIX = 《default》; (13) GAP OPEN =《default》; (14) END GAPS = 《default》; (15) GAP EXTENSION = 《default》; (16) GAP DISTANCES = 《default》; (17) TREE TYPE = 《cladogram》 et (18) TREE GRAP DISTANCES = 《 hide》
参照配列に対して90%または90%以上のアミノ酸同一性を有する本発明のアミノ酸配列としては、91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%または99.5%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列が挙げられる。
参照配列とのアミノ酸差は一種以上のアミノ酸の欠失、付加または置換で構成できる。しかし、アミノ酸差は一種以上のアミノ酸残基の付加または置換から成るのが好ましく、一種以上のアミノ酸残基の置換から成るのがさらに好ましい。
既に述べたように、非グリカン化エンドカンポリペプチドの好ましい実施例としては、グリコシル化部位を有するアミノ酸残基が、19の残存する一般的なアミノ酸残基の中から選択された異なるアミノ酸残基によって置換されたヒトまたはマウスのエンドカンポリペプチドが挙げられる。ヒトエンドカンポリペプチドでは、グリコシル化部位を有するアミノ酸残基は配列番号1の137位置にあるセリン残基から成る。マウスエンドカンポリペプチドでは、グリコシル化部位を有するアミノ酸残基は配列番号2の138位置にあるセリン残基から成る。
本発明の別の対象は、下記から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの、癌予防または治療用薬剤の製造での使用にある:
(a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、配列番号1の137位置にあるセリンアミノ酸残基は異なるアミノ酸残基で置換される
(b)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、配列番号2の138位置にあるセリン残基は異なるアミノ酸残基で置換される。
上記の使用の好ましい実施例では、配列番号1または配列番号2と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号2のそれぞれにおいて、それぞれの115および116位置にある両方のフェニルアラニン残基の欠失も置換もない。
上記の使用の好ましい別の実施例では、配列番号1または配列番号2と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、それらに含まれるシステイン残基のいずれか一つの欠失も置換もない。
この好ましい別の実施例では、配列番号1と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号1の9, 18, 32, 35, 46, 58, 64, 80, 83, 92, 96, 98, 103および110位置にあるシステインアミノ酸残基の欠質も置換もなく、このシステイン残基はジスルフィド架橋に関与する。また、この好ましい別の実施例では、配列番号1と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号1の9, 13, 18, 24, 32, 34, 35, 38, 46, 58, 64, 80, 83, 92, 96, 98, 103および110位置にあるシステインアミノ酸残基の欠質も置換もない。
この好ましい別の実施例では、配列番号2と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号2の9, 18, 32, 35, 46, 58, 64, 80, 83, 92, 96, 98, 103および110位置にあるシステインアミノ酸残基の欠質も置換もなく、このシステイン残基はジスルフィド架橋に関与する。また、この好ましい別の実施例では、配列番号2と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号2の9, 13, 18, 24, 32, 34, 35, 38, 46, 58, 64, 80, 83, 92, 96, 98, 103および110位置にあるシステインアミノ酸残基の欠質も置換もない。
本発明者は、血液循環における非グリカン化形態のヒトおよびマウスエンドカンのインビボ安定性が、対応するグリカン化形態のインビボ安定性と類似であることを見出した。この発見によって、癌の予防または治療に十分に安定な且つ生物学的に利用可能な活性剤としての上記定義のポリペプチドの有用性が完全に立証される。これらの特性は上記ポリペプチドの立体配置的な安定性に起因する。このポリペプチドは複数のジスルフィド架橋を含む。これに対して、例えばペプチドはアミノ酸長さが100以下のアミノ酸、さらに悪い場合には50以下のアミノ酸である。配列番号1のヒト非グリカン化エンドカンは、安定剤を全く含まない緩衝液として静脈内投与されたときに、半減期が約1時間であることが示されている。さらに、本発明は、SCIDマウス内にヒト非グリカン化エンドカンを1週間かん流することによって、かん流の間ずっと、血中エンドカン濃度が検出可能且つ安定なレベルに維持されたことも見出した。
本発明のポリペプチド製剤では、配列番号1または配列番号2の137位置にあるセリン残基を非芳香族アミノ酸残基から成る異なるアミノ酸残基で置換するのが好ましい。非芳香族残基としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、メチオニン、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジンヒスチジン;アスパラギン酸、および、グルタミン酸が挙げられる。本発明のポリペプチド製剤のある好ましい実施例では、配列番号1または配列番号2の137位置にあるセリン残基をアラニン残基で置換する。
本発明の実施例からわかるように、非グリカン化エンドカンの抗腫瘍活性は、配列番号1または配列番号2の116位置にあるフェニルアラニン残基が異なるアミノ酸で置換されるときに、さらに高まる。
本発明の別の対象は、下記から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの、癌予防または治療用薬剤の製造での使用にある:
(a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、(i)配列番号1の137位置にあるセリンアミノ酸残基は異なるアミノ酸残基で置換され、(ii)配列番号1の116位置にあるフェニルアラニン残基は異なるアミノ酸残基で置換される
(b)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、(i)配列番号2の138位置にあるセリン残基は異なるアミノ酸残基で置換され、(ii)配列番号2の116位置にあるフェニルアラニン残基は異なるアミノ酸残基で置換される。
本発明のポリペプチド製剤では、配列番号1または配列番号2の116位置にあるフェニルアラニン残基を非芳香族アミノ酸残基から成る異なるアミノ酸残基で置換するのが好ましい。本発明のポリペプチド製剤のある好ましい実施例では、配列番号1または配列番号2の116位置にあるセリン残基をアラニン残基で置換する。
別のある実施例では、下記から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを用いる:
(a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、(i)配列番号1の137位置にあるセリンアミノ酸残基は異なるアミノ酸残基で置換され、(ii)配列番号1の115位置にあるフェニルアラニン残基は異なるアミノ酸残基で置換される
(b)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、配列番号2の138位置にあるセリン残基は異なるアミノ酸残基で置換され、(ii)配列番号2の115位置にあるフェニルアラニン残基は異なるアミノ酸残基で置換される。
本発明のポリペプチド製剤では、配列番号1または配列番号2の115位置にあるフェニルアラニン残基を非芳香族アミノ酸残基から成る異なるアミノ酸残基で置換するのが好ましい。本発明のポリペプチド製剤のある好ましい実施例では、配列番号1または配列番号2の115位置にあるセリン残基をアラニン残基で置換する。
ある好ましい実施例では、抗腫瘍ポリペプチドは配列番号5および配列番号6から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む。ある好ましい別の実施例では、抗腫瘍ポリペプチドは配列番号5および配列番号6から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある好ましい実施例では、抗腫瘍ポリペプチドは配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む。ある好ましい別の実施例では、配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の別の対象は、配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む非グリカン化ポリペプチドにある。本発明のさらに別の対象は、配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列から成る非グリカン化ポリペプチドにある。
本発明のさらに別の対象は、配列番号5、6、7、8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む医薬組成物にある。
本発明のさらに別の対象は、配列番号5、6、7、8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列から成るポリペプチドを含む医薬組成物にある。
上記定義の医薬組成物では、上記ポリペプチドは有効成分から成る。
第1実施例では、本発明の医薬組成物は治療上有効量の上記非グリカン化エンドカン由来抗腫瘍ポリペプチドを、医薬上許容可能な媒体と組み合わせて含む。本発明の医薬組成物としては、局所、経口、直腸、経鼻または非経口(例えば、筋肉内、皮下および静脈内)投与に適したものまたは吸入または吹送投与に適した形態が挙げられる。本発明の医薬組成物は単位用量の形態で提供することができ、医薬分野の技術に精通している人に周知な任意の方法によって調製できる。いずれの方法も、組成物の有効成分を含むアンタゴニスト化合物を、液体媒体または微粉固体媒体と組み合わせ、必要に応じて、産物を例えば錠剤またはカプセルの形にすることから成る段階を含む。
経口投与では、本発明の医薬組成物は用量単位、例えば錠剤、カプセルまたは硬カプセルの形で提供されるのが好ましい。医薬組成物が加圧容器に入った形で提供されるときは、医薬組成物は噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適切な気体を含むことができる。加圧エアゾールの場合は、用量単位は所定量の医薬組成物を供給できる弁を設けることができる。
別の実施例では、本発明の医薬組成物は吸入または吹送投与用の乾燥粉末組成物の形態、例えばアンタゴニスト化合物の粉末と、適切なベース粉末、例えばラクトースまたはデンプンとの混合物の形態にすることができる。この粉末組成物は用量単位、例えばカプセルまたはディスペンサーの形態で提供でき、用量単位から吸入器または吹送器を用いて粉末を投与できる。
本発明の医薬組成物と混合可能な、医薬上許容可能な固体媒体としては、香料添加剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、充填剤、加圧補助剤、結合剤または分散剤のような物質および封入材料が挙げられる。粉末では、媒体は微粉固体であり、同様に微粉形態である上記の抗腫瘍ポリペプチドとの混合物である。錠剤では、有効成分を適切な圧縮特性を有する媒体と混合して、所望の形態およびサイズに圧縮する。粉末および錠剤は99%以下の有効成分を含むのが好ましい。好ましい固体媒体は例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドンおよびイオン交換樹脂である。
本発明の医薬組成物を溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、エリキシルおよび加圧組成物の形態で調製するためには液体媒体を用いる。有効成分は医薬上許容可能な媒体、例えば水、有機溶剤、またはこの2つまたは医薬上許容可能な油または脂肪の混合物の中に溶解または懸濁させることができる。液体媒体はその他の医薬上許容可能な添加剤、例えば可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味添加剤、香料添加剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘性調節剤、安定剤または浸透圧調節剤を含むことができる。経口および非経口投与用の液体媒体の実例としては、水、アルコール(例えば、一価および多価アルコール、例えばグリコール)、油、例えばヤシ油または分画落花生油が挙げられる。非経口投与では、媒体をエステル、例えばオレイン酸エチルおよびミスチリン酸イソプロピルにすることもできる。
滅菌溶液または懸濁液の形の液体医薬組成物を、筋肉内、腹腔内または皮下注射に使用することもできる。
本発明の別の実施例では、少なくとも一種の本発明のポリペプチド有効成分を医薬上許容可能な媒体中で含む癌治療用の医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物は任意の種類またはタイプの癌、例えば癌腫、肉腫および白血病の治療に使用できる。
好ましい実施例では、本発明の医薬組成物を肺癌、乳癌、腎臓癌、膵癌、結腸癌、および、悪性黒色腫から成る群の中から選択される癌の治療に使用できる。
本発明の医薬組成物はその他の治療様式、例えば化学療法、寒冷療法、高熱、放射線療法等と組み合わせて用いることができる。
本発明では、本発明のいずれか一つの抗腫瘍ポリペプチド有効成分によってインビボでの腫瘍成長が抑制されることがわかる。ある実施例では、本発明のポリペプチド有効成分によって発揮される抗腫瘍活性を追加の抗癌治療によって完成させることができる。
本発明の別の実施例では、少なくとも一種の本発明のポリペプチド有効成分を医薬上許容可能な媒体中で、一種以上のその他の化学療法剤と組み合わせて含む癌治療用の医薬組成物が提供される。この特定の発明の実施に際して用いられる化学療法剤の例としては、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロフォスファミド、サイトシンアラビノサイド、エトポシド、5−フルオロウラシル、メルファラン、メトトレキサート、ミトキサントロン、タキソール、インターフェロン、フェアストン、アルゾキシフェン、エビスタ、タモキシフェン等が考えられる。
本発明の医薬組成物は、ポリペプチド有効成分を用量単位当たり0.001〜1000mg含むのが好ましく、ポリペプチド有効成分のアンタゴニスト化合物を用量単位当たり0.1〜50mg含むのが好ましい。
一般に、本発明の医薬組成物は0.01〜99.9重量%の本発明で定義されたポリペプチド有効成分を、99.99%〜0.01%の一種以上の医薬上混合可能な賦形剤と組み合わせて含む。大抵の場合には、本発明の医薬組成物は1〜〜99重量%の本発明で定義されたポリペプチド有効成分を、99%〜1%の一種以上の医薬上混合可能な賦形剤と組み合わせて含む。
本発明はさらに、本明細書に記載のポリペプチド有効成分を、治療を必要とする患者に投与する段階を含む癌の治療および/または予防方法に関するものである。
従って、本発明はさらに、治療上有効量の本明細書に記載のポリペプチド有効成分を人体または動物体に投与することを含むこれらの生物体の治療または予防方法を提供する。本発明の方法は必要に応じて一種以上の一般的な治療法(例えば放射線療法、化学療法および/または外科手術)と併用して実施できる。複数の治療手段を用いることによって癌患者がより広範囲にわたって治療介入できる。
本発明のポリペプチド有効成分は当業者に周知な標準ペプチド合成によって調製できる。
本発明のポリペプチド有効成分は、(i)本発明のヌクレオチド配列を用いて形質転換した微生物または真核生物細胞を培養する段階、および(ii)この微生物または真核生物細胞によって産生したペプチドを回収する段階を含む遺伝子工学技術によって得ることができる。
この技術は当業者には周知である。これ以上の説明が必要な場合には下記文献を参照されたい:組換えDNA技術I, Editors Ales Prokop, Raskesh K Bajpai; Annals of the New York Academy of Sciences, Volume 646, 1991
組換えDNA技術I, Editors Ales Prokop, Raskesh K Bajpai; Annals of the New York Academy of Sciences, Volume 646, 1991
ヒトエンドカンをコードする核酸配列は配列番号9から成る。
マウスエンドカンをコードする核酸は配列番号10から成る。
実際には、当業者は、本明細書に記載の種々の非グリカン化エンドカン由来ポリペプチドをコードするいずれか一つの核酸配列を、周知な組換えDNA技術、例えば部位特異的突然変異誘発技術を用いて容易に合成または産生できる。
特に、いずれか一つの本発明のポリペプチド有効成分をコードする核酸は、例えば下記文献に記載の当業者に周知な技術を用いて化学合成および遺伝子工学によってによって調製できる。
Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 1989
本発明の別の対象は、下記から成る群の中から選択される本発明の抗腫瘍ポリペプチドをコードする核酸にある:
(a)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
本発明のさらに別の対象は、下記から成る群の中から選択される本発明の抗腫瘍ポリペプチドをコードする核酸にある:
(a)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列から成るポリペプチド。
本発明の核酸は発現ベクターに挿入して本発明の組成物またはポリペプチド有効成分を得ることができる。
従って、本発明の別の対象は、本発明のポリペプチド有効成分をコードする核酸を含む組換え発現ベクターおよびその発現に必要な手段にある。発現に必要なこのような手段は当技術分野で周知であり、宿主細胞、発現ベクターおよび所望の発現レベルに応じて変えることができる。
発現ベクターとしては、例えばプラスミド、ワクチンウイルス型のウイルスベクター、アデノウイルス、バキュロウイルス、サルモネラ型のバクテリアベクター、BCGが挙げられる。このようなベクターおよびこのベクターの使用および産生方法は当技術分野で周知である(例えば下記文献参照)。
<<Nonviral Vectors for gene Therapy>>, 2001, edited by M. Findeis, Humana Press <<Adenoviral Vectors for Gene Therapy>>, 2002, edited by Curiel and Douglas, Elsevier Science, Academic Press <<Vaccinia Virus and poxyirology>>, 2004, edited by S. Isaacs, Humana Press
本発明で「ウイルスベクター」とは、ベクターDNAおよび従来技術によって産生したそのウイルス粒子を意味する。
ある実施例では、本発明のベクターはアデノウイルスベクターである。これは種々のヒトまたは動物源から得ることができる。アデノウイルス血清型1〜51の中から任意の血清型を使用でき、ヒトアデノウイルス2 (Ad2), 5 (Ad5), 6 (Ad6), 11 (Ad11), 24 (Ad24) および35 (Ad35)が特に好ましい。上記のアデノウイルスはアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、メリーランド州ロックビル)から入手可能であり、且つ、多数の文献の対象となっており、これらの文献にはその配列、組織および産生方法が記載され、当業者はそれらを応用できる(例えば下記文献参照)。
米国特許第6,133,028号 米国特許第6,110,735号 国際特許第WO02/40665号 国際特許第WO00/50573号 欧州特許第EP 1 016 711号 Vogels et al., 2003, J. Virol. 77: 8263-8271
本発明のアデノウイルスベクターは複製欠損であるのが好ましい(例えば下記文献参照)。
国際特許第WO94/28152号 Lusky et al., 1998, J. Virol 72, 2022-2032
好ましい複製欠損アデノウイルスベクターは、E1欠失が約459〜3328位置または約459〜3510位置に及ぶE1-欠損である(登録番号M 73260で遺伝子銀行および下記文献に開示されたヒトアデノウイルス型5の配列を参照)。
Chroboczek et al., 1992, Virol. 186, 280-285
クローニング能力は、アデノウイルスゲノムの付加部分(一つまたは複数)(非必須なE3領域またはその他の必須なE2、E4領域の全部または一部)の欠失によってさらに高めることができる。本発明の核酸はアデノウイルスゲノムの任意の場所に挿入できる。本発明の核酸はE1領域の代わりに挿入するのが好ましい。本発明の核酸は問題となっている領域の自然な転写方向に対してセンスまたはアンチセンスの向きに位置決めできる。
その他のある実施例では、本発明の組換えベクターはポックスウイルスから得られる。これは痘科の任意の仲間、特にカナリア痘、鶏痘およびワクシニアウイルスから得ることができ、後者が好ましい。適切なワクシニアウイルスとしては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:コペンハーゲン株(Goebel et al., 1990, Virol. 179: 247-266 and 517-563; Johnson et al., 1993, Virol. 196: 381-401), ワイエス株および修飾アンカラ(MVA)株(Antoine et al., 1998, Virol. 244: 365-396)。
Goebel et al., 1990, Virol. 179: 247-266 and 517-563 Johnson et al., 1993, Virol. 196: 381-401 Antoine et al., 1998, Virol. 244: 365-396
組換えポックスウイルスを作成するための一般条件は当技術分野で周知である(例えば下記文献参照)
欧州特許第EP 206 920号 Mayr et al., 1975, Infection 3: 6-14 Sutter and Moss, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10847-10851 米国特許第6,440,422号
本発明の核酸は、非必須な部位で痘ゲノム内に挿入されるのが好ましい。チミジンキナーゼ遺伝子はコペンハーゲンワクシニアベクターへの挿入(Hruby et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci USA 80: 3411-3415; Weir et al., 1983, J. Virol. 46: 530-537)およびMVAベクターに挿入するための欠失IIまたはIII(Meyer et al., 1991, J. Gen. Virol. 72: 1031-1038; Sutter et al., 1994, Vaccine 12: 1032-1040)に特に適している。
Hruby et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci USA 80: 3411-3415 Weir et al., 1983, J. Virol. 46: 530-537 Meyer et al., 1991, J. Gen. Virol. 72: 1031-1038 Sutter et al., 1994, Vaccine 12: 1032-1040
さらなるある実施例では、本発明の組換えベクターを必要に応じて一般的な薬物送達システムと結合または混合できる(例えば、脂質またはポリマーベースのリポソーム、ナノ粒子等、例えば下記文献に記載のもの)。
Mahato et al., 1998, Human Gene Ther. 9: 2083-2099 Allen et al., 2004, Science 303: 18181822
「発現に必要な手段」とは、本発明のペプチドまたは融合ペプチド、例えば特にプロモータ、転写ターミネータ、複製起点、好ましくは選択マーカーを得ることができる任意の手段を意味する。
本発明で用いるプロモータは任意の起源、例えばウイルス細胞性または合成起源にし、遍在して構成的に発現するか、または、調節して特定の細胞型でまたは特異的な条件下で特異的に発現することができる。本発明で用いるプロモータはさらに、エンハンサーに操作可能に結合できる。適切なウイルスプロモータとしては下記から得られる初期プロモータが挙げられるが、これらに限定されるものではない: RSV (ラウス肉腫ウイルス)、SV40 (サルウイルス)およびCMV (サイトメガロウイルス; Boshart et al., 1985, Cell 41, 521-530)およびHSV-1ウイルス(単純ヘルペスウイルス-1)のTK(チミジンキナーゼ)プロモータ、大後期アデノウイルスプロモータ (MLP)およびワクシニアプロモータ(例えば7.5K, H5R, TK, p28, p11 およびK1Lプロモータ)。
Boshart et al., 1985, Cell 41, 521-530
合成プロモータ、特に下記文献に記載のようなプロモータも使用できる。
Chakrabarti et al. (1997, Biotechniques 23: 1094-1097) Hammond et al. (1997, J. Virological Methods 66: 135-138)
適切な細胞プロモータとしては、下記のような肝臓特異性プロモータに特異的に利益のある細胞遺伝子の発現を推進する任意のプロモータが挙げられる:ホスホグリセロキナーゼ (PGK; Adra et al., 1987, Gene 60: 65-74), アルブミン(Pinkert et al., 1987, Genes Dev. 1: 268-277), ホスホエノールピルビン酸塩カルボキシキナーゼ(PEPCK) (Eisenberger et al., 1992, Mol. Cell Biol. 12: 1396-1403), コレステロール7-α hydroylase (CYP-7) (Lee et al., 1994, J. Biol. Chem. 269: 14681-14689), α-1 アンチトリプシン (Ciliberto et al., 1985, Cell 41: 531-540), トランスフェリン(Mendelzon et al., 1990, Nucleic Acids Res. 18: 5717-5721);および因子 IX (米国特許第5,814,716号) 遺伝子。
PGK; Adra et al., 1987, Gene 60: 65-74 Pinkert et al., 1987, Genes Dev. 1: 268-277 Eisenberger et al., 1992, Mol. Cell Biol. 12: 1396-1403 Lee et al., 1994, J. Biol. Chem. 269: 14681-14689 Ciliberto et al., 1985, Cell 41: 531-540 Mendelzon et al., 1990, Nucleic Acids Res. 18: 5717-5721 米国特許第5,814,716号
本発明のベクターは、所定の宿主細胞中の本発明のヌクレオチド配列の転写率またはレベル、その安定性、核RNA輸送および/またはmRNAの翻訳率またはレベルを高めるために、一つまたは複数の付加手段をさらに含むことができる。このような手段は当業者には周知であり、例えば5', 3'非−コード配列、介在配列、スプライシング配列、Shine-Dalgarno配列、Kozak配列およびイニシエータメチオニンが挙げられる。
本発明の発現ベクターは、本発明のペプチドのいずれか一つをコードする単一のヌクレオチド配列、または少なくとも2つのヌクレオチド配列を含むことができる。各ヌクレオチド配列は互いに異なる型のペプチドをコードすることは理解できよう。
本発明の別の対象は、下記から成る群の中から選択される本発明のポリペプチド有効成分をコードする核酸によって形質転換された組換え宿主細胞にある:
(a)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
本発明のさらに別の対象は、下記から成る群の中から選択される本発明のポリペプチド有効成分をコードする核酸によって形質転換された組換え宿主細胞にある:
(a)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列から成るポリペプチド。
本発明の別の対象は本明細書の組換えベクターによって形質転換された組換え宿主細胞にある。
実際には、本発明の組換え宿主細胞のいずれか一つは対応するポリペプチド抗腫瘍有効成分を発現する。
本発明で「形質転換」または「形質転換された」とは、宿主細胞中に「導入」または「導入された」を意味する。宿主細胞、例えば微生物または真核生物細胞中で核酸または組換えベクターを「形質転換」するためには任意の常法を使用できる。このような方法としては下記が挙げられるが、これらに限定されるものではない:微量注入(Capechi et al., 1980, Cell 22, 479-488)、CaPO.sub.4_介在形質移入(Chen and Okayama, 1987, Mol. Cell Biol. 7, 2745-2752)、DEAE-デキストラン-介在形質移入、電気穿孔法(Chu et al., 1987, Nucleic Acid Res. 15: 1311-1326)、リポフェクション/リポソーム融合 (Felgner et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7417)、粒子衝撃(Yang et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 9568-9572)、遺伝子銃、形質導入およびウイルス感染。
Capechi et al., 1980, Cell 22, 479-488 Chen and Okayama, 1987, Mol. Cell Biol. 7, 2745-2752 Chu et al., 1987, Nucleic Acid Res. 15: 1311-1326 Felgner et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7417 Yang et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 9568-9572
例えば、本発明では、ウイルスベクターは、そのゲノムの形質移入またはウイルス粒子の感染によって宿主細胞中で形質転換できる。「宿主細胞」とは、特定の構造、例えば組織および器官内で器質化した一つまたは複数の単離細胞を含む微生物および真核生物細胞に関して無制限に広範囲に理解される。宿主細胞は唯一の型の細胞または種々の型の細胞から成る群にすることができ、培養細胞株、初代細胞および増殖性細胞を含む。
真核生物細胞の例としては、動物、例えば哺乳類、爬虫類、昆虫および同等物から得られる細胞が挙げられる。好ましい真核生物細胞は下記から得られる細胞である:チャイニーズハムスター(CHO細胞)、サル(COSおよびベロ細胞)、赤ちゃんハムスターの腎臓 (BHK細胞)、ブタの腎臓 (PK 15細胞)およびウサギの腎臓 (RK13細胞,ヒト骨肉腫細胞株(143 B細胞)、ヒトHeLa細胞株およびヒト肝癌細胞株 (Hep G2細胞型)および昆虫細胞株(例えば、ヨウトガ(Spodoptera frugiperda))。
宿主細胞は懸濁培養またはウイルス培養、組織培養、器官培養および同等物中で供給できる。宿主細胞はトランスジェニック動物からも供給できる。本発明の宿主細胞は一般的なバイオリアクター、フラスコ、および、ペトリ皿で培養できる。培養は所定の宿主細胞に適した温度、pHおよび酸素含有量で実施できる。ポリペプチドを微生物および真核生物細胞中で産生する種々の公知な方法については本明細書では詳細に説明しない。
本発明のポリペプチド有効成分は、産生性宿主細胞から、周知な精製方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、酸抽出、ゲル電気泳動、濾過およびクロマトグラフィ法(例えば、逆相、サイズ排除、イオン交換、親和性、ホスホセルロース、疎水性相互作用、ヒドロキシアパタイトまたは高性能液体クロマトグラフィ)によって精製できる。本発明の特定のペプチドまたは融合ペプチドの精製に用いる条件および技術は、正味荷電、分子量、疎水性、親水性のような因子に依存し、当業者に周知である。さらに、精製レベルは使用目的に依存する。
本発明の別の対象は、下記から成る群の中から選択される有効成分を含む医薬組成物にある:
(A)下記から成る群の中から選択される本発明のポリペプチド有効成分をコードする核酸:
(a)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(b)配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(B)上記(A)に定義の核酸が挿入された組換えベクター、および、
(C)(i)上記(A)に定義の核酸または(ii)上記(B)に定義の組換えベクターによって形質転換された組換え宿主細胞。
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1:非グリカン化マウスおよびヒトエンドカンの抗腫瘍活性
A.材料と方法
A.1.細胞培養 293、NIH3T3、B16F10、HT-29細胞を10% FCSと2mM L-グルタミンを添加したDMEM中にルーチン的に培養した。CHO DG44を10% FCSとHT-Suppと2mM L-グルタミンを添加したα-MEM中にルーチン的に培養した。ハイブリドーマ細胞を10% FCS、5 mM HEPES、HT-サプリメントまたは無血清のハイブリドーマ-SFM培地(全ての培地はInvitrogen, Cergy Pontoise, Franceから購入) を添加したRPMI 1640中に培養した。
A.2.マウスエンドカンのクローニング マウスエンドカンcDNAクローニング。クローニングはPCRによって行った。第1PCRはヒト(X89426)とラットエンドカン(U80818)配列(5'-AGAAACTTGCTACCG-3' [配列番号11]および5'-GCCGTAGGGACAGTC-3' [配列番号12])間の100%相同配列中でデザインされたプライマーで開始した。125 bp PCR断片をBALB/cByJIco (BALB/c) Marathon Readyマウス肺cDNA (Invitrogen, Cergy Pontoise, France)から得た。この断片をpCR2.1ベクター (TA クローニングキット, Invitrogen, Cergy Pontoise, France)中でクローニングし、Applied Biosystems (Genoscreen, Pasteur Institute of Lille, France)社製の3730 XL装置で配列決定した。次いで、cDNA端の5'および3'迅速増幅(RACE)をメーカー(Invitrogen)が推奨するMarathon Readyマウス肺cDNAで行い、 pCR2.1中でクローニングし、配列決定した。さらに、完全長マウスエンドカン配列を次いでクローニングした(GenBank登録番号AJ249354)。マウスエンドカン遺伝子クローニング。ゲノムDNAの5'および3'迅速増幅をcDNA-特異的プライマーを用いて行った。簡単に言うと、マウスゲノムDNAをBALB/c脾細胞(Qiagen)から抽出した。EcoR I-消化ゲノムDNAを、EcoR I付着端とPCR-ベースの5'および3'増幅に特異的な配列とを有するアダプタを用いてリゲートした。完全なマウスesm-1遺伝子を次いでクローニングした(GenBank登録番号AJ416379)。
A.3.組換え、突然変異およびキメラマウスエンドカンの産生
従って、ヒト配列では、マウス推定O-グリカン化部位のセリン138を、メーカー(Stratagene)が推奨するQuick-Change部位特異的突然変異誘発キットを用いてPCRによって、アラニンコドンで置換した。マウスエンドカンおよびマウスエンドカン/S138A cDNAを、Hind IIIおよびEcoR I制限部位を有するプライマーによって増幅させ、Hind III - EcoR I-直線化pcDNA3.1 (+)ベクター(Invitrogen)に挿入した。ヒトIgG1のFcドメインに融合したマウスエンドカンの完全読み枠を含むキメラDNA配列も、既に述べたようにpcDNA3.1(+)に挿入した。pcDNA3.1 (+)中の1マイクログラムの作成物を293, CHO DG44, B16F10に、NIH3T3およびHT-29の場合はFugene (Roche)またはリポフェクトアミン(Invitrogen)と一緒に形質移入した。安定に形質移入された細胞を、G418 (293, HT-29およびCHO DG44の場合にそれぞれ200, 300, 1000 オg/ml)を用いて選択し、既に述べた24ように限界希釈法によってクローニングした。
A.4.mAb産生および特徴付け mAbを既に述べた24ようにCHOから精製マウスエンドカン/Fcによるルイスラットを免疫化によって産生した。鼠径流入領域リンパ節からの芽細胞をSp2/0骨髄腫に融合した。クローンハイブリドーマ細胞をスクリーニングしてマウスエンドカン/FcをELISAによって認識した。抗Fc Abを炭酸緩衝液中で被覆した。ブロッキング後、マウスエンドカン/Fc、エンドカン/Fc、および、CD54/Fcを付加した。試験した上清をインキュベートした後、洗浄し、HRP-抗ラットIgGを用いてインキュベートし、再洗浄し、メーカー推奨のOPDを用いて発達させた。16のハイブリドーマクローン(GGR)はマウスエンドカン/Fcと反応し、CD54/Fcとは反応しないことがわかった。種々の抗ヒトエンドカン抗体も試験した。本出願人の研究所で発達させた全ての抗エンドカンmAbの中では、抗-ヒトエンドカンC-末端として既に述べたMEP 14 mAbのみがマウスエンドカンも認識した。ヒトとマウスエンドカンで交差反応するmAbは他にはない。mAbを既に述べた24ように細胞上清から精製した。
A.5.ELISA マウスエンドカンELISAをヒトエンドカンELISAと同様に実施するが、いくつか変更した24。簡単に言うと、MEP 14 (IgG2a/K)を被覆mAb (炭酸緩衝液中に0.5 オg/ml)として、GGR237 (IgG2a/K, 1 オg/ml)をサンドイッチmAbとして用いた。マウスエンドカンの標準は20〜0.3 ng/mlである。続いて抗-ラットIgG2a-抱合型西洋わさびペルオキシダーゼ (HRP) (Pharmingen)でインキュベートし、その後、メーカー推奨のOPD (Sigma)を用いて顕色した。
A.6.マウスエンドカン特徴付け DEAE−セファロース:293細胞上清を、0.15M Nacl(Bio-Rad)を入れた、最初は20mMトリスHCl pH7.4で運転する0.2cm×1.3 cmのDEAE-セファロースカラムに通した。結合エンドカンを、1M Naclを含む、20mMトリスHCl pH7.4のDEAE-セファロースから溶離し、次いで、30kD分子量のカットオフ(Vivascience)を0.5mlのVivaspin濃縮器中で濃縮した。コンドロイチナーゼABC:結合DEAEを1単位/mlコンドロイチナーゼABC(Sigma)で37℃で一晩処理した。サンプルを2X SDS-PAGEサンプル緩衝液に1:1で希釈し、PAGEおよびウェスタンブロット分析を標準的なウェスタンブロット手順に従って一次AbプローブとしてのMEP14、その後、アフィニティー精製、HRP-抱合型ヤギ抗−マウスAb(希釈1:15,000)(Sigma)およびECL検出キット(Amersham)を用いて実施した。0.1Mジチオスレイトールを用いて減圧条件を得た。Q-セファロース。マウスエンドカンのグリカン化状態を決定するために、293細胞上清を、0.05M NaCl(Bio-Rad)を入れた、20mMトリスHCl pH7.4中で初期に運転する0.2cm×1.3cmのQ-セファロースカラムに通した。マウスエンドカンを、濃度勾配が0.1〜1MのNaClを入れた、20mMトリスHCl pH7.4を用いてQ-セファロースから溶離した。各溶離画分をELISAによって測定した。溶離画分を2つの主要なグループに分けて貯蔵した。第1グループは0.1〜0.4M NaClの溶離画分に対応し、第2グループは0.5〜1M NaClの溶離画分に対応する。次いで、第1ピークをELISA規格でMEP14の親和性クロマトグラフィカラムで精製し、第2溶離グループを30kD分子量のカットオフ(Vivascience)と一緒に0.5mlのVivaspin濃縮器で濃縮した。次いで、サンプルを2X SDS-PAGEサンプル緩衝液中で再懸濁し、PAGEおよびウェスタンブロット分析を行った。実験の第2セットでは、非グリカン化画分(第1溶離ピーク)を0.4M NaClでの溶離および1M NaClでのグリカン化画分(第2溶離ピーク)によって評価した。
A.7.マウスモデル 動物実験を上述のように20行った。簡単に言うと、CB-17 scid/scidホモ接合性SCIDマウス(雄、生後5〜6週)の背側肩甲骨間領域に皮下注射した。FCSを含まない200 オL DMEM中に再懸濁した106形質移入293細胞または0.25 x 106形質移入HT-29をマウスに投与した。293細胞の24時間前に、200 オLの抗アシアロ-GM1抗体(Wako Chemicals)を腹腔内注射した。次いで、血清を週に一度、回収し、成長腫瘍によってマウスエンドカンの分泌を決定した。マウスはまた、週に一度、触知腫瘍の有無を調べた。腫瘍体積が2 cm3に達したときに、マウスを犠牲にした。各器官および腫瘍の系統的巨視的分析を実施し、次いで各器官および腫瘍を回収し、AFA中で固定 (エタノール、ホルモルおよび酢酸を含む固定液_ LABONORD Templemars France) し、パラフィン包埋用に処理した。3オm厚さのパラフィン切片をヘマトキシリンエオシンで染色した。
A.8.細胞増殖アッセイ 細胞増殖および生存を、それぞれHT-29へのBrDU取り込み (Roche)およびMTT還元29の測定によって、決定した。細胞を96-ウェルミクロプレート中に0.5 X 104/ウェルの密度で播種し、10% FCSを含む完全培地で24時間培養した。FCSを含まない培地で24時間飢餓後に、 精製組換えエンドカン(ヒトエンドカン、ヒトエンドカン/S137A, マウスエンドカン, マウスエンドカン/S138A)を完全培地に付加した。24時間培養後、メーカー推奨のBrDU取り込みおよびMTT生死判別試験を行った。対照にはマイトマイシン(100 ng/mL)を付加した。
B.結果 非グリカン化マウスエンドカンタンパク質の抗腫瘍活性を調べるために、非グリカン化マウスエンドカン(エンドカン/S138A)を過剰発現するHT-29細胞クローンを産生した。全ての腫瘍が対照ベクター形質移入HT-29細胞腫瘍より、増殖速度が遅延し且つ腫瘍が小さかった(図1)。次いで、本発明者は非グリカン化形態のヒトエンドカン/S137Aも抗腫瘍活性を示すのではないかと考えた。同様に、全ての腫瘍で増殖速度の遅延が示された(図1)。まとめると、これらの結果から非グリカン化形態のマウスおよびヒトエンドカンはインビボで抗腫瘍活性を示すことが示唆される。これはさらに、この特性に関与する特異的アミノ酸が両ポリペプチドに共通していることを示す。マウスとヒトポリペプチドの相同性が75%であるので、これらの結果によって、腫瘍異種移植片のマウスモデルが、非グリカン化エンドカンのヒトベースの抗腫瘍活性を研究するのに良いモデルになることが強調される。
非グリカン化エンドカンがその抗腫瘍活性を直接発揮できるかどうか調べるために、種々のレベル(1 ng/mL〜1 オg/mL)の野生型または非グリカン化ヒトまたはマウスエンドカンで培養したHT-29細胞は、BrDU取り込みもMTT細胞毒性試験も変化が全くなかった(図2)。対照として、BrDU取り込みをマイトマイシンで無効にした。従って、少なくともインビトロでは、非グリカン化エンドカンがHT-29細胞の細胞毒性を誘発するまたはHT-29細胞成長を抑制する確証的データはなく、むしろ、腫瘍間質の一時的変異を通したより間接的な効果が示される。
臨床的には、いずれの場合も、細胞注射の部位に円形の皮下腫瘍が見られた。HT-29細胞を注射したマウスと比較すると、ヒトエンドカン腫瘍発現マウスはより痩せているように見えるが、体重曲線の比較では、腫瘍を有するマウスの体重減少を発達腫瘍の重量が補償したため、有意差は全く見られなかった。解剖では、腫瘍は皮膚または隣接器官に癒着していなかった。巨視的および微視的な検査では、リンパ節または転移性播種は全く示されなかった。腫瘍HT-29の巨視的分析によって、壊死領域を有する白色非癒着性小結節が示された。壊死領域のパーセンテージは種々の腫瘍型の間で違いがなかった。腫瘍周辺でのより大量の間質および有意な白血球浸潤は、親HT-29腫瘍またはヒトエンドカンに比べて、マウスエンドカンまたはマウス非グリカン化エンドカンまたはヒト非グリカン化エンドカンを発現する腫瘍中で存在した。
要約すれば、得られた結果から、内因性間質媒介物エンドカンは腫瘍成長に影響することがわかる。従って、非グリカン化形態のヒトエンドカンまたはマウスエンドカンは抗腫瘍免疫療法に役立つ有効成分を明らかにすることがわかった。
実施例2:種々の非グリカン化ヒトエンドカンの抗腫瘍活性
A.材料と方法
A.1.材料 野生型エンドカンまたは非グリカン化エンドカンcDNAを含むpcDNA3ベクターを突然変異させ、迅速部位特異的突然変異誘発キット(Quick Site Directed Mutagenesis Kit)(Stratagene)を用いてF115またはF116または両方をアラニン残基で置換し、その配列をABIプリズム装置(Genoscreen, Lille, France)で検証した。
以下のように種々の作成物を示す:
E1:エンドカン(野生型)
E11:S137Aエンドカン=非グリカン化エンドカン
E12:F115Aエンドカン
E13:F116Aエンドカン
E14:F115AおよびF116Aエンドカン
E15:F115A非グリカン化エンドカン
E16:F116A非グリカン化エンドカン
E17:F115AおよびF116A非グリカン化エンドカン。
cDNAをリポフェクトアミン成分を用いてHT-29に形質移入し、次いで、300 オg/mL G418の付加によって選択した。次いで、細胞をG418の存在下で限界希釈によって継代培養し、特異的な特許ELISAを用いてその上清中のエンドカンの検出でクローンを選択した。細胞をそのエンドカン産生レベルによって特徴付けした。マイコプラズマを含まない細胞クローンをU774の万能細胞バンクに貯蔵した(Inserm U774, Pasteur Institute of Lille, Lille, France)。
A.2.マウスモデル 簡単に言うと、CB-17 scid/scidホモ接合性SCIDマウス(雄、生後5〜6週)の背側肩甲骨間領域に皮下注射した。200 オL DMEM中に再懸濁した2×105形質移入HT-29をマウスに投与した。次いで、血清を週に一度、回収し、成長腫瘍によってマウスエンドカンの分泌を決定した。マウスはまた、週に一度、触知腫瘍の有無を調べた。腫瘍体積が2 cm3に達したときに、マウスを犠牲にした。各器官および腫瘍の系統的巨視的分析を実施し、次いで各器官および腫瘍を回収し、AFA中で固定 (エタノール、ホルモルおよび酢酸を含む固定液_ LABONORD Templemars France) し、パラフィン包埋用に処理した。3オm厚さのパラフィン切片をヘマトキシリンエオシンで染色した(A Janin, Inserm U728, Paris, France)。
B.結果 セリン137で突然変異した非グリカン化ヒトエンドカンによる腫瘍異種移植片の成長の抑制
E1 (ここではBL10)またはE11を過剰発現するHT29細胞のSCIDマウスへの皮下注射によって、3週目から4週目の間に、臨床的に触知可能な腫瘍が形成された。しかし、腫瘍の成長速度には大きな差があった。すなわち、[図3]に示すように、E1を発現するHT29細胞は、親細胞より速く成長した。一方で、E11(非グリカン化エンドカン)を過剰発現するHT29細胞はE1を過剰発現するHT29細胞より成長が遅く、さらに、親HT29細胞より成長が遅かった。
腫瘍の病理分析によって、HT29とHT29-E1腫瘍は両方とも、ほとんど腫瘍細胞、および、血管のみを含む非常に弱い間質を含むことが明らかになった。対照的に、HT29-E11腫瘍は腫瘍細胞、および、血管、血管周囲白血球および線維症を含む有意な間質炎症反応を含んでいた。
免疫組織化学によって、ヒトエンドカンが腫瘍細胞によって排他的に産生されることおよびマウスエンドカンが腫瘍血管内で排他的に検出されることがわかった。
B.2.HT29クローンバイアスの非存在の説明
E1またはE11を過剰発現する3つの個別のHT29細胞クローンをSCIDマウスに皮下注射した(マウス一匹当たり2×105細胞、クローン一つ当たり4匹のマウス)(Classeur des clones)。マウスを毎週検査した。7週でマウスを犠牲にし、腫瘍を顕微鏡で分析した。
[図4]に示す結果から、成長速度は同じ分子を過剰発現する各クローンで似ていることがわかった。特に、HT29-E11の遅い成長速度は各クローンで定期的に見られ、これは成長速度の原因がクローンバイアスではなく、むしろ細胞によって産生される組換え分子にあることが示された。3つのクローン(12マウス)の平均のMean+/−SD。組織学的にHT29-E11腫瘍のみが間質炎症反応を示す(上記の組織学的図のように)。
B.3.ヒト非グリカン化エンドカンの抗腫瘍活性での115および116位置におけるフェニルアラニン残基の重要な役割
B.3.1.抗腫瘍活性におけるF115およびF116の異なる役割
E11、E15、E16またはE17を過剰発現する3つのHT29細胞クローンをSCIDマウスに皮下注射した(クローン一つ当たり4匹のマウス)。
結果を[図5]に示す。HT29-E17の成長速度は親HT29細胞の成長速度と同様である。すなわち、F115とF116の両方がE11の抗腫瘍活性に必要である。HT29-E15の成長速度はHT29-E11の成長速度と同様である。すなわち、抗腫瘍活性にF115は必須ではなく、F116で補償できるように見える。HT29-E16の成長速度はHT29-E11の成長速度より遅い。すなわち、F115はF116との関係に置いて重要な役割を果たす。
B.3.2.腫瘍を有するマウスにおけるヒトエンドカンの血中濃度
結果を[図6]および[図7]に示す。
血中E1、E11、E15、E16およびE17を5〜50 ng/mLのレベルで検出する。このレベルは時間とともに上昇し、ある程度、腫瘍のサイズの増大に関係する。
B.3.3.非グリカン化エンドカンによる著しい間質炎症の誘発
HT29-E16腫瘍は、汎白血球浸潤、線維芽細胞、線維症および腫瘍血管(HE x 100)を含む激しい間質再構築を示すことがわかった。
エンドカンはLFA-1に結合し、ICAM-1 _ LFA-1相互作用を抑制する。従って、E11およびそのより効率的な誘導体E16はエンドカンの受容体LFA-1の競合的アンタゴニストの役目をすると考えられる。E16の最高効率はそのより大きいLFA-1親和性によって説明できる。
B.4.非グリカン化エンドカンの全身性抗腫瘍活性
上記の結果から、腫瘍内のE16の局所的過剰発現によって、HT29腫瘍異種移植片の成長速度が親HT29腫瘍に比べてかなり遅くなることがわかった。E16の全身投与がHT29腫瘍に与える影響を調べるために二重腫瘍モデルを開発した。このモデルはSOURCE HT29-E16細胞の右肩甲部への注射と、TARGET親HT29細胞の対側背への注射を同時に行うことにある。
1/二重腫瘍モデル 原理は、E16が、全身投与されたときに、HT29腫瘍異種移植片の成長速度を遅くできるかどうかを調べることにある。形質移入HT29腫瘍異種移植片の経過観察中の血中エンドカン濃度が有意であったので、この血中エンドカンがエンドカンを産生しない親HT29腫瘍に作用できるかどうか試験した。その結果、SOURCE腫瘍は予想通り成長することがわかった([図8参照])。TARGET腫瘍の成長速度が血中E11の存在下でわずかに減速し、血中E16の存在下ではより大きく減速したことは興味深い([図9参照])。
SOURCEおよびTARGET腫瘍を顕微鏡で観察した(データは示さず)。予想通り、HT29-E11およびHT29-E16腫瘍でのみ、間質炎症反応を認めた。驚くべきことに、このような炎症反応を血中E16の存在下で親HT29腫瘍内に認めた。
Figure 2011502111

Claims (11)

  1. 配列番号1および配列番号2から成る群の中から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの非グリカン化形態の癌予防または治療用薬剤の製造での使用。
  2. ポリペプチドが下記から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む請求項1に記載の使用:
    (a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、配列番号1の137位置にあるセリンアミノ酸残基は異なるアミノ酸残基で置換される、
    (b)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、配列番号2の138位置にあるセリン残基は異なるアミノ酸残基で置換される。
  3. ポリペプチドが下記から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む請求項1または2に記載の使用:
    (a)配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、(i)配列番号1の137位置にあるセリンアミノ酸残基は異なるアミノ酸残基で置換され、(ii)配列番号1の116位置にあるフェニルアラニン残基は異なるアミノ酸残基で置換される、
    (b)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列であり、配列番号2の138位置にあるセリン残基は異なるアミノ酸残基で置換され、(ii)配列番号2の116位置にあるフェニルアラニン残基は異なるアミノ酸残基で置換される。
  4. ポリペプチドが配列番号5および配列番号6から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む請求項1または2に記載の使用。
  5. ポリペプチドが配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  6. 配列番号7および配列番号8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含む非グリカン化ポリペプチド。
  7. 配列番号5、6、7、8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む医薬組成物。
  8. 請求項5または6に記載のポリペプチドをコードする核酸。
  9. 請求項8に記載の核酸が挿入された組換えベクター。
  10. 請求項8に記載の核酸または請求項9に記載の組換えベクターで形質転換された、且つ、配列番号5、6、7、8から成る群の中から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する組換え宿主細胞。
  11. 下記(a)〜(c)から成る群の中から選択される有効成分を含む医薬組成物:
    (a)請求項8に記載の核酸、
    (b)請求項9に記載の組換えベクター、
    (c)請求項10に記載の組換え宿主細胞。
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