JP2011257590A - 染料を含有する着色組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、それを具備する液晶表示装置並びに有機elディスプレイ - Google Patents

染料を含有する着色組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、それを具備する液晶表示装置並びに有機elディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、上記事情に鑑みてなされ、耐光性に優れたカラーフィルタ用含染料着色組成物、この着色組成物を用いた高明度、高コントラストなカラーフィルタ、及びこのカラーフィルタを備える液晶表示装置並びにELディスプレイを提供すること。
【解決手段】
少なくともカチオン性染料と、グリコール構造を単位構造として含むバインダー樹脂から成る含染料着色組成物を用いることで、良好な耐光性を有する液晶表示装置或いは有機ELディスプレイを得ること。
【選択図】図1

Description

本発明は、染料を含有する着色組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、それを具備する液晶表示装置並びに有機ELディスプレイに関する。
液晶表示装置は、近年その薄型である事ゆえの省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価されている。なかでもテレビ受像機などディスプレイ用途への普及が急速に進んでおり、輝度、コントラストや全方位の視認性などの表示性能をより高めることが望まれるとともに、それに用いるカラーフィルタの更なる高明度化、高コントラスト化などが望まれている。
カラーフィルタの作製方法としては、印刷法、電着法、顔料分散法などが知られているが、このうち顔料分散法は顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色組成物をフォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法である。顔料分散法は顔料を使用しているため耐熱性、耐光性に優れており、液晶表示装置用カラーフィルタとして好適であり、広く利用されてきた。
しかし、顔料分散法を用いて作製したカラーフィルタは顔料微粒子の影響で液晶表示装置内で光を拡散させ、表示コントラストの低下を招くことが知られており、その対策として顔料粒子の微粒化が検討なされているが、顔料を用いている限り、この拡散は完全にはなくならない。(特許文献1、特許文献2)
この問題を解決するためには、着色組成物に溶解することで発色する染料を用いることが考えられる。従来から染料を用いたカラーフィルタの検討がなされているが、染料を含有する着色組成物には新たな問題点を含んでいる。
即ち、(1)一般的な染料は、一般的なカラーフィルタ用着色組成物に用いられる有機溶剤に対して溶解性が低い。(2)染料はフォトリソ法で一般的に用いられるラジカル重合において、発生したラジカル重合末端を失活させる、いわゆる「ラジカルイーター」として働くため、露光感度を低下させ、塗膜を十分に硬化できない。(3)染料は一般的に顔料と比較して耐熱性、耐光性に劣る。
これらの解決手法として、バインダー樹脂の酸価や二重結合を導入することによる露光感度の向上や耐熱性、耐光性の向上が図られているが、いずれも十分ではない。(特許文献3、特許文献4)
特開平8−179111 特開平10-130547 特開2004−341121 特許第4102604号
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、耐光性に優れたカラーフィルタ用含染料着色組成物、この着色組成物を用いた高明度、高コントラストなカラーフィルタ、及びこのカラー
フィルタを備える液晶表示装置並びにELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、少なくとも1種の染料を含有し、且つバインダー樹脂として、グリコール構造を有する単位構造を含有し、該単位構造が樹脂中に重質量%以上50重量%以下であることを特徴とするバインダー樹脂を用いる含染料着色組成物を用いることで良好な耐光性を有する液晶表示装置或いは有機ELディスプレイ用カラーフィルタを得られることを見出した。
請求項1記載の発明は、カラーフィルタ用着色組成物として、(a)色材、(b)バインダー樹脂、(c)光重合開始剤、(d)光重合性化合物(e)有機溶剤からなるカラーフィルタ用着色組成物において、(a)が少なくとも染料を含有し、且つ(b)がグリコール構造を単位構造から成ることを特徴とするカラーフィルタ用含染料着色組成物である。
請求項2記載の発明は、前記(b)がクミルフェノール由来の構造を含む単位構造から成ることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物である。
請求項3記載の発明は、前記(b)が二重結合を含む単位構造から成り、二重結合等量が50乃至2000であるとことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物である。
請求項4記載の発明は、前記染料がカチオン性染料であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物である。
請求項5記載の発明は、前記カチオン性染料が、トリアリールメタン系カチオン染料、アゾ系カチオン染料、アゾメチン系カチオン染料、メチン系カチオン染料の少なくとも一つから選ばれることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物である。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物を硬化してなる着色画素を有することを特徴とするカラーフィルタである。
請求項7記載の発明は、請求項6に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置である。
請求項8記載の発明は、請求項6に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機EL表示装置である。
本発明によると、耐光性に優れたカラーフィルタ用含染料着色組成物、この着色組成物を用いたカラーフィルタ、及びこのカラーフィルタを備える液晶表示装置並びにELディスプレイが提供される。
本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタを示す断面図である。 図1に示すカラーフィルタを備える液晶表示装置の一例を示す断面図である。 図1に示すカラーフィルタを備えるELディスプレイの一例を示す断面図である。
以下、本発明の種々の実施形態について説明する。本発明に係るカラーフィルタ用着色組成物は有機溶剤に可溶な染料を少なくとも一種含有する。該染料は、特に限定しないが公知の有機溶剤に可溶な染料を使用することができる。
上記公知の染料としては、例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に記載の色素が挙げられる。
これらの染料としては、酸性染料、油溶性染料、分散染料、反応性染料、直接染料等が挙げられる。例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。具体的には、カラーインデックス番号で以下のものが挙げられる。C.I.SolventYellow2、3、7、12、13、14、16、18、19、21、25、25:1、27、28、29、30、33、34、36、42、43、44、47、56、62、72、73、77、79、81、82、83、83:1、88、89、90、93、94、96、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、141、143、145、146、157、160:1、161、162、163、167、169、172、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189、190、191、C.I.SolventOrange1、2、3、4、5、7、11、14、20、23、25、31、40:1、41、45、54、56、58、60、62、63、70、75、77、80、81、86、99、102、103、105、106、107、108、109、110、111、112、113、C.I.SolventRed1、2、3、4、8、16、17、18、19、23、24、25、26、27、30、33、35、41、43、45、48、49、52、68、69、72、73、83:1、84:1、89、90、90:1、91、92、106、109、110、118、119、122、124、125、127、130、132、135、141、143、145、146、149、150、151、155、160、161、164、164:1、165、166、168、169、172、175、179、180、181、182、195、196、197、198、207、208、210、212、214、215、218、222、223、225、227、229、230、233、234、235、236、238、239、240、241、242、243、244、245、247、248、C.I.SolventViolet2、8、9、11、13、14、21、21:1、26、31、36、37、38、45、46、47、48、49、50、51、55、56、57、58、59、60、61、C.I.SolventBlue2、3、4、5、7、18、25、26、35、36、37、38、43、44、45、48、51、58、59、59:1、63、64、67、68、69、70、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、124、128、129、132、136、137、138、139、143、C.I.SolventGreen1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35、C.I.Solvent Brown1、3、4、5、12、20、22、28、38、41、42、43、44、52、53、59、60、61、62、63、C.I.SolventBlack3、5、5:2、7、13、22、22:1、26、27、28、29、34、35、43、45、46、48、49、50、C.I.AcidRed6、11、26、60、88、111、186、215、C.I.AcidGreen25、27、C.I.AcidBlue22、25、40、78、92、113、129、167、230、C.I.AcidYellow17、23、25、36、38、42、44、72、78、C.I.BasicRed1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.BasicGreen3、4、C.I.BasicBlue3、7、9、11、17、41、66、C.I.BasicViolet1、3、18、39、66、C.I.BasicYellow11、23、25、28、41、C.I.DirectRed4、23、31、75、76、79、80、81、83、84、149、224、C.I.DirectGreen26、28、C.I.DirectBlue71、78、98、106、108、192、201、C.I.DirectViolet51、C.I.DirectYellow26、27、28、33、44、50、86、142、C.I.DirectOrange26、29、34、37、72、C.I.SulphurRed5、6、7、C.I.SulphurGreen2、3、6、C.I.SulphurBlue2、3、7、9、13、15、C.I.SulphurViolet2、3、4、C.I.SulphurYellow4、C.I.VatRed13、21、23、28、29、48、C.I.VatGreen3、5、8、C.I.VatBlue6、14、26、30、C.I.VatViolet1、3、9、13、15、16、C.I.VatYellow2、12、20、33、C.I.VatOrange2、5、11、15、18、20、C.I.AzoicCouplingComponent2、3、4、5、7、8、9、10、11、13、32、37、41、48、C.I.ReactiveRed8、22、46、120、C.I.ReactiveBlue1、2、7、19、C.I.ReactiveViolet2、4、C.I.ReactiveYellow1、2、4、14、16、C.I.ReactiveOrange1、4、7、13、16、20、C.I.DisperseRed4、11、54、55、58、65、73、127、129、141、196、210、229、354、356、C.I.DisperseBlue3、24、79、82、87、106、125、165、183、C.I.DisperseViolet1、6、12、26、27、28、C.I.DisperseYellow3、4、5、7、23、33、42、60、64、C.I.DisperseOrange13、29、30。これらの染料は、所望の分光スペクトルを発現させるために、単独で用いる事も、2種類以上組み合わせて用いる事もできる。
染料は、カチオン染料がより好ましく、これらカチオン染料のカウンターアニオンは公知の方法で変更しても良い。変更するアニオンとしてはいわゆる超強酸のアニオンである方がより高い耐熱性、耐光性が得られるため好ましい。カチオン染料の例としてはカラーインデックス番号で以下のものが挙げられる。C.I.Basic Red 1、2、12、13、14、16、18:1、21、22、26、27、28、29、36、46、54、56、58、78、C.I.Basic Yellow 1、11、12、13、14、15、24、28、29、30、37、40、41、45、46、51、57、62、67、C.I.Disperse Red 50、90、117、118、177、122,126、128、145,146、157、C.I.Disperse Yellow 5、8、22、27、50、56、74、84、88、114、119、160、164、182、184、187、203、227、221、C.I.Basic Green 4、5、8、10、C.I.Disperse Green 7、C.I.Basic Blue 、1、3、4、7、8、9、11、12、15、18:1、22、41、42、45、53、54、54:1、55、57、60、62、66、71、75、77、92、105、113、141、147、148、162、C.I.Disperse Blue 7、9、10、20、35、55、56、58、62、63、65、82、85、86、87、89、91、95、102、104、106、118、124、142、143、148、162、166、179、181、C.I.Violet 1、3、4、5、6、7、10、14、15、16、20、22、27、28、35、37、39、53、62、63、83などである。更に好ましくは、C.I.BasicRed1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.BasicGreen3、4、C.I.BasicBlue3、7、9、11、17、41、66、C.I.BasicViolet1、3、18、39、66、C.I.BasicYellow11、23、25、28、41などである。
着色組成物中における染料の重量濃度は、好ましくは0.1重量%〜20重量%、より好ましくは0.5重量%〜18重量%、更に好ましくは0.5重量%〜15重量%である。染料の濃度が0.1重量%未満では、カラーフィルタとして十分な色の着色画素を形成するためには、着色画素の膜厚を非常に厚くしなくてはならならず、画素形成が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点がある。また、20重量%を越えると、濃度が高すぎるため、染料が十分に溶解せず、結晶が析出する恐れがあり、さらに着色画素の形成のために着色組成物を基板上に塗布し、有機溶剤を乾燥する際にも、染料が析出する恐れがある。
本発明に係るカラーフィルタ用着色組成物は上記染料の他に、顔料を含むことができる。着色組成物中における顔料の重量濃度は、好ましくは0.1重量%〜50重量%、より好ましくは0.5重量%〜40重量%、更に好ましくは0.5重量%〜30重量%である。0.1重量%未満では、顔料濃度が薄いため、カラーフィルタとして十分な色の着色画素を形成するためには、着色画素の膜厚を非常に厚くしなくてはならないため、画素形成が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点があり、50重量%を越えると、顔料を分散化するための樹脂の量が少なくなり、不安定になり、顔料の凝集による増粘やコントラスト低下の原因となる。該顔料は、特に限定しないが公知の顔料を特に制限無く使用することができる。例えば、赤色顔料として、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、279等が挙げられるが、特にC.I.Pigment Red177、242、254が好適に用いられる。黄色顔料としては例えばC.I. PigmentYellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられるが、特にC.I. PigmentYellow138、139、150が好適に用いられる。橙色顔料としては例えばC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられるが、C.I.Pigment Orange36が好適に用いられる。緑色顔料としては、例えばC.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができるが、特にC.I.Pigment Green 7、36、58が好適に用いられる。青色顔料としては、例えばC.I. PigmentBlue15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられるが、特にC.I. PigmentBlue 15:3、15:6が好適に用いられる。また、紫色顔料として、C.I. PigmentViolet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が用いられるが、特にC.I.PigmentViolet 23が好適に用いられる。
また、無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
着色組成物に含まれる顔料は、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるため、微細化処理されていることが好ましく、また一次粒子径が小さいことが好ましい。顔料の一次粒子径は、顔料を透過型電子顕微鏡で撮り、その写真の画像解析を行い算出する。ここで言う一次粒子径は、個数粒度分布の積算曲線において積算量が全体の50%に相当する粒子径(円相当径)を表す。顔料の一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、更に好ましくは20nm以下である。また、一次粒子径は5nm以上であることが好ましい。顔料の一次粒子径が上限値より大きい場合には、液晶表示装置の黒表示時の視認性が悪い。また、下限値より小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。その結果、カラーフィルタの輝度、色特性が悪化する。
顔料の一次粒子径を制御する手段としては、顔料を機械的に粉砕して一次粒子径を制御する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の一次粒子径の顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。以下にそれぞれの方法について説明するが、本発明に用いる着色組成物に含まれる顔料の一次粒子径の制御方法は、上記方法のいずれを用いてもよい。
磨砕法は、顔料をボールミル、サンドミルまたはニーダーなどを用いて、食塩等の水溶性の無機塩などの磨砕剤およびそれを溶解しない水溶性有機溶剤とともに機械的に混練(以下、この処理をソルトミリングと呼ぶ)した後、無機塩と有機溶剤を水洗除去し、乾燥することにより所望の一次粒子径の顔料を得る方法である。ただし、ソルトミリング処理により、顔料が結晶成長する場合があるため、処理時に上記有機溶剤に少なくとも一部溶解する固形の樹脂や顔料分散剤を加えて、結晶成長を防ぐ方法が有効である。
顔料と無機塩の比率は、無機塩の比率が多くなると顔料の微細化効率は良くなるが、顔料の処理量が少なくなるために生産性が低下する。一般的には、顔料が1重量部に対して無機塩を1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部用いるのが良い。また、上記水溶性有機溶剤は、顔料と無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、顔料と無機塩との配合比にもよるが、通常は顔料1重量部に対して0.5〜30重量部の量で用いられる。
上記磨砕法についてさらに具体的には、顔料と水溶性の無機塩の混合物に湿潤剤として少量の水溶性有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過、水洗して乾燥することにより、所望の一次粒子径の顔料を得ることができる。
析出法は、顔料を適当な良溶媒に溶解させたのち、貧溶媒と混ぜ合わせて、所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法で、溶媒の種類や量、析出温度、析出速度などにより一次粒子径の大きさが制御できる。一般に顔料は溶媒に溶けにくいため、使用できる溶媒は限
られるが、例として濃硫酸、ポリリン酸、クロロスルホン酸などの強酸性溶媒または液体アンモニア、ナトリウムメチラートのジメチルホルムアミド溶液などの塩基性溶媒などが知られている。
前記析出法の代表例としては、酸性溶剤に顔料を溶解させた溶液を他の溶媒中に注入し、再析出させて微細粒子を得るアシッドペースティング法がある。工業的にはコストの観点から硫酸溶液を水に注入する方法が一般的である。硫酸濃度は特に限定されないが、95〜100重量%が好ましい。顔料に対する硫酸の使用量は特に限定されないが、少ないと溶液粘度が高くハンドリングが悪くなり、逆に多すぎると顔料の処理効率が低下するため、顔料に対して3〜10重量倍の硫酸を用いることが好ましい。なお、顔料は完全溶解している必要はない。溶解時の温度は0〜50℃が好ましく、これ以下では硫酸が凍結する恐れがあり、かつ溶解度も低くなる。高温すぎると副反応が起こりやすくなる。注入される水の温度は1〜60℃が好ましく、この温度以上で注入を始めると硫酸の溶解熱で沸騰して作業が危険である。これ以下の温度では凍結してしまう。注入にかける時間は顔料1重量部に対して0.1〜30分が好ましい。時間が長くなるほど一次粒子径は大きくなる傾向がある。
顔料の一次粒子径の制御は、アシッドペースティング法などの析出法とソルトミリング法などの磨砕法を組み合わせた手法を選択することにより、顔料の整粒度合を考慮しつつ行うことができ、さらにはこのとき分散体としての流動性も確保できることからより好ましい。ソルトミリング時あるいはアシッドペースティング時には、一次粒子径制御に伴う顔料の凝集を防ぐために、下記に示す色素誘導体や樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を併用することもできる。また、一次粒子径制御を2種類以上の顔料を共存させた形で行うことにより、単独では分散が困難な顔料であっても安定な分散体として仕上げることができる。
特殊な析出法としてロイコ法がある。フラバントロン系、ペリノン系、ペリレン系、インダントロン系等の建染染料系顔料は、アルカリ性ハイドロサルファイトで還元すると、キノン基がハイドロキノンのナトリウム塩(ロイコ化合物)になり水溶性になる。この水溶液に適当な酸化剤を加えて酸化することにより、水に不溶性の一次粒子径の小さな顔料を析出させることができる。
合成析出法は、顔料を合成すると同時に所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法である。しかし、生成した微細顔料を溶媒中から取り出す場合、顔料粒子が凝集して大きな二次粒子になっていないと一般的な分離法である濾過が困難になるため、通常、二次凝集が起きやすい水系で合成されるアゾ系等の顔料に適用されている。
さらに、顔料の一次粒子径を制御する手段として、顔料を高速のサンドミル等で長時間分散すること(顔料を乾式粉砕する、いわゆるドライミリング法)により、顔料の一次粒子径を小さくすると同時に分散することも可能である。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含まれる顔料担体としてのバインダー樹脂は、顔料を分散させるものであり、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
バインダー樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、30〜700重量部、
好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、透明樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上、好ましくは95%以上の樹脂である。バインダー樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独または2種以上混合して用いることができる。
バインダー樹脂は着色組成物中の着色材料の合計100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、バインダー樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、バインダー樹脂は、着色組成物中の顔料の合計100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、バインダー樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料の合計100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。中でも透明性の観点からアクリル系樹脂が好適に用いられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
バインダー樹脂を生成するモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して用いることができる。
本発明に係るバインダー樹脂はグリコール構造を持つ単位構造を含むことを特徴としている。該単位構造をバインダー樹脂に組み込むためには、グリコール構造を含有するモノマーを用いてバインダー樹脂を生成する。本発明に係るバインダー樹脂を合成するのに用いるグリコール構造を持つモノマーは、特に制限はしないが、公知のものを用いることができる。例えば、グリセロールアクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、などが挙げられる。或いは、バインダー樹脂にエポキシ基を含有するモノマーを使用して、エポキシ基をバインダー樹脂に導入し、該エポキシ基を加水開環することでグリコール構造を添加しても良い。エポキシ基を含有するモノマーは、特に制限なく、公知のものを使用できる。公知のモノマー例えば、グリシジルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル アクリレートグリシジルエーテルなどが挙げられる。
該単位構造はバインダー樹脂中に5重量%〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは、10重量%〜40重量%、さらに好ましくは20重量%〜40重量%である。5重量%未満では耐光性を向上させるのに十分な効果を発揮できず、50重量%を超えると水酸基の量が多くなりすぎるため、その他のアクリル樹脂などのバインダー樹脂と混合したときに相分離してしまう可能性がある。
さらに、クミルフェノールに由来する骨格を含む単位構造を含むと好ましい。クミルフェノール由来の骨格をバインダー樹脂中に組み込む方法は特に制限はないが、クミルフェノール骨格を持つアクリレートモノマーまたは(メタ)アクリレートモノマーを用いることが最も簡便な方法である。クミルフェノール由来の骨格を有するモノマーとしては、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートなどが挙げられるがこれに限定するものではない。該単位構造は、耐光性の向上に寄与するだけでなく、前述のエポキシ基またはグリコール構造を含む単位構造をバインダー樹脂が含有するときに生じる相溶性の悪さを低減するために働き、さらには顔料を併用する場合の顔料の分散状態を安定に保つ働きをもつ。
該単位構造はバインダー樹脂中に好ましくは5重量%〜40重量%、より好ましくは、10重量%〜30重量%である。5重量%未満では、前述の機能が十分に発揮させることができない。40重量%を超えると、該単位構造によるガラス移転点(Tg)の低下によってパターン形状が悪化する原因となる。
さらに、バインダー樹脂中に重合性二重結合を含むと好ましい。該重合性二重結合は特に制限はないが、その導入方法としては次のような方法が挙げるが、これに限定するものではない。バインダー樹脂中の水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの反応性の置換基にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を導入する。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。なお、二重結合を導入する際に用いる水酸基には、前述のグリコール構造に由来する水酸基や、クミルフェノール構造に由来する水酸基を用いることもできる。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗
布するために1種または2種類以上の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤は、着色組成物を塗布する際の塗布性、乾燥性、膜厚均一性、濡れ性などの観点から粘度、表面張力、沸点、溶解度パラメータなどを考慮して選択される。例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、1-エトキシ-2-プロピルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸メチル、エチルベンゼン、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤などが挙げられるが、これらに限らない。有機溶剤は、着色組成物中の固形分の合計100重量部に対して、100〜2000重量部、好ましくは400〜1000重量部の量で用いることができる。
本発明に係わる光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤であれば特に制限無く使用することができる。例としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジンなどのトリアジン系化合物、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミンなどのオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィン系化合物、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノンなどのキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物などが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤は、着色組成物中の色材の合計100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるか、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香
酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの含有量は、着色組成物中の色材の合計100重量部に対して、0.05〜100重量部が好ましく、好ましくは0.1〜60重量部の量で用いることができる。
光重合性化合物としては、公知の光重合性化合物を特に制限なく、用いることができる。光重合性化合物としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有し、常圧下での沸点が100℃以上である化合物が好ましい。(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい。感度と高硬化の観点から、前記光重合性化合物が多官能(メタ)アクリル化合物であることが更に好ましい。光重合性化合物の例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化したものなどが挙げられる。
本実施形態に係るカラーフィルタ着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために、貯蔵安定剤を含有させることができ、また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤などの密着向上剤を含有させることもできる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類などが挙げられる。
本発明の第二の実施形態は、第一の実施形態に係る着色組成物を硬化してなる着色画素を持つことを特徴とするカラーフィルタである。
本実施形態に係るカラーフィルタは、必要に応じて赤色画素、緑色画素及び青色画素を含み、更に必要に応じて黄色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素、及び透明画素等の他の色の画素を含んでいてもよい。本発明に関わる着色画素以外は、色顔料を含有する、色染料を含有する、もしくは、色顔料及び色染料の両方を含有する、公知の着色組成物を用いて形成して構わない。
本実施形態に係るカラーフィルタにおいて、着色画素は、好ましくは0.1μm〜5.0μm、より好ましくは0.5μm〜4.0μm、更に好ましくは1.0μm〜3.5μmの膜厚を有する。すなわち、本発明に係わる青色画素をフォトリソグラフィー法で形成する場合、膜厚が0.1μm未満であると画素の形成が困難になり、また、膜厚が5μmより厚くなると、組成物を塗膜として塗布形成するのが困難となるためである。
本実施形態に係るカラーフィルタは、透明基板上に、上述したカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色塗膜からなる着色画素を具備するものである。即ち、図1に示すように、カラーフィルタは、ガラス等の透明基板1上に、遮光膜であるブラックマトリクス2、及び着色画素3(R,G,B)を備えている。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、本発明に係わるカラーフィルタを液晶表示装置に組み込む場合、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
本発明の第三の実施形態は上述の着色組成物を透明基板上に硬化して着色画素を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
各色着色画素の形成は、例えば、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等により行うことができる。
印刷法による各色着色画素の形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料に
よるインキ粘度の調整を行うこともできる。
インクジェット法を用いたカラーフィルタの製造方法として、ガラス基板上にブラックマトリクスを形成し、インクジェット印刷装置を用いてブラックマトリクスの開口部にインクを付与して着色部を形成する方法が提案されている。更に、この方法において、インクが所定の開口部に正確に充填され、隣接する着色部間でインクが混じり合う混色が発生しないように、ブラックマトリクスを構成する材料にフッ素化合物やケイ素化合物等の撥水材を含ませてもよい。
インクジェットに用いる装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式がある。また、インクジェット装置におけるインクの粒子化周波数は、5〜100KHz程度である。また、インクジェット装置におけるノズル径は5〜80μm程度が望ましい。また、インクジェット装置はヘッドを複数個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いることが出来る。
インクジェット法により着色部パターンを形成した後は、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用して、加熱処理し、着色層パターンを形成する。インクジェット法によれば、複数色のインキを同時に塗布することが出来ることから、怪異なプロセスで安価にカラーフィルタを製造することが可能である。
フォトリソグラフィー法により各色着色画素を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するパターン露光用フォトマスクを介して膜に紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。なお、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて現像後に加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
着色組成物の現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法などを適用することができる。
なお、紫外線露光時の膜の感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂などを塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色着色画素を透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。
転写法は、剥離性の転写ベースシートあるいは転写胴の表面に、あらかじめ着色画素を形成しておき、この着色画素を所望の透明基板に転写させる方法である。透明基板あるい
は反射基板上に各色着色画素を形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜を用いることもできる。
また、本発明に係わるカラーフィルタを液晶表示装置に組み込む場合、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に着色画素を形成することもできる。TFT基板上に着色画素を形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
本実施形態に係るカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜などを形成して構わない。
本実施形態に係るカラーフィルタは、液晶表示装置、有機EL素子、有機ELディスプレイに好適に用いることが出来る。
本発明の第四の実施形態に係る液晶表示装置は、上述したカラーフィルタを具備していることを特徴とする。図2は、本実施形態に係る液晶表示装置の概略を示す断面図である。図2において、液晶表示装置4は、離間対向して配置された一対の透明基板5および6を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。第1の透明基板5の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ7が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層8が形成されている。透明電極層8の上には、配向層9が設けられている。また、透明基板5の外面には、位相差フィルムを構成に含む偏光板10が形成されている。
他方、第2の透明基板6の内面には、カラーフィルタ11が形成されている。カラーフィルタ11を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層12が形成され、透明電極層12を覆って配向層13が設けられている。また、透明基板6の外面には、偏光板14が形成されている。なお、偏光板10の下方には、三波長ランプ15を備えたバックライトユニット16が設けられている。
本発明の第五の実施形態に係る有機EL表示装置は、以上説明したカラーフィルタを備えるものである。有機EL表示装置の構造として、図3に示すような3つの型がある。
第1の型は、図3(a)に示すように、透明基板21上に形成したTFTアレイ22に電気的に接続された金属電極23と、対向する封止基板24に形成した透明電極25とで発光層(有機EL層)26を挟持し、両電極間に電圧を掛けた際に発光層から発せられた光を封止基板側から取り出すトップエミッション型である。
第2の型は、図3(b)、(c)に示すように、金属電極23と透明電極25の位置を入れ替え、TFTアレイ22側から光を取り出すボトムエミッション型である。
また、光を取り出す方式として、以下の3つの方式が提案されている。すなわち、第1の方式は、発光層26から発せられる光を白色光としそのまま白色光を取り出す方式であり、第2の方式は、発光層26にて青色光を発光させ、この青色光をそのまま取り出すとともに、その青色発光光の一部を発光層26上に設けたG(緑)変換層、及び、R(赤)変換層(図示せず)に入射させ、G色の光と、R色の光をも取り出す方式であり、第3の方式は、R(赤)の発光を行う発光層、G(緑)の発光を行う発光層、B(青)の発光を行う発光層を各々形成し、3色の発光光を取り出す方式である。
有機EL表示装置の表示画面をカラー化するにあたり、白色光を取り出す第1の方式で
は、取り出した光をR,G,Bの着色光透過層を有するカラーフィルタに通すことで所望する波長域の光(色光)を得ることが可能になる。また、上記変換層を用いる第2の方式、及び3色の発光層を形成する第3の方式では、各色の発光を制御することで表示画面をカラー化は一応は可能となる。しかし、かかる方式で得られる光の分光特性は、色表示のために所望される色光の分光特性とは異なるものとなっている。そのため、かかる方式で取り出された色光においてもカラーフィルタに通し、所望する分光特性となった色光とする必要がある。
以下に、本発明の実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PB15:6」は「C.I.Pigment Blue 23」を、「PV23」は「C.I.Pigment Violet 23」を表す。
a)アクリル樹脂溶液の製造
(グリコール構造を持つアクリル樹脂の合成)
以下に、実施例及び比較例で用いたアクリル樹脂の合成と該アクリル樹脂溶液の調製について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
反応容器に有機溶剤(S−1:シクロヘキサノン)370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸(MAA)11.0部、ベンジルメタクリレート(BzMA)53.0部、グリコールメタクリレート(GLM)36.0部、および2,2’-アゾビスイソブチロニトリル12.0部の混合物を1時間かけて滴下し、重合反応を行った。
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル3.0部を有機溶剤(S−1)50部に溶解させた溶液を加え、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂(P−1)の溶液を得た。アクリル樹脂(P−1)の重量平均分子量は、約20000であった。
前記アクリル樹脂(P−1)の溶液を室温まで冷却した後、該溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、前記アクリル樹脂(P−1)の溶液に不揮発分が20%になるように有機溶剤(S−1)を添加して、アクリル樹脂(P−1)の溶液を調製した。
使用するアクリルモノマーの量、種類の違いを除いて、同様の方法でアクリル樹脂(P−2)から(P−4)、及び(P−6)を合成した。アクリルモノマーの種類と比率、及び測定した重量平均分子量と酸価、を合せて下記表1に示す。なお、分子量の制御のために、4,4´−アゾビスイソブチロニトリルの量は適宜調整した。
さらに、前記有機溶剤(S−1)をプロピレングリコールモノメチルアセテート(S−2:PGMAc)に変更し、他はアクリル樹脂(P−2)、(P−4)、(P−6)と同様の材料、方法でアクリル樹脂(P−7)、(P−8)、(P−9)を合成した。
(グリコール構造と重合性二重結合をもつアクリル樹脂の合成)
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸(MAA)20.9部、ベンジルメタクリレート(BzMA)20.9部、グリコールメタクリレート(GLM)35.8部、パラクミルフェノー
ルエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート(M110:東亞合成社製 「アロニックスM110」)22.4部および2,2’-アゾビスイソブチロニトリル12.0部の混合物を1時間かけて滴下し、重合反応を行った。
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル3.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させた溶液を加え、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。
次に該アクリル樹脂の溶液を40℃に調整し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製「カレンズMOI」30部を2時間かけて滴下して反応させた。滴下完了後、40℃に保ったまま1時間攪拌してアクリル樹脂(P−5)を合成した。
Figure 2011257590
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
以下に染料及び顔料の製造例を示すが、それら製造例に使用した色素誘導体を下記表2に示す。
Figure 2011257590
b)染料の製造
[製造例1]
東京化成工業社製C.I.Basic Blue 7(CI−42595)5.14部を水500部に溶解し、攪拌しながら1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム4.60部を加え、室温で1時間攪拌した。氷冷し、沈殿を濾取し、水で洗浄した。ケーキを風乾したのち、減圧乾燥して、下記構造式で表される染料DB−1、6.11部を得た。
Figure 2011257590
c)顔料の製造
[着色組成物]
カラーフィルタ作製に用いる着色組成物を着色するための顔料には以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、およびC.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)C.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」;Y−1)
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 58(大日本インキ化学工業(株)「PhthalocyanineGreen A110」;G−1)、およびC.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」;Y−1)
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)、C.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
[製造例2]
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB-CF」)100部、色素誘導体(D-1)10部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、
水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R-1)を得た。得られた顔料の平均粒子径は25nmであった。
[製造例3]
アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(D-2)8部、粉砕した食塩700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R-2)を得た。得られた顔料の平均粒子径は30nmであった。
[製造例4]
青色顔料(C.I.PigmentBlue15:6、東洋インキ製造社製「LIONOLBLUEES」)200部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、198部のソルトミリング処理顔料(青色顔料B−1)を得た。
d)顔料分散体の製造
下記表3に示す組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して、顔料分散体を得た。下記表3には各顔料分散体中の顔料の含有率も併記した。
PR−1はPR254顔料の分散ペーストであり、PR−2はPR177顔料の分散ペーストである。PG−1はPG58顔料とPY150顔料を本発明に係るアクリル樹脂(P−4)の溶液で共分散した分散ペーストであり、PG−2はPG58顔料とPY150顔料を本発明の範囲外のアクリル樹脂(P−6)の溶液で共分散した分散ペーストである。PB−1はPB15:6顔料を本発明に係るアクリル樹脂(P−4)の溶液で分散した分散ペーストであり、PB−2はPB15:6顔料を本発明の範囲外のアクリル樹脂(P−6)の溶液で分散した分散ペーストである。
Figure 2011257590
e)着色組成物の調製
[実施例1]
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して青色着色組成物を得た。
染料(DB−1) 0.9部
アクリル樹脂(P−1)の溶液 34.2部
ジペンタエリストトールヘキサアクリレート 6.8部
(東亞合成社製 アロニックスM402)
光重合開始剤(I−1) 3.0部
(チバガイギー社製「イルガキュア−907)
光増感剤(日本化薬社製「カヤキュアDETX-S」) 0.4部
有機溶剤(S−1;シクロヘキサノン) 54.6部
[実施例、比較例、製造例5]
染料、顔料分散体、樹脂、光重合開始剤、有機溶剤に、下記表4に記載のものを用いた以
外は、実施例1と同様にして着色組成物を得た。なお、表4では、実施例1に係る着色組成物も併せて示した。
Figure 2011257590
DY−1:C.I.Basic Yellow 57
有機溶剤(S−2:PGMAc)
実施例1から実施例3は青色染料を含む例であり、実施例1および実施例2はバインダー樹脂にグリコール構造を持つ樹脂を使用した例である。実施例3はグリコール構造、パラクミルフェノール由来構造を含む例である。実施例4はグリコール構造、パラクミルフェノール由来構造、重合性二重結合を含む例である。実施例5から実施例7は色材として、青色染料と青色顔料の両方を含む例であり、実施例5はグリコール構造、パラクミルフェノール構造を持つ樹脂を使用した例〔アクリル樹脂(P−3)〕であり、実施例6はさらに二重結合を導入したアクリル樹脂(P−5)を用いた例である。実施例7は本発明に係る樹脂〔グリコール構造とパラクミルフェノール由来構造を持つアクリル樹脂(P−4)〕と本発明の範囲外の樹脂〔青色顔料分散体に含まれるアクリル樹脂(P−6)〕の両方を含むが、本発明の範囲外の樹脂が少ない例である。実施例8及び実施例9は色材として緑色顔料、黄色顔料、及び黄色染料を使用した例であり、実施例8はグリコール構造をもつ樹脂を使用した例であり、実施例9はグリコール構造とパラクミルフェノール由来構造をもつ樹脂を使用した例である。
比較例1は色材として青色染料を使用しているが、本発明の範囲外の樹脂を使用した例である。比較例2は色材として青色染料と青色顔料を使用しているが、バインダー樹脂には、本発明の範囲外の樹脂を使用した例である。比較例3は色材として緑色顔料、黄色顔料、黄色染料を使用し、バインダー樹脂には本発明の範囲外の樹脂を使用した例である。
f)各種特性の測定
[色度及び透過率]
実施例および比較例の着色組成物を、硬化後の膜厚が2μmとなるように、スピンコート法によりガラス基板に塗布し、乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて紫外線で露光した。その後、この基板を180℃で20分間熱処理して青色着色膜を得た。 この青色着色膜について、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて、分光透過率を測定し、C光源での色度(Y,x,y)を計算した。
[着色組成物の塗膜の作製]
実施例および比較例の着色組成物をスピンコート法によりガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で1分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、紫外線を全面露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。その後、クリーンオーブン中で、180℃で20分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。乾燥塗膜の膜厚は、いずれも2.0μmであった。
[耐光性評価]
実施例および比較例の着色組成物の耐熱性を以下のようにして評価した。すなわち、着色組成物を上述の方法で塗膜を作製し、酸素遮断層としてポリビニルアルコール(PVA:クラレ社製 「クラレポバール PVA235」)を膜厚2.0μmでコートした。具体的な方法は該PVA粉末を6.0重量%になるように純水に投入する。90℃で1時間、攪拌しながら加熱して十分に溶解させる。その後、室温まで冷却してPVA水溶液を得る。該PVA水溶液を着色塗膜状にスピンコートし、90℃のホットプレートで2分間乾燥させて、PVA膜付着色塗膜を得た。得られたPVA着色塗膜の耐光性試験前後での色度を前述の方法で測定し、ベーク前後の色差ΔEab(C)を計算した。色差が5.0未満であれば○、5.0以上8.0未満であれば△、8.0以上であれば×とした。この結果を表5に記載する。耐光性試験は、キセノンウェザーメータ(株式会社東洋精機製作所製、Ci−35ウエザーオメータ照度0.5mW(340nm))で50時間及び100時間暴露した。暴露する際に、紫外線カットフィルタ(L−40;旭テクノグラス社製)を通して暴露する場合と紫外線カットフィルタを使用しない場合の2通りで評価を行った。
実施例1乃至実施例9はいずれも良好な耐光性を示した。特に重合性二重結合をもつバインダー樹脂を使用した実施例6、実施例9が良好な耐光性を示した。実施例7では、青色顔料分散体(PB−2)に由来する本発明の範囲外のバインダー樹脂〔アクリル樹脂(P−6)〕を含むが、本発明に係るバインダー樹脂〔アクリル樹脂(P−4)〕も含んでいるため、十分に良好な耐光性を示した。比較例1乃至比較例3は本発明に係るバインダー樹脂を含まないため、耐光性は悪い結果であった。
Figure 2011257590
[液晶パネルの作製]
実施例6に係る青色着色組成物、実施例8にかかる緑色着色組成物及び製造例5の赤色着色組成物を用いて得た着色画素を有するカラーフィルタを作成し、その上に透明ITO電極層を形成し、更にその上にポリイミド配向層を形成した。このガラス基板の他方の表面に偏光板を形成した。他方、別の(第2の)ガラス基板の一方の表面にTFTアレイおよび画素電極を形成し、他方の表面に偏光板を形成した。
こうして準備された2つのガラス基板を電極層同士が対面するよう対向させ、スペーサビーズを用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用開口部を残すように周囲を封止剤で封止した。開口部から液晶組成物を注入し、開口部を封止した。このようにして作製した液晶表示装置をバックライトユニットと組み合わせて液晶パネルを得た。得られた液晶パネルは、優れた耐光性を示した。
[ELパネルの作製]
実施例3に係る青色着色組成物、実施例8に係る緑色着色組成物及び製造例5の赤色着色組成物を用いて得た着色画素を有するカラーフィルタを作成し、これを用いてELパネルを作製した。得られたELパネルは、優れた耐光性を示した。
1,5,6,21…透明基板、2…ブラックマトリクス、3…着色画素、3B…青色画素、3R…赤色画素、3G…緑色画素、4…液晶表示装置、7,22…TFTアレイ、8,12…透明電極層、9,13…配向層、10,14…偏光板、11…カラーフィルタ、15…三波長ランプ、16…バックライトユニット、23…金属電極、24…封止基板、25…透明電極、26…発光層。

Claims (8)

  1. (a)色材、(b)バインダー樹脂、(c)光重合開始剤、(d)光重合性化合物(e)有機溶剤からなるカラーフィルタ用着色組成物において、(a)が少なくとも染料を含有し、且つ(b)がグリコール構造を単位構造として持つことを特徴とするカラーフィルタ用含染料着色組成物。
  2. (b)がクミルフェノール由来の構造を含む単位構造を持つことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物。
  3. (b)が二重結合を含む単位構造をもつことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物。
  4. 染料がカチオン性染料であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物。
  5. カチオン性染料がトリアリールメタン系カチオン染料、アゾ系カチオン染料、アゾメチン系カチオン染料、メチン系カチオン染料の少なくとも一つから選ばれることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタ用含染料着色組成物を硬化してなる着色画素を持つことを特徴とするカラーフィルタ。
  7. 請求項6に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 請求項6に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機EL表示装置。
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