JP2011254773A - 乳酸菌の菌株及びこれを利用したアレルギー抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラクトバチルス プランタラム FG4-4(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)。また、ラクトバチルス プランタラム FG4-4(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体又はその培養物をアレルギー抑制剤の有効成分とする。
【選択図】なし
Description
[1] ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)。
[2] ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を含有する、飲食品、医薬品、外用剤及び飼料から選ばれる組成物。
[3] ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を有効成分として含有することを特徴とするアレルギー抑制剤。
[4] アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症、又は喘息の症状の予防・改善のために用いられるものである、[3]記載のアレルギー抑制剤。
(a)肉眼的特徴
MRS寒天培地上で円形からやや不規則、半球形、平滑、乳白色
(b)顕微鏡的特徴
短桿菌で運動性を持たない。芽胞は形成しない。
(c)生育温度
30〜37℃で良好に発育する。
(d)微生物分類学的位置
本菌株は、16SリボゾームDNAの塩基配列の相同性から、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する菌株と同定された。
本発明の組成物を飲食品とする場合は、例えば発酵乳、乳酸菌飲料、発酵野菜飲料、発酵果実飲料、発酵豆乳飲料等を挙げることができる。このような発酵飲料は、発酵用原料を上記FG4-4株で発酵して得ることもできる。この場合、発酵乳、乳酸菌飲料の乳原料としては、例えば、牛乳、乳清、発酵乳、乳酸菌飲料、脱脂乳、脱脂粉乳、調製粉乳、全脂粉乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳等が挙げられる。発酵野菜飲料、発酵果実飲料の野菜原料としては、例えば、ニンジン、カボチャ、サツマイモ、ピーマン、セロリ、トマト、ホウレンソウ、コーン、ビート、ケール、パセリ、キャベツ、ブロッコリー等が挙げられる。果実原料としては、例えば、リンゴ、ブドウ、オレンジ、ミカン、モモ、バナナ、イチゴ、スイカ等が挙げられる。発酵豆乳飲料の豆乳原料としては、大豆原料から常法に従い調製したもののほか、市販のものを用いることができる。
本発明の組成物を医薬品とする場合は、上記FG4-4株の菌体、その培養物又はこれらの加工物と共に製剤学的に許容される、一般的な医薬品用の製剤担体を用いて製剤化することができる。投与形態として各種の形態が選択できるが、好適には経口投与製剤が挙げられる。経口投与製剤の代表的なものとしては、錠剤、液剤、丸剤、散剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、ゼリー剤等が挙げられる。
本発明の組成物を化粧品、外用医薬品、医薬部外品等の外用剤とする場合は、上記FG4-4株の菌体、その培養物又はこれらの加工物と共に製剤学的に許容される、一般的な外用剤用の製剤担体を用いて調製することができる。外用剤の形態としては、化粧用クリーム類、乳液、化粧水、パック剤、スキンミルク(乳剤)、ジェル剤、パウダー、リップクリーム、口紅、アンダーメークアップ、ファンデーション、サンケア、浴用剤、ボディシャンプー、ボディリンス、石鹸、クレンジングフォーム、軟膏、貼付剤、ゼリー剤、エアゾール剤等を挙げることができる。
本発明の組成物を飼料とする場合は、例えば、上記FG4-4株の菌体、その培養物又はこれらの加工物を家畜、ペット動物、養殖魚、観賞魚用飼料に含有せしめた、経口用製剤の形態(水溶液、乳化液、穎粒、粉末、カプセル、錠剤等)を挙げることができる。
阿波晩茶から乳酸菌29菌株を分離し、糖類発酵性試験によるグルーピングと、16SrDNAによる同定を行った。その結果、糖類発酵性が異なる数グループに分類されたがいずれもラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌であった。
2gのD-(+)-グルコースと、10gのペプトン(ミクニ化学工業株式会社〉と、0.8gのLab-Lemco-Powder(関東化学株式会社)と、0.4gのExtract Yeast Dried(ナカライテスク株式会社)と、0.2gのKH2PO4と、0.2gのクエン酸三アンモニウムと、0.02gのMgSO4・7H2Oと、0.5gの酢酸ナトリウム三水和物(ナカライテスク株式会社)と、0.005gのMnSO4・4H20と、0.1mLのTween 80(ナカライテスク株式会社)を、蒸留水100mLに溶解させ、121℃で15分間オートクレーブにより熱処理して用いた。
乳酸菌29菌株をそれぞれMRS液体培地で培養し、遠心分離により集菌した後、リン酸緩衝液(PBS)により菌体を洗浄し、再度遠心分離により菌体を回収し、凍結乾燥した。そして使用時には、各凍結乾燥菌体をPBSで1mg/mLになるよう懸濁し、121℃で15分間オートクレーブにより滅菌した。これを動物細胞用培地であるRPMI1640(SIGMA社製)で20μg/mLに希釈をして、以下の試験に用いた。なお、RPMI 1640は全て100IU/mLぺニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンを添加したものを用いた(以下、「RPMIAb+」という。)。
BALB/c雄マウス7週齢(SLC社製)を用いた。
マウスよりパイエル板を無菌的に摘出し、Joklik modified MEM(SIGMA社製)で洗浄した。洗浄したパイエル板と、Dispase(1.10 units/mg;GIBCO社製)をJoklik modified MEMで1.10mg/m1に調製したDispase溶液とを、37℃で40分間攪拌しながら反応させた。反応後、上清を回収し再びDispase溶液を加え反応させた。これを5〜6回行い、回収した上清から遠心分離(1500rpm、10min)により細胞を回収した。得られた細胞を10%牛胎児血清(FBS)を含むRPMI Ab+で5×106 cell/mLになるように調製した。その後、上記乳酸菌の菌液100μLと共に100μLずつ平底96穴プレート(FALCON社製)のウェルに加え、37℃、5%CO2下でパイエル板細胞培養を行った。
各細胞培養上清中のIL−12量をサンドイッチELISA法にて測定した。
パイエル板細胞におけるIL−12誘導能はFG4-4株が最も高く、次いでFG1-2株、FG2-2株、FG6-3株が高い誘導能を示した(図1A)。脾臓細胞におけるIL−12誘導能はFG4-4株が最も高く、次いでFG1-3株、FG4-2株が高い誘導能を示した(図1B)。
上記試験例1のスクリーニングで得られたラクトバチルス プランタラム FG4-4(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)(FG4-4株)について、そのアレルギー抑制の作用効果を、アトピー性皮膚炎誘発マウスにて検証した。具体的には以下のようにして検証を行った。
MRS液体培地液体培地を用いた。37℃2日間培養し、遠心分離により集菌した後、リン酸緩衝液(PBS)で洗浄後、再度遠心分離により菌体を回収し、凍結乾燥を行い、121℃で15分間オートクレーブにより熱処理して用いた。
NC/Nga雄マウス6週齢(日本チャールス・リバー社製)を使用した。マウスは試験期間を通じてSPF環境(無菌特殊環境)下にて飼育を行った。
マウスは3群に分けた。すなわち、FG4-4株の菌体を0.05質量%含有したMM−3餌(船橋ファーム社製)を与える群(6匹)(本明細書では、「0.05%群」という。)、0.5質量%含有したMM−3餌を与える群(6匹)(本明細書では、「0.5%群」という。)、FG4-4株の菌体を含有していないMM−3餌を与える群(6匹)(本明細書では、「cont群」という。)の3群に分けた。FG4-4株含有餌及び不含餌投与開始後15日目に、5%Picryl Chloride溶液を両耳に15μLずつ塗布して初回免疫し、その4日後から連続免疫として1%Picryl Chloride溶液を両耳に15μLずつ週1回塗布した。経時的に皮膚スコア、耳介の肥厚を測定し、さらに血中IgE測定のために採血を行った。連続免疫を10回行った後、89日目に解剖を行いパイエル板細胞及び脾臓細胞を調製し、試験に用いた。
皮膚症状及び肥厚の測定はPicryl Chloride溶液を塗布するごとにその塗布直前に行った。皮膚症状は発赤・出血、浮腫、脱毛・皮膚欠損、乾燥、発疹の5項目について無症状、軽度、中程度、高度の4段階に分類し、それぞれ0、1、2、3点とスコアリングしてその合計点を指標とした。耳介の肥厚は「クーラントプルーフマイクロメータ」(商品名、株式会社ミツトヨ社製)を用いて測定した。
パイエル板細胞は、上記試験例1と同様にしてDispase処理法により調製した。具体的には、解剖後のマウスの小腸より無菌的にパイエル板を摘出し、1mg/m1のDispase(1.10 units/mg;GIBCO社製)を含む5%牛胎児血清(FBS)含有Joklik modified MEM(SIGMA社製)にて細胞を分離し、1%の「Antibiotic antimycotic solution(100×)」(商品名、SIGMA社製)及び20%のFBSを含有するRPMI 1640培地で懸濁後、5×106 cell/mLに調製し、単細胞浮遊液とした。
経時的に採血したマウス血中のIgE量、並びに、解剖後に調製した各細胞培養上清中のTh1型サイトカインであるIL−12及びIFN−γの産生量、Th2型サイトカインであるIL−4、IL−10、及びIL−17の産生量、及びIgE産生量を、サンドイッチELISA法にて測定した。
血中総IgE量、皮膚症状スコア、耳介部の肥厚及び細胞培養上清中の各種サイトカイン及びIgE産生能のcont群と試験群との差の検定にはスチューデントのt検定を用いた。どの検定においても、p<0.05の場合に有意差有りと判定した。
皮膚スコア、耳介部の肥厚、及び血中総IgE量の経時的変化について、以下のような結果が得られた。
試験開始89日目に解剖して調製したパイエル板細胞のIgE及び各種サイトカイン産生能について、以下のような結果が得られた。
実験開始89日目に解剖して調製した脾臓細胞のIgE及び各種サイトカイン産生能について、以下のような結果が得られた。
FG4-4株投与群(0.05%群及び0.5%群)の脾臓及びパイエル板細胞においてIgE産生能は有意に抑制され、Th1型サイトカイン(IL−12及びIFN−γ)産生能は有意に増加した。さらにパイエル板細胞においてTh2型サイトカイン(IL−4)産生能の有意な減少が認められた。また、FG4-4株投与両群の脾臓及びパイエル板細胞においてIL−10産生能の有意な増加、IL−17産生能の有意な抑制が確認された。
Claims (4)
- ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)。
- ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を含有する、飲食品、医薬品、外用剤及び飼料から選ばれる組成物。
- ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を有効成分として含有することを特徴とするアレルギー抑制剤。
- アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症、又は喘息の症状の予防・改善のために用いられるものである、請求項3記載のアレルギー抑制剤。
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JP2013188197A (ja) * | 2012-02-16 | 2013-09-26 | Kanazawa Univ | 免疫活性化乳酸菌組成物及び免疫活性化乳酸発酵食品 |
JP2017536828A (ja) * | 2014-11-26 | 2017-12-14 | プロバイオティカル・ソシエタ・ペル・アチオニProbiotical S.P.A. | 人体における長期持続性ホメオスタシス状態の維持のためのラクトバチルスおよびビフィドバクテリウム株 |
US11178880B2 (en) | 2014-12-29 | 2021-11-23 | Mofin S.R.L. | Production of a yeast-free, highly digestible pizza by using a dough containing lactic acid bacteria |
JP7030716B2 (ja) | 2016-05-09 | 2022-03-07 | バイオガイア・エイビー | アレルギー治療に有用な細菌株の選択 |
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2010
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