JP2011254773A - 乳酸菌の菌株及びこれを利用したアレルギー抑制剤 - Google Patents

乳酸菌の菌株及びこれを利用したアレルギー抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】植物由来乳酸菌から免疫調節能が高く優れたアレルギー抑制効果を有する乳酸菌を分離して、これを乳酸菌の菌株として提供する。また、その乳酸菌の菌株を利用したアレルギー抑制剤を提供する。
【解決手段】ラクトバチルス プランタラム FG4-4(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)。また、ラクトバチルス プランタラム FG4-4(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体又はその培養物をアレルギー抑制剤の有効成分とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、免疫調節能が高く、優れたアレルギー抑制効果を有する乳酸菌の菌株及びこれを利用したアレルギー抑制剤に関する。
アレルギー性疾患はI〜IV型の4つの種類に分けられる。その中でも、I型アレルギーはアトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症、喘息などに代表されるもので、近年、これらのI型アレルギー性疾患は急速に増加しており、社会問題になっている。この病因の1つとして、免疫細胞中の1型ヘルパーT細胞(Th1)と2型ヘルパーT細胞(Th2)のバランスがTh2側に傾き、IgE抗体が過剰になることが挙げられている。そのような中、乳酸菌によるTh1/Th2バランス改善効果が注目されており、アレルギー抑制効果についても下記非特許文献1−3など多くの報告がある。
Ouwehand, A.C. et al.: Specific probiotics alleviate allergic rhinitis during the birch pollen season, World J. Gastroenterol., 15, p3261-3268 (2009) Matsuzaki, T. et al.: Modulating immune responses with probiotic bacteria, Immunol. Cell Biol., 78, p67-73 (2000) Fujiwara, D. et al.: The anti-allergic effects of lactic acid bacteria are strain dependent and mediated by effects on both Th1/Th2 cytokine expression and balance, Int. Arch. Allergy Appl. Immunol., 135, p205-215 (2004)
しかし、従来、プロバイオティクス等の研究に用いられてきた乳酸菌は、ヨーグルトやヒト腸管に由来する乳酸菌が多く、一方で植物由来乳酸菌についての報告は少なく、その利用可能性も未だ不明な点が多かった。
そこで、本発明の目的は、植物由来乳酸菌から、免疫調節能が高く優れたアレルギー抑制効果を有する乳酸菌を分離して、これを乳酸菌の菌株として提供することにある。また、その乳酸菌の菌株を利用したアレルギー抑制剤を提供することにある。
本発明者らは上記の目的を達成するため鋭意研究し、徳島県の相生町などで作られている伝統的な乳酸発酵茶である阿波晩茶から、免疫調節能が高く優れたアレルギー抑制効果を有する乳酸菌を分離して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は下記のとおりである。
[1] ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)。
[2] ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を含有する、飲食品、医薬品、外用剤及び飼料から選ばれる組成物。
[3] ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を有効成分として含有することを特徴とするアレルギー抑制剤。
[4] アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症、又は喘息の症状の予防・改善のために用いられるものである、[3]記載のアレルギー抑制剤。
本発明は、アレルギー抑制の効果に優れた乳酸菌の菌株として、ラクトバチルス プランタラムFG4-4(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)を提供するものである。このFG4-4株は、Th1/Th2バランスを改善して過剰なIgE産生を抑制するだけでなく、制御性T細胞(Treg)が産生する抗炎症性サイトカインIL−10の産生増強や、Th17細胞が産生する炎症性サイトカインIL−17の産生抑制など、他の免疫調節機構にも作用して、より効果的にアレルギー症状を軽減することができる。
阿波晩茶由来乳酸菌29菌株のパイエル板細胞(A)及び脾臓細胞(B)におけるIL−12産生誘導能を示す図表である。 アトピー性皮膚炎誘発マウスにおける皮膚スコア(A)、耳介部の肥厚(B)、及び血中総IgE量(C)の経時的変化を示す図である。 アトピー性皮膚炎誘発マウスにおけるcont群(A)、0.05%群(B)、及び0.5%群(C)の各試験群の試験開始89日目の症状の写真である。 試験終了後に解剖して調製したパイエル板細胞のIL−12(A)、IFN−γ(B)、及びIL−4(C)、IgE(D)の産生能を示す図表である。 試験終了後に解剖して調製したパイエル板細胞のIL−10(A)及びIL−17(B)の産生能を示す図表である。 試験終了後に解剖して調製した膵臓細胞のIL−12(A)、IFN−γ(B)、及びIL−4(C)、IgE(D)の産生能を示す図表である。 試験終了後に解剖して調製した膵臓細胞のIL−10(A)及びIL−17(B)の産生能を示す図表である。
ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)は、本発明者らが、阿波晩茶からマウスパイエル板細胞培養系及びマウス脾臓細胞培養系を用いて、Th1型サイトカインであるIL−12とIFN−γの産生誘導能を指標にスクリーニングして分離・採取した乳酸菌の菌株であり、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE) バイオテクノロジー本部 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に、受託番号NITE P-947として寄託されているものである。以下、この菌株を「FG4-4株」という。
以下に、本発明のFG4-4株の主な菌学的性質を示す。
(a)肉眼的特徴
MRS寒天培地上で円形からやや不規則、半球形、平滑、乳白色
(b)顕微鏡的特徴
短桿菌で運動性を持たない。芽胞は形成しない。
(c)生育温度
30〜37℃で良好に発育する。
(d)微生物分類学的位置
本菌株は、16SリボゾームDNAの塩基配列の相同性から、ラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する菌株と同定された。
本発明の1つはこのFG4-4株であり、乳酸菌培養の常法に従って培養することができる。例えば、MRS培地等を用いて、30〜37℃で16〜28時間程度培養することにより得ることができる。培養後の菌体は、例えば培養液を3,000rpm、4℃、10分間程度の遠心分離により集菌することができる。菌体は凍結乾燥あるいは噴霧乾燥することもできる。
本発明のFG4-4株は、後述する実施例で示されるように免疫調節能が高く優れたアレルギー抑制効果を有する。また、その作用機序としては、Th1/Th2バランスを改善し、過剰なIgE産生を抑制して、アレルギー症状を軽減するものと考えられる。そして、Th1/Th2バランスの改善だけではなく、制御性T細胞(Treg)が産生する抗炎症性サイトカインの産生増強や、Th17細胞が産生する炎症性サイトカインの産生抑制などの機構にも作用して、優れたアレルギー症状の軽減の効果を発揮するものであると考えられる。したがって、本発明のもう1つは、このFG4-4株を利用したアレルギー抑制剤である。そしてアトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症、又は喘息等の症状の予防・改善のために好適に用いられる。
本発明においては、このFG4-4株を、飲食品、医薬品、外用剤、飼料等の各種組成物に含有せしめて用いることができる。この場合には、培養後、遠心分離等の集菌手段の常法に従って得られた菌体をそのまま用いることのみならず、その培養液、発酵液、培養上清などの培養物や、その培養物の粗精製品あるいは精製品、それらの凍結乾燥品、あるいは菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分などの加工物も用いることができる。また、菌体は生菌体のみならず、通常の一般的加熱処理によって死菌体とされたものであってもよい。すなわち、後述する実施例で示されるように、FG4-4株は滅菌された菌体であっても、免疫調節能等による健康維持、長寿等に効果が期待できる。生菌とちがい、製造以降の配送時や陳列時に形態変化を起こしにくい死菌体は、それら作業性や流通性の観点からも好適である。
以下に、各組成物の形態について具体的に説明する。
(1)飲食品
本発明の組成物を飲食品とする場合は、例えば発酵乳、乳酸菌飲料、発酵野菜飲料、発酵果実飲料、発酵豆乳飲料等を挙げることができる。このような発酵飲料は、発酵用原料を上記FG4-4株で発酵して得ることもできる。この場合、発酵乳、乳酸菌飲料の乳原料としては、例えば、牛乳、乳清、発酵乳、乳酸菌飲料、脱脂乳、脱脂粉乳、調製粉乳、全脂粉乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳等が挙げられる。発酵野菜飲料、発酵果実飲料の野菜原料としては、例えば、ニンジン、カボチャ、サツマイモ、ピーマン、セロリ、トマト、ホウレンソウ、コーン、ビート、ケール、パセリ、キャベツ、ブロッコリー等が挙げられる。果実原料としては、例えば、リンゴ、ブドウ、オレンジ、ミカン、モモ、バナナ、イチゴ、スイカ等が挙げられる。発酵豆乳飲料の豆乳原料としては、大豆原料から常法に従い調製したもののほか、市販のものを用いることができる。
他の飲食品の形態の例としては、漬物、味噌、発酵茶、パン等の発酵食品類、ガム、グミ、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、まんじゅう、プディング等の菓子類、清涼飲料、栄養飲料等の飲料類、スープ類、麺類、上記発酵乳及び乳酸菌飲料以外の乳製品類等が挙げられる。
なお、本発明における飲食品には、アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症、喘息症状の予防・改善等のアレルギー抑制や免疫調節をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した特定保健用食品、健康食品、ペット動物用食品等の機能性食品が包含される。
(2)医薬品
本発明の組成物を医薬品とする場合は、上記FG4-4株の菌体、その培養物又はこれらの加工物と共に製剤学的に許容される、一般的な医薬品用の製剤担体を用いて製剤化することができる。投与形態として各種の形態が選択できるが、好適には経口投与製剤が挙げられる。経口投与製剤の代表的なものとしては、錠剤、液剤、丸剤、散剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、ゼリー剤等が挙げられる。
その有効投与(摂取)量は、これを摂取する生体の年齢、性別、体重、疾患の程度等に応じて適宜決定することができ、特に限定されるものではないが、菌体量として約106-109個/mL又は約106-109個/gとなる範囲で調製されたものを、1日大人1人あたりに約1-1,000mL又は約1-1,000gを摂取、服用させればよい。
(3)外用剤
本発明の組成物を化粧品、外用医薬品、医薬部外品等の外用剤とする場合は、上記FG4-4株の菌体、その培養物又はこれらの加工物と共に製剤学的に許容される、一般的な外用剤用の製剤担体を用いて調製することができる。外用剤の形態としては、化粧用クリーム類、乳液、化粧水、パック剤、スキンミルク(乳剤)、ジェル剤、パウダー、リップクリーム、口紅、アンダーメークアップ、ファンデーション、サンケア、浴用剤、ボディシャンプー、ボディリンス、石鹸、クレンジングフォーム、軟膏、貼付剤、ゼリー剤、エアゾール剤等を挙げることができる。
(4)飼料
本発明の組成物を飼料とする場合は、例えば、上記FG4-4株の菌体、その培養物又はこれらの加工物を家畜、ペット動物、養殖魚、観賞魚用飼料に含有せしめた、経口用製剤の形態(水溶液、乳化液、穎粒、粉末、カプセル、錠剤等)を挙げることができる。
以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
[試験例1]<乳酸菌のスクリーニング>
阿波晩茶から乳酸菌29菌株を分離し、糖類発酵性試験によるグルーピングと、16SrDNAによる同定を行った。その結果、糖類発酵性が異なる数グループに分類されたがいずれもラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌であった。
このラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)の29菌株について、Th1型サイトカインであるIL−12とIFN−γの産生誘導能を指標にスクリーニングした。具体的には以下のようにしてスクリーニングを行った。
(1)MRS液体培地
2gのD-(+)-グルコースと、10gのペプトン(ミクニ化学工業株式会社〉と、0.8gのLab-Lemco-Powder(関東化学株式会社)と、0.4gのExtract Yeast Dried(ナカライテスク株式会社)と、0.2gのKHPOと、0.2gのクエン酸三アンモニウムと、0.02gのMgSO・7HOと、0.5gの酢酸ナトリウム三水和物(ナカライテスク株式会社)と、0.005gのMnSO・4H0と、0.1mLのTween 80(ナカライテスク株式会社)を、蒸留水100mLに溶解させ、121℃で15分間オートクレーブにより熱処理して用いた。
(2)供試菌体の調製
乳酸菌29菌株をそれぞれMRS液体培地で培養し、遠心分離により集菌した後、リン酸緩衝液(PBS)により菌体を洗浄し、再度遠心分離により菌体を回収し、凍結乾燥した。そして使用時には、各凍結乾燥菌体をPBSで1mg/mLになるよう懸濁し、121℃で15分間オートクレーブにより滅菌した。これを動物細胞用培地であるRPMI1640(SIGMA社製)で20μg/mLに希釈をして、以下の試験に用いた。なお、RPMI 1640は全て100IU/mLぺニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンを添加したものを用いた(以下、「RPMIAb」という。)。
(3)使用動物
BALB/c雄マウス7週齢(SLC社製)を用いた。
(4)パイエル板細胞及び脾臓細胞の調製・培養方法
マウスよりパイエル板を無菌的に摘出し、Joklik modified MEM(SIGMA社製)で洗浄した。洗浄したパイエル板と、Dispase(1.10 units/mg;GIBCO社製)をJoklik modified MEMで1.10mg/m1に調製したDispase溶液とを、37℃で40分間攪拌しながら反応させた。反応後、上清を回収し再びDispase溶液を加え反応させた。これを5〜6回行い、回収した上清から遠心分離(1500rpm、10min)により細胞を回収した。得られた細胞を10%牛胎児血清(FBS)を含むRPMI Abで5×106 cell/mLになるように調製した。その後、上記乳酸菌の菌液100μLと共に100μLずつ平底96穴プレート(FALCON社製)のウェルに加え、37℃、5%CO下でパイエル板細胞培養を行った。
また、脾臓を無菌的に摘出し、RPMI Abで洗浄した。脾臓をすりつぶし70μmのメッシュでろ過した。遠心分離(1500rpm、10min)の後、赤血球溶血試薬を加え、5分間反応させた。Hanks Balanced Salt Solution(SIGMA社製)で遠心洗浄を行い、10%牛胎児血清(FBS)を含むRPMI Abで5×106 cell/mLになるように調製した。その後、上記乳酸菌の菌液100μLと共に100μLずつ平底96穴プレート(FALCON社製)のウェルに加え、37℃、5%CO下で脾臓細胞培養を行った。
上記のように培養したパイエル板細胞及び脾臓細胞の培養3日目の上清を、サイトカイン産生量の測定に供した。
(5)ELISA法によるサイトカイン産生量の測定
各細胞培養上清中のIL−12量をサンドイッチELISA法にて測定した。
IL−12量の測定は、1次抗体としてPurified Rat Anti-Mouse IL-12 (P40/P70) Monoclonal Antibody(BD Biosciences社製)、2次抗体としてBiotinylated Rat Anti- Mouse IL-12 (P40/P70) Monoclonal Antibody(BD Biosciences社製)、さらにStreptavidin-HRP(Biosource社製)を室温、遮光条件で30分間反応させた後、3,3'-5,5'-Tetramethylbenzidine(TMB)(SIGMA社製)を用いて発色させ、1M HSOで反応を停止させた。その後、マイクロプレートリーダーにより450nmにおける吸光度を測定した。スタンダードとして、Recombinant Mouse IL-12(Techne Corporaton社製)を用いた。
(6)結果
パイエル板細胞におけるIL−12誘導能はFG4-4株が最も高く、次いでFG1-2株、FG2-2株、FG6-3株が高い誘導能を示した(図1A)。脾臓細胞におけるIL−12誘導能はFG4-4株が最も高く、次いでFG1-3株、FG4-2株が高い誘導能を示した(図1B)。
以上のとおり、Th1型サイトカインであるIL−12の産生誘導能は、FG4-4株が最も高く、アレルギー抑制等、Th1/Th2バランスの改善による免疫調節機能に優れていることが示唆された。
[試験例2]<マウスでの効果の検証>
上記試験例1のスクリーニングで得られたラクトバチルス プランタラム FG4-4(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)(FG4-4株)について、そのアレルギー抑制の作用効果を、アトピー性皮膚炎誘発マウスにて検証した。具体的には以下のようにして検証を行った。
(1)供試菌体の調製
MRS液体培地液体培地を用いた。37℃2日間培養し、遠心分離により集菌した後、リン酸緩衝液(PBS)で洗浄後、再度遠心分離により菌体を回収し、凍結乾燥を行い、121℃で15分間オートクレーブにより熱処理して用いた。
(2)供試動物
NC/Nga雄マウス6週齢(日本チャールス・リバー社製)を使用した。マウスは試験期間を通じてSPF環境(無菌特殊環境)下にて飼育を行った。
(3)実験スケジュール
マウスは3群に分けた。すなわち、FG4-4株の菌体を0.05質量%含有したMM−3餌(船橋ファーム社製)を与える群(6匹)(本明細書では、「0.05%群」という。)、0.5質量%含有したMM−3餌を与える群(6匹)(本明細書では、「0.5%群」という。)、FG4-4株の菌体を含有していないMM−3餌を与える群(6匹)(本明細書では、「cont群」という。)の3群に分けた。FG4-4株含有餌及び不含餌投与開始後15日目に、5%Picryl Chloride溶液を両耳に15μLずつ塗布して初回免疫し、その4日後から連続免疫として1%Picryl Chloride溶液を両耳に15μLずつ週1回塗布した。経時的に皮膚スコア、耳介の肥厚を測定し、さらに血中IgE測定のために採血を行った。連続免疫を10回行った後、89日目に解剖を行いパイエル板細胞及び脾臓細胞を調製し、試験に用いた。
(4)皮膚症状スコア・肥厚の測定
皮膚症状及び肥厚の測定はPicryl Chloride溶液を塗布するごとにその塗布直前に行った。皮膚症状は発赤・出血、浮腫、脱毛・皮膚欠損、乾燥、発疹の5項目について無症状、軽度、中程度、高度の4段階に分類し、それぞれ0、1、2、3点とスコアリングしてその合計点を指標とした。耳介の肥厚は「クーラントプルーフマイクロメータ」(商品名、株式会社ミツトヨ社製)を用いて測定した。
(5)パイエル板細胞及び脾臓細胞の調製・培養方法
パイエル板細胞は、上記試験例1と同様にしてDispase処理法により調製した。具体的には、解剖後のマウスの小腸より無菌的にパイエル板を摘出し、1mg/m1のDispase(1.10 units/mg;GIBCO社製)を含む5%牛胎児血清(FBS)含有Joklik modified MEM(SIGMA社製)にて細胞を分離し、1%の「Antibiotic antimycotic solution(100×)」(商品名、SIGMA社製)及び20%のFBSを含有するRPMI 1640培地で懸濁後、5×106 cell/mLに調製し、単細胞浮遊液とした。
また、脾臓細胞も上記試験例1と同様にして調製した。具体的には、解剖後のマウスより無菌的に脾臓を摘出し、押しつぶし法にて細胞を分離し、1%の「Antibiotic antimycotic solution(100×)」(商品名、SIGMA社製)及び20%のFBSを含有するRPMI 1640培地で懸濁後、5×106 cell/mLに調製し、単細胞浮遊液とした。
上記のように調製した単細胞浮遊液100μLと、1%の「Antibiotic antimycotic solution(100×)」(商品名、SIGMA社製)を含有するRPMI 1640培地100μLとを平底96穴プレート(FALCON社製)のウェルに加えて混合し、37℃、5%CO下で培養した。培養3日目の上清中の各サイトカイン量、14日目の上清中の総IgE量を、ELISA法にて測定した。
(6)ELISA法によるサイトカイン産生量及びIgE産生量の測定
経時的に採血したマウス血中のIgE量、並びに、解剖後に調製した各細胞培養上清中のTh1型サイトカインであるIL−12及びIFN−γの産生量、Th2型サイトカインであるIL−4、IL−10、及びIL−17の産生量、及びIgE産生量を、サンドイッチELISA法にて測定した。
IL−12量の測定には、1次抗体としてPurified Rat Anti-Mouse IL-12 (P40/P70) Monoclonal Antibody(BD Biosciences社製)、2次抗体としてBiotinylated Rat Anti- Mouse IL-12 (P40/P70) Monoclonal Antibody(BD Biosciences社製)、スタンダードとしてRecombinant Mouse IL-12(Techne Corporaton社製)を用いた。
IFN−γ量の測定には、1次抗体としてRabbit (Polyclonal) Anti-Mouse/Rat IFN-γAntibody(Biosource社製)、2次抗体としてBiotinylated Anti-Mouse IFN-γAntibody(R & D Systems社製)、スタンダードとしてRecombinant Murine IFN-γ(Biosource社製)を用いた。
IL−4量の測定には、1次抗体としてMonoclonal Antibody MouselL-4(MABTEC社製)、2次抗体として Biotine Conjugated Antibody Mouse IL-4 Monoclonal(MABTEC社製)、スタンダードとしてRecombinant Murine IL-4(Strathmann Biotec社製)を用いた。
IL−10量の測定には、1次抗体としてPurified anti-mouse IL-10 (BioLegend社製)、2次抗体としてBiotin anti-mouse IL-10(BioLegend社製)、スタンダードとしてRecombinant Mouse IL-10(BioLegend社製)を用いた。
IL−17量の測定には、1次抗体として「Capture Antibody」(商品名、R & D Systems社製)、2次抗体として「Detection Antiobody」(商品名、R & D Systems社製)、スタンダードとして「Standard」(商品名、R & D Systems社製)を用いた。
IgE量の測定には、1次抗体としてPurified Rat Anti-Mouse IgE Monoclonal Antibody(BD Biosciences社製)、2次抗体として「LO-ME-2 Biotin」(商品名、Technopharm Biotechnology社製)、スタンダードとしてPurified Mouse IgE κMonoclonal(BD Biosciences社製)を用いた。
各種一次抗体を炭酸緩衝液に溶解し、96穴プレート(商品名「96well Immuno Plate」、Nunc社製)に添加後、4℃で1晩固層化した。その後ブロッキングを行い、各種サンプル又はスタンダードを室温で90分間反応させた。次に、2次抗体を室温で90分間反応させた。さらにStrptavidin-Peroxidaseを室温、遮光条件で30分間反応させた後、3,3'-5,5'-Tetramethylbenzidine(TMB)を用いて発色させ、1M HSOで反応を停止させた。その後、マイクロプレートリーダーを用い、450nmにおける吸光度を測定した。
(7)統計解析
血中総IgE量、皮膚症状スコア、耳介部の肥厚及び細胞培養上清中の各種サイトカイン及びIgE産生能のcont群と試験群との差の検定にはスチューデントのt検定を用いた。どの検定においても、p<0.05の場合に有意差有りと判定した。
(8)結果その1
皮膚スコア、耳介部の肥厚、及び血中総IgE量の経時的変化について、以下のような結果が得られた。
皮膚スコアの経時的変化に示されるように、cont群では試験開始40日目に耳介部の発赤・出血、浮腫及び皮膚欠損、頭部で脱毛、皮膚で乾燥及び発疹が確認された。これに対し、0.05%群及び0.5%群ともcont群と比較して有意な症状の軽減が認められた。その後も試験終了まで有意な差が見られた(図2A)。
耳介部の肥厚の経時的変化に示されるように、試験開始26〜47日目あたりから耳介部の肥厚が徐々に増加し始めた。その後、0.05%群及び0.5%群ではcont群と比較して増加の程度が小さく、0.5%群において75日目まで、0.05%群においては試験終了までcont群に比較して有意な軽減が見られた(図2B)。
血中総IgE量の経時的変化に示されるように、cont群では試験開始47日目から血中総IgE量が上昇したのに比べ、0.05%群及び0.5%群とも上昇が有意に抑制されていた。その後も試験終了まで有意な抑制が見られた(図2C)。
図3には、試験開始89日目の写真を示す。
以上から、Picryl Chloride溶液を連続塗布したマウスのアトピー性皮膚炎の症状は、FG4-4株の経口投与によって有意に軽減されることが明らかになった。
(9)結果その2
試験開始89日目に解剖して調製したパイエル板細胞のIgE及び各種サイトカイン産生能について、以下のような結果が得られた。
Th1型サイトカインにおいては、IL−12産生能は0.5%群で、IFN−γ産生量は0.05%群及び0.5%群でcont群と比較して有意な増加が確認された(図4A,B)。
Th2型サイトカインであるIL−4産生能は、0.05%群ではcont群と比較して違いは確認されなかったが、0.5%群では有意な減少が確認された(図4C)。
パイエル板細胞におけるIgE産生能は、0.05%群及び0.5%群ともcont群と比較しで有意な抑制が確認された(図4D)。
主に制御性T細胞(Treg)が産生する抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生能は、0.05%群及び0.5%群ともcont群と比較して有意な増加が確認された。(図5A)。
主にTh17細胞が産生する炎症性サイトカインであるIL−17の産生能は、0.05%群及び0.5%群ともcont群と比較して有意な抑制が確認された(図5B)。
(10)結果その3
実験開始89日目に解剖して調製した脾臓細胞のIgE及び各種サイトカイン産生能について、以下のような結果が得られた。
Th1型サイトカインにおいては、IL−12産生能及びIFN−γ産生能とも0.05%群ではcont群と比較して違いは確認されなかったが、0.5%群では有意な増加が確認された(図6A,B)。
Th2型サイトカインであるIL−4産生能は、0.05%群及び0.5%群ともcont群と比較して違いは確認されなかった(図6C)。
脾臓細胞におけるIgE産生能は、0.05%群及び0.5%群ともcont群と比較しで有意な抑制が確認された(図6D)。
主に制御性T細胞(Treg)が産生する抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生能は、0.05%群ではcont群と比較して違いは確認されなかったが、0.5%群では有意な増加が確認された(図7A)。
主にTh17細胞が産生する炎症性サイトカインであるIL−17の産生能は、0.05%群及び0.5%群ともcont群と比較して有意な抑制が確認された(図7B)。
(11)考察
FG4-4株投与群(0.05%群及び0.5%群)の脾臓及びパイエル板細胞においてIgE産生能は有意に抑制され、Th1型サイトカイン(IL−12及びIFN−γ)産生能は有意に増加した。さらにパイエル板細胞においてTh2型サイトカイン(IL−4)産生能の有意な減少が認められた。また、FG4-4株投与両群の脾臓及びパイエル板細胞においてIL−10産生能の有意な増加、IL−17産生能の有意な抑制が確認された。
以上の結果から、FG4-4株はTh1/Th2バランスを改善し、過剰なIgE産生を抑制して、抗アレルギー作用を有するものと考えられた。更に、FG4-4株は、Th1/Th2バランスの改善だけではなく、制御性T細胞の亢進及びTh17細胞の抑制を誘導し、優れたアレルギー症状の軽減の効果を発揮するものと考えられた。

Claims (4)

  1. ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)。
  2. ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を含有する、飲食品、医薬品、外用剤及び飼料から選ばれる組成物。
  3. ラクトバチルス プランタラム FG4-4株(Lactobacillus plantarum FG4-4)(受託番号NITE P-947)の菌体、その培養物又はこれらの加工物を有効成分として含有することを特徴とするアレルギー抑制剤。
  4. アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症、又は喘息の症状の予防・改善のために用いられるものである、請求項3記載のアレルギー抑制剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013188197A (ja) * 2012-02-16 2013-09-26 Kanazawa Univ 免疫活性化乳酸菌組成物及び免疫活性化乳酸発酵食品
JP2017536828A (ja) * 2014-11-26 2017-12-14 プロバイオティカル・ソシエタ・ペル・アチオニProbiotical S.P.A. 人体における長期持続性ホメオスタシス状態の維持のためのラクトバチルスおよびビフィドバクテリウム株
US11178880B2 (en) 2014-12-29 2021-11-23 Mofin S.R.L. Production of a yeast-free, highly digestible pizza by using a dough containing lactic acid bacteria
JP7030716B2 (ja) 2016-05-09 2022-03-07 バイオガイア・エイビー アレルギー治療に有用な細菌株の選択

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