JP2011254144A - 録音方法、この録音方法によりオーディオ信号が記録された記録媒体、およびオーディオ信号の配信方法 - Google Patents

録音方法、この録音方法によりオーディオ信号が記録された記録媒体、およびオーディオ信号の配信方法 Download PDF

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Abstract


【課題】5乃至7台といった比較的少ない数のスピーカで臨場感に富んだ3次元音響を聴者に提供することを可能にする録音を必要かつ十分な数のマイクロホンで行う。
【解決手段】音響空間内に第1、第2および第3のマイクロホン対を配置し、第1のマイクロホン対については音響空間の側方の面からの間接音の収音に好適な位置に、第2のマイクロホン対については同音響空間の上方の面からの間接音の収音に好適な位置に、第3のマイクロホン対については同音響空間の後方の面からの間接音の収音に好適な位置に配置し、各マイクロホン対の出力信号を各々別個に記録する録音方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のマイクロホンを用いて音を録音する技術に関する。
臨場感に富んだ音響を再生することを可能にする音響再生技術の一例として、聴者を取り囲むように複数(例えば、5台や7台)のスピーカを配置し、それらスピーカから聴者に向けて音を出力するサラウンド方式のオーディオ再生システムが挙げられる(非特許文献1参照)。この種のオーディオ再生システムにおいては、スピーカ数が多いほど臨場感の高い音が得られることが知られている。また、サラウンド方式での再生に適するように、3個以上のマイクロホンを用いて録音を行う技術も種々提案されている(例えば、特許文献1〜7参照)。ここで3個以上のマイクロホンを用いるのは、2つのマイクロホンを用いて録音を行う従来のステレオ方式では、それらマイクロホンの出力信号からコンフリクト等の問題を生じさせることなく、サラウンドシステムを構成する各スピーカに与えるオーディオ信号を生成することが難しいからである。
登実3128257号公報 特開2005−98251号公報 特開2008−160588号公報 特開平05−191886号公報 特開平05−191887号公報 特開平10−285688号公報 特表平10−507892号公報
「Multichannelstereophonic sound system with and without accompanying picture」、RECOMMENDATION ITU-R BS.775-2、インターネット<URL:http://www.itu.int/rec/R-REC-BS.775-2-200607-I/en>
ところで、オーケストラ等によって演奏される楽曲をコンサートホールなどの音響空間で聴く場合、前後左右といった平面的な方向から到来する音のみならず、天井方向等から到来する音によって、立体的に包み込まれるような聴感が得られる。しかし、特許文献1〜7の各々に開示された録音技術では、このような立体的な音の到来感を再現することができるように録音を行うことは難しい。特許文献1〜7の各々に開示された技術では、互いに近接させて外向きに配置した複数のマイクロホンからなるマイクロホンアレイを用いて録音を行っており、水平方向の音場については、きめ細かく捉えることができるものの、高さ方向の音場をきめ細かく捉えることはできないからである。また、前述したようにサラウンド方式においては、スピーカ数が多いほど臨場感の高い音が得られるのであるが、ホームシアターなどの家庭用オーディオ再生システム等においては、その設置スペースが制限される関係上、スピーカ数が増加することは好ましくない。さらに、録音過程においてもマイクロホンの数が増加することは好ましくなく、必要かつ十分な数のマイクロホンで録音を行えることが望ましい。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、5乃至7台といった比較的少ない数のスピーカで臨場感に富んだ3次元音響を提供することを可能する録音を必要かつ十分な数のマイクロホンで行う技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、音響空間の前方に位置する音源から前記音響空間内に放射される音を録音するための録音方法であって、各々指向性制御されたマイクロホンで構成される3対のマイクロホン対の各々を前記音源からの直接音の音量レベルと間接音の音量レベルとが等しくなる距離以上の距離を前記音源から隔てて前記音響空間の後方側に次第に遠ざかるように配置するとともに、前記音源からの距離が最も短いマイクロホン対については前記音響空間の側方の面からの間接音を収音するように指向性制御されたものを、前記音源からの距離が2番目に短いマイクロホン対については前記音響空間の上方の面からの間接音を収音するように指向性制御されたものを、前記音源からの距離が最も長いマイクロホン対については前記音響空間の後方の面からの間接音を収音するように各々指向性制御されたものを用い、前記3対のマイクロホン対の各々を構成する各マイクロホンから出力されるオーディオ信号を各々別個に記録媒体に記録することを特徴とする録音方法を提供する。
このような録音方法によれば、各マイクロホン対によって各々異なる方向から到来する音が収音され、それらマイクロホンの出力信号が各々別個に記録される。何故ならば、音源からの距離が最も短いマイクロホン対であっても、その配置位置は音源からの直接音の音量レベルと間接音の音量レベルとが等しくなる距離(以下、クリティカルディスタンス)だけ離れているため、各マイクロホン対の配置位置においては音源からの直接音よりも音響空間の側方の面や上方の面、後方の面により反射された間接音の音量レベルが優勢になっているからである。このため、音源からの距離が最も短い第1のマイクロホン対では音響空間の側方の面からの間接音が主に収音され、音源からの距離が2番目に短い第2のマイクロホン対では音響空間の上方の面からの間接音が主に収音され、音源からの距離が最も長い第3のマイクロホン対では音響空間の後方の面からの間接音が主に収音される。
このように本発明の録音方法によれば、聴者を取り囲むように各々異なる方向から到来する3種類の音(側方の面からの間接音、上方の面からの間接音および後方の面からの間接音)が3対のマイクロホン対(それら3つの方向から到来する各音を各々別個に収音する際に必要かつ十分な数のマイクロホン対)によって収音される。そして、この録音方法によって記録されたオーディオ信号と、ステレオ臨場感を再現するオーディオ信号(以下、メイン信号)とを適宜ミキシングし、サラウンドシステムを構成する各スピーカに与えるようにすれば、ステレオ臨場感に加えて聴者を立体的に取り囲むように到来する音(音響空間の側方の面からの間接音、同音響空間の上方の面からの間接音、および同音響空間の後方の面からの間接音)が再現され、立体感に富んだ臨場感の高い3次元音響が得られるのである。なお、上記メイン信号については周知の録音方法により録音を行うようにすれば良い。
より好ましい態様としては、前記音源からの距離が2番目に短い第2のマイクロホン対を最も高い位置に配置し、前記音源からの距離が最も短い第1のマイクロホン対を次に高い位置に各々配置することを特徴とする。このような態様によれば、音響空間の上方の面からの間接音を主な収音対象とする第2のマイクロホンにその収音対象の音を効率良く収音させることができる。また、音源から放射される直接音は球面波状に伝搬するため、音源からの距離が最も短いマイクロホン対を構成する各マイクロホンについては、音響空間の後方から音源を見た場合の当該音源の幅に応じた間隔をその幅方向に開けて配置し、かつ音源からの距離が2番目に短いマイクロホン対を構成する各マイクロホンについては、音源の幅よりも広い間隔をその幅方向に開けて配置することが好ましい。また、本発明の別の態様としては、上記各録音方法により録音したオーディオ信号を記録媒体に各々別個に書き込んで提供する態様や、上記オーディオ信号を電気通信回線経由で配信する態様などが考えられる。
本発明の実施形態の録音方法を説明するための図である。 同録音方法による記憶媒体へのオーディオ信号の記録例を示す図である。 同録音方法により録音された音の再生方法の一例を示す図である。 同再生方法を実行する再生装置の構成例を示す図である。 同録音方法により録音された音の再生方法の一例を示す図である。 同再生方法を実行する再生装置の構成例を示す図である。 同録音方法により録音された音の再生方法の一例を示す図である。 同再生方法を実行する再生装置の構成例を示す図である。 同録音方法により録音された音の再生方法の一例を示す図である。 同再生方法を実行する再生装置の構成例を示す図である。 音響空間が広い場合および狭い場合の各マイクロホン対の配置位置を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(A:本実施形態の録音方法)
図1は、本発明の実施形態の録音方法を説明するための図である。
この録音方法によれば、例えばコンサートホールなどの音響空間1においてオーケストラ等により奏でられる音を、5(或いは7)チャネルサラウンドシステム等の家庭用オーディオ再生システムで再生した場合に立体感に富んだ臨場感の高い3次元音響を再現することができるように、録音することができる。この録音方法においては、6つのマイクロホン(マイクロホン32A,32B、34A、34B、36A、および36B)と、これら6つのマイクロホンの各々に接続され、各マイクロホンの出力信号をCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile
Disc)或いはハードディスクなどの記録媒体に記録する記録装置(図1では、図示略)と、が用いられる。
図1(A)は、上記6つのマイクロホンが配置された音響空間1を天井側から見た俯瞰図であり、図1(B)は、同音響空間1を左側壁側から見た断面図である。図1(A)および図1(B)に示すように、音響空間1は、等脚台形状の床10Gおよび天井10Hと、4つの壁(前壁10C、右側壁10D、左側壁10E、および後壁10F)により区画された閉空間である。より詳細に説明すると、床10Gの外周を成す4辺のうちの平行な2辺の短い方の辺(図1(A)に示すように長さW(本実施形態では、3.5[m])の辺)に添って前壁10Cが起立しており、長い方の辺(図1(A)に示すように長さW+4aの辺(本実施形態では、a=1[m]))に添って後壁10Fが起立している。そして、音響空間1内には、オーケストラの構成員が登壇し演奏を行うためのステージ10Aが前壁10Cに沿って観客席10Bよりも高い位置に設けられており、このステージ10Aの先端から後壁10Fまでの距離は12[m]となっている。また、図1(B)に示すように、本実施形態の音響空間1では、床10Gから天井10Hまでの高さは6[m]となっている。
マイクロホン32A、32B、34A、34B、36A、および36Bは、2個ずつ3対のマイクロホン対として音響空間1に配置される。具体的には、図1(A)に示すように、マイクロホン32Aおよび32Bによって第1のマイクロホン対MP−1が、マイクロホン34Aおよび34Bによって第2のマイクロホン対MP−2が、マイクロホン36Aおよび36Bによって第3のマイクロホン対MP−3が、各々構成される。本実施形態において、これら3対のマイクロホン対の各々は、夫々異なる方向から到来する間接音を収音する役割を担う。具体的には、第1のマイクロホン対MP−1の収音対象の音は、音響空間1の側方の面(本実施形態では、右側壁10Dまたは左側壁10E)により反射されて観客席10Bへ到来する間接音である。第2のマイクロホン対MP−2の収音対象の音は上方の面(本実施形態では、天井10H)により反射されて観客席10Bへ到来する間接音であり、第3のマイクロホン対MP−3の収音対象の音は後方の面(本実施形態では、後壁10F)により反射されて観客席10Bへ到来する間接音である。このように上記3対のマイクロホン対の各々は互いに異なる方向から到来する間接音を収音対象とし、直接音を収音対象とはしていないため、各マイクロホン対を構成するマイクロホンは単一指向性など指向性制御されたものであることが望ましく、さらに好ましい態様においては超指向性マイクロホンを用いることが好ましい。何故なら、指向性が狭いほうが、各マイクロホンに各々の収音対象の音を効率良く収音させることができるからである。本実施形態では、上記6つのマイクロホンとして超指向性マイクロホンが用いられている。なお、ステージ10A上の音源(本実施形態では、オーケストラの各構成楽器)から観客席10Bへ直接到来する直接音は上記6つのマイクロホン以外のマイクロホン(図1では、図示略)によって収音され、間接音とミキシングされた後に、ステレオ臨場感を再現するためのメイン信号として記録装置に与えられる。このメイン信号の録音に関しては、ステレオ方式の録音技術など周知技術を用いて行うようにすれば良い。
このように第1、第2および第3のマイクロホン対の各々は、夫々異なる方向から到来する間接音を収音するといった役割を担い、直接音を収音対象とはしていないため、それらマイクロホン対を構成する各マイクロホンは、各々の役割に適した位置に配置され、その指向軸も各々の役割に適した方向に向けられる。本実施形態では、これら6つのマイクロホンの配置位置および指向軸の方向に特徴がある。以下、音響空間1における、これら6つのマイクロホンの配置位置および指向軸の方向について説明する。
図1(A)に示すように、3つのマイクロホン対のうち第1のマイクロホン対MP−1はステージ10Aからの距離が最も短い位置(ステージ10Aの先端から後壁10F方向に1Lだけ距離を隔てた位置)に配置される。ここで、1Lはステージ10A上の音源から発せられた直接音の音量レベルが間接音の音量レベルと等しくなる距離(すなわち、クリティカルディスタンス)であり、本実施形態では2[m]である。そして、第2のマイクロホン対MP−2と第3のマイクロホン対MP−3は、この順にステージ10Aから後壁10F方向に遠ざかるように、等間隔に配置される。前述したように、本実施形態ではステージ10(A)の先端から後壁10Fまでの距離は12[m](すなわち、6L)であり、図1(A)に示すように、第2のマイクロホン対MP−2は第1のマイクロホン対MP−1から後壁10F方向に2Lの距離を隔てた位置(すなわち、ステージ10Aの先端からの距離が3L=6[m]の位置)に、第3のマイクロホン対MP−3は第2のマイクロホン対MP−2から後壁10F方向に2Lの距離を隔てた位置(すなわち、ステージ10Aの先端からの距離が5Lの位置(換言すれば、後壁10Fからステージ10A方向に1Lの位置))に配置される。前述したように、本実施形態では、ステージ10A上に音源たる1または複数の楽器が配置される。つまり、第1のマイクロホン対MP−1は音源の最も近くに、第2のマイクロホン対MP−2は2番目に音源に近い位置に、第3のマイクロホン対MP−3は音源から最も離れた位置に配置される。このように音源の最も近くに配置される第1のマイクロホン対MP−1についても音源から1Lだけ隔てて配置したのは、収音対象以外の余分な音(直接音)の収音を避けるためである。
第1、第2および第3のマイクロホン対の各々を構成する各マイクロホンは、マイクロホン対毎に異なる間隔を開けて音響空間1内に配置される。より詳細に説明すると、第1のマイクロホン対MP−1を構成するマイクロホン32Aおよび32Bの各々は、音源の幅に相当する間隔をその幅方向に開けて配置される。例えば、ステージ10Aの全体に亘って音源たる複数の楽器が配置されている場合には、図1(A)に示すように、音響空間1の後壁10F側からステージ10Aを見た場合のステージ10Aの幅(すなわち、音源の幅)と同じ間隔Wをその幅方向に開けて配置される。そして、第2のマイクロホン対MP−2を構成するマイクロホン34Aおよび34Bは、第1のマイクロホン対MP−1におけるものよりも広い間隔(本実施形態では、図1(A)に示すように、W+2aよりは若干狭い間隔)を開けて配置され、第3のマイクロホン対MP−3を構成するマイクロホン36Aおよび36Bは、第1のマイクロホン対MP−1におけるものより狭い間隔(図1(A)に示すように、W−aの間隔)を開けて配置される。
また、図1(B)に示すように、第1、第2および第3のマイクロホン対のうち、第2のマイクロホン対MP−2が最も高い位置(すなわち、最も天井10Hに近い位置:本実施形態では、床10Gから4.5[m]の高さの位置)に配置される。前述したように第2のマイクロホン対MP−2は、音響空間1の上方の面からの間接音を収音対象としているからである。第3のマイクロホン対MP−3は最も低い位置(本実施形態では、床10Gから2.5[m]の高さの位置)に配置され、第1のマイクロホン対MP−1は、これらの間の位置(望ましくは、第2のマイクロホン対MP−1と第3のマイクロホン対MP−3の中間の位置)に配置される。なお、図1(B)では、第1のマイクロホン対MP−1を床10Gから3[m]の高さに配置する場合について例示されている。図1(B)に示すように、本実施形態では、上記6つのマイクロホンの各々は高さの調整が可能なマイクスタンド40によって上記各位置に支持されるのであるが、天井10Hから吊り下げる方式で各マイクロホンを配置しても良い。
そして、第1、第2および第3の各マイクロホン対に含まれるマイクロホンの各々は、余分な音(収音対象外の音)を収音しないように各々の指向軸を各々の収音対象の音の到来方向に向けて配置される。具体的には、第1のマイクロホン対MP−1に含まれるマイクロホン32Aおよび32Bの各々は、右側壁10Dと左側壁10Eのうちの近い方に各々の指向軸が向くように(図1(A)では、マイクロホン32Aは右側壁10Dに指向軸が向くように、マイクロホン32Bは左側壁10Eに指向軸が向くように)配置される。第1のマイクロホン対MP−1の収音対象の音は、音響空間1の側方の面(すなわち、右側壁10Dおよび左側壁10E)から観客席10Bへ到来する間接音だからである。同様に、第2のマイクロホン対MP−2の収音対象の音は、音響空間1の上方の面から客席10Bへ到来する間接音であるため、当該第2のマイクロホン対MP−2を構成するマイクロホン34Aおよび34Bは、各々の指向軸を音響空間1の上方の面(すなわち、天井10H)の方向に向けて配置される。そして、第3のマイクロホン対MP−3の収音対象の音は、音響空間1の後方の面から客席10Bへ到来する間接音であるため、当該第3のマイクロホン対MP−3を構成するマイクロホン36Aおよび36Bは、各々の指向軸を音響空間1の後方の面(すなわち、後壁10F)の方向に向けて配置される。
前述したように、第2および第3のマイクロホン対は、音源からクリティカルディスタンスより長い距離を隔てて配置されている。このため、これらマイクロホン対の配置位置では直接音は十分に減衰していると考えられる。加えて、本実施形態では、音響空間1の上方の面からの間接音を収音対象とするマイクロホン対(すなわち、第2のマイクロホン対MP−2)は当該上方の面の最も近くに配置されており、同後方の面からの間接音を収音対象とするマイクロホン対(すなわち、第3のマイクロホン対MP−3)は当該後方の面の最も近くに配置されている。このため、それらマイクロホン対にその収音対象の音を効率的に収音させることが可能になる。さらに、本実施形態では、各マイクロホン対を指向性制御されたもので構成したため、収音対象の音を効率的に収音するといった効果が一層強められるのである。特に、第1のマイクロホン対MP−1の配置位置では、直接音の音量レベルと側方向の面からの間接音の音量レベルとが略互角であると考えられるが、指向性制御されたマイクロホン(本実施形態では、超指向性マイクロホン)を用いて第1のマイクロホン対MP−1を構成したため、その収音対象の音(すなわち、側方の面からの間接音)を効率良く収音させることができるのである。
マイクロホン32A、32B、34A、34B、36Aおよび36Bの各々から出力されるオーディオ信号はメイン信号の左右各チャネル成分とともに記録装置に与えられ、この記録装置によって各々別個にCD等の記録媒体に記録される。例えば、マイクロホン32A、32B、34A、34B、36Aおよび36Bの各々が出力するオーディオ信号を、オーディオ信号S2A、S2B、S4A、S4B、S6A、およびS6Bとすると、上記記録装置は、図2に示すように、上記6種類のオーディオ信号の各々と、メイン信号の右チャネル成分MSRおよび同左チャネル成分MSLと、を上記記録媒体の別個のレコード(或いはトラック)に書き込む。
以上が本実施形態の録音方法である。
(B:上記録音方法により録音された音の再生方法)
次いで、上記録音方法により録音された音の再生方法について説明する。
マルチチャネルサラウンドシステムでは、CDなどの記録媒体に記録されているオーディオ信号をCDドライブ等によって読み出し、それらオーディオ信号の各々(或いは、それらオーディオ信号を適宜ミキシングして得られるオーディオ信号)をそのマルチチャネルサラウンドシステムに含まれる各スピーカに与えることで音の再生が行われる。ここで問題となるのは、本実施形態の録音方法によって記録媒体に記録されたオーディオ信号をマルチチャネルサラウンドシステムの各スピーカに対してどのように割り当てるのか、という点である。以下、5チャネル(或いは、5.1チャネル)サラウンドシステムで音の再生を行う場合と、7チャネル(或いは、7.1チャネル)サラウンドシステムで音の再生を行う場合を例にとって、それらシステムに含まれる各スピーカへのオーディオ信号の割り当て方を説明する。なお、以下では、5.1および7.1チャネルサラウンドシステムにおける、0.1チャネルに対応する低音用スピーカの再生方法については、本発明には直接的に関連しないため詳細な説明を省略する。
(B−1:5チャネルサラウンドシステムにおける再生方法)
図3(A)は、センタチャネルスピーカC、右チャネルスピーカR、左チャネルスピーカL、右サラウンドスピーカRSおよび左サラウンドスピーカLSを聴者を取り囲むように配置してなる5チャネルサラウンドシステムの一例を示す図である。5チャネルサラウンドシステムにおける各スピーカの配置位置(図3(A)にて各角度で示した位置)および各スピーカの役割については非特許文献1に詳細に規定されている。
図3(A)に示す5チャネルサラウンドシステムにおいては、メイン信号および第1のマイクロホン対MP−1の出力信号(マイクロホン32Aおよび32Bの出力信号:図3(B)にて符号S1で示される音響空間1内の音を表すオーディオ信号)を適宜ミキシングして右チャネルスピーカRおよび左チャネルスピーカLの各々に与えるオーディオ信号を生成し、第3のマイクロホン対MP−3の出力信号(マイクロホン36Aおよび36Bの出力信号:図3(B)にて符号S3で示される音響空間1内の音を表すオーディオ信号)を右サラウンドスピーカRSおよび左サラウンドスピーカLSに与えるようにすれば良い。なお、詳細な説明は省略するが、センタチャネルスピーカCに与えるオーディオ信号については、メイン信号から生成するようにすれば良い。
図4は、本実施形態の録音方法によりオーディオ信号の記録が行われた記録媒体(前掲図2に示す態様でオーディオ信号が記録された記録媒体)から各オーディオ信号を読み出し、これらオーディオ信号に基づいて、図3(A)に示す5つのスピーカの各々に与えるオーディオ信号を生成する再生装置50Aの構成例を示す図である。図4に示すように、再生装置50Aは、信号読取部510Aと、ミキサ部520Aと、を有している。信号読取部510Aは、例えばCDドライブであり、上記記録媒体に記録されているオーディオ信号S2A、S2B、S6A、およびS6Bと、メイン信号の右チャネル成分MSRおよび同左チャネル成分MSLとを読み出し、ミキサ部520Aに与える。
ミキサ部520Aは、信号読取部510Aより与えられるオーディオ信号S2A、S2B、S6A、およびS6Bと、メイン信号の左右各チャネル成分とに基づいて、図3(A)に示す5つのスピーカの各々に与えるオーディオ信号を生成し出力する(但し、センタチャネルスピーカCに与えるオーディオ信号については図示および説明を省略する)。より詳細に説明すると、ミキサ部520Aは、図4に示すように、メイン信号の右チャネル成分MSRとオーディオ信号S2A(すなわち、マイクロホン32Aの出力信号)とをミキシングして右チャネルスピーカRに与えるオーディオ信号を生成し、メイン信号の左チャネル成分MSLとオーディオ信号S2B(すなわち、マイクロホン32Bの出力信号)とをミキシングして左チャネルスピーカLに与えるオーディオ信号を生成する。なお、左チャネルスピーカLおよび右チャネルスピーカRの各々に与えるオーディオ信号を生成する際のミキシング比率については、ミキシング技術者がその経験や聴感に基づいて適宜定めるようにすれば良い。また、ミキサ部520Aは、上記記録媒体から読み出したオーディオ信号S6A(マイクロホン36Aの出力信号)を右サラウンドスピーカRSに与え、同オーディオ信号S6B(マイクロホン36Bの出力信号)を左サラウンドスピーカLSに与える。
再生装置50Aから出力される各オーディオ信号は、D/A変換器(図示略)によるD/A変換、および電力増幅器(同じく図示略)による増幅を経てセンタチャネルスピーカC、右チャネルスピーカR、左チャネルスピーカL、右サラウンドスピーカRSおよび左サラウンドスピーカLSの各々に与えられ、それらオーディオ信号に応じた音が各スピーカから出力される。その結果、センタチャネルスピーカC、右チャネルスピーカRおよび左チャネルスピーカLから出力される音によって、ステレオ臨場感および音響空間1の側方の面からの間接音が再現され、右サラウンドスピーカRSおよび左サラウンドスピーカLSから出力される音によって音響空間1の後方の面からの間接音が再現されることになり、図3(A)の聴者の位置ではステレオ臨場感が得られるとともに、音響空間1の側方および後方から到来する間接音に取り囲まれるかのような聴感が得られるのである。
(B−2:5チャネルサラウンドシステムにおける再生方法の変形)
さて、以上に説明した態様では、音響空間1の上方の面からの間接音は再生されず、立体感が不足する虞がある。そこで、5チャンネルサラウンドシステムの右チャネルスピーカLおよび左チャネルスピーカRの各々に与えるオーディオ信号を、メイン信号と、第1のマイクロホン対MP−1の出力信号と、第2のマイクロホン対MP−2の出力信号(図3(B)にて符号S2で示される音響空間1内の音を表すオーディオ信号)と、を適宜ミキシングして生成するとともに、右サラウンドスピーカRSおよび左サラウンドスピーカLSの各々に与えるオーディオ信号を、第2のマイクロホン対MP−2の出力信号と第3のマイクロホン対MP−3の出力信号とをミキシングして生成することにより、図5に示すように、音響空間1の上方の面からの間接音に対応する音を、仮想スピーカVRおよびVLから再生させるようにしても良い。具体的には、右チャネルスピーカRから出力される音と右サラウンドスピーカRSから出力される音によって、仮想スピーカVRから音響空間1の右上方からくる間接音を再生させ、左チャネルスピーカLから出力される音と左サラウンドスピーカLSから出力される音によって、仮想スピーカVLから音響空間1の左上方からくる間接音を再生させるのである。
図6は、仮想スピーカVRおよびVLからの音の再生を実現する再生装置50Bの構成例を示す図である。図6に示すように、再生装置50Bは信号読取部510Bとミキサ部520Bを有している。信号読取部510Bは、上記記録媒体に記録されている6種類のオーディオ信号を全て読み出してミキサ部520Bに与える点が、前述した信号読取部510Aと異なる。また、ミキサ部520Bは、右チャネルスピーカR、左チャネルスピーカL、右サラウンドスピーカRSおよび左サラウンドスピーカLSの各々に与えるオーディオ信号を以下の要領で生成する点が、前述したミキサ部520Aと異なる。図6に示すように、ミキサ部520Bは、右チャネルスピーカRに与えるオーディオ信号については、メイン信号の右チャネル成分MSRと、オーディオ信号S2Aと、オーディオ信号S4A(マイクロホン34Aの出力信号)と、を適宜ミキシングして生成し、左チャネルスピーカLに与えるオーディオ信号については、メイン信号の左チャネル成分MSLと、オーディオ信号S2Bと、オーディオ信号S4B(マイクロホン34Bの出力信号)と、を適宜ミキシングして生成する。さらに、ミキサ部520Bは、右サラウンドスピーカRSに与えるオーディオ信号については、オーディオ信号S4Aとオーディオ信号S6Aとを適宜ミキシングして生成し、左サラウンドスピーカLSに与えるオーディオ信号については、オーディオ信号S4Bとオーディオ信号S6Bとを適宜ミキシングして生成する。このような態様によれば、聴者を立体的に取り囲むように側方、上方および後方の各方向から到来する間接音が再生され、立体感に富んだ臨場感の高い3次元音響が得られる。
また、図7に示すように、既存の5チャネルサラウンドシステムに左右一対のスピーカHRおよびHLを上記5台のスピーカより高い位置に配置する構成のマルチチャネルサラウンドシステム(すなわち、非特許文献1にて規定された5チャネルサラウンドシステムを拡張した3Dサラウンドシステム)においては、図8に示す構成の再生装置50Cを用いて各スピーカへのオーディオ信号の割り当てを行えば良い。図8に示すように、この再生装置50Cは、信号読取部510Bと、ミキサ部520Cと、を有している。図8と図4を対比すれば明らかように、ミキサ部520Cは、センタチャネルスピーカC、右チャネルスピーカR、および左チャネルスピーカLの各々に与えるオーディオ信号を前述したミキサ部520Aと同様に生成する。具体的には、ミキサ部520Cは、メイン信号の右チャネル成分MSRと同左チャネル成分MSLとをミキシングしてセンタチャネルスピーカCに与えるオーディオ信号を生成する。また、ミキサ部520Cは、メイン信号の右チャネル成分MSRとオーディオ信号S2Aとをミキシングして右チャネルスピーカRに与えるオーディオ信号を生成し、同左チャネル成分MSLとオーディオ信号S2Bとをミキシングして左チャネルスピーカLに与えるオーディオ信号を生成する。そして、ミキサ部520Cは、図8に示すように、スピーカHRにはオーディオ信号S4Aを、スピーカHLにはオーディオ信号S4Bを、右サラウンドスピーカRSにはオーディオ信号S6Aを、左サラウンドスピーカLSにはオーディオ信号S6Bを各々与える。このような態様によっても、聴者を立体的に取り囲むように側方、上方および後方の各方向から到来する間接音が再生され、立体感に富んだ臨場感の高い3次元音響が得られる。
(B−3:7チャネルサラウンドシステムにおける再生方法)
また、上記再生装置50Cを用いることにより7チャネルサラウンドシステムにおける音の再生を実現することも可能である。図9は、センタチャネルスピーカC、右チャネルスピーカR、左チャネルスピーカL、第1右サラウンドスピーカRS1、第1左サラウンドスピーカLS1、第2右サラウンドスピーカRS2、第2左サラウンドスピーカLS2を聴者を取り囲むように配置してなる7チャネルサラウンドシステム(或いは、サブウーファ(図示略)を追加した7.1チャネルサラウンドシステム)の一例を示す図である。この7チャネルサラウンドシステムにおける各スピーカの配置位置および用途の詳細についても非特許文献1を参照されたい。この7チャネルサラウンドシステムにおいては、図10に示すように各オーディオ信号の割り当てを行えば良い。
図10と図8とを対比すれば明らかように、センタチャネルスピーカC、右チャネルスピーカRおよび左チャネルスピーカLの各々に対するオーディオ信号の割り当て方は図8におけるものと同様である。図10の再生装置50Cは、第1右サラウンドスピーカRS1および第1左サラウンドスピーカLS1には第2のマイクロホン対MP−2の出力信号を割り当て、第2右サラウンドスピーカRS2および第2左サラウンドスピーカLS2には第3のマイクロホン対MP−3の出力信号を割り当てる点のみが図8の場合と異なる。すなわち、図10に示す再生装置50Cのミキサ部520Cは、第1右サラウンドスピーカRS1にはオーディオ信号S4Aを、第1左サラウンドスピーカLS1にはオーディオ信号S4Bを、第2右サラウンドスピーカRS2にはオーディオ信号S6Aを、第2左サラウンドスピーカLS2にはオーディオ信号S6Bを与えるのである。つまり、図9に示す7チャネルサラウンドシステムにおいては、第1右サラウンドスピーカRS1および第1左サラウンドスピーカLS1が、図7のスピーカHRおよびHLの役割を、第2右サラウンドスピーカRS2および第2左サラウンドスピーカLS2が、図7の右サラウンドスピーカRSおよび左サラウンドスピーカLSの役割を担うのである。このような態様によっても、聴者を立体的に取り囲むように側方、上方および後方の各方向から到来する間接音が再生され、立体感に富んだ臨場感の高い3次元音響が得られる。
以上説明したように、本実施形態によれば、聴者を取り囲むように互いに異なる方向から到来する3種類の音(すなわち、音響空間1の側方、上方および後方の各方向から到来する間接音)が3対のマイクロホン対(すなわち、側方、上方および後方の各面からの間接音を各々別個に収音する際に必要かつ十分な数のマイクロホン対)によって収音され、各々別個に記録媒体に記録される。そして、このようにして記録されたオーディオ信号を適宜ミキシングしてマルチチャネルサラウンドシステムの各スピーカに与えることで5チャネル或いは7チャネルといった比較的スピーカ数の少ないサラウンドシステムで聴者を立体的に取り囲む3次元音響を再生することが可能になる。
(C:その他の実施形態)
以上本発明の第1実施形態について説明したが、以下に述べる変形を加えても勿論良い。
(1)上述した実施形態では、ステージ10Aから後壁10Fまでの距離が6Lである音響空間1内に、第1のマイクロホン対を音源から後壁10F方向に1Lだけ離れた位置に、第2のマイクロホン対を同3Lだけ離れた位置(第1のマイクロホン対から2Lだけ離れた位置)に、そして、第3のマイクロホン対を同5Lだけ離れた位置(第2のマイクロホン対から2Lだけ離れた位置)に配置した。つまり、上述した実施形態では、3対のマイクロホン対を、音源からの直接音の音量レベルと間接音の音量レベルとが等しくなる位置と後壁10Fとの間に等間隔(2Lの間隔)に配置したのである。しかし、各マイクロホン対の配置位置はこれに限定されるものではなく、音響空間1の広さとの兼ね合いで適宜定めるようにすれば良い。
例えば、ステージ10Aの先端から後壁10Fまでの距離が6Lよりも長い場合は、図11(A)に示すように、第1のマイクロホン対MP−1をステージ10Aから1Lだけ隔てた位置に、第2のマイクロホン対MP−2を第1のマイクロホン対MP−1から2Lだけ隔てた位置に、第3のマイクロホン対MP−3を第2のマイクロホン対MP−2から2Lだけ隔てた位置に各々配置すれば良い。これに対して、ステージ10Aの先端から後壁10Fまでの距離が6Lよりも短い場合には、図11(B)に示すように、第1のマイクロホン対MP−1をステージ10Aから1Lだけ隔てた位置に配置し、第2のマイクロホン対MP−2および第3のマイクロホン対MP−3については以下の要領で配置すれば良い。すなわち、第1のマイクロホン対MP−1から後壁10Fまでの距離を5等分した長さlを単位とし、第2のマイクロホン対MP−2を第1のマイクロホン対MP−1から2lだけ隔てた位置に、第3のマイクロホン対MP−3を第2のマイクロホン対MP−2から2lだけ隔てた位置(換言すれば、後壁10Fからステージ10A方向に1lの位置)に各々配置すれば良い。また、上記実施形態では、音源の最も近くに配置される第1のマイクロホン対MP−1を当該音源から1Lの距離を隔てて配置したが、1Lよりも長い距離を隔てて配置しても勿論良い。要は、音源の最も近くに配置される第1のマイクロホン対MP−1を当該音源からクリティカルディスタンス以上の距離の隔てて配置し、かつ、3対のマイクロホン対の間隔が均等になるように配置する態様であれば良い。
また、各マイクロホン対を構成するマイクロホンの配置間隔については、直接音の影響を考慮し、音源の最も近くに配置される第1のマイクロホン対MP−1については音源の幅に応じた間隔(すなわち、音源の幅と同じかより広い間隔)を開けてマイクロホン32Aおよび32Bを配置することが好ましく、次に音源の近くに配置される第2のマイクロホン対MP−2については第1のマイクロホン対におけるものよりも広い間隔を開けてマイクロホン34Aおよび34Bを配置することが好ましい。これは、音波は球面波状に広がりつつ空間を伝搬することを考慮したものである。なお、音源から最も遠い位置に配置される第3のマイクロホン対MP−3については、第1および第2のマイクロホン対に比較して直接音の影響は小さいと考えられるため、その構成マイクロホンの配置間隔に関しては、マイクロホン対MP−3に含まれる各マイクロホンに互いに無相関な音を収音させることができるような広さの間隔であれば良い。
(2)上述した実施形態では、第1、第2および第3のマイクロホン対を形成する各マイクロホンとして超指向性マイクロホンを用いた。前述したように、マイクロホン毎に収音対象の音を定め、その他の余分な収音対象外の音を収音しないようにするためである。音源が発する音の音量レベルに比較して音響空間1がさほど広くはなく、各マイクロホンの配置位置において収音対象以外の音が十分に減衰していない場合には、超指向性マイクロホンを用いて、直接音を除いた間接音成分を積極的に収音することが好ましいが、音響空間1が十分に広く、各マイクロホンの配置位置において収音対象以外の音(直接音)が十分に減衰している場合には、必ずしも超指向性マイクロホンを用いる必要はなく、より広い指向性を有するマイクロホン(一般的な単指向性マイクロホン等)を用いても良い。要は、収音対象の音に対する他の音の大きさのバランスや、音響空間の大きさ等の状況に応じて適宜指向性制御されたマイクロホンを用いるようにすれば良い。
(3)上述した実施形態では、各マイクロホン対の配置の際にその構成マイクロホンの指向軸の方向を定めた。しかし、各マイクロホン対を構成するマイクロホンとして指向性制御が可能なマイクロホン(例えば、外部から与えられる制御信号によって任意の方向に指向軸を向けることや指向角の大きさを制御することが可能なマイクロホン)を用い、その設置後に電気的に指向性制御を行うようにしても良い。
(4)上述した実施形態では、天井10Hが平坦であったが、ドーム状(凹面)であることも考えられる。このように音響空間の天井がドーム状である場合には、その天井からの間接音を収音するマイクロホン対の指向軸を適宜調整し(例えば、天井と側壁の境界に指向軸を向けるなど)、ドーム状天井の形状に起因した好ましくない影響を回避するようにしても良い。
(5)上述した実施形態では、マイクロホン32A、32B、34A、34B、36A、および36Bの各々から出力されるオーディオ信号を各々別個にCD等の記録媒体に書き込み、この記録媒体から読み出したオーディオ信号に基づいてマルチチャネルサラウンドシステムの各スピーカに与えるオーディオ信号を生成した。しかし、上記各マイクロホンから出力されるオーディオ信号をインターネットなどの電気通信回線を介して配信し、このようにして配信されるオーディオ信号に基づいてマルチチャネルサラウンドシステムの各スピーカに与えるオーディオ信号を生成しても良い。なお、上記にように電気通信回線を介して配信されるオーディオ信号に基づいてマルチチャネルサラウンドシステムの各スピーカに与えるオーディオ信号を生成する再生装置の一例としては、前述した再生装置50A(或いは、再生装置50B、50C)の信号読取部510A(再生装置50Bおよび50Cにあっては信号読取部510B)を電気通信回線を介してデータの送受信を行う通信インタフェース部(例えば、Network Interface Card)に置き換えたものが考えられる。このような態様によれば、CD等の記録媒体を用いることなく本発明の録音方法により録音されたオーディオ信号を配布し、5チャネルサラウンドシステムなどのマルチチャネルサラウンドシステムを用いて臨場感に富んだ3次元音響を再生することが可能になる。
1…音響空間、10A…ステージ、10B…観客席、10C…前壁、10D…右側壁、10E…左側壁、10F…後壁、10G…床、10H…天井、32A,32B,34A,34B,36A,36B…マイクロホン、50A,50B,50C…再生装置、510A,510B…信号読取部、520A,520B,520C…ミキサ部、C…センタチャネルスピーカ、L…左チャネルスピーカ、R…右チャネルスピーカ、LS…左サラウンドスピーカ、RS…右サラウンドスピーカ。

Claims (5)

  1. 音響空間の前方に位置する音源から前記音響空間内に放射される音を録音するための録音方法であって、
    各々指向性制御されたマイクロホンで構成される3対のマイクロホン対の各々を前記音源からの直接音の音量レベルと間接音の音量レベルとが等しくなる距離以上の距離を前記音源から隔てて前記音響空間の後方側に次第に遠ざかるように配置するとともに、
    前記音源からの距離が最も短いマイクロホン対については前記音響空間の側方の面からの間接音を収音するように指向性制御されたものを、前記音源からの距離が2番目に短いマイクロホン対については前記音響空間の上方の面からの間接音を収音するように指向性制御されたものを、前記音源からの距離が最も長いマイクロホン対については前記音響空間の後方の面からの間接音を収音するように各々指向性制御されたものを用い、前記3対のマイクロホン対の各々を構成する各マイクロホンから出力されるオーディオ信号を各々別個に記録媒体に記録する
    ことを特徴とする録音方法。
  2. 前記音源からの距離が2番目に短いマイクロホン対を最も高い位置に配置し、前記音源からの距離が最も短いマイクロホン対を次に高い位置に配置する
    ことを特徴とする請求項1に記載の録音方法。
  3. 前記音源からの距離が最も短いマイクロホン対を構成する各マイクロホンを、前記音響空間の後方から前記音源を見た場合の当該音源の幅に応じた間隔をその幅方向に開けて配置し、前記音源からの距離が2番目に短いマイクロホン対を構成する各マイクロホンを前記音源の幅よりも広い間隔をその幅方向に開けて配置する
    ことを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の録音方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1に記載の録音方法によりオーディオ信号が記録された記録媒体。
  5. 音響空間の前方に位置する音源から前記音響空間内に放射される音を録音して得られるオーディオ信号の配信方法であって、
    各々指向性制御されたマイクロホンで構成される3対のマイクロホン対の各々を前記音源からの直接音の音量レベルと間接音の音量レベルとが等しくなる距離以上の距離を前記音源から隔てて前記音響空間の後方側に次第に遠ざかるように配置するとともに、
    前記音源からの距離が最も短いマイクロホン対については前記音響空間の側方の面からの間接音を収音するように指向性制御されたものを、前記音源からの距離が2番目に短いマイクロホン対については前記音響空間の上方の面からの間接音を収音するように指向性制御されたものを、前記音源からの距離が最も長いマイクロホン対については前記音響空間の後方の面からの間接音を収音するように各々指向性制御されたものを用い、前記3対のマイクロホン対の各々を構成する各マイクロホンから出力されるオーディオ信号を、電気通信回線を介して配信する
    ことを特徴とするオーディオ信号の配信方法。
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