JP2011251261A - 焼却灰の脱水性向上方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ペーパースラッジを含む燃料を燃焼した際に発生する焼却灰について、焼却灰洗浄後の水分を効率的に除去する技術を提供することである。
【解決手段】水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰のスラリーに対し、二酸化炭素を含有するガスを導入することによって、洗浄・脱水後の洗浄灰中の水分を低減することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、焼却灰スラリーの脱水性を向上させる技術に関する。特に本発明は、焼却灰を洗浄する際の焼却灰スラリーの脱水性を向上させ、水分含量の低い洗浄灰を得る方法に関する。
近年、製紙工場では工場で発生するペーパースラッジ(パルプと炭酸カルシウムが主体の無機物の混合物)をボイラーでの燃料として燃焼させて、ペーパースラッジに含まれる有機分を熱エネルギーとして回収している。さらに近年のボイラーは規模が大きいため、燃料としてペーパースラッジだけではなく、RPF(Refuse Paper&Plastic Fuel)、石炭、木屑などと一緒に燃焼させる必要がある場合が多い。ここで、RPFとはマテリアルリサイクルが困難な古紙及びプラスチックを原料とした高カロリーの固形燃料のことを指す。
一方、製紙会社にとってはボイラーで燃焼させた後に焼却灰が発生するため、焼却灰の処理が急務となっている。焼却灰はセメント原料としての利用が多いが、RPF、木屑などが含まれる燃料を使用した場合、燃焼後に発生した焼却灰には、塩素分が多く含まれることがあり、これをセメント原料として使用するには不適である。そこで、ボイラーなどで燃焼後に発生する焼却灰は、従来、水で洗浄され、フィルタープレスなどの脱水機によって脱水して、塩素などの物質を除去している。また、灰中に鉛、六価クロムなどの有害金属がある場合には、特別管理産業廃棄物とならないように、有害金属を洗浄によって灰中から溶出させたり、薬剤によって固定化させる方法が知られている(特許文献1、2)。さらに、灰中の塩素が水で洗浄しにくい場合に、より塩素を除去させる目的で、炭酸ガスを導入する方法が知られている(特許文献3)。
ところで、製紙会社のボイラーで発生した焼却灰を水で洗浄する場合、エトリンガイトと呼ばれる結晶水を多く含む物質が生成すると、焼却灰スラリーから水分を除去することが難しくなる。その結果、多くの水分を含んだ焼却灰をセメント会社などに輸送することになり、輸送時の費用がかさんでしまう。また、セメント会社などにおいては、水分が多い灰をキルン等の焼成炉に投入するため、セメント製造に必要なエネルギーの一部が水の蒸発に使用されてしまい、無駄にエネルギーを消費することになってしまう。
特開2008−284522号公報 特開平10−202226号公報 特開平10−128304号公報
これまで、各種燃料を焼却した際に発生する焼却灰について、焼却灰洗浄後の水分を効率的に除去する方法に関する公知の技術などを調査してきたが、特に水洗浄時によってエトリンガイトが生成する焼却灰について、洗浄後の水分を除去する方法については、ほとんど研究がなされていない。これは、燃料として製紙工場特有のペーパースラッジや古紙が多く含まれるRPFを混合して燃焼することが一般的でなかったこと、中性抄紙化の進行によりペーパースラッジや古紙中の炭酸カルシウムの含有量が増加し、焼却灰の脱水性低下が顕在化したのが比較的最近であることなどが理由と考えられる。
以上のような状況を鑑み、水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰を洗浄・脱水するプロセスにおいて、焼却灰から効率的に水分を除去できる技術を開発することを本発明の課題とした。
本発明者は、水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰を洗浄・脱水するプロセスにおいて、二酸化炭素を含有するガスを焼却灰スラリー内に導入することによって焼却灰スラリーから効率的に水分を除去できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰の水懸濁液に二酸化炭素を含有するガスを導入することを含む、水洗浄時にエトリンガイトが生成するような焼却灰の洗浄・脱水方法を提供するものである。
これに限定されるものではないが、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰に塩素イオン濃度が2重量%未満の水を添加して焼却灰スラリーを得ること、この焼却灰スラリーに対して二酸化炭素を含有するガスを導入すること、焼却灰スラリーを脱水すること、を含む、焼却灰スラリーを脱水する方法。
(2) 前記焼却灰が、元素分析における酸化物換算でCaOを10重量%以上、SOを2重量%以上含有する、(1)に記載の方法。
(3) 二酸化炭素を含有するガスが、二酸化炭素濃度が8%以上の排ガスである、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 二酸化炭素を含有するガスの導入を、焼却灰スラリーのpHが9〜10の範囲になるまで行う、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
本発明により、水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰を洗浄・脱水するプロセスにおいて、焼却灰から効率的に水分を除去することができる。また、本発明によれば、焼却灰から塩素、有害金属を除去し、得られる洗浄灰の水分含量を低下させることができるため、付加価値の高い洗浄灰を得ることができる。
本発明においては、水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰のスラリーに対し、二酸化炭素を含有するガスを導入することによって、焼却灰スラリーの脱水性を向上させる。
焼却灰
本発明において処理される焼却灰は、ペーパースラッジやRPFを含む燃料を燃焼させて生じるものである。本発明においてペーパースラッジとは、パルプ製造工程、紙製造工程、古紙処理工程等から発生する産業廃棄物であり、製紙原料であるパルプ繊維、炭酸カルシウム、硅砂、タルク、カオリン等を含有する。近年、中性抄紙化が進行する中で中性抄紙に適した填料である炭酸カルシウムの使用量が増加するにつれて、ペーパースラッジに含まれるカルシウム分も増加する傾向にあり、このようなペーパースラッジを焼却して得られる焼却灰は、スラリー(水懸濁液)としたときにエトリンガイトと呼ばれる結晶水を多く含む物質が生成するため、焼却灰スラリーの脱水が困難になる。
本発明の焼却灰は、水で洗浄する際に洗浄灰中にエトリンガイトが生成する焼却灰であり、例えば、燃料として、ペーパースラッジやRPFのみから得られたものであってもよく、それらと他の燃料との混合物を焼却して得られたものであってもよい。ただし、本発明の効果が大きく享受するという観点から、本発明においては、ペーパースラッジを含む燃料を燃焼させて生成する焼却灰を処理対象とすることが好ましい。他の燃料については特に制限されず、公知の燃料を用いることができ、例えば、ペーパースラッジ、RDF(廃棄物固形燃料:Refuse Derived Fuel)、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)、木屑、廃タイヤ、石炭などを挙げることができる。RDFは、プラスチックゴミなどの一般廃棄物を原料とした固形燃料であり、使い道の少ない資源を熱としてリサイクル(サーマルリサイクル)するために製造される。RPFは、廃プラスチック、古紙などの産業廃棄物を原料とした固形燃料であり、廃棄物の内容が明確であるためRDFより容易に発熱量がコントロールでき、原油高の影響もあってサーマルリサイクルのため急速に増加している。木屑は、建築廃材などから発生するものを挙げることができる。
本発明の処理対象である焼却灰は、どのような装置から得られたものでもよいが、系全体の熱効率という観点から、ボイラーから得られた焼却灰、特に、流動床式あるいは微粉炭ボイラーから得られた焼却灰であることが好ましい。
本発明の焼却灰は、好ましい態様において、蛍光X線分析から算出されるCa含量が、CaO換算で10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。また、好ましい態様において、焼却灰中のS含量が、SO換算で2%以上、より好ましくは3%以上である。このような焼却灰は、水で処理するとエトリンガイトと呼ばれる結晶水を多く含む物質が生成しやすく、焼却灰を水で洗浄すると脱水しにくくなることが多いところ、本発明によれば脱水性を大幅に向上させることができ、本発明の効果を最大限に享受することができる。一方、焼却灰のCaO含有量が10%未満でエトリンガイトが生成しない焼却灰の場合、本発明によって二酸化炭素を含有するガスを焼却灰スラリーに導入する効果は小さくなる。また、焼却灰のSO含有量が2%未満の場合もエトリンガイトが生成しにくいことから、二酸化炭素を含有するガスを焼却灰スラリーに導入する効果は小さくなる。例えば、ペーパースラッジや木屑、RPFを含む燃料から生じる焼却灰は、水で処理するとエトリンガイトが生成しやすい一方、石炭を燃焼して得られる石炭灰は、水で処理してもエトリンガイトが生成しにくい。
ここで、エトリンガイトとは、3CaO・Al・3CaSO・nHO(nは30〜32)で示されるものであり、消石灰や生石灰などのCaO源、アルミナゲルなどのAl源、各種セッコウなどのCaSO源を水中で撹拌することにより生成する。また、硫酸アルミニウムやカルシウムアルミネートと、CaO源やCaSO源との水和反応によっても生成することが知られている。
焼却灰の洗浄
一般に焼却灰は、塩素や鉛などの有害物質を含有することが多く、そのままではセメント原料などに利用することはできない。そこで、ボイラーなどから発生した焼却灰を洗浄し、有害物質を除去することが行われる。一般に、有害物質を含有する焼却灰の洗浄は、混合槽の中で焼却灰と水を混合し、撹拌しながら焼却灰をスラリー化し、混合したスラリーを灰供給槽に貯蔵し、さらに脱水機で脱水することにより行われる。場合によって、灰供給槽などにおいて有害物質固定用薬品を添加して、焼却灰中に有害物質を固定化させる。このような焼却灰の洗浄・脱水は、灰混合槽、灰供給槽、脱水機を含んで構成される装置によって行われる。
焼却灰の洗浄設備としては、撹拌機つきのタンク内で焼却灰と洗浄水を混合・撹拌することによって行うことができる。その際の撹拌は、特に規定するものではないが、塩素などの物質を除去することができれば、どのような撹拌機を使っても構わない。また、その撹拌する時間も同様に塩素などが十分に溶出することができれば、特に制限はない。焼却灰と洗浄水を混合し、得られる焼却灰スラリーのpHは焼却灰の組成によっても異なるが、pH11〜13程度のアルカリ性であることが多い。
洗浄水としては、一般的な工業用水などの清水が使用でき、塩素濃度低減という目的からは、洗浄水に含まれる塩素イオン濃度は低い方が好適であり、2重量%未満であることが好ましい。したがって、本発明はその好ましい態様において、焼却灰と塩素濃度が2%未満である水から焼却灰スラリーを調製する工程を含む。
焼却灰と洗浄水を混合して得られる焼却灰スラリーの濃度は、1〜30%が好ましく、10〜25%がより好ましい。スラリー濃度が1%未満であると洗浄効率が悪く、30%より高いと焼却灰スラリーを十分に撹拌できず、ポンプや配管で詰まりが生じ、操業が困難となる。
二酸化炭素ガスの導入
本発明では、このようにして得られた焼却灰スラリーに対し、二酸化炭素を含有するガスを導入する。本発明において導入する二酸化炭素を含有するガスは、特に制限されず、種々のものを使用することができるが、ボイラー排ガスを用いると好適である。二酸化炭素ガスの濃度は8%以上が好ましく、10%以上であることがより好ましい。二酸化炭素ガス濃度が8%未満であると、二酸化炭素ガス導入に時間がかかり、効率的でないことがある。二酸化炭素ガス導入の終点は特に限定されないが、二酸化炭素ガスの溶解度に限界があり、焼却灰スラリーのpHは6程度までしか低下しないため、スラリーのpHが6くらいまで導入することが限界である。本発明においては、pHが9より低くならない段階で二酸化炭素含有ガスの導入を停止しても、十分な脱水性向上効果が得られ、好ましい。

焼却灰スラリーに二酸化炭素を含有するガスを導入する装置は特に制限されず、公知のガス導入装置を用いることができるが、より二酸化炭素がスラリーに素早く溶解できるように撹拌したり、ガスの気泡を小さくすることが好ましい。 焼却灰の洗浄時やガス導入時のスラリー温度は、特に制限されないが、10℃から70℃であることが好適であり、二酸化炭素を含有するガスを導入する際は低温の方が好ましく、例えば、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。また、本発明においては、有害物質の溶出抑制に使用する種々の薬品を、通常通りに使用することが可能であるが、鉛は溶出抑制のための薬品を使用しなくても、それらの溶出が抑制できる。
本発明において、焼却灰スラリーに二酸化炭素含有ガスを導入することによって、焼却灰スラリーからの脱水が容易になるメカニズムの詳細は明らかでなく、本発明はこれに拘束されるものではないが、二酸化炭素含有ガスの導入によってエトリンガイトの生成が抑制され、その結果、焼却灰の脱水性が向上するものと推測される。上述したように、焼却灰を水で洗浄するとエトリンガイトと呼ばれる結晶水を多く含む物質が生成するが、エトリンガイトは結晶水を多く有し、また、針状形態であるため脱水されにくいケーキの構造になってしまうところ、本発明によればエトリンガイト生成が抑制されるため、容易に洗浄灰中の水分を低減できると考えられる。
焼却灰スラリーの脱水
このようにして二酸化炭素含有ガスで処理された焼却灰スラリーは、濾過機や遠心分離機などの公知の固液分離手段を用いて脱水することができる。好ましい態様において、処理後の焼却灰スラリーはフィルタープレスやベルトプレスのような加圧ろ過式の脱水機で脱水され、水分含量の低い洗浄灰を得ることができる。塩素分をろ液で除去しつつ、洗浄灰中の水分を大幅に低減できる。0.2MPa以上に加圧することができるフィルタープレスなどの脱水機では、洗浄灰中の水分を40%以下、好ましくは35%以下まで低減できる。また、脱水ケーキには塩素分が800ppm以下であり、有害物質の溶出量も特別管理産業廃棄物の判定基準以下である。さらに、フィルタープレスなどの脱水機において、置換洗浄用に使用する洗浄水の温度は高い方が、脱水性を良好にするためにも効果的である。
本発明によれば、焼却灰の脱水性を大きく向上させることができるため、脱水時に必要なエネルギーを削減することができる。一般に焼却灰スラリーからの脱水は、水分含量が少なくなるにつれて脱水が難しくなるが、本発明によれば、焼却灰スラリーを低水分含量のケーキにまで脱水できるため有利である。本発明によれば、例えば、焼却灰の水分含量を40重量%未満まで加圧ろ過によって脱水することができる。
また、本発明においては、本発明の特徴を損なわない限りにおいて、追加の工程を加えることが可能である。例えば、本発明の方法に、焼却灰から異物を除去するスクリーン処理などの異物除去工程や、脱水後の焼却灰を輸送する輸送工程を加えてもよい。
本発明によって処理された洗浄後の焼却灰は、水分含量が低いため輸送しやすく、また、キルンなどでの焼成効率にも優れているため、セメント原料など種々の用途に好適に用いることができ、それ自体商品的価値を有する。したがって、本発明によって発明される含水率の低い洗浄灰は、それ自体は資源として活用することができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において、部および%は重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実施例1
パルプ製造工程、紙製造工程、古紙処理工程等から発生するペーパースラッジ、RPF、木屑、石炭を含む燃料(ペーパースラッジおよび木屑をそれぞれ燃料全体の20重量%以上含む)をボイラーで燃焼させ、焼却灰を得た。この焼却灰を元素分析したところ、酸化物換算でCaOが39.7%、SOが2.5%含まれていた。また、この焼却灰の塩素濃度は約5500ppmだった。
この焼却灰に塩素濃度0.01%未満の工業用水を加え、濃度17%の焼却灰スラリーを調製した(pH11.5)。この焼却灰スラリー7.5リットルを40℃で20L容のタンク内で撹拌しながら、11%の二酸化炭素を含有するガスを焼却灰スラリーの下部から20.2L/分の流量で吹き込こんだ。ガスの導入を焼却灰スラリーのpHが9.1になるまで約15分間行い、その後、フィルタープレス(東京エンジニアリング社製、TFP−3−4MKII)を用いて0.7MPaの条件で120秒間、圧搾を行った。
脱水後の洗浄灰を105℃、24時間の条件で乾燥させ、脱水後の洗浄灰に含まれる水分を測定したところ、32.4%であった。また、JIS・R5202によって測定した洗浄灰中の塩素濃度は312ppmであった。
実施例2
二酸化炭素を含むガスの導入を、焼却灰スラリーのpHが6.5になるまで約30分間行った以外は、実施例1と同様にして焼却灰を処理した。脱水後の洗浄灰中の水分は32.6%、洗浄灰中の塩素濃度は392ppmであった。
実施例3
木屑、RPF、石炭を含む燃料(木屑を燃料全体の60重量%以上含む)を、ボイラーで燃焼させ、焼却灰を得た。この焼却灰を元素分析したところ、酸化物換算で、CaOが18.1%、SOが4.4%含まれていた。また、この焼却灰の塩素濃度は約7200ppmだった。
この焼却灰に塩素濃度0.01%未満の工業用水を加え、濃度20%の焼却灰スラリーを調製した(pH12.5)。この焼却灰スラリー8リットルを25℃で20L容のタンク内で撹拌しながら、11%の二酸化炭素を含有するガスを焼却灰スラリーの下部から25.5L/分の流量で吹き込こんだ。ガスの導入を焼却灰スラリーのpHが9.1になるまで約15分間行い、その後、フィルタープレスを用いて0.2MPaの条件で400秒間、圧搾を行った以外は、実施例1と同様に焼却灰を処理した。脱水後の洗浄灰中の水分は24.3%、洗浄灰中の塩素濃度は412ppmであった。
実施例4
二酸化炭素を含むガスの導入を、焼却灰スラリーのpHが6.5になるまで約30分間行った以外は、実施例3と同様にして焼却灰を処理した。脱水後の洗浄灰中の水分は24.1%、洗浄灰中の塩素濃度は398ppmであった。
比較例1
二酸化炭素を含有するガスの導入を行わず、焼却灰スラリーの洗浄(攪拌)時間を30分間とした以外は、実施例1と同様に行った。脱水後の洗浄灰中の水分は43.3%、洗浄灰中の塩素濃度は572ppmであった。
比較例2
二酸化炭素を含有するガスの導入を行わず、焼却灰スラリーの洗浄(攪拌)時間を30分間とした以外は、実施例3と同様に行った。脱水後の洗浄灰中の水分は28.9%、洗浄灰中の塩素濃度は498ppmであった。
Figure 2011251261
表1の結果からも明らかなように、実施例1〜4では処理後の焼却灰スラリーの脱水性が向上し、水分含量の低い洗浄灰を得ることができた。これに対し、比較例1および2では、脱水後の洗浄灰ケーキの水分が高かった。このように、本発明によって洗浄灰中の水分を大幅に低減させることができ、本発明の効果は極めて大きい。

Claims (4)

  1. 水洗浄時にエトリンガイトが生成する焼却灰に塩素イオン濃度が2重量%未満の水を添加して焼却灰スラリーを得ること、
    この焼却灰スラリーに対して二酸化炭素を含有するガスを導入すること、
    焼却灰スラリーを脱水すること、
    を含む、焼却灰スラリーを脱水する方法。
  2. 前記焼却灰が、元素分析における酸化物換算でCaOを10重量%以上、SOを2重量%以上含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 二酸化炭素を含有するガスが、二酸化炭素濃度が8%以上の排ガスである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 二酸化炭素を含有するガスの導入を、焼却灰スラリーのpHが9〜10の範囲になるまで行う、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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