JP2011250580A - 配電系統断線検出装置,配電系統断線検出システム,検針装置,中継装置,制御装置及び配電系統断線検出方法 - Google Patents

配電系統断線検出装置,配電系統断線検出システム,検針装置,中継装置,制御装置及び配電系統断線検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電力量計の情報を用いて精度良く配電系統の断線を検出する。
【解決手段】配電系統の低圧需要家に設置された検針装置50の電力量または電圧測定値が断線可能性を示す範囲となった場合に、アラーム情報を検針装置50から集計センター41に送る。集計センター4では、アラーム情報に係る検針装置50の属する端末グループ37や柱上変圧器32を特定し、この情報を断線箇所データベースと照合することで、高圧配電系統における断線発生区間を特定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、配電系統断線検出装置,配電系統断線検出システム,検針装置,中継装置,制御装置及び配電系統断線検出方法に関する。
配電系統で断線が発生すると人間が配電線にふれて感電するなどの事故につながるおそれがある。そのため、断線を早期に検出することは安全面からも重要である。しかしながら、配電線に被覆電線が用いられている場合や、断線した電線が地面に達せずに宙に浮いている場合などは通常と変わらない値が計測されるために、断線故障と判定することが難かしかった。
そこで、配電系統が放射状で運用されている等の場合に、例えば、特開平7−113838号公報に記載されているように、単相柱上変圧器に電圧センサ子局を設置し、断線地点よりも末端側の地点では、系統電圧が低下する現象が発生するとの配電系統の特性を利用して、電圧センサ子局からの情報に基づいて高圧配電系統の断線区間や断線相を検出する技術が知られている。
また、特開2007−282452号公報には、需要家に設置された測定装置で計測した3相電圧から断線有無を判定し、結果を管理所に送信することで、高圧配電系統の断線を発見するシステムが示されている。
特開平7−113838号公報 特開2007−282452号公報
前述の特開平7−113838号公報に記載の装置では、柱上変圧器地点に電圧測定可能な子局を設置することが必要であり、断線を広範囲の配電系統で検出可能とするためには多くの設備コストが必要となる。また、低圧線の断線を検出,特定することができない。
また、前述の特開2007−282452号公報に記載のシステムでは、需要家に三相電圧計測を設置する必要があり、こちらも同様に、断線を広範囲の配電系統で検出可能とするためには多くの設備コストが必要となる。
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、比較的に安価なシステム構成で断線を検出することが可能な配電系統断線検出装置,配電系統断線検出システム,検針装置,中継装置,制御装置及び配電系統断線検出方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、変圧器に対応する低圧系統の各々で需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報を集計し、各々の電圧或いは電力に係る情報に基づいて断線箇所或いは断線領域を特定するように構成した。
また、需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に基づいて高圧系統あるいは低圧系統のいずれかの箇所或いは領域で断線が発生したことを示すアラーム情報を生成するように構成した。
また、低圧系統で需要家の負荷で消費される電力を検針すると共に需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報を検出する検針装置と、断線箇所或いは断線領域を特定する断線箇所判定装置との間の送受信を制御するように構成した。
本発明では、比較的に安価なシステム構成で断線を検出することが可能となる。さらには、断線を広範囲の配電系統で検出可能となる。
配電系統と断線検出装置構成例を示した説明図である。 断線発生時の電圧ベクトル図を示す説明図である。 各検針装置の断線判定閾値の例を示した説明図である。 検針装置の消費電力量の断線判定閾値の計算方法の一例を示した説明図である。 検針装置の構成を示す説明図である。 通信装置の処理機能の構成を示した説明図である。 断線検出プログラムの処理アルゴリズムを示すフローチャートである。 断線検出プログラムの処理アルゴリズムを示すフローチャートである。 断線箇所判定装置の処理機能の構成を示した説明図である。 断線判定処理プログラムの処理アルゴリズムを示すフローチャートである。 断線区間テーブルの例を示す説明図である。 断線個所判定装置の構成例を示す説明図である。
本発明を実施するための形態を以下に図面を用いて説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す図である。図1は、例えば6〜22kVの高圧配電系統(または中圧系統)300と、例えば100〜400Vの低圧配電系統320と、需要家である負荷34(34a〜34f)の電力ネットワークの接続構成を示している。また、需要家の電力使用量を測定する検針装置50(50a〜50f)と、中継器35(35a〜35c)と、集計センター41他の通信ネットワークの構成も合わせて示している。高圧配電系統300は、配電用変電所30に接続された三相(U相,V相,W相)の配電線路31によって電力を供給し、線路のいずれかの二相に接続された変圧器32(例えば柱上変圧器)によって低圧配電系統320と接続されている。低圧配電系統320は、低圧線路33(33a〜33c),単相の引き込み線36を介して需要家である負荷34(34a〜34f)に接続され、これらの電力ネットワークを介して負荷34に電力が供給されている。各負荷の受電点には、検針装置50(50a〜50f)が設置される。検針装置50は、通信手段40(通信路)によって中継器35と情報交換を可能とし、中継器35は他の中継器や集計センター41と通信手段によって情報交換可能である。集計センター41は、断線箇所判定装置42,断線箇所表示装置,判定閾値設定装置44と通信手段によって接続され、各々情報交換を可能とする。
検針装置50は、各負荷34の消費電力量,端子電圧などのデータを計測し、測定結果を伝送手段(通信手段)40を介して中継器35に送られ、中継器35は伝送手段(通信手段)40を介して集計センター41に送られる。また、検針装置50は、消費電力量,端子電圧などの計測値が、各検針装置50毎に設定された値の範囲(閾値内)であった場合に、断線アラームを中継器35に送る。断線アラームは中継器35で集計され、そのすべてまたは一部を集計センター41に送られる。ここで、中継器35はある負荷のグループ(端末グループ)の情報収集を担当する。集計センター41で受け取ったデータや断線アラームは、断線箇所判定装置42に送られ、データを分析することで配電系統での断線有無,断線箇所や、その可能性を計算し、結果を断線箇所表示装置43に表示する。また、判定閾値設定装置44では、集計センター41で受け取ったデータを元に、各負荷34毎の断線判定閾値を作成する。断線箇所判定装置42は作成した断線判定閾値を、適宜、各検針装置50に送信する。閾値の更新タイミングは、例えば従来の閾値から一定量異なる閾値となった場合や、一定期間毎とすればよい。中継器35は、いくつかの検針装置50で構成される検針装置グループの断線アラームを収集し、端末グループ37のうち、一定数以上の検針装置50から断線アラームが送られてきた場合に高圧系統断線アラームを、一定数以下の検針装置50から断線アラームが送られてきた場合に低圧系統断線アラームを、集計センター41に送る。
図1の区間2(38b)のV相の断線地点(事故点)49で断線が発生した場合、断線地点(事故点)49より高圧系統末端側(配電用変電所30と反対側)の区間で、V相に接続された変圧器(32b,32c)に接続される低圧線路33の電圧は通常より低下する。これにより、各負荷34設置点の電圧も低下することになる。また、各負荷34の電圧が低下することにより、各需要家の家電品の多くは停止し、従って各負荷34の消費電力は著しく低下する。この現象を把握し、集計センター41に情報が集められることで、系統構成と断線アラームを発生した検針装置50や中継器35の関係を照らし合わせることで、断線の発生有無,発生箇所(高圧系統か,低圧系統か),発生区間(38aか,38bか、など)を特定することが可能となる。なお、この場合は、変圧器32b,32cに属する検針装置50の大半、もしくはいずれかの変圧器に属する検針装置50から断線アラームが発せられ、また変圧器32aに属する検針装置50からはアラームが発せられないことから、区間2または区間3のV相(変圧器32a,32b,32cが共通に接続する高圧線路の相)に断線が発生したことを判定することができる。中継器35cが担当する端末グループ37cが、ある変圧器32cに接続される低圧系統33cに接続されている検針装置50をすべて網羅する場合、その変圧器32cに属する低圧線路33cの断線であるか、高圧線路31の断線であるかを、中継器35cで判定することが可能となる。すなわち、端末グループ37cのうち、一定数以上の検針装置50から断線アラームが送られてきた場合に高圧線路の断線と、一定数以下の検針装置50から断線アラームが送られてきた場合に低圧線路の断線と判定すればよい。これは、高圧線路31の断線の場合、変圧器32cの電圧が低下するために低圧線路33cの電圧も一様に低下するため、端末グループ37cの消費電力量および端子電圧は一様に低下し、従って端末グループ37c内の大半の検針装置50は断線アラームを中継器35cに送ることになる。
一方で、低圧線路33cの断線の場合は、端末グループ37cの内、断線の影響のある端末のみアラームを中継器に送ることになる。例えば、引き込み線で断線48cが発生した場合、検針装置50fからはアラームが送られるが、検針装置50eからはアラームは送られてこない。これにより、中継器35cは担当する低圧線路33cの断線と判定することができる。
各需要家に設置した検針装置50で断線を検出する機構とすることで、従来は系統に設置されたセンサよりも配電用変電所側の断線しか判定することができなかったものが、低圧系統を含む配電線の多くの地点の断線を検出することが可能となる効果がある。
検針装置50で、消費電力量または端子電圧が閾値内に入った場合に断線アラームを発生することで、消費電力量または端子電圧を集計センター41で監視する場合に比べて、断線検出に必要な情報伝送量を低減し、伝送手段40の設備コスト低減、伝送手段(通信手段)40の伝送路の混雑緩和が可能となる効果がある。また、検針装置50の計測機能を、電力料金算定のための電力量計の情報と共通とすることが可能であり、検針装置のコスト低減が可能となる効果がある。また、伝送手段を電力量自動検針インフラと共通とすることで、伝送手段の設備コストを低減できる効果がある。また、検針装置50からのアラームを一端中継器35で集計することで、中継器35と集計センター41の間の伝送情報量を低減し、伝送手段の設備コスト低減、伝送手段(通信手段)40の伝送路の混雑緩和が可能となる効果がある。
図2は図1の断線地点(事故点)49で断線が発生した場合の区間1(38a)の線路電圧(101a)と、区間3(38c)の線路電圧(101c)の様子を示した図である。ここでは高圧系統は非接地系統または高抵抗設置系統の例を示している。区間1では、UV間,VW間,WU間の電圧はほぼ等しく定格電圧近辺の電圧となっている。一方、区間3では、断線したV相線路に関わるUV間の電圧とVW間の電圧が、各々Vuv→Vuv′,Vvw→Vvw′のように低下することになる。Vuv′とVvw′の比率や大きさは、配電系統の負荷の分布や誘導機負荷の有無によって一概にはわからないが、Vuv′とVvw′のいずれかは1/2以下になる場合が多い。これにより、該当する低圧系統の電圧も通常時の1/2以下となるものが発生し、同様に需要家の負荷も通常時にくらべて著しく低下する。
図3は、図2に示すUV間,VW間,WV間の電圧の各々の判定として図1の各検針装置50の断線判定閾値について示した図である。図3(a)は検針装置50の消費電力量の断線判定閾値を示した図である(110)。断線判定閾値は一日の24時間に渡って最大値Pmax,最小値Pminが設定される。すなわち時刻(h)に対する最大値Pmax,最小値Pminが予め記憶されており、逐次読み出すことでこの最大値Pmax,最小値Pminが得られる。消費電力またはある単位期間の消費電力量が、Pmax以下かつPmin以上となった場合に、検針装置50は断線アラームを発生する。PmaxおよびPminは平均的な消費電力111に対して小さい値に設定する。同様に、図3(b)は、検針装置50の端子電圧の断線判定閾値を示した図である(120)。断線判定閾値は一日の24時間に渡って最大値Vmax,最小値Vminが設定される。同様に時刻(h)に対する最小値Vmax,Vminが予め記憶されており、逐次読み出すことでこの最大値Vmax,最小値Vminが得られる。端子電圧またはある単位期間の端子電圧代表値が、Vmax以下かつVmin以上となった場合に、検針装置50は断線アラームを発生する。VmaxおよびVminは平均的な端子電圧121に対して小さい値に設定する。これらの断線判定閾値は、図1に示す判定閾値設定装置44で計算され、適宜伝送手段(通信手段)40を介して検針装置に送られることで、更新される。
図4は、検針装置50の消費電力量の断線判定閾値の計算方法の一例を示した図である。グラフ130では、各負荷34の消費電力平均値131と、各時刻毎の負荷の確率分布を算出した場合の95%値と、Pminの値を示している。消費電力はグラフ131に示すような確率分布を取るとすると、負荷が小さい場合の95%値をPmaxと設定すればよい。すなわち、例えば、過去数ヶ月分の日々のデータを蓄積し、統計的な手法により、この消費電力平均値及び+95%〜−95%の範囲を得る。統計的手法はすでに知られている手法が用いられる。これにより、負荷の消費電力の存在確率が非常に小さい場合にのみ断線アラームを出力することになる。このように、通常ではまれな消費電力パターンとなる場合は、断線のような事故発生の可能性が大きいと考えられるため、断線アラームの確度を高めることが可能となる。Pminについては、各時間帯の電圧低下時の電力の代表値、例えば平均値の1/10など、0より大きい値に設定すればよい。電力が0の場合は、断線ではなく停電と考えられるため、このようなPminの設定によって停電(需要家の属する系統が停電区間となった場合)と断線を区別して判定することが可能となる。
このように、断線を停電と区別して判定することで、アラーム数を減らすことが可能となる。また、Pmaxの設定を負荷の消費電力の確率分布を元に算出することで、通常時と断線時の判定精度を高めることができ、アラーム数を減らすことが可能となる。伝送設備のコスト低減や混雑緩和が可能となる効果がある。また、系統監視を担当する監視員の監視作業や断線確認などの作業負荷低減につながる効果がある。
図5は、検針装置50の構成を説明する図である。各需要家の負荷34は低圧配電線路の引き込み線36から電力の供給を受ける。検針装置50は測定装置52と通信装置51で構成される。なお集計センター41にも通信装置51と同等の機能が内蔵されている。例えば、伝送手段(通信手段)40はIEEE802−3準拠のLANであり、通信装置51,中継器35及び集計センター41の間通信が可能なように構成される。もちろんインターネットや無線LAN等の他の通信プロトコルであっても良いのはもちろんである。測定装置52は、電圧測定装置54で端子電圧を、電流測定装置53で電流を測定し、測定した電圧および電流から電力量Pを計算する。通信装置51は、測定装置52より電力量Pの情報を受け取り、伝送手段(伝送線路)40を介して中継器35または集計センター(集計装置)41に伝送する。また、通信装置51は引き込み線36の電圧を電圧測定装置55によって測定し、その電圧値Vを伝送手段(伝送線路)40を介して中継器35または集計センター(集計装置)41に伝送する場合もある。また、通信装置51は、断線検出アラームの発生機能を持ち、図4で説明したような判定基準に従って、断線検出アラームを伝送手段(伝送線路)40を介して中継器35または集計センター(集計装置)41に伝送する。このような構成とすることで、通信装置51は断線検出アラームを発生することが可能となる。通信装置51は測定装置52から電力量情報を通信手段によって受け取っても良いし、測定装置のメータ表示値をカメラと画像処理機能によって読みとっても良い。
通信装置51と測定装置52を分けることで、既存の検針端末52に通信装置51を付加することで断線検出を可能とすることができる効果がある。
図6は通信装置51の処理機能の構成を示した説明図である。コンピュータ(CPU)11,通信手段A12,通信手段B13,RAM14,各種データベース(断線閾値データ15,プログラムデータ16)がバス線17に接続されている。コンピュータ(CPU)11は、計算プログラムを実行して電力量や電圧値が断線閾値範囲内にあるかどうかの判定や、断線閾値の更新を行う。RAM14は通信送受信データ(電力量,電圧,閾値データ)の一次保存,断線判定結果データを一旦格納するメモリーであり、CPU11によって通信手段Aより電力量や電圧値や断線閾値情報を受け取り、断線判定結果を生成して通信手段B13に渡す。断線閾値データ15には、断線判定に用いる閾値データ(各時間毎の電力上下限を表すPmaxt,Pmint、各時間毎の電圧上下限を表すVmaxt,Vmint)を格納する。また、プログラムデータ16には断線検出プログラムを格納する。このプログラムは、必要に応じてCPU11に読み出され、計算実行される。
図7は、断線検出プログラムの処理フローについて示したものである。ここでは、電力量の測定データから断線を判定する処理および判定に用いる閾値情報を授受する処理について示す。まず始に、受信信号が電気量信号であればステップS701に分岐し、閾値変更信号であればステップS705に分岐する。テップS701では、電力量情報受信を待っている処理を行い、電力量を受信するとステップS702に処理を移す。ステップS702では受信した値が電力値(例えばkW値)の場合、規定時刻tの間の電力の積算を行い、電力量Pt(例えばkWh)に変換する処理を行う。ステップS703では、電力量Ptが閾値の範囲であるかどうか判定を行う。Pmint<Pt<Pmaxtであれば、ステップS704に進み、断線アラームを中継器35または集計センター41に送る。閾値範囲外であれば、ステップS701に戻る。一方で、ステップS705では、閾値変更信号受診待ち処理を行う。閾値変更信号を受診するとステップS706に進み、断線閾値データベース15のPmaxt,Pmintを変更する。なお、図7のフローは所定時間が経過すると終了し、その後、再度、Startから始まる。
図8は、断線検出プログラムの処理フローについて示したものである。ここでは、電圧の測定データから断線を判定する処理および判定に用いる閾値情報を授受する処理について示す。まず始めに受信信号が電圧信号であればステップS801に分岐し、閾値変更信号であればステップS805に分岐する。ステップS801では、電圧情報受信を待っている処理を行い、電圧情報を受信するとステップS802に処理を移す。ステップS802では規定時刻tの間の電圧代表値の算出を行い(例えば平均値を算出し代表値とするなど)、電圧代表値Vt(を求める処理を行う。ステップS803では、電圧代表値Vtが閾値の範囲であるかどうか判定を行う。Vmint<Vt<Vmaxtであれば、ステップS804に進み、断線アラームを中継器35または集計センター41に送る。閾値範囲外であれば、ステップS801に戻る。一方で、ステップS805では、閾値変更信号受診待ち処理を行う。閾値変更信号を受診するとステップS806に進み、断線閾値データベース15のVmaxt,Vmintを変更する。なお、図8のフローは所定時間が経過するに終了し、その後、再度、Startから始まる。
図9は断線箇所判定装置42の処理機能の構成を示した説明図である。コンピュータ(CPU)21,通信手段22,RAM23,各種データベース(断線区間判定テーブルデータ24,アラーム属性データ25,プログラムデータ26)がバス線27に接続されている。コンピュータ(CPU)21は、計算プログラムを実行して断線箇所や断線相の特定を行う。RAM23は通信送受信データ(断線アラーム)の一次保存、断線判定結果データを一旦格納するメモリーであり、CPU21によって通信手段22より断線アラーム情報を受け取り、断線箇所判定結果を生成してRAM23に格納する。断線区間判定テーブルデータ24には、断線アラームの有無とアラーム発生があった高圧系統区間38と、アラーム発生があった検針装置50の属する変圧器32が接続される相の組合せから、断線を判定するための参照テーブルである断線区間判定テーブルを格納する。また、アラーム属性データには、断線区間判定テーブルを作成するために必要な情報、例えば検針装置50と負荷34(需要家)と変圧器32の対応データベースや、変圧器32とそれが接続される高圧系統の接続相の対応データベースなどを格納する。また、プログラムデータ26には断線判定処理プログラムを格納する。このプログラムは、必要に応じてCPU11に読み出され、計算実行される。
図10は、断線判定処理プログラムの処理フローについて示したものである。ステップS1001では、まず断線区間判定テーブルをデータベースより読み込む。ステップS1002では、断線アラームの発生を待っている処理を行う。断線アラームが発生した場合、ステップS1003でまず断線アラームが発生した検針装置50(需要家)が属する変圧器32(以下アラーム変圧器)を特定する。次にステップS1004でアラーム変圧器の接続相で最も配電用変電所側の変圧器を特定する。次に、ステップS1005で断線区間判定テーブルに条件を照らし合わせることにより断線箇所候補を抽出する。次にステップS1006で各相毎に断線の可能性の大きい区間または断線可能性が中程度の区間および相を抽出し、断線箇所と判定する。アラーム変圧器が1箇所の場合は、低圧系統の断線と判定する(ステップS1007)。ステップS1008では、断線箇所候補を表示装置を介してユーザに表示する。
図11に断線区間テーブルの例を示す。UV相に関するテーブル251では、区間2のように高圧配電系統300のU相,V相から低圧配電系統320の単相が形成されているものに対しており、各区間のU,V,W相と、断線アラームが発生したアラーム変圧器の番号(Tr.No.)の組合せに対し、断線の可能性を示している。ここで、Tr.No.はアラーム変圧器のうち、最も配電用変電所側に位置する変圧器の番号、○は断線可能性大、△は断線可能性中程度、×は断線可能性小、−は不明を表す。
UW相に関するテーブル252では、区間1ないし区間3のように高圧配電系統300のV相とW相から低圧配電系統320の単相が形成されているものに対している。アラーム変圧器に該当する行をに対して、断線可能性のある区間および相を見つけることで、断線発生区間および相と、断線可能性の確度を把握することが可能となる。すなわち、検針装置50からの断線アラームをテーブル251及びテーブル252に照らし合わせ、その結果でアンド(論理積)をとれば断線箇所あるいは断線可能性大の領域が特定できる。
図12は、断線個所判定装置42の別の実現方法を示す。配電系統において、断線点より末端側に太陽光発電などの分散型電源が接続されている場合に、断線発生時にも系統の電圧が分散型電源によって維持される場合が発生する。その場合、系統の各相の電圧が低下しないなど電気的な変化が小さいことで、確実に断線であると判定することが困難になる場合がある。そのような場合、断線個所判定装置42から、系統に設置されているSVRやSVCのような電圧制御装置340を動作させて電圧状態を変化させて系統の潮流を変化させたり、太陽光発電装置350の出力を変化させるかもしくは停止させて潮流を変化させることで、断線判定をより確実にすることが可能となる。
以下、図12を用いて詳細に説明する。情報を断線ケースシミュレーション部333は、系統構成データベース331と検針装置所属データベース332のデータを参照可能な構成とする。断線ケースシミュレーション部333のシミュレーション結果は断線区間判定テーブルデータ24に格納される。断線区間判定テーブルデータ24のデータは、断線判定部336から参照可能とする。また、天候情報データベース334に格納されたリアルタイムの日射情報は断線判定部336から参照可能とする。開閉器センサ情報収集装置335からのアラーム信号は断線判定部336に送られる。また集計センター41からのアラーム信号も断線判定部336に送られる。断線判定部336は配電系統に設置された電圧制御装置340や太陽光発電装置350に制御指令を送る。また、断線判定部336の判定結果は、断線箇所表示装置(判定結果表示装置)43に送られる。
系統構成データベース331には、系統の各区間の接続関係や線路インピーダンスや各区間の変圧器32に接続される負荷の大きさなど、系統解析に必要な情報が格納される。検針装置所属データベース332には変圧器32に接続される端末グループ(検針装置)36がどれであるかなどの対応関係が格納される。断線ケースシミュレーション部333では、これらのデータベースを元にした配電系統解析モデルの回路シミュレーションを行うことで、各区間の各相で断線が発生した各々の場合に対して、各相間電圧値を計算する。なお、配電系統解析は例えばEMTP(Electro Magnetic Transients Program)やATP(Alternative Transients Program)など一般的に用いられている系統解析プログラムを利用することで可能となる。計算された相間電圧から、端末グループ(各検針装置)37がアラームを発生するか否かを決定する。すなわち、端末グループ(各検針装置)37毎に設定された閾値よりも、端末グループ(各検針装置)37が接続された負荷34の接続される変圧器32が設置されている配電系統の相間の電圧が低ければ、端末グループ(各検針装置)37からアラームが発生されるものとする。このように計算された断線点とその時の端末グループ(各検針装置)37からのアラーム有無の組合せは、断線区間判定テーブルデータ24にセットされる。断線判定部336は集計センター41から端末グループ(各検針装置)37からのアラームを受け取り、断線区間判定テーブルデータ24と照合して断線点候補(断線個所,断線区間)を抽出し、断線箇所表示装置(判定結果表示装置)43にその結果を表示する。また、アラームを受け取って断線区間判定データテーブルデータ24と照合しても、該当する断線パターンが存在しない場合、SVRやSVCのような電圧制御装置340に制御量変更指令(例えば、SVRであればタップ変更指令、SVCであれば無効電力出力変更指令)を与えて、系統の電圧状態を変化させて系統の潮流を変化させたり、太陽光発電装置350に出力量変化指令を与えるtか、停止指令を与えて発電量を変更させて潮流を変化させる。系統状態が変わることによって、端末グループ(各検針装置)37からのアラームパターンが変わった場合、再度断線判定を行う。このとき、天候情報データベース334より日射のある地域の太陽光発電装置350のみに制御指令を送る。断線判定部336は、集計センター41からのアラーム信号の他に、開閉器センサ情報収集装置335からのアラーム信号によっても断線判定を開始する。開閉器センサ情報収集装置335は、開閉器に流れる電流の向きが反転したり、単位時間の電流変化量が一定値以上の場合に、断線の可能性があるとしてアラームを発生する。
以上のような機能により、断線点より末端側に太陽光発電などの分散型電源が接続されている場合にも、確実に断線を検出することが可能となる効果がある。
なお、本発明で、消費電力量に基づいて断線検出を行う理由は、需要家に設置される検針装置(需要家の消費電力量を含む電気情報を収集する装置)の電力情報は、消費電力量(Wh)のみである場合が想定されるためであり、これによって消費電力量のみ出力する検針端末であっても、断線判定,断線個所判定を可能とする効果がある。
また、配電系統では、断線した配電線の個所と、消費電力量の関係は単純にはわからないのが一般的である。断線した線路の末端側でも、電力が供給される場合が普通に存在する。そのため、各検針装置の消費電力の変化や、変化した検針装置の配置状況から、断線可能性のある配電線エリアを特定することを可能とする効果がある。
また、本発明には、停電(開閉器開放による、三相とも電圧印加されない状態)との違いを判定可能である効果がある。停電では、停電エリアの各需要家の消費電力は必ず0(W)となる。一方で、断線の場合は、通常の消費と大差ない需要家、電圧が大きく低下するので定インピーダンス負荷(白熱電球など)のみが動作して消費電力が0ではないにしろ通常より著しく低下する需要家、ほぼ0となる需要家、が混在する状況となる。停電となる単位の配電区間の中に、上記需要家が混在している場合は、停電ではなく断線を疑うことを可能とする効果がある。
本発明中の閾値の範囲の設定については、どの値にするのが適切かは、配電線の各区間(開閉器で区切られた区間)の負荷の特性によって異なるため、各需要家の最低負荷の実績値より小さく、0%でない値とすればよい。または、パラメータチューニングによって、大きい値であれば誤検出が多く、小さい値であれば未検出となる場合が多くなため、まず各需要家の平均消費電力量の50%としておき、実運用の中で誤検出との兼ね合いで小さくしていけばよい。
また、本発明の判定閾値設定装置と断線箇所判定装置との関係は、判定閾値設定装置は各需要家毎の消費電力量の低下程度に応じてアラームを出す閾値を決定し、各端末や中継器に閾値を設定する装置である。ここの閾値は、過去の各需要家の消費電力実績値を元に決定すればよい。
また、本発明の中継器については、中継器でいくつかの需要家の情報(アラームなど)を見比べることで、中央に送るアラームを決定する機能を持たせている。例えば、すべての需要家の消費電力が0であれば、「停電もしくは2相以上の断線」、と判断してそのアラームを中央に送る。中継器が柱上変圧器につながるすべての需要家からの信号を中継しているならば、低圧線路の断線の場合判断可能なものもあり、その場合「低圧線路の断線」としてアラームを送ればよい。このように中継器でアラームを取捨選択したりまとめることで中継器からセンター側の通信量を削減できる効果がある。
一般家庭などの需要家の電力量計の測定値を元に、高圧および低圧配電系統の断線発生有無および断線発生箇所を判定する断線検出機能として活用することができる。また、災害時に断線有無を近隣住民に警告する緊急情報提供システム、断線を見つけた人からのコールセンターへの情報提供と合わせて断線箇所を特定するコールセンター支援システム、断線を考慮して停電区間を決定する配電自動化システムの機能として活用することが可能となる。
以上説明したとおり、本実施例の特徴をまとめると、各需要家に設置した検針装置50で断線を検出する機構とすることで、従来は系統に設置されたセンサよりも配電用変電所側の断線しか判定することができなかったものが、低圧系統を含む配電線の多くの地点の断線を検出することが可能となる。
また、検針装置50で、消費電力量または端子電圧が閾値内に入った場合に断線アラームを発生することで、消費電力量または端子電圧を集計センター41で監視する場合に比べて、断線検出に必要な情報伝送量を低減し、伝送手段40の設備コスト低減、伝送手段(通信手段)40の伝送路の混雑緩和が可能となる。また、検針装置50の計測機能を、電力料金算定のための電力量計の情報と共通とすることが可能であり、検針装置のコスト低減が可能となる。また、伝送手段を電力量自動検針インフラと共通とすることで、伝送手段の設備コストを低減できる。また、検針装置50からのアラームを一端中継器35で集計することで、中継器35と集計センター41の間の伝送情報量を低減し、伝送手段の設備コスト低減、伝送手段(通信手段)40の伝送路の混雑緩和が可能となる。
また、断線を停電と区別して判定することで、アラーム数を減らすことが可能となる。また、Pmaxの設定を負荷の消費電力の確率分布を元に算出することで、通常時と断線時の判定精度を高めることができ、アラーム数を減らすことが可能となる。伝送設備のコスト低減や混雑緩和が可能となる効果がある。また、系統監視を担当する監視員の監視作業や断線確認などの作業負荷低減につながる。
また、通信装置と測定装置を分けることで、既存の検針端末に通信装置を付加することで断線検出を可能とすることができる。
10 中央制御装置
30 配電用変電所
31 配電線路
32 変圧器
33 低圧線路
34 負荷(需要家)
35 中継器
36 引き込み線
37 端末グループ
38 高圧系統区間
40 伝送手段
41 集計センター
42 断線箇所判定装置
43 断線箇所表示装置
44 判定閾値設定装置
48,49 断線地点
50 検針装置
300 高圧配電系統
320 低圧配電系統
331 系統構成データベース
332 検針装置所属データベース
333 断線ケースシミュレーション部
334 天候情報データベース
335 開閉器センサ情報収集装置
336 断線判定部
340 電圧制御装置
350 太陽光発電装置

Claims (21)

  1. 高圧系統と、前記高圧系統から複数の変圧器を介して接続される前記変圧器の各々に対応する低圧系統とで構成される配電系統における断線箇所或いは領域を特定する配電系統断線検出装置において、前記変圧器に対応する低圧系統の各々で需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報を集める集計手段と、前記各々の電圧或いは電力に係る情報に基づいて前記断線箇所或いは断線領域を特定する断線箇所判定手段を有することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  2. 請求項1において、前記高圧系統は三相であり、前記低圧系統は単相であることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  3. 請求項1において、前記電力或いは前記電圧が所定範囲でない場合に異常である旨を示す信号を生成し、前記集計手段は前記異常である旨を示す信号を集計することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  4. 請求項3において、前記所定範囲は可変であることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  5. 請求項4において、前記所定範囲は時刻と共に変化することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  6. 請求項5において、前記所定範囲は過去の実績から統計処理によって得られることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  7. 請求項3において、前記需要家において所定の時間帯における平均的な消費電力量の50%以下で0%より大きい消費電力量を前記範囲としての閾値として設定する判定閾値設定手段を有することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  8. 請求項1において、前記電力或いは前記電圧が所定範囲でない場合に、異常である旨を示す信号を生成する端末を有し、前記集計手段は前記需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報として前記異常である旨を示す信号を集計することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  9. 請求項8において、前記電力或いは前記電圧の過去の実績に応じて前記範囲を決める判定閾値設定装置を有し、前記判定閾値設定装置は、前記端末に、前記範囲を送信することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  10. 請求項1において、断線箇所或いは領域に応じて発生する電気的な事象を格納する判定テーブルを有し、前記断線箇所或いは領域は、前記各々の電圧或いは電力に係る情報を前記判定テーブルに照らしあわせて特定されることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  11. 請求項8において、前記判定テーブルのデータを系統構成データベースおよび検針装置所属データベースの情報をもとに系統解析によって作成する断線ケースシミュレーション部を有することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  12. 請求項1において、前記系統以外から供給される電力にも基づいて、前記断線箇所或いは領域を特定することを特徴とする配電系統断線検出装置。
  13. 請求項12において、前記系統以外から供給される電力は、太陽光或いは風力をエネルギー源として生成されることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  14. 請求項1において、前記断線箇所或いは断線領域は、前記高圧系統と前記低圧系統のうちから特定されることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  15. 請求項1において、定インピーダンス負荷と定電力負荷とが混在する需要家に設置された検針装置によって前記電力或いは前記電圧が検出されることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  16. 請求項1において、前記検出される断線箇所或いは断線領域として、断線区間または断線相であることを特徴とする配電系統断線検出装置。
  17. 高圧系統と、前記高圧系統から複数の変圧器を介して接続される前記変圧器の各々に対応する低圧系統とで構成される配電系統における断線箇所或いは領域を特定する配電系統断線検出システムにおいて、前記変圧器に対応する低圧系統の各々で需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報に基づいて異常である旨を示す信号を生成する端末と、前記端末からの信号を受信して前記断線箇所或いは断線領域を特定する断線箇所判定装置を有することを特徴とする配電系統断線検出システム。
  18. 高圧系統と、前記高圧系統から複数の変圧器を介して接続される前記変圧器の各々に対応する低圧系統とで構成される配電系統における断線箇所或いは領域を特定する配電系統断線検出方法であって、前記変圧器に対応する低圧系統の各々で需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報に基づいて異常である旨を示す情報を生成し、前記情報に基づいて前記断線箇所或いは断線領域を特定する配電系統断線検出方法。
  19. 高圧系統と、前記高圧系統から複数の変圧器を介して接続される前記変圧器の各々に対応する低圧系統とで構成される配電系統における前記低圧系統で需要家の負荷で消費される電力を検針する検針装置において、前記需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に基づいて前記高圧系統あるいは前記低圧系統のいずれかの箇所或いは領域で断線が発生したことを示すアラーム情報を生成することを特徴とする検針装置。
  20. 高圧系統と、前記高圧系統から複数の変圧器を介して接続される前記変圧器の各々に対応する低圧系統とで構成される配電系統における所定の情報を転送する中継装置において、前記低圧系統で需要家の負荷で消費される電力を検針すると共に前記需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報を検出する検針装置と、断線箇所或いは断線領域を特定する断線箇所判定装置との間の送受信を制御することを特徴とする中継装置。
  21. 高圧系統と、前記高圧系統から複数の変圧器を介して接続される前記変圧器の各々に対応する低圧系統とで構成される配電系統における制御装置において、前記変圧器に対応する低圧系統の各々で需要家の負荷で消費される電力或いは需要家で受電される電圧に係る情報を集める集計手段と、前記各々の電圧或いは電力に係る情報に基づいて断線箇所或いは断線領域を特定する断線箇所判定を行う断線箇所判定手段と、前記断線箇所判定に基づいて前記高圧系統或いは前記低圧系統に設置されている電圧制御装置または分散型電源に制御量変更指令を送る指令手段を有することを特徴とする制御装置。
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