JP2011250346A - ドップラ周波数補正装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドップラシフトの影響が大きい高速移動環境において、シンボルタイミングおよび周波数オフセットの推定を高速かつ容易にして基地局との同期を確立することができるドップラ周波数補正装置および方法を提供する。
【解決手段】無線通信装置の高速移動に伴う受信信号のドップラシフトによるドップラ周波数を補正するドップラ周波数補正装置において、受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定するドップラシフト推定部と、最大ドップラ周波数が相殺されるように受信信号の周波数を補正し、無線通信装置の受信部に出力する第1の周波数補正部とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】無線通信装置の高速移動に伴う受信信号のドップラシフトによるドップラ周波数を補正するドップラ周波数補正装置において、受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定するドップラシフト推定部と、最大ドップラ周波数が相殺されるように受信信号の周波数を補正し、無線通信装置の受信部に出力する第1の周波数補正部とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、無線通信装置の高速移動に伴う受信信号のドップラシフトによるドップラ周波数を補正するドップラ周波数補正装置および方法に関する。
モバイルWiMAX(Worldwide interoperability for microwave access )は、直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal frequency division multiple access )により、複数の異なる端末局(MS)と基地局(BS)が通信を行うワイヤレスブロードバンドアクセスの一方式である。MS毎に伝送効率の優れるサブキャリアを割り当て、適応変調により最適な変調方式を選択することで、周波数利用効率が向上できる。
OFDMA信号の復調において、シンボルタイミングが理想の位置から後方にずれた場合には、後続のシンボルとの間でシンボル間干渉(ISI:Inter symbol interference )が生じ、更にサブキャリア間干渉(ICI:Inter carrier interference)が発生して特性が劣化する。したがって、シンボルタイミングならびに周波数オフセットの誤差を低減して特性劣化を抑制する必要がある。
MSとBSでは、それぞれ異なるローカル周波数を用いているため、シンボルタイミングと周波数で同期を取る必要がある。これらの同期を取るために、受信信号のガードインターバルによる自己相関や、BSが送信するプリアンブルの既知系列との相互相関を用いてシンボルタイミングや周波数オフセットを推定する方法が提案されている。
図7は、従来の受信装置の構成例を示す。
図7において、アンテナ101で受信した信号は、RF/IF部102において、帯域制限、レベル調整、VCO103から入力されるローカル信号に基づく周波数変換などが行われ、FFT111および周波数/タイミング補正部104に入力される。周波数/タイミング補正部104では、入力信号の一部は遅延回路105により遅延時間Tが与えられ、複素共役部106で複素共役に変換されてミキサ107に入力し、入力信号と乗算して積分器108に入力される。積分器108は、ミキサ107の出力信号をガートインターバル時間(TG )で積分して最大相関出力検出器109に入力する。
図7において、アンテナ101で受信した信号は、RF/IF部102において、帯域制限、レベル調整、VCO103から入力されるローカル信号に基づく周波数変換などが行われ、FFT111および周波数/タイミング補正部104に入力される。周波数/タイミング補正部104では、入力信号の一部は遅延回路105により遅延時間Tが与えられ、複素共役部106で複素共役に変換されてミキサ107に入力し、入力信号と乗算して積分器108に入力される。積分器108は、ミキサ107の出力信号をガートインターバル時間(TG )で積分して最大相関出力検出器109に入力する。
最大相関出力検出器109に入力される信号x(t) は、
と表され、最適なシンボルタイミングでピークが現れる。そのため、最大相関出力検出器109では、しきい値を設定してピーク時間を検出することで、最適なシンボルタイミングを検出できる。最大相関出力検出器109で検出されたシンボルタイミングは、FFTウィンドウタイミング決定部110に入力される。FFTウィンドウタイミング決定部110では、入力されたシンボルタイミングに基づいてFFTウィンドウを決定し、FFT111に入力する。FFT111ではFFTウィンドウタイミング決定部110から入力されるウィンドウに基づいて、RF/IF部102から入力する信号をFFTして復調部へ出力する。
庄納 崇 他、「WiMAX教科書」、インプレス標準教科書.
佐波 孝彦、「移動体通信における同期技術」、トリケップス、pp.129-140.
しかし、ガードインターバルやプリアンブルを用いてシンボルタイミングや周波数オフセットを推定するには、10シンボル程度に渡る演算が必要となるため、高速移動環境では大きな劣化要因となる。特に、サブキャリア間隔と比較したドップラ周波数が無視できない程に移動速度が高速になった場合には、送受信間の同期が困難となり、通信が不可能となる恐れがある。
本発明は、ドップラシフトの影響が大きい高速移動環境において、シンボルタイミングおよび周波数オフセットの推定を高速かつ容易にして基地局との同期を確立することができるドップラ周波数補正装置および方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、無線通信装置の高速移動に伴う受信信号のドップラシフトによるドップラ周波数を補正するドップラ周波数補正装置において、受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定するドップラシフト推定部と、最大ドップラ周波数が相殺されるように受信信号の周波数を補正し、無線通信装置の受信部に出力する第1の周波数補正部とを備える。
第1の発明のドップラ周波数補正装置において、ドップラシフト推定部は、受信信号を同相成分と直交成分のデジタル信号に変換する手段と、同相成分と直交成分のデジタル信号から周波数スペクトラムを計算する手段と、ドップラスペクトラムの特徴的なパラメータを保持する手段と、周波数スペクトラムとパラメータを比較して最大ドップラ周波数を推定する手段とを備える。
第1の発明のドップラ周波数補正装置において、受信信号から推定される最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置の送信信号の周波数を補正する第2の周波数補正部を備える。
また、受信信号と送信信号の周波数が異なる構成であれば、第2の周波数補正部は、最大ドップラ周波数を調整し、送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が送信先の無線通信装置で相殺されるように送信信号の周波数を補正する構成とする。
第1の発明のドップラ周波数補正装置において、無線通信装置(端末局)は、その移動方向の前後に位置する少なくとも2つの無線通信装置A(基地局A)および無線通信装置B(基地局B)からの受信信号を処理する受信部Aおよび受信部Bを備え、ドップラシフト推定部は、無線通信装置A(基地局A)からの受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定する構成であり、第1の周波数補正部は、最大ドップラ周波数が相殺されるように無線通信装置A(基地局A)からの受信信号の周波数を補正し、受信部Aに出力する構成であり、さらに、最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正し、受信部Bに出力する第3の周波数補正部を備える。
また、無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数が異なる構成であれば、第3の周波数補正部は、最大ドップラ周波数を調整し、無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数で生じるドップラ周波数が相殺されるように無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正する構成とする。
さらに、最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数を補正する第2の周波数補正部を備え、最大ドップラ周波数の同符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数を補正する第4の周波数補正部を備える。
また、無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数が異なる構成であれば、第2の周波数補正部は、最大ドップラ周波数を調整し、無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が無線通信装置A(基地局A)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正する構成であり、第4の周波数補正部は、最大ドップラ周波数を調整し、無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が無線通信装置B(基地局B)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正する構成である。
第2の発明は、無線通信装置の高速移動に伴う受信信号のドップラシフトによるドップラ周波数を補正するドップラ周波数補正方法において、ドップラシフト推定部で受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定し、第1の周波数補正部で最大ドップラ周波数が相殺されるように受信信号の周波数を補正し、無線通信装置の受信部に出力する。
第2の発明のドップラ周波数補正方法において、ドップラシフト推定部は、ドップラスペクトラムの特徴的なパラメータを保持する手段を備え、受信信号を同相成分と直交成分のデジタル信号に変換し、同相成分と直交成分のデジタル信号から周波数スペクトラムを計算し、周波数スペクトラムとパラメータを比較して最大ドップラ周波数を推定する。
第2の発明のドップラ周波数補正方法において、第2の周波数補正部を備え、受信信号から推定される最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置の送信信号の周波数を補正する。
また、受信信号と送信信号の周波数が異なる構成であれば、第2の周波数補正部は、受信信号から推定される最大ドップラ周波数を調整し、送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が送信先の無線通信装置で相殺されるように送信信号の周波数を補正する。
第2の発明のドップラ周波数補正方法において、無線通信装置(端末局)は、その移動方向の前後に位置する少なくとも2つの無線通信装置A(基地局A)および無線通信装置B(基地局B)からの受信信号を処理する受信部Aおよび受信部Bを備え、ドップラシフト推定部は、無線通信装置A(基地局A)からの受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定し、第1の周波数補正部は、最大ドップラ周波数が相殺されるように無線通信装置A(基地局A)からの受信信号の周波数を補正し、受信部Aに出力し、さらに第3の周波数補正部を備え、最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正し、受信部Bに出力する。
また、無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数が異なる構成であり、第3の周波数補正部は、最大ドップラ周波数を調整し、無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数で生じるドップラ周波数が相殺されるように無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正する。
さに、第2の周波数補正部を備え、最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数を補正し、第4の周波数補正部を備え、最大ドップラ周波数の同符号の最大ドップラ周波数で、無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数を補正する。
また、無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数が異なる構成であれば、第2の周波数補正部は、最大ドップラ周波数を調整し、無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が無線通信装置A(基地局A)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正し、第4の周波数補正部は、最大ドップラ周波数を調整し、無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が無線通信装置B(基地局B)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正する。
以上説明したように、本発明のドップラ周波数補正装置および方法を用いれば、受信部に入力する前に、受信信号のドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定し、受信信号の周波数をある程度補正することが可能となる。その結果、高速移動環境による周波数オフセットの増加により、受信部で自己相関や相互相関波形からでは周波数補正ができない場合でも、最大ドップラ周波数に応じて高速かつ容易に周波数補正を行い、基地局との同期を確立することができる。
また、受信信号から推定した最大ドップラ周波数補正を逆符号にして送信信号の補正をすることで、送信先の無線通信装置における周波数オフセットが緩和されるため、シンボルタイミングや周波数同期の高速化を図ることができる。
図1は、本発明のドップラ周波数補正装置の実施例1の構成例を示す。
図1において、基地局からの送信信号は端末局のアンテナ1で受信され、送受信切替部2を介してドップラ周波数補正装置を構成するドップラシフト推定部4および周波数変換器5に入力される。送受信切替部2は、TDDシステムでは主にTDDスイッチが用いられ、FDDシステムでは主にサーキュレータが用いられる。送信部3からの送信信号は、送受信切替部2を介してアンテナ1から送信される。
図1において、基地局からの送信信号は端末局のアンテナ1で受信され、送受信切替部2を介してドップラ周波数補正装置を構成するドップラシフト推定部4および周波数変換器5に入力される。送受信切替部2は、TDDシステムでは主にTDDスイッチが用いられ、FDDシステムでは主にサーキュレータが用いられる。送信部3からの送信信号は、送受信切替部2を介してアンテナ1から送信される。
ドップラシフト推定部4は、端末局の移動で生じた受信信号のドップラシフトによる最大ドップラ周波数(−Δf)を推定する。周波数補正部5は、受信信号の周波数をドップラシフト推定部4から入力する最大ドップラ周波数(−Δf)で補正して受信部6に出力する。なお、受信部6は、図7に示すRF/IF部102以降の構成に対応する。
これにより、受信信号は受信部6に入力される前にドップラシフトによる周波数誤差が補正されるため、受信部6でのシンボルタイミングや周波数同期に対する要求が緩和され、同期確立に要する時間を短縮することができる。すなわち、高速移動環境により周波数オフセットが増加して受信部6で自己相関や相互相関波形から周波数補正ができない場合でも、周波数補正部5で最大ドップラ周波数(−Δf)を補正することにより、受信部6で高速かつ容易に周波数補正を行い、基地局との同期を確立することができる。
図2は、ドップラシフト推定部4の構成例を示す。
図2において、ドップラシフト推定部4は、周波数変換を行うための信号を生成する発振器41と、発振器41の出力位相をπ/2シフトする移相器42と、受信信号と発振器41の信号を乗算するミキサ43aと、受信信号と移相器42の出力信号を乗算するミキサ43bと、ミキサ43a,43bの出力信号をデジタル化するA/D変換器44a,44bと、A/D変換器44a,44bから出力されるデジタル信号を帯域制限する帯域制限フィルタ45a,45bと、帯域制限されたデジタル信号から周波数スペクトラムを計算する演算部46と、ドップラスペクトラムの特徴的なパラメータを保持するデータ記憶部47と、演算部46の結果とデータ記憶部47とを比較する比較部48を備える。
図2において、ドップラシフト推定部4は、周波数変換を行うための信号を生成する発振器41と、発振器41の出力位相をπ/2シフトする移相器42と、受信信号と発振器41の信号を乗算するミキサ43aと、受信信号と移相器42の出力信号を乗算するミキサ43bと、ミキサ43a,43bの出力信号をデジタル化するA/D変換器44a,44bと、A/D変換器44a,44bから出力されるデジタル信号を帯域制限する帯域制限フィルタ45a,45bと、帯域制限されたデジタル信号から周波数スペクトラムを計算する演算部46と、ドップラスペクトラムの特徴的なパラメータを保持するデータ記憶部47と、演算部46の結果とデータ記憶部47とを比較する比較部48を備える。
演算部46は、高速/離散フーリエ変換(FFT)などにより離散的にドップラスペクトラムを求め、この結果を移動平均して雑音などの影響を低減してドップラスペクトラムに特徴的な形状を抽出する。比較部48は、データ記憶部47が有するドップラスペクトラムモデルに対してフィッティングを行い、最大ドップラ周波数を推定する。なお、ドップラスペクトラムモデルには、Jakes モデルやベル型モデルなどがあり、環境に応じて選択する。
図3は、本発明のドップラ周波数補正装置の実施例2の構成例を示す。
本実施例の特徴は、図1に示す実施例1の構成において、ドップラシフト推定部4で推定された最大ドップラ周波数を用いて送信部3からの送信信号の周波数を補正する周波数補正部7を備えたところにある。その他の構成は、図1に示すドップラ周波数補正装置と同様である。ただし、受信信号に対する周波数補正部5と送信信号に対する周波数補正部7で補正する周波数は逆符号となる。例えば、受信信号の周波数補正を−Δfとすると、送信信号の周波数補正は+Δfとなる。
本実施例の特徴は、図1に示す実施例1の構成において、ドップラシフト推定部4で推定された最大ドップラ周波数を用いて送信部3からの送信信号の周波数を補正する周波数補正部7を備えたところにある。その他の構成は、図1に示すドップラ周波数補正装置と同様である。ただし、受信信号に対する周波数補正部5と送信信号に対する周波数補正部7で補正する周波数は逆符号となる。例えば、受信信号の周波数補正を−Δfとすると、送信信号の周波数補正は+Δfとなる。
これにより、受信信号から推定される最大ドップラ周波数を用いて受信信号の周波数を補正することができ、受信部6におけるシンボルタイミングや周波数同期に対する要求が緩和されるとともに、同期確立に要する時間を短縮することができる。さらに、受信信号から推定される最大ドップラ周波数を用いて送信信号に周波数オフセットを与えることにより、端末局の送信信号を受信する基地局でもドップラシフトによる周波数オフセットが緩和され、シンボルタイミングや周波数同期に対する要求が緩和されるとともに、同期確立に要する時間を短縮することができる。
なお、受信信号周波数と送信信号周波数が異なるFDDシステムでは、受信信号から推定した最大ドップラ周波数を調整し、送信信号の周波数で生じるドップラシフトが送信先の基地局の受信部で相殺されるように送信信号の周波数補正値を決めるようにしてもよい。
図4は、本発明のドップラ周波数補正装置の実施例3の構成例を示す。
本実施例は、図5に示すように、端末局の移動に伴って基地局Aから基地局Bにハンドオーバが行われる場合に、2つの基地局との通信を行う2系統の送受信系を備える構成に適用されるものである。ここでは、端末局が基地局Aから遠ざかる速度と、次の基地局Bに近づく速度が逆符号でほぼ同等とする。すなわち、基地局Aから遠ざかる端末局は、基地局Aからの信号が−Δfのドップラシフトを受けて到達するとき、基地局Bからの信号が+Δfのドップラシフトを受けて到達するものとする。
本実施例は、図5に示すように、端末局の移動に伴って基地局Aから基地局Bにハンドオーバが行われる場合に、2つの基地局との通信を行う2系統の送受信系を備える構成に適用されるものである。ここでは、端末局が基地局Aから遠ざかる速度と、次の基地局Bに近づく速度が逆符号でほぼ同等とする。すなわち、基地局Aから遠ざかる端末局は、基地局Aからの信号が−Δfのドップラシフトを受けて到達するとき、基地局Bからの信号が+Δfのドップラシフトを受けて到達するものとする。
図4において、基地局Aとの送受信系をアンテナ1A、送受信切替部2A、送信部3A、受信部6Bとし、基地局Bとの送受信系をアンテナ1B、送受信切替部2B、送信部3B、受信部6Bとする。ドップラシフト推定部4は、アンテナ1Aおよび送受信切替部2Aを介して入力する基地局Aからの受信信号における最大ドップラ周波数−Δfを推定し、周波数補正部5Aを介して受信信号の周波数を補正して受信部6Bに出力する。さらに、ドップラシフト推定部4は、推定値と逆符号の最大ドップラ周波数+Δfを周波数補正部5Bに与え、アンテナ1Bおよび送受信切替部2Bを介して入力する基地局Bからの受信信号の周波数を補正して受信部6Bに出力する。
これにより、基地局Aからの受信信号から推定される最大ドップラ周波数を用いて、基地局Aおよび基地局Bからの受信信号の周波数を補正することにより、それぞれの受信部6A,6Bにおけるシンボルタイミングや周波数同期に対する要求が緩和されるとともに、同期確立に要する時間を短縮することができる。
なお、アンテナ1Aまたはアンテナ1Bのいずれか一方に、送受信切替部2Aおよび送受信切替部2Bを並列に接続することで、アンテナ数を1として構成してもよい。以下に示す実施例4においても同様である。
また、アンテナ1Bに受信する受信信号をドップラシフト推定部4に入力し、その受信信号から推定した最大ドップラ周波数の逆符号で、アンテナ1Aに受信する受信信号の周波数を補正してもよい。以下に示す実施例4においても同様である。
また、基地局Aと基地局Bが互いに異なる周波数で信号を送信する場合には、基地局Aの受信信号から推定した最大ドップラ周波数を調整し、基地局Bの受信信号の周波数で生じるドップラシフトが受信部6Bで相殺されるように、基地局Bの受信信号に対する周波数補正値を決めるようにしてもよい。
図6は、本発明のドップラ周波数補正装置の実施例4の構成例を示す。
本実施例の特徴は、図4に示す実施例3の構成において、ドップラシフト推定部4で推定された最大ドップラ周波数を用いて送信部3A,3Bからの送信信号の周波数を補正する周波数補正部7A,7Bを備えたところにある。その他の構成は、図4に示すドップラ周波数補正装置と同様である。ただし、基地局Aからの受信信号に対する周波数補正部5Aと基地局Aへの送信信号に対する周波数補正部7Aで補正する周波数は逆符号となる。また、基地局Bからの受信信号に対する周波数補正部5Bと基地局Bへの送信信号に対する周波数補正部7Bで補正する周波数は逆符号となる。例えば、基地局Aからの受信信号および基地局Bへの送信信号の周波数補正を−Δfとすると、基地局Bからの受信信号および基地局Aへの送信信号の周波数補正は+Δfとなる。
本実施例の特徴は、図4に示す実施例3の構成において、ドップラシフト推定部4で推定された最大ドップラ周波数を用いて送信部3A,3Bからの送信信号の周波数を補正する周波数補正部7A,7Bを備えたところにある。その他の構成は、図4に示すドップラ周波数補正装置と同様である。ただし、基地局Aからの受信信号に対する周波数補正部5Aと基地局Aへの送信信号に対する周波数補正部7Aで補正する周波数は逆符号となる。また、基地局Bからの受信信号に対する周波数補正部5Bと基地局Bへの送信信号に対する周波数補正部7Bで補正する周波数は逆符号となる。例えば、基地局Aからの受信信号および基地局Bへの送信信号の周波数補正を−Δfとすると、基地局Bからの受信信号および基地局Aへの送信信号の周波数補正は+Δfとなる。
これにより、基地局Aからの受信信号から推定される最大ドップラ周波数を用いて、基地局Aおよび基地局Bからの受信信号の周波数を補正することができ、受信部6A,6Bにおけるシンボルタイミングや周波数同期に対する要求が緩和されるとともに、同期確立に要する時間を短縮することができる。さらに、基地局Aからの受信信号から推定される最大ドップラ周波数を用いて、基地局Aおよび基地局Bへの送信信号に周波数オフセットを与えることにより、端末局の送信信号を受信する基地局Aおよび基地局Bでもドップラシフトによる周波数オフセットが緩和され、シンボルタイミングや周波数同期に対する要求が緩和されるとともに、同期確立に要する時間を短縮することができる。
なお、受信信号周波数と送信信号周波数が異なるFDDシステムや、さらに基地局Aと基地局Bが互いに異なる周波数で信号を送信する場合には、基地局Aの受信信号から推定した最大ドップラ周波数を調整し、送信信号の周波数で生じるドップラシフトが送信先の基地局A,Bの受信部で相殺されるように、また基地局Bの受信信号の周波数で生じるドップラシフトが受信部6Bで相殺されるように、基地局A,Bへの送信信号や基地局Bの受信信号に対する周波数補正値を決めるようにしてもよい。
1,1A,1B アンテナ
2,2A,2B 送受信切替部
3,3A,3B 送信部
4 ドップラシフト推定部
5,5A,5B 周波数補正部
6,6A,6B 受信部
7,7A,7B 周波数補正部
41 発振器
42 移相器
43a,43b ミキサ
44a,44b A/D変換器
45a,45b 帯域制限フィルタ
46 演算部
47 データ記憶部
48 比較部
2,2A,2B 送受信切替部
3,3A,3B 送信部
4 ドップラシフト推定部
5,5A,5B 周波数補正部
6,6A,6B 受信部
7,7A,7B 周波数補正部
41 発振器
42 移相器
43a,43b ミキサ
44a,44b A/D変換器
45a,45b 帯域制限フィルタ
46 演算部
47 データ記憶部
48 比較部
Claims (16)
- 無線通信装置の高速移動に伴う受信信号のドップラシフトによるドップラ周波数を補正するドップラ周波数補正装置において、
前記受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定するドップラシフト推定部と、
前記最大ドップラ周波数が相殺されるように前記受信信号の周波数を補正し、前記無線通信装置の受信部に出力する第1の周波数補正部と
を備えたことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 請求項1に記載のドップラ周波数補正装置において、
前記ドップラシフト推定部は、
前記受信信号を同相成分と直交成分のデジタル信号に変換する手段と、
前記同相成分と直交成分のデジタル信号から周波数スペクトラムを計算する手段と、
ドップラスペクトラムの特徴的なパラメータを保持する手段と、
前記周波数スペクトラムと前記パラメータを比較して前記最大ドップラ周波数を推定する手段と
を備えたことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 請求項1に記載のドップラ周波数補正装置において、
前記受信信号から推定される前記最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置の送信信号の周波数を補正する第2の周波数補正部を備えた
ことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 請求項3に記載のドップラ周波数補正装置において、
前記受信信号と前記送信信号の周波数が異なる構成であり、
前記第2の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数を調整し、前記送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が送信先の無線通信装置で相殺されるように前記送信信号の周波数を補正する構成である
ことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 請求項1に記載のドップラ周波数補正装置において、
前記無線通信装置(端末局)は、その移動方向の前後に位置する少なくとも2つの無線通信装置A(基地局A)および無線通信装置B(基地局B)からの受信信号を処理する受信部Aおよび受信部Bを備え、
前記ドップラシフト推定部は、前記無線通信装置A(基地局A)からの受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定する構成であり、
前記第1の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数が相殺されるように前記無線通信装置A(基地局A)からの受信信号の周波数を補正し、前記受信部Aに出力する構成であり、
さらに、前記最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正し、前記受信部Bに出力する第3の周波数補正部を備えた
ことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 請求項5に記載のドップラ周波数補正装置において、
前記無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数が異なる構成であり、
前記第3の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数を調整し、前記無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数で生じるドップラ周波数が相殺されるように前記無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正する構成である
ことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 請求項5に記載のドップラ周波数補正装置において、
前記最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数を補正する第2の周波数補正部を備え、
前記最大ドップラ周波数の同符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数を補正する第4の周波数補正部を備えた
ことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 請求項7に記載のドップラ周波数補正装置において、
前記無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数が異なる構成であり、
前記第2の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数を調整し、前記無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が前記無線通信装置A(基地局A)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正する構成であり、
前記第4の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数を調整し、前記無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が前記無線通信装置B(基地局B)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正する構成である
ことを特徴とするドップラ周波数補正装置。 - 無線通信装置の高速移動に伴う受信信号のドップラシフトによるドップラ周波数を補正するドップラ周波数補正方法において、
ドップラシフト推定部で前記受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定し、
第1の周波数補正部で前記最大ドップラ周波数が相殺されるように前記受信信号の周波数を補正し、前記無線通信装置の受信部に出力する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。 - 請求項9に記載のドップラ周波数補正方法において、
前記ドップラシフト推定部は、ドップラスペクトラムの特徴的なパラメータを保持する手段を備え、
前記受信信号を同相成分と直交成分のデジタル信号に変換し、
前記同相成分と直交成分のデジタル信号から周波数スペクトラムを計算し、
前記周波数スペクトラムと前記パラメータを比較して前記最大ドップラ周波数を推定する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。 - 請求項9に記載のドップラ周波数補正方法において、
第2の周波数補正部を備え、前記受信信号から推定される前記最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置の送信信号の周波数を補正する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。 - 請求項11に記載のドップラ周波数補正方法において、
前記受信信号と前記送信信号の周波数が異なる構成であり、
前記第2の周波数補正部は、前記受信信号から推定される前記最大ドップラ周波数を調整し、前記送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が送信先の無線通信装置で相殺されるように前記送信信号の周波数を補正する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。 - 請求項9に記載のドップラ周波数補正方法において、
前記無線通信装置(端末局)は、その移動方向の前後に位置する少なくとも2つの無線通信装置A(基地局A)および無線通信装置B(基地局B)からの受信信号を処理する受信部Aおよび受信部Bを備え、
前記ドップラシフト推定部は、前記無線通信装置A(基地局A)からの受信信号のドップラスペクトラムを測定し、ドップラスペクトラムから最大ドップラ周波数を推定し、
前記第1の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数が相殺されるように前記無線通信装置A(基地局A)からの受信信号の周波数を補正し、前記受信部Aに出力し、
さらに第3の周波数補正部を備え、前記最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正し、前記受信部Bに出力する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。 - 請求項13に記載のドップラ周波数補正方法において、
前記無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数が異なる構成であり、
前記第3の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数を調整し、前記無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数で生じるドップラ周波数が相殺されるように前記無線通信装置B(基地局B)からの受信信号の周波数を補正する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。 - 請求項13に記載のドップラ周波数補正方法において、
第2の周波数補正部を備え、前記最大ドップラ周波数の逆符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数を補正し、
第4の周波数補正部を備え、前記最大ドップラ周波数の同符号の最大ドップラ周波数で、前記無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数を補正する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。 - 請求項15に記載のドップラ周波数補正方法において、
前記無線通信装置A(基地局A)と無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数が異なる構成であり、
前記第2の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数を調整し、前記無線通信装置A(基地局A)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が前記無線通信装置A(基地局A)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正し、
前記第4の周波数補正部は、前記最大ドップラ周波数を調整し、前記無線通信装置B(基地局B)への送信信号の周波数で生じるドップラ周波数が前記無線通信装置B(基地局B)で相殺されるように当該送信信号の周波数を補正する
ことを特徴とするドップラ周波数補正方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010123951A JP2011250346A (ja) | 2010-05-31 | 2010-05-31 | ドップラ周波数補正装置および方法 |
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JP2015222933A (ja) * | 2014-05-23 | 2015-12-10 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 | 受信装置および受信方法 |
CN112804173A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-05-14 | 重庆电子工程职业学院 | 高动态大频偏载波跟踪方法 |
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