JP2011242522A - マイクロミラー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ミラー部の重量増加を最小限に抑えつつ、ミラー部の剛性を高め、ミラーが往復振動した場合でも反りや変形が生じることを防止できるマイクロミラー装置を実現する。
【解決手段】対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、前記ミラー基板101は、少なくとも応力制御の機能を有する応力制御層102と、反射層103と、増反射機能を有する増反射膜104を備え、前記応力制御層102は、引っ張り応力を有する層102-aと圧縮応力を有する層102-bとを交互に積層した多層構造であることを特徴とするので、質量の増加を最低限に抑えつつ剛性を高めることができ、ミラーの平坦性の確保や往復振動時の変形を効果的に抑えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光スキャナーや二次元走査ミラーなどに用いられるマイクロミラー装置に関するものであり、より詳しくは、ミラー部の高剛性化と軽量化を同時に実現し、さらに高い反射率を維持できるマイクロミラー装置に関するものである。そして本発明によるマイクロミラー装置は、画像形成装置や投影型ディスプレイ装置における光を走査する機構に応用することができる。
従来、光応用分野において、光ビームを走査する手段としてこれまでに多くの方式、技術が提案され、実現されてきた。代表的な例として、電子写真方式による画像形成装置が挙げられる。これまでこの分野では、ポリゴンミラーと呼ばれる多面体の反射面を有するミラーを高速で回転させて、光を走査する方式が一般的に用いられてきた。しかし、ポリゴンミラー方式は、多面体ミラーと、それを高速で回転させるモーターが必須の構成要件であり、光走査システムの小型化と省エネルギーの面から改善が強く望まれている。
近年、ポリゴンミラー方式に変わる光走査システムとして、マイクロマシニング技術を用いたマイクロミラー装置の開発が盛んになってきている。この技術は主にSiを母材とし、半導体製造技術を利用した微細加工技術により製造するもので、従来のポリゴンミラーに比較して小型化がはるかに容易であり、省エネルギー駆動が可能であるという非常に大きな特徴を有している。しかしながら、このマイクロミラー装置にも以下のような問題がある。
光を走査するために往復振動するミラーの剛性が低い場合、振動による慣性力によりミラーが撓むなどの変形が生じる。そして、このような変形が生じると、反射された光ビームの光学特性に大きく影響を与えるので、ミラーの撓みなどによる変形を極力低減させる必要がある。
このような慣性力による動的な変形を低減させる方法として、ミラーとなる部分の厚さを厚くしてミラー部の剛性を向上させるという方法がある。しかしながら、このような手法では、ミラー部の慣性モーメントが増加することになり、ミラーの振れ角が小さくなるか、または同じ振れ角を達成しようとした場合には、駆動エネルギーの増加が必要不可欠となるという新たな問題が生じる。
そこで上記の問題を解決するため、往復振動するミラーを有するマイクロミラー装置やそれを用いた光スキャナーにおいて、応力を制御してミラーの動的な変形や反りを低減、解消させる技術や、ミラー部の反射層に誘電体膜の多層構造を用いて高い反射率を実現する従来技術が提案されており、例えば以下に説明する公知技術がある。
特許文献1(特開2003−22414号公報)には、バーコードリーダの可動ミラーについて、ガラス基板上に高屈折材料及び低屈折材料を光学的な厚さでそれぞれ光線のλ/4ずつ交互に重ねた誘電体多層膜により構成するものが記載されている。
また、特許文献2(特開2006−317603号公報)には、ミラー膜として、銀膜の上にアルミニウム膜を1nm〜5nmの厚みとした上で、その上に増反射膜を設けることが記載されており、増反射膜は、SiO、Al、ZrO、SnO、Si、SiOの中から選ばれる低屈折率膜と、TiO、Nb、Ta、ZnO、Si、SiOの中から選ばれる高屈折率膜とを交互に2〜5層積層したものであることを特徴としている。
特許文献3(特開2007−7982号公報)には、Ag膜、及びAg合金膜上に形成する増反射膜に関する技術であって、屈折率の低い第一の透明膜であるITO膜と、屈折率の高い第二の透明膜であるITO膜、IZO膜、AZO膜、GZO膜、ATO膜、In膜、ZnO膜、またはSnO膜のいずれかの膜とを、第一、第二の透明膜の順で少なくとも二層積層した反射膜について記載されている。
また、特許文献4(特開2009−116263号公報)には、レーザー光用光学ミラーにおいて、Au膜、Ag膜、さらにこれらの膜の上に増反射膜や表面保護膜を形成することによって生じる凹面形状もしくは凸面形状に変形することを防止するために、応力調整膜を形成することが記載されている。
特許文献5(特開2005−308863号公報)には、ねじり梁の非支持端は一対の連結部材を介しミラー基板と連結されており、ミラー基板をねじり梁と直接結合して振動させた場合の動的撓み量のピーク位置より、回転中心軸から遠い位置においてミラー基板と連結部材が結合される構成の偏向ミラーが記載されている。この従来技術では、上記のような連結部材の介在によりミラー基板の動的撓み変形が抑制され、動的歪み量の小さい領域が拡大し、かつ、その領域内の動的撓み量も減少させることができる。
特許文献6(特開2002−267996号公報)には、ミラー基板を静電力により往復振動させる光走査装置において、ミラー基板の湾曲を防止するために、ミラー基板のミラー面が形成されない裏面に、応力調整層として圧縮応力を有する金属薄膜を成膜することが記載されている。
本発明と同様の課題の解決を目的とした技術、および類似の構成を有する技術、つまりミラーの変形、反りを解決する従来技術、および、ミラー部に多層構造の積層体を設ける従来技術としては、前述したように種々の提案がなされているが、それらの従来技術と本発明との差異について説明する。
特許文献1に記載の従来技術は、バーコードリーダの可動ミラーをガラス基板上に高屈折材料及び低屈折材料を光学的な厚さでそれぞれ光線のλ/4ずつ交互に重ねた誘電体多層膜により構成するものである。
しかし、この従来技術による可動ミラーは、反射層として高屈折材料及び低屈折材料を交互に重ねた構造を有しているのみで、応力の制御や、応力に起因するミラー部の反りに関しては全く言及されていない。
すなわち、この従来技術では、あくまでも反射層として積層構造を利用するために、高屈折材料及び低屈折材料を交互に重ねた構造を用いているのみであって、単に光学特性の見地から設計しているものに過ぎない。つまり応力の制御や、応力に起因するミラー部の反りに関しては全く言及していないという点で後述する本発明とは明らかに異なる技術である。
特許文献2に記載の従来技術は、ミラー膜として、銀膜の上にアルミニウム膜を1nm〜5nmの厚みとした上で、その上に増反射膜を設けることを特徴としているものであり、増反射膜は、SiO、Al、ZrO、SnO、Si、SiOの中から選ばれる低屈折率膜と、TiO、Nb、Ta、ZnO、Si、SiOの中から選ばれる高屈折率膜とを交互に2〜5層積層したものであることを特徴としているものであるが、応力の制御や、応力に起因するミラー部の反りに関しては全く言及されていない。
すなわち、この従来技術は、増反射膜としての条件として屈折率のみに注目しているものであり、後述する本発明のごとく屈折率と応力の二つの特性を同時に制御することによって初めて発揮される機能については全く言及されていない。
特許文献3に記載の従来技術は、Ag膜、及びAg合金膜上に形成する増反射膜に関する技術であって、屈折率の低い第一の透明膜であるITO膜と、屈折率の高い第二の透明膜であるITO膜、IZO膜、AZO膜、GZO膜、ATO膜、In膜、ZnO膜、またはSnO膜のいずれかの膜とを第一、第二の透明膜の順で少なくとも二層積層した反射膜についてのものである。しかしながら、この従来技術では、応力の制御や、応力に起因するミラー部の反りに関しては全く言及されていない。
それに対して、後述する本発明では、圧縮応力を有する層と引っ張り応力を有する層とを交互に積層した多層構造が応力制御層として機能するもので、各層はナノメートル・オーダーの膜厚で積層するものであるので、これによる重量増加はほとんど無視できるほど小さいものであって、積層する層数や材料によって、応力制御の効果をほかの要因に左右されず独立に設計、制御できる特徴を有している。
特許文献4に記載の従来技術は、レーザー光用光学ミラーにおいて、Au膜、Ag膜、さらにこれらの膜の上に増反射膜や表面保護膜を形成することによって生じる凹面形状もしくは凸面形状に変形することを防止するために、応力調整膜を形成するというものである。しかしながら、この従来技術では、単純に応力による変形をキャンセルするための応力調整膜としての機能しかないために、静止状態では変形防止の効果は期待できるものの、マイクロミラーのように高速で振動するミラーにおいては、その効果が不十分とならざるを得ないものである。
また、この従来技術は、応力を制御する層を設けるという点では本発明に類似の技術に思えるが、その設計思想や効果が全く異なるものである。つまり、この従来技術は、応力調整膜により反りを矯正するものである。つまり、発生した応力をちょうど打ち消すような応力調整膜を形成するという技術である。この技術によれば確かに、応力の補償を行なうことで静的な状態での反りは矯正、低減できる可能性はあるかもしれない。しかし、それは、単に応力のバランスを取って反りを矯正しているのみであって、ミラー部の剛性を高めているわけでは決してない。この点が本発明と根本的に異なる点である。
特許文献5に記載の従来技術では、ねじり梁の非支持端は一対の連結部材を介しミラー基板と連結されており、ミラー基板をねじり梁と直接結合して振動させた場合の動的撓み量のピーク位置より、回転中心軸から遠い位置においてミラー基板と連結部材が結合される構成の偏向ミラーが記載されており、上記のような連結部材の介在によりミラー基板の動的撓み変形が抑制され、動的歪み量の小さい領域が拡大し、かつ、その領域内の動的撓み量も減少させることができるが、ミラー基板の支持構造が複雑となり、加工コストがかかる。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、往復振動するミラーを有するマイクロミラー装置において、ミラー部に応力制御層を設けることによりミラー部の重量増加を最小限に抑えつつ、ミラー部の剛性を高め、ミラーが往復振動した場合でも、反りや変形が生じることを防止できるマイクロミラー装置を実現する技術を提供することを課題(目的)とする。また、本発明は、応力制御層の屈折率を制御した誘電体膜の積層構造で応力制御層を形成することにより増反射膜として機能させ、高温、高湿の劣悪な環境においても高い反射率を維持できるマイクロミラー装置を実現する技術を提供することを課題(目的)とする。さらに本発明は、反射層に金属層を用いる構成も提案しており、この構成では、広範囲の波長に対して高い反射率を発揮できるマイクロミラー装置を実現する技術を提供することを課題(目的)とする。
上記の課題を解決するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
[1]:対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、前記ミラー基板は、少なくとも応力制御の機能を有する応力制御層と、反射層と、増反射機能を有する増反射膜を備え、前記応力制御層は、引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造であることを特徴とする(請求項1)。
[2]:対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、前記ミラー基板は、応力制御の機能を有する応力制御層と、反射層と、増反射機能を有する増反射膜を備え、ミラー母材上に順に前記応力制御層、前記反射層、前記増反射膜が形成されて成る構成であり、前記応力制御層は引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造であることを特徴とする(請求項2)。
[3]:対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、前記ミラー基板は、応力制御の機能と増反射機能とを有する応力制御増反射膜と、反射層を備え、ミラー母材上に順に前記反射層、前記応力制御増反射膜が形成されて成る構成であり、前記応力制御増反射膜は、引張り応力を有し相対的に屈折率が低い材料からなる層と圧縮応力を有し相対的に屈折率が高い材料からなる層とを交互に積層した積層構造であるか、若しくは、引張り応力を有し相対的に屈折率が高い材料からなる層と圧縮応力を有し相対的に屈折率が低い材料からなる層とを交互に積層した積層構造から成る応力制御増反射膜であることを特徴とする(請求項3)。
ここで、上記において、相対的に屈折率が高い、低いとは、或る数値以上、以下ということではなく、交互に積層する2種類の層において、相対的に比較した場合に、一方が屈折率が高く、他方の屈折率が低いということである。
[4]:対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、前記ミラー基板は、応力制御の機能を有する応力制御層と、反射層と、増反射機能を有する増反射膜を備え、ミラー母材上に少なくとも順に前記反射層、前記増反射膜が形成され、前記反射層及び前記増反射膜が形成された面とは反対側の面に、前記応力制御層が形成されて成る構成であり、前記応力制御層は引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造であることを特徴とする(請求項4)。
[5]:[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のマイクロミラー装置において、前記反射層が金属材料からなることを特徴とする(請求項5)。
[6]:[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のマイクロミラー装置において、前記反射層は少なくとも3層からなり、密着層、ブロッキング層、反射層を有する構造であることを特徴とする(請求項6)。
[7]:[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のマイクロミラー装置において、前記反射層がすべて無機材料からなる誘電体多層膜で形成されていることを特徴とする(請求項7)。
解決手段の[1]、[2]に記載のマイクロミラー装置においては、往復振動するミラー部は応力制御層と反射層と増反射膜を有している構造であり、応力制御層は引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造であるために、質量の増加を最低限に抑えつつ剛性を高めることができ、ミラーの平坦性の確保や往復振動時の変形を効果的に抑えることができる。
解決手段の[3]に記載のマイクロミラー装置においては、上記と同様の効果に加え、反射層の上に形成された応力制御層と増反射膜が実質的に同じ層(膜)である構造であるために、構成要素が少なくて済み、さらにミラーの軽量化が期待できる。
解決手段の[4]に記載のマイクロミラー装置においては、ミラー基板の構成がミラー母材上に少なくとも順に反射層、増反射膜が形成されており、該反射層及び増反射膜が形成された面とは反対の面に前記応力制御層が形成されていることにより、[1]、[2]と同様の効果に加え、形成プロセスの自由度が高く、安定した達成手段が得られる。
解決手段の[5]に記載のマイクロミラー装置においては、[1]乃至[4]のいずれか一つの効果に加え、反射層は金属膜により形成されることを特徴としているために、広範囲の波長に対して高い反射率が得られるマイクロミラー装置が実現できる。
解決手段の[6]に記載のマイクロミラー装置においては、[1]乃至[4]のいずれか一つの効果に加え、反射層は少なくとも3層からなり、ミラー母材に近いほうから密着層、ブロッキング層、反射層を有する構造であることを特徴とするために、反射層全体の密着性、熱的安定性に優れたマイクロミラー装置が実現できる。
解決手段の[7]に記載のマイクロミラー装置においては、[1]乃至[4]のいずれか一つの効果に加え、反射層を構成する各層が全て無機材料であることを特徴としているために、耐熱性、耐プラズマ性、耐環境性に優れたマイクロミラー装置が実現できる。
本発明によるマイクロミラー装置のミラー部の構成の一例を模式的に示す断面図である。 本発明によるマイクロミラー装置のミラー部の構成の別の例を模式的に示す断面図である。 本発明によるマイクロミラー装置のミラー部の構成の別の例を模式的に示す断面図である。 本発明によるマイクロミラー装置のミラー部の構成の別の例を模式的に示す断面図である。 本発明によるマイクロミラー装置のミラー部の構成の別の例を模式的に示す断面図である。 本発明によるマイクロミラー装置の一例を示す斜視図である。
本発明は、マイクロミラー装置において、ミラー部の慣性モーメントに大きく影響を与える重量の増加を最小限に抑えつつ、ミラー部の剛性を向上させて往復振動時の変形を極力低減させるものである。それを達成するために、ミラー部に応力制御層を設けることを大きな特徴としているものである。また、ミラーの耐熱性や耐環境性を向上させることも目的としており、それを実現するために、応力制御層そのものに大きな特徴を有しているものである。具体的には、応力制御層は圧縮応力を有する層と引っ張り応力を有する層を交互に積層した多層構造で実現するものであって、非常に薄い膜厚の積層体で効果が得られるために重量の増加を極力抑えることができる。さらに、応力制御層を構成する圧縮応力を有する層と引っ張り応力を有する層の、それぞれの屈折率を光学設計に基づき独立に制御することにより、増反射膜として機能させることもできるというものである。
以下、本発明のマイクロミラー装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の基本的な構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明によるマイクロミラー装置のミラー部の構成の一例について断面図を用いて模式的に示したものである。図1においては、ミラー母材101 上に、応力制御層102 が形成されており、その上に反射層103 、さらに増反射膜104 が形成されている様子を示している。ここで、応力制御層102 は引張り応力を有する層102-a と圧縮応力を有する層102-b が交互に積層されて形成されているものであって、その膜厚はナノメートルのオーダーで制御されているものである。反射層103 は金(Au)やアルミニウム(Al)といった高反射金属膜で形成されているものである。そして、増反射膜104 としては、屈折率が制御された誘電体膜などが利用される。
このように本発明では、応力制御層102 と反射層103 と増反射膜104から成るために、それぞれの層が所望の特性を発揮するように、独立に設計することができる点が大きな特徴である。
まず、応力制御層102 の構成について説明する。応力制御層102 は引張り応力を有する層102-a と圧縮応力を有する層102-b が交互に積層されて形成されているものであって、各層の膜厚はナノメートル・オーダーで制御されているものである。このような積層構造は、半導体製造技術の分野で一般的に用いられる薄膜形成方法を利用することで容易に実現することができる。具体的には、スパッタリング法やプラズマCVD法、さらには電子ビーム蒸着法などが挙げられる。一般にこのような薄膜形成法で成膜できる材料は、引張り応力を有する膜も、圧縮応力を有する膜も、いずれの膜も形成が可能であるばかりではなく、これらの薄膜形成法は、その作成条件により、同じ材料の薄膜であっても、圧縮応力を有する膜から引っ張り応力を有する膜まで比較的制御性よくコントロールすることができるという特徴を有している。また、スパッタリング法やプラズマCVD法、さらには電子ビーム蒸着法などの真空プロセスを利用した薄膜形成法は成膜速度の再現性、安定性に優れた形成法であるために、成膜速度を把握することにより、ナノメートル・オーダーであっても所望の膜厚を実現することは容易に行なえるものである。
用いることのできる材料は、利用できる成膜手法や必要とする応力の観点から適宜選択することが可能であるが、例えば、シリコン酸化膜(SiO)やアルミナ(Al)などの酸化膜、及びシリコン窒化膜(SiN)や窒化チタン膜(TiN)等の窒化膜等がその応力制御の容易さ、膜の安定性から好適である。さらには、銅(Cu)やタングステン(W)といった金属膜も形成条件によってその応力が引張り応力から圧縮応力まで制御可能であるので適した材料であると言える。
次に,このような引張り応力を有する層と圧縮応力を有する層が交互に積層された構造において、剛性が向上する現象について説明する。引張り応力を有する層と圧縮応力を有する層が交互に積層された構造は異方性を持った応力分布を有することになる。その結果、例えば本来強度の低い層に圧縮応力が作用する場合は、層の強度は圧縮応力分だけ本来の強度よりも向上し、高強度化が実現できる。一方、引張り応力と圧縮応力が隣接する層の界面付近では、発生しようとするクラックと残留応力の相互作用により、クラック進展方向が偏向あるいは阻害されて結果的に高靭化される。このように積層構造を利用して高強度化、高靭化を実現することで、これまでさまざまな複合セラミックス材料が研究・開発されてきた。本発明は、この高強度化、高靭化を実現する積層構造を得るため、膜厚をナノメートル・オーダーで制御するという技術的特徴を有しているために、全体の膜厚をむやみに厚くすることなく、ミラー母材の剛性向上を実現するというものである。さらに、積層する層数の増加、また、効果を生み出す界面の数の増加は、容易に実現できるものであるために、制御性良く、確実に効果が実現できる構造を得ることができる。このようにして形成した応力制御層102 の上にさらにミラーとして機能する反射層103 を形成し、さらに増反射膜104 を形成してミラー部全体の構成が完成する。この部分が、本発明の最も大きな特徴である。このように応力制御層102 と反射層103 を膜厚方向で積層する構成では、ミラー部の大きさを必要最低限に抑えることができ、ミラー部の小型化、軽量化が容易に達成できる
次に増反射膜104 について説明する。図1においては、増反射膜104 は低屈折率層と高屈折率層を積層されて形成されるものである。このような増反射膜は一般的によく知られているものを用いることができ、その形成方法は、スパッタリング法やプラズマCVD法、さらには電子ビーム蒸着法といった、やはり半導体製造プロセスで一般的に用いられる制御性に優れた技術を用いて形成可能である。
次に、図2は、応力制御層と増反射膜が実質的に同一の層(膜)である場合のミラー部の構成例について、その断面図を用いて模式的に示したものである。「実質的に同一」ということは、引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造が、応力を制御されて形成されたことによって「応力制御層」として機能し、同時に、屈折率も同時に制御されて形成されることによって「増反射膜」として機能することを意味している。
図2においては、ミラー母材201 上に、金属膜からなる反射層203 が形成されており、その上に応力制御増反射膜205 が形成されている様子を示している。ここでは、先に述べた応力制御層において各層の屈折率も制御して形成することで増反射膜としての機能を持たせたものを「応力制御増反射膜」と呼ぶこととする。
図2の例では、応力制御増反射膜205 は、引張り応力を有し相対的に屈折率が低い材料からなる層(引張り応力/低屈折率層)205-a と、圧縮応力を有し相対的に屈折率が高い材料からなる層(圧縮応力/高屈折率層)205-b とを交互に積層した積層構造であるが、これとは逆に、引張り応力を有し相対的に屈折率が高い材料からなる層と、圧縮応力を有し相対的に屈折率が低い材料からなる層とを交互に積層した積層構造から成る応力制御増反射膜であってもよい。
ここで、上記において、相対的に屈折率が高い、低いとは、或る数値以上、以下ということではなく、交互に積層する2種類の層において、相対的に比較した場合に、一方が屈折率が高く、他方の屈折率が低いということである。
反射層203 に用いられる金属は、可視域全般の波長であればアルミニウム(Al)が好適であり、可視域の長波長領域から近赤外の領域であれば金(Au)が好適である。この他にも、銀(Ag)や白金(Pt)など、目的や使用環境に応じて適宜選択することができる。
一方、応力制御増反射膜205 は図1で示した構成と同様に、引張り応力を有する層205-a と圧縮応力を有する層205-b が交互に積層されて形成されているものであって、その膜厚はナノメートルのオーダーで制御されているものである。
また、金属を反射層として用いる場合は、金属材料を単層の構成として用いてもよいが、下地基板との密着性を向上させるための密着層、さらには、反射材料と密着層の相互拡散や反応を防止するためのブロッキング層を適宜選択し設けてもよい。その様子を模式的に示したミラー部の構成例が図3である。
図3に示す構成例では、ミラー母材301 の上に、引張り応力層302-a と圧縮応力層302-b
を交互に積層した多層構造の応力制御層302 が形成され、の応力制御層302 の上に、密着層303-a 、ブロッキング層303-b 、ミラー層(反射層)303-c からなる反射層303 が形成され、さらにその上に増反射膜304 が設けられている。
密着層303-a として用いられる材料は、下地材料との組合せで適宜選択すべきものであるが、一般的にチタン(Ti)やクロム(Cr)などの金属材料、または、窒化チタン(TiN)や窒化アルミニウム(AlN)等の金属窒化物が好適である。また、ブロッキング層303-b は、密着層303-a とミラー層(反射層)303-c の相互拡散や合金化を防止するためのものであるので、それらの機能が期待できる白金(Pt)やタングステン(W)が好適である。このような構成とすることにより、金属材料を単層で用いた場合に比較して、耐熱性、耐環境性が向上する効果が得られる。
本発明においては、反射層として金属材料を用いずに、誘電体多層膜による反射層を用いることもできる。すなわち、相対的に屈折率の低い材料と屈折率の高い材料とを、対象とする波長の1/4の厚さで積層することにより、光の干渉効果に基づいて、各層の境界面からの反射光が相加的に重なって非常に効率の高い反射層として機能するものである。狙いの波長がどれぐらいで、どの程度の反射率を必要とするのかという要求に対して、屈折率の低い材料と屈折率の高い材料の屈折率を、それぞれどれぐらいにすればいいのか、また、各層の膜厚はどれぐらいが必要なのかという点に関しては、一般的なパーソナルコンピューターで使用できる設計ソフトが広く知られているものである。
一般的にこのような屈折率の低い材料と屈折率の高い材料としては、誘電体が用いられる場合が多く、そのため誘電体多層膜と呼ばれることも多い。また、その形成方法は、スパッタリング法やプラズマCVD法、さらには電子ビーム蒸着法といった、これもやはり半導体製造プロセスで一般的に用いられる制御性に優れた技術を用いて形成可能である。一般的にこのように誘電体材料を用いる反射層は、金属膜に比較して、温度や雰囲気に対する耐久性が優れており、また、機械的強度も高いために耐磨耗性にも優れている。従って、ミラーの使用される温度や環境等に応じて適宜選択されるべきものである。このような誘電体多層膜を反射層に用いたミラー部の構成例を模式的に示したものが図4である。
図4に示す構成例では、ミラー母材401 の上に、引張り応力層402-a と圧縮応力層402-b を交互に積層した多層構造の応力制御層402 が形成され、の応力制御層402 の上に、誘電体多層膜からなる反射層403 が形成され、さらにその上に増反射膜404 が設けられている。
以上のように、本発明のマイクロミラー装置では、ミラー部に、応力制御層と反射層と増反射膜(または、応力制御層と増反射膜の機能を有する応力制御増反射膜と反射層)を有している点が本発明の大きな特徴であるが、このような三つの機能を有する積層構造の構成は、これまで説明したような、同じ面において膜厚方向での積層構造に限定される必要はなく、ミラー母材の表裏両面に分けて形成する構成も可能である。その場合のミラー部の構成例を模式的に示したものが図5である。図5に示す構成例おいては、応力制御層502 が形成されたミラー母材501 の反対側の面に反射層503 と増反射膜504 が形成されている様子を示している。
また、図5の構成においても、金属を反射層として用いる場合は、金属材料を単層の構成として用いてもよいが、図3と同様に、下地基板との密着性を向上させるための密着層、さらには、反射材料と密着層の相互拡散や反応を防止するためのブロッキング層を適宜選択し設けてもよい。また、反射層503 としては、図4と同様に、誘電体多層膜を用いることもできる。
次に、図6は本発明のマイクロミラー装置の全体像を模式的に示す斜視図である。なお、図6では、往復振動するミラーを駆動する機構の図示は省略している。
図6に示すマイクロミラー装置のミラー部は、例えば図1に示した構成例のような積層構造を有しており、ミラー母材601 上に応力制御層604 と反射層+増反射膜605 を積層形成した後、公知のマイクロマシン技術を用いて加工され、捻り梁602 とフレーム603 が形成される。
なお、ミラー部の構成についてはこれに限るものではなく、図1〜5のいずれかに示した積層構造であればよい。
また、本発明は、駆動方式にとらわれることなく効果が発揮できるものであるので、一般的な駆動方式である圧電素子駆動方式、静電駆動方式、電磁駆動方式の、いずれの駆動方式であってもよい。
以下、具体的な実施例を用いて、本発明のマイクロミラー装置について更に詳細に説明する。
[実施例1]
本発明の第1の実施例について図1を参照しながら説明する。
本実施例では、応力制御層102 として、引張り応力を有する層であるSiN膜102-a と、圧縮応力を有する層であるSiO膜102-b を交互に積層した積層構造を形成し、その上に反射層103 としてAl膜を形成し、さらに増反射膜104 として、反射層103 の上に、低屈折率層としてのSiO膜と、高屈折率層としてのTiO膜を形成する例について説明する。
ミラー母材101 となる基板として、SOI(Silicon On Insulator)ウェハを用いた。このSOI(Silicon On Insulator)ウェハは絶縁層としてのシリコン酸化膜の厚さが、1μm、それをはさむ形で反射層が形成される表面側のシリコン層が100μm、裏面側のシリコン層が300μm形成されたものである。このSOIウェハに対して、一般的なマイクロマシン技術を用いてマイクロミラー装置を形成した。
本発明の特徴である、応力制御層と反射層の形成方法について以下に説明する。プラズマCVD法により以下の表1に示す条件でSiN膜とSiO膜の積層構造を作成した。
Figure 2011242522
上記の条件で作成したSiN膜とSiO膜のそれぞれの応力は事前の実験の結果得られており、SiN膜は900MPaの引張り応力、SiO膜は1GPaの圧縮応力であることがわかっている。このようなSiN膜とSiO膜とをそれぞれ5層、計10層の積層構造を形成し応力制御層102 とした。
本実施例では、反射層103 として、応力制御層102 の上に、さらにAl膜をDCマグネトロンスパッタリング法により形成した。形成条件を以下の表2に示す。
Figure 2011242522
本実施例では、増反射膜104 として、さらに反射層103 の上に、低屈折率層としてのSiO膜、高屈折率層としてのTiO膜をRFマグネトロンスパッタリング法により形成した。形成条件を以下の表3に示す。
Figure 2011242522
上記の条件で作成したSiO膜とTiO膜のそれぞれの屈折率は事前の実験の結果得られており、SiO膜の屈折率は1.45、TiO膜はアナタース型構造であって屈折率は2.52であった。
このようにして、ミラー母材101 となる基板(SOIウェハ)上に、応力制御層102 、反射層103 及び増反射膜104 を形成後、公知のマイクロマシン技術を用いて加工し、図6に示すようなガルバノミラー型マイクロミラー装置を完成させた。ミラー部の反射率は、780nmのレーザー光に対して98.5%を示し、周波数2kHzで駆動させた場合の撓みによる変形量も、ほとんど無視できる量に抑えることができた。
このようにして得られたマイクロミラー装置を、450℃、85%の環境試験を行なったところ、反射率の低下はわずか1%と非常に耐熱性に優れたマイクロミラー装置であることが確認できた。
[実施例2]
本発明の第2の実施例について図2を参照しながら説明する。
本実施例では、反射層203 としては、実施例1と同様にAl膜を用いた。この反射層203 の上に形成する応力制御増反射膜205 として、低屈折率で引張り応力を有するMgF膜から成る引張り応力層205-a と、高屈折率で圧縮応力を有するSiO膜から成る圧縮応力層205-b の積層構造を形成した例について説明する。
ミラー母材201 となる基板材料としては、実施例1と同様にSOI(Silicon On Insulator)ウェハを用いた。このSOIウェハは、絶縁層としてのシリコン酸化膜の厚さが1μm、それをはさむ形で応力制御反射層203 が形成される表面側のシリコン層が100μm、裏面側のシリコン層が300μm形成されたものである。このSOIウェハに対して、一般的なマイクロマシン技術を用いてマイクロミラー装置を形成した。
本発明の特徴である応力制御増反射膜205 の形成方法について以下に説明する。RFマグネトロンスパッタリング法により、以下の表4に示す条件でMgF膜とSiO膜の積層構造を作成した。
Figure 2011242522
上記の条件で作成したMgF膜とSiO膜のそれぞれの応力は、事前の実験結果から得られており、MgF膜は900MPaの引張り応力、SiO膜は1GPaの圧縮応力であることが分かっている。このようなMgF膜とSiO膜とを、それぞれ6層、計12層の積層構造を形成して応力制御増反射膜205 とした。
一方、屈折率について説明すると、上記の条件で作成したMgF膜とSiO膜のそれぞれの屈折率は、事前の実験結果から得られており、MgF膜の屈折率は1.38、SiO膜の屈折率は1.46であった。
このようにして応力制御増反射膜205 を形成後、公知のマイクロマシン技術を用いて加工し、図6に示すようなガルバノミラー型マイクロミラー装置を完成させた。反射率は、780nmのレーザー光に対して99.2%を示し、周波数5kHzで駆動させた場合の撓みによる変形量も、殆ど無視できる量に抑えることができた。
このようにして得られたマイクロミラー装置について、450℃、85%の環境試験を行なったところ、反射率の低下はわずかに0.8%であり、非常に耐熱性に優れたマイクロミラー装置であることが確認できた。
[実施例3]
本発明の第3の実施例について図3を参照しながら説明する。
本実施例では、これまでの実施例とは異なり、反射層303 として密着層303-a 、ブロッキング層303-b 、ミラー層303-c の三層構造を用いた例について説明する。応力制御層302 は実施例1に記載したものと同じで、引張り応力を有するSiN膜302-a と圧縮応力を有するSiO膜302-b の積層構造を採用した。この上にさらに金属を用いて反射層303 を形成した。その内容について説明する。波長780nmのレーザー光源に対する反射層303 として機能することを想定し、表層のミラー層303-c は金(Au)を採用することとした。しかし、前述の引張り応力を有するSiN膜302-a と圧縮応力を有するSiO膜302-b の積層構造に直接、金を形成すると密着性に問題があるために、密着層303-a としてチタン(Ti)を用い、また、チタン(Ti)と金(Au)の相互拡散を防止する目的でブロッキング層303-b として白金(Pt)を用いた。これらの金属層はすべて、電子ビーム蒸着法により形成し、それぞれの膜厚は、チタン(Ti):50nm、白金(Pt):50nm、金(Au):100nmとした。これらの膜厚は、電子ビーム蒸着装置に付属の水晶発振式膜厚モニターの信号をもとに制御して形成した。
[実施例4]
本発明の第4の実施例について図4を参照しながら説明する。
本実施例では、これまでの実施例とは異なり、反射層に誘電体多層膜を用いた例について説明する。応力制御層402 は実施例1と同様の構成を用いた。その上に反射層403 を形成するために、低屈折率層としてSiO膜、高屈折率層としてTiO膜をRFマグネトロンスパッタリング法により形成した。形成条件を以下の表5に示す。
Figure 2011242522
上記の条件で作成したSiO膜とTiO膜のそれぞれの屈折率は事前の実験の結果得られており、SiO膜の屈折率は1.45、TiO膜はアナタース型構造であって屈折率は2.52であった。
さらにその上に、増反射膜として機能するための構成として、低屈折率膜であるAl膜、高屈折率膜であるTa膜を積層して形成した。
本実施例では、応力制御層402 、誘電体多層膜反射層403 、増反射膜404 のすべてが無機材料で形成されているために、Oプラズマアッシングを1時間、さらに真空中での400度の熱処理を1時間行っても、初期の反射特性を維持していた。
[実施例5]
本発明の第5の実施例について図5を参照しながら説明する。
本実施例では、これまで説明してきたような応力制御層、反射層及び増反射膜が膜厚方向で同じ面に積層した構造ではなく、ミラー母材501 を挟んで、応力制御層502 と、反射層503 及び増反射膜504b が、対向する面上に形成された構造についての実施例である。
すなわち、本実施例では、ミラー母材501 となる基板(例えばSOIウェハ)の一方の面に応力制御層502 を形成し、その反対側の面に反射層503及び増反射膜504 を形成したものである。このような構造とすることで、応力制御層502 、反射層503 及び増反射膜504 のそれぞれが、お互いに制約を受けずに最適な構成、条件で形成することができるという利点が得られる。
101、201、301、401、501、601:ミラー母材(基板)
102、302、402、502、604:応力制御層
102-a、302-a、402-a、502-a:引張り応力層
102-b、302-b、402-b、502-b:圧縮応力層
103、203、303、503:反射層
104、304、404、504:増反射膜
205:応力制御増反射膜
205-a:引張り応力/低屈折率層
205-b:圧縮応力/高屈折率層
303-a:密着層
303-b:ブロッキング層
303-c:ミラー層
403:誘電体多層膜反射層
602:捻り梁
603:フレーム
605:反射層+増反射膜
特開2003−22414号公報 特開2006−317603号公報 特開2007−7982号公報 特開2009−116263号公報 特開2005−308863号公報 特開2002−267996号公報

Claims (7)

  1. 対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、
    前記ミラー基板は、少なくとも応力制御の機能を有する応力制御層と、反射層と、増反射機能を有する増反射膜を備え、
    前記応力制御層は、引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造であることを特徴とするマイクロミラー装置。
  2. 対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、
    前記ミラー基板は、応力制御の機能を有する応力制御層と、反射層と、増反射機能を有する増反射膜を備え、
    ミラー母材上に順に前記応力制御層、前記反射層、前記増反射膜が形成されて成る構成であり、
    前記応力制御層は引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造であることを特徴とするマイクロミラー装置。
  3. 対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、
    前記ミラー基板は、応力制御の機能と増反射機能とを有する応力制御増反射膜と、反射層を備え、ミラー母材上に順に前記反射層、前記応力制御増反射膜が形成されて成る構成であり、
    前記応力制御増反射膜は、引張り応力を有し相対的に屈折率が低い材料からなる層と圧縮応力を有し相対的に屈折率が高い材料からなる層とを交互に積層した積層構造であるか、若しくは、引張り応力を有し相対的に屈折率が高い材料からなる層と圧縮応力を有し相対的に屈折率が低い材料からなる層とを交互に積層した積層構造から成る応力制御増反射膜であることを特徴とするマイクロミラー装置。
  4. 対向する一対の捻り梁によって往復振動可能な状態でフレーム部材に連結されたミラー基板と、該ミラー基板に対して前記捻り梁を回転中心として往復振動させるための駆動手段を有するマイクロミラー装置において、
    前記ミラー基板は、応力制御の機能を有する応力制御層と、反射層と、増反射機能を有する増反射膜を備え、
    ミラー母材上に少なくとも順に前記反射層、前記増反射膜が形成され、前記反射層及び前記増反射膜が形成された面とは反対側の面に、前記応力制御層が形成されて成る構成であり、
    前記応力制御層は引っ張り応力を有する層と圧縮応力を有する層とを交互に積層した多層構造であることを特徴とするマイクロミラー装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載のマイクロミラー装置において、
    前記反射層が金属材料からなることを特徴とするマイクロミラー装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載のマイクロミラー装置において、
    前記反射層は少なくとも3層からなり、密着層、ブロッキング層、反射層を有する構造であることを特徴とするマイクロミラー装置。
  7. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載のマイクロミラー装置において、
    前記反射層がすべて無機材料からなる誘電体多層膜で形成されていることを特徴とするマイクロミラー装置。
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