JP2011241699A - 潤滑装置およびエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】オイルが循環するように構成された潤滑装置において、そこに備えられた反応体の温度が高温のオイルにより過度に上昇することを抑制する。
【解決手段】本発明に係る潤滑装置は、オイル循環路に設けられたオイル中の所定の成分を吸着する機能を有する反応体を有する機能部材44と、該機能部材44の反応体の温度が所定温度を越えることを抑制する抑制装置とを備える。例えば、抑制装置は冷却装置48である。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係る潤滑装置は、オイル循環路に設けられたオイル中の所定の成分を吸着する機能を有する反応体を有する機能部材44と、該機能部材44の反応体の温度が所定温度を越えることを抑制する抑制装置とを備える。例えば、抑制装置は冷却装置48である。
【選択図】図2
Description
本発明は、オイルが循環するように構成された潤滑装置、および、それを備えたエンジンに関する。
特許文献1は、内燃機関の潤滑システム内で使用する化学フィルターを開示する。特許文献1の記載によれば、この化学フィルターは、内燃機関潤滑システム内のオイルフィルターのハウジング内に使用されるか、またはそのオイルフィルターのバイパス部分に使用され、イオン交換材料を有することができる。
ところで、イオン交換材料などの反応体はその耐用温度を有する。それ故、オイルの温度がその耐用温度を超えたときに、そのようなオイルが反応体に流れると、その反応体の温度はその耐用温度を超える可能性がある。このような反応体の温度上昇は、反応体の長寿命化等の観点から好ましくない。
そこで、本発明はかかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、高温のオイルにより反応体の温度が過度に上昇することを抑制することにある。
本発明は、オイル循環路に設けられたオイル中の所定の成分を吸着する機能を有する反応体と、該反応体の温度が所定温度を越えることを抑制する抑制装置とを備えた、潤滑装置を提供する。
抑制装置は冷却装置であるとよい。冷却装置は、反応体および該反応体に向けて流れるオイルの少なくとも一方を冷却するように定められた冷却用流体通路と、該冷却用流体通路における冷却用流体の流通を調整するための調整弁とを備えるとよい。
抑制装置は、オイル循環路に設けられて内部に反応体が位置付けられる反応体収容部材と、反応体収容部材内へのオイルの流通を調整する収容部材流通調整装置とを備えるとよい。収容部材流通調整装置はオイルの温度の変化に応じて動くように設けられた遮蔽部材を備え、反応体収容部材のオイル入口は遮蔽部材の移動により開閉されるとよい。
反応体はオイル溜部に設けられ、抑制装置は、オイルの温度が所定温度を越えるとき、オイル溜部のオイル面から該オイル面よりも上方に反応体が離れるように反応体とオイル面との位置関係を調整する位置関係調整装置であるとよい。位置関係調整装置は、オイルの温度の変化に応じて曲がるように構成されたバイメタルを含むとよい。または位置関係調整装置は、反応体を支持する支持部材と、該支持部材を動かすためのアクチュエータと、オイル溜部のオイルの温度を検出するための温度検出手段と、該温度検出手段を用いて検出されたオイルの温度に応じてアクチュエータの作動を制御する制御手段とを備えるとよい。
本発明は、潤滑装置を備えた、エンジンを提供する。
本発明に係る潤滑装置は、オイル循環路の反応体の温度が所定温度を超えることを抑制する抑制装置を有する。そして、本発明は種々の態様、種々の実施形態を許容する。
そのような潤滑装置は、具体的に、次の3つの態様をとることができる。第1の態様の潤滑装置は冷却装置を含む。第2の態様の潤滑装置はオイル流通調整装置を含む。第3の態様の潤滑装置は位置関係調整装置を含む。これらの第1の態様の潤滑装置、第2の態様の潤滑装置および第3の態様の潤滑装置は、矛盾しない範囲で、相互に組み合わされることができるが、以下では、各態様の実施形態が説明される。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。まず、本発明の第1実施形態に係る潤滑装置を説明する。なお、第1実施形態に係る潤滑装置は、第1の態様の潤滑装置に関する。
図1に本発明の第1実施形態に係る潤滑装置が適用されたエンジンシステムが概念的に示されている。ただし、本第1実施形態での内燃機関(以下、エンジン)10は、直列4気筒形式のエンジンであるが、本発明が適用されるエンジンは、その気筒数や気筒配列形式ばかりか、火花点火式機関であるか圧縮着火式機関であるかさえも問わない。
エンジン10はシリンダブロック12と、ピストン14と、クランクケース16と、シリンダヘッド18と、シリンダヘッド18を上方から覆うヘッドカバー20と、オイル溜部としてのオイルパン22とを備える。そして、エンジン10は、制御装置(制御手段)として機能するECU(不図示)を備える。ECUは、CPU、ROM、RAM、A/D変換器、入力インタフェース、出力インタフェース等を含むマイクロコンピュータで構成されている。入力インタフェースには、エンジン回転速度を検出可能にするエンジン回転速度センサ、エンジン負荷を検出可能にするエンジン負荷センサ等を含む各種センサ類が電気的に接続されている。これら各種センサ類からの出力信号(検出信号)に基づき、予め設定されたプログラムにしたがって円滑なエンジン10の運転ないし作動がなされるように、ECUは出力インタフェースから電気的に燃料噴射弁(不図示)、スロットルバルブ24を駆動するためのアクチュエータ等に作動信号(駆動信号)を出力する。
このようなエンジン10は、ブローバイガス環流装置25を備えている。ここで、ブローバイガスとは、ピストンリングと、シリンダブロック12のシリンダボアとの隙間からクランクケース16内へ漏れ出るガスのことである。このブローバイガスは多量の炭化水素や水分を含む。このため、ブローバイガスがあまりに多いとそれはエンジンオイルの早期劣化やエンジン内部の錆の原因になる。また、ブローバイガスには炭化水素が含まれているため、それをこのまま大気に解放することは環境上好ましくない。そのため、ブローバイガスは、吸気負圧を利用して後述の経路を通じて強制的に吸気系統へ戻される。なおエンジンの軽負荷時におけるブローバイガスおよび新気の流れを図1に矢印で示す。
吸気通路26のスロットルバルブ24の下流側の吸気通路26dと、ヘッドカバー20内とはPCV通路28によって連通されている。ここでPCVとはPositive Crankcase Ventilationの略称である。また、スロットルバルブ24の上流側の吸気通路26uと、ヘッドカバー20内とは大気通路30によって連通されている。PCV通路28にはこれを開閉するPCVバルブ32が設けられている。PCVバルブ32は吸気負圧の大きさに応じて開閉し、流量を変えるものであり、ここではヘッドカバー20に固設されている。
シリンダブロック12とシリンダヘッド18には、ヘッドカバー20内とクランクケース16内とを連通するオイル落とし通路34が設けられている。本実施形態のオイル落とし通路34は、動弁系の潤滑を終えたオイルをシリンダヘッド18上からオイルパン22へ向けて落とすための通路であると同時に、クランクケース16内のブローバイガスをヘッドカバー20内に向けて上昇移動させるための通路である。クランクケース16からヘッドカバー20に向かって上昇移動するブローバイガスには、クランクケース16内のオイルの攪拌、蒸発によって生成されたオイルミストが含まれる。
図示されるように、エンジンの軽負荷時には、PCVバルブ32が開かれ、クランクケース16内のブローバイガスはオイル落とし通路34、ヘッドカバー20内、PCV通路28を順に通じて吸気通路26に戻され、その後、燃焼室で燃焼される。一方このときヘッドカバー20内には大気通路30を通じて大気が導入され、この大気はヘッドカバー20内のブローバイガスを適宜希釈する。
他方、図示しないが、エンジンの高負荷時には、PCVバルブ32が閉じられ、ヘッドカバー20内のブローバイガスは大気通路30を通じて吸気通路26に戻される。
このようにクランクケース16内のブローバイガスは、ヘッドカバー20内に導入された後、吸気通路26に戻されて燃焼される。このようなブローバイガスは、燃料成分である炭化水素、既燃焼ガスに含まれるNOxおよびSOx、水分のほか、クランクケース16内のオイルの攪拌、蒸発によって生成された気体としてのオイルミストを含んでいる。このため、単にブローバイガスを吸気側に環流させるだけだとオイルも同時に燃焼されてしまい、オイルの消費量が多くなると同時に、オイル燃焼による白煙が生じて問題となる。
そこで、ヘッドカバー20内には、図示しないが、ブローバイガスからオイルを分離するためのオイルセパレータ室が区画形成されている。このオイルセパレータ室により、ブローバイガスを吸気系に戻す前にブローバイガスからオイルを分離して回収することができ、上記問題を解決することができる。なお、オイルセパレータ室は、ヘッドカバー20内壁面と図示しないバッフルプレートとによって主に区画形成されている。ただし、オイルセパレータ室は他の箇所に形成されることも可能である。
ところで、上記したようにブローバイガス中にはNOx、SOxおよび水分が含まれている。そして、ヘッドカバー20がエンジンからの熱を伝達されづらくかつその外面が外気に晒されて冷却風等によって冷却されるので、ヘッドカバー20の内面には結露等による凝縮水が生じやすい。よって、ヘッドカバー20内、例えば上記オイルセパレータ室には、それらの反応により、酸性物質ができやすい。これは、エンジン内部におけるスラッジの発生、付着、堆積を促し得る。
そこで、エンジン内、特にここではヘッドカバー20内に、スラッジの生成または付着を抑制するために、スラッジ抑制層36が形成されている。ここでは、スラッジ抑制層36は塗布によりヘッドカバー20内面に形成されている。スラッジ抑制層36は、好ましくは固体のアルカリ性物質からなり、具体的にはアルカリ性物質として炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられている。スラッジ抑制層36は、上記酸性物質を中和するように作用する。なお、スラッジ抑制層36を形成するスラッジ抑制剤つまりオイル劣化抑制剤は、他の位置に設けられることが可能である。
ところで、このようなエンジン10における潤滑装置40は、上記オイル落とし通路34やオイルパン22を含む。潤滑装置40は、図1においてはその一部のみ表されている。潤滑装置40はストレーナおよびオイルポンプを備え、オイルパン22内のオイルはストレーナを通じてオイルポンプによって汲み上げられる(吸引される)。こうして汲み上げたオイルはオイルフィルターを介して、エンジン10内に形成された油路(各供給部位に対応した複数の油路を含む。)を通じて、エンジン10内の各部、例えばカムシャフトジャーナル、クランクジャーナル、コンロッド、ピストン14に供給される。そして、こうして各部に供給された潤滑油つまりオイルは自らの自重により最終的にはオイルパン22に戻る。
さて、上記したようにスラッジ抑制層36を設けることによりスラッジ生成を抑制できるが、ブローバイガス中のNOx、SOx、水分はオイルに混ざり、それらによって生じた酸性物質つまり酸成分は循環装置40内を循環し得る。そのような成分はスラッジの生成を促し、オイルの劣化を促し得る。そこで、そのような成分を潤滑装置40のオイルから除去するように潤滑装置40は機能部材44を備えている。機能部材44は、反応体としてイオン交換樹脂を備えている。機能部材44は、ここでは、オイル落とし通路34に設けられている。機能部材44の一部およびその周囲を概念的に表した一部断面図を図2に示す。
機能部材44のイオン交換樹脂は、所定のイオン(イオン成分)を吸着する機能を有する。換言すると、所定のイオンをエンジンオイルから除去するべく、そのような所定のイオンを吸着する機能を機能部材44のイオン交換樹脂は有する。なお、機能部材44のイオン交換樹脂は、オイル中の所定のイオンを吸着する代わりに、別のイオンを放出する機能を有する。ここでは、アニオン性イオン交換樹脂およびカチオン性イオン交換樹脂の両方がイオン交換樹脂として用いられ、機能部材44のイオン交換樹脂はこれらからなる。なお、イオン交換樹脂としては、例えば、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標)シリーズのイオン交換樹脂、ローム・アンド・ハース社製アンバーライト(登録商標)シリーズのイオン交換樹脂がある。
ここでは、具体的に、ブローバイガス中のNOxと水とにより生じ得る硝酸イオン、ブローバイガス中のSOxと水とにより生じ得る硫酸イオンのオイル中からの除去を図るべく、硝酸イオンや硫酸イオンを吸着する機能を有するアニオン性イオン交換樹脂が用いられる。このようなアニオン性イオン交換樹脂は、それら陰イオンを吸着し、代わりに、例えば水酸化物イオンを放出する機能を有する。
また、ここでは、オイル中からCaイオンの除去を図るべく、Caイオンを吸着する機能を有するカチオン性イオン交換樹脂が用いられる。Caイオンは、上記したようにスラッジ生成を抑制するように設けられたCa成分を含むオイル劣化抑制剤が消費されることで生じ得る。また、オイル中に添加剤としてカルシウムスルホネートが添加されている場合には、このカルシウムスルホネートからCaイオンが生じ得る。このようなカチオン性イオン交換樹脂は、そのような陽イオンを吸着し、代わりに、水素イオンおよび/またはNaイオンを放出する機能を有する。
このようなイオン交換樹脂は、ビーズ状または膜状の種々の形状を有し得る。本実施形態では、イオン交換樹脂は、メッシュタイプの筒状ケース46(内筒と外筒との間に収納領域を有する。)に入れられていて、機能部材44はケース46と、そこに入れられた上記イオン交換樹脂とからなる。筒状ケース46の内筒および外筒は凹凸を有する。これは筒状ケース46の表面積を大きくするためである。そして、機能部材44はオイル落とし通路34を区画形成する通路画成部材47内面に図示しない支持部材で固定されるが、固定される通路画成部材47の内面は、筒状ケース46の外筒の外面の凹凸に適合した形状を有する。これは、通路画成部材47を介しての熱伝達効率を高めるためである。なお、図面では明らかにされていないが、機能部材44はエンジン外部から交換可能に設けられている。
そして、そのような機能部材44のイオン交換樹脂は、例えば100℃の耐用温度を有する。それ故、イオン交換樹脂がその耐用温度を超える温度を有するオイルと接して、イオン交換樹脂の温度がその耐用温度を超えることは好ましくない。そこで、潤滑装置40は機能部材44のイオン交換樹脂の温度がその耐用温度を超えないように冷却装置48を備える。冷却装置48は、イオン交換樹脂の温度が所定温度、具体的にはそのような耐用温度を超えることを抑制する抑制装置として設けられる。
冷却装置48は図1に示されず、図2に部分的に示されている。冷却装置48は、機能部材44および機能部材44に向けて流れるオイルを冷却するように区画形成された冷却用流体通路50と、冷却用流体通路50における冷却用流体の流通を調整するための調整弁(不図示)とを備える。冷却用流体通路50は、エンジン冷却水が流れることができるように、エンジン冷却システムから分岐して機能部材44周囲を介してエンジン冷却システムに合流するように延びている。調整弁は、調整弁制御手段としての機能を有するECUからの作動信号によって駆動が制御されるアクチュエータによって作動される。図示しないが、機能部材44近傍には、機能部材44のイオン交換樹脂の温度を検出するための温度センサ(温度検出手段)が設けられている。なお、ここでは、上記したように、冷却用流体はエンジン冷却水であるが、気体や液体である他の流体を冷却用流体として用いることが可能である。
このような冷却装置48の作動を説明する。オイル落とし通路34には、エンジン10の作動時、オイルが流れ落ちる(図2の矢印a1、a2、a3参照)。このオイルはその過程で機能部材44に接しまたは機能部材44内を流れて、機能部材44のイオン交換樹脂により上記したような所定成分がオイルから吸着除去される。しかし、オイルはエンジン10内を循環する過程で温度が高くなる。イオン交換樹脂の耐用温度を超える温度のオイルとの接触によりイオン交換樹脂はその耐用温度を超える温度を有する可能性がある。
そこで、ECUは上記温度センサからの出力信号に基づいて機能部材44の温度を検出して、その温度が所定上限温度を超えたときに、上記調整弁を開くように調整弁のアクチュエータの作動を制御する。ただし、その所定上限温度は、機能部材44のイオン交換樹脂の温度が所定温度を超えないように設定されている。なお、所定温度はイオン交換樹脂の耐用温度である。
調整弁が開くことで、冷却用流体通路50には冷却水が流れる(矢印b1〜b6参照)。これにより、冷却用流体通路50と機能部材44との間の壁部材である通路画成部材47を介して機能部材44つまりそのイオン交換樹脂が上記所定温度を超えないように機能部材44および機能部材44周囲や機能部材44に向けて流れるオイルは冷却される。そして、機能部材44のイオン交換樹脂の温度が上記所定上限温度以下になったとき、ECUは上記調整弁を閉じるように調整弁のアクチュエータの作動を制御する。
以上、第1実施形態に係る潤滑装置およびそれを備えたエンジンを説明したが、その実施形態には種々の変更が適用され得る。例えば、冷却用流体通路は、機能部材44のみを冷却可能に定められてもよく、また、機能部材44に向けて流れるオイルのみを適切に冷却して機能部材44の温度上昇を抑制可能なように定められてもよく、上記第1実施形態のように機能部材およびそれに向けて流れるオイルの両方を冷却可能に定められてもよい。
また、上記第1実施形態では、ECUは、温度センサを用いて検出される機能部材44のイオン交換樹脂の温度に応じて調整弁の作動を制御した。しかし、ECUは例えば潤滑装置のオイルの温度、機能部材44付近の通路画成部材47つまり壁部材の温度、冷却水温の少なくとも1つに基づいて調整弁の作動を制御することができる。これらの温度を制御に用いるために、種々のセンサが設けられて用いられたり、エンジン運転状態に基づいて所定の演算が行われたりすることができる。そして、これらの温度を制御に用いる場合に設定される閾値または所定値は、機能部材44のイオン交換樹脂の温度と関係付けられるとよい。具体的には、これらの温度を制御に用いる場合に用いられる閾値または所定値は、機能部材44の温度がその耐用温度を超えないように、設定されるとよい。
なお、調整弁は上記したような制御弁である必要はない。例えば、調整弁はサーモスタットであってもよい。
また、上記第1実施形態では、機能部材44はオイル落とし通路34に設けられたが、オイル循環路(オイルパン22内を含む。)の様々な箇所に配置されることができる。例えば機能部材はオイルパン22内に設けられることができる。そして、機能部材の上記したような温度上昇を抑制可能なように機能部材の設置箇所に対応した位置に上記冷却装置は設けられるとよい。例えば、機能部材がオイルパン22内に設けられる場合、冷却装置はオイルパンに対して設けられ得る。冷却装置はオイルパン全体つまりオイルパン内の全てのオイルを冷却するように設けられることもできる。冷却装置によってオイルパン内のオイルの冷却が図られる場合、その冷却によりオイルパン内のオイルの循環は促され得、これにより、オイルをより適切に機能部材に送り込むことも可能になる。
次に、本発明の第2実施形態に係る潤滑装置を説明する。なお、第2実施形態に係る潤滑装置は、上記第2の態様の潤滑装置に関する。
第2実施形態に係る潤滑装置140は、上記冷却装置48を備えず、オイル流通調整装置160を備える。そして、潤滑装置140の、上記機能部材44に対応する機能部材44のイオン交換樹脂と同種のイオン交換樹脂を含む機能部材144およびオイル流通調整装置160はオイルパン122に設けられている。これらの点で潤滑装置140は上記潤滑装置40と相違し、この相違点で潤滑装置140が備えられたエンジン110は、上記エンジン10と主に相違する。そこで、以下では、潤滑装置140のそのような特徴に関して主に説明し、既に説明した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、上記説明で用いた符号に対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。
潤滑装置140は、機能部材144およびオイル流通調整装置160を備える。機能部材144は、オイル流通調整装置160内に収容されるようにその内部に位置付けられる。機能部材144は上記機能部材44と同種のイオン交換樹脂を有するが、そのケース部材は略角形の箱型のメッシュ状部材146とされている。
図3には、オイル流通調整装置160が模式的に表されている。オイル流通調整装置160は、オイルパン122に形成された孔を通じて外部から挿入され、該孔に螺合されることで、オイルパン122に保持される。
オイル流通調整装置160は、内側部材162と、外側部材164と、内側部材162を外側部材164に対して駆動する駆動部材(不図示)と、これらを一体的にオイルパン122に保持するための保持部166とを備える。内側部材162および外側部材164は、それぞれ、断熱性に優れた材料から作製され、好ましくは保持部166も断熱性に優れた材料から作製される。
外側部材164および保持部166は、オイル循環路に設けられて内部に反応体としてのイオン交換樹脂が位置付けられる反応体収容部材として構成されている。内側部材162および駆動部材は、外側部材164内へのオイルの流通を調整する収容部材流通調整装置として構成されている。内側部材162はオイルの温度の変化に応じて動くように設けられた遮蔽部材である。なお、ここでは、駆動部材は、バイメタルであり、オイルの温度に応じて変形するように構成されている。駆動部材の一端は保持部166に接続され、駆動部材の他端は内側部材162に接続されている。
図3(a)には内部にオイルが流通可能な状態のオイル流通調整装置160が表され、図3(b)には内部にオイルが実質的に流通不可能な状態のオイル流通調整装置160が表されている。内側部材162と外側部材164とには、それぞれ、重なることができる複数の開口が形成されている。ここでは内側部材162と外側部材164とのそれぞれに複数の開口が形成されたがたった1つの開口が形成されることも可能である。また、ここでは、各開口は円形を有するが角形、星型等、種々の形状を有し得る。
図4に図3のオイル流通調整装置160の一部の拡大模式図が示されている。図4(a)は、図3(a)の状態のオイル流通調整装置160の一部の拡大模式図である。図4(a)には、外側部材164内に延びるように保持部166に一端が保持された機能部材144と、外側部材164と、該外側部材164の開口164aに重なるように位置する開口162aを有する内側部材162とが表されている。なお、内側部材162は機能部材144と外側部材164との間に延びて、駆動部材の変形により外側部材164内を摺動するように駆動部材を介して保持部166に取り付けられている。
図3(a)のオイル流通調整装置160内には、上記開口162a、164aを介してオイルが出入りすることができる。オイル流通調整装置160がオイルパン122内のオイル面(油面)よりも鉛直方向下側に位置するようにオイル流通調整装置160はオイルパン122に設けられているからである。
そして、オイルの温度の変化に応じて駆動部材は変形するように構成されている。特に、オイルの温度が所定温度、好ましくは機能部材144の耐用温度を超えたとき、内側部材162の開口162aが外側部材164の開口164aから完全にずれるように、つまりそれらの開口162a、164aの関係が図3(b)の状態になるように、オイルの温度の変化に応じて駆動部材は変形する。それ故、内側部材162は、オイルの温度が所定温度を超える前に、その変形する駆動部材によって、外側部材164内面上を摺動するように動かされる(図4(b)の矢印参照)。
このように、オイルの温度の変化に応じて、反応体収容部材の外側部材164のオイル入口である開口164aは遮蔽部材である内側部材162の移動により開閉される。したがって、機能部材144のイオン交換樹脂の温度は上記所定温度を越えないように制御され、その耐用温度以下に維持される。なお、ここでは、所定温度はイオン交換樹脂の耐用温度であるが、それ未満に設定可能である。
そして、上記したように、このようなオイル流通調整装置160はオイルパン122に機械的に取り付けられ、オイルパン122に対して取り外し可能である。例えば、オイル流通調整装置160はオイル交換時に取り外されて、その全体またはその内部の機能部材144のみが交換されるとよい。
なお、上記第2実施形態の潤滑装置140のオイル流通調整装置160では、2重構造が採用され、外側部材164に対して内側部材162が移動可能にされた。しかし、内側部材162に対して外側部材164が移動可能にされてもよい。この場合、内側部材162は反応体収容部材に含まれ、外側部材164は収容部材流通調整装置に含まれる。また、上記第2実施形態では、収容部材流通調整装置はバイメタルを駆動源として備えたが、バイメタルの代わりに、内側部材と外側部材との間での相対移動を生じさせるためのアクチュエータとこのアクチュエータの作動を制御する制御手段とが備えられることもできる。その制御手段の機能をECUは有することができる。なお、オイル流通調整装置160はオイル溜部であるオイルパン以外のオイル循環路の様々な部位に設けられることができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る潤滑装置を説明する。なお、第3実施形態に係る潤滑装置は、上記第3の態様の潤滑装置に関する。
第3実施形態に係る潤滑装置240では、イオン交換樹脂を有する機能部材244はオイルパン222に設けられる。そして、潤滑装置240は、機能部材244とオイルパンのオイル面との位置関係を調整する位置関係調整装置270を備える。この点で潤滑装置240は上記潤滑装置40、140と相違し、この相違点で潤滑装置240が備えられたエンジン210は、上記エンジン10、110と実質的に相違する。そこで、以下では、潤滑装置240のそのような特徴に関して主に説明し、既に説明した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、上記説明で用いた符号に対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、本第3実施形態は、エンジン210のオイルパン222部分の模式図である図5に基づいて説明される。
潤滑装置240は、機能部材244および上記位置関係調整装置270を備える。機能部材244は、上記機能部材44、144と同種のイオン交換樹脂を含み、そのケース部材は略角形の箱型のメッシュ状部材246とされている。
位置関係調整装置270は、温度の変化によって変形するここでは特に曲がるバイメタルを含むバイメタル部材272から実質的に構成され、オイルパン222内に取り外し可能に固定されている。取り外し可能にするべく、バイメタル部材272は図示しないがボルトによってオイルパン222の接続部に取り付けられている。ただし、バイメタル部材はそのような機械的接続技術ではなく、溶接等の接合技術を用いてオイルパン222に一体的に設けられることも可能である。
そのようなバイメタル部材272の先端部領域に、上記機能部材244は取り付けられている。機能部材244のケース部材246は、図示しないが、ボルト留めによりバイメタル部材272に取り付けられている。しかし、機能部材244はボルト留め、リベット留めなどの機械的接続技術ではなく、溶接等の接合技術を用いてバイメタル部材272に一体的に設けられることも可能である。
バイメタル部材272は、オイルパン222内のオイルの温度が低いとき、機能部材244がオイルパン222内のオイル中に十分に浸るようにオイルパン222に位置付けられている(図5(a)参照)。そして、バイメタル部材272は、オイルの温度が所定温度を越えるときつまり高いとき、機能部材244がオイルパン222内のオイル面OSよりも鉛直方向上方にオイル面OSから離れるように設けられている(図5(b)参照)。バイメタル部材272は、オイルの温度の変化に応じて曲り、その先端部272aは、オイルの温度が所定温度を越えるときには、オイル面OSよりも確実に上方に突出するように構成されている。したがって、機能部材244は、オイルの温度が所定温度を越えたとき、オイルパン222内に溜まるオイルに接することはない。したがって、機能部材244のイオン交換樹脂の温度が、その所定温度、特にそのイオン交換樹脂の耐用温度を超えることを抑制することができる。なお、所定温度は、イオン交換樹脂の耐用温度よりも低くてもよい。
なお、機能部材244はイオン交換樹脂のみから実質的に構成され、バイメタル部材272に直接的に貼り付けられることもできる。イオン交換樹脂である機能部材またはイオン交換樹脂を含む機能部材は、ウレタンやアクリルなどの他の樹脂に含ませてバイメタル部材272に塗布されたり、接着剤を用いてバイメタル部材272に貼り付けられたりすることができる。また、機能部材244は、バイメタル部材272の一部に設けられることに限定されず、その過半部分にまたはその全体に設けられることもできる。また、バイメタル部材272は片側のみを支持することに限定されず、その両端が支持されてもよい。両端支持の場合、オイルの温度が高いときに、バイメタル部材はその少なくとも一部がオイルから出ることができるように、バイメタル部材の少なくとも一部は伸縮性材料により形成されるとよい。なお、この場合、オイルの温度が高いときにオイルから離脱するバイメタル部材の一部に機能部材が設けられるとよい。
次に、本発明の第4実施形態に係る潤滑装置を説明する。なお、第4実施形態に係る潤滑装置は、上記第3の態様の潤滑装置に関する。
第4実施形態に係る潤滑装置340は、位置関係調整装置370を備える。位置関係調整装置370は、バイメタル部材372がオイルパン322の壁面に取り付けられず、オイルパン322のオイル面OSに浮かぶことができるフロート部材に取り付けられる点で、上記位置関係調整装置270と主に相違する。そこで、以下では、主としてその相違点を説明する。なお、既に説明した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、上記説明で用いた符号に対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、本第4実施形態は、潤滑装置340が適用されたエンジン310のオイルパン322部分の模式図である図6に基づいて説明される。
図6に示されるように、バイメタル部材372は、オイルパン322のオイル面に浮かぶことができるフロート部材374、ここでは2つのフロート部材374a、374bに取り付けられている。したがって、バイメタル部材372の高さはオイル面の高さに適切に追従する。そして、機能部材344は、上記機能部材244と同じように構成されるが、ここでは、バイメタル部材372の鉛直方向下方側に位置付けられている。したがって、オイルの温度が低いとき、機能部材344はオイルパン322内のオイルに浸る(図6(a)参照)。そして、バイメタル部材372は、オイルの温度の変化に応じて曲がり、その先端部372aはオイルの温度が所定温度を越えたとき、オイル面OSよりも上方に突出するように構成されている(図6(b)参照)。これは、上記バイメタル部材272に関して上記した通りである。
したがって、機能部材344のイオン交換樹脂の温度が、その所定温度、特にそのイオン交換樹脂の耐用温度を超えることを抑制することができる。なお、所定温度は、イオン交換樹脂の耐用温度よりも低くてもよい。
なお、第4実施形態には、上記第3実施形態と同様の変更が適用可能である。
次に、本発明の第5実施形態に係る潤滑装置を説明する。なお、第5実施形態に係る潤滑装置は、上記第3の態様の潤滑装置に関する。
第5実施形態に係る潤滑装置440は、位置関係調整装置470を備える。潤滑装置440は、機能部材444の構成の点、位置関係調整装置470に含まれる部材472がバイメタル部材でない点、および、部材472に取り付けられたフロート部材に磁力発生装置が設けられている点で、上記位置関係調整装置370と主に相違する。そこで、以下では、その相違点に関して主に説明する。なお、既に説明した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、上記説明で用いた符号に対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、本第5実施形態は、位置関係調整装置470の概念図である図7および潤滑装置440が適用されたエンジン410のオイルパン422部分の模式図である図8に基づいて説明される。
第5実施形態では、位置関係調整装置470の部材472は、金属板である。好ましくは、部材472は熱伝導率の高い金属板から構成される。ただし、部材472が上記したようなバイメタル部材とされることも可能であり、また、金属、樹脂、またはこれらの組み合わせから作製されることもできる。部材472の全表面には、上記したのと同種のイオン交換樹脂がアクリルに含ませて塗布されている。ここではイオン交換樹脂とアクリルとを含む部材472上の層が機能部材444を構成する。ただし、部材472の一部の表面にのみ機能部材が設けられることができる。
図7および図8に示されているように、部材472は、オイルパン422のオイル面OSに浮かぶことができるフロート部材474、ここでは2つのフロート部材474a、474bに取り付けられている。一方の端部に設けられたフロート部材474aには磁力発生装置476が取り付けられている。本第5実施形態の位置関係調整装置470は、部材472と、磁力発生装置476とを含んで構成される。
磁力発生装置476は、電磁石を含む磁力発生部476aと、磁力発生制御手段の機能を有する上記ECUの一部と、ECUに磁力発生部476aを繋げるためのコード476bとを有している。ECUからの作動信号に基づく磁力発生部476aへの通電により、磁力発生部476aでは磁力が発生し、これにより磁力発生部476aはオイルパン422壁面につくことができる。
エンジン410が停止しているとき磁力発生装置476は磁力を発生しないで、エンジン410が作動状態にあるとき磁力発生装置476は磁力を発生するように、磁力発生装置476は基本的に構成されている。したがって、エンジン410が停止しているとき、部材472はフロート部材474a、474bの浮力により、オイルパン422内のオイル面上に単に浮いている(図8(a)参照)。この状態で、部材472上の機能部材444のイオン交換樹脂はオイル中から不要な成分を除去することができる。他方、エンジン410が始動されると、磁力発生装置476の磁力発生部476aは磁力を発生し、部材472はオイルパン422の壁面に引き寄せられる(図8(b)の矢印参照)。これにより、エンジン始動時に、部材472はオイルパン422に固定される。そして、このような部材472の固定は、エンジン410が作動状態にあるとき、継続される。したがって、エンジン410の作動によりオイルパン422内のオイル面位置が下がったとき、部材472はオイル面から離れた位置に位置付けられ得る(図8(c)参照)。このような部材472にはオイル落とし通路434等を介してオイルパン422に戻るオイルが降りかかるので、部材472の機能部材444のイオン交換樹脂はオイルから不要成分を除去することができる。なお、オイルの温度が上がるエンジン作動時に、部材472はオイル面OSから離されるので、部材472の機能部材444のイオン交換樹脂の温度が所定温度好ましくはその耐用温度を超えることを防ぐことができる。
なお、第5実施形態には、上記第3実施形態および上記第4実施形態の構成またはそれらと同様の変更が矛盾しない範囲で適用可能である。
次に、本発明の第6実施形態に係る潤滑装置を説明する。なお、第6実施形態に係る潤滑装置は、上記第3の態様の潤滑装置に関する。
第6実施形態に係る潤滑装置540は、位置関係調整装置570を備える。位置関係調整装置570は、磁力発生装置576がフロート部材574ではなく、オイルパン522に設けられている点で、上記位置関係調整装置470と主に相違する。そこで、以下では、その相違点に関することを主に説明する。なお、既に説明した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、上記説明で用いた符号に対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、本第6実施形態は、潤滑装置540が適用されたエンジン510のオイルパン522部分の模式図である図9に基づいて説明される。
オイルパン522には磁力発生装置576が取り付けられている。磁力発生装置576は、電磁石を含む磁力発生部576aと、磁力発生制御手段の機能を有する上記ECUの一部とを有している。オイルパン522内のオイルの温度を検出するための温度検出手段としての温度センサ578からの出力信号に基づいて、ECUはオイルの温度を検出する。ECUからの作動信号によって磁力発生部576aは通電させられる。
これに対して、上記部材472の如く表面に機能部材544を有する部材572はオイルパン522のオイル面OSに浮かぶことができるフロート部材574(574a、574b)に取り付けられているが、そのうちの一方のフロート部材574aには磁性体576cが取り付けられている。磁性体576cはここではフェライトであるが、その他の材料、例えば酸化鉄、コバルトから構成可能である。
したがって、磁力発生部576aへの通電により磁力発生部576aで磁力が生じると、磁力発生部576aに向けて部材572は引き寄せられる。その結果、部材572はオイルパン522の壁面に固定される。
本第6実施形態でも、基本的には上記第5実施形態と同様に、エンジン510が停止しているとき磁力発生装置576は磁力を発生しないで、エンジン510が作動状態にあるとき磁力発生装置476は磁力を発生するように、磁力発生装置576は構成されている。したがって、エンジン510が停止しているとき、部材572はオイルパン522内のオイル面上に単に浮いている。この状態で、部材572上の機能部材544のイオン交換樹脂はオイル中から不要な成分を除去することができる。
他方、エンジン510が始動されると、磁力発生装置576の磁力発生部576aは磁力を発生し、部材572は磁力発生部576aに向けて引き寄せられる。これにより、エンジン始動時に、部材572はオイルパン522に固定される。そして、このような部材572の固定は、エンジン510が作動状態にあるとき、継続される。したがって、エンジン510が作動されることでオイルパン522内のオイル面位置が下がったとき、部材572はオイル面から離れた位置に位置付けられ得る。そして、このような部材572の機能部材544のイオン交換樹脂は、上記第5実施形態のイオン交換樹脂と同様にオイルから不要成分を除去することができる。
しかし、エンジン510を停止するときに、温度センサ578からの出力信号に基づいて検出したオイルの温度が所定温度、例えばイオン交換樹脂の耐用温度を超えている場合、ECUは磁力発生部576aからそれまで通り磁力を発生し続けるように、磁力発生部576aの作動を制御する。この磁力発生部576aへの通電は、オイルの温度が所定温度以下になるまで継続される。したがって、部材572の機能部材544のイオン交換樹脂の温度が所定温度を越えることをより好適に防ぐことができる。
なお、第6実施形態には、上記第5実施形態と同様の変更が適用可能である。
なお、上記第6実施形態では、磁力発生部576aへの通電はエンジン停止時にオイルの温度が所定温度以下になるまで継続されたが、エンジン停止時に即座に終了されてもよい。
次に、本発明の第7実施形態に係る潤滑装置を説明する。なお、第7実施形態に係る潤滑装置は、上記第3の態様の潤滑装置に関する。
第7実施形態に係る潤滑装置640は、位置関係調整装置670を備える。位置関係調整装置670は、部材674を駆動するアクチュエータを備える点で、上記位置関係調整装置270と主に相違する。そこで、以下では、その相違点に関することを説明する。なお、既に説明した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、上記説明で用いた符号に対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、本第7実施形態は、潤滑装置640が適用されたエンジン610のオイルパン622部分の模式図である図10に基づいて説明される。
機能部材244と同様の構成を有する機能部材644は上記部材472と同様に構成された部材672の先端部672aに取り付けられている。部材672は、機能部材644を支持する支持部材であり、オイルパン622に設けられたアクチュエータ680に取り付けられている。アクチュエータ680は部材駆動制御手段としての機能を有するECUによって作動制御される。
ECUはここではエンジン運転状態に基づいてオイルの温度を推測する(検出する)。つまりここではECUは温度検出手段としての機能を有する。なお、温度検出手段として、オイルの温度を検出するための温度センサが設けられてもよい。ここでは通常は水平状態に位置付けられている部材672(図10(a)参照)は、そのように検出されたオイルの温度に応じて動かされる。
オイルの温度が所定温度以下のとき、部材672に取り付けられた機能部材644がオイルに浸るようにアクチュエータ680はECUによって制御される。これに対して、オイルの温度が所定温度を越えるとき、機能部材644がオイル面OSから離れるようにアクチュエータ680はECUによって制御される(図10(b)参照)。また、オイルの温度が所定温度以下のときにオイル面の高さが変化したときにはオイル中に機能部材644が浸るようにアクチュエータ680は制御される(図10(c)参照)。ここでは、ECUはオイルの温度が所定温度以下のとき、定期的に、部材672を所定範囲内で動かす。このときのアクチュエータ680に対する抵抗変動に基づいて、ECUは、オイル面の高さを検知する。なお、オイル面の高さを検出するためのセンサを設け、そのセンサからの出力信号に基づいてECUはオイル面高さを検出してもよい。
なお、ECUは、エンジン停止時にオイルの温度が所定温度以下の場合、所定期間、部材672を動かして、オイルパン622内のオイルを攪拌させる。これにより、機能部材644で所定の成分をより好適に除去することができる。
なお、ECUは、エンジン停止時にオイルの温度が所定温度を越える場合、所定時間、経過後に、図10(a)の初期状態に戻るように、アクチュエータを制御する。
なお、上記第3から第7実施形態における、部材272、372、472、572、672は細長い板状部材であるとしたが、それらは種々の大きさ、厚さおよび形状を有することができる。例えばそれら部材272、372、472、572、672はプレート状に形成され、バッフルプレートとしての機能を持つことも可能である。部材272、372、472、572、672をプレート状にする場合、そこには、ストレーナ用の孔、オイル落とし孔等を形成することができる。また、部材272、372、472、572、672は、放熱フィン等の放熱手段を有することも可能である。さらに、部材272、372、472、572、672は表面積を増やすべく蛇腹状に形作られることも可能である。また、フロート部材の数は2つに限定されず、1つまたは3つ以上のフロート部材が用いられてもよい。
また、上記第3から第7実施形態では、基本的に、オイルの温度が高いとき、機能部材のイオン交換樹脂の温度がその耐用温度を越えないように、機能部材が取り付けられた部材272、372、472、572、672を動かした。しかし、そのようなとき、機能部材の位置を変えずに、オイルパンに設けた副室にオイルを流して、オイル面の高さを下げるようにしてもよい。あるいは、オイルパンの一部をオイルの温度によって拡張する材料で作製して、そのようなときに、オイルパンの内容量を多くして、結果としてオイル面の高さを実質的に下げてもよい。このようなオイルパンは、位置関係調整装置を構成し得る。
または、オイルの温度が高くなったときに外気をオイルパンに取り込む外気導入装置をオイルパンに設けてもよい。この場合、外気導入装置の外気の取り込み口は機能部材の冷却に適した箇所に設けられるとよい。
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明した。それら実施形態では、反応体としてイオン交換樹脂を用いた。そして、オイル循環路にイオン交換樹脂を配置することによる効果を調べるために種々の実験を行った。その実験の一例を説明する。
実験では、試験油中に0mol/Lの硝酸を添加した場合(つまり試験油中に硝酸を添加しなかった場合)のオイルの粘度、試験油中に7.5mmol/Lの硝酸を添加した場合のオイルの粘度、試験油中に75mmol/Lの硝酸を添加した場合のオイルの粘度を測定した。またそれら各硝酸濃度において、硝酸を添加しただけの常温のオイルの粘度、硝酸を添加して90℃まで加熱した後で所定量のイオン交換樹脂(硝酸イオンを吸着する機能を有するイオン交換樹脂である、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標)のWA30)が加えられたオイルの常温での粘度、硝酸を添加して90℃まで加熱したオイルの常温での粘度を測定した。そしてそれらを比較した。
その結果、硝酸を加えて90℃までオイルを加熱することで、オイルの粘度が大幅に高くなった。これは、硝酸と熱とによってスラッジ生成が促されたことを意味する。しかし、イオン交換樹脂を加えることで、そのようなオイルの粘度の上昇は約半分程度に抑制された。これは、イオン交換樹脂により硝酸イオンが吸着され、スラッジ生成が抑制されたことを意味する。このように、硝酸イオンを吸着する機能を有するイオン交換樹脂を用いることで、オイルの劣化を抑制できた。したがって、上記した各実施形態の潤滑装置で、エンジンオイルの劣化を抑制できることは明らかである。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、例えば、以下に述べるような範囲も本発明には含まれる。
例えば、アニオン性イオン交換樹脂の使用によりオイル中から除去することが望まれるイオンには、上記硝酸イオン(NO3 -)、硫酸イオン(SO4 2-)ばかりでなく、例えば、ブローバイガスから生じ得る酢酸イオン(CH3COO-)、同様にブローバイガスから生じ得るギ酸イオン(HCOO-)、塩化物イオン(Cl-)、クロム酸イオン(CrO4 2-)がある。これらを含む群またはこれらからなる群から選択された少なくとも1つのイオンを吸着する機能を有するアニオン性イオン交換樹脂が用いられ得る。なお、アニオン性イオン交換樹脂から放出されるイオンは、オイルの劣化を促進しないイオンであるとよく、好ましくは、オイルの劣化を抑制するイオンであるとよい。
また、カチオン性イオン交換樹脂の使用によりオイル中から除去することが望まれるイオンには、Caイオン(Ca2+)ばかりでなく、例えば、Al3+、Fe2+、Fe3+、Cr3+、Pb2+、Ni2+、Cu2+、Mg2+、Ti+がある。これらは、オイルへの添加剤、例えばZnDTPから生じたり、エンジンの構成部材の磨耗および/または溶出により生じたりする。特に、エンジンの摺動部の摩耗によりエンジンオイル中に生じるCuイオン、Alイオン、Feイオン等は、除去されることが望まれる。これらを含む群またはこれらからなる群から選択された少なくとも1つのイオンを吸着する機能を有するカチオン性イオン交換樹脂が用いられ得る。なお、カチオン性イオン交換樹脂から放出されるイオンは、オイルの劣化を促進しないイオンであるとよく、好ましくは、オイルの劣化を抑制するイオンであるとよい。
なお、アニオン性イオン交換樹脂およびカチオン性イオン交換樹脂のうちの一方のみから、機能部材のイオン交換樹脂が構成されてもよい。
また、本発明における反応体はイオン交換樹脂に限定されない。イオン交換樹脂、無機イオン交換体、キレート樹脂および/または合成吸着剤を反応体として用いることが可能である。反応体として、所定の成分を吸着する機能を有する種々の物質や、所定の成分を吸着する機能と別の所定の成分を放出する機能とを有する種々の物質を用いることができる。
また、反応体によって吸着除去されるべき成分は、上記したような硝酸イオン、硫酸イオン等の酸、添加物から生じた成分、エンジンの構成部材の磨耗および/または溶出により生じた成分であって、オイル中の不要成分または不純物であるとよい。なお、吸着されるべき成分は、上記イオンに限定されず、また、イオン以外の成分をも含み得る。またオイルへ反応体から放出されるべき成分はエンジンオイルに無害である成分またはオイルへの添加剤として機能する有用成分であるとよい。なお、同様に、放出されるべき成分は、上記イオンに限定されず、イオン以外の成分も含み得る。
このような反応体を用いて、オイル中の不要成分または不純物を除去できるので、オイル中にそのような不要成分または不純物を供給する可能性のある種々の材料および/または薬剤等の物質を、酸化防止剤、金属系洗浄剤、摩擦調整剤、無灰分散剤、pH調整剤としてオイルへ加えることも可能になる。
なお、このような反応体は、上記実施形態で説明したように、ケース等に入れられたり、板等に固定されたりすることで機能部材とされて、所定箇所に設置されることができる。しかし、反応体は、ケース等に入れられることなく、オイルパン内等の所定箇所に設置されてもよい。
なお、上記した機能部材は、交換可能である場合、適宜交換されるとよい。しかし、交換された機能部材は、イオン交換樹脂といった反応体を交換したり、再生処理したりすることで、繰り返し用いられてもよい。
以上、本発明を上記実施形態およびその変形例に基づいて説明した。しかし、本発明は、それら実施形態等に限定されず、他の実施形態を許容する。例えば、本発明は、上記実施形態や変形例の全体的な組み合わせまたは部分的な組み合わせを、矛盾しない範囲において許容する。本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。
10 エンジン
12 シリンダブロック
14 ピストン
16 クランクケース
18 シリンダヘッド
20 ヘッドカバー
22 オイルパン
26 吸気通路
28 PCV通路
30 大気通路
32 PCVバルブ
34 オイル落とし通路
36 スラッジ抑制層
44 機能部材
12 シリンダブロック
14 ピストン
16 クランクケース
18 シリンダヘッド
20 ヘッドカバー
22 オイルパン
26 吸気通路
28 PCV通路
30 大気通路
32 PCVバルブ
34 オイル落とし通路
36 スラッジ抑制層
44 機能部材
Claims (9)
- オイル循環路に設けられたオイル中の所定の成分を吸着する機能を有する反応体と、
該反応体の温度が所定温度を越えることを抑制する抑制装置と
を備えたことを特徴とする潤滑装置。 - 前記抑制装置は冷却装置であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑装置。
- 前記冷却装置は、
前記反応体および該反応体に向けて流れるオイルの少なくとも一方を冷却するように定められた冷却用流体通路と、
該冷却用流体通路における冷却用流体の流通を調整するための調整弁と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の潤滑装置。 - 前記抑制装置は、
前記オイル循環路に設けられて内部に前記反応体が位置付けられる反応体収容部材と、
該反応体収容部材内へのオイルの流通を調整する収容部材流通調整装置と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の潤滑装置。 - 前記収容部材流通調整装置はオイルの温度の変化に応じて動くように設けられた遮蔽部材を備え、
前記反応体収容部材のオイル入口は前記遮蔽部材の移動により開閉されることを特徴とする請求項4に記載の潤滑装置。 - 前記反応体はオイル溜部に設けられ、
前記抑制装置は、オイルの温度が所定温度を越えるとき、前記オイル溜部のオイル面から該オイル面よりも上方に前記反応体が離れるように前記反応体と前記オイル面との位置関係を調整する位置関係調整装置であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑装置。 - 前記位置関係調整装置は、オイルの温度の変化に応じて曲がるように構成されたバイメタルを含むことを特徴とする請求項6に記載の潤滑装置。
- 前記位置関係調整装置は、
前記反応体を支持する支持部材と、
該支持部材を動かすためのアクチュエータと、
前記オイル溜部のオイルの温度を検出するための温度検出手段と、
該温度検出手段を用いて検出されたオイルの温度に応じて前記アクチュエータの作動を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の潤滑装置。 - 請求項1から8のいずれかに記載の潤滑装置を備えたことを特徴とするエンジン。
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---|---|---|---|---|
JP2014101795A (ja) * | 2012-11-20 | 2014-06-05 | Yuko Moriyama | オイル容器におけるドレンボルト |
-
2010
- 2010-05-14 JP JP2010112304A patent/JP2011241699A/ja active Pending
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