JP2011239621A - 磁歪型超音波モータ - Google Patents

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Masakatsu Maruyama
政克 丸山
Kenichi Inoue
憲一 井上
Yasushi Maeda
恭志 前田
Hiroyuki Takamatsu
弘行 高松
Takashi Hase
隆司 長谷
Osamu Ozaki
修 尾崎
Chikara Ichihara
主税 一原
Hiroyuki Mitani
宏幸 三谷
Koji Inoue
浩司 井上
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Abstract

【課題】本発明は、渦電流損をより低減することができ、より効率の良い磁歪型超音波モータを提供する。
【解決手段】本発明の磁歪型超音波モータSMは、複数の励磁コイル3を備える固定子1と、固定子1に摩擦接触する可動子2とを備え、複数の励磁コイル3のそれぞれは、帯状の導体部材を、該導体部材の幅方向が該励磁コイルの軸方向に沿うように巻回することによって構成され、磁歪により固定子1に進行波を生じさせるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁歪による超音波振動を利用する磁歪型超音波モータに関する。
超音波モータは、一般に、圧電素子による超音波振動によって被駆動部材を回転運動または直線運動させるものである。超音波モータは、その駆動原理から進行波型および定在波型があり、その振動モードから共振型および非共振型があり、また、その形状から円板型、平板型およびくさび型がある。このような超音波モータでは、圧電素子が利用されるため、高電圧を前記圧電素子に印加する必要がある。そこで、低電圧化を実現すべく、前記圧電素子に代えて励磁コイルを用い、この励磁コイルの磁歪により超音波振動を生じさせる超音波モータがある。このような磁歪による超音波振動を利用する磁歪型超音波モータは、例えば、特許文献1に提案されている。
図7は、特許文献1に開示の超音波モータ用素子の構成を示す図である。図7(A)は、斜視図であり、図7(B)は、その要部概略構成図である。この特許文献1に開示の超音波モータ用素子1000は、図7に示すように、固定子1011と、可動子1012とからなり、固定子1011を構成する振動部は、円周方向に突部1011aと溝部1011bとが交互に等間隔で超磁歪材料によって形成され、その突部1011aの頂面に対面して円板状の可動子1012が載置される。そして、固定子1011の各突部1011aには、線材からなる励磁コイル1014、1015が巻かれている。このような構成の超音波モータ用素子は、前記励磁コイル1014、1015の磁歪により前記振動部を超音波振動させ、可動子1012を駆動することができる。
特許第2745633号公報
ところで、前記特許文献1に開示の超音波モータ用素子1000では、励磁コイル1014、1015は、線材であるため、励磁コイル1014、1015に生じる渦電流損によって、その効率が低下してしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、渦電流損をより低減することができ、より効率の良い磁歪型超音波モータを提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる磁歪型超音波モータは、複数の励磁コイルを備える固定子と、前記固定子に摩擦接触する可動子とを備え、前記複数の励磁コイルのそれぞれは、帯状の導体部材を、該導体部材の幅方向が該励磁コイルの軸方向に沿うように巻回することによって構成され、磁歪により前記固定子に進行波を生じさせることを特徴とする。
このような構成の磁歪型超音波モータでは、複数の励磁コイルのそれぞれは、帯状の導体部材を、該導体部材の幅方向が該励磁コイルの軸方向に沿うように巻回することによって構成されているので、各励磁コイルに生じる各渦電流損をより低減することができる。このため、このような構成の磁歪型超音波モータは、渦電流損をより低減することができ、より効率が良い。
また、他の一態様では、上述の磁歪型超音波モータにおいて、前記進行波は、n次(nは自然数)の共振モードであることを特徴とする。
この構成によれば、共振モードで動作するので、このような構成の磁歪型超音波モータは、より効率良く稼動することができる。
また、他の一態様では、これら上述の磁歪型超音波モータにおいて、前記導体部材の厚さは、当該励磁コイルに給電される交流電力における周波数に対する表皮厚みの1/3以下であることを特徴とする。
この構成によれば、導体部材の厚さが交流電力の周波数に対する表皮厚みの3分の1以下であるので、このような構成の磁歪型超音波モータは、渦電流損を低減することができる。なお、表皮厚みδは、交流電力の角周波数をωとし、導体部材の透磁率をμとし、導体部材の電気伝導率をρとする場合に、一般に、δ=(2/ωμρ)1/2である。
また、他の一態様では、これら上述の磁歪型超音波モータにおいて、前記固定子の一部または全部は、磁気的に等方性を有し、軟磁性体粉末を形成したものであることを特徴とする。
この構成によれば、少なくとも励磁コイルの外側における固定子部分について、所望の磁気特性が比較的容易に得られると共に、比較的容易に所望の形状に成形され得る。
また、他の一態様では、上述の磁歪型超音波モータにおいて、前記軟磁性体粉末は、電気絶縁層で被覆されていることを特徴とする。
この構成によれば、磁性体粉末が電気絶縁層で被覆されているので、このような構成の磁歪型超音波モータは、固定子における渦電流損を低減することができる。
また、他の一態様では、これら上述の磁歪型超音波モータにおいて、前記固定子は、前記複数の励磁コイルをそれぞれ入れるための複数の凹部を備えることを特徴とする。
前記特許文献1に開示の超音波モータ用素子1000では、固定子1011の各突部1011aに励磁コイル1014、1015をそれぞれ巻き回す必要があり、手間がかかるが、このような構成の磁歪型超音波モータでは、固定子の凹部に励磁コイルを入れるだけでよいので、より簡単な構造でより簡易に製造することができる。
本発明にかかる磁歪型超音波モータは、渦電流損をより低減することができ、より効率が良い。
実施形態における磁歪型超音波モータの構成を示す縦断面図である。 図1に示す磁歪型超音波モータにおける、天板を取り除いた状態での固定子の上面図である。 図1に示す磁歪型超音波モータにおける固定子を周方向で展開した断面図である。 図1に示す磁歪型超音波モータにおける固定子に使用される、鉄粉を含む磁性体における密度別の磁束密度−比透磁率特性を示す図である。 図1に示す磁歪型超音波モータにおける励磁コイルによる磁歪を説明するための図である。 進行波型超音波モータの原理を説明するための図である。 特許文献1に開示の超音波モータ用素子の構成を示す図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における磁歪型超音波モータの構成を示す縦断面図である。図2は、図1に示す磁歪型超音波モータにおける、天板を取り除いた状態での固定子の上面図である。図3は、図1に示す磁歪型超音波モータにおける固定子を周方向で展開した断面図である。図3(A)は、図3(B)に示すA線で固定子を周方向で展開した断面図を示し、図3(B)は、前記A線を図示するための図であって、図2と同様に、天板を取り除いた状態での固定子の上面図である。図4は、図1に示す磁歪型超音波モータにおける固定子に使用される、鉄粉を含む磁性体における密度別の磁束密度−比透磁率特性を示す図である。図4(A)は、比較的高密度側の磁束密度−比透磁率特性を示し、図4(B)は、比較的低密度側の磁束密度−比透磁率特性を示す。図4(A)および(B)の横軸は、磁束密度(T)であり、その横軸は、比透磁率である。また、図4において、◆は、密度7.5g/ccの場合を示し、△は、密度7g/ccの場合を示し、×は、密度6.5g/ccの場合を示し、□は、密度5.99g/cc(約6g/cc)の場合を示し、○は、密度4.98g/cc(約5g/cc)の場合を示し、■は、密度3.98g/cc(約4g/cc)の場合を示し、+は、密度3.63g/cc(約3.6g/cc)の場合を示し、◇は、密度3.21g/cc(約3.2g/cc)の場合を示し、そして、▲は、密度2.73g/cc(約2.7g/cc)の場合を示す。図5は、図1に示す磁歪型超音波モータにおける励磁コイルによる磁歪を説明するための図である。図5(A)は、励磁コイルによる変形モードを示し、図5(B)は、図6は、進行波型超音波モータの原理を説明するための図である。
図1ないし図3において、本実施形態の磁歪型超音波モータSMは、複数の励磁コイル3を備える固定子1と、可動子2と、軸部4と、付勢部5とを備えて構成されている。
固定子1は、所定の材料から形成された比較的短高の外形円柱形状の円柱部材10であり、前記円柱部材10の内部には、複数の励磁コイル3が配設されている。より具体的には、固定子1の円柱部材10は、比較的短高の外形円柱形状の下部円柱部材11と、前記下部円柱部材11の一方端部を覆う外形円板形状の上部円板部材12とを備えて構成されている。
下部円柱部材11には、下部円柱部材11の中心から等距離の位置であって周方向に等間隔で複数の凹部111が形成されている。これら複数の凹部111のそれぞれは、励磁コイル3の外形形状と略相似形状である。図1ないし図3に示す例では、励磁コイル3の外形形状が円柱形状であることから、これら複数の凹部111のそれぞれも円柱形状である。これら複数の凹部111において、その互いに隣接する2個の凹部111は、その一部分で外接していてもよいし、また離間していてもよい。そして、これら複数の凹部111のそれぞれには、複数の励磁コイル3のそれぞれが、埋設されるように、励磁コイル3の軸方向と下部円柱部材11の軸方向とを揃えて(平行させて)入れられている。このように複数の励磁コイル3が入れられた状態で下部円柱部材11の一方端部には、これら複数の励磁コイル3を覆うと共にこの下部円柱部材11の一方端部を覆うように、上部円板部材12が当接され、固定される。この下部円柱部材11と上部円板部材12との固定には、例えば、接着剤による接着固定や、ネジによるネジ固定等が用いられる。このように本実施形態では、中心から等距離の位置であって周方向に等間隔に配置された複数の励磁コイル3を内包する、外形円柱形状の固定子1が構成される。
また、下部円柱部材11における各凹部111の各底面および各凹部111を覆う部分に対応する上部円板部材12の各面部分(各凹部111の各天面)は、平面であってもよいが、図1ないし図3に示す例では、これら各底面および各天面には、それぞれ、励磁コイル3のインダクタンスを調整するために、空芯コイルの励磁コイル3の軸芯部内へ延びる凸部が形成されている。より具体的には、下部円柱部材11における各凹部111の各底面には、それぞれ、励磁コイル3の軸芯内部へ延び、側面が軸AX方向に対して斜行するテーパ面を有する円錐台形状の下部凸部112が形成され、各凹部111を覆う部分に対応する上部円板部材12の各面部分(各凹部111の各天面)には、それぞれ、励磁コイル3の軸芯内部へ延び、側面が軸AX方向に対して斜行するテーパ面を有する円錐台形状の上部凸部113が形成されている。なお、励磁コイル3は、軸芯内部に配設される中実円柱形状のコア部を備える有芯コイルであってもよい。
このような固定子1の一部または全部は、磁気的に等方性を有し、所定の磁気特性を有する材料で、例えば、当該磁歪型超音波モータSMに要求される特性(仕様)等に応じた比透磁率を有する材料で構成される。この固定子1の一部または全部は、例えば、公知の常套手段を用いたプレス成形で製造されてもよいが、所望の磁気特性の実現容易性および所望の形状の成形容易性の観点から、例えば、軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合物を成形したものであることが好ましい。軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合率比を比較的容易に調整することができ、前記混合比率を適宜に調整することによって、固定子1の磁気特性を所望の磁気特性に容易に実現することが可能となる。また、軟磁性体粉末と非磁性体粉末との混合物であるので、様々な形状に成形することができ、固定子1の形状を所望の形状に容易に成形することが可能となる。
この軟磁性粉末は、強磁性の金属粉末であり、より具体的には、例えば、純鉄粉、鉄基合金粉末(Fe−Al合金、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイ等)およびアモルファス粉末、さらには、表面にリン酸系化成皮膜などの電気絶縁皮膜が形成された鉄粉等が挙げられる。このように軟磁性体粉末を電気絶縁層で被覆することによって固定子1における渦電流損を低減することが可能となる。これら軟磁性粉末は、例えば、アトマイズ法等によって微粒子化する方法や、酸化鉄等を微粉砕した後にこれを還元する方法等によって製造することができる。また、一般に、透磁率が同一である場合に飽和磁束密度が大きいので、軟磁性粉末は、例えば上記純鉄粉、鉄基合金粉末およびアモルファス粉末等の金属系材料であることが特に好ましい。
このような固定子1は、例えば、公知の常套手段を用いることによって、軟磁性体粉末としての鉄粉と、非磁性体粉末としての樹脂とを混合して成形、例えば圧粉成形した所定の密度の部材であり、この部材は、例えば、図4に示す磁束密度−比透磁率特性を有している。なお、磁束密度−比透磁率特性は、磁束密度の変化に対する比透磁率の変化である。
図4(A)に示すように、密度約6g/cc以上の部材(密度約5.99g/cc(□)、密度約6.5g/cc(×)、密度約7g/cc(△)、密度約7.5g/cc(◆))では、この部材の磁束密度−比透磁率特性は、比較的高い初期比透磁率から、磁束密度が増加すると比透磁率が徐々に増加してピーク(最大値)となり、その後、磁束密度の増加に従って徐々に比透磁率が減少して行く第1プロファイルである。例えば、密度約7g/ccの部材では、磁束密度−比透磁率特性は、約120の初期比透磁率から、磁束密度が増加すると、磁束密度が約0.35Tで比透磁率が約200まで徐々に増加し、その後、磁束密度の増加に従って徐々に比透磁率が減少して行くプロファイルである。このように初期透磁率が約50〜250Tの材料は、この例では、約70〜約160の材料は、略同様に、磁束密度−比透磁率特性が第1プロファイルとなり、比較的高い比透磁率の材料である。これら密度約5.99g/cc(□)、密度約6.5g/cc(×)、密度約7g/cc(△)、密度約7.5g/cc(◆)の各部材における各最大比透磁率は、順に、約95、約140、約200、約320である。
また、図4(B)に示すように、密度約5g/cc以下の部材(密度4.98g/cc(○)、密度3.98g/cc(■)、密度3.63g/cc(+)、密度3.21g/cc(◇)、密度2.73g/cc(▲))では、磁束密度−比透磁率特性は、比較的小さい初期比透磁率から、磁束密度が微小増加すると比透磁率が比較的急激に増加してピーク(最大値)となり、その後、磁束密度の増加に従って緩やかに比透磁率が減少して行く第2プロファイルである。例えば、密度約2.73g/ccの部材では、磁束密度−比透磁率特性は、約2.8の初期比透磁率から、磁束密度が微小増加すると、磁束密度が約0.02Tで比透磁率が約3.5まで急激に増加し、その後、磁束密度の増加に従って緩やかに比透磁率が減少して行くプロファイルである。このように初期透磁率が約2〜20の材料は、この例では、約2.8〜約14.1の材料は、略同様に、磁束密度−比透磁率特性が第2プロファイルとなり、比較的低い比透磁率の材料である。これら密度約4.98g/cc(○)、密度3.98g/cc(■)、密度約3.63g/cc(+)、密度3.21g/cc(◇)、密度約2.73g/cc(▲)の各部材における各最大比透磁率は、順に、約16、約10、約6.5、約4.7、約3.5である。
最大比透磁率とは、磁束密度−比透磁率特性において、比透磁率の最大値である。
図1ないし図3に示す例では、固定子1における円柱部材10(下部円柱部材11および上部円板部材12)が、磁気的に等方性を有し、軟磁性体粉末を形成したものであり、固定子1の全部が、磁気的に等方性を有し、軟磁性体粉末を形成したものとなっている。なお、例えば、円柱部材10(上部円板部材12)における、可動子2と摩擦接触する面を保護するために、円柱部材10(上部円板部材12)における前記面上には、例えばセラミックス等の比較的硬質の材料によって形成される保護層(保護膜、保護部材)がさらに設けられてもよく、このケースは、固定子1の一部が、磁気的に等方性を有し、軟磁性体粉末を形成したものとなる。あるいは、上部円板部材12が、このような保護層の機能を持つ材料で形成されたものであってもよく、このようなケースも、固定子1の一部(下部円柱部材11)が、磁気的に等方性を有し、軟磁性体粉末を形成したものとなる。
なお、上述では、固定子1は、所定の磁束密度−比透磁率特性を有する圧粉成形した部材で構成される例を示したが、固定子1は、これに限定されず、固定子1として機能する所定の材料であってよい。例えば、固定子1は、磁歪効果を最大化する観点から、前記特許文献1に開示の超磁歪材料で構成されてもよい。
励磁コイル3は、複数であり、図1ないし図3に示す例では、6個の励磁コイル3(3U−1、3V−1、W3−1、3U−2、3V−2、3W−2)である。励磁コイル3には、後述するように、3相交流が通電されることから、3m倍の個数であることが好ましい(mは自然数)。このように励磁コイル3は、当該励磁コイル3に通電される通電電流の相数のm倍の個数(=(通電電流の相数)×m)であることが好ましい。なお、固定子1の前記凹部111は、この励磁コイル3を入れるための空間であるから、励磁コイル3の個数に応じた個数となる。
そして、励磁コイル3(3U−1、3V−1、W3−1、3U−2、3V−2、3W−2)のそれぞれは、絶縁被覆した長尺の帯状の導体部材を、該導体部材の幅方向が該励磁コイル3の軸方向に沿うように巻回することによって構成され、通電されることによって磁場を発生し、磁歪を生じるものである。帯状とは、導体部材の厚さ(径方向の長さ)tよりも幅(軸方向の長さ)Wの方が大きい場合をいい、すなわち、幅Wと厚さtとの間に、W>t(W/t>1)の関係が成り立つ。このように本実施形態の励磁コイル3は、いわゆるフラットワイズ巻線構造である。
このような帯状の導体部材が径方向に重なるように巻回されたフラットワイズ巻線構造の励磁コイル3は、例えば断面丸形(○形)や断面矩形(□形)等の絶縁被覆した長尺な導体線を巻回することによって構成されたコイルや、帯状の導体部材が軸方向に重なるように巻回されたエッジワイズ巻線構造のコイルよりも、いわゆる渦電流損の点で優れている。すなわち、一般的に、コイルに通電すると、コイルは、導体から構成されているので、磁束線(磁力線)に垂直な面(直交面)に渦電流が発生し、それによって損失(ロス)が発生する。この渦電流の大きさは、磁束密度が同一である場合には、磁束線と交差する面積、すなわち、磁束線に垂直な連続する面の面積に比例する。磁束線は、コイル内では軸方向に沿っているので、渦電流は、コイルを構成する導体の、軸方向に直交する径方向の面の面積に比例することになる。このため、線材のコイルやエッジワイズ巻線構造のコイルでは、前記導体部材は、軸方向の面積よりも径方向の面積が比較的大きく、渦電流を生じやすく、電気抵抗によって生じる損失よりも渦電流によって生じる損失の方が支配的となやすい。したがって、線材のコイルやエッジワイズ巻線構造のコイルでは、損失が、通電電流の周波数に依存して周波数の増加に伴い増大し、比較的小さな電気抵抗によって初期損失が比較的小さくなる。一方、本実施形態におけるフラットワイズ巻線構造の励磁コイル3では、前記導体部材は、径方向の面積が小さく、渦電流を生じ難い一方で、軸方向の面積が大きい。したがって、フラットワイズ巻線構造の励磁コイル3では、渦電流が殆ど生じず、損失は、通電電流の周波数によらず略一定であり、比較的小さな電気抵抗によって初期損失も比較的小さくなる。このようにフラットワイズ巻線構造の励磁コイル3は、渦電流損の点で、線材のコイルやエッジワイズ巻線構造のコイルよりも優れている。
可動子2は、固定子1に摩擦接触する部材であって、励磁コイル3の磁歪により固定子1に生じた進行波によって、固定子1に対し相対的に移動する部材である。より具体的には、可動子2は、図1ないし図3に示す例では、回転子2であり、固定子1の円柱部材10と略同径(同直径)の外形円板形状の円板部材である。可動子(回転子)2は、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等の金属(合金を含む)によって形成されている。
軸部4は、可動子(回転子)2が固定子1に対し相対的に回転移動する場合における回転軸であり、所定の材料によって形成された、比較的細長い外形円柱形状のロッド部材である。
付勢部5は、可動子(回転子)2を固定子1に摩擦接触されるための部材であり、可動子(回転子)2を固定子1の方向へ付勢するものである。付勢部5は、図1ないし図3に示す例では、弾性部材51と、軸受け部材52と、支持部材53とを備えている。軸受け部材52は、可動子(回転子)2に固定接続されるとともに、軸部4に摺動可能に接続される部材であり、例えば、円筒形状の第1円筒部材521と、円筒形状の第2円筒部材522と、複数のボールベアリング523とを備えて構成される。第1円筒部材521の内径(内直径)は、第2円筒部材522の外径(外直径)よりも大きくされている。第1円筒部材521は、軸AX方向に沿った一方端部の外周側面で、可動子(回転子)2の中心に形成された円柱形状の凹部に固着されるとともに、軸AX方向に沿った他方端部の内周側面で、複数のボールベアリング523を介して、第2円筒部材522における軸AX方向に沿った一方端部の内周側面と、摺動可能に接続される。第2円筒部材522は、上述のように、軸AX方向に沿った一方端部の外周側面で、複数のボールベアリング523を介して、第1円筒部材521における軸AX方向に沿った他方端部の外周側面と、摺動可能に接続されている。そして、第2円筒部材522には、軸AX方向に沿った他方端部の端面で弾性部材51の一方端が当接しており、その軸芯内部に軸部4が挿通されている。支持部材53は、長手方向に沿った所定の位置で軸部4に固定されるとともに、弾性部材51の他方端を固定支持する部材である。弾性部材51は、可動子(回転子)2から固定子1へ向いた方向に付勢力を生じさせる部材であり、例えば、圧縮バネ等である。このような構成の付勢部5では、軸部4に固定された支持部材53によって弾性部材51の他方端が固定支持されることで、弾性部材51の他方端には、可動子(回転子)2から固定子1へ向いた方向に付勢力を生じ、この付勢力によって可動子(回転子)2は、固定子1に摩擦係合される。
そして、このような固定子1、可動子2、軸部4および付勢部5において、固定子1の中心に軸AX方向に沿って形成された貫通孔に軸部4の一方端が固定され、付勢部5を軸部4に挿通させてその支持部材53を軸部4の前記所定の位置で固定することによって、固定子1の中心と可動子(回転子)2の中心とが軸部4で略一致するとともに、付勢部5の付勢力で可動子(回転子)2が固定子1に摩擦係合する磁歪型超音波モータSMが構成される。
このような構成の磁歪型超音波モータSMにおいて、励磁コイル3に電流を通電すると、図3(A)および図5(A)に示すように、励磁コイル3によって磁場が発生し、磁性体から成る固定子1に環流するように磁束線MFが通り、固定子1にいわゆる磁歪が生じる。
すなわち、磁場の無い無磁場下における磁性材料では、図5(B)に示すように、電子のスピンによる微小磁石におけるNS極の方向が不揃いな状態(様々な方向を向いたランダムな状態)であるが、磁場が印加された磁場下(有磁場下)における磁性材料では、図5(C)に示すように、前記微小磁石におけるNS極の方向が揃うため、磁性材料全体において、所定の一方向に膨張するとともに所定の他方向で収縮する歪み(磁歪)が生じる。
このため、励磁コイル3に交流電流を通電すると、通電電流量の交番変化によってその変位が周期的に変化する磁歪が生じることになる。したがって、固定子1における複数の励磁コイル3(3U−1、3V−1、W3−1、3U−2、3V−2、3W−2)に対し、異なる位相の複数の電流における各相、例えば、三相交流の各相(U相、V相、W相)を周方向に順に通電すると、複数の励磁コイル3(3U−1、3V−1、W3−1、3U−2、3V−2、3W−2)によって、固定子1には、周方向に沿って順に伸び変位(膨張変位)の極大な部分から伸び変位の極小な部分(収縮変位の極大な部分)へ至る周期的な変位が生じる。これによって固定子1の表面には、進行波が生じる。すなわち、固定子1において、複数の励磁コイル3(3U−1、3V−1、W3−1、3U−2、3V−2、3W−2)における各周辺部分には、図3(A)に示すように、位相のずれた状態で磁歪による伸縮が生じ、これによって固定子1の表面には、進行波が生じる。
例えば、励磁コイル3U−1、3U−2にU相の電流を通電し、励磁コイル3V−1,3V−2にV相の電流を通電し、そして、励磁コイル3W−1,3W−2にW相の電流を通電した場合において、或る時刻では、励磁コイル3U−1周辺の固定子1における伸び変位が極大となり、励磁コイル3V−1周辺の固定子1における伸び変位が前記極大量よりも小さい所定量となり、励磁コイル3W−1周辺の固定子1における伸び変位が極小(収縮変位が極大)となり、励磁コイル3U−2周辺の固定子1における伸び変位が極大となり、励磁コイル3V−2周辺の固定子1における伸び変位が前記極大量よりも小さい所定量となり、そして、励磁コイル3W−2周辺の固定子1における伸び変位が極小(収縮変位が極大)となる。そして、このような変位が時間の進行に従って周方向に進行し、固定子1の表面に進行波が生じることになる。
したがって、固定子1に摩擦接触されている可動子(回転子)2は、図6に示すように、進行波型超音波モータの動作原理に基づいて、前記進行波によって固定子1に対し相対的に周方向に回転移動する。すなわち、磁歪型超音波モータSMが稼動することになる。
本実施形態における磁歪型超音波モータSMは、このように動作するので、周方向に生じる進行波は、n次の共振モードであることが好ましい(nは自然数)。より具体的には、周方向の円周長をLとし、前記進行波の前記周方向の円周上での波長をλとする場合に、L=n×λであることが好ましい。例えば、周方向に沿って配置された複数の励磁コイル3の中心を通る円周長Lがn×λであることが好ましい。このように磁歪型超音波モータSMが構成されることによって、このような構成の磁歪型超音波モータは、共振モードで動作するので、より効率良く稼動することができる。
上述したように、本実施形態における磁歪型超音波モータSMでは、励磁コイル3の磁歪により駆動するので、圧電素子のような高電圧が必要ではなく、比較的低電圧で駆動することができる。
また、本実施形態における磁歪型超音波モータSMでは、複数の励磁コイル3のそれぞれは、帯状の導体部材を、該導体部材の幅方向が該励磁コイル3の軸方向に沿うように巻回することによって構成されているので、各励磁コイル3に生じる各渦電流損をより低減することができる。このため、本実施形態における磁歪型超音波モータSMは、渦電流損をより低減することができ、より効率が良い。
また、上述の本実施形態における磁歪型超音波モータSMでは、固定子1は、複数の励磁コイル3をそれぞれ入れるための複数の凹部111を備えており、これら固定子1の凹部111に各励磁コイル3をそれぞれ入れるだけでよいので、前記特許文献1のように励磁コイル1014、1015を突部1011aに巻き回す必要がないから、本実施形態における磁歪型超音波モータSMは、より簡単な構造でより簡易に製造することができる。
なお、上述の磁歪型超音波モータSMにおいて、励磁コイル3における前記導体部材の厚さは、当該励磁コイル3に給電される交流電力における周波数に対する表皮厚みの1/3以下であることが好ましい。このように構成することによって、このような構成の磁歪型超音波モータSMは、前記導体部材の厚さが交流電力の周波数に対する表皮厚みの3分の1以下であるので、渦電流損を低減することができる。一般に、コイルに流れる電流は、表皮厚みδまでの範囲でしか流れず、導体断面全体に一様に電流が流れない。したがって、導体部材の厚みtを表皮厚みδ以下に設定することで渦電流損が減少できる。なお、表皮厚みδは、交流電力の角周波数をωとし、導体部材の透磁率をμとし、導体部材の電気伝導率をρとする場合に、一般に、δ=(2/ωμρ)1/2である。
また、上述の実施形態では、磁歪型超音波モータSMは、固定子1によって可動子(回転子)2に回転運動を生じさせるものであったが、固定子によって可動子に直線運動を生じさせるリニア型の磁歪型超音波モータであってもよい。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
SM 磁歪型超音波モータ
1 固定子
2 可動子
3 励磁コイル

Claims (6)

  1. 複数の励磁コイルを備える固定子と、
    前記固定子に摩擦接触する可動子とを備え、
    前記複数の励磁コイルのそれぞれは、帯状の導体部材を、該導体部材の幅方向が該励磁コイルの軸方向に沿うように巻回することによって構成され、磁歪により前記固定子に進行波を生じさせること
    を特徴とする磁歪型超音波モータ。
  2. 前記進行波は、n次(nは自然数)の共振モードであること
    を特徴とする請求項1に記載の磁歪型超音波モータ。
  3. 前記導体部材の厚さは、当該励磁コイルに給電される交流電力における周波数に対する表皮厚みの1/3以下であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁歪型超音波モータ。
  4. 前記固定子の一部または全部は、磁気的に等方性を有し、軟磁性体粉末を形成したものであること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の磁歪型超音波モータ。
  5. 前記軟磁性体粉末は、電気絶縁層で被覆されていること
    を特徴とする請求項4に記載の磁歪型超音波モータ。
  6. 前記固定子は、前記複数の励磁コイルをそれぞれ入れるための複数の凹部を備えること
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の磁歪型超音波モータ。
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