JP2011235799A - エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 歩行者を保護する金属製エアバッグを適切な形状に展開させる。
【解決手段】 車両のフロントウインドウガラス12の車体左右方向の縁部12aと該縁部12aよりも車体前方に突出するフロントピラー15との間につづら折りされた金属製のエアバッグ18を配置したので、既存の車体構造に大きな設計変更を施すことなくエアバッグ装置を装着することができ、しかもエアバッグ装置を装着したことによる外観の低下を防止することができる。エアバッグ18はつづら折りの山部aおよび谷部bを結ぶ直線が略車体前後方向に沿うように折り畳まれるので、エアバッグ18が展開するときにつづら折りによって受圧面積が増加した車体前面側が車体前方に大きく展開することで、歩行者が衝突したときにエアバッグ18が潰れるストロークを充分に確保して衝撃吸収性能を高めることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両のフロントウインドウガラスの車体左右方向の縁部と該縁部よりも車体前方に突出するフロントピラーとの間につづら折りされた金属製のエアバッグを配置し、インフレータが発生するガスで前記エアバッグを前記フロントピラーに沿うようにチューブ状に展開して歩行者を保護するエアバッグ装置に関する。
自動車のフロントピラーの前面を覆うピラーガーニッシュの内側に折り畳んだ布製のエアバッグを収納し、歩行者との衝突時にインフレータが発生するガスをエアバッグに供給することで、ピラーガーニッシュが破断した隙間からエアバッグをフロントピラーの前面に沿って展開させて歩行者を保護する歩行者保護エアバッグ装置が、下記特許文献1により公知である。
また自動車のフロントピラーの前面を覆うピラーガーニッシュをピラー骨格部材にリンク式のピラー駆動機構を介して支持し、歩行者との衝突時にピラー駆動機構でピラーガーニッシュをピラー骨格部材から浮き上がらせることで、ピラーガーニッシュがストロークできるようにして衝突エネルギーを吸収する歩行者保護用衝撃吸収構造が、下記特許文献2により公知である。
特開2002−283939号公報 特開2006−282105号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明は、エアバッグが布製であるために展開状態を長時間に亙って維持することが難しく、歩行者がフロントピラーに衝突するタイミングによっては充分な衝撃吸収効果を発揮できない可能性があった。
また上記特許文献2に記載された発明は、ピラーガーニッシュをピラー骨格部材に移動可能に支持するリンク式のピラー駆動機構の構造が複雑であり、部品点数が増加してコストアップの要因となる問題があった。
そこで本出願人は、つづら折りした金属製のエアバッグをフロントウインドウガラスとフロントピラーとの間に配置し、歩行者との衝突時にエアバッグをフロントピラーに沿うようにチューブ状に展開するものを、特願2009−224380号により既に提案している。
しかしながら、上記特願2009−224380号で提案されたものは、エアバッグのつづら折りの山部および谷部を結ぶ直線が略車体左右方向に配置されているため、つづら折りされたエアバッグの左右両側部の受圧面積が、平面状になったエアバッグの前部の受圧面積よりも大きくなり、エアバッグの展開完了時の横断面形状が車体左右方向に長く、車体前後方向に短くなってしまい、歩行者が衝突したときにエアバッグが前後方向に潰れるストロークを充分に確保できない可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、歩行者を保護する金属製エアバッグを適切な形状に展開させることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両のフロントウインドウガラスの車体左右方向の縁部と該縁部よりも車体前方に突出するフロントピラーとの間につづら折りされた金属製のエアバッグを配置し、インフレータが発生するガスで前記エアバッグを前記フロントピラーに沿うようにチューブ状に展開して歩行者を保護するエアバッグ装置であって、前記エアバッグは、つづら折りの山部および谷部を結ぶ直線が略車体前後方向に沿うように折り畳まれることを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記エアバッグは、前記山部および前記谷部の間にベントホールを備えることを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記山部の先端は面状に積み重なって車体前方側を向くことを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、前記面状に積み重なった山部の先端は樹脂により被覆されることを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、前記面状に積み重なった山部の先端は、前記エアバッグの一部で構成される被覆部により被覆されることを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
また請求項6に記載された発明によれば、請求項5の構成に加えて、前記被覆部の車体左右方向の外縁は前記フロントピラーに沿って車体後方側に折り曲げられることを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
請求項1の構成によれば、車両のフロントウインドウガラスの車体左右方向の縁部と該縁部よりも車体前方に突出するフロントピラーとの間につづら折りされた金属製のエアバッグを配置したので、既存の車体構造に大きな設計変更を施すことなくエアバッグ装置を装着することができ、しかもエアバッグ装置を装着したことによる外観の低下を防止することができる。また金属製のエアバッグは一旦展開すると萎むことがなく、金属の塑性変形で歩行者の衝撃を吸収するので、容量の小さいインフレータを採用して重量やコストを削減できるだけでなく、歩行者が衝突するタイミングのずれに関わらずに安定した衝撃吸収性能を発揮することができる。またエアバッグはつづら折りの山部および谷部を結ぶ直線が略車体前後方向に沿うように折り畳まれるので、エアバッグが展開するときにつづら折りによって受圧面積が増加した車体前面側が車体前方に大きく展開することで、歩行者が衝突したときにエアバッグが潰れるストロークを充分に確保して衝撃吸収性能を高めることができる。
また請求項2の構成によれば、エアバッグは山部および谷部の間にベントホールを備えるので、エアバッグの展開初期にはベントホールを閉塞して速やかな展開を可能にし、かつエアバッグの展開末期にはベントホールを開放して内圧の過剰な上昇を抑制することができる。
また請求項3の構成によれば、山部の先端は面状に積み重なって車体前方側を向くので、折り畳んだエアバッグの露出部分の美観を高めることができる。
また請求項4の構成によれば、面状に積み重なった山部の先端を樹脂により被覆したので、エアバッグの露出部分の美観を更に高めることができる。
また請求項5の構成によれば、面状に積み重なった山部の先端をエアバッグの一部で構成される被覆部により被覆したので、その被覆部にガーニシュの機能を発揮させてエアバッグの露出部分の美観を更に高めることができる。
また請求項6の構成によれば、被覆部の車体左右方向の外縁をフロントピラーに沿って車体後方側に折り曲げたので、被覆部およびフロントピラーの境目をすっきりさせて美観を更に高めることができる。
自動車の車体前部の平面図。(第1の実施の形態) 図1の2−2線拡大断面図。(第1の実施の形態) エアバッグの斜視図。(第1の実施の形態) 図3の4部拡大分解斜視図。(第1の実施の形態) 図3の5部拡大斜視図。(第1の実施の形態) 図2に対応するエアバッグ展開時の作用説明図。(第1の実施の形態) 図1の2−2線拡大断面図。(第2の実施の形態) 図1の2−2線拡大断面図。(第3の実施の形態) 図1の2−2線拡大断面図。(第4の実施の形態)
以下、図1〜図6に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、自動車はボンネットフード11の後方にフロントウインドウガラス12を備えており、フロントウインドウガラス12の左右の縁部12a,12aおよびフロントドア13,13のドアガラス14,14間に挟まれるように、フロントピラー15,15が配置される。
図2に示すように、フロントピラー15は車体外側に位置するアウターパネル16と、車体内側に位置するインナーパネル17とを結合して閉断面に構成されており、アウターパネル16の前面16aにピラーガーニッシュを兼ねる金属製のエアバッグ18が折り畳み状態で設けられる。アウターパネル16およびインナーパネル17の結合部16c,17aの前面にフロントウインドウガラス12の縁部12aがダムラバー20を介して重ね合わされ、接着剤21で接着される。
金属製のチューブを折り畳んだエアバッグ18は、つづら折り(ジクザグ折り)されたつづら折り部18aと、つづら折り部18aの左右方向内側(フロントウインドウガラス12側)に連なる内側側壁部18bと、つづら折り部18aの左右方向外側(アウターパネル16の前面16a側)に連なる外側側壁部18cと、内側側壁部18bおよび外側側壁部18cの後端間を接続するインフレータ支持部18dとを備えて閉断面に構成される。つづら折り部18aは、多数の山部a…および多数の谷部b…が交互に連続するように折り畳まれるもので、相互に近接する山部aおよび谷部bを結ぶ直線は略車体前後方向に配置される。多数の山部a…の先端は、全体として車体前方側を向く平坦面を構成するように整列する。
外側側壁部18cはアウターパネル16の前面16aに対向し、またインフレータ支持部18dはアウターパネル16結合部16cに対向して車体外部から目視不能である。一方、つづら折り部18aの前面および内側側壁部18bは、フロントピラー15のアウターパネル16の側面16bとフロントウインドウガラス12の側縁12aとの間に露出し、ピラーガーニッシュの機能を果たしている。
図2の円内に拡大して示すように、エアバッグ18のつづら折り部18aの山部a…および谷部b…の間の金属板は相互に密着するように重なっており、その適所に複数のベントホール18e…が形成される。
図3および図5から明らかなように、折り畳まれたエアバッグ18の両端部は細くプレス成形されており、そこにエンドキャップ24,24を嵌合して溶接することで、エアバッグ18の両端部が密封される。尚、エアバッグ18の両端部を配置するスペースを車体側に確保することができれば、両端部を細くプレス成形する必要はない。各々のエンドキャップ24は取付部24aを備えており、取付部24aのボルト孔24bおよび車体パネル25を貫通するボルト26にナット27を螺合することで、エアバッグ18がフロントピラー15に沿って固定される。
図2〜図4から明らかなように、エアバッグ18のインフレータ支持部18dの下端部には、エアバッグ18を展開させるガスを発生させるインフレータ19が取り付けられる。円筒状のインフレータ19は、断面U字状の取付ブラケット28の内面に2個の固定具29,29で固定されており、この取付ブラケット28がエアバッグ18のインフレータ支持部18dに形成した開口18fに外側から被せられてボルト30…およびナット31…で固定される。
図2から明らかなように、エアバッグ18の外側側壁部18cの前端にアウターパネル側リップ32が設けられており、このアウターパネル側リップ32がアウターパネル16の前面16aに当接する。またエアバッグ18の内側側壁部18bおよびインフレータ支持部18dの境目にウインドウガラス側リップ33が設けられており、このウインドウガラス側リップ33がフロントウインドウガラス12の縁部12aの前面に当接する。これらのアウターパネル側リップ32およびウインドウガラス側リップ33により雨水等がエアバッグ18のインフレータ支持部18d側に浸入するのを阻止し、インフレータ19を保護することができる。
次に、上記構成を備えた本発明の第1の実施の形態の作用を説明する。
車両が歩行者に衝突したことが検知されるとインフレータ19が作動し、インフレータ19が発生するガスでエアバッグ18の内圧が増加する。この内圧の増加により、図6に示すように、エアバッグ18のつづら折り部18a、内側側壁部18bおよび外側側壁部18cが膨張し、フロントウインドウガラス12の側縁12aおよびフロントピラー15のアウターパネル16の前面16aを覆うようにチューブ状に展開する。
このとき、エアバッグ18のつづら折り部18aは、その山部a…および谷部b…を結ぶ直線が略車体前後方向に沿うように配置されているため、つづら折り部18aの山部a…が臨む車体前方側の受圧面積が、内側側壁部18bおよび外側側壁部18cが臨む車体左右方向側の受圧面積よりも大きくなる。よってエアバッグ18はつづら折り部18aが臨む車体前方側に大きく展開し、内側側壁部18bおよび外側側壁部18cが臨む車体左右方向側に小さく展開することで、展開後のエアバッグ18の断面形状は車体左右方向の径よりも車体前後方向の径が大きくなる。その結果、歩行者が展開したエアバッグ18に車体前方側から衝突したとき、エアバッグ18が前後方向に潰れるストロークを充分に確保して衝撃吸収性能を高めることができる。
展開後のエアバッグ18の周長(直径)は、つづら折り部18aの襞の長さ(図2の距離A参照)を大きくするほど大きくなる。
また歩行者用のエアバッグ装置では、歩行者の体格や衝突時の車速に応じて、歩行者がフロントピラー15に衝突するまでの時間に比較的に大きな差が発生し易いという特性がある。従って、従来の布製のエアバッグは、展開状態を所定時間に亙って維持するために、ガスを継続的に発生する大容量のインフレータが必要になるという問題がある。それに対して本実施の形態では、金属製のエアバッグ18を採用したことで、一旦展開したエアバッグ18はガスの供給を停止した後も展開状態が維持され、その塑性変形によって歩行者との衝突の衝撃を吸収するので、インフレータ19の容量を小さくしながら、歩行者がフロントピラー15に衝突するタイミングによらずに有効な衝撃吸収性能を発揮することができる。
またエアバッグ18のベントホール18e…は、エアバッグ18のつづら折り部18aの山部a…および谷部b…の間で金属板が相互に密着する部分に形成されているため、エアバッグ18の展開初期にはベントホール18e…が対向する金属板に閉塞されてガスが漏れ難くなり、エアバッグ18の速やかな展開が可能になる。またエアバッグ18の展開末期にはベントホール18e…が開放されてガスが漏れ易くなり、エアバッグ18の内圧の過剰な上昇が抑制されるとともに、歩行者が衝突したときにエアバッグ18が適度に潰れることを可能にして衝撃吸収性能を高めることができる。
そして折り畳んだエアバッグ18は、つづら折り部18aの山部a…の先端および内側側壁部18bが外部から目視可能に露出するが、つづら折り部18aの山部a…の先端は多数の平行線が平面状に連続するように見え、また内側側壁部18bは滑らかな平面状であるため、折り畳まれたエアバッグ18の外観は全体としてピラーガーニッシュのようになって美観が向上する。
次に、図7に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の折り畳んだエアバッグ18の外部から目視可能な部分、つまりつづら折り部18aの山部a…の先端および内側側壁部18bの表面を、TPO樹脂(ポリオレフィン系の軟質樹脂)34で被覆したものである。これにより、折り畳んだエアバッグ18の露出部分全体を滑らかな一部材のように見せ、美観を更に高めることができる。
次に、図8に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第3の実施の形態は、第1の実施の形態のエアバッグ18のつづら折り部18aの一部を車体前方側に引き出した被覆部18gで山部a…の先端を滑らかに覆ったものである。これにより、折り畳んだエアバッグ18の露出部分全体を滑らかな一部材のように見せ、美観を更に高めることができる。
次に、図9に基づいて本発明の第4の実施の形態を説明する。
第4の実施の形態は、第3の実施の形態の被覆部18gの左右方向外端を後方に折り曲げた折り曲げ部18hを、外側側壁部18cの前端に連続させたものである。これにより、エアバッグ18とアウターパネル16との境目をすっきりさせ、美観を更に高めることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、エアバッグ18のつづら折り部18aの山部aおよび谷部bを結ぶ直線は、車体前後方向に対して左右に各45°の範囲内で傾斜していれば良い。
12 フロントウインドウガラス(ウインドウガラス)
12a 縁部
15 フロントピラー
18 エアバッグ
18e ベントホール
18g 被覆部
19 インフレータ
34 樹脂
a 山部
b 谷部

Claims (6)

  1. 車両のフロントウインドウガラス(12)の車体左右方向の縁部(12a)と該縁部(12a)よりも車体前方に突出するフロントピラー(15)との間につづら折りされた金属製のエアバッグ(18)を配置し、インフレータ(19)が発生するガスで前記エアバッグ(18)を前記フロントピラー(15)に沿うようにチューブ状に展開して歩行者を保護するエアバッグ装置であって、
    前記エアバッグ(18)は、つづら折りの山部(a)および谷部(b)を結ぶ直線が略車体前後方向に沿うように折り畳まれることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記エアバッグ(18)は、前記山部(a)および前記谷部(b)の間にベントホール(18e)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記山部(a)の先端は面状に積み重なって車体前方側を向くことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記面状に積み重なった山部(a)の先端は樹脂(34)により被覆されることを特徴とする、請求項3に記載のエアバッグ装置。
  5. 前記面状に積み重なった山部(a)の先端は、前記エアバッグ(18)の一部で構成される被覆部(18g)により被覆されることを特徴とする、請求項3に記載のエアバッグ装置。
  6. 前記被覆部(18g)の車体左右方向の外縁は前記フロントピラー(15)に沿って車体後方側に折り曲げられることを特徴とする、請求項5に記載のエアバッグ装置。
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