JP2011235524A - 流体吐出装置の調整方法及び流体吐出装置 - Google Patents

流体吐出装置の調整方法及び流体吐出装置 Download PDF

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広和 笠原
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Abstract

【課題】 流体吐出装置の製造誤差による印刷画像の濃度ムラを小さくする。
【解決手段】 複数のノズルを媒体に対して所定方向に相対移動させながら、所定の指令階調値に基づいて複数のノズルから液体を吐出することで、ドットを一列に並べて形成されるドット列を媒体に複数形成することと、複数のドット列をスキャナーでそれぞれ読み取り、複数のドット列の濃度データをそれぞれ取得することと、各濃度データに基づいて、印刷画像の濃度を補正するときに用いる補正値を求めることと、各濃度データに基づいて、濃度データの非定常成分を評価し、評価結果に応じて補正値による補正の度合いを定める補正係数を求めることと、を有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、流体吐出装置の調整方法及び流体吐出装置に関する。
流体吐出装置において、設計時に想定された製品と実際に製造された製品との間には若干の製造誤差が生じることがある。製造誤差を修正するために、流体吐出装置にテストパターンを媒体に記録させ、このテストパターンに基づいて求められた補正値を流体吐出装置に設定することにより、製造誤差による印刷画像の濃度ムラを解消する技術がある。
特開2005−205691号公報
しかしながら、従来技術による補正値を流体吐出装置に設定すると、流体吐出装置の製造誤差による印刷画像の濃度ムラをかえって大きくする場合があるという課題がある。
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、流体吐出装置の製造誤差による印刷画像の濃度ムラを小さくすることと目的とする。
前記課題を解決するための主たる発明は、
複数のノズルを媒体に対して所定方向に相対移動させながら、所定の指令階調値に基づいて前記複数のノズルから液体を吐出することで、ドットを一列に並べて形成されるドット列を前記媒体に複数形成することと、
複数の前記ドット列をスキャナーでそれぞれ読み取り、複数の前記ドット列の濃度データをそれぞれ取得することと、
各前記濃度データに基づいて、印刷画像の濃度を補正するときに用いる補正値を求めることと、
各前記濃度データに基づいて、前記濃度データの非定常成分を評価し、評価結果に応じて前記補正値による補正の度合いを定める補正係数を求めることと、
を有することを特徴とする流体吐出装置の調整方法である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
印刷システム100の構成を示すブロック図である。 図2A及び図2Bは、プリンター1の基本構成を示す図である。 ノズルの配列を示す図である。 印刷処理のフローチャートである。 図5A及び図5Bは、インターレース方式の印刷についての説明図である。 プリンタードライバーによる処理の説明図である。 図7Aは、理想的にラスタラインが形成されたときの様子を示す図である。図7Bは、濃度ムラが発生した際の様子を示す図である。図7Cは、濃度むらが抑制された様子を示す図である。図7Dは、筋模様上に形成されたラスタラインを示す図である。 補正データ取得システム200の構成を示すブロック図である。 従来の補正値取得処理の流れを示す図である。 補正用パターンCPの説明図である。 図11Aは、スキャナー120の読取処理についての説明図である。図11Bは、補正用パターンCP及び隣接部NCPの読み取りについての説明図である。 サブパターンCSP(30)の読取画像データを示した図である。 各サブパターンCSPについて、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出結果をまとめたものである。 図14Aは、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。図14Bは、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。 m枚の補正用パターンをそれぞれスキャナーで読み取って測定した濃度データを示す図である。 フーリエ変換処理後の濃度データo(f)から求めた空間周波数毎の濃度パワースペクトルPを示す図である。 補正値テーブルを示す図である。 プリンター1の第一変形例を示す図である。 プリンター1の第二変形例を示す図である。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、複数のノズルを媒体に対して所定方向に相対移動させながら、所定の指令階調値に基づいて前記複数のノズルから液体を吐出することで、ドットを一列に並べて形成されるドット列を前記媒体に複数形成することと、
複数の前記ドット列をスキャナーでそれぞれ読み取り、複数の前記ドット列の濃度データをそれぞれ取得することと、
各前記濃度データに基づいて、印刷画像の濃度を補正するときに用いる補正値を求めることと、
各前記濃度データに基づいて、前記濃度データの非定常成分を評価し、評価結果に応じて前記補正値による補正の度合いを定める補正係数を求めることと、
を有することを特徴とする流体吐出装置の調整方法である。
このような流体吐出装置の調整方法によれば、流体吐出装置の製造誤差による印刷画像の濃度ムラを小さくすることができる。
かかる流体噴射装置の調整方法であって、各前記濃度データに対してフーリエ変換処理を行い、空間周波数毎に各前記濃度データの濃度パワースペクトルを求めることと、
各前記濃度パワースペクトルに基づいて、空間周波数毎に定常成分の定常パワースペクトルと空間周波数毎に非定常成分の非定常パワースペクトルとを求めることと、
前記定常パワースペクトルと前記非定常パワースペクトルとに基づいて、空間周波数毎に補正係数を求めることと、
を有することを特徴とする流体吐出装置の調整方法である。
このような流体吐出装置の調整方法によれば、濃度データに対してフーリエ変換処理を行うことにより、適切な濃度補正値を求めることができる。
かかる流体噴射装置の調整方法であって、前記補正係数Hは、前記定常パワースペクトルSと前記非定常パワースペクトルNとを用いて、下式により算出されることを特徴とする流体吐出装置の調整方法である。
H=S/(S+N)
このような流体吐出装置の調整方法によれば、定常成分の分散Sと非定常成分の分散Nとを算出することによって、より適切な補正係数を求めることができる。
かかる流体噴射装置の調整方法であって、前記補正係数Hは、前記定常パワースペクトルSと前記非定常パワースペクトルNとを用いて、下式により算出されることを特徴とする流体吐出装置の調整方法である。
H=S/N
このような流体吐出装置の調整方法によれば、簡略な計算によって補正係数を求めることができる。
また、上述の流体吐出装置の調整方法によって求められた前記補正係数を記憶することを特徴とする流体吐出装置である。
このような流体吐出装置によれば、流体吐出装置の製造誤差による印刷画像の濃度ムラを小さくすることができる。
また、上述の流体吐出装置の調整方法によって評価された前記定常パワースペクトルと前記非定常パワースペクトルとを記憶し、
前記定常パワースペクトルと前記非定常パワースペクトルとに基づいて、前記補正係数を算出する補正係数算出部を備えることを特徴とする流体吐出装置である。
このような流体吐出装置によれば、流体吐出装置の製造誤差による印刷画像の濃度ムラを小さくすることができる。
===印刷システムについて===
本実施形態の流体噴射装置としてのインクジェットプリンター(以下、プリンター1)を含む印刷システム100について、図1を参照しながら、その概要を説明する。図1は、プリンター1を含む印刷システム100の構成を示すブロック図である。
本実施形態の印刷システム100は、図1に示すように、プリンター1と、コンピューター110とを有するシステムである。プリンター1は、液体としてのインクを媒体に噴射して該媒体に画像を印刷する印刷装置であり、本実施形態ではカラーインクジェットプリンターである。プリンター1は、紙、布、フィルムシート等の複数種の媒体(以下、印刷媒体)に画像を印刷することが可能である。
コンピューター110は、インターフェース111を介してプリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるために、その画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。このコンピューター110には、該コンピューター110にインストールされた各種プログラムを実行するためのCPU112と、当該各種プログラムを格納するメモリー113と、が備えられている。コンピューター110にインストールされたプログラムとして、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプリンタードライバーが前記メモリー113に格納されている。
<<プリンター1の構成>>
次に、図1〜図3を参照しながら、プリンター1の構成について説明する。図2A及び図2Bは、プリンター1の基本構成を示す図であり、図2Aはプリンター1の全体構成の概略を示し、図2Bは、プリンター1の全体構成の断面図を示す。図2Aには矢印にてヘッド23の移動方向(走査方向)と印刷媒体の搬送方向が、図2Bには矢印にて該搬送方向が、それぞれ示されている。図3は、ノズルの配列を示す図であり、同図には矢印にて前記走査方向と前記搬送方向とが示されている。
プリンター1は、図1に示すように、記録ユニット20、搬送ユニット30、検出器群40、及びコントローラー50を有する。プリンター1がコンピューター110から印刷データを受信すると、コントローラー50が印刷データに基づいて各ユニット(記録ユニット20、搬送ユニット30)を制御して印刷媒体に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群40によって監視されており、検出器群40は検出結果に応じた信号をコントローラー50に向けて出力する。
記録ユニット20は、印刷媒体にインクを噴射して該印刷媒体に走査方向に沿うドット列(以下、ラスタラインとも言う)を形成するものであり、図2A及び図2Bに示すように、キャリッジ21、キャリッジ移動機構22、及び、ヘッド23を有する。キャリッジ21は、ガイド軸24に支持された状態でキャリッジ移動機構22により該ガイド軸24に沿って移動する。つまり、ガイド軸24の軸方向がキャリッジ21の移動方向となる。
ヘッド23は、その下面にインクを噴射するためのノズルを複数備えている。そして、図3に示すように、CMYKのインク色毎に搬送方向に沿って一定のノズルピッチでn個のノズル(本実施形態では、n=180)が並ぶことにより、ノズル列Nc、Nm、Ny、Nkが形成されている。各ノズルには、不図示のインクチャンバー及びピエゾ素子が設けられており、ピエゾ素子の駆動によりインクチャンバーが伸縮・膨張されて、ノズルから滴状のインクが噴射される。また、ヘッド23は、キャリッジ21に搭載されているので該キャリッジ21の移動に伴って走査方向に移動する。そして、ヘッド23の移動中にノズルからインクが断続的に噴射されることにより、走査方向に沿うラスタラインが形成される。なお、ノズル列を構成する各ノズルは、該各ノズルに割り当てられたラスタラインを形成するためにインクを噴射する。
搬送ユニット30は、走査方向と交差する搬送方向に印刷媒体を搬送するためのものであり、図2A及び図2Bに示すように、給紙ローラー31と、搬送モーター32と、搬送ローラー33と、プラテン34と、排紙ローラー35と、を有する。挿入口に挿入された印刷媒体は、給紙ローラー31によりプリンター1内に供給されると、搬送モーター32の回転によって回転する搬送ローラー33により、搬送方向において印刷可能な領域まで搬送される。その後、印刷媒体はプラテン34に支持されながら搬送方向に搬送され続け、最終的に排紙ローラー35によりプリンター1外に排出される。
コントローラー50は、CPU52によりユニット制御回路54を介してプリンター1の各ユニットを制御する。また、プリンター1は、記憶素子を備えたメモリー53を有し、当該メモリー53には、画像の濃度を補正するための濃度補正値Mが記憶される。
<<印刷処理について>>
次に、上記構成のプリンター1が実行する印刷処理について、図4と図5A及び図5Bとを参照しながら説明する。図4は、印刷処理のフローチャートである。図5A及び図5Bは、インターレース方式の印刷についての説明図である。
印刷処理は、図4に示すように、コントローラー50がコンピューター110からインターフェース51を介して印刷命令を含む印刷データを受信するところから始まる(S001)。そして、コントローラー50は、受信した印刷データ中の各種コマンドの内容を解析し、プリンター1の各ユニットを制御する。次に、コントローラー50は、印刷媒体を給紙ローラー31によりプリンター1内に供給してから、搬送ローラー33により印刷媒体を印刷開始位置(頭出し位置)に位置決めする給紙処理を行う(S002)。
次に、コントローラー50は、キャリッジ21の移動に伴って走査方向に移動するヘッド23のノズルからインクを断続的に噴射させて、印刷媒体に前記走査方向に沿うラスタラインを形成させるドット列形成処理を行う(S003)。次に、コントローラー50は、搬送ユニット30により、搬送方向において印刷媒体をヘッド23に対して相対的に移動させる搬送処理を行う(S004)。搬送処理により、先程のドット列形成処理にて形成されたラスタラインの位置とは異なる位置に、次のドット列形成処理のラスタラインを形成することが可能になる。
コントローラー50がドット列形成処理と搬送処理とを繰り返すことにより、ラスタラインが搬送方向において複数形成される。なお、本実施形態では、複数回のドット列形成処理(以下、パス)により補完的にラスタラインを形成するインターレース方式が採用されている。この印刷方式では、図5A及び図5Bに示すように、ある回のパス(例えば、パスn)後に所定量だけ印刷媒体を搬送方向に搬送してから前記ある回の次のパス(例えば、パスn+1)を実施する際には、当該ある回のパスにてラスタラインが形成された列領域に搬送方向下流側で隣接する列領域にラスタラインが形成されるようになる。ここで、列領域とは、印刷媒体の走査方向に並ぶ複数の単位領域によって構成される領域であり、印刷媒体の搬送方向に複数並んでいる。また、単位領域とは、印刷媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を指す。なお、単位領域については、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。
一方、インターレース方式のみでは、印刷媒体の先端部及び後端部にラスタラインを搬送方向に連続して並ぶように形成することができないため、インターレース方式による通常印刷の前後に、先端印刷及び後端印刷が行われる。先端印刷は、印刷媒体の先端部にラスタラインを形成するための処理であり、後端印刷は、印刷媒体の後端部にラスタラインを形成するための処理である。
そして、コントローラー50は、印刷媒体に印刷するための印刷データがなくなるまでドット列形成処理と搬送処理とを繰り返し、当該印刷データがなくなった時点で排紙の判断をする(S005)。その後、コントローラー50は、排紙ローラー35により印刷媒体をプリンター1外に排出する排紙処理を行う(S006)。画像が印刷された印刷媒体がプリンター1外に排出された後、コントローラー50は、印刷を続行するか否かの判断を行う(S007)。コントローラー50は、次の印刷媒体に印刷を行うのであれば、前述の給紙処理に戻って印刷を続行する。他方、次の印刷媒体に印刷を行わないのであれば、印刷処理を終了する。
<<プリンタードライバーによる処理の概要>>
上記の印刷処理は、前述したように、プリンター1に接続されたコンピューター110から印刷データが送信されることにより開始する。当該印刷データは、プリンタードライバーによる処理により生成される。以下、プリンタードライバーによる処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、プリンタードライバーによる処理の説明図である。
印刷データは、図6に示すように、プリンタードライバーによって解像度変換処理(S011)、色変換処理(S012)、ハーフトーン処理(S013)、及び、ラスタライズ処理(S014)が実行されることにより生成される。
先ず、解像度変換処理では、アプリケーションプログラムの実行により得られたRGB画像データの解像度が、指定された画質に対応する印刷解像度に変換される。次に、色変換処理では、解像度が変換されたRGB画像データがCMYK画像データに変換される。ここで、CMYK画像データとは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び、ブラック(K)の色別の画像データを意味する。そして、CMYK画像データを構成する複数の画素データは、それぞれ256段階の階調値で表される。この階調値は、RGB画像データに基づいて定められ、指令階調値(入力階調値)となる。
次に、ハーフトーン処理では、画像データを構成する画素データが示す多段階の階調値が、プリンター1で表現可能な少段階のドット階調値に変換される。すなわち、画素データが示す256段階の階調値が、4段階のドット階調値に変換される。具体的には、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成の4段階に変換される。その後、各ドットのサイズについてドット生成率が決められた上で、ディザ法・γ補正・誤差拡散法等を利用して、プリンター1がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
次に、ラスタライズ処理では、ハーフトーン処理で得られた画像データに関し、各ドットのデータ(ドット階調値のデータ)が、プリンター1に転送すべきデータ順に変更される。そして、ラスタライズ処理されたデータは、印刷データの一部として送信される。
===濃度ムラの抑制===
次に、上記プリンター1を用いて印刷する画像に生じる濃度ムラと、当該濃度ムラを抑制する方法について説明する。
<<濃度ムラについて>>
先ず、濃度ムラについて図7A及び図7Bを参照しながら説明する。図7Aは、理想的にラスタラインが形成されたときの様子を示す図である。図7Bは、濃度ムラが発生した際の様子を示す図である。なお、以下、説明を簡略化するため、単色印刷された画像に濃度ムラが生じた場合を例に挙げて説明する。
ノズルから噴射された所定量のインク(インク滴)が理想的な着弾位置に着弾し、ドットが単位領域に正確に形成されると、図7Aに示すように、ラスタラインは列領域に正確に形成されるようになる。しかしながら、実際には、ノズルの加工精度のバラツキ等の定常的な要因のために、定常的にインク滴が理想的な着弾位置からずれた位置に着弾し、図7Bに示す例では、2番目の列領域に形成されたラスタラインが3番目の列領域側に寄って形成されている。この結果、2番目の列領域に形成されたラスタラインの濃度が比較的淡くなり、3番目の列領域に形成されたラスタラインの濃度が比較的濃くなる。また、同図に示す例では、5番目の列領域に向けて噴射されたインクの量が少なく、5番目の列領域に形成されたラスタラインを構成するドットが小さくなっている。この結果、5番目の列領域に形成されたラスタラインの濃度は比較的淡くなる。以上の現象を巨視的に見ると、走査方向に沿う縞状の濃度ムラ(所謂、バンディング)が定常的に視認される。以下では、定常的な濃度ムラと呼ぶ。
また、プリンター1が画像印刷を行う際に受けた振動等の非定常的な要因によっても、インク滴が理想的な着弾位置からずれた位置に着弾する。このような場合にも印刷画像に濃度ムラが生ずることとなるが、このような濃度ムラは各ラスタラインの各ドットによって異なり、巨視的には画像ボケとして視認される。以下では、非定常的な濃度ムラと呼ぶ。
こうした濃度ムラは印刷画像の画質を低下させる原因となる。
<<濃度ムラの抑制方法について>>
上記の濃度ムラを抑制するための方策としては、画像の濃度を補正するための濃度補正値Mを取得し、当該濃度補正値Mに基づいて、前記画像の画像データを構成する各画素データの階調値(指令階調値)を補正することが考えられる。つまり、濃度補正値Mは、指令階調値を補正するための補正データである。
そして、上記の濃度ムラを効果的に抑制するためには、ラスタライン毎に画素データの階調値を補正すればよい。つまり、濃く(淡く)視認され易い列領域に対しては、ラスタラインが淡く(濃く)形成されるように、該ラスタラインの指令階調値(具体的には、前記列領域を構成する単位領域、に対応する画素データの階調値)を補正すればよいことになる。
ラスタライン毎の濃度補正値Mを記憶したプリンター1であれば、該プリンター1の購入者(ユーザー)の下で印刷処理(本印刷)が行われる際に、濃度補正値Mに基づいてラスタライン毎に指令階調値を補正する処理(以下、階調値補正処理)が、ハーフトーン処理の実行に際してプリンタードライバーにより行われる。この階調値補正処理により補正された階調値で各ラスタラインが形成されると、当該ラスタラインの濃度が補正される結果、図7Cに示すように、印刷画像における濃度ムラの発生が抑制されることになる。図7Cは、濃度ムラが抑制された様子を示す図である。
===濃度補正データの取得処理について===
以下、ラスタライン毎の濃度補正値Mを取得する処理(補正データ取得処理)について説明する。補正データ取得処理は、例えば、プリンター1の製造工場の検査ラインにおいて構築される補正データ取得システム200によって行われる。
<<補正データ取得システム>>
先ず、補正データ取得システム200の概略構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、補正データ取得システム200の構成を示すブロック図である。
補正データ取得システム200は、プリンター1の濃度ムラ特性に応じた濃度補正値Mを取得するためのシステムであり、補正値取得処理の対象であるプリンター1と、コンピューター110と、スキャナー120とを有する。プリンター1の構成等については、既述のため説明を省略する。
コンピューター110は、インターフェース111を介してプリンター1及びスキャナー120と通信可能に接続している。このコンピューター110のメモリー113には、補正データ取得プログラムが格納されている。補正データ取得プログラムは、コンピューター110が濃度補正値Mを取得するためのプログラムであり、該コンピューター110のCPU112により実行される。また、コンピューター110のメモリー113には、補正データ取得プログラムのほか、補正用パターンCPをプリンター1に印刷させるためのプリンタードライバーと、スキャナー120を制御するためのスキャナードライバーとが格納されている。
スキャナー120は、原稿台ガラス122(例えば、図11A参照)に置かれた原稿に光を照射して、その反射光を読取キャリッジ121に備えられた受光素子121a(例えば、図11A参照)により検出して、前記原稿の画像を読み取る。これにより、当該画像の読取画像データが取得される。この読取画像データを構成する読取画素データの階調は読取濃度(読取階調値)に相当する。また、スキャナー120は、インターフェース123、CPU124、及びメモリー125からなるスキャナーコントローラー126を有し、インターフェース123を介してコンピューター110のスキャナードライバーに向けて読取画像データを送信する。なお、本実施形態のスキャナー120は、プリンター1の印刷解像度よりも高い読取解像度にて画像を読み取る。
<<補正値取得処理の手順>>
次に、補正値取得処理の手順について図9を参照しながら説明する。図9は、補正値取得処理の流れを示す図である。なお、補正値取得処理は、各インク色について同様の手順により実施されるので、以下では、一のインク色についての補正値取得処理を例に挙げて説明する。
先ず、図9に示すように、コンピューター110が印刷データをプリンター1に送信し、プリンター1のコントローラー50が該印刷データに基づいて、既述の印刷処理と同様の手順により、所定の印刷媒体に補正用パターンCPを形成する(S021)。このような意味で、プリンター1のコントローラー50は、ヘッド23のノズルからインクを噴射して補正用パターンCPを印刷媒体に形成するためのものであると言える。
以下、図10を参照しながら、補正用パターンCPについて説明する。図10は、補正用パターンCPの説明図であり、図中、ヘッド23の移動方向(走査方向)と搬送方向とを矢印にて示す。補正用パターンCPは、ヘッド23の移動方向に沿ったラスタラインが搬送方向において複数並べられることにより構成される。なお、本実施形態では、搬送方向における印刷解像度が720dpiであるので、補正用パターンCPを構成する複数のラスタラインは、搬送方向において1/720インチの間隔にて並ぶことになる。
また、本実施形態の補正用パターンCPは、図10に示すように、帯状のサブパターンCSPを5つ備えている。サブパターンCSPは、補正用パターンCPと同様、搬送方向において並んだ複数のラスタラインによって構成され、当該複数のラスタラインは搬送方向において1/720インチの間隔にて並ぶ。また、サブパターンCSPは、それぞれ一定の階調値の画像データから生成され、図10中、左のサブパターンCSPから順に指令階調値76(指令濃度値30%)、102(40%)、128(50%)、153(60%)及び179(70%)となり、順に濃い濃度のパターンになっている。なお、これらの5種類の指令階調値を、それぞれ、記号Sa(=76)、Sb(=102)、Sc(=128)、Sd(=153)、Se(=179)と表記する。また、以下では、例えば、指令階調値Saにて形成されたサブパターンCSPをCSP(30)と表記する。
次に、検査者は補正用パターンCPが形成された印刷媒体をスキャナー120にセットする。そして、コンピューター110が、スキャナー120に補正用パターンCPを読み取らせ、補正用パターン濃度データを取得する(S022)。
補正用パターンCPの読取処理について、図11Aを参照しながら具体的に説明する。図11Aは、スキャナー120の読取処理についての説明図であり、図中、読取キャリッジ121の移動方向を矢印にて示す。補正用パターンCPが形成された印刷媒体が原稿台ガラス122上に置かれた状態で、読取キャリッジ121が移動方向に移動しながら前記印刷媒体に光を照射し、その反射光を該読取キャリッジ121に備えられた受光素子121aにより検出する。なお、受光素子121aは、読取キャリッジ121において前記移動方向と交差する方向に複数並んだ状態で備えられている。そして、前記補正用パターンCPが読取キャリッジ121に読み取られる結果、補正用パターンCPの読取画像データが取得される。ここで、補正用パターンCPの読取画像データを構成する各読取画素データは、補正用パターン濃度データに相当する。すなわち、補正用パターン濃度データは、スキャナー120により補正用パターンCPが読み取られることにより取得される。
次に、コンピューター110は、5つのサブパターンCSPの各々について、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出する(S023)。以下、図12を参照しながら、一のサブパターンCSP(例えば、CSP(30))についてラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出する手順について説明する。図12は、一のサブパターンCSP(30)の読取画像データを示した図である。図12には、補正用パターンCPが形成された際の搬送方向に相当するX軸方向、及び、走査方向に相当するY軸方向が矢印にて示されている。
コンピューター110は、一のサブパターンCSPについてラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出するにあたり、補正用パターンCPの読取画像データに対して、スキャナー120の読取解像度からプリンター1の印刷解像度に変換する解像度変換処理を行う。その後、コンピューター110は、公知の画像処理法により、解像度変換処理が行われた読取画像データの中から、一のサブパターンCSPの読取画像データを抽出する。
そして、コンピューター110は、抽出された一のサブパターンCSPの読取画像データに対して、ラスタライン毎に読取画素データ(すなわち、補正用パターン濃度データ)を平均する平均処理を行う。具体的に説明すると、例えば、搬送方向において最も下流側に位置するラスタラインについては、図12に示すように、一のサブパターンCSPの読取画像データ中、X軸方向において一番上に位置する画素列を構成する読取画素データ(図12中、破線にて示した領域にある読取画素データ)を平均する。
以上のような平均処理をラスタライン毎に行うことにより、一のサブパターンCSPについてラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出する。つまり、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データを算出するということは、一のサブパターンCSPの読取画像データを、X軸方向及びY軸方向に読取画素データが並ぶ二次元の画像データから、ラスタライン毎に平均した読取画素データがX軸方向に並ぶ一次元の画像データに変換することと同義である。
そして、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出は、5つのサブパターンCPSの各々について行われる。ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出結果について説明すると、例えば、図13に示すように、各サブパターンCSPがそれぞれ指令階調値で一様に形成されたにも関わらず、ラスタライン間で濃淡差が生じている。このラスタライン間の濃淡差が、印刷画像の濃度ムラの原因である。なお、図13は、各サブパターンCSPについて、ラスタライン毎の補正用パターン濃度データの算出結果をまとめたものである。図13中、縦軸は、ラスタラインの補正用パターン濃度データ(以下において、算出濃度とも呼ぶ)を示し、横軸はX軸方向におけるラスタラインの位置を示している。
次に、コンピューター110は、各サブパターンCSPのラスタライン毎の補正用パターン濃度データに基づいてラスタライン毎に濃度補正値Mを求める(S024)。以下、具体的に説明するために、指令階調値Sc(指令濃度値50%)のサブパターンCSP(50)のラスタラインの算出濃度がラスタライン間で一定になるように指令階調値Scを補正するための手順を例に挙げて説明する。
指令階調値Scを補正するために、例えば、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)における全ラスタラインの算出濃度の平均値Dct(図13参照)を、指令階調値Scの目標濃度として定める。図13に示すように、この目標濃度Dctよりも算出濃度が淡いラスタラインiでは、指令階調値Scを濃くする方へ補正すれば良い。一方、目標濃度Dctよりも算出濃度が濃いラスタラインjでは、指令階調値Scを淡くする方へ補正すれば良い。
ところで、濃度ムラの発生要因には定常的な要因と非定常的な要因とがあるので、補正用パターン濃度データは、定常的な濃度ムラ(以下、「定常成分」)と非定常的な濃度ムラ(以下、「非定常成分」)とを含んでいる。本実施形態においては、繰り返し出現する定常成分を主として補正し、不規則に出現する非定常成分は濃度補正値Mの要素になるべく含めないようにするため、補正用パターン濃度データに次のような処理を行う。
<定常成分の抽出処理手順>
同一色かつ同一指令階調値(例えばSb・濃度50%)の補正用パターンをm枚印刷する。図15は、m枚の補正用パターンをそれぞれスキャナーで読み取って測定した補正用パターン濃度データを示す図である。補正用パターン濃度データは、補正用パターンの各画素をラスター方向(x軸方向)に測定したものである。ここで、濃度ムラを定量的に示す濃度変位データO(x)は、第k枚目に印刷した補正用パターンを測定した濃度データD(x)に基づいて、次式で求めることができる。
さて、この濃度変位データO(x)を空間周波数領域で表現するために、濃度データO(x)に対してフーリエ変換処理を行う。本実施形態では、濃度データO(x)が列領域毎のデータであり、離散化されているので、離散フーリエ変換処理を行う。このフーリエ変換処理後の関数を濃度データo(f)と表す。また、変数fは、実空間領域で表現された(つまり、フーリエ変換処理前の)濃度データO(x)のx軸方向に対応する空間周波数である。
次にフーリエ変換処理後の濃度データo(f)から空間周波数毎の濃度パワースペクトルPを求める。このパワースペクトルPを算出する処理は、濃度データを定常成分と非定常成分とに分解するための処理である。なお、濃度パワースペクトルPは次式により求められる。
さて、空間周波数毎に求めた濃度パワースペクトルPの算出結果として、図16に示すような結果を取得する。図16は、フーリエ変換処理後の濃度データo(f)から求めた空間周波数毎の濃度パワースペクトルPを示す図であり、縦軸は濃度パワースペクトルPを示し、横軸は空間周波数fを示している。
次に、濃度パワースペクトルPは次式のように定常成分である定常パワースペクトルs(f)と非定常成分である非定常パワースペクトルn(f)とに分けて表すことができる。
そして、第1回から第m回までの濃度パワースペクトルPの平均は次式のように表すことができる。
一方で、1枚目からm枚目までのm個の補正用パターンの濃度変位データの平均OAVE(x)は次式で求めることができる。
そして、第1回から第m回までの濃度パワースペクトルPの平均oAVE (f)は次式のように表すことができる。
ここで、式(1)と式(2)から、定常パワースペクトルs(f)と非定常パワースペクトルn(f)とは次のように求められる。
さて、本実施形態においては、濃度補正後の濃度変位を最小化するため、濃度変位データに補正係数Hを乗じて補正を行うこととする。すなわち、濃度補正後の濃度変位データA(x)は、補正の度合いを定める補正係数H、濃度ムラ算出時の定常成分データOSk(x)、濃度ムラ算出時の非定常成分データONk(x)、濃度補正適用後出力時の定常成分データOSk(x)、濃度補正適用後出力時の非定常成分データONk’(x)とすると、次式で表すことができる。
これに対してフーリエ変換処理を行うと次式のようになる。
これを変形すると次式のようになる。
この式によれば、濃度変位データのパワースペクトルa(f)は、
のとき、最小値
を取る。したがって、上記補正係数h(f)が濃度補正後の濃度変位データA(x)を最小化する。
さて、この補正係数h(f)と濃度パワースペクトルPとを用いて、次式により主として定常成分からなる補正濃度データo’(f)を求めることができる。
さらに、補正濃度データo’(f)を逆フーリエ変換することによって、補正濃度データO’(x)を得られる。
<補正値の算出>
目標濃度Dctよりも算出濃度が淡いラスタラインiでは、指令階調値Scを濃くする方へ補正すれば良く、図13に示すように、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mは、補正濃度データO’(x)と、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)におけるラスタラインiの算出濃度Dcと、指令階調値Scよりも高い指令階調値の中で最も指令階調値Scに近い指令階調値SdのサブパターンCSP(60)におけるラスタラインiの算出濃度Ddと、に基づいて算出される。
具体的には、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)では、ラスタラインiの算出濃度Dcが目標濃度Dctよりも小さくなっている。この濃度ムラが小さくなるように該ラスタラインiを形成したいのであれば、該ラスタラインiの指令階調値Scを、図14Aに示すように、ラスタラインiにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sc,Dc)、(Sd,Dd)から直線近似を用いて、次式により算出される目標指令階調値Sctとなるように補正すればよい。
Sct=Sc+(Sd−Sc)×{O’(x)/(Dd−Dc)}
そして、指令階調値Scと目標指令階調値Sctから、次式により、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mが求められる。
M=ΔS/Sc=(Sct−Sc)/Sc
なお、図14Aは、ラスタラインiの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。
一方、目標濃度Dctよりも算出濃度が濃いラスタラインjでは、指令階調値Scを淡くする方へ補正すれば良く、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mは、補正濃度データO’(x)と、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)におけるラスタラインjの算出濃度Dcと、及び、指令階調値Scよりも低い指令階調値の中で最も指令階調値Scに近い指令階調値SbのサブパターンCSP(40)におけるラスタラインjの算出濃度Db、に基づいて算出される。
具体的には、指令階調値ScのサブパターンCSP(50)では、ラスタラインjの算出濃度Dcが目標濃度Dctよりも大きくなっている。この濃度ムラが小さくなるように該ラスタラインjを形成したいのであれば、該ラスタラインjの指令階調値Scを、図14Bに示すように、ラスタラインjにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sb,Db)、(Sc,Dc)から直線近似を用いて、次式により算出される目標指令階調値Sctとなるように補正すればよい。
Sct=Sc+(Sc−Sb)×{O’(x)/(Dc−Db)}
そして、上記の式により、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mが求められる。なお、図14Bは、ラスタラインjの指令階調値Scに対する濃度補正値Mを求める手順についての説明図である。
以上のようにして、コンピューター110は、ラスタライン毎に、指令階調値Scに対する補正値Mを算出する。同様に、指令階調値Sa、Sb、Sd、Seの各々に対する濃度補正値Mについてもラスタライン毎に求める。
<<濃度補正値Mのインストール>>
コンピューター110は、濃度補正値Mのデータをプリンター1に送信し、プリンター1のメモリー53に記憶させる(S025)。この結果、プリンター1のメモリー53には、図17に図示された、ラスタライン毎に5つの指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seの各々に対する濃度補正値Mをまとめた補正値テーブルが作成される。図17は、メモリー53に記録された補正値テーブルを示す図である。プリンター1のメモリー53に濃度補正値Mが記憶された後、補正値取得処理は終了する。その後、プリンター1とコンピューター110との接続が外され、プリンター1に対する他の検査が終わった後に、プリンター1が工場から出荷される。
<<階調値補正処理について>>
濃度補正値Mを記憶したプリンター1を購入したユーザーの下で該プリンター1を用いて本印刷を行われる場合、ユーザーが用意したコンピューター110のプリンタードライバーは、印刷データを作成する際に、濃度補正値Mをプリンター1のメモリー53から読み出し、画像データの画素データの階調値(すなわち、指令階調値)を前記濃度補正値Mによりラスタライン毎に補正する階調値補正処理を行う。
具体的に説明すると、前記画像データのうちのラスタラインiの指令階調値S_inが、補正用パターンCPを形成した際の指令階調値(すなわち、サブパターンCSPの指令階調値)Sa、Sb、Sc、Sd、Seのいずれかと同じであれば、その指令階調値に対するラスタラインiの濃度補正値Mを用いて、前記指令階調値S_inをS_in×(1+M)に補正する。一方、ラスタラインiの指令階調値S_inが指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seのいずれとも異なる場合、指令階調値と濃度補正値Mとの対応関係(Sa,Ma)、(Sb,Mb)、(Sc,Mc)、(Sd,Md)、(Se,Me)を一次補間することにより求めた濃度補正値Mtにより、前記指令階調値S_inをS_in×(1+Mt))に補正する。ここで、濃度補正値Ma、Mb、Mc、Md、Meは、ラスタラインiについて指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Seをそれぞれ補正するための濃度補正値Mである。
<<本実施形態の有効性>>
複数のノズルを媒体に対して所定方向に相対移動させながら、所定の指令階調値に基づいて前記複数のノズルから液体を吐出することで、ドットを一列に並べて形成されるドット列を前記媒体に複数形成することと、複数の前記ドット列をスキャナーでそれぞれ読み取り、複数の前記ドット列の濃度データをそれぞれ取得することと、各前記濃度データに基づいて、印刷画像の濃度を補正するときに用いる補正値を求めることと、各前記濃度データに基づいて、前記濃度データの非定常成分を評価し、評価結果に応じて前記補正値による補正の度合いを定める補正係数を求めることと、を有することにより、プリンター1の製造誤差による印刷画像の濃度ムラを小さくすることができる。
製造誤差によって生じる印刷画像の濃度ムラには、ノズルの飛行曲がり等定常的な要因によるものと、振動等の非定常的な要因によるものとがある。すなわち、従来技術によれば、定常的な要因による濃度ムラは、プリンター1に補正値を設定することで、濃度ムラを低減することができる。しかし、非定常的な要因による濃度ムラは、プリンター1に補正値を設定することでは、濃度ムラを低減することができず、このような補正を行えば、むしろ新たな濃度ムラを発生させることとなる。本実施形態によれば、濃度ムラによる濃度変位に含まれる定常成分と非定常成分とを評価し、濃度補正値を求めるにあたって補正係数を求め、補正係数により非定常成分の影響を小さくした濃度補正値によって濃度ムラを補正することによって、定常成分について重点的に補正し、非定常成分についてはなるべく補正しないようにすることができる。これにより、プリンター1の製造誤差による印刷画像の濃度ムラを小さくすることができる。
===その他の実施形態===
上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
また、上記実施形態では、主に、本発明に係る補正値取得方法について説明したが、上記の説明には、該補正値取得方法を実行するための補正データ取得システム200、及び、該補正データ取得方法により濃度補正値Mを記憶した流体噴射装置としてのプリンター1の開示も含まれている。
また、上記実施形態では、濃度補正データの取得処理を行う毎に補正係数h(f)を求めることとしたが、これに限られない。例えば、既に求めた補正係数h(f)を補正データ所得システム200又はプリンター1において記憶しておき、記憶した補正係数h(f)を用いて、濃度補正データの取得処理を行うこととしてもよい。
また、上記実施形態では、空間周波数領域において補正係数h(f)を用いたが、これに限られず、実空間において補正係数を用いてもよい。例えば、補正係数h(f)に対して逆フーリエ変換処理を行うことで、FIRフィルタ(Finite Impulse Reponseフィルタ)を求め、実空間領域で表現された濃度変位データO(x)に対して当該FIRフィルタによる畳み込み積分演算を行うこととしてもよい。
また、上記実施形態では、ノズルから液体を噴射するためにピエゾ素子を駆動することによりインク室を膨張・収縮させるピエゾ方式について説明したが、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ該気泡によって液体を噴射させるサーマル方式であってもよい。また、上記実施形態では、プリンター1の印刷方式としてインターレース方式について説明したが、これに限定されず、例えば、1つのラスタラインを異なる複数のノズルで形成する印刷方式(オーバーラップ方式)であってもよい。
また、上記実施形態のプリンター1では、記録ユニット20が走査方向に移動する単一のヘッド23を有していることとした。すなわち、上記実施形態のプリンター1は、ヘッド23を走査方向に移動させながらノズルからインクを噴射することにより、走査方向に沿ったラスタラインを形成するシリアルプリンターである。但し、これに限られるものではなく、紙幅分のドットを一度に形成することが可能なラインプリンターにも本発明を適用することが可能である。ラインプリンターとしては、例えば、紙幅方向に沿う方向に長い長尺体のヘッド23を有する記録ユニット20(図18参照)や、紙幅方向において並んだ複数のヘッド23を有する記録ユニット20(図19参照)がある。なお、図18は、プリンター1の第一変形例として長尺体のヘッド23を有するラインプリンター(ラインヘッドプリンター)の説明図である。図19は、プリンター1の第二変形例として複数のヘッド23を有するラインプリンター(マルチヘッドプリンター)の説明図である。両図には、矢印にて紙の紙幅方向と該紙の搬送方向とが示されている。
ラインプリンターでは、図18や図19に示すように、紙幅方向に並んだ複数のノズル(以下、ノズル列)がインク色毎に形成されている。そして、各ノズル列の下を搬送方向に停まることなく移動する印刷媒体、にインクが噴射されることによって、画像が該印刷媒体に形成される。つまり、ラインプリンターの場合、搬送方向に沿ったラスタラインが紙幅方向において複数並ぶように形成される。ラインプリンターにおけるラスタラインの形成方向はシリアルプリンターの場合と異なるものの、ラスタライン間の濃度差に起因して画像に縞状の濃度ムラ(ラインヘッドプリンタの場合、縦縞状の濃度ムラ)が発生する点では、ラインプリンターとシリアルプリンターとは共通している。このため、ラインプリンターにおいても、画像の濃度むらを抑制するためにラスタライン毎に濃度補正値Mを取得することになる。したがって、濃度変化を有する印刷媒体にラインプリンターを用いて形成した補正用パターンCP、に基づいてラスタライン毎に濃度補正値Mを求める場合、本発明を適用することが可能である。
また、上記の実施形態では、流体の一例であるインクを噴射するインクジェットプリンターについて説明したが、これに限られるものではない。インク以外の他の流体を噴射する流体噴射装置に具体化することも可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であってもよい。そして、これらのうち、いずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することが可能である。
1 プリンター、20 記録ユニット、21 キャリッジ、
22 キャリッジ移動機構、23 ヘッド、24 ガイド軸、
30 搬送ユニット、31 給紙ローラー、32 搬送モーター、
33 搬送ローラー、34 プラテン、35 排紙ローラー、
40 検出器群、50 コントローラー、51 インターフェース、
52 CPU、53 メモリー、100 印刷システム、
110 コンピューター、111 インターフェース、112 CPU、
113 メモリー、120 スキャナー、121 読取キャリッジ、
122 原稿台ガラス、123 インターフェース、124 CPU、
125 メモリー、126 スキャナーコントローラー、
200 補正データ取得システム

Claims (6)

  1. 複数のノズルを媒体に対して所定方向に相対移動させながら、所定の指令階調値に基づいて前記複数のノズルから液体を吐出することで、ドットを一列に並べて形成されるドット列を前記媒体に複数形成することと、
    複数の前記ドット列をスキャナーでそれぞれ読み取り、複数の前記ドット列の濃度データをそれぞれ取得することと、
    各前記濃度データに基づいて、印刷画像の濃度を補正するときに用いる補正値を求めることと、
    各前記濃度データに基づいて、前記濃度データの非定常成分を評価し、評価結果に応じて前記補正値による補正の度合いを定める補正係数を求めることと、
    を有することを特徴とする流体吐出装置の調整方法。
  2. 請求項1に記載の流体吐出装置の調整方法であって、
    各前記濃度データに基づいて、空間周波数毎に各前記濃度データの濃度パワースペクトルを求めることと、
    各前記濃度パワースペクトルに基づいて、空間周波数毎に定常成分の定常パワースペクトルと空間周波数毎に非定常成分の非定常パワースペクトルとを求めることと、
    前記定常パワースペクトルと前記非定常パワースペクトルとに基づいて、空間周波数毎に補正係数を求めることと、
    各前記濃度パワースペクトルと前記補正係数とに基づいて、空間周波数毎に各前記濃度データの周波数補正値を求めることと、
    各前記周波数補正値に基づいて、各前記濃度データの濃度補正値を求めることと、
    を有することを特徴とする流体吐出装置の調整方法。
  3. 請求項2に記載の流体吐出装置の調整方法であって、
    前記補正係数Hは、前記定常パワースペクトルSと前記非定常パワースペクトルNとを用いて、下式により算出されることを特徴とする流体吐出装置の調整方法。
    H=S/(S+N)
  4. 請求項2に記載の流体吐出装置の調整方法であって、
    前記補正係数Hは、前記定常パワースペクトルSと前記非定常パワースペクトルNとを用いて、下式により算出されることを特徴とする流体吐出装置の調整方法。
    H=S/N
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の流体吐出装置の調整方法によって求められた前記補正係数を記憶することを特徴とする流体吐出装置。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の流体吐出装置の調整方法によって評価された前記定常パワースペクトルと前記非定常パワースペクトルとを記憶し、
    前記定常パワースペクトルと前記非定常パワースペクトルとに基づいて、前記補正係数を算出する補正係数算出部を備えることを特徴とする流体吐出装置。
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