JP2011233940A - 半導体発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体発光素子と半導体光検出素子との間で電気的なクロストークが生じるのを抑制することの可能な半導体発光装置を提供する。
【解決手段】半導体レーザ素子40と、半導体光検出素子10との間に、絶縁層20および金属層30が挿入されている。絶縁層20は、半導体光検出素子10のp型コンタクト層13上に形成されたAlAs層に含まれる高濃度のAlを酸化することにより形成されたものであり、金属層30によって半導体レーザ素子40に貼り合わされている。
【選択図】図1
【解決手段】半導体レーザ素子40と、半導体光検出素子10との間に、絶縁層20および金属層30が挿入されている。絶縁層20は、半導体光検出素子10のp型コンタクト層13上に形成されたAlAs層に含まれる高濃度のAlを酸化することにより形成されたものであり、金属層30によって半導体レーザ素子40に貼り合わされている。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体発光素子および半導体光検出素子を有する半導体発光装置に係り、特に、半導体発光素子および半導体光検出素子を互いに独立に駆動させる用途で好適に適用可能な半導体発光装置に関する。
従来から、光ファイバや、光ディスクなどの用途の半導体発光装置には、これに組み込まれた半導体発光素子の光出力レベルを一定にする目的の一環として、光検出機構により半導体発光素子の発光光を検出することが行われている。この光検出機構は、例えば、発光光の一部を分岐させる反射板と、この分岐した発光光を検出する半導体光検出素子とにより構成することが可能である。ところが、このようにすると、部品点数が多くなるだけでなく、反射板や、半導体光検出素子を半導体発光素子に対して高精度に配置しなければならないという問題がある。そこで、そのような問題を解決する方策の1つとして、半導体発光素子と半導体光検出素子とを一体に形成することが考えられる。
しかし、これらを一体に形成すると、半導体光検出素子が、本来検出すべき誘導放出光だけでなく、自然放出光までも検出する可能性がある。そのような場合には、半導体光検出素子によって検出された光に基づいて計測される半導体発光素子の光出力レベルには、自然放出光の分だけ誤差が含まれていることとなる。よって、この方法も光出力レベルを高精度に制御することが要求される用途には適さない。
そこで、特許文献1では、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に、開口を有する金属層を設ける方法が提案されている。この方法では、モニタに必要な誘導放出光が、開口を介して半導体光検出素子に入射し、モニタに不要な自然放出光が金属層で反射され、半導体光検出素子に入射する割合を減らすことができる。
ところで、上記の一体型の半導体発光装置において、用途や目的に応じて、半導体発光素子と半導体光検出素子とが互いに独立に駆動されることがある。例えば、外部からのノイズの影響を低減するために、半導体発光素子および半導体光検出素子に対して差動駆動が行われることがある。半導体発光素子と半導体光検出素子とを互いに独立に駆動するためには、半導体発光素子と半導体光検出素子とを互いに電気的に絶縁分離することが必要となる。
そこで、例えば、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に、アンドープの半導体層を設けることが考えられる。しかし、アンドープの半導体層では、絶縁性が不十分であり、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に大きな寄生容量が生じる。そのため、半導体発光素子および半導体光検出素子を独立に駆動した際に、電気的なクロストークが生じてしまい、光検出精度が低下してしまうという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、半導体発光素子と半導体光検出素子との間で電気的なクロストークが生じるのを抑制することの可能な半導体発光装置を提供することにある。
本発明の半導体発光装置は、半導体発光素子と、半導体光検出素子とを備えたものである。半導体発光素子は、第1多層膜反射鏡、発光領域を含む活性層、および第2多層膜反射鏡をこの順に有している。半導体光検出素子は、半導体発光素子との関係で第1多層膜反射鏡側に設けられており、発光領域から射出された光を吸収する光吸収層を有している。本発明の半導体発光装置は、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に、絶縁性を有する酸化層を備えており、さらに、半導体発光素子と、酸化層との間に、半導体発光素子および酸化層を互いに貼り合わせる金属層を備えている。
本発明の半導体発光装置では、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に絶縁性を有する酸化層が挿入されている。絶縁性を有する酸化層は、例えば、アンドープの半導体層などとは異なり、高い絶縁性を有しており、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に生じる寄生容量が極めて小さい。
本発明の半導体発光装置によれば、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に絶縁性を有する酸化層を挿入するようにしたので、半導体発光素子と半導体光検出素子との間に生じる寄生容量を極めて小さくすることができる。これにより、半導体発光素子と半導体光検出素子との間で電気的なクロストークが生じるのを抑制することができる。
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.構成
2.製造方法
3.効果
4.変形例
1.構成
2.製造方法
3.効果
4.変形例
[構成]
図1は本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置1の断面構成の一例を表したものである。なお、図1は、模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なっている。この半導体レーザ装置1は、半導体光検出素子10上に、酸化層20、金属層30および半導体レーザ素子40をこの順に積層したものである。なお、半導体レーザ装置1が、本発明の「半導体発光装置」の一具体例に相当し、半導体レーザ素子40が本発明の「半導体発光素子」の一具体例に相当する。
図1は本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置1の断面構成の一例を表したものである。なお、図1は、模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なっている。この半導体レーザ装置1は、半導体光検出素子10上に、酸化層20、金属層30および半導体レーザ素子40をこの順に積層したものである。なお、半導体レーザ装置1が、本発明の「半導体発光装置」の一具体例に相当し、半導体レーザ素子40が本発明の「半導体発光素子」の一具体例に相当する。
酸化層20は、半導体光検出素子10と一括に形成されたものであり、酸化層20と半導体光検出素子10との間には張り合わせなどによって生ずるような接合界面はない。一方、酸化層20と半導体レーザ素子40とは、金属層30によって互いに貼り合わされており、酸化層20と半導体レーザ素子40との間には、張り合わせによる接合界面が存在する。半導体レーザ装置1では、半導体光検出素子10、酸化層20、金属層30および半導体レーザ素子40が一体となっている。なお、以下では、最初に、半導体レーザ素子40について説明し、その後に、他の構成要素について順次説明するものとする。
(半導体レーザ素子40)
半導体レーザ素子40は、上面発光型のレーザであり、金属層30上に、例えば、p型DBR層41、p型クラッド層42、活性層43、n型クラッド層44、n型DBR層45をこの順に積層して構成されたものである。p型DBR層41の上部、p型クラッド層42、活性層43、n型クラッド層44およびn型DBR層45は、例えば直径が30μm程度の柱状(円柱状)のメサ部46となっている。p型DBR層41の中部は、メサ部46よりも外側に拡がって形成されており、その外側に拡がっている部分(中部41A)が後述の電極パッド50を形成する際の下地層となる。p型DBR層41の下部は、p型DBR層41の中部よりもさらに外側に拡がって形成されており、その外側に拡がっている部分(下部41B)が後述の上部電極52を形成する際の下地層となる。なお、p型DBR層41が、本発明の「第1多層膜反射鏡」に相当し、n型BDR層45が、本発明の「第2多層膜反射鏡」に相当する。
半導体レーザ素子40は、上面発光型のレーザであり、金属層30上に、例えば、p型DBR層41、p型クラッド層42、活性層43、n型クラッド層44、n型DBR層45をこの順に積層して構成されたものである。p型DBR層41の上部、p型クラッド層42、活性層43、n型クラッド層44およびn型DBR層45は、例えば直径が30μm程度の柱状(円柱状)のメサ部46となっている。p型DBR層41の中部は、メサ部46よりも外側に拡がって形成されており、その外側に拡がっている部分(中部41A)が後述の電極パッド50を形成する際の下地層となる。p型DBR層41の下部は、p型DBR層41の中部よりもさらに外側に拡がって形成されており、その外側に拡がっている部分(下部41B)が後述の上部電極52を形成する際の下地層となる。なお、p型DBR層41が、本発明の「第1多層膜反射鏡」に相当し、n型BDR層45が、本発明の「第2多層膜反射鏡」に相当する。
p型DBR層41は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して形成されたものである。この低屈折率層は、例えば厚さがλ0/4n1 (λ0は発振波長、n1 は屈折率)のp型Alx1Ga1-x1As(0<x1<1)により構成されている。高屈折率層は、例えば厚さがλ0/4n2(n2 は屈折率)のp型Alx2Ga1-x2As(0<x2<x1)により構成されている。なお、p型不純物としては、例えば、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)などが挙げられる。
p型クラッド層42は、例えばp型Alx3Ga1-x3As(0<x3<1)により構成されている。活性層43は、例えばアンドープのAlx4Ga1-x4As(0<x4<1)により構成されている。この活性層43では、後述の電流注入領域47Aとの対向領域が発光領域43Aとなる。n型クラッド層44は、例えばn型Alx5Ga1-x5As(0≦x5<1)により構成されている。なお、n型不純物としては、例えば、ケイ素(Si)またはセレン(Se)などが挙げられる。
n型DBR層45は、低屈折率層(図示せず)および高屈折率層(図示せず)を交互に積層して形成されている。低屈折率層は、例えば厚さがλ0/4n3(n3 は屈折率)のn型Alx6Ga1-x6As(0<x6<1)により構成されている。高屈折率層は、例えば厚さがλ0/4n4(n4 は屈折率)のn型Alx7Ga1-x7As(0<x7<x6)により構成されている。
また、この半導体レーザ素子40では、例えば、p型DBR層41内に、電流狭窄層47が設けられている。電流狭窄層47は、p型DBR層41内において、活性層43側から数えて例えば数層離れた低屈折率層の部位に、低屈折率層に代わって設けられたものである。この電流狭窄層47は、その外縁領域に電流狭窄領域47Bを有しており、その中央領域が電流注入領域47Aとなっている。電流注入領域47Aは、例えばn型Alx8Ga1-x8As(0<x8≦1)からなる。電流狭窄領域47Bは、例えば、酸化アルミニウム(Al2 O3)を含んで構成され、後述するように、側面から被酸化層47Dに含まれる高濃度のAlを酸化することにより得られたものである。これにより、電流狭窄層47は電流を狭窄する機能を有している。なお、電流狭窄層47は、例えば、n型DBR層45の内部や、p型クラッド層42とp型DBR層41との間、または、n型クラッド層44とn型DBR層45との間に形成されていてもよい。
メサ部46の上面には、上部電極48が形成されている。上部電極48は、例えば、電流注入領域47Aとの対向領域を含む領域に開口(光射出口48A)を有する環形状となっている。なお、上部電極48は、電流注入領域47Aとの対向領域を塞がない限りにおいて、環形状以外の形状となっていてもよい。メサ部46の上面(光射出口48A)、側面および周辺の表面には、絶縁層49が形成されている。絶縁層49の表面上には、ワイヤ(図示せず)をボンディングするための電極パッド50と、接続部51とが設けられている。電極パッド50と上部電極48とが接続部51を介して互いに電気的に接続されている。絶縁層49のうち電極パッド50の直下は、寄生容量を低減する目的で、絶縁層49の他の部分よりも厚く形成されている。p型DBR層41の下部41Bの上面には、下部電極52が形成されている。
ここで、絶縁層49は、例えば酸化物または窒化物などの絶縁材料からなる。上部電極48、電極パッド50および接続部51は、例えば、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金,ニッケル(Ni)および金(Au)とをこの順に積層して構成されたものであり、メサ部46の上部と電気的に接続されている。下部電極52は、例えば、チタン(Ti),白金(Pt)および金(Au)をこの順に積層して構成されたものであり、p型DBR層41と電気的に接続されている。
(半導体光検出素子10)
半導体光検出素子10は、半導体レーザ素子40の発光領域43Aで発生した光のうち半導体光検出素子10に入射した成分を検出するものである。半導体光検出素子10は、例えば、n型基板11上に、光吸収層12、p型コンタクト層13をこの順に積層して構成されたものである。また、p型コンタクト層13の上面のうち半導体レーザ素子40との非対向領域に、上部電極14が設けられており、n型基板11の裏面には、下部電極15が設けられている。
半導体光検出素子10は、半導体レーザ素子40の発光領域43Aで発生した光のうち半導体光検出素子10に入射した成分を検出するものである。半導体光検出素子10は、例えば、n型基板11上に、光吸収層12、p型コンタクト層13をこの順に積層して構成されたものである。また、p型コンタクト層13の上面のうち半導体レーザ素子40との非対向領域に、上部電極14が設けられており、n型基板11の裏面には、下部電極15が設けられている。
n型基板11は、例えばn型GaAsにより構成されている。光吸収層12は、例えばn型Alx9Ga1-x9As(0<x9≦1)により構成されている。光吸収層12は、発光領域43Aから射出されてきた光の一部を吸収すると共に、吸収した光を電気信号に変換するようになっている。この電気信号は、上部電極14および下部電極15に接続された光出力演算回路(図示せず)に光出力モニタ信号として入力され、光出力演算回路において光射出口48Aから射出されるレーザ光L1の出力レベルを計測するために用いられる。p型コンタクト層13は、例えば、p型Alx10Ga1-x10As(0≦x10≦1)により構成されており、光吸収層12および上部電極14と電気的に接続されている。
(酸化層20)
酸化層20は、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10とを互いに電気的に絶縁分離するものである。酸化層20は、絶縁性を有する酸化層(酸化絶縁層)であり、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を含んで構成されている。酸化層20は、例えば、後述するように、被酸化層(AlAs層)に含まれる高濃度のAlを酸化することにより形成されたものである。酸化層20の厚さは、電流狭窄層47の厚さよりも十分に厚く、例えば、1μm程度となっている。このように酸化層20は厚膜となっているので、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10との間に生じ得る寄生容量が極めて小さくなっている。また、酸化層20が厚膜となっているので、半導体レーザ素子40内の発光領域43Aと、半導体光検出素子10の受光領域13Aとの距離が長くなっている。なお、受光領域13Aとは、p型コンタクト層13の上面のうち低反射率層21と接する領域を指している。
酸化層20は、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10とを互いに電気的に絶縁分離するものである。酸化層20は、絶縁性を有する酸化層(酸化絶縁層)であり、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を含んで構成されている。酸化層20は、例えば、後述するように、被酸化層(AlAs層)に含まれる高濃度のAlを酸化することにより形成されたものである。酸化層20の厚さは、電流狭窄層47の厚さよりも十分に厚く、例えば、1μm程度となっている。このように酸化層20は厚膜となっているので、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10との間に生じ得る寄生容量が極めて小さくなっている。また、酸化層20が厚膜となっているので、半導体レーザ素子40内の発光領域43Aと、半導体光検出素子10の受光領域13Aとの距離が長くなっている。なお、受光領域13Aとは、p型コンタクト層13の上面のうち低反射率層21と接する領域を指している。
酸化層20は、メサ部46の直下に開口20Aを有している。開口20Aの底面(受光領域13Aに相当する部分)は、発光領域43Aとの対向領域を含む領域に形成されており、例えば、光射出口48Aとの対向領域内に形成されている。開口20Aは、発光領域43Aから射出された光のうち半導体光検出素子10側に向かう光の通路であり、例えば、光射出口48Aとの対向領域内に形成されている。酸化層20のうち開口20A以外の部分は、発光領域43Aから射出された光に含まれる自然放出光を反射する反射層として機能し得る。開口20Aの内部、具体的には、p型コンタクト層13のうち開口20Aの底面に露出している部分に低反射率層21が設けられている。また、開口20A内には、空隙22が存在している。
(金属層30)
金属層30は、半導体レーザ素子40と酸化層20とを互いに貼り合わせるためのものであり、半導体レーザ素子40の下部電極としても機能するものである。金属層30は、金属層31および金属層32を酸化層20側から順に有する積層構造となっている。金属層31は、例えば、チタン(Ti),白金(Pt)および金(Au)を酸化層20側から順に積層して構成されたものであり、金属層32と電気的に接続されている。金属層32は、例えば、チタン(Ti),白金(Pt)および金(Au)をp型DBR層41側から順に積層して構成されたものであり、p型DBR層41および金属層31と電気的に接続されている。
金属層30は、半導体レーザ素子40と酸化層20とを互いに貼り合わせるためのものであり、半導体レーザ素子40の下部電極としても機能するものである。金属層30は、金属層31および金属層32を酸化層20側から順に有する積層構造となっている。金属層31は、例えば、チタン(Ti),白金(Pt)および金(Au)を酸化層20側から順に積層して構成されたものであり、金属層32と電気的に接続されている。金属層32は、例えば、チタン(Ti),白金(Pt)および金(Au)をp型DBR層41側から順に積層して構成されたものであり、p型DBR層41および金属層31と電気的に接続されている。
金属層30(金属層31,32)は、発光領域43Aとの対向領域を含む領域に開口30Aを有している。開口30Aは、発光領域43Aから射出された光のうち半導体光検出素子10側に向かう光の通路であり、例えば、光射出口48Aとの対向領域内に形成されている。従って、金属層30のうち開口30A以外の部分は、発光領域43Aから射出された光に含まれる自然放出光を反射する反射層として機能し得る。
[製造方法]
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1は、例えば次のようにして製造することができる。図2〜図5は、半導体レーザ装置1の製造過程を工程順に表したものである。なお、図2〜図5は、製造過程の素子の断面構成を表したものである。
本実施の形態に係る半導体レーザ装置1は、例えば次のようにして製造することができる。図2〜図5は、半導体レーザ装置1の製造過程を工程順に表したものである。なお、図2〜図5は、製造過程の素子の断面構成を表したものである。
各半導体層は、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition ;有機金属化学気相成長)法により形成される。この際、III−V族化合物半導体の原料としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMIn)、アルシン (AsH3)を用い、ドナー不純物の原料としては、例えば、H2Seを用い、アクセプタ不純物の原料としては、例えば、ジメチルジンク(DMZ)を用いる。
具体的には、まず、例えばn型GaAsからなる基板60上に、n型DBR層45、n型クラッド層44、活性層43、p型クラッド層42およびp型DBR層41をこの順に形成する(図2)。このとき、例えば、p型DBR層41内の一部に、被酸化層47Dを形成しておく。被酸化層47Dは、後述の酸化工程で酸化されることにより、電流狭窄層47になる層であり、例えば、AlAsを含んで構成されている。続いて、p型DBR層41上に、開口32Aを有する金属32を形成する。このようにして、第1基板100が形成される。
また、基板11上に、光吸収層12、p型コンタクト層13および被酸化層(図示せず)をこの順に形成する。この被酸化層は、次の酸化工程で酸化されることにより、酸化層20になる層であり、例えば、AlAsを含んで構成されている。被酸化層の厚さは、上述の被酸化層47Dの厚さよりも十分に厚く、例えば、1μm程度となっている。続いて、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、p型コンタクト層13上の被酸化層を選択的に酸化する。これにより被酸化層全体が酸化され、絶縁化する。これにより、p型コンタクト層13上に酸化層20が形成される(図3(A))。
次に、酸化層20の一部に開口14Aを設け、その開口14Aの底面に、低反射率層21を形成する。続いて、酸化層20の上面に、開口14Aとの対向領域に開口を有する金属層31を形成する(図3(B))。このようにして、第2基板200が形成される。
次に、第2基板200の金属層31上に、第1基板100を、金属層32を金属層31側に向けて貼り合わせる(図4)。これにより、金属層31と金属層32とが互いに接合されると共に、低反射率層21とp型DBR層41との間に空隙22が形成される。
次に、基板60を除去し、さらに、n型DBR層45、n型クラッド層44、活性層43、p型クラッド層42、p型DBR層41および被酸化層47Dを選択的に除去する。これにより、メサ部46が形成されると共に、p型DBR層41に段差(中部41A、下部41B)が形成される(図5)。
次に、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、メサ部46の側面から被酸化層47Dを選択的に酸化する。これにより被酸化層47Dの外縁領域が絶縁層(酸化アルミニウム)となるので、外縁領域に電流狭窄領域47Bが形成され、その中央領域が電流注入領域47Aとなる。このようにして、電流狭窄層47が形成される(図1)。
その後、絶縁層49、上部電極14,48、電極パッド50、接続部51、下部電極15,52を形成する(図1)。このようにして、本実施の形態の半導体レーザ装置1が製造される。
本実施の形態の半導体レーザ装置1では、半導体レーザ素子40および半導体光検出素子10がそれぞれ独立して駆動される。例えば、上部電極48と金属層30との電位差が一定となるように、上部電極48および金属層30に同一の位相で電圧を印加する。さらに、上部電極14と下部電極15との電位差が一定となるように、上部電極14および下部電極15に同一の位相であって、かつ上部電極48および金属層30に印加する位相とは180°異なる位相で電圧を印加する。
すると、電流狭窄層47によって狭窄された電流が活性層43の利得領域である発光領域43Aに注入され、これにより電子と正孔の再結合による発光が生じる。この光には誘導放出光だけでなく、自然放出光も含まれているが、素子内で誘導放出が繰り返される結果、波長λ0(例えば850nm)でレーザ発振が生じる。その結果、波長λ0を含む光L1が光射出口48Aから出力され、外部に射出されると共に、p型DBR層41から半導体光検出素子10側にわずかに出力され、その一部が空隙22および低反射率層21を通過して光吸収層12に入射する(図1)。
光吸収層12に入射した光は、光吸収層12に吸収され、吸収された光の出力レベルに応じた電気信号(フォトカレント)に変換されたのち、電気信号は上部電極14および下部電極15に電気的に接続されたワイヤ(図示せず)を介して光出力演算回路(図示せず)に出力されたのち、光出力演算回路において光出力モニタ信号として受信される。これにより、光吸収層12に入射した光の出力レベルが計測される。
なお、上述したように、半導体レーザ素子40および半導体光検出素子10を差動駆動した場合には、半導体レーザ素子40および半導体光検出素子10にノイズが入ったときに、そのノイズをキャンセルすることができる。これにより、半導体レーザ素子40からは、ノイズの影響を受けていない安定した光出力が得られる。また、半導体光検出素子10では、ノイズの影響を受けていない電気信号を出力することができる。
[効果]
本実施の形態では、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10との間には、絶縁性の酸化層20が挿入されている。絶縁性の酸化層20は、例えば、アンドープの半導体層などとは異なり、高い絶縁性を有しており、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10との間に生じ得る寄生容量が極めて小さい。これにより、半導体レーザ素子40および半導体光検出素子10を独立に駆動した際に、電気的なクロストークが生じるのを抑制することができる。その結果、半導体レーザ素子40を安定に駆動することができるだけでなく、半導体光検出素子10における光検出精度を向上させることができる。また、電気的なクロストークが抑制されていることから、半導体レーザ素子40および半導体光検出素子10を独立に高速で駆動することが可能であり、例えば、10Gbpsの光通信で求められる差動駆動を行うことが可能となる。
本実施の形態では、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10との間には、絶縁性の酸化層20が挿入されている。絶縁性の酸化層20は、例えば、アンドープの半導体層などとは異なり、高い絶縁性を有しており、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10との間に生じ得る寄生容量が極めて小さい。これにより、半導体レーザ素子40および半導体光検出素子10を独立に駆動した際に、電気的なクロストークが生じるのを抑制することができる。その結果、半導体レーザ素子40を安定に駆動することができるだけでなく、半導体光検出素子10における光検出精度を向上させることができる。また、電気的なクロストークが抑制されていることから、半導体レーザ素子40および半導体光検出素子10を独立に高速で駆動することが可能であり、例えば、10Gbpsの光通信で求められる差動駆動を行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10との間には、酸化層20の他に、開口30Aを有する金属層30も挿入されている。そのため、発光領域43Aで発生した光に含まれる自然放出光L2の多くが金属層30で反射され、開口30A直下に露出している酸化層20でも若干反射される。一方、発光領域43Aで発生した光に含まれる誘導放出光L1のほとんどは、開口30Aを通過して、露出部分13Aに入射する。これにより、受光領域13Aに入射する光のうち自然放出光の占める割合を十分に小さくすることができる。その結果、半導体光検出素子10による自然放出光の検出レベルを低減することができるので、光検出精度をより向上させることができる。
また、本実施の形態では、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10とを電気的に絶縁分離する絶縁分離層(酸化層20)を、AlAs層(被酸化層20D)などの酸化処理によって形成することが可能である。そのため、絶縁分離層の作成が容易であり、しかも、絶縁分離層の厚膜化も容易である。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、半導体材料をGaAs系化合物半導体により構成した場合について説明したが、例えば、GaInP系(赤系)材料またはAlGaAs系(赤外系)などの他の材料系により構成することも可能である。
また、上記実施の形態において、半導体の導電型が例示されていたが、例示された導電型とは逆の導電型となっていてもよい。例えば、上記実施の形態において、p型と記述されている箇所をn型と読み替えると共に、n型と記述されている箇所をp型と読み替えることが可能である。
また、上記実施の形態では、酸化層20は、開口20Aを有していたが、酸化層20での反射が問題とならない場合には、例えば、図6に示したように、開口20Aをなくすることも可能である。
また、上記実施の形態では、酸化層20は、単層構造となっていたが、積層構造となっていてもよい。例えば、図7に示したように、酸化層20の代わりに、積層構造を有する酸化層70を用いることも可能である。この酸化層70は、例えば、図8に示したように、第1薄膜71および第2薄膜72を交互に積層して構成されている。最下層の第1薄膜71がp型コンタクト層13に接しており、最上層の第1薄膜71が金属層31に接している。第1薄膜71は、相対的に(第2薄膜72の酸化前の材料と比べて)酸化されにくい半導体材料を含んで構成されている。第1薄膜71は、例えば、アンドープのGaAsを含んで構成されている。第2薄膜72は、相対的に(第1薄膜71と比べて)酸化され易い半導体材料の酸化物を含んで構成されている。第2薄膜72は、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を含んで構成されており、例えば、AlAs層に含まれる高濃度のAlを酸化することにより形成されたものである。従って、第1薄膜71および第2薄膜72共に、絶縁性を有している。もっとも、第2薄膜72の絶縁性の方が、第1薄膜71の絶縁性よりも遥かに高い。
また、上記実施の形態では、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10とが金属層30によって互いに貼り合わされていたが、それ以外の方法で、半導体レーザ素子40と半導体光検出素子10とが互いに一体に形成されていてもよい。例えば、半導体レーザ素子40が酸化層と、何も介さずに直接に接して形成されていてもよい。例えば、図9に示したように、半導体光検出素子10のp型コンタクト層13上に、開口のない平坦な酸化層20を介して半導体レーザ素子40が形成されていてもよい。ただし、酸化層20を形成した後で、酸化層20上に半導体レーザ素子40を結晶成長によって形成することは難しいので、以下のような工夫が必要である。
すなわち、まず、半導体光検出素子10のp型コンタクト層13上に未酸化の被酸化層(図示せず)を形成する。次に、被酸化層上に、p型DBR層41、p型クラッド層42、活性層43、n型クラッド層44、n型DBR層45をこの順に形成したのち、これらを選択的に除去することにより、メサ部46などを形成する。その後、水蒸気雰囲気中において、高温で酸化処理を行い、メサ部46の側面から被酸化層47Dを選択的に酸化すると共に、p型コンタクト層13上の被酸化層を側面から選択的に酸化する。このとき、被酸化層47Dと、p型コンタクト層13上の被酸化層とを同時に酸化してもよいし、別個に酸化してもよい。これにより、被酸化層47Dの外縁領域が絶縁層(酸化アルミニウム)となる。これにより、外縁領域に電流狭窄領域47Bが形成され、その中央領域が電流注入領域47Aとなる。このようにして、電流狭窄層47が形成される。また、p型コンタクト層13上の被酸化層20D全体が酸化され、絶縁化する。このようにして、p型コンタクト層13上の酸化層20が形成される。
1…半導体レーザ装置、10…半導体光検出素子、11…基板、12…光吸収層、13…p型コンタクト層、13A…露出面、14,48…上部電極、15,52…下部電極、20…絶縁層、20A,30A…開口、21…低反射層、22…空隙、30,31,32…金属層、40…半導体レーザ素子、41…p型DBR層、41A…中部、41B…下部、42…p型スペーサ層、43…活性層、43A…発光領域、44…n型スペーサ層、45…n型DBR層、46…メサ部、47…電流狭窄層、47A…電流注入領域、47B…電流狭窄領域、49…絶縁層、50…電極パッド、51…接続部、L1…誘導放出光、L2…自然放出光。
Claims (4)
- 第1多層膜反射鏡、発光領域を含む活性層、および第2多層膜反射鏡をこの順に有する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子との関係で前記第1多層膜反射鏡側に設けられ、かつ前記発光領域から射出された光を吸収する光吸収層を有する半導体光検出素子と、
前記半導体発光素子と前記半導体光検出素子との間に配置された絶縁性を有する酸化層と
前記半導体発光素子と、前記酸化層との間に配置された、前記半導体発光素子および前記酸化層を互いに貼り合わせる金属層と
を備えた
半導体発光装置。 - 前記半導体発光素子は、当該半導体発光素子に注入された電流を狭窄する電流狭窄層を有し、
前記酸化層は、前記電流狭窄層の厚さよりも厚くなっている
請求項1に記載の半導体発光装置。 - 前記酸化層は、相対的に酸化され難い半導体材料を含む第1薄膜と、相対的に酸化され易い半導体材料の酸化物を含む第2薄膜とを交互に積層して構成されている
請求項1に記載の半導体発光装置。 - 前記半導体発光素子は、前記第2多層膜反射鏡の上に、前記発光領域との対向領域を含む領域に光射出口を有する環状の電極を有し、
前記酸化層は、前記光射出口との対向領域内に開口を有する
請求項1に記載の半導体発光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011182782A JP2011233940A (ja) | 2011-08-24 | 2011-08-24 | 半導体発光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011182782A JP2011233940A (ja) | 2011-08-24 | 2011-08-24 | 半導体発光装置 |
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JP2009021941A Division JP2010177649A (ja) | 2009-02-02 | 2009-02-02 | 半導体発光装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011233940A true JP2011233940A (ja) | 2011-11-17 |
Family
ID=45322871
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JP2011182782A Abandoned JP2011233940A (ja) | 2011-08-24 | 2011-08-24 | 半導体発光装置 |
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JP (1) | JP2011233940A (ja) |
-
2011
- 2011-08-24 JP JP2011182782A patent/JP2011233940A/ja not_active Abandoned
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A621 | Written request for application examination |
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A762 | Written abandonment of application |
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