JP2011233496A - 導電ペースト及び導電パターン - Google Patents

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Abstract

【課題】耐酸性に優れたアドレス電極を形成することが可能な導電ペースト、及び耐酸性に優れた導電パターンを提供する。
【解決手段】導電粉末と、酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)、を含むガラスフリットと、を含む無機成分、及び、有機バインダー、を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル(以下PDPと記す)に用いられる導電ペースト及び導電パターンに関する。
一般に、PDPは、背面ガラス基板上に設けられたアドレス電極と、背面ガラス基板と所定間隔で対向する前面ガラス基板との間に設けられ、蛍光体層を備える放電空間を形成し、各表示画素を仕切るリブなどから構成される。
このようなPDPにおいて、リブは、例えば、背面ガラス基板上に、アドレス電極を形成した後、ガラスやフィラーなどの無機材料、樹脂、溶剤などからなるリブ材料のペーストを全面に塗布し、フォトリソグラフィ法を用いて塗膜をパターニングした後、焼成することにより形成される。
このとき、パターニングには、その生産性、パターン精度の向上の観点から、ケミカルエッチング法が好適に用いられる。ケミカルエッチング法とは、塗膜表面に保護膜のパターンを形成し、これをマスクとして、ケミカルエッチング処理を行い、塗膜パターンを形成した後、保護膜を除去する手法である。
このようなケミカルエッチング法において、ケミカルエッチング処理の際のエッチャントとして硝酸などの酸が用いられる。このとき、外部回路より電圧を印加するために設けられるアドレス電極の端子部分は、リブより露出した構造となるため、ケミカルエッチング時に酸に晒され、損傷し、電気的特性が劣化するという問題がある。
そこで、アドレス電極の耐酸性を向上させるために、アドレス電極用の導電ペーストとして、鉛含有のガラスフリットを用い、化学エッチング耐久性を向上させることが開示されている(例えば特許文献1など参照)。
特開2007−012371号公報(特許請求の範囲)
本発明は、耐酸性に優れたアドレス電極などの導電パターンを形成することが可能な導電ペースト、及び耐酸性に優れた導電パターンを提供することを目的とするものである。
本発明の一態様の導電ペーストは、導電粉末と、酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)を含むガラスフリットと、を含む無機成分、及び、有機バインダーを含有することを特徴とする。このような構成により、耐酸性に優れたアドレス電極を形成することが可能な導電ペーストを提供することができる。
本発明の一態様の導電ペーストにおいて、ガラスフリットは、無機成分中の含有量が1〜15wt%であることが好ましい。無機成分中の含有量をこの範囲とすることにより、焼成後、及び酸処理後において、基材との密着性を良好にすることが可能となる。
また、本発明の一態様の導電ペーストにおいて、有機バインダーは、カルボキシル基含有樹脂を含むことが好ましい。カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、環境負荷の小さいアルカリ現像が可能となる。
本発明の一態様の電極は、導電粉末と、酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)を含むガラスフリットと、を含有することを特徴とする。このような構成により、耐酸性に優れた導電パターンを提供することができる。
さらに、このような導電ペーストおよび電極は、上述の構成の導電ペーストを用いて基材上に電極を形成し、又は基材上に上述の構成の電極を設け、基材上に、リブ材料を含むペーストを全面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜表面に、所定パターンの保護膜を形成し、これをマスクとして、酸エッチング処理を行い、リブを形成するプラズマディスプレイの製造方法において、好適に用いることができる。このように用いられることにより、酸エッチング処理の際に電極が酸に晒されても、損傷が抑えられ、電気的特性の劣化を抑えることが可能となる。
本発明の一態様の導電ペーストによれば、耐酸性に優れたアドレス電極を形成することが可能となる。また、本発明の一態様の導電パターンによれば、優れた耐酸性を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態の導電ペーストは、導電粉末と、酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)を含むガラスフリットと、を含む無機成分、及び、有機バインダーを含有することを特徴とする。
PDPの製造工程において、酸エッチング処理によりリブを形成する際、露出しているアドレス電極の端子部分が損傷し、電気的特性が劣化してしまう。これは、端子部分が酸に晒され、酸によりアドレス電極中のガラス成分が侵食されることにより、基材(背面ガラス基板)との剥離が生じたり、導電粉末自体が酸化されることによると考えられる。
そこで、本実施形態の導電ペーストにおいて、そのガラス成分を所定の組成とすることにより、その耐酸性を向上させ、アドレス電極の損傷、電気的特性の劣化を抑えることが可能となる。
本実施形態の導電ペーストにおける導電粉末としては、導電性を有する金属などの粉末が用いられる。このような導電粉末としては、Ag粉や、Agを含むものが好適に用いられる。その他、Al、Pt、Au、Cu、Ni、In、Sn、Pb、Zn、Fe、Ir、Os、Rh、W、Mo、Ruや、これらの合金、導電性化合物などを用いることができる。金属酸化物としては、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In23)、ITO(Indium Tin Oxide)などを用いることができる。
このような導電粉末の平均粒径(D50)は、0.4〜3.0μmであることが好ましい。0.4μmより小さいと、凝集が生じやすくなるとともに、感光性の導電ペーストとして用いる際に、光の透過性が低下するため、電極パターン形成時の良好な解像性を得ることが困難となる。一方3.0μmを超えると、導電粉末の緻密性が低下し、酸が電極内部に浸入しやすくなるとともに、電極の抵抗値がより高くなるという問題が生じる。より好ましくは、0.5〜2.5μmである。
また、導電粉末の最大粒径(Dmax)は、10μm以下であることが好ましい。10μmを超えると、導電粉末の緻密性が低下し、酸が電極内部に浸入しやすくなるとともに、電極の抵抗値がより高くなるという問題が生じる。
なお、ここで、走査型電子顕微鏡(以下SEMと記す)により、5,000倍で撮影した導電粉末の写真から、任意で50個の導電粉末を選び出し、その長径を測定して平均値を算出したものを平均粒径、その長径の最大値を最大粒径とする。
このような導電粉末の配合量は、後述する有機バインダー100質量部当り50〜2,000質量部とすることが好ましい。導電粉末の配合量が、50質量部より少ないと、良好な導電性を得ることが困難となり、2,000質量部を超えると、ペースト化が困難となる傾向がある。
また、このような導電粉末の形状については、特に限定されるものではなく、球状、フレーク状、デンドライト状など種々のものを用いることができる。感光性の導電ペーストとして用いる場合の光特性や、分散性の観点では、球状のものを用いることが好ましい。
本実施形態の導電ペーストにおけるガラスフリットとしては、酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)を含むものが用いられる。これらを全て含有することにより、形成される電極において、焼成後、酸エッチング処理後の良好な基材との密着性や、良好な耐酸化性を得ることができる。
ここで、酸化ビスマス(Bi)は、主成分として用いられ、そのガラスフリット中の含有量が、45〜60wt%であることが好ましい。また、シリカ(SiO)は、25〜35wt%、酸化ホウ素(B)は、5.0〜10.0wt%であることが好ましい。さらに、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)は、いずれか又は両方が含有されていればよく、これらの含有量の和が1.0〜10.0wt%、より好ましくは1.0〜3.0wt%であることが好ましい。
ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種であり、そのガラスフリット中の含有量が、0.1〜6.0wt%であることが好ましい。また、R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種であり、そのガラスフリット中の含有量が、0.1〜4.0wt%であることが好ましい。
このようなガラスフリットは、導電粉末と合わせた無機成分中の含有量が1〜15wzt%となるように配合されることが好ましい。1wt%未満であると、形成される電極において、特に焼成後の基材とのより良好な密着性や、良好な耐酸化性を得ることが困難となる。一方、15wt%を超えると、より良好な導電性を得ることが困難となる。より好ましくは、3〜10wt%である。
また、このようなガラスフリットの粒径は、平均粒径0.4〜3.0μmであることが好ましい。平均粒径0.4μm未満であると、凝集が生じやすくなるとともに、感光性のペーストとして用いる際に、光の透過性が低下するため、電極パターン形成時の良好な解像性を得ることが困難となり、また保存安定性も悪くなる。一方3.0μmを超えると、形成膜の緻密性が低下し、酸が電極内部に浸入しやすくなるという問題が生じる。また、最大粒径4.5μm以下であることが好ましい。最大粒径が4.5μmを超えると、形成膜の緻密性が低下し、酸が電極内部に浸入しやすくなるという問題が生じる。より好ましくは、0.5〜2.0μmである。
そして、ガラスフリットのガラス軟化点は500〜600℃であることが好ましい。また、そのガラス転移点は400〜500℃であることが好ましい。さらに、その熱膨張係数α50−350は60×10−7〜100×10−7/℃であることが好ましい。
このようなガラスフリットは、粉体で、或いは有機溶剤と分散剤とを含む混合物を湿式分散することにより得られるガラススラリーとして、他の構成材料と混合される。ガラススラリーを用いることにより、二次凝集物のない導電ペーストを得ることが可能となる。
本実施形態の導電ペーストにおける有機バインダーとしては、上述した導電粉末とガラスフリットを分散させ、ペースト化することが可能な樹脂が用いられる。このうち、環境負荷の少ないアルカリ現像が可能なカルボキシル基含有樹脂が好適に用いられる。さらに、このうち、エチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂を用いることにより、選択的露光、現像によるパターン形成が可能となる。
このようなカルボキシル基含有樹脂(カルボキシル基含有感光性樹脂)として、好適に使用できる樹脂(オリゴマー又はポリマー)としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、メチル(メタ)アクリレートなどの不飽和二重結合を有する化合物を共重合させることによって得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、メチル(メタ)アクリレートなどの不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸クロライドなどにより、エチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3)グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と、メチル(メタ)アクリレートなどの不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基にテトラヒドロフタル酸無水物などの多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)無水マレイン酸などの不飽和二重結合を有する酸無水物と、スチレンなどの不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)多官能エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基にテトラヒドロフタル酸無水物などの多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)メチル(メタ)アクリレートなどの不飽和二重結合を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基に、1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(7)ポリビニルアルコールなどの水酸基含有ポリマーに多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(8)ポリビニルアルコールなどの水酸基含有ポリマーに、テトラヒドロフタル酸無水物などの多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
これら(1)〜(8)の樹脂のうち、特に(1)、(2)、(3)、(6)のカルボキシル基含有樹脂が好適に用いられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物であること示し、以下他の類似の表現についても同様とする。
このような有機バインダーは、単独で又は混合して用いることができる。そして、有機バインダーの配合量としては、導電ペースト全量の10〜50wt%とすることが好ましい。配合量が、10wt%未満であると、導電ペーストにより形成される塗膜中の有機バインダーの分布が不均一になり易くなる。また、感光性樹脂を用いた場合、充分な光硬化性及び光硬化深度が得られ難く、選択的露光、現像によるパターニングが困難となる。一方、50wt%を超えると、焼成時の電極のよれや線幅収縮を生じやすくなる。
また、このような有機バインダーにおいて、重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量が1,000未満であると、現像時に導電ペースト塗膜の基材との良好な密着性を得ることが困難となる。一方、100,000を超えると、現像不良を生じやすくなる。好ましくは5,000〜70,000である。
さらに、カルボキシル基含有樹脂を用いる場合、その酸価が50〜250mgKOH/gであることが好ましい。酸価が50mgKOH/g未満であると、アルカリ水溶液に対する溶解性が不充分となり、現像不良を生じやすくなる。一方、250mgKOH/gを超えると、現像時に導電ペースト塗膜の基材との密着性の劣化や、硬化部の溶解が生じやすくなる。
また、カルボキシル基含有感光性樹脂を用いる場合、その二重結合当量が350〜2,000g/当量であることが好ましい。二重結合当量が350g/当量未満であると、焼成時に残渣が残りやすくなり、一方、2,000g/当量を超えると、現像時の作業余裕度が狭く、また光硬化時により高露光量を必要とする。好ましくは400〜1,500g/当量である。
本実施形態の導電ペーストにおいて、さらに必要に応じて黒色顔料を配合することにより、黒色導電ペーストとして使用することができる。
黒色顔料としては、例えば、ルテニウム酸化物やルテニウム化合物、銅−クロム系黒色複合酸化物、銅−鉄系黒色複合酸化物、コバルト系酸化物などが用いられる。電極を形成する際に、500〜600℃という高温焼成を伴うが、これらは高温での色調などの安定性を有するものであることから、好適に用いられる。このうち、四三酸化コバルトなどのコバルト系酸化物は、導電ペーストの安定性、コスト面に極めて優れることから、特に好適に用いられる。
このような黒色顔料の配合量は、有機バインダー100質量部に対し、0.1〜100質量部であることが好ましい。0.1未満であると、焼成後に充分な黒色度が得ることが困難となる。一方、100質量部を超えると、コスト高となるとともに、有機バインダーとして感光性樹脂を用いた場合、光透過性が低下し、十分な電極のパターン精度を得ることが困難となる。より好ましくは0.1〜50質量部である。
このような黒色顔料の形状については、球状、フレーク状、デンドライト状など種々のものを用いることができるが、有機バインダーとして感光性樹脂を用いた場合の光特性や分散性を考慮すると、球状のものを用いることが好ましい。
このような黒色顔料は、最大粒径5μm以下のものを溶剤に均一に分散したスラリーとして、他の構成材料と混合されることにより、二次凝集物のない導電ペーストを容易に得ることができる。
本実施形態の導電ペーストにおいて、選択的露光、現像により電極を形成する場合、さらに必要に応じて、光硬化性および現像性を向上させるために、光重合性モノマーや、光重合開始剤を配合することができる。
光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類;フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、こはく酸、トリメリット酸、テレフタル酸などの多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステルなどが挙げられる。これらの光重合性モノマーは、特定のものに限定されるものではないが、特に、1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。これら光重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような光重合性モノマーの配合量は、有機バインダー100質量部に対して20〜100質量部とすることが好ましい。20質量部未満であると、組成物の充分な光硬化性が得られ難くなり、一方、100質量部を超えると、形成される塗膜の深部に比べて表面部の光硬化が早くなるため、硬化むらを生じ易くなる。
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシー2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォルニル)フェニル]−1−ブタノンなどのアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;又はキサントン類;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイトなどのフォスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類などが挙げられる。これら光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの光重合開始剤の配合割合は、有機バインダー100質量部に対して、0.3〜30質量部とすることが好ましい。0.3質量部未満であると、組成物の充分な光硬化性が得られ難くなり、一方、20質量部を超えると、形成される塗膜の深部に比べて表面部の光硬化が早くなるため、硬化むらを生じ易くなる。より好ましくは、1〜20質量部である。
なお、このような光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせて用いてもよい。光増感剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの三級アミン類が挙げられる。これら光増感剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、より深い光硬化深度を要求される場合には、必要に応じて、可視領域でラジカル重合を開始するチタノセン系光重合開始剤、ロイコ染料などを硬化助剤として組み合わせて用いることができる。
また、本実施形態の導電ペーストにおいて、必要に応じて、熱重合触媒を光重合開始剤と併用して用いることができる。この熱重合触媒は、数分から1時間程度にわたって高温におけるエージングにより未硬化の光重合性モノマーを反応させうるものであり、具体的には、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、イソブチロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。
例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジバレロニトリル、1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレイト、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド、2−メチル−2,2’−アゾビスプロパンニトリル、2,4−ジメチル−2,2,2’,2’−アゾビスペンタンニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2,2’,2’−アゾビス(2−メチルブタナミドオキシム)ジヒドロクロライドなどが挙げられる。特に、環境負荷が小さいノンシアン、ノンハロゲンタイプの1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)が好適に用いられる。これら熱重合触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の導電ペーストにおいて、さらに必要に応じて、組成物の保存安定性向上のため、安定剤を配合することができる。
このような安定剤としては、無機粉末の成分である金属あるいは酸化物粉末との錯体化あるいは塩形成などの効果のある化合物が用いられる。例えば、硝酸、硫酸、塩酸などの各種無機酸;ギ酸、酢酸、アセト酢酸、クエン酸、ステアリン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、スルファミン酸などの各種有機酸;リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジフェニル、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートなどの各種リン酸化合物(無機リン酸、有機リン酸)などの酸が挙げられる。これら安定剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、無機粉末100質量部に対して、0.1〜10質量部となるように配合することが好ましい。
本実施形態の導電ペーストにおいて、粘度を調整し、塗布性を向上させるために、有機溶剤を配合することができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テルピネオールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような有機溶剤は、導電ペースト中の有機成分の40wt%未満となるように配合されることが好ましい。40wt%以上であると、粘度が低くなり過ぎ、塗布性が低下するとともに、沈降などが発生し、保存安定性が低下するためである。
本実施形態の導電ペーストにおいて、さらに必要に応じて、シリコーン系、アクリル系などの消泡・レベリング剤、塗膜の密着性向上のためのシランカップリング剤など、他の添加剤を配合してもよい。また、必要に応じて、酸化防止剤や、保存時の熱的安定性を向上させるための熱重合禁止剤を配合してもよい。
次に、本実施形態の導電ペーストを用いた導電パターンの形成方法について説明する。
先ず、導電ペーストを、例えばスクリーン印刷、バーコーター、ブレードコーターなどの塗布方法を用い、PDP用背面ガラス基板などの基材上に塗布し、塗膜を形成する。
次いで、得られた塗膜の指触乾燥性を得るために、熱風循環式乾燥炉や遠赤外線乾燥炉などを用い、例えば約70〜120℃で5〜40分間乾燥させることにより、タックフリーの乾燥塗膜を形成する。
なお、このとき、所定パターンで塗布してもよい。この場合、後述する現像を行うことなく、焼成することにより、電極が形成される。また、予め導電ペーストをキャリアフィルム上に塗布乾燥して形成されたドライフィルムを用い、これを基材上に張り合わせて、乾燥塗膜を形成してもよい。
得られた乾燥塗膜を、選択的に硬化させ、硬化パターンを形成する。有機バインダーとして、感光性樹脂を用いた場合、例えば、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いたパターン露光や、直接描画などを用いることができる。その光源としては、例えば、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどを使用することができる。露光量としては50〜500mJ/cm程度が好ましい。
次いで、硬化パターンの形成された乾燥塗膜を現像する。現像方法としては、例えば、スプレー法、浸漬法などを用いることができる。有機バインダーとして、カルボキシル基含有樹脂を用いた場合、アルカリ現像を行うことができる。この場合、アルカリ現像液により、カルボキシル基がケン化され、未硬化部が除去される。
アルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムなどの金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン水溶液、特に約1.5質量%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。さらに、現像後に不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行なうことが好ましい。
そして、現像により形成された現像パターンを焼成することにより、導電パターンを形成する。例えば、現像パターンの形成された基材を、空気中又は窒素雰囲気下、約400〜600℃で焼成することにより、有機バインダーなどの有機成分が除去され、基材上に電極が形成される。なお、この時の昇温速度は、20℃/分以下に設定することが好ましい。
このようにして形成された導電パターンは、導電粉末と、酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2OとはLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)を含むガラスフリットと、を含有するものである。そして、このような構成により、良好な耐酸性を得ることが可能となる。なお、導電パターン中の導電粉末及びガラスフリットの構成は、上述した導電ペーストと同様である。
さらに、このようにして形成された導電パターン上に、リブ材料のペーストを塗布し、保護膜のパターンを形成した後、これをマスクとしてケミカルエッチング処理を行うことにより、リブパターンが形成され、PDPが構成される。
以下、実施例および比較例を示して、本実施形態について具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
(有機バインダーの合成)
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却機を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとメタクリル酸を0.87:0.13のモル比で仕込んだ。そして、溶媒としてジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下80℃で7時間攪拌し、アルカリ可溶性樹脂(共重合樹脂)である有機バインダーの溶液を得た。
得られた有機バインダーの重量平均分子量は、約10,000、酸価は、95mgKOH/g、その固形分は57%であった。
なお、得られた有機バインダーの重量平均分子量は、島津製作所製ポンプLC−6ADと昭和電工製カラムShodex(登録商標)KF−804、KF−803、KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
(導電ペーストの調製)
得られた有機バインダーを含む以下に示す成分を配合し、攪拌機により攪拌後、3本ロールミルで練肉することにより、実施例1〜6、比較例1〜6の導電ペーストを調製した。実施例1〜6、比較例1〜6の導電ペーストにおいて、ガラスフリットは、それぞれ表1に示すような組成、物性のものとした。
ガラスフリット:50重量部
Ag粉:500重量部
有機バインダー:175重量部
光重合性モノマー(M350 東亜合成社製):50重量部
光重合開始剤(Irg(登録商標)369 BASF社製):10重量部
消泡剤(モダフロー(登録商標) モンサント社製):5重量部
安定剤(リン酸エステル):5重量部
なお、Ag粉は、SEMにて測定した平均粒径が2.2μm、最大粒径6.3μm、表面積0.3m/gのものを使用した。
Figure 2011233496
(導電ペーストの評価)
〈安定性評価〉
調製された実施例1〜3、比較例1〜3の導電ペーストの初期粘度を東機産業(株)製コーンプレート型粘度計で測定した。これを40℃で7日間保持した後、再度同様に経時粘度変化を測定した。評価結果を表2に示す。評価基準は以下の通りである。
○・・・7日後の粘度変化が20%未満
×・・・7日後の粘度変化が20%以上
(試験片の作製)
ガラス基板上に、実施例1〜3及び比較例1〜3の導電ペーストを、200メッシュのポリエステルスクリーンを用いて、全面に塗布した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて、100℃で20分間乾燥して、タックフリーの乾燥塗膜を形成した。
次に、光源としてメタルハライドランプを用い、各評価パターンのネガマスクを介して、乾燥塗膜上の積算光量が200mJ/cm2となるように露光した。そして、液温30℃の0.4wt%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、20秒間現像を行い、水洗した。
さらに、各塗膜パターンが形成された基板を、空気雰囲気下にて、5℃/分で昇温して600℃で10分間焼成することにより、試験片を得た。
(試験片の評価)
〈耐酸性評価〉
L/S=120/120μmの評価パターンの形成された試験片を、液温40℃に加温した6%硝酸水溶液に10分間浸漬した後、取り出し、水洗後、自然乾燥した。
乾燥後の試験片を用い、セロテープ(登録商標)ピール試験を行い、目視によりはがれの確認を行った。評価結果を表2に示す。評価基準は以下の通りである。
○・・・はがれなし
×・・・一部電極がはがれた
〈電気特性評価〉
L/S=70/80μmのくし形電極パターンの形成された試験片に、UV防湿剤(NO.801SA09 協立化学産業社製)を塗布した後、超高圧水銀灯で3000mJ/cm2露光し、試験片を作製した。
次いで、楠本化成株式会社製 絶縁劣化特性評価システムSIR13を使用し、85℃、85%RH、印加電圧=120Vの条件で、168時間の負荷試験を行った評価結果を表2に示す。評価基準は以下の通りである。
○・・・試験後の絶縁抵抗が、初期絶縁抵抗の1/10以上
×・・・試験後の絶縁抵抗が、初期絶縁抵抗の1/10未満
Figure 2011233496
表2に示すように、実施例1〜6の酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニア又はチタニア、RO、ROを全て含む導電ペーストにおいて、良好な安定性が得られることがわかる。また、これらを用いた導電パターンにおいて、良好な耐酸性、電気特性が得られることがわかる。

Claims (4)

  1. 導電粉末と、
    酸化ビスマス、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)、を含むガラスフリットと、
    を含む無機成分、及び、
    有機バインダーを含有することを特徴とする導電ペースト。
  2. 前記ガラスフリットは、前記無機成分中の含有量が1〜15wt%であることを特徴とする請求項1に記載の導電ペースト。
  3. 前記有機バインダーは、カルボキシル基含有樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電ペースト。
  4. 導電粉末と、
    酸化ビスマスと、シリカ、酸化ホウ素、ジルコニアとチタニアのうち少なくともいずれか、RO(ROは、BeO、MgO、CaO、BaO、SrOから選ばれる少なくとも一種)、RO(R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oから選ばれる少なくとも一種)、を含むガラスフリットと、
    を含有することを特徴とする導電パターン。
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