JP2011233101A - 事例分析支援システム、方法およびプログラム - Google Patents

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正仁 狩野
Hiroshi Ogiwara
寛 荻原
Masanori Ikeda
正則 池田
Takahiro Miyazaki
崇弘 宮崎
Yuichi Sato
裕一 佐藤
Hideatsu Honda
英敦 本多
Takanobu Kikuchi
高信 菊池
Juria Takakusaki
珠星弥 高草木
Kiyomi Kogure
清美 木暮
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Abstract

【課題】適用される対策が、所定の事象の発生可能性の低減にどの程度貢献しているかを、容易に把握させることを課題とする。
【解決手段】事例分析支援システム1に、親事象を示す親ノードおよび子事象を示す子ノードを含む木構造と子事象の発生し易さを示す事象発生指標とを保持する情報保持部24と、対策が施されていない状態の親事象の発生し易さを示す基準指標を、子事象の事象発生指標を用いて算出する基準指標算出部26と、子事象の事象発生指標を、対策が施された場合の事象発生指標に変更する指標変更部27と、対策が施された場合の親事象の発生し易さを示す対策後指標を、指標変更部27による変更後の事象発生指標を用いて算出する対策後指標算出部28と、基準指標および対策後指標を出力する出力部23と、を備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、事例分析支援システムに関する。
従来、事象ごとの発生確率に基づいて故障木(Fault Tree)の頂上事象に対する不信頼度を計算する故障木作成装置がある(特許文献1を参照)。また、故障木において、故障木に含まれる事象の発生基準値と点検結果とを比較し、異常条件が満たされるか否かを判定することで、発生する異常を予知する設備異常検知装置がある(特許文献2を参照)。
特開2000−194561号公報 特開平8−190681号公報 特開平9−22313号公報
従来、事故・トラブル事例の分析手法に関連する分析支援システムにおいて、事象同士の連鎖を把握するための事象関連図、発生した事象の背後にある要因を分析するための背後要因図、および事象の要因に対して適用される対策を評価するための対策評価シート、等が用いられている。特に、背後要因図は、全ての対策を適用すると、適用する対策の量が膨大になる可能性があるため、頂上事象(トップ事象)の発生を防止するために背後要因に施された対策が十分であるか否かを確認するために用いることが出来る。
しかし、上記事象関連図や背後要因図、対策評価シート等を用いたとしても、適用される対策によって頂上事象の発生可能性がどの程度低減されるかを検証して確認しなければ、対策の頂上事象発生防止に寄与する関係が不透明となり、これらの図表を作成するメリットを得ることは困難である。この点、従来は、対策の適用によって頂上事象の発生可能性がどの程度低減できているかの判断は、分析者が自らの経験と知識に基づいて行う必要があった。
本発明は、上記した問題に鑑み、適用される対策が、所定の事象の発生可能性の低減にどの程度貢献しているかを、容易に把握させることを課題とする。
本発明は、以下の構成を備えることで、上記した課題を解決することとした。即ち、本発明は、事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を保持する木構造保持手段と、前記子事象の発生し易さを示す子事象発生指標を、該子事象発生指標に係る子事象に関連付けて保持する指標保持手段と、事象の発生を防止するための対策が施されていない状態の前記親事象の発生し易さを示す基準指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の子事象発生指標を用いて算出する基準指標算出手段と、前記対策に係る子事象の前記子事象発生指標を、該対策が施された場合の子事象発生指標に変更する指標変更手段と、前記対策が施された場合の前記親事象の発生し易さを示す対策後指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の、前記指標変更手段による変更後の子事象発生指標を用いて算出する対策後指標算出手段と、前記基準指標および前記対策後指標を出力する
出力手段と、を備える事例分析支援システムである。
ここで、事象とは、最終的に解決したい事故・トラブル等の問題としての事象や、このような問題を派生させる要因としての事象である。事象は、本発明において木構造のノードとして表現され、例えば、最終的に解決したい問題点である事象は、頂上事象として木構造の根ノードに配置され、その他の事象は、要因事象としてその他のノードに配置される。また、事象発生の原因と結果との関係を有する事象は、結果として発生する事象が親事象として親ノードに表示され、原因として発生する事象が子事象として子ノードに表示される。即ち、要因事象とは、頂上事象の発生に関して、原因、前提または背景等としての因果関係を有する事象である。
本発明では、事象の発生し易さ(起こり易さ)が、所定の指標を用いて示される。ここで用いられる指標としては、事象の発生確率や、起こり易さの段階ごとに設定される等級(ランク)、等を用いることが出来る。そして、本発明では、子事象の発生し易さを示す指標である子事象発生指標に基づいて、親事象の発生し易さを示す指標が算出される。
例えば、複数の子事象が発生する場合(事象発生の真偽の論理積が真である場合)に親事象を発生させる子事象と、何れかの子事象が発生する場合(事象発生の真偽の論理和が真である場合)に親事象を発生させる子事象と、がある。この場合、複数の子事象が発生する場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定出来る。また、何れかの子事象が発生する場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定出来る。
上記説明したような、子事象と親事象との因果関係に従って、子事象の発生し易さを示す指標を用いて、親事象の発生し易さを示す指標を算出することが出来る。本発明では、基準指標算出手段によって、対策が施されていない状態の親事象の発生し易さを示す基準指標を算出し、また、対策後指標算出手段によって、対策が施された場合の親事象の発生し易さを示す対策後指標を算出し、算出された基準指標および対策後指標を出力することで、適用される対策(対策の組み合わせを含む)が、親事象の発生可能性の低減にどの程度貢献しているかを容易に把握させることを可能とした。
また、本発明において、前記指標保持手段は、前記子事象発生指標として、前記子事象の発生確率を示す値を保持し、前記指標変更手段は、前記対策が施されていない状態の前記子事象発生指標に、該対策が施された場合の該子事象の発生し易さの残存率を乗算することで、前記子事象発生指標を変更してもよい。
子事象発生指標として発生確率を用いる場合、残存率を乗算することで、子事象発生指標を変更することが出来る。また、子事象発生指標として発生確率を用いる場合、基準指標算出手段および対策後指標算出手段は、複数の子事象が発生するときに発生する親事象(換言すれば、子事象の事象発生の真偽の論理積が真である場合に発生する親事象)については、子事象の発生確率同士を乗算することによって親事象の発生確率を算出することが出来る。また、何れかの子事象が発生するときに発生する親事象(換言すれば、子事象の事象発生の真偽の論理和が真である場合に発生する親事象)については、子事象が発生しない確率(1−子事象の発生確率)同士を乗算することで親事象が発生しない確率(1−親事象の発生確率)を算出し、ここから親事象の発生確率を算出することが出来る。
また、本発明において、前記対策後指標算出手段は、前記対策毎に、該対策が単独で施された場合の前記対策後指標を算出し、前記出力手段は、前記複数の対策について算出された、夫々の対策が単独で施された場合の前記対策後指標を、互いに比較可能に出力して
もよい。
対策が単独で施された場合の対策後指標を算出および出力することで、列挙された複数の対策を比較し、評価することが容易となる。
また、本発明に係る事例分析支援システムは、前記対策が単独で施された場合の前記対策後指標の、前記基準指標に対する変化の程度を示す単独効果値を算出する単独効果値算出手段を更に備え、前記出力手段は、前記複数の対策を、前記単独効果値の順に並べて出力してもよい。
対策が単独で施された場合の単独効果値を算出し、単独効果値の順に対策を並べて出力することで、適用される対策が親事象の発生可能性の低減にどの程度貢献しているかを、より直感的に把握させることが出来る。
また、本発明において、前記指標変更手段は、複数の対策の組み合わせである対策セットに含まれる夫々の対策に係る子事象の前記子事象発生指標を、該対策セットが施された場合の子事象発生指標に変更し、前記対策後指標算出手段は、前記対策セットが適用された後の対策後指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の、前記指標変更手段による変更後の子事象発生指標を用いて算出してもよい。
複数の対策の組み合わせである対策セットが施された場合の、対策後指標を算出することで、事象に対して複数の対策を併せて適用する場合に、適用される対策セットが、親事象の発生可能性の低減にどの程度貢献しているかを容易に把握させることが出来る。
また、本発明に係る事例分析支援システムは、前記対策セットが適用された後の前記対策後指標が前記基準指標に対してどの程度低減しているかを示す総合効果値と、所定の閾値と、を比較することで、前記対策セットが前記親事象の発生を防止するのに十分であるか否かを判定する判定手段を更に備えてもよい。
所定の閾値とは、対策セットが親事象の発生を防止するのに十分であるか否かを判定するための閾値である。このような閾値と、総合効果値と、を比較することで、対策セットが親事象の発生を防止するのに十分であるか否かを判定し、適用すべき対策を選定する際の目安とすることが出来る。なお、総合効果値としては、前記対策後指標の前記基準指標からの低減量や、低減率を用いることが出来る。但し、対策後指標を一定以下に抑えることを目的とする場合には、対策後指標を所定の閾値と直接比較することで、対策後指標が一定以下に抑えられているか否かを判定することとしてもよい。
また、本発明に係る事例分析支援システムは、前記基準指標に対する前記対策後指標の変化の程度を示す単独効果値が高い対策から順に、前記対策セットに対策を追加することで前記対策セットを作成する対策セット作成手段を更に備え、前記指標変更手段は、前記対策セット作成手段によって対策が追加される毎に、追加された対策に係る子事象の前記子事象発生指標を変更することで、前記子事象発生指標を、該対策セットが施された場合の子事象発生指標に変更し、前記対策後指標算出手段は、前記対策セット作成手段によって対策が追加され、前記指標変更手段によって前記子事象発生指標が変更される毎に、前記対策セットが適用された後の対策後指標を算出してもよい。
即ち、本発明では、単独効果値が高い順に対策セットに対策を追加しながら、更新された対策セットが施された場合の対策後指標を算出する。このようにすることで、対策を追加しながら、対策後指標の変化を観察することが可能となる。更に、単独効果値が高い順に対策を追加しながら対策後指標を算出し、算出された対策後指標を判定手段によって閾
値と比較することで、最も少ない数で親事象の発生を防止するのに十分な対策の組み合わせを特定することが出来る。
更に、本発明は、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとしても把握することが可能である。また、本発明は、前記プログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
本発明によれば、適用される対策が、所定の事象の発生可能性の低減にどの程度貢献しているかを、容易に把握させることが可能となる。
実施形態に係る事例分析支援システムのハードウェア構成を示す図である。 実施形態に係る事例分析支援システムの機能構成の概略を示す図である。 実施形態において表示装置に表示される背後要因図作成画面のイメージを示す図である。 実施形態において作成された背後要因図の表示イメージを示す図である。 実施形態に係る事例分析支援処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態に係る基準指標算出処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態において作成され、末端事象の事象発生指標が設定された計算表を示す図である。 実施形態において、対策が適用されない状態での頂上事象の事象発生指標である基準指標が算出された計算表を示す図である。 実施形態に係る対策評価処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態において、残存リスクに基づいて要因事象の事象発生指標が変更され、対策後指標が算出された計算表を示す図である。 実施形態において出力される、単独効果値が高い順に並び替えられた対策リストを示す図である。 実施形態において出力される、対策毎の単独効果値のグラフを示す図である。 実施形態に係る重点対策抽出処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態において、対策が複合的に適用され、対策後指標が算出された計算表を示す図である。 実施形態に係る重点対策抽出処理の処理結果の出力内容を示す図である。
以下、本発明に係る事例分析支援システム1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係る事例分析支援システム1のハードウェア構成を示す図である。事例分析支援システム1は、CPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)12、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置14、表示装置15としてのディスプレイ、および、入力装置16としてのキーボードやマウス等を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。
図2は、本実施形態に係る事例分析支援システム1の機能構成の概略を示す図である。図1に示された構成を有するコンピュータは、補助記憶装置14に記録されている事例分析支援プログラムがRAM13に読み出され、CPU11によって実行されることで、情報取得部21、計算表作成部22、出力部23、情報保持部24、判定部25、基準指標算出部26、指標変更部27、対策後指標算出部28、単独効果値算出部29、対策セット作成部30および総合効果値算出部31を備える事例分析支援システム1として機能する。
本実施形態に係る事例分析支援システム1では、発生した事象の背後にある要因を分析するために、背後要因図3が用いられる。背後要因図3は、解決すべき問題点としての頂上事象、および頂上事象の発生に関して背後要因としての因果関係を有する要因事象をノードとして含み、頂上事象を基点(根ノード)として各事象の背後要因となる事象が子ノードとして接続された木構造の図である。
図3は、本実施形態において表示装置15に表示される背後要因図作成画面のイメージを示す図である。なお、図3では、頂上事象として「問題点1」との文言が表示されているが、頂上事象のノードには、事故・トラブルの具体的な名称等、解決すべき事象の内容(例えば、「停電」等)が表示されてもよい。同様に、図3では、要因事象として「要因1」、「要因2」等の文言が表示されているが、要因事象のノードには、親事象の発生要因(発生条件)となった事象の具体的な名称等、対策が施されるべき事象の内容(例えば、「断線」等)が表示されてもよい。
背後要因図3に表示される頂上事象や要因事象等のノードは、キーボードやマウス等を用いたユーザの入力操作によって入力され、表示装置15に表示される。背後要因図3は、最終的に発生を防止したい事故やトラブル等の事象が頂上事象として最上位に配置された木構造であり、頂上事象発生の背後要因となる要因事象が、下位のノードとして頂上事象に関連付けられている。また、要因事象には、これらの要因事象が発生する背後要因である他の要因事象が、より下位のノードとして関連付けられている。即ち、背後要因図3においては、頂上事象および要因事象が、多層の親子関係をもって関連付けられている。頂上事象および要因事象のうち、ある事象を親事象としたとき、この親事象が発生する要因である事象であって該親事象に対して枝で直接接続されている事象を子事象と称する。換言すると、親事象とは、枝で直接接続された子事象を要因として発生する事象である。
ユーザは、背後要因図3を新規に作成する場合、背後要因図3を用いて解決したい問題を頂上事象として木構造の根ノードに配置し(図3の「問題点1」を参照)、以下、頂上事象が発生する背後要因である要因事象を、親事象と、親事象の発生の背後要因である子事象との親子関係に従ってツリー状に配置していくことで、木構造を有する背後要因図3を生成する。このような背後要因図3の作成は、背後要因図3に重ねて表示される操作パレット40や操作パネル50を、ユーザにマウス等を用いて選択させ、必要であればキーボードを用いて文字を入力させる等の操作を行うことで行われる。
なお、本実施形態では、操作パレット40には、操作パネル50を呼び出して事象(ノード)を追加するための操作パネル呼出ボタン41、選択された要因事象が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかを設定するための要因種別設定ボタン42、選択された要因事象に対して該要因事象に対策が適用されることを示す対策適用マーク63を設定するための対策適用ボタン43、後述する事例分析支援処理を実行開始するための事例分析ボタン44等の各種ボタンが配置されている。また、操作パネル50には、事象の内容入力ボックス51、色選択欄52、OKボタン(決定ボタン)およびキャンセルボタン等が配置されている。
事象の入力の際、ユーザは、背後要因図3において事象を追加する位置を指定し、事象のノード内に表示される事象の名称や内容(上記説明した「問題点1」や「停電」、「要因1」、「断線」等)を内容入力ボックス51へ入力し、また、事象の種類に応じて、事象のノードの色を指定する。ユーザは、入力される事象の種類が要因事象である場合には、図3に示した色選択欄52から「背後要因」を選択し、入力される事象の種類が要因事象と推定される事象である場合には、図3の色選択欄52から「背後要因 推定」を選択し、入力される事象の種類が頂上事象である場合には、図3に示した色選択欄52から「問題点」を選択する。
また、ユーザは、操作パレット40の要因種別設定ボタン42を操作することで、背後要因図3に含まれる各要因事象がAND要因であるのか、OR要因であるのかを指定する。ここで、AND要因とは、親事象にとって、複数ある子事象が全て発生した場合、即ち、子事象の事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象が発生すると考えられる要因事象を意味する。また、OR要因とは、複数ある子事象の何れかが発生する場合、即ち、子事象の事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象が発生すると考えられる要因事象を意味する。なお、一の親事象に対して、AND要因である子事象と、OR要因である子事象とが混在して関連付けられてもよい。一の親事象に対してAND要因である子事象と、OR要因である子事象とが混在して関連付けられている場合、親事象は、OR要因である子事象の少なくとも何れかが満たされるか、AND要因である子事象の全てが満たされた場合に発生する。
なお、本実施形態では、AND要因であるのかOR要因であるのかが指定されていない要因事象(子事象)は、親事象に対してOR要因であるとして扱われる。このようにすることで、ユーザがAND要因であるのかOR要因であるのかを判断することが困難であるような場合にも、その事象を、対策しなければ親事象が発生してしまう事象として扱い、対策をより確実にすることが出来る。
図4は、本実施形態において作成された背後要因図3の表示イメージを示す図である。上記説明した通り、背後要因図3に含まれる各要因事象には、その要因事象(子事象)が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかが設定されており、また、各要因事象に対策が適用されているか否かが設定されている。本実施形態では、親事象にとってAND要因である要因事象は、親事象に繋がる枝に四角形状のAND要因マーク61を付すことで設定され、親事象にとってOR要因である要因事象は、親事象に繋がる枝に三角形状のOR要因マーク62を付すことで設定される。また、対策適用マーク63は、対策適用マーク63が付された要因事象に対して対策が適用されることを示す。
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る事例分析支援システム1によって実行される事例分析支援処理の流れを説明する。本実施形態に係る事例分析支援システム1によって事例分析支援処理が実行されることで、夫々の対策が単独で適用された場合の効果を比較するための出力、および複数の対策を含む対策セットを実際に適用する場合に該対策セットに何れの対策を含めるべきかを判断するための出力、を得ることが出来る。
図5は、本実施形態に係る事例分析支援処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態に係る事例分析支援処理は、上記説明した事例分析支援システム1において、ユーザによる処理開始の指示が入力装置16を介して受け付けられたことを契機として開始される。
ステップS001では、背後要因図3が作成される。背後要因図3の作成方法について
は、図3および図4を用いて説明した通りであるため、説明を省略する。作成された背後要因図3は情報保持部24によって保持され、その後、処理はステップS002へ進む。
ステップS002では、対策リストが作成される。ここで、対策リストとは、背後要因図3に示された要因事象の発生を防止するために考えられる対策が列挙されたリストである(図示は省略する)。本実施形態において、対策は背後要因図3に示された要因事象に対して適用され、要因事象の発生を防止するか、少なくとも要因事象の起こり易さ(発生確率)を低減させる。本実施形態において、対策リストは、背後要因図3に示された要因事象を参照してユーザによって作成される。但し、対策リストの一部または全部は、背後要因図3に含まれる要因事象の名称や内容を用いて予め用意された対策テーブルを検索し、対応する対策を抽出する方法等を用いて、事例分析支援システム1によって自動的に作成されてもよい。対策リストが作成されると、作成された対策リストは情報保持部24によって保持され、処理はステップS003へ進む。
ステップS003では、基準指標算出処理が実行される。事例分析支援システム1は、ステップS001において作成された背後要因図3を用いて、対策リストに列挙された対策が適用される前の状態における頂上事象の起こり易さを指標化する。処理の詳細は図6に示すフローチャートを用いて後述する。その後、処理はステップS004へ進む。なお、本実施形態では、事象(頂上事象および要因事象を含む)の起こり易さを示すための指標として、発生確率が用いられる。但し、事象の起こり易さを示すための指標としては、発生確率のほかに、起こり易さの段階ごとに設定されるランク等、その他の指標が用いられてもよい。
ステップS004では、対策評価処理が実行される。事例分析支援システム1は、ステップS002において作成された対策リストに含まれる対策について、各対策が単独で適用された場合の頂上事象の起こり易さの指標の変化を算出することで、各対策が単独で適用された場合の効果を評価する。処理の詳細は図9に示すフローチャートを用いて後述する。その後、処理はステップS005へ進む。
ステップS005では、重点対策抽出処理が実行される。事例分析支援システム1は、実施の候補となる1または複数の対策を総合的に評価し、実施すべき対策(重点対策)および補完的に実施される対策(補完対策)を決定し、出力する。処理の詳細は図13に示すフローチャートを用いて後述する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
以下、上記ステップS003からステップS005に示された基準指標算出処理、対策評価処理および重点対策抽出処理の内容を、図6から図15を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る図5のステップS003に示された基準指標算出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理では、ステップS001において作成された背後要因図3を用いて、頂上事象の起こり易さが指標化される。
ステップS101では、計算表4が作成される。計算表作成部22は、背後要因図3に基づいて、計算表4を新規作成する(図7を参照)。なお、計算表4は、背後要因図3において事象が配置されたノードに対応するセルに、対応する事象(ノード)の事象発生指標(起こり易さを示す指標。本実施形態では発生確率)が記録される表であり、情報保持部24によって保持される。
更に、計算表作成部22は、背後要因図3に設定されたAND要因マーク61およびOR要因マーク62を参照して、各要因事象が親事象に対してAND要因であるかOR要因
であるかを判断する。そして、計算表作成部22は、AND要因である要因事象については、計算表4の対応箇所に、この要因事象がAND要因であることを示す情報を設定し、OR要因である要因事象については、計算表4の対応箇所に、この要因事象がOR要因であることを示す情報を設定する。計算表4が完成すると、処理はステップS102へ進む。
ステップS102では、末端事象の事象発生指標が取得される。ここで、末端事象とは、背後要因図3に示されている要因事象のうち、子ノードを有さないノード、即ち背後要因図3の木構造において末端に位置するノードの要因事象である。情報取得部21は、背後要因図3に示されている要因事象のうち少なくとも末端事象の事象発生指標を取得する。取得された事象発生指標は、計算表4の対応するセルに設定されることで、情報保持部24によって、対応する子事象に関連付けて保持される。
図7は、本実施形態において作成され、末端事象の事象発生指標が設定された計算表4を示す図である。図7の計算表4によれば、図4の背後要因図3に示された事象のうち、末端事象に対応するセルに、末端事象の事象発生指標が記録されていることが分かる。
なお、事象発生指標は、ノードに設定された要因事象の名称や内容を分析することで取得されてもよいし、ブレインストーミング等の手法で定められた事象発生指標が入力されることで取得されてもよい。事象発生指標が、要因事象の名称や内容を分析することで取得される場合には、例えば、要因事象の名称や内容に含まれる文字列と事象発生指標とを関連付けたテーブルを予め用意しておき、このテーブルを要因事象の名称や内容に含まれる文字列で検索することで取得することが出来る。但し、事象発生指標の取得には、その他にも、実施の形態に応じた手法が採用されてよい。なお、本実施形態では、事象発生指標は事象の発生確率で示されるため、0.1〜0.9の間の数値で設定される。例えば、滅多に起こらない事象には事象発生指標として0.1が、しばしば起こる事象には事象発生指標として0.9が設定される。背後要因図3に設定されている末端事象に対応するセルへの事象発生指標の入力が完了すると、処理はステップS103へ進む。
ステップS103では、基準指標が算出される。ここで、基準指標とは、対策が適用されない状態(対策前)の頂上事象の事象発生指標である。基準指標算出部26は、背後要因図3の最下層のノード(図4における最も右側)にある要因事象から頂上事象に向けてノード同士を関連づける枝を辿りながら、子事象の事象発生指標に基づいて親事象の事象発生指標を順次算出していくことで、最終的に頂上事象の事象発生指標(本ステップでは、対策が適用されない状態での頂上事象の事象発生指標である基準指標)を算出する。即ち、基準指標算出部26は、基準指標を、木構造において頂上事象に従属する子事象の事象発生指標を用いて算出する。
より具体的には、基準指標算出部26は、1の親事象に対して従属している子事象が1つである場合には、その子事象の事象発生指標をそのまま親事象の事象発生指標とする。これに対して、1の親事象に対して複数の子事象が従属しており、子事象が親事象に対してOR要因である場合には、基準指標算出部26は、以下の式1を用いて親事象の事象発生指標を算出する(例えば、子事象が、子事象A、子事象Bの場合)。
親事象の事象発生指標 = 1 − (1 − 子事象Aの事象発生指標) × (1
− 子事象Bの事象発生指標) ・・・式1
また、1の親事象に対して複数の子事象が従属しており、子事象が親事象に対してAND要因である場合には、基準指標算出部26は、以下の式2を用いて親事象の事象発生指標を算出する(例えば、子事象が、子事象A、子事象Bの場合)。
親事象の事象発生指標 = 子事象Aの事象発生指標 × 子事象Bの事象発生指標
・・・式2
図8は、本実施形態において、対策が適用されない状態での頂上事象の事象発生指標である基準指標が算出された計算表4を示す図である。基準指標算出部26は、上記説明した親事象の事象発生指標の算出を最下層のノード(末端事象)から最上位のノード(頂上事象)まで繰り返し、全てのノードについて算出を行うことで、頂上事象の事象発生指標を算出する。ステップS103において算出された基準指標は、情報保持部24によって保持され、本フローチャートに示された処理は終了する。
図9は、本実施形態に係る図5のステップS004に示された対策評価処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理では、ステップS002において作成された対策リストに含まれる対策について、各対策が単独で適用された場合の効果が評価される。
ステップS201では、対策後指標を算出するための対象となる対策が1つ選択される。ここで、対策後指標とは、対策が適用された状態(対策後)の頂上事象の事象発生指標である。対策後指標算出部28は、ステップS004で作成された対策リストに列挙された対策から、対策後指標の算出の対象となる対策を1つ選択する。即ち、本フローチャートでは、対策リストに列挙された対策が単独で適用された場合の、対策後指標を取得するための処理が実行される。なお、後述するステップS205において説明する通り、本フローチャートに示された処理では、全ての対策について、各対策が単独で適用された場合の頂上事象の事象発生指標(対策後指標)が算出されるまで、ステップS201からステップS205までの処理が繰り返される。
ステップS202では、選択された対策に対応する残存リスクが取得される。情報取得部21は、ステップS201で選択された対策および該対策が適用される要因事象に対応する残存リスクを取得する。ここで、残存リスクとは、対策が適用された場合に残存するリスクの程度を示す指標であり、本実施形態では、残存リスクとして、対策の適用前の発生確率に対して対策の適用後に残存する発生確率(リスク)の割合(残存率)が用いられる。
なお、残存リスクは、対策の名称や内容を分析することで取得されてもよいし、ブレインストーミング等の手法で定められた残存リスクが入力されることで取得されてもよい。対策の名称や内容を分析することで取得される場合には、例えば、対策の名称や内容に含まれる文字列と残存リスクとを関連付けたテーブルを予め用意しておき、このテーブルを対策の名称や内容に含まれる文字列で検索することで取得することが出来る。但し、残存リスクの取得には、その他にも、実施の形態に応じた手法が採用されてよい。なお、本実施形態では、残存リスクは0.1〜0.9の間の数値で設定される。例えば、発生確率(リスク)が9割低減される対策には残存リスクとして0.1が、発生確率(リスク)が1割低減される対策には残存リスクとして0.9が設定される。但し、対策が施された場合に事象の発生が完全に防止できるような場合には、残存リスクとして0(ゼロ)が設定されてもよい。その後、処理はステップS203へ進む。
ステップS203およびステップS204では、子事象の事象発生指標が変更され、対策後の頂上事象の事象発生指標(対策後指標)が算出される。指標変更部27は、ステップS201で選択された対策が寄与する要因事象の事象発生指標(発生確率)に残存リスクを乗算することで、選択された対策が適用された場合の、対応する要因事象の事象発生指標(発生確率)を変更する(ステップS203)。具体的には、指標変更部27は、以
下の式3を用いて要因事象の事象発生指標を変更する。
対策後の事象発生指標 = 対策前の事象発生指標 * 残存リスク ・・・式3
また、対策後指標算出部28は、ステップS203で変更された事象発生指標を含む計算表4を用いて、対策後の頂上事象の事象発生指標(対策後指標)を算出する(ステップS204)。ここで、頂上事象の事象発生指標(対策後指標)の算出に用いられる方法は、ステップS103において説明した、対策前の頂上事象の事象発生指標(基準指標)の算出処理と概略同様であるため、説明を省略する。
図10は、本実施形態において、残存リスクに基づいて要因事象の事象発生指標が変更され、対策後指標が算出された計算表4を示す図である。図10の計算表4によれば、図4の背後要因図3に示された事象のうち、選択された対策が適用される要因事象の事象発生指標に残存リスクが乗算され、事象発生指標が変更されていることが分かる。また、要因事象の事象発生指標が変更されたことの結果として、対策後の頂上事象の事象発生指標(対策後指標)が変化していることが分かる。
ステップS205では、全ての対策について、各対策を単独で適用した場合の対策後指標が算出されたか否かが判定される。全ての対策について対策後指標の算出が完了していない場合、処理はステップS201へ進む。再実行されるステップS201において、対策後指標算出部28は、前回実行されたステップS201で選択された対策の適用状態をリセットし、対策後指標の算出が完了していない他の対策を1つ選択する。即ち、本フローチャートに示された処理では、対策リストに列挙された全ての対策について、各対策が単独で適用された場合の対策後指標が算出されるまで、ステップS201からステップS205までの処理が繰り返される。全ての対策について対策後指標の算出が完了した場合、処理はステップS206へ進む。
ステップS206では、対策ごとの単独効果値が算出される。単独効果値算出部29は、対策リストに列挙された対策の夫々について、ステップS103において算出された基準指標から、ステップS201からステップS205までの処理が繰り返されることで算出された、各対策を単独で適用した場合の対策後指標を減算する(以下に示す式4を参照)。このようにして、単独効果値算出部29は、対策ごとに、各対策が単独で適用された場合の頂上事象の事象発生指標の変化の程度を算出する。なお、本実施形態では、この変化の程度を、各対策の単独効果値と称する。
単独効果値 = 基準指標 − 対策を単独で適用した場合の対策後指標 ・・・式4
ステップS207およびステップS208では、効果の高い順に対策が並び替えられ、出力される。出力部23は、対策リストに列挙された対策を、ステップS206で算出された単独効果値が高い順に並び替える(ステップS207)。
図11は、本実施形態において出力される、単独効果値が高い順に並び替えられた対策リストを示す図である。並び替えが行われると、出力部23は、並び替えの結果を補助記憶装置14や表示装置15等に出力する(ステップS208)。また、出力部23は、対策ごとの効果の大きさをユーザが視覚的に把握することを容易にするために、対策毎の単独効果値を示したグラフを生成し、出力することとしてもよい。
図12は、本実施形態において出力される、対策毎の単独効果値のグラフを示す図であ
る。図12によれば、頂上事象の発生確率を低減させるうえで効果の大きい対策と、効果の小さい対策とが視覚的に容易に把握できることが分かる。並び替えられた対策リストおよび対策毎の単独効果値を示したグラフの出力が完了すると、本フローチャートに示された処理は終了する。
図13は、本実施形態に係る図5のステップS005に示された重点対策抽出処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理では、抽出された実施の候補となる1または複数の対策が総合的に評価され、実施すべき対策(重点対策)および補完的に実施される対策(補完対策)が決定される。
ステップS301では、実施の候補となる1または複数の対策の選択が受け付けられる。以下、実施の候補として選択された1または複数の対策が含まれるリストを、「候補対策リスト」と称する。情報取得部21は、ステップS208で出力された対策リストに含まれる対策のうち、ユーザによって選択された候補対策を取得する。ここで、候補対策は、ステップS208において出力された、効果の高い順に並び替えられた対策リストから、所定の条件(例えば、単独効果値が所定の閾値以上であること)に従って事例分析支援システム1によって選択されてもよいし、対策リストを参照したユーザによって選択されてもよい。候補対策の選択にあたっては、ステップS208で出力されたグラフの変化点や形状を目安とすることが出来る。その後、処理はステップS302へ進む。
ステップS302では、対策後の頂上事象の事象発生指標(対策後指標)を算出するための対象となる対策が、該ステップに係る処理が実行される毎に1つずつ追加的に選択される。対策セット作成部30は、複数の対策の組み合わせである対策セットを作成する。この際、対策セット作成部30は、ステップS301で選択された候補対策リストに含まれる対策から、単独効果値の高い順に、ステップS302に係る処理が実行される毎に1つ選択し、対策セットに追加する。その後、処理はステップS303へ進む。
ステップS303およびステップS304では、対策セットに追加された対策に対応する残存リスクが取得され、子事象の事象発生指標が変更される。残存リスクの取得、および子事象の事象発生指標の変更に係る処理の内容は、ステップS202およびステップS203において説明したものと概略同様であるため、説明を省略する。但し、ステップS303およびステップS304は、対策が単独で適用された場合の対策後指標を算出するためのステップS202およびステップS203と異なり、対策セットに含まれる対策が複合的に適用された場合の対策後指標を算出するための処理である。このため、ステップS303およびステップS304では、指標変更部27によって事象発生指標が変更される要因事象が1つに限られず、ステップS302からステップS307の処理が繰り返される度に、事象発生指標が変更された要因事象の数が増加していく。
ステップS305では、対策セットが適用された場合の頂上事象の事象発生指標(対策後指標)が算出される。対策後指標算出部28は、対策セットが適用された後の対策後指標を、背後要因図3において頂上事象に従属する子事象の、指標変更部27による変更後の子事象発生指標を用いて算出する。対策後指標の算出に係る処理の内容は、ステップS204において説明したものと概略同様であるため、説明を省略する。但し、上記ステップS303およびステップS304においても説明した通り、ステップS305では、頂上事象の算出に用いられる要因事象のうち、残存リスクを用いて事象発生指標が変更される要因事象が1つに限られず、ステップS302からステップS307の処理が繰り返される度に、事象発生指標が変更された要因事象が増加していく。即ち、対策後指標算出部28は、対策セット作成部30によって対策セットに対策が追加され、指標変更部27によって子事象発生指標が変更される毎に、更新された対策セットによる対策後指標を算出する。
図14は、本実施形態において、対策が複合的に適用され、対策後指標が算出された計算表4を示す図である。図14の計算表4によれば、複数の対策が同時に選択されることで複数の要因事象の事象発生指標が変更され、対策後指標が、複合的に適用された対策によって低減されていることが分かる。
ステップS306では、総合効果値が算出される。ここで、総合効果値とは、対策セットが適用された後の対策後指標が基準指標に対してどの程度低減しているかを示すための値である。総合効果値算出部31は、ステップS103において算出された、対策が適用されない状態での頂上事象の事象発生指標(基準指標)から、ステップS305において算出された対策後の頂上事象の事象発生指標(対策後指標)を減算し、減算によって得られた値が基準指標に対して占める割合(低減率)を算出することで、対策セットに含まれる対策を複合的に適用した場合の、対策後指標の総合効果値を算出する(以下の式5を参照)。その後、処理はステップS307へ進む。
総合効果値 = (基準指標 − 対策後指標) / 基準指標 ・・・式5
ステップS307では、候補対策リストに含まれる最上位から最下位まで全ての対策が複合的に適用された場合の対策後指標が算出されたか否かが判定される。全ての対策が複合的に適用された場合の対策後指標が算出されていない場合、処理はステップS302へ進む。再実行されるステップS302において、対策セット作成部30は、前回実行されたステップS302で選択された対策の適用状態をリセットせずに、対策後指標の算出が完了していない他の対策のうち単独効果値が最も高い対策を1つ対策セットに追加する。即ち、ステップS302からステップS307の処理が繰り返されることで、上位対策から順に残存リスクが所定の背後要因の事象発生指標に乗じられ、頂上事象の事象発生指標(対策後指標)が観測される。全ての対策が複合的に適用された場合の対策後指標が算出された場合、処理はステップS308へ進む。
ステップS308では、複合的な対策によって実現されるべき総合効果値の目標値が取得される。総合効果値の目標値とは、頂上事象の事象発生指標が低減されるべき分量や割合を示し、対策セットが頂上事象の発生を防止するのに十分であるか否かを判定するための閾値である。このため、頂上事象の事象発生指標を大きく低減させるべき事象ほど、高い目標値が設定される。情報取得部21は、頂上事象の総合効果値の目標値を取得し、取得された目標値は、閾値として情報保持部24によって保持される。
例えば、頂上事象が災害である場合、災害の程度に応じて総合効果値の目標値を設定することが出来る。具体的には、災害が死亡・重傷災害である場合、頂上事象の総合効果値の目標値を90%以上とし、比較的程度の高い軽傷災害である場合、頂上事象の総合効果値の目標値を70%以上とし、軽傷・不休災害である場合、頂上事象の総合効果値の目標値を50%以上とすることが出来る。
ステップS309およびステップS310では、重点対策および補完対策が決定され、出力される。判定部25は、ステップS308で取得された総合効果値の目標値(閾値)と、ステップS306で算出された総合効果値とを比較することで、候補対策リストに含まれる対策のうち、実施すべき対策(重点対策)を抽出する(ステップS309)。具体的には、判定部25は、ステップS306で算出された総合効果値を、算出された順に閾値と比較する。比較は、比較対象の総合効果値が閾値を超えるまで繰り返され、閾値を超えた時点の総合効果値に係る対策セットに含まれる1または複数の対策が、重点対策として抽出される。また、ステップS301で選択された候補対策のうち、実施すべき重点対策として抽出されなかった対策は、補完的に実施される補完対策に設定される。
図15は、本実施形態に係る重点対策抽出処理の処理結果の出力内容を示す図である。出力部23は、重点対策および補完対策が決定されると、処理結果を補助記憶装置14や表示装置15等に出力する(ステップS310)。図15に示した例によれば、IDが2の対策を施すことで、頂上事象の事象発生指標(発生確率)が0.161から0.037まで低減し、−77%の総合効果値が得られていることが分かる。ここで、総合効果値の目標値(閾値)が70%に設定されていた場合、IDが2の対策のみが重点対策として決定され、その他の対策は補完対策として決定される。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
本実施形態に係る事例分析支援システムによれば、列挙された対策が単独で適用された場合の効果を評価することが出来、更に、対策を複合的に適用する場合の、優先的に実施すべき対策を抽出することが出来る。また、本実施形態に係る事例分析支援システムによって得られた重点対策および補完対策の具体的活動計画を作成し、安全活動計画に反映することで、より効果的に対策をマネジメントすることが出来る。
なお、本実施形態では、対策または対策セットによる頂上事象防止への貢献の程度を分析するための事例分析支援システム1について説明したが、本発明に係る事例分析支援システムは、頂上事象ではなく、背後要因図の途中にある何れかの親事象についての、対策または対策セットによる事象発生防止への貢献の程度を評価するために用いることも出来る。
また、本実施形態では、総合効果値と閾値とを比較することで、対策セットが親事象の発生を防止するのに十分であるか否かを判定することとしているが、対策後指標(頂上事象等の発生確率)を目標値以下に抑えることを目的とする場合には、上記説明した方法に代えて、ステップS305で算出された対策後指標を閾値と直接比較することで、対策セットによる対策後指標が一定以下に抑えられているか否かを判定することとしてもよい。
1 事例分析支援システム
3 背後要因図
4 計算表
23 出力部
24 情報保持部
25 判定部
26 基準指標算出部
27 指標変更部
28 対策後指標算出部
29 単独効果値算出部
30 対策セット作成部
31 総合効果値算出部

Claims (9)

  1. 事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を保持する木構造保持手段と、
    前記子事象の発生し易さを示す子事象発生指標を、該子事象発生指標に係る子事象に関連付けて保持する指標保持手段と、
    事象の発生を防止するための対策が施されていない状態の前記親事象の発生し易さを示す基準指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の子事象発生指標を用いて算出する基準指標算出手段と、
    前記対策に係る子事象の前記子事象発生指標を、該対策が施された場合の子事象発生指標に変更する指標変更手段と、
    前記対策が施された場合の前記親事象の発生し易さを示す対策後指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の、前記指標変更手段による変更後の子事象発生指標を用いて算出する対策後指標算出手段と、
    前記基準指標および前記対策後指標を出力する出力手段と、
    を備える事例分析支援システム。
  2. 前記指標保持手段は、前記子事象発生指標として、前記子事象の発生確率を示す値を保持し、
    前記指標変更手段は、前記対策が施されていない状態の前記子事象発生指標に、該対策が施された場合の該子事象の発生し易さの残存率を乗算することで、前記子事象発生指標を変更する、
    請求項1に記載の事例分析支援システム。
  3. 前記対策後指標算出手段は、前記対策毎に、該対策が単独で施された場合の前記対策後指標を算出し、
    前記出力手段は、前記複数の対策について算出された、夫々の対策が単独で施された場合の前記対策後指標を、互いに比較可能に出力する、
    請求項1または2に記載の事例分析支援システム。
  4. 前記対策が単独で施された場合の前記対策後指標の、前記基準指標に対する変化の程度を示す単独効果値を算出する単独効果値算出手段を更に備え、
    前記出力手段は、前記複数の対策を、前記単独効果値の順に並べて出力する、
    請求項3に記載の事例分析支援システム。
  5. 前記指標変更手段は、複数の対策の組み合わせである対策セットに含まれる夫々の対策に係る子事象の前記子事象発生指標を、該対策セットが施された場合の子事象発生指標に変更し、
    前記対策後指標算出手段は、前記対策セットが適用された後の対策後指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の、前記指標変更手段による変更後の子事象発生指標を用いて算出する、
    請求項1から4の何れか一項に記載の事例分析支援システム。
  6. 前記対策セットが適用された後の前記対策後指標が前記基準指標に対してどの程度低減しているかを示す総合効果値と、所定の閾値と、を比較することで、前記対策セットが前記親事象の発生を防止するのに十分であるか否かを判定する判定手段を更に備える、
    請求項5に記載の事例分析支援システム。
  7. 前記基準指標に対する前記対策後指標の変化の程度を示す単独効果値が高い対策から順に、前記対策セットに対策を追加することで前記対策セットを作成する対策セット作成手
    段を更に備え、
    前記指標変更手段は、前記対策セット作成手段によって対策が追加される毎に、追加された対策に係る子事象の前記子事象発生指標を変更することで、前記子事象発生指標を、該対策セットが施された場合の子事象発生指標に変更し、
    前記対策後指標算出手段は、前記対策セット作成手段によって対策が追加され、前記指標変更手段によって前記子事象発生指標が変更される毎に、前記対策セットが適用された後の対策後指標を算出する、
    請求項5または6に記載の事例分析支援システム。
  8. 記憶装置に接続されたコンピュータが、
    事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を前記記憶装置に保持する木構造保持ステップと、
    前記子事象の発生し易さを示す子事象発生指標を、該子事象発生指標に係る子事象に関連付けて前記記憶装置に保持する指標保持ステップと、
    事象の発生を防止するための対策が施されていない状態の前記親事象の発生し易さを示す基準指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の子事象発生指標を用いて算出する基準指標算出ステップと、
    前記対策に係る子事象の前記子事象発生指標を、該対策が施された場合の子事象発生指標に変更する指標変更ステップと、
    前記対策が施された場合の前記親事象の発生し易さを示す対策後指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の、前記指標変更ステップにおける変更後の子事象発生指標を用いて算出する対策後指標算出ステップと、
    前記基準指標および前記対策後指標を出力する出力ステップと、
    を実行する事例分析支援方法。
  9. 記憶装置に接続されたコンピュータに、
    事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を前記記憶装置に保持する木構造保持ステップと、
    前記子事象の発生し易さを示す子事象発生指標を、該子事象発生指標に係る子事象に関連付けて前記記憶装置に保持する指標保持ステップと、
    事象の発生を防止するための対策が施されていない状態の前記親事象の発生し易さを示す基準指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の子事象発生指標を用いて算出する基準指標算出ステップと、
    前記対策に係る子事象の前記子事象発生指標を、該対策が施された場合の子事象発生指標に変更する指標変更ステップと、
    前記対策が施された場合の前記親事象の発生し易さを示す対策後指標を、前記木構造において該親事象に従属する子事象の、前記指標変更ステップにおける変更後の子事象発生指標を用いて算出する対策後指標算出ステップと、
    前記基準指標および前記対策後指標を出力する出力ステップと、
    を実行させるための事例分析支援プログラム。
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