JP2011231402A - チタンの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、750℃以上、1500℃以下に加熱した析出空間に実質的に静止配置した基材表面に、気化したMgと、気化した四塩化チタンを異なる経路を通して供給して、基材の存在下で混合し、基材表面にチタンを析出させ、形成された表面を析出空間に維持してチタンを析出成長させる金属チタンの製造方法である。本発明は、気化したマグネシウムを通過させるマグネシウム導入管と、導入管に連通させた上記温度に加熱した析出空間と、析出空間に実質的に静止配置した析出基材と、析出基材に向かって気化した四塩化チタンを吹き付ける四塩化チタン導入管を有する装置にも関するものである。
【選択図】図1
Description
クロール法の熱還元工程は、ステンレス鋼製還元反応容器内に予め800℃以上の溶融マグネシウムを満たし、容器上部から四塩化チタン液を滴下し、容器内のマグネシウムと反応させることによりチタンを生成させるものである。生成されたチタンはマグネシウム液中に沈下してスポンジ状になる。他方、反応の副生成物である塩化マグネシウムおよび残留マグネシウムは液相としてスポンジ状のチタンとの混合物になる。上記反応の終了後、1000℃以上の高温真空分離プロセスを経て、多孔質のスポンジケーキが得られる。
その中で例えば、特許文献1(米国特許出願公開2009/0120239号明細書)には、高温の金属粒子の種結晶からなる流動床中に四塩化チタンとマグネシウムを不活性ガスからなるシースガスによって仕切られた別々の流路から導入し、種結晶表面上に金属チタンを析出させ、これら析出成長したチタン粒子を連続的に回収する製造方法が提案されている。この提案によれば、四塩化チタンとマグネシウムを別々の流路から導入し、種結晶の表面に順次接触するように流動床内のチタン粒子の移動を制御することで均一核生成による微粒子の発生が抑えられ、種結晶表面に効率良くチタンを析出させることが期待できる。
しかし、本発明者らの検討によれば、この方法を実用化しようとしたとき不純物混入防止の観点から流動床を形成させる種結晶には、高純度のチタン粒子であることが必要であり、更に流動床の流動性を一定に保つために、形状、粒径が管理されたチタン粒子であることが必要と考えられる。一般的に純度が高く粒径を制御したチタン粉末の市場価格は、クロール法で製造されるスポンジチタン価格と比較して数倍以上であるため、製造コストの増加は避けられず、実用化する上での問題となる。
本発明は、上記課題に鑑み、析出反応を利用して低コストで金属チタンを製造する方法及び装置を提供することを目的とする。
すなわち本発明に係る金属チタンの製造方法は、基材を析出空間に実質的に静止配置するステップと、析出空間を750℃〜1500℃の温度範囲に加熱するステップと、析出空間に気化したマグネシウムおよび気化した四塩化チタンを異なる経路を通して供給するステップと、析出空間内での気化したマグネシウムと気化した四塩化チタンの混合により、基材の表面にチタンを析出させるステップと、チタンの形成された表面を実質的に静止させながら析出空間に維持してチタンを析出成長させるステップとを含むものである。
析出空間を加熱するステップは、900〜1300℃の範囲に析出空間を加熱することが好ましい。また、析出空間の圧力は0.05〜0.15MPaに制御することが好ましい。
気化した四塩化チタンの供給は、析出空間に連通した導入管を通して四塩化チタンを基材に対して吹きつけることにより行うことができる。
他方、気化したマグネシウムの供給は、析出空間に連通した導入管を通して気化したマグネシウムを通過させることができる。或いは、気化したマグネシウムの供給を、前記析出空間に位置されたマグネシウムを加熱することにより行うこともできる。
本発明では、上記手法により、チタン粒子を種結晶として流動床においてチタン粒子の移動を制御する方法ではなく、実質的に静止配置した基材表面で純度の高いチタンを析出成長させることができることを見いだしたものである。
その原理としては、実質的に静止配置した基材表面においては、流動床のような基材の移動が無いので、反応物質(チタン)が結晶面に取り込まれる過程、反応副生成物(塩化マグネシウム)が排出される過程、反応熱を放出する過程が定常的に行われるために、結晶成長が安定的に持続され、純度の高い大きな結晶へ成長できるものと推定される。
本発明においては、上述した通り、結晶成長を安定に維持することが重要であり、結晶成長する部分となる表面を析出空間に維持しておく必要がある。
また、気化したマグネシウムと、気化した四塩化チタンとは、混ざり合った瞬間に還元反応が始まり、基材がないと均一核生成により混合空間中でチタン微粒子が生成して捕獲困難となる。そのため、還元反応が始まる空間に基材が必要であり、析出空間に気化したマグネシウムと、気化した四塩化チタンを別々に供給する必要がある。具体的には気化したマグネシウムと、気化した四塩化チタンとが接触する位置から約50mm以下の位置に析出表面を設定することが望ましい。
例えば、析出空間が1500℃を超えると、析出したチタンは部分的に溶解する虞が高く、安定した成長ができなくなる。一方、750℃以下の場合は還元反応が進みにくく、チタンの成長が促進されないため不適である。なお、工業的な製造安定性を実現するためには、析出空間の温度は、900〜1300℃であることが好ましい。
このようにして気化したマグネシウムと気化した四塩化チタンを基材の存在下で混合させ、析出基材上に形成された表面を析出空間に維持してチタンを析出成長させる構成としている。
なお、図1に示す装置は、実証用の一例であり、本発明は図1の構成に限られるものではない。より制御性を重視する場合は、図2に示すように、析出空間3にそれぞれ独立したマグネシウム導入管1と四塩化チタン導入管2を配置して、析出基材表面で直接混じり合う構成とすることもできる。
図3に示すとおり、チタンの結晶が多数の柱状に成長していることが認められる。本実験においては成長したチタンの最大長は500μm程度であった。また、この結晶の一部をGDMS(グロー放電質量分析)装置で分析したところ、99.5%の純度であった。
このように、塩化マグネシウム沸点(1412℃)以下の析出空間であっても、実質的に静止配置した基材に金属チタンを析出させることで、塩化マグネシウムをほぼ分離することができた。
2 四塩化チタン導入管
3 析出空間
4 析出基材
5 マグネシウム坩堝
6 加熱ヒータ
7 析出空間用ヒータ
8 断熱材
9 引き出し治具
Claims (8)
- チタンの製造方法であって、
基材を析出空間に実質的に静止配置するステップと、
前記析出空間を750℃〜1500℃の温度範囲に加熱するステップと、
前記析出空間に気化したマグネシウムおよび気化した四塩化チタンを異なる経路を通して供給するステップと、
前記析出空間内での前記気化したマグネシウムと前記気化した四塩化チタンの混合により、前記基材の表面にチタンを析出させるステップと、
チタンの形成された前記表面を実質的に静止させながら析出空間に維持してチタンを析出成長させるステップを含むことを特徴とするチタンの製造方法。 - チタンの析出成長に応じて基材を後退させることにより、前記表面を実質的に静止させながら前記析出空間に維持することを特徴とする、請求項1に記載されたチタンの製造方法。
- 前記析出空間を加熱するステップが、900〜1300℃の温度範囲に析出空間を加熱することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたチタンの製造方法。
- 前記析出空間内の圧力が0.05〜0.15MPaであることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたチタンの製造方法。
- 前記気化した四塩化チタンの供給が、前記析出空間に連通した導入管を通して四塩化チタンを前記基材に対して吹きつけることを含むことを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたチタンの製造方法。
- 前記気化したマグネシウムの供給が、前記析出空間に連通した導入管を通して気化したマグネシウムを通過させることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたチタンの製造方法。
- 前記気化したマグネシウムの供給が、前記析出空間に配置されたマグネシウムを加熱することにより行われることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたチタンの製造方法。
- チタンの製造装置であって、
気化したマグネシウムを通過させるマグネシウム導入管と、
前記導入管に連通させた、750℃〜1500℃の温度に加熱可能な析出空間と、
前記析出空間に実質的に静止配置するように構成された析出基材と、
前記析出基材に向かって気化した四塩化チタンを吹き付ける四塩化チタン導入管と
を具備し、気化したマグネシウムと気化した四塩化チタンを前記基材の存在下で混合させ、析出基材上に形成された表面を析出空間に維持しながらチタンを析出成長させるようになっていることを特徴とするチタンの製造装置。
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