JP2011230698A - 車両用操舵装置および車両用操舵装置の異常判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用操舵装置1は、ステアリングシャフト3の入力軸18と出力軸19との間の伝達比を変更可能な伝達比可変機構13と、伝達比を変更するための伝達比制御モータ14と、伝達比を固定するためのロック機構25と、制御部とを備える。ロック機構25は、キャリア57の回転を規制するためのロック部材62と、ロック部材62をキャリア57に係合する第1位置P1と係合しない第2位置P2とに変位可能に支持するソレノイド61と、を含む。制御部の判定部は、ロック部材62を第2位置P2に変位するようにロック機構25が制御された後、ロック部材62が第1位置P1にあるときに、ロック機構25に異常が生じていると判定する。
【選択図】図2
Description
上記ロック部材は、遊星ギヤ機構の構成要素の回転をロックするロック位置と、構成要素の回転をロックしない非ロック位置とに変位可能に構成されている。このような構成を有していることから、ロック部材は、意図していないにも拘わらず、非ロック位置からロック位置に向かって誤作動する可能性がある。
ロック部材を駆動する駆動装置の故障であれば、修理の必要がある一方、ロック部材の偶発的な変位によるロック部材の誤作動の場合、ロック部材を駆動装置によって再度非ロック位置に変位させれば、ロック部材を非ロック位置に戻すことができる。
この場合、ロック部材を小さい保持力で第2位置に保持しておくことができる。例えば、支持装置が電磁ソレノイドである場合、電磁ソレノイドに供給する電力を少なくできるので、装置の消費エネルギを少なくできる。また、ロック部材を小さい保持力で保持する分、車両の走行時の振動等に起因してロック部材が偶発的に第2位置から第1位置に変位(誤作動)し易くなるけれども、このような、支持装置の駆動によって容易に回復可能な誤作動が生じても、ロック機構に異常が生じていると判定されることを抑制できる。
通常、車両の走行時には、伝達比制御モータによる伝達比の制御が行えるように、ロック部材は、第2位置に配置される。このように、ロック部材が第2位置に配置されるようにロック機構が制御されているにも拘わらず、ロック部材が第1位置に配置されている場合には、ロック機構に異常が生じている可能性がある。ロック機構に異常が生じている可能性のある場合に判定部がロック機構の異常を判定するので、ロック機構の異常をより確実に判定することができる。一方、伝達比制御モータに異常が生じたこと等により、伝達比制御モータによる伝達比の制御ができない場合に、ロック部材は意図的に第1位置に配置される。このような場合には、ロック部材が第1位置に配置されていることが正常であるので、ロック機構の異常を判定する必要がない。したがって、ロック機構の異常を判定する必要のあるときにのみ、ロック機構の異常を判定することができる。
また、前記伝達比制御モータの回転位置を検出する回転位置センサをさらに備え、前記制御部は、前記伝達比制御モータを制御する伝達比制御部を含み、前記検出手段は、前記伝達比制御部が前記伝達比制御モータを駆動させる信号を前記伝達比制御モータに出力している場合の前記回転位置センサの検出値に変化がないときに、前記ロック部材が前記第1位置に位置していると検出する場合がある。
また、本発明は、操舵部材の操舵に応じて回転する入力軸と転舵機構の動作に連動して回転する出力軸との間に介在し、入力軸および出力軸間の伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、前記伝達比可変機構の前記伝達比を変更するための伝達比制御モータと、前記伝達比可変機構に係合することにより前記伝達比を固定するためのロック部材、および前記ロック部材を前記伝達比可変機構に係合する第1位置と前記伝達比可変機構との係合が解除された第2位置とに変位可能に支持する支持装置を含むロック機構と、を備える車両用操舵装置の異常判定方法において、前記第1位置にある前記ロック部材を前記第2位置に変位するように前記ロック機構が制御された後、前記ロック部材が前記第1位置にあるときに、前記ロック機構に異常が生じていると判定することを特徴とする(請求項4)。
図1は本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有し、自動車等の車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8とを有している。ピニオン軸7およびラック軸8によりラックアンドピニオン機構からなる転舵機構9が構成されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン7aおよびラック8aによって、ラック軸8の軸方向X1の直線運動に変換される。これにより、転舵輪11の転舵が達成される。
入力軸18は、操舵部材2に一体回転可能に連結される第1軸18aと、第1軸18aにトーションバー20を介して連結される第2軸18bとを含む。トーションバー20を介した第1軸18aと第2軸18bの相対回転量は小さく、実質的に第1軸18aと第2軸18bとは一体回転していると考えることができる。
車両用操舵装置1は、伝達比制御モータ14の回転をロックすることで伝達比を機械的に固定可能なロック機構25を備えている。
トルクセンサ30は、トーションバー20に隣接して配置されており、トーションバー20のねじれに伴う第1軸18aと第2軸18bとの相対回転量を検出することで、操舵部材2に負荷される操舵トルクを検出する。
第2レゾルバ32は、反力補償モータ15の後述するロータ15aの回転位置を検出するレゾルバであり、反力補償モータ15に隣接して配置されている。反力補償モータ15は、第2レゾルバ32の検出値angle_reactを用いるフィードバック制御により駆動制御される。反力補償モータ15は、伝達比可変機構13の動作による操舵部材2の操舵反力(操舵反力の変化)を補償するためのモータである。
走行状態センサ36は、車両の走行状態(車速、転舵角、車両のヨーレート等の、車両用操舵装置1の制御に関連する車両走行状態)を検出するセンサであり、複数のセンサによって構成されている。
操舵制御部38および操舵補助制御部39は、それぞれ電子制御ユニット(ECU:Electronic ControlUnit)により構成され、例えば車載ネットワーク40を介して互いに信号伝達可能に接続されている。
操舵制御部38は、ドライバ41を介して伝達比制御モータ14に接続されており、ドライバ42を介して反力補償モータ15に接続されている。また、操舵制御部38は、ロック機構25と、報知手段としての警告ランプ44およびスピーカ45とに接続されている。
伝達比制御部46は、伝達比を制御するべく、伝達比制御モータ14の駆動を制御するようになっている。反力制御部47は、操舵部材2に負荷される反力を制御するべく、反力補償モータ15の駆動を制御するようになっている。
操舵制御部38内において、伝達比制御部46は、ロック制御部48およびロック部材位置検出部49に接続されており、これらロック制御部48およびロック部材位置検出部49に信号を出力するようになっている。反力制御部47は、ロック制御部48に接続されており、ロック制御部48に信号を出力するようになっている。ロック制御部48は、判定部50に接続されており、双方向に信号伝達可能になっている。ロック部材位置検出部49は、伝達比制御部46および第1レゾルバ31に接続されており、これらからの信号に基づいて、ロック部材62の位置を検出するようになっている。また、ロック部材位置検出部49は、判定部50に接続されており、判定部50に信号を出力するようになっている。判定部50は、カウンタ51に接続されている。
伝達比可変機構13は、入力軸18の第2軸18bと出力軸19との間の伝達比を変更可能とされている。伝達比可変機構13は、全体として筒状をなすハウジング53に収容されている。
反力補償モータ15に隣接して、第2レゾルバ32が配置されている。第2レゾルバ32は、第2軸18bの外周に連結されたロータ32aと、ロータ32aを取り囲みハウジング53に固定されたステータ32bとを含んでいる。第2軸18bに反力補償モータ15のロータ15aおよび第2レゾルバ32のロータ32aの双方が連結されていることにより、第2レゾルバ32は、入力軸18の回転位置(転舵角)および反力補償モータ15のロータ15aの回転位置を検出することが可能である。
図3(C)は、ロック機構25の主要部の断面図、およびロック機構25のソレノイド61の電圧を示すグラフであり、ロック機構25がキャリア57をロックしていない状態を示している。
このとき、操舵制御部38の伝達比制御部46は、操舵制御部38に接続された各センサ30〜33,36からの入力信号等に基づいて、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15の目標駆動量を設定する。そして、操舵制御部38は、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15のロータ14a,15aの回転位置と目標回転位置との偏差がゼロになるように、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15を駆動する。
このとき、入力軸18から出力軸19への回転伝達比は、前述の所定の伝達比(例えば、1)である。この結果、転舵輪11は、操舵部材2の操作方向に、この操舵部材2の操舵角に前記回転比を乗じた角度相当分だけ転舵されることになり、操舵部材2から操舵用の転舵輪11への伝達比は一定値となる。
車両のイグニッションがオフにされており、車両の電源がオフにされているときには、ソレノイド61に電力は供給されておらず、ソレノイド61の電圧はゼロ(V)である。このとき、図2および図3(A)に示すように、ロック部材62は、ばね61bの付勢力によって、第1位置P1に位置している(図2において、第1位置P1のロック部材62を2点鎖線で図示)。これにより、ロック部材62は、キャリア57の回転を規制している。したがって、操舵部材2を回転したとき、操舵部材2の回転に連動して、入力軸18、入力サンギヤ54、遊星ギヤ56、出力サンギヤ55、出力軸19等が連動して回転し、その結果、図1に示すように、転舵輪11が操向される。したがって、車両の電源オフ時には、操舵部材2の位置と転舵輪11の向きとが常に一定の関係にあり、車両の電源オフ時に、操舵部材2の位置と転舵輪11の向きとにずれが生じることを防止できる。
モータフェールモードにおいて、伝達比制御モータ14による伝達比制御および反力補償モータ15による反力制御は停止されるけれども、このような緊急時の操舵を、操舵部材2から転舵機構9への機械的な動力伝達によるマニュアル操舵によって行わせることができる。モータフェールモードのとき、伝達比制御モータ14、反力補償モータ15およびソレノイド61への電力供給は遮断される。
以下では、操舵制御部38による、ロック機構25の異常を判定する制御の流れを説明する。図4は、ロック機構25の異常を判定する制御の流れを説明するためのフローチャートである。図4に示す制御が行われている間、操舵制御部38は、適宜、センサ30〜33,36の検出値を読み込んでいる。図4に示すように、主モード時、操舵制御部38のロック部材位置検出部49は、ロック機構25のロック部材62が第1位置P1に位置しているか否かを判定する(ステップS1)。
ロック部材62が第1位置P1に位置していないとき(ステップS1でNO)、ロック部材62は第2位置P2に位置している。このとき、カウンタ51によるカウント値countがゼロに設定される(ステップS2)。ロック部材62が第2位置P2に位置しているときには、ソレノイド61が正常に動作しているので、ロック機構フェールモードは設定されない。
この場合、ロック機構制御部37の制御により、ソレノイド61が励磁される(ステップS4)。具体的には、ロック部材62に変位力F1が作用し、ロック部材62が第1位置P1から第2位置P2に変位するように、ソレノイド61に第1電圧が印加される。
車両の走行時の振動に起因するロック部材62の偶発的な変位が原因によって、ロック部材62が第2位置P2から第1位置P1に変位した場合であれば、ロック部材62は、ステップS4でソレノイド61に第1電圧が印加されたことで、第1位置P1から第2位置P2に変位する。この場合、ステップS1で、ロック部材62が第1位置P1から第2位置P2に変位したことが判定され(ステップS1でNO)、ロック機構フェールモードは設定されない。
一方、車両の走行時の振動等に起因するロック部材62の偶発的な変位が原因によって、ロック部材62が第1位置P1に変位した場合、第1位置P1にあるロック部材62を第2位置P2に変位するようにロック機構25が制御されると、ロック部材62は、第1位置P1から第2位置P2に変位する。この場合、判定部50は、ロック機構25に異常が生じているとは判定しない。
主モード時には、伝達比制御モータ14による伝達比の制御が行えるように、ロック部材62は、第2位置P2に配置される。このように、ロック部材62が第2位置P2に配置されるようにロック機構25が制御されている主モード時にも拘わらず、ロック部材62が第1位置P1に配置されている場合には、ロック機構25に異常が生じている可能性がある。ロック機構25に異常が生じている可能性のある場合に判定部50がロック機構25の異常を判定するので、ロック機構25の異常をより確実に判定することができる。
さらに、伝達比制御部46が伝達比制御モータ14を駆動させる信号を伝達比制御モータ14に出力している場合の第1レゾルバ31の検出値angle_vgrに変化がないときに、ロック部材62が第1位置P1に位置していると検出するようになっている。このため、ロック部材62の位置を検出するための専用のセンサが不要であり、車両用操舵装置1の製造コストを低減することができる。
例えば、上記実施形態では、ロック部材62を支持する支持装置としてソレノイド61を例示したけれども、これに限定されない。支持装置は、ロック部材62を第1位置P1と第2位置P2とに変位可能に支持できるものであればよく、例えば、クラッチ機構等の他の一般の装置を用いて支持装置を構成してもよい。
さらに、上記実施形態では、ステアリングシャフト3の出力軸19から転舵機構9に操舵補助力を負荷するコラムアシストタイプの操舵補助機構12を説明したけれども、これに限定されない。例えば、ピニオン軸7やラック軸8から転舵機構9に操舵補助力を負荷する構成でもよい。
Claims (4)
- 操舵部材の操舵に応じて回転する入力軸と転舵機構の動作に連動して回転する出力軸との間に介在し、入力軸および出力軸間の伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、
前記伝達比可変機構の前記伝達比を変更するための伝達比制御モータと、
前記伝達比可変機構に係合することにより前記伝達比を固定するためのロック部材、および前記ロック部材を前記伝達比可変機構に係合する第1位置と前記伝達比可変機構との係合が解除された第2位置とに変位可能に支持する支持装置を含むロック機構と、
前記ロック部材の位置を検出する検出手段と、
前記ロック機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ロック部材が前記第1位置にあるときに前記ロック機構の異常の有無を判定可能な判定部を含み、
前記判定部は、前記ロック部材を前記第2位置に変位するように前記ロック機構が制御された後、前記ロック部材が前記第1位置にあるときに、前記ロック機構に異常が生じていると判定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、前記支持装置は、所定の変位力で前記ロック部材を前記第1位置から前記第2位置に変位可能であり、且つ前記所定の変位力よりも小さい所定の保持力で前記ロック部材を前記第2位置に保持可能であることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1または2において、前記判定部は、前記制御部が前記ロック部材を前記第2位置に保持するように前記ロック機構を制御しているにも拘わらず前記ロック部材が前記第1位置にあるときに、前記ロック機構の異常の有無を判定することを特徴とする車両用操舵装置。
- 操舵部材の操舵に応じて回転する入力軸と転舵機構の動作に連動して回転する出力軸との間に介在し、入力軸および出力軸間の伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、
前記伝達比可変機構の前記伝達比を変更するための伝達比制御モータと、
前記伝達比可変機構に係合することにより前記伝達比を固定するためのロック部材、および前記ロック部材を前記伝達比可変機構に係合する第1位置と前記伝達比可変機構との係合が解除された第2位置とに変位可能に支持する支持装置を含むロック機構と、を備える車両用操舵装置の異常判定方法において、
前記第1位置にある前記ロック部材を前記第2位置に変位するように前記ロック機構が制御された後、前記ロック部材が前記第1位置にあるときに、前記ロック機構に異常が生じていると判定することを特徴とする車両用操舵装置の異常判定方法。
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