JP2011230351A - グラビアオフセット印刷機 - Google Patents

Abstract

【課題】 グラビアオフセット印刷機において、ブランケット胴に所定量のインキを受け渡し、かつブランケット胴から被印刷物への転写不良を防止することにより印刷品質を向上させる。
【解決手段】 グラビア版胴１の凹部１ａに充填されたインキは、受け渡し位置Ａ点においてブランケット胴４の周面に受け渡され、転写位置Ｂ点において被印刷物６に転写される。グラビア版胴１の周面を覆う第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂと、これら第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂおよびグラビア版胴１の全体を覆う第２のインキ乾燥防止用カバー８とが備えられている。ブランケット胴４に受け渡されたインキが、Ｂ点において生乾き状態となるように、エアノズル１０からブランケット胴４の周面にエア１２が吹き付けられる。
【選択図】 図１

Description

本発明は、絶縁基板やガラスあるいは金属板等の相対的に固い被印刷物に印刷するのに好適なグラビアオフセット印刷機に関するものである。

従来のグラビア印刷機としては、インキが充填される凹部が周面に設けられたグラビア版胴と、このグラビア版胴の周面にインキを供給するインキ供給手段と、前記グラビア版胴と互いの周面が対向され互いの周面間に被印刷物が供給される圧胴とを備え、前記グラビア版胴の凹部に充填されたインキを被印刷物に転写するものがある（例えば、特許文献１参照）。

この特許文献１に記載されたグラビア印刷機では、グラビア版胴と圧胴との対向する位置において、グラビア版胴の画線部を形成するための凹部内に被印刷物が入り込み、凹部内のインキを取ってくることにより、被印刷物にインキが転写される。しかしながら、上述したような従来のグラビア印刷機においては、被印刷物の材質やインキの粘度等により、被印刷物へのインキの転写にばらつきがあり、グラビア版胴の凹部内に充填されたインキがグラビア版胴と圧胴との間を通過する被印刷物に必ずしも必要な量だけ転写されないといった転写不良が発生していた。特に、被印刷物が絶縁基板やガラスあるいは金属板等の相対的に固い材料によって形成されている場合は、被印刷物がグラビア版胴の凹部内に入り込む量が少なくなるため、転写不良が一層顕著になるという問題があった。この問題を解消するために、グラビア版胴と圧胴との間にブランケット胴を介装し、グラビア版胴からインキの受け取りを良好にするようにしていた。

特開平０７−２４９９０号公報

上述したようなグラビアオフセット印刷機においては、グラビア版胴の凹部に充填したインキはブランケット胴に受け渡される間にインキの溶剤が外気にさらされることで揮発し溶剤がどこかに飛んでいってしまう。したがって、インキが乾燥し、乾燥することにより、ブランケット胴へ所定量のインキを受け渡すことができなくなり印刷障害が発生するという問題があった。また、ブランケット胴に受け渡されたインキが乾燥不足のために被印刷物に転写するときに転写に適した半固化状態、すなわち生乾き状態となっていないといった問題もあった。

本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ブランケット胴に所定量のインキを受け渡し、かつブランケット胴から被印刷物への転写不良を防止することにより印刷品質を向上させるところにある。

この目的を達成するために、本発明は、インキが充填される凹部が周面に設けられたグラビア版胴と、このグラビア版胴の凹部からインキが受け渡されるブランケット胴と、このブランケット胴に対向する圧胴とを備え、前記圧胴と前記ブランケット胴との間を通過する被印刷物に対して印刷を行うグラビアオフセット印刷機において、前記ブランケット胴の少なくとも表面を表面エネルギーが低い材料によって形成し、前記グラビア版胴の周面であって、前記凹部にインキを充填する充填位置から凹部のインキを前記ブランケット胴に受け渡す受け渡し位置までの間を囲う第１のインキ乾燥防止用カバーと、前記ブランケット胴の周面であって、前記受け渡し位置から前記ブランケット胴から前記被印刷物へインキを転写する転写位置までの間におけるインキにエアを吹き付けるエア吹き装置とを備えたものである。

本発明は、前記発明において、前記第１のインキ乾燥防止用カバーおよび前記グラビア版胴を囲う第２のインキ乾燥防止用カバーを備えたものである。

本発明は、前記発明において、前記ブランケット胴の少なくとも表面をシリコーンによって形成したものである。

本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記インキには銀ペーストが含有されているものである。

本発明によれば、グラビア版胴の凹部に充填されブランケット胴に受け渡されるインキは、溶剤が揮発するが、揮発した溶剤はグラビア版胴の外周面と第１のインキ乾燥防止用カバーの内周面との間で存在している。換言すれば、溶剤がどこかに飛んでいっているのではなく、グラビア版胴の外周面と第１のインキ乾燥防止用カバーの内周面との間での溶剤密度は高くなっているため、溶剤が揮発することによるインキの乾燥が防止される。このため、凹部内に充填されたインキが乾燥することがないから、所定の量のインキがブランケット胴に受け渡される。また、ブランケット胴に受け渡されたインキは、エア吹き装置によって吹き付けられエアによって、被印刷物に転写されるまでに半固化状態、すなわち生乾き状態になるため、被印刷物に転写するときに所望のインキの粘着力が得られる。このため、インキの被印刷物への接着力が向上することにより、インキの被印刷物への転写が的確になるから、転写不良が低減され印刷品質が向上する。特に、インキ自体の粘性が高くかつ重量がある銀ペーストが含有されているインキを使用した場合や、絶縁基板やガラスあるいは金属板等の相対的に固い材料によって形成された被印刷物において印刷品質が向上する。

前記発明のうちの一つの発明によれば、第２のインキ乾燥防止用カバーによって、ブランケット胴の周面に受け渡されるインキの乾燥をより一層防止することができる。

本発明に係るグラビアオフセット印刷機の要部を示す側面図である。

以下、本発明の実施の形態を図１に基づいて説明する。

図１において、１はインキが充填される凹部１ａが周面に設けられたグラビア版胴であって、充填位置Ｄ点においてインキ供給装置１５から周面に供給されたインキ２は、ブレードとしてのドクターブレード３によって凹部１ａ内に充填されるとともに、周面に付着した余分なインキが掻き取られる。

４は表面エネルギーが低い材料であるシリコーン製のブランケット胴であって、グラビア版胴１に対接する受け渡し位置Ａ点においてグラビア版胴１の凹部１ａからインキ２が受け渡される。

５はブランケット胴４に対向する圧胴であって、ブランケット胴４との間に供給される被印刷物６に、圧胴５がブランケット胴４に対向する転写位置Ｂ点においてブランケット胴４からインキが転写される。

これらグラビア版胴１、ブランケット胴４および圧胴５は、共に同じ径によって形成されている。また、グラビア版胴１は図中反時計方向に、ブランケット胴４は図中時計方向に、圧胴５は図中反時計方向に、共に同じ回転速度によって回転する。

次に、本発明の特徴である第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂおよび第２のインキ乾燥防止用カバー８ならびにエア吹きノズル９について説明する。

第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂは、図１に示すように断面が共にグラビア版胴１の曲率半径よりもやや大きい曲率半径を有する円弧状で、幅方向の寸法がグラビア版胴１の軸線方向の全長よりもやや長く形成されている。これら第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂは、ドクターブレード３およびインキ供給装置１５ならびにブランケット胴４と対接する受け渡し位置Ａ点の近傍を除くグラビア版胴１の周面全体を囲い、かつグラビア版胴１の周面からわずかな間隔を隔てるように、ブラケットを介して左右のフレーム（いずれも図示せず）に両端面が突き当てられるように取り付けられている。

すなわち、第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａは、グラビア版胴１の周面であって、凹部１ａにインキ２を充填する充填位置Ｄ点の近傍から凹部１ａのインキ２をブランケット胴４に受け渡す受け渡し位置Ａ点の近傍までの部位を囲っている。また、第１のインキ乾燥防止用カバー７Ｂは、グラビア版胴１の周面であって、凹部１ａのインキ２をブランケット胴４に受け渡す受け渡し位置Ａ点の近傍から凹部１ａにインキ２を充填する充填位置Ｄ点の近傍のインキ供給装置１５を除く部位までを囲っている。

第２のインキ乾燥防止用カバー８は、断面が略矩形状を呈しており、底部９にブランケット胴４の周面の一部を囲う湾曲部９Ａ，９Ｂが設けられている。この第２のインキ乾燥防止用カバー８は、第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂおよびグラビア版胴１全体を囲うように、ブラケットを介して左右のフレーム（いずれも図示せず）に両端面が突き当てられるように取り付けられている。

また、第２のインキ乾燥防止用カバー８は、一方の湾曲部９Ａが、ブランケット胴４の周面であって、グラビア版胴１からインキが受け渡される受け渡し位置Ａ点から後述するエアノズル１０によってエアが吹き付けられるエア吹き位置Ｃ点までの部位を囲い、他方の湾曲部９Ｂが、ブランケット胴４の周面であって、受け渡し位置Ａ点からブランケット胴４の回転方向の上流側の部位を囲っている。

エア吹き装置としてのエアノズル１０は、エア供給ホース１１を介して図示を省略したエア供給源からエアが供給され、この供給されたエア１２がブランケット胴４の周面のエア吹き位置Ｃ点においてブランケット胴４の軸線方向の全体に吹き付けられる。このエア吹き位置Ｃ点は、ブランケット胴４の周面であって被印刷物６にインキ２を転写する転写位置Ｂ点からブランケット胴４の回転方向の上流側の部位に位置している。

すなわち、このエア吹き位置Ｃ点は、ブランケット胴４の周面であって、転写位置Ｂ点と第２のインキ乾燥防止用カバー８の湾曲部９Ａによって覆われている部位との間に位置している。このエアノズル１０からブランケット胴４に吹き付けられるエアによって、グラビア版胴１から受け渡し位置Ａ点においてブランケット胴４に受け渡されたインキ２が、転写位置Ｂ点において被印刷物６に転写されるときに、半固化状態、すなわち生乾き状態となるように乾燥される。

また、このエアノズル１０は、ブランケット胴４の周面にエアを吹き付ける実線で示す位置と、エアノズル１０からのエア１２がブランケット胴４の周面に吹き付けられることがない二点鎖線で示す位置との間を揺動可能に支持されている。

次に、図１を用いて、このように構成されたグラビアオフセット印刷機における印刷動作について説明する。

先ず、インキ供給装置１５からグラビア版胴１の周面に銀ペーストが含有されたインキ２が供給されることにより、図１に示すようにインキ２はドクターブレード３によって凹部１ａ内に充填されるとともに、グラビア版胴１の周面に付着した余分なインキが掻き取られる。凹部１ａ内に充填されたインキ２は、受け渡し位置Ａ点においてブランケット胴４へ受け渡される。

凹部１ａ内にインキ２が充填される充填位置Ｄ点からブランケット胴４にインキが受け渡される受け渡し位置Ａ点までの間は、第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａによってグラビア版胴１の周面が囲われていることにより、充填位置Ｄ点から受け渡し位置Ａ点までの移動で凹部１ａ内に充填されているインキ２の乾燥が防止される。

すなわち、第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａがグラビア版胴１の周面からわずかな間隔を隔てるようにしてグラビア版胴１の周面を囲っているため、グラビア版胴１の凹部１ａに充填されたインキ２は、溶剤が揮発するが、揮発した溶剤はグラビア版胴１の外周面と第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａの内周面との間で存在している。換言すれば、揮発した溶剤剤がどこかに飛んでいっているのではなく、グラビア版胴１の外周面と第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａの内周面との間での溶剤密度は高くなっているため、溶剤が揮発することによるインキ２の乾燥が防止される。このため、充填位置Ｄ点において凹部１ａ内に充填されたインキ２の量が受け渡し位置Ａ点において減ることがないから、所定の量のインキがブランケット胴４の周面に受け渡される。

また、第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂを含むグラビア版胴１全体を囲う第２のインキ乾燥防止用カバー８を備えていることにより、凹部１ａ内に充填されたインキ２の乾燥がより一層防止される。

同時に、第１のインキ乾燥防止用カバー７Ａ，７Ｂによって囲うことができなかったドクターブレード３およびインキ供給装置１５ならびにブランケット胴４と対接する受け渡し位置Ａ点の近傍をこの第２のインキ乾燥防止用カバー８によって囲うことができるため、これらの部位におけるインキの乾燥を防止することもできる。

受け渡し位置Ａ点においてブランケット胴４の周面に受け渡されたインキ２は、ブランケット胴４が転写位置Ｂ点に移動する間に、エア吹き位置Ｃ点において、エアノズル１０から吹き付けられるエア１２によって半固化状態、すなわち生乾き状態となりインキ２自体の凝集力が向上するため、被印刷物６に転写する際の所望のインキ２の粘着力が得られる。したがって、転写位置Ｂ点においてブランケット胴４から被印刷物６に転写されるインキによって、精度の高い画線部を形成することができるから高精度の印刷を行うことができる。すなわち、インキ２の被印刷物６への接着力が向上することにより、インキ２の被印刷物６への転写が的確になるから、転写不良が低減され印刷品質が向上する。特に、インキ自体の粘性が高くかつ重量がある銀ペーストが含有されているインキを使用した場合や、絶縁基板やガラスあるいは金属板等の相対的に固い材料によって形成された被印刷物において印刷品質が向上する。

また、受け渡し位置Ａ点からエア吹き位置Ｃ点においてブランケット胴４に吸収されたインキ２の溶剤が、エア吹き位置Ｃ点においてエアノズル１０から吹き付けられるエア１２によって乾燥されるため、ブランケット胴４の膨潤も防止することができる。

なお、本実施の形態においては、ブランケット胴４をシリコーン製としたが、表面にシリコーンブランケットが巻かれている、またはシリコーン膜が形成されている等、グラビア版胴１からインキ２が受け渡されている部位が少なくともシリコーンによって形成されていればよい。また、シリコーンだけではなく、ＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）やＰＶＤＦ（ポリフッ化ビニリデン）でもよく、要は表面エネルギーが低く、離型性がよいものであればよい。また、本実施の形態においては、導電性を有するインキを使用した例を説明したが、これに限定されず、導電性を必要としないインキにも適用できることは勿論である。

１…グラビア版胴、１ａ…凹部、２…インキ、３…ドクターブレード（ブレード）、４…ブランケット胴、５…圧胴、６…被印刷物、７Ａ，７Ｂ…第１のインキ乾燥防止用カバー、８…第２のインキ乾燥防止用カバー、１０…エアノズル（エア吹き装置）、１２…エア。

Claims (4)

1. インキが充填される凹部が周面に設けられたグラビア版胴と、このグラビア版胴の凹部からインキが受け渡されるブランケット胴と、このブランケット胴に対向する圧胴とを備え、前記圧胴と前記ブランケット胴との間を通過する被印刷物に対して印刷を行うグラビアオフセット印刷機において、
   前記ブランケット胴の少なくとも表面を表面エネルギーが低い材料によって形成し、
   前記グラビア版胴の周面であって、前記凹部にインキを充填する充填位置から凹部のインキを前記ブランケット胴に受け渡す受け渡し位置までの間を囲う第１のインキ乾燥防止用カバーと、
   前記ブランケット胴の周面であって、前記受け渡し位置から前記ブランケット胴から前記被印刷物へインキを転写する転写位置までの間におけるインキにエアを吹き付けるエア吹き装置と、
   を備えたことを特徴とするグラビアオフセット印刷機。
2. 前記第１のインキ乾燥防止用カバーおよび前記グラビア版胴を囲う第２のインキ乾燥防止用カバーを備えたことを特徴とする請求項１記載のグラビアオフセット印刷機。
3. 前記ブランケット胴の少なくとも表面をシリコーンによって形成したことを特徴とする請求項１記載のグラビアオフセット印刷機。
4. 前記インキには銀ペーストが含有されていることを特徴とする請求項１ないし３のいずれか一項記載のグラビアオフセット印刷機。

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