JP2011229481A - シガレット用フィルタおよびフィルタ付きシガレット - Google Patents

シガレット用フィルタおよびフィルタ付きシガレット Download PDF

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Abstract

【課題】メントールのような揮発性香料をタバコ充填材に比較的多量に添加しても、シガレットロッドの巻紙にシミを多く発生させないシガレット用フィルタ、およびかかるフィルタを備えたフィルタ付きシガレットを提供すること。
【解決手段】第1のフィルタセグメント(110)と、第2のフィルタセグメント(120)を備え、前記第1のフィルタセグメントは、水溶性グルカン膜により覆われた活性炭(112)が分散されたフィルタ素材(111)を含み、前記第2のフィルタセグメントは、1種またはそれ以上の香料からなる香気発生剤を担持した少なくとも1本の糸(122)が挿通されたフィルタ素材(121)を含むことを特徴とするシガレット用フィルタ。
【選択図】図1

Description

本発明はシガレット用フィルタおよびそのフィルタを有するフィルタ付きシガレットに関する。
多くのシガレットには、シガレットの喫味を緩和するために、フィルタが取り付けられている。そして、現在市販されているシガレットのフィルタの多くには、活性炭が含まれている。活性炭は、シガレット主流煙の成分を効果的に収着するが、シガレットに含まれるメントール等の揮発性の香料成分をも収着してしまう。そのため、シガレットは、パッケージ内に収容されて保管されていても、活性炭による収着により、喫煙したときの主流煙中への揮発性香料のデリバリー量が、保管期間が長くなるにつれて減少する傾向にある。
この問題を解決するために、特許文献1は、活性炭を水溶性グルカン膜で覆ったシガレット主流煙成分吸着剤を開示する。このシガレット主流煙成分吸着剤では、活性炭が気密性の高いグルカン膜により被覆されているため、シガレットの保管中に、シガレットに含まれる香料が活性炭により収着されることを抑制できる。その結果、喫煙前にシガレット中にデリバリー可能な香料成分の総量が減少せず、主流煙に香料を比較的高い割合でデリバリーすることが可能となる。そして、例えば繰り返される喫煙時に発生したシガレット主流煙と接触した際に、初めて、タバコ主流煙中の主に高極性成分(水分等)によりグルカン膜が一部溶解・剥離し、活性炭の本来の収着機能が発揮され、シガレット主流煙中のガス成分が吸着される。
特許文献1には、グルカン膜により覆われた活性炭を含むシガレット主流煙成分吸着剤を含有するフィルタを備えたシガレットも開示されている。その一例のフィルタ付きシガレットは、上記グルカン膜で覆われた活性炭が分散されたセルロースアセテート繊維のトウを含む第1のフィルタセグメントと、第1のフィルタセグメントの下流に配置され、セルロースアセテート繊維のトウを含む第2のフィルタセグメントからなるフィルタを、タバコ刻等のタバコ充填材のロッドとこれを巻装する巻紙からなるシガレットロッドの一端に備える。メントールは、シガレットロッドのタバコ充填材に添加されている。第2のフィルタセグメントにもメントールを添加することができるであろう。
国際公開WO2009/116417号
喫煙者のシガレットに対する要求は多岐にわたっている。その要求の一つに、メントール喫味を増強させるということがある。しかしながら、上記特許文献1に記載のフィルタ付きシガレットにおいて、メントール喫味を増強させるために、タバコ刻に添加するメントールの量を増加させると、シガレットの保存中に、シガレットロッドの巻紙に、タバコ充填材に含まれる色素が原因と思われる茶色のシミの発生が多くなることが本発明者らにより見いだされた。
従って、本発明は、メントールのような揮発性香料をタバコ充填材に比較的多量に添加しても、シガレットロッドの巻紙にシミを多く発生させないシガレット用フィルタ、およびかかるフィルタを備えたフィルタ付きシガレットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の側面によれば、第1のフィルタセグメントと、第2のフィルタセグメントを備え、前記第1のフィルタセグメントは、水溶性グルカン膜により覆われた活性炭が分散されたフィルタ素材を含み、前記第2のフィルタセグメントは、1種またはそれ以上の香料からなる香気発生剤を担持した糸が挿通されたフィルタ素材を含むことを特徴とするシガレット用フィルタが提供される。
また、本発明の第2の側面によれば、タバコ充填材のロッドと前記タバコ充填材ロッドを包む巻紙とを備え、かつ香気発生剤を担持するシガレットロッド、および前記シガレットロッドの一端に接続されたフィルタを具備し、前記フィルタは、本発明のフィルタからなり、前記シガレットロッドに担持された香気発生剤は、前記第2のフィルタセグメントに含まれる香気発生剤に含まれる香料と同じ1種またはそれ以上の香料を含むことを特徴とするフィルタ付きシガレットが提供される。
本発明は、メントールのような揮発性香料をタバコ充填材に比較的多量に添加しても、シガレットロッドの巻紙にシミを多く発生させない。
本発明の1つの態様に係るシガレット用フィルタの概略断面図である。 本発明の1つの態様に係るフィルタ付きシガレットの概略断面図である。
以下、本発明の種々の態様について、詳細に説明する。
本発明の1つの態様に係るシガレット用フィルタは、第1のフィルタセグメントと、第2のフィルタセグメントを備える。第1のフィルタセグメントは、水溶性グルカン膜により覆われた活性炭(粒子の形態にある)が分散されたフィルタ素材を含み、第2のフィルタセグメントは、1種またはそれ以上の香料からなる香気発生剤を担持した糸が挿通されたフィルタ素材を含む。第1のフィルタセグメントと第2のフィルタセグメントは、いずれも、通常、円柱状であり、同じ直径を有する。
シガレット用フィルタをシガレットロッドに取り付けたとき、第1のフィルタセグメントと第2のフィルタセグメントは、シガレットロッドの軸に沿って配置される。1つの態様において、第1のフィルタセグメントは、第2のフィルタセグメントの下流に接続され、別の態様では、第1のフィルタセグメントは、第2のフィルタセグメントの上流に接続される。ここで、下流、上流とは、シガレットを喫煙したときの主流煙の流れ方向に対していうものである。
第1のフィルタセグメントおよび第2のフィルタセグメントに含まれるフィルタ素材は、通常のシガレット用フィルタに使用されるフィルタ素材である。例えば、セルロースアセテート繊維のトウを用いることができる。セルロースアセテート繊維の束は、トリアセチンで処理することにより結束させることができる。
第1のフィルタセグメントに含まれる活性炭(粒子の形態にある)は、その表面が水溶性グルカン膜により被覆されている。これら被覆活性炭は、その製造法も含めて、前記特許文献1に開示されている。未被覆状態の活性炭としては、微細孔(直径10〜200Å)を持つ球状、粉末状のものを用いることができる。活性炭は、平均粒径が75〜1000μmのものを好適に使用することができる。1つの態様において、250μm以上で1mm未満の粒径を有する活性炭が用いられる。活性炭の比表面積は、BET法で測定して、好ましくは800〜2000m2/gであり、より好ましくは1000〜1200m2/gである。
活性炭の表面を覆う水溶性グルカン膜は、例えば、プルラン、マルトデキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース等により構成され得る。グルカン膜には、グルカン膜を柔軟にさせるために、ゼラチン等の蛋白質、カラギーナン、ジェランガム、ローストビーンガム、アラビアガム等のガム質糖類、単糖、糖アルコール、セルロース誘導体、グリセリン、ポリエチレングリコール等のポリオールを含有することができる。そのような膜柔軟化剤は、グルカンの重量の0.1%〜3%の量で用いることができる。さらに、グルカン膜は、活性炭の黒色を隠蔽し、吸着剤の美観を向上させるために、黒色着色料以外の着色料を含有することができる。そのような着色料の例を挙げると、アナトー色素等の水溶性色素や炭酸カルシウム等である。着色料は、グルカンを当該着色料の色に着色するに十分な量で用いられ、例えば、使用するグルカンの重量の0.1%〜1%の割合で用いることができる。
1つの態様において、被覆活性炭は、香料フリーである(すなわち、活性炭自体にも、グルカン膜自体にも香料が含まれない)。
グルカン膜の厚さに特に制限はないが、喫煙時のグルカン膜の崩壊性の観点から、最終被覆活性炭の重量の0.1%〜10%に相当する量のグルカンを用いてグルカン膜を形成することが好ましい。
上記グルカン膜被覆活性炭は、シガレットの非喫煙時(保管中等)には、活性炭が気密性の高いグルカン膜により被覆されているため、活性炭の吸着作用は実質的に発現しない。しかし、例えば繰り返される喫煙時に発生したタバコ主流煙と接触した際に、初めて、タバコ主流煙中の主に高極性成分(水分等)によりグルカン膜が一部溶解・剥離し、活性炭の本来の吸着機能が発揮され、シガレット主流煙中のガス成分が吸着される。
第1のフィルタセグメントは、7〜17mmの長さ、および5.0mm〜8.5mmの直径を有し得る。第1のフィルタセグメントは、前記被覆活性炭を、好ましくは10〜65mg、より好ましくは25〜60mgの量で含有し得る。
第2のフィルタセグメントには、1種またはそれ以上の香料からなる香気発生剤を担持した糸が挿通されている。かかる香料には、例えば、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2−アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス−アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3−ブタンジオン、2−ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β−カロテン、ニンジンジュース、L−カルボン、β−カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミル油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL−シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ−デカラクトン、γ−デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジヒドロフラン−2−オン、3,7−ジメチル−6−オクテン酸、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2−エチル−3,(5または6)−ジメチルピラジン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、2−エチル−3−メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ−ヘプタラクトン、γ−ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス−3−ヘキセン−1−オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4−ヒドロキシ−3−ペンテン酸ラクトン、4−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシ−1−ブテニル)−3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−(パラ−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、4−ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β−イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、L−メントール、メントン、酢酸L−メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル2−ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’−メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3−メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ−ノナラクトン、ナツメグ油、δ−オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω−ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3−プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α−テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9−テトラメチル−13−オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2−トリデカノン、クエン酸トリエチル、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)2−ブテン−4−オン、2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1,4−ジオン、4−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエニル)2−ブテン−4−オン、2,3,5−トリメチルピラジン、γ−ウンデカラクトン、γ−バレロラクトン、バニラエキス、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート等の揮発性香料が含まれる。これら香料は、単独で、または混合して使用することができる。通常、香気発生剤は、メントール(特にl−メントール)からなる。香料を糸に担持させるために、香料をポリプロピレングリコール等の溶媒に溶かすことができる。
香気発生剤を担持する糸は、材質に特に制限はないが、通常、綿糸が用いられる。綿糸の太さは、イギリス式番手表示で20/8以上であることが好ましい。例えば、20番手の綿糸を8本以上撚り合わせた糸を用いることができる。糸は、白色以外の色に着色することができる。
香気発生剤を担持した糸を挿通したフィルタセグメント(第2のフィルタセグメント)の作製方法は、それ自体公知であり、例えば、特公昭63−38187号公報に記載されている。
第2のフィルタセグメントは、第1のフィルタセグメントと同じ直径を有し、長さは、通常、8〜23mmである。糸の長さは、第2のフィルタセグメントの長さ(中心軸方向の長さ)と同じであり得る。糸に担持される香気発生剤の量は、通常、1〜17mg、好ましくは5〜13mgであり得る。
本発明のフィルタ付きシガレットは、タバコ充填材のロッドとこのタバコ充填材ロッドを包む巻紙とを含む通常円柱状のシガレットロッドを備え、シガレットロッドの一端に上記本発明のシガレット用フィルタが接続されている。シガレットロッドは、香気発生剤を担持する。シガレットロッドに担持される香気発生剤は、1種またはそれ以上の香料からなるが、上記第2のフィルタセグメントに含まれる糸に担持された香気発生剤に含まれる香料と同じ1種またはそれ以上の香料を含む。シガレットロッドにより担持される香気発生剤は、上記第2のフィルタセグメントに含まれる糸に担持された香気発生剤に含まれる香料と同じ1種またはそれ以上の香料を含んでいればよく、上記第2のフィルタセグメントに含まれる糸に担持された香気発生剤に含まれる香料以外の香料を含んでいてもよい。
シガレットロッドを構成するタバコ充填材は、タバコ除骨葉刻からなり得るが、これにタバコ中骨刻、再構成タバコ刻等を配合することもできる。タバコ充填材を包んでシガレットロッドを提供する巻紙は、通常のシガレットに用いられる巻紙と異なるところはなく、例えば亜麻パルプから構成することができる。
シガレットロッドに担持される香気発生剤は、通常、タバコ充填材に添加されている。シガレットロッドに担持される香気発生剤の量は、第2のフィルタセグメントに含まれる糸に担持される香気発生剤の量よりも少ないことが好ましく、通常、1〜13mgの範囲内に、好ましくは、1〜9mgの範囲内にある。
シガレットロッドは、フィルタと同じ直径を有し、長さは、通常、53〜69mmである。
シガレットロッドと、フィルタは、チップペーパーにより接続され、チップペーパーには、ベンチレーション孔を穿設することができる。
本発明のフィルタ付きシガレットは、通常のシガレット(フィルタ付きシガレットを含む)と同様その所定本数がパッケージ内に収容される。パッケージは、いわゆるハードパッケージであっても、ソフトパッケージであってもよい。いずれのパッケージにおいても、所定本数(通常20本または10本)のシガレットが、アルミニウム箔で裏打ちされた紙シートからなる内側パックにより直接包装され、これが外側パック内に収容される。ハードパッケージの外側パックは、ヒンジ蓋型のボックスから構成される。内側パックを構成する紙シートには、第2のフィルタセグメントに挿通される糸に担持された香気発生剤と同じ香気発生剤を担持させることができる。
次に、図面を参照して、本発明の態様を説明する。全図にわたって、同様の要素は、同じ符号で示されている。
図1は、本発明の1つの態様に係るシガレット用フィルタ10を示す概略断面図である。シガレット用フィルタ10は、2つの端面110aおよび110bを有する円柱状の第1のフィルタセグメント110と、2つの端面120aおよび120bを有する円柱状の第2のフィルタセグメント120とを備える。
第1のフィルタセグメント110は、グルカン膜被覆活性炭112が分散されているフィルタ素材111を含む。フィルタ素材111およびグルカン膜被覆活性炭112は、上に詳述した通りのものである。第1のフィルタセグメントのサイズも上に記載した通りである。第1のフィルタセグメントにおいて、グルカン膜被覆活性炭112が分散されているフィルタ素材111からなる第1のフィルタセグメント本体は、その外周が個別成形紙(薄葉紙)113により過不足なく包まれている。
第2のフィルタセグメント120は、香気発生剤を担持した糸122(図1では1本の糸)が挿通されたフィルタ素材121を含む。香気発生剤を担持した糸122は、フィルタセグメント120の中央でフィルタセグメント120の中心軸に沿って延びるように配置されている。フィルタ素材121および香気発生剤を担持した糸122は、それぞれ、上に詳述した通りのものである。第2のフィルタセグメントのサイズも上に記載した通りである。第2のフィルタセグメントにおいて、香気発生剤を担持した糸122が挿通されたフィルタ素材121からなる第2のフィルタセグメント本体は、その外周が個別成形紙(薄葉紙)123により過不足なく包まれている。
第1のフィルタセグメント110の一方の端面110bと第2のフィルタセグメント120の一方の端面120aが互いに当接し、両セグメントの外周が共通の成形紙130により包まれている。
なお、図1のシガレット用フィルタは、第1のフィルタセグメント110と第2のフィルタセグメント12からなるダブルセグメントフィルタであるが、他のフィルタセグメント、例えばプレーンフィルタセグメントをさらに設けることもできる。
図2は、本発明の1つの態様に係るフィルタ付きシガレット20を拡大して示す概略斜視図である。
フィルタ付きシガレット20は、タバコ充填材211を円柱状ロッドの形態で包む巻紙212からなるシガレットロッド210を備える。タバコ充填材211には、第2のフィルタセグメント120に組み込まれた糸122に担持された香気発生剤に含まれる香料と同じ1種またはそれ以上の香料を含む香気発生剤が添加されている。タバコ充填材211、巻紙212および香気発生剤は、上に詳述した通りのものである。
シガレットロッド210の一端には、図1を参照して説明した第1のフィルタセグメント110と第2のフィルタセグメント120からなるフィルタ10が、チップペーパー220により接続されている。チップペーペー220には、第2のフィルタセグメント120の領域に対応する領域内で第1のフィルタセグメント110に比較的近い位置に多数のベンチレーション孔220aが穿設されている。
なお、図2のフィルタ付きシガレットでは、第1のフィルタセグメント110をシガレットロッド210の端に直接接続し、第2のフィルタセグメント120を第1のフィルタセグメント110の下流に設けたが、第2のフィルタセグメント120をシガレットロッド210の端に直接接続し、第1のフィルタセグメント110を第2のフィルタセグメント120の下流に設けることもできる。
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明は、それら実施例により限定されるものではない。
実施例1
<被覆活性炭の調製>
通常のチャコールフィルタに用いられているヤシ殻活性炭(BET比表面積:1000m2/g)を振動篩にかけ、粒径が250μm以上で1mm未満のものを獲得した。この活性炭粒子15kgを転動流動造粒乾燥機(フロイント産業(株)製SFC−15型)に入れ、攪拌翼を約200rpmで回転させ、70〜80℃の温風を1.0〜2.0m/秒の流速で吹き込み、活性炭粒子の流動層を形成した。攪拌を続け、流動層を維持しながら、そこに、プルランの5重量%濃度の水分散液を130〜150g/分で噴霧した。こうして、合計15kgのプルラン水分散液を活性炭粒子表面に噴霧し、乾燥した。その後、活性炭粒子を50〜70℃の温風により3〜5分間乾燥し、所望の被覆活性炭14.7kgを得た。得られた被覆活性炭について、活性炭の表面に塗布されたプルランを定量したところ、4.5重量%のプルラン膜を有することがわかった。
<第1のフィルタセグメントの作製>
フィルタ素材としてセルロースアセテート繊維を用い、上で調製した被覆活性炭を分散させた第1のフィルタセグメントを作製した。作製した第1のフィルタセグメントの円周長は24.9mmであり、長さは10mmであった。この第1のフィルタセグメントは、35mgの被覆活性炭を含んでいた。
<第2のフィルタセグメントの作製>
フィルタ素材としてセルロースアセテート繊維を用い、糸として漂白綿糸(太さ:イギリス式番手表示で20/8)、香気発生剤としてメントールを用い、上記公知の方法により、第2のフィルタセグメントを作製した。綿糸には、6mgのメントールを担持させた。作製した第2のフィルタセグメントの円周長は24.9mmであり、長さは15mmであった。
<フィルタ付きシガレットの作製>
通常のタバコ充填材(メントール添加)、巻紙、チップペーパーおよび上で作製した第1および第2のフィルタセグメントを用い、図2に示す構造を有するフィルタ付きシガレットを作製した。シガレットロッドの円周長は24.9mmであり、長さは59mmであった。また、チップペーパーの、第2のフィルタセグメント(120)の端面120bからの長さは32mmであり、そしてチップペーパーには、第2のフィルタセグメント(120)の端面120bから14mmの位置に多数のベンチレーション孔を設けた。作製したフィルタ付きシガレットのタバコ充填材は、4mgのメントールを含んでいた。すなわち、作製したフィルタ付きシガレットは、合計で、(6+4=)10mgのメントールを担持していた。
比較例1
タバコ充填材に添加したメントール量を6mgに変更し、メントール担持糸を組み込んだ第2のフィルタセグメントの代わりにメントール3mgを添加したセルロースアセテート繊維トウからなるフィルタを用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルタ付きシガレットを作製した。このフィルタシガレットは、合計で、実施例1のフィルタ付きシガレットより少ない(6+3=)9mgのメントールを担持していた。
<シミ発生割合の調査>
実施例1または比較例1で作製したフィルタ付きシガレット20本を市販のハードパッケージに入れた。このハードパッケージの内側パック(アルミニウム裏打ち紙)には80mg(シガレット1本当たり4mg)のメントールを担持させた。このパッケージ40個を、温度22℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽内で1ヶ月間保存した。保存後、各パッケージを開封し、シガレットを取り出し、合計800本のシガレットに発生したシミについて以下の基準で目視調査した。
基準A:最大長さが1mmより大きく、かつ3mm以下のシミが5個以上あるシガレット;基準B:最大長さが3mmより大きいシミが1個以上あるシガレット。
上記基準A,Bのいずれかもしくは双方に該当するシガレットの本数を数え、それを800で除してシミ発生シガレットの割合として%で示した。結果を以下に示す。
<シミ発生シガレットの割合>
実施例1:20.5%
比較例1:41.5%。
この結果から分かるように、本発明のフィルタ付きシガレットは、メントールの担持量を増加させても、巻紙上のシミの発生が大幅に低減されている。いうまでもなく、実施例1のフィルタ付きシガレットのメントール喫味は、比較例1のフィルタ付きシガレットのメントール喫味より強かった。
10…シガレット用フィルタ、110…第1のフィルタセグメント、111,121…フィルタ素材、112…グルカン膜被覆活性炭、122…香気発生剤担持糸、113,123…個別成形紙、130…共通成形紙、20…フィルタ付きシガレット、210…シガレットロッド、211…タバコ充填材、212…巻紙、220…チップペーパー、220a…ベンチレーション孔

Claims (9)

  1. 第1のフィルタセグメントと、第2のフィルタセグメントを備え、前記第1のフィルタセグメントは、水溶性グルカン膜により覆われた活性炭が分散されたフィルタ素材を含み、前記第2のフィルタセグメントは、1種またはそれ以上の香料からなる香気発生剤を担持した少なくとも1本の糸が挿通されたフィルタ素材を含むことを特徴とするシガレット用フィルタ。
  2. 前記香気発生剤が、メントールからなることを特徴とする請求項1に記載のシガレット用フィルタ。
  3. 前記グルカン膜が、プルランにより構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のシガレット用フィルタ。
  4. 前記糸が、白色以外の色に着色されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシガレット用フィルタ。
  5. 前記糸が、綿糸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシガレット用フィルタ。
  6. 前記綿糸が、イギリス式番手表示で20/8以上の太さを有することを特徴とする請求項5に記載のシガレット用フィルタ。
  7. 前記第2のフィルタセグメントが、前記第1のフィルタセグメントの下流に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のシガレット用フィルタ。
  8. タバコ充填材のロッドと前記タバコ充填材ロッドを包む巻紙とを備え、かつ香気発生剤を担持するシガレットロッド、および前記シガレットロッドの一端に接続されたフィルタを具備し、前記フィルタは、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルタからなり、前記シガレットロッドに担持された香気発生剤は、前記第2のフィルタセグメントに含まれる香気発生剤に含まれる香料と同じ1種またはそれ以上の香料を含むことを特徴とするフィルタ付きシガレット。
  9. 前記シガレットロッドに担持された香気発生剤が、前記タバコ充填材に含まれていることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ付きシガレット。
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