JP7313437B2 - 非燃焼加熱式たばこ及び電気加熱式たばこ製品 - Google Patents
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Description
電気加熱式たばこ製品を使用する際には、前記ヒーター部材が刺突するように前記非燃焼加熱式たばこを電気加熱式デバイスに挿入する。そしてヒーター部材を発熱させることにより、該ヒーター部材に接触する箇所を起点としてたばこロッドが内部から加熱され、たばこロッドが含むエアロゾル生成基材とともに、香喫味成分が使用者にデリバリーされる。
上記のように、電気加熱式たばこ製品の使用時に、使用者は、前記ヒーター部材に刺突するように非燃焼加熱式たばこを電気加熱式デバイスに挿入する。その際、ヒーター部材が非燃焼加熱式たばこのたばこロッドに刺突することで、たばこロッドを構成するたばこ刻みが、ヒーター部材の周囲に広がる方向、言い換えると、たばこロッドを巻装する巻紙に押し付けられる方向に圧力を受ける。これにより、たばこロッドを構成するたばこ刻みとエアロゾル生成基材とが巻紙に押し付けられることになり、巻紙へのエアロゾル生成基材の浸潤がより起こりやすい状況が形成される。たばこロッドの巻紙にたばこ刻みが押つけられる状態は、使用者がたばこロッドをヒータ部材に刺突させる動作の違いによって様々な程度となり、より強くたばこ刻みが巻紙に押し付けられた場合はエアロゾル生成基材の巻紙への湿潤が多くなる傾向がある。
このような状況を形成することなく、エアロゾル生成基材が巻紙に浸潤せず、外観が良好に保たれていると共に、加熱時のエアロゾルのデリバリー量を十分に確保できる非燃焼加熱式たばこが求められている。
そこで本発明では、エアロゾル生成基材が巻紙に浸潤せず、外観が良好に保たれていると共に、加熱時のエアロゾルのデリバリー量を十分に確保できる非燃焼加熱式たばこの提供を課題とする。
これに対して、本発明では、略均一に充填されたたばこ刻みからたばこ充填物を構成するのではなく、ヒーター部材が刺突したときに抵抗が小さくなるように、かつ、使用者によるたばこロッドのヒータ部材への刺突動作のばらつきに関係なくたばこロッドの所定位置にヒータ部材が刺突するように、たばこ充填物の充填態様を変更した。具体的には、たばこロッドの先端面に開口する開口部を設けた。
これにより、電気加熱式デバイスに非燃焼加熱式たばこを挿入した際に、たばこ充填物を構成するたばこ刻みとエアロゾル生成基材とが、巻紙に押し付けられることを極力防ぐことができ、巻紙へのエアロゾル生成基材の浸潤の機会を減らすことができることが分かった。
さらに、本発明者は、非燃焼加熱式たばこを構成するたばこ刻みを含むたばこ充填物を巻装する巻紙にも着目した。具体的には、巻紙の2つの表面のうち、少なくともたばこ充填物に接する表面(単に充填物接触面ともいう)にコーティング剤を添加することを考案した。巻紙の少なくとも充填物接触面にコーティング剤を添加することで、たばこ充填物に含まれるエアロゾル生成基材が巻紙に接触しても、それが巻紙に浸潤することを防ぐことができ、たばこロッドの外部にエアロゾル生成基材が漏出することを防止できることが分かった。
本発明の課題は、電気加熱式デバイスにより加熱される非燃焼加熱式たばこに特有のものであり、従来の喫煙物品(シガレット等)では生じなかった課題である。
[1] たばこ刻みとエアロゾル生成基材とを含むたばこ充填物が、該たばこ充填物を巻装する巻紙で巻装されてなるたばこロッドを有する非燃焼加熱式たばこであって、
前記たばこロッドは、該たばこロッドの先端面側に開口すると共に該たばこロッドの軸方向に沿って存在する開口部を有し、
前記巻紙の少なくとも前記たばこ充填物と接触する面に、コーティング剤が添加されている、非燃焼加熱式たばこ。
[2] 前記開口部が非貫通の陥凹部であり、該非貫通の陥凹部の形状が、非貫通の円筒形、または、たばこロッドの先端面から後端側に向かって縮径する円錐形もしくは円錐台形である、[1]に記載の非燃焼加熱式たばこ。
[3] 前記陥凹部の周囲に、硬化層を有する、[2]に記載の非燃焼加熱式たばこ。
[4] 前記充填物が複数のたばこシートから構成され、該複数のたばこシートは、長手方向に延在するとともに、該長手方向軸を中心として同心状に配置されており、該長手方向軸と、最内層のたばこシートとの間に、前記開口部として長手方向に延在する貫通口を有する、[1]に記載の非燃焼加熱式たばこ。
[5] 前記たばこロッドとは反対側の端部を構成するマウスピース部をさらに有する、[1]~[4]のいずれかに記載の非燃焼加熱式たばこ。
[6] 前記コーティング剤が、ニトロセルロースを含む、[1]~[5]のいずれかに記載の非燃焼加熱式たばこ。
[7] ヒーター部材と、該ヒーター部材の電力源となる電池ユニットと、該ヒーター部材を制御するための制御ユニットとを備える電気加熱式デバイスと、該ヒーター部材に接触するように挿入される、[1]~[6]のいずれかに記載の非燃焼加熱式たばこと、から構成される、電気加熱式たばこ製品。
本明細書において、「非燃焼加熱式たばこ用の巻紙」とは、後述する非燃焼加熱式たばこに用いられる巻紙である。以下、単に本発明の実施形態にかかる巻紙ともいう。本発明の実施形態にかかる巻紙の用途について、「非燃焼加熱式たばこ用」とは、たばこ刻みを含むたばこ充填物を巻装してたばこロッドを作製するために用いられたり、たばこロッドに隣接する部材を連結するために、それらの外周面を巻装するために用いられることを意味する。
パルプの種類としては、クラフト蒸解法、酸性・中性・アルカリ亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用できる。
上記の特性を有する巻紙の厚みは、特に限定されず、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、通常10μm以上であり、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、また、通常100μm以下であり、好ましくは75μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。
非燃焼加熱式たばこ用の巻紙として、その形状は正方形又は長方形を挙げることができる。たばこ充填物を巻装するため(たばこロッドを作製するため)の巻紙として利用する場合、一辺の長さとして12~70mm程度を挙げることができ、もう一辺の長さとして15~28mm、もう一辺の好ましい長さとして22~24mm、さらに好ましい長さとして23mm程度を挙げることができる。たばこ充填物を巻紙で柱状に巻装する際は、例えば図1のw方向の巻紙の端部とその逆側の端部を2mm程度重ね合わせて糊付けされて柱状の紙管の形状となり、その中にたばこ充填物が充填されている形状となる。長方形形状の巻紙のサイズは、出来上がったたばこロッドのサイズによって決めることができる。
チップペーパーのように、たばこロッドとたばこロッドに隣接するその他の部材を連結して巻装するものである場合、一辺の長さとして20~60mm、もう一辺の長さとして15~28mmを挙げることができる。
本発明の実施形態にかかる巻紙では、好ましい坪量の範囲(25~45gsm)において、填料が15~45重量%であることが好ましい。
さらに、坪量が25gsm以上35gsm以下のとき、填料が15~45重量%であることが好ましく、坪量が35gsmを超えて45gsm以下のとき、填料が25~45重量%であることが好ましい。
填料としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができるが、喫味や白色度を高める観点等から炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
本発明の実施形態にかかる巻紙には、その表面及び裏面の2面うち、少なくとも充填物接触面にコーティング剤が添加されている。少なくとも充填物接触面にコーティング剤が添加されていることで、たばこ充填物に含まれるエアロゾル生成基材が巻紙に浸潤することを防止でき、ひいてはエアロゾル生成基材がたばこロッドの外部に揮散してしまうことを防止できる。
コーティング剤としては特に制限はないが、紙の表面に膜を形成し、液体の透過性を減少させることができるコーティング剤が好ましい。例えばアルギン酸及びその塩(例えばナトリウム塩)、ペクチンのような多糖類、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロースのようなセルロース誘導体、デンプンやその誘導体(例えばカルボキシメチルデンプン、ヒドロキシアルキルデンプン及びカチオンデンプンのようなエーテル誘導体、酢酸デンプン、リン酸デンプン及びオクテニルコハク酸デンプンのようなエステル誘導体)を挙げることができる。これらのなかでも、液体の透過性を減少させる能力、塗工の行ないやすさ、および、使用時の香味への影響が少ないといった点で、ニトロセルロースを少なくとも用いることが特に好ましい。
これらのコーティング剤は、通常1.0~30.0重量%の水溶液もしくは酢酸エチル溶液として用いることができ、そのような水溶液もしくは酢酸エチル溶液を例えばグラビア印刷のような適当な印刷法を用いることにより、本発明の実施形態にかかる巻紙の、少なくとも充填物接触面に印刷することで添加できる。印刷以外の公知の手段によりコーティング剤を本発明の実施形態にかかる巻紙に添加してもよい。
上記のコーティング剤は、乾燥重量基準で巻紙表面に0.5~3.0g/m2となるように添加されることが好ましい。
より具体的には、コーティング剤がセルロース誘導体の場合には、その添加量として0.4~0.6g/m2程度を挙げることができ、コーティング剤が多糖類の場合には、その添加量として0.9~2.5g/m2程度を挙げることができる。
なお、充填物接触面だけでなく、反対側の面にもコーティング剤が添加されてもよい。コーティング剤は、充填物接触面の全面に添加されていることが好ましい。
たばこロッドを構成するたばこ充填物は、たばこ刻みを含む組成物から構成されるもの(以下、第一のたばこ充填物ともい)と、後述する複数のたばこシートから構成されるもの(以下、第二のたばこ充填物ともいう)を挙げることができる。
なお、本発明において非燃焼加熱型式たばこの長手方向は、図1におけるhの方向が長手方向である。また、非燃焼加熱式たばこがロッド状であるため、係る非燃焼加熱式たばこにおける長手方向をたばこロッドの長手方向と同一とみなしてもよい。本発明の非燃焼加熱式たばこにおけるたばこロッドは、以下のように定義されるアスペクト比が1以上である形状を満たす柱状形状を有していることが好ましい。
アスペクト比=h/w
wは柱状体の底面の幅、hは高さであり、h≧wであることが好ましい。しかし、本発明においては、上述した通り、長手方向はhで示された方向であると規定している。したがって、w≧hである場合においてもhで示された方向を便宜上長手方向と呼ぶ。底面の形状は限定されず、多角、角丸多角、円、楕円等であってよく、幅wは当該底面が円形の場合は直径、楕円形である場合は長径、多角形または角丸多角である場合は外接円の直径または外接楕円の長径である。例えば、図1に示す態様においては、底面が円であるのでその直径を認定できる。当該直径が幅w、これに直交する長さが高さhとなる。たばこロッドを構成するたばこ充填物の高さhは12~70mm程度、幅wは4~9mm程度であることが好ましい。
第一のたばこ充填物に含まれるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.5~2.0mmに刻んだものを用いてもよい。
また、均一化シートの粉砕物を用いる場合、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.5~2.0mmに刻んだものを用いてもよい。
第一のたばこ充填物中のエアロゾル生成基材の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを生成させるとともに、良好な喫味の付与の観点から、たばこ充填物の全量に対して通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは15~25重量%である。
上記の第一のたばこ充填物は、それが内側になるように巻紙によって巻装されてたばこロッドを形成する。巻紙の2面のうち、少なくとも充填物接触面に、上記のコーティング剤が添加されている。
シート基材としては、例えば、たばこ粉末等のたばこ材料等が挙げられる。本発明において、シート基材としてはたばこ材料が好ましい。たばこ材料の基材シートに、必要に応じて香味を発生じうる成分を担持したたばこシートであることが好ましい。たばこシートは、加熱に伴ってエアロゾルを生成する。エアロゾル生成基材としてグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール等のポリオール等のエアロゾル源を添加する。かかるエアロゾル生成基材の添加量は、たばこシートの乾燥重量に対して5~50重量%が好ましく、15~25重量%がより好ましい。
たばこシートは抄造、スラリー、圧延、等の公知の方法で適宜製造できる。なお、第一のたばこ充填物で説明した均一化シートを用いることもできる。
抄造の場合は、以下の工程を含む方法で製造できる。1)乾燥たばこ葉を粗砕し、水で抽出して水抽出物と残渣に分離する。2)水抽出物を減圧乾燥して濃縮する。3)残渣にパルプを加え、リファイナで繊維化した後、抄紙する。4)抄紙したシートに水抽出物の濃縮液を添加して乾燥し、たばこシートとする。この場合、ニトロソアミン等の一部の成分を除去する工程を加えてもよい(特表2004-510422号公報参照)。
スラリー法の場合は、以下の工程を含む方法で製造できる。1)水、パルプ及びバインダと、砕いたたばこ葉を混合する。2)当該混合物を薄く延ばして(キャストして)乾燥する。この場合、水、パルプ及びバインダと、砕いたたばこ葉を混合したスラリーに対して紫外線照射もしくはX線照射することでニトロソアミン等の一部の成分を除去除去する工程を加えてもよい。
この他、国際公開第2014/104078号に記載されているように、以下の工程を含む方法によって製造された不織布状のたばこシートを用いることもできる。1)粉粒状のたばこ葉と結合剤を混合する。2)当該混合物を不織布によって挟む。3)当該積層物を熱溶着によって一定形状に成形し、不織布状のたばこシートを得る。
前記の各方法で用いる原料のたばこ葉の種類は、第一の充填物で説明したものと同じものを用いることができる。
たばこシートの組成は特に限定されないが、例えば、たばこ原料(たばこ葉)の含有量はたばこシート全重量に対して50~95重量%であることが好ましい。また、たばこシートはバインダを含んでもよく、係るバインダとしては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、CMC(カルボキシメチルセルロース)、CMC-Na(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)等が挙げられる。バインダ量としては、たばこシート全重量に対して1~20重量%であることが好ましい。たばこシートはさらに他の添加物を含んでもよい。添加物としては、例えばパルプなどのフィラーを挙げることができる。本発明においては複数のたばこシートを用いるが、係るたばこシートはすべて同じ組成あるいは物性であってもよいし、各たばこシートの中の一部または全部が異なる組成あるいは物性であってもよい。
この製造方法において、積層体は巻上げ成形後に隣接する前記たばこシート間に非接触部が形成されるように調製されることが好ましい。
複数のたばこシート間に、当該たばこシートが接触しない非接触部(隙間)が存在すると、香味流路を確保して香味成分のデリバリー効率を高めることができる。他方で、複数のたばこシートの接触部分を介してヒーターからの熱を外側のたばこシートに伝達できるので高い伝熱効率を確保することができる。
複数のたばこシート間に、当該たばこシートが接触しない非接触部を設けるために、例えば、エンボス加工したたばこシートを用いる、隣接するたばこシート同士の全面を接着せずに積層する、隣接するたばこシート同士の一部を接着して積層する、あるいは隣接するたばこシート同士の全面あるいは一部を、巻上げ成形後に剥がれるように軽度に接着して積層することで積層体を調製する方法を挙げることができる。
巻紙を含めたたばこロッドを調製する場合には、積層体の最底部に上記の巻紙を配置してもよい。その際、たばこシートに接触する面が上記コーティング剤が添加された面となるように巻紙を配置する。
また、積層体の最頂部にマンドレル等の筒状ダミーを載置して第二のたばこ充填物を形成した後に、当該ダミーを除去することで、開口部を形成することもできる。
各たばこシートの厚みについては制限されないが、伝熱効率と強度の兼ね合いから、200~600μmが好ましい。各たばこシートの厚みについては、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
第二のたばこ充填物を構成するたばこシートの枚数は2枚以上であれば特に制限されないが、例えば2枚、3枚、4枚、5枚、または6枚を挙げることができる。
本発明の実施形態にかかる非燃焼加熱式たばことして、例えば図1の構成を有するものを挙げることができる。
図1の非燃焼加熱式たばこ10は、たばこ充填物11と、たばこ充填物11を巻装する第一の巻紙12から構成されるたばこロッドと、該たばこロッドとは反対側の端部を構成するマウスピース部17とを有し、前記たばこロッドと前記マウスピース部は、前記たばこ充填物を巻装する巻紙と同じ又は別の第二の巻紙13(図1ではチップペーパー)を用いて連結されている。
図1の実施形態は、たばこ充填物として上記の第一のたばこ充填物を用いたものである。第一のたばこ充填物に含まれる刻み(たばこ葉を刻んだもの、または均一化シートを刻んだもの:例えば0.5~2.0mmの幅)の長さは、1.0~4.0mm程度となることが多く、これらの刻みは、たばこ充填物中において、ランダムな配向で配置していることが多い。一方、刻みの長さをたばこロッドの長さと略同一の長さに加工して、たばこロッドの長手方向と同方向に刻みを配列して充填することもできる。
図1の実施形態は、たばこ充填物を充填した後でたばこロッドの先端面側に開口するとともに、該たばこロッドの軸方向に沿って存在する開口部18を有する。図1の実施形態では、前記開口部18が非貫通の陥凹部であり、該非貫通の陥凹部の形状が、たばこロッドの先端面から後端側に向かって縮径する円錐形であるが、後述するようにこの形状は特に限定されるものではない。
図1に示す態様では、マウスピース部17は、支持部16、エアロゾル冷却部14及びフィルター部15とを備える。また、これらを連結するための第二の巻紙としてチップペーパー13を備える。なお、図1ではマウスピース部17は3つのセグメントから構成されているが、マウスピース部17は単一のセグメントから構成されていてもよく、図2のように2つのセグメントから構成されていてもよく、4つ以上のセグメントから構成されてもよい。また、マウスピース部を構成するセグメントは、エアロゾル冷却部とフィルター部の両方が含まれるように構成されていてもよいし、どちらかのみから構成されていてもよい。
図1において、非燃焼加熱式たばこ10は、エアロゾル冷却部14と、エアロゾル冷却部14の周囲を覆う第二の巻紙13(チップペーパー)の一部に、外部からの空気を取り入れるための微小孔を有してもよい(図示せず)。そのような微小孔が存在することで、使用時に外部からエアロゾル冷却部14の内部に空気が流入し、前記たばこロッドが加熱されることで生じるエアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気が、外部からの空気と接触して温度が低下することで液化し、エアロゾルの生成がより確実になる。微小孔は、径が100~1000μmであることが好ましい。微小孔は、略円形もしくは略楕円形であることが好ましく、略楕円形の場合の前記径は長径を表す。微小孔は1つでもよいし、複数でもよい。複数の場合は第二の巻紙(チップペーパー)の円周上に列を形成して配置されることが好ましい。
エアロゾル冷却部14は、例えば厚紙を円筒状に加工したものを挙げることができる。この場合は円筒状の内側は空洞であり、エアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気が空洞内の空気と接触して冷却される。前記微小孔を配置している場合はこの空洞内で前記蒸気が外部空気とも接触し、さらに冷却効果が増大する、また、円筒の内側に、紙、ポリマーフィルム、または金属箔などシート形状の部材をギャザー加工したものを充填してもよい。この場合、これら部材の比熱を利用して前記蒸気を冷却することもできる。
図1ではフィルター部15は単一のセグメントから構成されているが、複数のセグメントから構成されていてもよい。複数のセグメントから構成されている場合、例えば上流側に中空のセグメントを配置し、下流側(使用者の吸口端側)のセグメントとして吸口断面がセルロースアセテートトウで充填されている態様を挙げることもできる。このような態様によれば、生成するエアロゾルの無用な損失を防ぐとともに、非燃焼加熱式たばこの外観を良好にすることができる。
また、フィルターの製造において、通気抵抗の調整や添加物(公知の吸着剤や香料、香料保持材等)の添加を適宜設計できる。
第二の巻紙13(チップペーパー)の材料は特に制限されないが、本発明の実施形態にかかる巻紙を一部または全部に用いてもよい。第二の巻紙13は、例えば酢酸ビニル系の糊を用いて、上記のたばこロッド、エアロゾル冷却部14、フィルター部15、及び必要に応じて支持部16の周囲を巻装した後に固定する態様を挙げることができる。
また、開口部が非貫通の陥凹部である場合、陥凹部の周囲(側方)には、硬化層が形成されていることが好ましい。この硬化層が形成されていると、たばこ充填材に含まれるたばこ刻み同士が結合することで、たばこロッド(たばこ充填材)における陥凹部が閉塞することを抑制することができる。
ここで、たばこロッドを構成する第一のたばこ充填材は塑性体ではなく弾性体であるため、たばこロッドに陥凹部を形成する際、たばこロッドの先端面側から単に穿孔加工を施しただけでは、穿孔加工の直後から陥凹部を閉塞する方向(陥凹部の横断面が減少する方向)にたばこ充填材の弾性変形が起こりやすい。そして、例えば、非燃焼加熱式たばこを長期に亘り蔵置した場合に、たばこロッドの陥凹部が閉塞する虞がある。
そのため、たばこロッド(たばこ充填材)における陥凹部の周囲に、陥凹部の閉塞を抑制するための硬化層を形成することが好ましい。
その一態様を図3に示す。図3の態様は、図1の実施形態の一部を変更したものであり、開口部18として非貫通の陥凹部を有しており、その形状はたばこロッドの先端面から後端側に向かって縮径する円錐形であることは図1の実施形態と同じである。図3の態様では、該陥凹部の周囲に(側方)に硬化層19を有している。この硬化層19を有している場合、製品製造後の陥凹部の閉塞を効果的に防ぐことができる。
また、たばこロッド1本当たりに添加する硬化剤の添加量は、特に限定されないが、例えば乾燥物重量として5mg~60mgの範囲とする態様が挙げられ、具体的には、たばこロッドに含まれるたばこ充填材の径、長さ、充填するたばこ刻の充填密度・物性等に応じて決定することができる。
電気加熱式たばこ製品の一態様を図4に図示する。電気加熱式たばこ製品30は、電気加熱式デバイス20の内部に配置された、ヒーター部材24に、上記で説明した非燃焼加熱式たばこ10が接触するように挿入されて使用される。
電気加熱式デバイス20は、例えば樹脂性の躯体23の内部に、電池ユニット21と制御ユニット22とを有する。
非燃焼加熱式たばこ10は、たばこ充填物11と、たばこ充填物11を巻装する第一の巻紙12から構成されるたばこロッドと、該たばこロッドとは反対側の端部を構成するマウスピース部17とを有し、前記たばこロッドと前記マウスピース部は、前記充填物を巻装する巻紙と同じ又は別の第二の巻紙を用いて連結されている。非燃焼加熱式たばこのマウスピース部17は、図1のようにエアロゾル冷却部14、フィルター部15、及び支持部16とから構成されていてもよいし、図2のように、たばこロッドとエアロゾル冷却部14の間の支持部16が存在しないものであってもよい。なお、図4に示す非燃焼加熱式たばことして、図1に記載のもの(たばこ充填物11として第一のたばこ充填物を使用)を示したが、図2(たばこ充填物11として第二のたばこ充填物を使用)に記載のものを用いてもよい。
電気加熱式デバイス20のヒーター部材24は、制御ユニット22による制御により発熱する。その熱が非燃焼加熱式たばこのたばこロッドに伝わることで、たばこロッドのたばこ充填物11に含まれるエアロゾル生成基材と香味成分とが共に揮発する。
ヒーター部材24は、例えばシート状ヒーター、平板状ヒーター、筒状ヒーターであってよい。シート状ヒーターとは柔軟なシート形のヒーターであり、例えばポリイミド等の耐熱性ポリマーのフィルム(厚み20~225μm程度)を含むヒーターが挙げられる。平板状ヒーターとは剛直な平板形のヒーター(厚み200~500μm程度)であり、例えば平板基材上に抵抗回路を有し当該部分を発熱部とするヒーターが挙げられる。筒状ヒーターとは中空または中実の筒形のヒーターであり、例えば、外周面に抵抗回路を有し当該部分を発熱部とするヒーターが挙げられる。筒状ヒーターの断面形状は円、楕円、多角、角丸多角等であってよい。
ヒーター部材24による加熱により、前記たばこロッドは概ね150~250℃にまで加熱される。
加熱により生じるエアロゾル生成基材と香味成分を含む蒸気は、前記で説明したメカニズムによりエアロゾル冷却部14の内部でエアロゾル化し、非燃焼加熱式たばこ10のフィルター部15を通して使用者の口腔内に到達する。
巻紙として、100%バージンパルプ(70重量%)と填料として炭酸カルシウム(白石工業株式会社製PCX850、30重量%)を使用した通常のシガレット用巻紙を準備し、そのシガレット用巻紙の充填物接触面にコーティング剤としてニトロセルロースを添加した。ニトロセルロースの添加量は、乾燥重量で巻紙表面に0.5g/m2となるようにした。ニトロセルロースは酢酸エチル溶液として準備し、その溶液をグラビア印刷により巻紙の片面の全面に塗布した。
たばこ充填物として、あらかじめ香料2g/100g、エアロゾル生成基材(グリセリン)40/100gをシートたばこの刻みに混合したものを準備した。高速巻き上げ機を用い、充填物接触面がコーティング剤を添加した面になるように上記巻紙でたばこ充填物を巻き上げた。
1本あたりの刻み重量は0.8g、巻円周は22mm、巻き長さは68mmとした。
巻き上げたたばこロッドは各水準毎に200本ずつプラスチックの密閉容器に入れて保管した。なお、巻き上げた直後のたばこロッドの表面には染みの発生が無いことを確認した。
これを実験例1のたばこロッドとした。
実験例3で用いる巻紙として、コーティング剤ではなく市販のセロファンテープを、通常のシガレット用巻紙の、たばこ充填物と接触しない面のみに貼付したものを準備した。実験例1と同様にたばこ充填物を巻装して、実験例1と同様の寸法のたばこロッドを作製した。
前記方法で作製した実験例1~3のたばこロッドを長さ12mmに切断し、片方の端面に金属棒を刺すことで非貫通の陥凹部を形成した。その後、陥凹部周囲に水ガラスを塗布して硬化層を形成し、陥凹部の形状(略円筒形)を安定させた。前記12mm長の、先端面側に陥凹部を有するたばこロッド、長さ8mmの貫通孔を有したセンターホールフィルターで構成される支持部、長さ20mmの紙管の外周に希釈空気孔を施した冷却部、さらに、長さ7mmの酢酸セルロース繊維が充填されたフィルター部とを、巻紙で手作りで接続して非燃焼加熱式たばこを作製した。
実験例1~3で作製した各非燃焼加熱式たばこを使用試験に供した。使用試験に供した電気加熱式たばこ製品として、上述した構成を有するものを使用した。非燃焼加熱式たばこのたばこロッドが挿入される際のヒータ温度を350℃に設定して使用試験を行なった。使用試験はボルグワルド社製1本がけ自動喫煙機を用いて、パフ容量55ml/2秒、インターバル30秒で行なった。冷却部の外周に施された外部空気導入孔はふさがずに使用試験を行なった。使用試験で発生した主流煙はケンブリッジパッドに捕集された。パフ動作を12回行なった後でケンブリッジパッドを取り出し、重量測定および、ガスクロマトグラフィーにより水分とグリセリン量を測定した。
使用試験時にたばこロッドからデリバリーされるエアロゾル量(グリセリン量)の測定結果を図5に示す。図5の縦軸の数値が大きいほど、デリバリーされたグリセリンの量が多いことを示す。図5に示されるように、実験例2及び実験例3のたばこロッドでは、実験例1のたばこロッドよりも明らかにエアロゾルのデリバリー量が少なかった。
使用試験時には、たばこ充填物のなかでも、ヒーター部材に接触した部分とその周囲を中心に加熱が行われる。その際、たばこ充填物に含まれるエアロゾル生成基材が揮発することでエアロゾルが生成する。生成したエアロゾルは、たばこ充填物の軸方向の中心からその外側である巻紙に向かって、言い換えるとたばこロッドの外側にも向かう。このとき、実験例1で準備した巻紙を用いると、コーティング剤が添加されていることにより、生成したエアロゾルが巻紙に浸潤せずにたばこロッド内にエアロゾルとして滞留できる。一方で、実験例2で用いた巻紙は、そのようなコーティング剤による作用が働かないので、発生したエアロゾルが巻紙に浸透してしまう。これにより、電気加熱式たばこ製品の使用者に対して十分な量のエアロゾルをデリバリーできない。
実験例3で準備した、たばこ充填物に接触しない面にセロファンテープを貼付した巻紙を用いた場合も、巻紙へのエアロゾルの浸潤を防止できない。たばこロッドの巻紙部分は、加熱部分よりも温度が低いため、巻紙に浸潤したエアロゾルがその場所で凝縮してしまう。これにより、たばこロッド内でエアロゾルとして存在することができなくなるので、電気加熱式たばこ製品の使用者に対して十分な量のエアロゾルをデリバリーできない。
11 充填物
12 第一の巻紙
13 第二の巻紙(チップペーパー)
14 エアロゾル冷却部
15 フィルター部
16 支持部
17 マウスピース部
18 開口部
19 硬化層
20 電気加熱式デバイス
21 電池ユニット
22 制御ユニット
23 躯体
24 ヒーター部材
30 電気加熱式たばこ製品
Claims (9)
- たばこ刻みとエアロゾル生成基材とを含むたばこ充填物が、該たばこ充填物を巻装する巻紙で巻装されてなるたばこロッドを有する非燃焼加熱式たばこであって、
前記たばこロッドは、たばこ充填物と巻紙とから構成され、
前記たばこロッドは、該たばこロッドの先端面側に開口すると共に該たばこロッドの軸方向に沿って存在する開口部を有し、
前記巻紙の少なくとも前記たばこ充填物と接触する面に、コーティング剤が添加されている、非燃焼加熱式たばこ。 - 前記たばこ充填物が、前記開口部を有する、請求項1に記載の非燃焼式加熱式たばこ。
- 前記たばこ充填物が、たばこ刻みを含む組成物から構成されるもの、又は複数のたばこシートから構成されるものである、請求項1又は2に記載の非燃焼加熱式たばこ。
- 前記開口部が非貫通の陥凹部であり、該非貫通の陥凹部の形状が、非貫通の円筒形、または、たばこロッドの先端面から後端側に向かって縮径する円錐形もしくは円錐台形である、請求項1~3のいずれか一項に記載の非燃焼加熱式たばこ。
- 前記陥凹部の周囲に、硬化層を有する、請求項4に記載の非燃焼加熱式たばこ。
- 前記充填物が複数のたばこシートから構成され、該複数のたばこシートは、長手方向に延在するとともに、該長手方向軸を中心として同心状に配置されており、該長手方向軸と、最内層のたばこシートとの間に、前記開口部として長手方向に延在する貫通口を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の非燃焼加熱式たばこ。
- 前記たばこロッドとは反対側の端部を構成するマウスピース部をさらに有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の非燃焼加熱式たばこ。
- 前記コーティング剤が、ニトロセルロースを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載
の非燃焼加熱式たばこ。 - ヒーター部材と、該ヒーター部材の電力源となる電池ユニットと、該ヒーター部材を制御するための制御ユニットとを備える電気加熱式デバイスと、該ヒーター部材に接触するように挿入される、請求項1~8のいずれか一項に記載の非燃焼加熱式たばこと、から構成される、電気加熱式たばこ製品。
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