JP2011228087A - 電磁継電器 - Google Patents

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JP2011228087A JP2010096057A JP2010096057A JP2011228087A JP 2011228087 A JP2011228087 A JP 2011228087A JP 2010096057 A JP2010096057 A JP 2010096057A JP 2010096057 A JP2010096057 A JP 2010096057A JP 2011228087 A JP2011228087 A JP 2011228087A
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Kiyoshige Kojima
清成 小嶋
Hisanaga Matsuoka
久永 松岡
Mikihiro Kamiya
幹浩 神谷
Hitoshi Haruhara
仁 春原
Atsuo Okabayashi
淳夫 岡林
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Denso Corp
Soken Inc
Denso Electronics Corp
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Denso Corp
Nippon Soken Inc
Anden Co Ltd
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Abstract

【課題】接点対に発生したアークを早く消弧できる電磁継電器を提供する。
【解決手段】電磁継電器1は、電磁コイル2と、接点対3と、磁石4と、収納ケース5とを備える。磁石4は、接点対3がオン状態からオフ状態へ切り替わる際に発生するアーク7を消弧する。収納ケース5は、電磁コイル2と接点対3と磁石4とを収納している。磁石4は、該磁石4が生じる磁界によってアーク7に作用するローレンツ力により、アーク7を収納ケース5の内面50に接近する方向へ引き伸ばすよう構成してある。収納ケース5の内面50のうち、引き伸ばされたアーク7が接触するアーク接触面51に、収納ケース5を構成する樹脂よりも炭化しにくい材料からなる難炭化性絶縁材6が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、アークを消弧するための磁石を備えた電磁継電器に関する。
電源と電気回路との間に設けられ、これら電源と電気回路とを電気的に接続したり切断したりするための電磁継電器として、図8に示すごとく、電磁コイル92と、接点対93と、収納ケース95とを備えるものが従来から知られている(下記特許文献1参照)。この電磁継電器90の接点対93は、収納ケース95に固定された固定接点930と、可動接点931とからなる。可動接点931は、電磁コイル92への通電の有無により、固定接点930に接離するよう構成されている。固定接点930と可動接点931とが接離することにより、これらの間に電流が流れるオン状態と、電流が流れないオフ状態とを切り替えることができるようになっている。
電磁コイル92の中心には磁性体からなるプランジャ98と、該プランジャ98を図8の上方へ付勢するばね部材911が設けられている。電磁コイル92に通電すると、プランジャ98は電磁コイル92に引かれ、ばね部材911の付勢力に抗して図8の下方に移動する。これにより、可動接点931が固定接点930に接触し、電磁継電器90がオン状態になる。
また、電磁コイル92への通電を止めると、ばね部材911の付勢力により、プランジャ98が図8の上方に押し上げられる。これにより、可動接点931が固定接点930から離れ、電磁継電器90はオフ状態になる。
電磁継電器90をオン状態からオフ状態に切り替えた場合に、固定接点930と可動接点931の間にアーク97が発生する場合がある。このアーク97が発生している間は、接点対93が離れているにも関わらず電流が流れていることになる。そのため、電磁継電器90には、アーク97を早く消弧するための磁石94が設けられている。磁石94の磁界によってアーク97にローレンツ力が作用するため、アーク97は収納ケース95の内面に近づく方向に引き伸ばされる。これにより電気抵抗が高くなり、アーク97は消弧する。
特開平07−302535号公報
従来の電磁継電器90は、接点対93に流れる電流量が低い場合は、アーク接触面951にアーク97が接触する前に、アーク97を消弧できる。しかしながら、接点対93に流れる電流量が高い場合は、アーク97が長く引き伸ばされるまで消えないため、アーク接触面951にアーク97が接触することがある。
従来の電磁継電器90は、収納ケース95が合成樹脂で形成されているため、アーク97が接触すると、樹脂が炭化するという問題がある。樹脂が炭化すると、発生した炭素によってアーク接触面951の電気抵抗が下がる。そうすると、その後、アーク接触面951における炭化した面にアーク97が接触したとき、アーク97の電気抵抗が小さいため、アーク97を消弧しにくくなる。そのため、電流を遮断しにくくなるという問題がある。
特に従来の電磁継電器90は、接点対93に電流が流れた場合に抵抗熱が発生するため、この抵抗熱によって収納ケース95を構成する樹脂が燃焼しないよう、難燃性に優れた樹脂を使って収納ケース95を形成している。一般的に、難燃性の高い樹脂は炭化しやすい傾向があるため、アーク97が接触した場合に炭素が発生しやすい。そのため、上述のように、アーク97を消弧しにくくなるという問題が生じやすい。
また、近年、電磁継電器90の小型化が要求されている。電磁継電器90を小型化すると、アーク接触面951と接点対93の間の距離が短くなるため、アーク接触面951にアーク97が接触する頻度が高くなる。そのため、アーク接触面951が炭化してアーク97を消弧しにくくなるという問題が生じやすい。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、接点対に発生したアークを早く消弧できる電磁継電器を提供しようとするものである。
本発明は、導線を巻回して形成した電磁コイルと、
固定接点と、上記電磁コイルへの通電の有無により上記固定接点に接離するよう構成された可動接点とからなり、該可動接点が上記固定接点に接離することにより、これらの間に電流が流れるオン状態と、該電流が流れないオフ状態とが切り替わる接点対と、
該接点対が上記オン状態から上記オフ状態へ切り替わる際に発生するアークを消弧する磁石と、
上記電磁コイルと上記接点対と上記磁石とを収納する樹脂製の収納ケースとを備え、
上記磁石は、該磁石が生じる磁界によって上記アークに作用するローレンツ力により、該アークを上記収納ケースの内面に接近する方向へ引き伸ばすよう構成してあり、
上記収納ケースの内面のうち、引き伸ばされた上記アークが接触するアーク接触面の少なくとも一部に、上記収納ケースを構成する上記樹脂よりも炭化しにくい材料からなる難炭化性絶縁材が設けられていることを特徴とする電磁継電器にある(請求項1)。
本発明の作用効果について説明する。本発明は、アーク接触面の少なくとも一部に、収納ケースを構成する樹脂よりも炭化しにくい材料からなる難炭化性絶縁材を設けた。
このようにすると、アーク接触面にアークが接触しても、難炭化性絶縁材の表面には炭素が発生しにくいため、アーク接触面の電気抵抗が低下する不具合を防止できる。そのため、アーク接触面の電気抵抗が高い状態を維持でき、アーク接触面に接触したアークを素早く消弧することが可能になる。
以上のごとく、本発明によれば、接点対に発生したアークを早く消弧できる電磁継電器を提供することができる。
実施例1における、電磁継電器のオン状態での断面図であって、図3のB−B断面図。 図1の、オフ状態での断面図。 図1のA−A断面図。 図2の要部拡大断面図。 実施例2における、電磁継電器の要部拡大断面図。 図5のC矢視図。 実施例3における、電磁継電器の断面図。 従来例における、電磁継電器の断面図。
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記難炭化性絶縁材は、芳香環を含まない樹脂または限界酸素指数が20以下の樹脂であることが好ましい(請求項2)。
芳香環は化学的に安定しているため、芳香環を含む樹脂は燃焼しにくい。これに対して、芳香環を含まない樹脂は燃焼しやすい傾向がある。燃焼しやすい樹脂は、樹脂を構成する炭素原子が二酸化炭素等の気体になって空気中に放出されるため、炭素原子が残りにくい樹脂でもある。そのため、芳香環を含まない樹脂は、アークが接触した場合でも炭化しにくく、本発明の難炭化性絶縁材として好適に使用することができる。
また、限界酸素指数が20以下の樹脂は、酸素濃度が20%以下の気体中でも燃焼できる樹脂であり、燃えやすい樹脂である。そのため、アークが接触した場合に、樹脂を構成する炭素原子が二酸化炭素等の気体になって空気中に放出され、炭素原子が残りにくい。したがって、限界酸素指数が20以下の樹脂は、本発明の難炭化性絶縁材として好適に使用することができる。
なお、上述したように、接点対に流れる電流量が低い場合は、アーク接触面に接触する前にアークを消弧できる。つまり、アークは常にアーク接触面に接触するわけではない。したがって、上述のように燃焼しやすい樹脂を難炭化性絶縁材として使用した場合でも、アークによって樹脂が消耗することはない。
また、燃焼しやすい樹脂を難炭化性絶縁材として使用した場合でも、収納ケースを構成する他の部分は難燃性樹脂で構成されているため、収納ケースが燃焼することはない。
また、上記難炭化性絶縁材は、ポリアセタール、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、AS樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂のいずれか一を主成分とする材料であることが好ましい(請求項3)。
このような樹脂は炭化しにくい樹脂であるとともに、安価である。そのため、上記樹脂を用いることにより、電磁継電器の製造コストを下げることが可能になる。
また、上記難炭化性絶縁材は、絶縁性セラミックスにすることができる(請求項4)。
絶縁性セラミックスは炭化しない。そのため、難炭化性絶縁材として絶縁性セラミックスを使用すると、アークが接触してもアーク接触面に炭素が全く発生しなくなる。これにより、炭素によって電気抵抗が下がりアークを消弧しにくくなるという不具合を効果的に防止できる。
また、上記難炭化性絶縁材は、アルミナ、コーディエライト、サイアロン、ジルコニア、ジルコン、ステアタイト、窒化アルミニウム、窒化珪素、フォルステライト、マグネシア、マイカセラミックス、ムライトのいずれか一を主成分とする材料であることが好ましい(請求項5)。
上記セラミックスは一般に流通しており、入手しやすい。また、比較的安価であるため、電磁継電器の製造コストを下げることができる。
また、上記難炭化性絶縁材は、上記収納ケースと一体成形されていることが好ましい(請求項6)。
このようにすると、難炭化性絶縁材を接着剤等で収納ケースに接着する場合と比較して、容易に製造できるため、電磁継電器の製造コストを下げることができる。
また、上記アーク接触面の全面に上記難炭化性絶縁材が設けられていることが好ましい(請求項7)
この場合には、アーク接触面の全面が炭化しにくくなるため、電気抵抗が高い状態を維持しやすい。そのため、アーク接触面に接触したアークを消弧しやすくなる。
また、上記アーク接触面の一部に上記難炭化性絶縁材を設けてもよい(請求項8)。
この場合には、難炭化性絶縁材の使用量を減らすことができ、収納ケースを構成する難燃性樹脂の量を増やすことができる。そのため、例えば燃焼しやすい樹脂を難炭化性絶縁材として用いた場合には、その樹脂の量を減らせるため、収納ケース全体の難燃性を向上させることができる。また、燃焼しやすい樹脂は強度が低い傾向があるので、この樹脂の使用量を減らすことにより、収納ケース全体の強度を高めることも可能になる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電磁継電器につき、図1〜図4を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例の電磁継電器1は、導線を巻回して形成した電磁コイル2と、接点対3と、磁石4と、収納ケース5とを備える。
接点対は、固定接点30と可動接点31とからなる。可動接点31は、電磁コイル2への通電の有無により固定接点30に接離するよう構成されている。可動接点31が固定接点30に接離することにより、これらの間に電流が流れるオン状態(図1参照)と、電流が流れないオフ状態(図2参照)とが切り替わる。
磁石4は、接点対3がオン状態からオフ状態へ切り替わる際に発生するアーク7を消弧する。
収納ケース5は、電磁コイル2と接点対3と磁石4とを収納している。
磁石4は、該磁石4が生じる磁界によってアーク7に作用するローレンツ力により、アーク7を収納ケース5の内面50に接近する方向へ引き伸ばすよう構成してある。
そして、図3、図4に示すごとく、収納ケース5の内面50のうち、引き伸ばされたアーク7が接触するアーク接触面51に、収納ケース5を構成する樹脂よりも炭化しにくい材料からなる難炭化性絶縁材6が設けられている。
以下、詳説する。
図2に示すごとく、本例では、電磁コイル2の中心に、磁性体からなるプランジャ10と、該プランジャ10を図2の上方へ付勢する第1ばね部材11が設けられている。また、収納ケース5には、可動接点31を図1の下方へ付勢する第2ばね部材12が設けられている。
本例では、第1ばね部材11の付勢力の方が、第2ばね部材12の付勢力よりも若干大きくなっている。電磁コイル2に電磁力が発生しない時は、第1ばね部材11の付勢力が第2ばね部材の付勢力に勝るため、プランジャ10は図2の上方へ移動する。
電磁コイル2に電流を流すと、該電磁コイル2の周囲に磁界が発生するため、磁性体からなるプランジャ10は電磁コイル2に引き寄せられ、第1ばね部材11の付勢力に抗して図2の下方へ移動する。そのため、プランジャ10の先端100が可動接点31から離れる。そして、可動接点31は第2ばね部材12の付勢力によって図2の下方へ移動する。これにより、図1に示すごとく、可動接点31が固定接点30に接触し、電磁継電器1はオン状態になる。
電磁コイル2への通電を止めると、上述したように、プランジャ10は図1の上方へ移動する。そのため、プランジャ10の先端100が可動接点31に当接し、可動接点31は図1の上方へ押し上げられて、固定接点30から離れる。これにより、図2に示すごとく、電磁継電器1はオフ状態になる。
図1に示すごとく、固定接点30は、互いに独立した金属バスバーである第1固定接点30aと第2固定接点30bとからなり、第1固定接点30aと第2固定接点30bにおける、稼動接点31に対向する面には、貴金属製の固定側突部35a,35bが形成されている。また、可動接点31は、一本の金属バスバーからなり、その両端における、固定接点30に対向する面には可動側突部36a,36bが形成されている。固定側突部35aと可動側突部36aは互いに対向している。また、固定側突部35bと可動側突部36bは互いに対向している。
第1固定接点30aは電源(図示しない)に接続され、第2固定接点30bは電気回路(図示しない)に接続されている。電磁継電器1がオン状態になると、突部35a,36aおよび突部35b,36bが接触する。これにより、第1固定接点30aと、可動接点31と、第2固定接点30bが導通する。そのため、第1固定接点30aから第2固定接点30bへ電流が流れる。
図3に示すごとく、固定接点30a,30bには、それぞれ接続端子300a,300bが取り付けられている。第1接続端子300aは上記電源に接続され、第2接続端子300bは上記電気回路に接続される。
図3に示すごとく、電磁継電器1は4個の磁石4a〜4dを備える。第1磁石4a、第2磁石4bは、一方の突部35a,36aを挟む位置に設けられている。また、第3磁石4c、第4磁石4dは、他方の突部35b、36bを挟む位置に設けられている。これらの磁石4が生じる磁界によってアーク7にローレンツ力が作用し、アーク7が収納ケース5の内面50に近づく方向へ引き伸ばされる。収納ケース5には、引き伸ばしたアーク7が入る消弧室Rが形成されている。
図4に示すごとく、収納ケース5は、固定接点30を取り付けた固定接点側部分5aと、第2ばね部材12を取り付けたばね側部分5bと、これら固定接点側部分5aとばね側部分5bとを繋ぐ側壁部5cを備える。固定接点側部分5aと、ばね側部分5bと、側壁部5cとによって囲まれた空間が消弧室Rになっている。本例では、アーク接触面51の全面に難炭化性絶縁材6が設けられている。アーク接触面51は、第1部分51aと、第2部分51bと、第3部分51cとからなる。第3部分51cは、消弧室Rの、側壁部5c側の表面の一部を占めている。第1部分51aは、消弧室Rの、固定接点側部分5a側の表面の一部を占めており、第3部分51cから固定接点30の端部300の手前まで伸びている。第2部分51bは、消弧室Rの、ばね側部分5b側の表面の一部を占めており、第3部分51cから可動接点31の先端310よりもプランジャ10側まで延びている。また、アーク接触面51の幅は、図3に示すごとく、可動接点31の幅と略同じである。
また、本例では、難炭化性絶縁材6としてポリアセタールを使用している。難炭化性絶縁材6としては、ポリアセタールの他に、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、AS樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂を好適に使用することができる。これらの樹脂は、芳香環を含まない樹脂であり、かつ限界酸素指数が20以下の樹脂である。
また、難炭化性絶縁材6は、アルミナ、コーディエライト、サイアロン、ジルコニア、ジルコン、ステアタイト、窒化アルミニウム、窒化珪素、フォルステライト、マグネシア、マイカセラミックス、ムライト等の絶縁性セラミックスを使用することもできる。
本例では、本例では、難炭化性絶縁材6は、収納ケース5と一体成形されている。すなわち、難炭化性絶縁材6と収納ケース5は、接着剤等で接着したものではなく、二色成形等を利用して一体成形したものである。
本例の作用効果について説明する。本例では、図4に示すごとく、アーク接触面51に、収納ケース5を構成する樹脂よりも炭化しにくい材料からなる難炭化性絶縁材6を設けた。
このようにすると、アーク接触面51にアーク7が接触しても、難炭化性絶縁材6の表面には炭素が発生しにくいため、アーク接触面51の電気抵抗が低下する不具合を防止できる。そのため、アーク接触面51の電気抵抗が高い状態を維持でき、アーク接触面51に接触したアーク7を素早く消弧することが可能になる。
また、本例では、難炭化性絶縁材6は、芳香環を含まない樹脂または限界酸素指数が20以下の樹脂である。
芳香環は化学的に安定しているため、芳香環を含む樹脂は燃焼しにくい。これに対して、芳香環を含まない樹脂は燃焼しやすい傾向がある。燃焼しやすい樹脂は、樹脂を構成する炭素原子が二酸化炭素等の気体になって空気中に放出されるため、炭素原子が残りにくい樹脂でもある。そのため、芳香環を含まない樹脂は、アーク7が接触した場合でも炭化しにくく、本例の難炭化性絶縁材6として好適に使用することができる。
また、限界酸素指数が20以下の樹脂は、酸素濃度が20%以下の気体中でも燃焼できる樹脂であり、燃えやすい樹脂である。そのため、アーク7が接触した場合に、樹脂を構成する炭素原子が二酸化炭素等の気体になって空気中に放出され、炭素原子が残りにくい。したがって、限界酸素指数が20以下の樹脂は、本例の難炭化性絶縁材6として好適に使用することができる。
なお、上述したように、接点対3に流れる電流量が低い場合は、アーク接触面51に接触する前にアーク7を消弧できる。つまり、アーク7は常にアーク接触面51に接触するわけではない。したがって、上述のように燃焼しやすい樹脂を難炭化性絶縁材6として使用した場合でも、アーク7によって樹脂が消耗することはない。
本例では、難炭化性絶縁材6として、ポリアセタール、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、AS樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂のいずれか一を主成分とする材料を使用している。
このような樹脂は炭化しにくい樹脂であるとともに、安価である。そのため、樹脂を用いることにより、電磁継電器1の製造コストを下げることが可能になる。
また、難炭化性絶縁材6として絶縁性セラミックスを用いてもよい。
絶縁性セラミックスは炭化しない。そのため、難炭化性絶縁材6として絶縁性セラミックスを使用すると、アーク7が接触してもアーク接触面51に炭素が全く発生しなくなる。これにより、炭素によって電気抵抗が下がりアーク7を消弧しにくくなるという不具合を効果的に防止できる。
難炭化性絶縁材6は、アルミナ、コーディエライト、サイアロン、ジルコニア、ジルコン、ステアタイト、窒化アルミニウム、窒化珪素、フォルステライト、マグネシア、マイカセラミックス、ムライトのいずれか一を主成分とする絶縁性セラミックスを使用してもよい。
上記セラミックスは一般に流通しており、入手しやすい。また、比較的安価であるため、電磁継電器1の製造コストを下げることができる。
また、本例では、難炭化性絶縁材6は、収納ケース5と一体成形されている。
このようにすると、難炭化性絶縁材6を接着剤等で収納ケース5に接着する場合と比較して、容易に製造できるため、電磁継電器1の製造コストを下げることができる。
また、本例では、図4に示すごとく、アーク接触面51の全面に難炭化性絶縁材6が設けられている。
この場合には、アーク接触面51の全面が炭化しにくくなるため、電気抵抗が高い状態を維持しやすい。そのため、アーク接触面51に接触したアーク7を消弧しやすくなる。
以上のごとく、本例によれば、接点対に発生したアークを早く消弧できる電磁継電器を提供することができる。
(実施例2)
本例は、難炭化性絶縁材6の形状を変更した例である。図5、図6に示すごとく、本例では、アーク接触面51の一部にのみ難炭化性絶縁材6を設けた。すなわち、アーク接触面51の全体の面積よりも小さい面積を有する複数個の難炭化性絶縁材6a,6bを設けた。アーク接触面51にアーク7が接触すると、収納ケース5を構成する樹脂は炭化するが、難炭化性絶縁材6a,6bは炭化しにくい。本例では、この複数個の難炭化性絶縁材6a,6bを使って、アーク接触面51の電気抵抗の低下を防止するよう構成した。
個々の難炭化性絶縁材6a,6bは、長方形状に形成され、長手方向の長さLが、アーク接触面51の幅Wよりも長くなっている。難炭化性絶縁材6a,6bは、アーク接触面51を横切る位置に配置されている。また、複数個の難炭化性絶縁材6a,6bにより、収納ケース5を構成する樹脂を、アーク7が流れる向きXに分断するよう構成してある。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、難炭化性絶縁材6の使用量を減らすことができ、収納ケース5を構成する難燃性樹脂の使用量を増やすことができる。そのため、例えば燃焼しやすい樹脂を難炭化性絶縁材6として用いた場合には、その樹脂の量を減らせるため、収納ケース5全体の難燃性を向上させることができる。また、燃焼しやすい樹脂は強度が低い傾向があるので、この樹脂の使用量を減らすことにより、収納ケース5全体の強度を高めることも可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
(実施例3)
本例は、収納ケース5の形状および磁石4の数を変更した例である。図7に示すごとく、本例では、収納ケース5内に2個の磁石のみを配置した。すなわち、一方の突部35a,36aの側方に1個の磁石4aを設け、他方の突部35b,36bの側方に1個の磁石4bを設けた。そして、これらの磁石4a,4bによって、突部35,36間に発生するアーク7を消弧するよう構成した。
また、収納ケース5の四隅に、ヨーク14(図1、図2参照)の一部が通る柱状部13を形成した。そして、磁石4と柱状部13の間に難炭化性絶縁材6を設けた。
磁石4の周りには同心円状に磁界が発生するので、突部35,36の間に発生したアーク7は円弧状に引き伸ばされ、難炭化性絶縁材6a,6bに接触する。また、本例の電磁継電器1は、使用する電気回路によっては、端子300a,300b間に流れる電流の向きが逆になる場合があるが、この場合には、アーク7は反対方向に引き伸ばされ、上記難炭化性絶縁材6a,6bとは別の難炭化性絶縁材6c、6dにアーク7が接触する。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、磁石4の数を減らせるので、電磁継電器1の製造コストを下げることができる。また、磁石4の数が少ないため、電磁継電器1を小型化することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
1 電磁継電器
2 電磁コイル
3 接点対
30 固定接点
31 可動接点
4 磁石
5 収納ケース
50 (収納ケースの)内面
51 アーク接触面
6 難炭化性絶縁材
7 アーク

Claims (8)

  1. 導線を巻回して形成した電磁コイルと、
    固定接点と、上記電磁コイルへの通電の有無により上記固定接点に接離するよう構成された可動接点とからなり、該可動接点が上記固定接点に接離することにより、これらの間に電流が流れるオン状態と、該電流が流れないオフ状態とが切り替わる接点対と、
    該接点対が上記オン状態から上記オフ状態へ切り替わる際に発生するアークを消弧する磁石と、
    上記電磁コイルと上記接点対と上記磁石とを収納する樹脂製の収納ケースとを備え、
    上記磁石は、該磁石が生じる磁界によって上記アークに作用するローレンツ力により、該アークを上記収納ケースの内面に接近する方向へ引き伸ばすよう構成してあり、
    上記収納ケースの内面のうち、引き伸ばされた上記アークが接触するアーク接触面の少なくとも一部に、上記収納ケースを構成する上記樹脂よりも炭化しにくい材料からなる難炭化性絶縁材が設けられていることを特徴とする電磁継電器。
  2. 請求項1において、上記難炭化性絶縁材は、芳香環を含まない樹脂または限界酸素指数が20以下の樹脂であることを特徴とする電磁継電器。
  3. 請求項1または請求項2において、上記難炭化性絶縁材は、ポリアセタール、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、AS樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂のいずれか一を主成分とする材料であることを特徴とする電磁継電器。
  4. 請求項1において、上記難炭化性絶縁材は、絶縁性セラミックスであることを特徴とする電磁継電器。
  5. 請求項4において、上記難炭化性絶縁材は、アルミナ、コーディエライト、サイアロン、ジルコニア、ジルコン、ステアタイト、窒化アルミニウム、窒化珪素、フォルステライト、マグネシア、マイカセラミックス、ムライトのいずれか一を主成分とする材料であることを特徴とする電磁継電器。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項において、上記難炭化性絶縁材は、上記収納ケースと一体成形されていることを特徴とする電磁継電器。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項において、上記アーク接触面の全面に上記難炭化性絶縁材が設けられていることを特徴とする電磁継電器。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項において、上記アーク接触面の一部に上記難炭化性絶縁材が設けられていることを特徴とする電磁継電器。
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