JP2011226124A - 建物 - Google Patents
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Abstract
【課題】建物周辺の空気の滞留を抑制することを目的とする。
【解決手段】地下通風路16、18は、第1通風路16A、18Aと第2通風路16B、18Bを有している。第2通風路16B、18Bは基礎12に設けられており、構造体14に沿って下降した風が導入される。第2通風路16B、18Bに導入された風は、構造体14の下に設けられた第1通風路16A、18Aに導入され、構造体14の反対側に設けられた第2通風路16B、18Bから導出される。これにより、構造体14の反対側の空気が循環され、構造体14の反対側における空気や熱の滞留が抑制される。
【選択図】図1
【解決手段】地下通風路16、18は、第1通風路16A、18Aと第2通風路16B、18Bを有している。第2通風路16B、18Bは基礎12に設けられており、構造体14に沿って下降した風が導入される。第2通風路16B、18Bに導入された風は、構造体14の下に設けられた第1通風路16A、18Aに導入され、構造体14の反対側に設けられた第2通風路16B、18Bから導出される。これにより、構造体14の反対側の空気が循環され、構造体14の反対側における空気や熱の滞留が抑制される。
【選択図】図1
Description
本発明は、建物に関する。
地上の建物では、当該建物によって風が遮られるため、建物の背後に空気や熱が溜まり易い。特に、建物の空調排気や、汚染物質を含む自動車の排気ガス等が滞留すると、建物周辺の環境が悪化する恐れがある。
一方、特許文献1及び特許文献2には、風力発電装置が設置された建物が提案されている。
本発明は、上記の事実を考慮し、建物周辺の空気の滞留を抑制することを目的とする。
請求項1に記載の建物は、地上に構築された構造体と、地下に設けられ、前記構造体に吹き付けられて該構造体に沿って下降する風を、該構造体の下を通して該構造体の反対側へ導く地下通風路と、を備えている。
請求項1に係る発明によれば、構造体に吹き付けられた風が、当該構造体に沿って下降し、地下通風路を通って構造体の反対側へ導かれる。これにより、構造体の反対側の空気が循環され、空気や熱の滞留が抑制される。従って、建物周辺の大気環境が改善される。
請求項2に記載の建物は、請求項1に記載の建物において、前記地下通風路が、前記構造体の下に設けられた第1通風路と、前記構造体の周囲の地盤又は基礎に設けられ、前記第1通風路へ風を導入し又は該第1通風路から風を導出する第2通風路と、を有している。
請求項2に係る発明によれば、地下通風路が、第1通風路と第2通風路を有している。第2通風路は、構造体の周囲の地盤又は基礎に設けられており、構造体に沿って下降した風が導入される。第2通風路に導入された風は、構造体の下に設けられた第1通風路に導入され、構造体の反対側に設けられた第2通風路から導出される。これにより、構造体の反対側の空気が循環され、構造体の反対側における空気や熱の滞留が抑制される。従って、建物周辺の大気環境が改善される。
請求項3に記載の建物は、請求項2に記載の建物において、前記地下通風路内に、風力発電装置が設置されている。
請求項3に係る発明によれば、地下通風路内に風力発電装置が設置されている。従って、地下通風路を通る風によって風力発電装置が作動され、風力エネルギーが電気エネルギーに変換される。
ここで、従来(例えば、特許文献1、2)のように、構造体の頂部や隅角部に風力発電装置を設置した場合、風力発電装置の振動や騒音が構造体に直接伝播され、構造体の環境性能が低下する恐れがある。また、風力発電装置の設置部には、風力に応じた応力が発生するため、当該設置部の補強が必要となり、構造体の重量が増加する恐れがある。更に、風力発電装置が地上に露出しているため、落雷対策等が必要となる。
これに対して本発明では、地下に設けられた地下通風路内に風力発電装置を設置することにより、風力発電装置の振動や騒音が地盤や基礎へ伝播されるため、構造体に伝播される振動や騒音が低減される。従って、構造体の環境性能が向上する。また、地盤や基礎に風力発電装置を設置することにより、構造体の重量を増加せずに、風力発電装置の設置部を補強することができる。更に、落雷対策が不要になると共に、構造体の頂部等に風力発電装置を設置する場合と比較して、風力発電装置へのアクセスが容易となり、風力発電装置のメンテナンス性が向上する。更にまた、地下通風路によって風が整流されるため、風力発電装置に対する風力の作用方向が特定の方向に制限される。従って、風力発電装置の発電効率が向上する。
請求項4に記載の建物は、請求項2又は請求項3に記載の建物において、前記構造体の側壁に設けられ、該構造体に沿って下降する風を前記第2通風路へ導くガイド部を備えている。
請求項4に係る発明によれば、構造体の側壁にガイド部が設けられている。このガイド部によって、構造体に沿って下降する風が第2通風路へ導かれる。従って、第2通風路へ導入される風量(流量)が増加するため、構造体の反対側における空気の循環効率が向上する。また、地下通風路内に風力発電装置を設置する構成では、単位面積当たりの風量が増加し、風速が大きくなるため、風力発電装置の発電効率が向上する。
請求項5に記載の建物は、請求項4に記載の建物において、前記ガイド部が、前記構造体の側壁に形成され、前記構造体の高さ方向に延びると共に、前記第2通風路に通じる溝である。
請求項5に係る発明によれば、ガイド部が、構造体の高さ方向に延びる溝とされている。この溝によって構造体に沿って下降する風を第2通風路へ導くことにより、構造体の側方へ回り込む風の風量が低減される。従って、高層ビル等で問題となるビル風等の突風が抑制される。
請求項6に記載の建物は、請求項4に記載の建物において、前記ガイド部が、前記構造体の側壁から突出し、前記構造体の高さ方向に延びると共に、前記第2通風路を間において対向するガイド部材である。
請求項6に係る発明によれば、ガイド部が、構造体の高さ方向へ延びるガイド部材とされている。このガイド部材は構造体の側壁から突出し、第2通風路を間において対向している。これらのガイド部材によって、構造体に沿って下降する風が第2通風路へ導かれる。また、ガイド部材の間隔や、構造体の側壁から突出する突出量を増減することにより、第2通風路へ導入する風量が調整される。
請求項7に記載の建物は、請求項1〜6の何れか1項に記載の建物において、前記構造体の下の地下に構築された地下基礎と、前記構造体と前記地下基礎との間に設けられ、免震層を形成する免震装置と、を備え、前記地下通風路が、前記免震層に設けられている。
請求項7に係る発明によれば、地下通風路が、構造体と地下基礎との間に形成された免震層に設けられている。このように免震層を地下通風路として流用することにより、地盤を掘削して地下通風路を設ける構成と比較して、コスト削減を図ることができる。
本発明は、上記の構成としたので、建物周辺の空気の滞留を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1実施形態に係る建物10の構成について説明する。
図1(A)及び図1(B)には、建物10が示されている。建物10は、基礎12と構造体14を備えている。基礎12は、地盤Gを掘り下げた地下に構築されている。構造体14は角柱状で基礎12の上に構築され、その上部が地上へ露出している。
なお、構造体14は多角柱状でも良いし、円柱状でも良い。また、構造体14には、例えば、地下室や地下駐車場等の地下構造を設けても良い。即ち、構造体14は、少なくもその上部が地上へ露出しており、風が吹き付けられる状態であれば良い。また、構造体14は4つの側壁14A、14B、14C、14Dを有し、一の側壁14Aに直交する方向を矢印X方向で示し、この側壁14Aに隣接する他の側壁14Bに直交する方向を矢印Y方向で示し、矢印X方向を風が吹く方向として以下説明する。
基礎12には、2つの地下通風路16、18が設けられている。各地下通風路16、18は、構造体14の側壁14A及び側壁14Bにそれぞれ直交又は略直交する方向に延びており、平面視にて構造体14を横切っている。これにより、構造体14の側壁14A及び側壁14Bに沿って下降する風が地下通風路16、18に導入され易くなっている。これらの地下通風路16、18は平面視にて十字状に形成されており、構造体14の中央部で交差する交差部20で相互に通じている。
なお、本実施形態では、地下通風路16、18を構造体14の側壁14A及び側壁14Bにそれぞれ直交又は略直交させたが、地下通風路16、18を構造体14の側壁14A及び側壁14Bに対して傾斜させても良い。
各地下通風路16、18は、第1通風路16A、18Aと第2通風路16B、18Bを備えている。第1通風路16A、18Aは構造体14の下に設けられている。第2通風路16B、18Bは、第1通風路16A、18Aの両端部から上方へ延び、基礎12の上面に形成された通風口16C、18Cにそれぞれ通じている。通風口16C、18Cは矩形で、建物10の各側壁14A、14B、14C、14Dに隣接しており、建物10の側壁14A、14B、14C、14Dに沿って下降する風が導入可能になっている。
なお、通風口16C、18Cは、構造体14の側壁14A、14Cに沿って下降する風が導入可能な位置にあれば良く、側壁14A、14Cから離れた位置に設けても良いし、その一部が平面視にて構造体14と重なっていても良い。また、通風口16C、18Cには、落下防止用のネットや金網、若しくは通風口16C、18Cの外周にフェンス等を設けても良い。更に、本実施形態では、地下通風路16、18を基礎12に設けたが、地盤に設けても良い。
ここで、2つの地下通風路16、18が交差する交差部20には、風力発電装置24が設けられている。風力発電装置24は、プロペラ24Aの回転軸が水平とされた一般的な水平軸型の風力発電装置であり、プロペラ24Aが風を受けて回転することにより、図示しない発電機が作動して風力エネルギーが電気エネルギーに変換され、電力が発生するように構成されている。発生した電力は、図示しない配線等によって電子機器や蓄電池(二次電池)に導かれる。
また、プロペラ24Aの回転軸は、略鉛直に立てられた支軸によって回転可能に支持されており、風向きに応じてプロペラ24Aが風上側を向くように水平方向に回転可能になっている。これにより、例えば、第1通風路16A内を矢印X方向に吹く風に対しては、プロペラ24Aが図1(A)において左側を向き、第1通風路18A内を矢印Y方向に吹く風に対しては、プロペラ24Aが図1(A)において上側を向くようになっている。なお、風力発電装置24は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
次に、第1実施形態に係る建物10の作用について説明する。
図2(A)に示されるように、矢印X方向から構造体14の側壁14Aに吹き付けられた風(矢印a)は当該側壁14Aに沿って下降し、基礎12に形成された通風口16Cから第2通風路16Bに導入される。また、地表に沿って吹く風(矢印b)は、地表から直接、若しくは構造体14の側壁14Aに沿って下降して、通風口16Cから第2通風路16Bに導入される。第2通風路16Bに導入された風は、構造体14の下に設けられた第1通風路16Aに導入され、構造体14の反対側(構造体14の風下側)に設けられた第2通風路16Bを通して通風口16Cから導出される。これにより、構造体14の反対側、即ち、構造体14の風下側の空気が循環される。従って、構造体14の風下側、特に構造体14の背後における空気(例えば、建物10の空調排気や汚染物質を含む自動車の排気ガス等)や熱の滞留が抑制されるため、構造体14周辺の大気環境が改善される。
また、例えば、高層ビルが併設された沿岸部等では、これらの高層ビル群によって低温の海風等が遮られ、高層ビル群の風下側にある街区等でヒートアイランド現象等の高温化を招く恐れがある。これに対して本実施形態では、地下通風路16、18を通して構造体14の風下側へ低温の海風等が導かれるため、前述した街区等の高温化を抑制することができる。
更に、本実施形態では、地下通風路16、18に風が導入されると、地下通風路16、18の交差部20(図1(A)参照)に設けられた風力発電装置24によって風力エネルギーが電気エネルギーに変換される。即ち、風力発電装置24のプロペラ24Aが地下通風路16、18を通る風を受けて回転することにより、図示しない発電機が作動して風力エネルギーが電気エネルギーに変換される。
ここで、従来(例えば、特許文献1、2)のように、構造体14の頂部や隅角部に風力発電装置24を設置した場合、風力発電装置24の振動や騒音が構造体14に直接伝播され、構造体14の環境性能が低下する恐れがある。また、風力発電装置24の設置部には、風力に応じた応力が発生するため、当該設置部の補強が必要となり、構造体14の重量が増加する恐れがある。更に、風力発電装置24が地上に露出しているため、落雷対策等が必要となる。
これに対して本実施形態では、地下通風路16、18内に風力発電装置24を設置することにより、風力発電装置24の振動や騒音が基礎12を介して地盤Gへ伝播されるため、構造体14に伝播される振動や騒音が低減される。従って、構造体14の環境性能が向上する。また、基礎12に設けられた地下通風路16、18に風力発電装置24を設置することにより、構造体14の重量を増加せずに、風力発電装置24の設置部を補強することができる。更に、落雷対策等が不要になると共に、構造体14の頂部や隅角部に風力発電装置24を設置した場合と比較して、風力発電装置24へのアクセスが容易となるため、風力発電装置24のメンテナンス性が向上する。
更に、構造体14の頂部の風上側端部では平均風速の水平成分が小さいため、風力発電装置の発電効率が悪い。即ち、図2(B)に示されるように、構造体14の頂部周辺では、矢印X方向から構造体14の側壁14Aに吹き付けられた風が当該側壁14Aに沿って上昇する(矢印c)。この上昇風により構造体14の頂部の風上側端部では平均風速の鉛直成分(吹き上げ成分)が大きくなる。しかしながら、平均風速の水平成分は小さいため、構造体14の頂部の風上側端部に一般的な水平軸型の風力発電装置200を設置しても発電効率を高めることはできない。また、構造体14の頂部の風上側端部から風下側へ離れた中央部では相対的に平均風速が小さくなり、また、逆流風(矢印d)等によって風が乱れるため(一般に、10%〜30%程度)、風向の変化が大きくなる。従って、風力発電装置202に対して特定方向に安定して吹く風が供給されないため、発電効率が悪くなる。
これに対して本実施形態では、地下通風路16、18によって風向が特定の方向に制限されると共に、風の乱れが小さくなるため(10%以下)、風力発電装置24に対して特定方向に吹く風が安定して供給される。従って、平均風速の水平成分が構造体14の頂部の風上側端部の平均風速の水平成分よりも大きくなるため、風力発電装置24の発電効率が向上する。なお、構造体14の頂部に風力発電装置200、202を設置した場合を例に説明したが、構造体14の隅角部に風力発電装置を設置した場合も同様に、風の乱れ等によって風力発電装置の発電効率が悪くなる。
また、本実施形態では、地下通風路16、18を平面視にて十字状に設けたことにより、構造体14に対して四方向から吹き付ける風が、地下通風路16、18を通して構造体14の反対側へそれぞれ導かれる。これにより、構造体14の全周において、空気が循環され、空気や熱の滞留が抑制される。従って、構造体14の全周の大気環境が改善される。また、風が吹く方向を問わずに、風力発電装置24を作動させることができる。従って、発電量の安定化を図ることができる。
次に、第2実施形態に係る建物の構成について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図3〜図5に示されるように、第2実施形態に係る建物30では、地下通風路36、38が構造体14と基礎32との間に形成された免震層Lに設けられている。基礎32は、基礎スラブ(地下基礎)40(図4参照)と擁壁42を備えている。基礎スラブ40は、地盤Gを掘り下げた地下に構築され、その上面に複数の免震装置44が設置されている。これらの免震装置44によって構造体14が支持されると共に、基礎スラブ40と構造体14との間に免震層Lが形成されている。
基礎スラブ40の外周部には、構造体14の下部を囲む擁壁42が立てられている。擁壁42と構造体14との間には、構造体14の水平方向の変位を許容する隙間が形成されている。また、構造体14の下部には、当該構造体14の側壁14A、14B、14C、14Dから擁壁42の上方へ張り出す張出し部46が設けられている。この張出し部46によって構造体14と擁壁42との隙間が覆われている。
免震層Lには2つの地下通風路36、38が形成されている。各地下通風路36、38は、建物10の側壁14A及び側壁14Bにそれぞれ直交又は略直交する方向に延びており、平面視にて構造体14を横切っている。これらの地下通風路36、38は平面視にて十字状に形成されており、構造体14の中央部で交差する交差部48(図3参照)で相互に通じている。
各地下通風路36、38は、第1通風路36A、38Aと第2通風路36B、38Bを備え、隣接する免震装置44の間に、対向して立てられた仕切り壁50、52によって形成されている。仕切り壁50、52は、図4に示されるようにL型状の板材で、基礎スラブ40及び擁壁42にまたがって配置されている。第1通風路36A、38Aは構造体14の下に設けられており、第2通風路36B、38Bは、第1通風路36A、38Aの両端部から擁壁42に沿って上方へ延び、構造体14の張出し部46に形成された通風口36C、38Cにそれぞれ通じている。
なお、各仕切り壁50、52は、地震時における免震装置44の水平変形を阻害しないように、免震装置44との間に所定の間隔を空けて設けることが望ましい。また、仕切り壁50、52は、地震時における構造体14の水平移動を阻害しないように、構造体14及び基礎12の何れか一方に固定し、構造体14及び基礎12の何れか他方とは縁を切ることが望ましい。
通風口36C、38Cは矩形で、構造体14の各側壁14A、14B、14C、14Dに隣接しており、これらの側壁14A、14B、14C、14Dに沿って下降する風が導入可能になっている。また、2つの地下通風路36、38が交差する交差部48には、風力発電装置24が設けられている。
次に、第2実施形態に係る建物の作用について説明する。
図4に示されるように、矢印X方向から構造体14の側壁14Aに吹き付けられた風(矢印a)は当該側壁14Aに沿って下降し、張出し部46に形成された通風口36Cから第2通風路36Bに導入される。また、構造体14の張出し部46に沿って吹く風(矢印b)は、張出し部46から直接、若しくは構造体14の側壁14Aに沿って下降して、通風口36Cから第2通風路36Bに導入される。第2通風路36Bに導入された風は、構造体14の下に設けられた第1通風路36Aに導入され、構造体14の反対側(構造体14の風下側)に設けられた第2通風路36Bを通して通風口36Cから導出される。
また、本実施形態では、地下通風路36、38に風が導入されると、地下通風路36、38の交差部48(図3参照)に設けられた風力発電装置24によって風力エネルギーが電気エネルギーに変換される。即ち、風力発電装置24のプロペラ24Aが地下通風路36、38を通る風を受けて回転することにより、図示しない発電機が作動して風力エネルギーが電気エネルギーに変換される。
従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、免震層Lに地下通風路36、38を設けたことにより、地盤Gを掘削して地下通風路36、38を設ける構成と比較して、コスト削減を図ることができる。
次に、上記第1、第2実施形態に係る地下通風路の変形例について説明する。なお、第1実施形態に係る地下通風路16、18を用いて説明するが、以下で説明する各変形例は第2実施形態に係る地下通風路36、38にも適用可能である。
図6に示されるように、2つの地下通風路16、18が交差する交差部20に開閉手段を設けても良い。開閉手段は、略鉛直に立てられる回転軸62と、回転軸62に回転可能に支持される回転板64を備え、交差部20の外周に複数(図6では、8つ)設けられている。これらの開閉手段は、各々の回転板64が同じ向きとなるように設けられている。各回転板64は図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動され、一方の第1通風路18A(又は第1通風路16A)に対して回転板64が直交すると、当該第1通風路18A(又は第1通風路16A)が閉じられ、他方の第1通風路16A(又は第1通風路18A)が開放されるようになっている(図6に示す状態)。
駆動源には、当該駆動源を電気的に制御する切替手段(図示省略)が接続されている。この切替手段は、構造体14(図2(A)参照)の頂部に設置されて構造体14に吹き付ける風の向きを検出する風向センサ(図示省略)に接続されている。この切替手段が、風向センサで検出された風向に応じて駆動源を作動することにより、2つの地下通風路16、18が切り替えられるようになっている。
このように、構造体14に吹き付ける風の風向に応じて2つの地下通風路16、18を切り替えることにより、風力発電装置24の発電効率を高めことができる。例えば、矢印X方向(図1(A)参照)から構造体14に吹き付ける風の風速が、矢印Y方向(図1(A)参照)から構造体14に吹き付ける風の風速よりも大きい場合、図6に示されるように、各開閉手段の回転板64を回転させて地下通風路18を閉じると共に、地下通風路16を開放することで、風速が大きい矢印X方向の風(矢印W)を風力発電装置24に供給することができる。また、回転板64によって地下通風路18が遮蔽され、地下通風路16から地下通風路18へ流れる風が低減されるため、交差部20を通過する単位面積当たりの風量が増加する。更に、回転板64によって地下通風路18から交差部20に吹き込む風が遮蔽されるため、交差部20における風の乱れが抑制される。従って、風力発電装置24の発電効率が向上する。
次に、図7(A)及び図7(B)に示されるように、風力発電装置24に、開閉手段としての一対の開閉翼66を設けても良い。これらの開閉翼66は平面視にて円弧状に湾曲され、風力発電装置24を間において対向すると共に、風力発電装置24の鉛直軸24Bに回転可能に取り付けられている。この開閉翼66が回転することより、地下通風路16、18の一方が閉じられ、地下通風路16、18の他方が開放されるようになっている。
この開閉翼66により構造体14に吹き付ける風の風向に応じて2つの地下通風路16、18を切り替えることにより、風力発電装置24の発電効率を高めことができる。なお、開閉翼66は、モータ等の駆動源を用いて回転駆動しても良いし、風を受けて回転するように構成しても良い。
次に、上記第1、第2実施形態では、水平軸型の風力発電装置24を用いたが、図8(A)に示されるように、鉛直軸型の風力発電装置68を用いても良い。この風力発電装置68は、略鉛直に立てられた鉛直軸68Aと、当該鉛直軸68Aに回転可能に取り付けられた3枚の回転翼68Bを備えている。これらの回転翼68Bが風を受けて回転することにより、図示しない発電機が作動され、風力エネルギーが電気エネルギーに変換されて電力が発生するように構成されている。
また、図8(A)に示されるように、地下通風路16、18には、断面減少部70、72を設けても良い。この断面減少部70、72により、通風口16C、18C(図1(A)参照)から風力発電装置68に向かって地下通風路16、18の断面積を徐々に減少させることにより、単位面積当たりの風量(流量)が増加するため風速が大きくなる。従って、風力発電装置68の発電効率が向上する。なお、図8(A)に示す構成では、地下通風路16、18の幅を徐々に減少させたが、地下通風路16、18の高さを徐々に減少させても良い。また、断面減少部70、72は、第1通風路16A、18Aに設けても良いし、第2通風路16B、18Bに設けても良い。
次に、上記第1、第2実施形態では、2つの地下通風路16、18(地下通風路36、38)が交差する交差部20(交差部48)に風力発電装置24を設けたがこれに限らず、第1通風路16A、18A(第1通風路36A、38A)、第2通風路16B、18B(第2通風路36B、38B)に風力発電装置24を設置しても良い。また、1つの地下通風路16、18(地下通風路36、38)に対して、複数の風力発電装置24を設置しても良い。この場合、図8(B)に示されるように、各風力発電装置24を風が吹く方向(矢印W方向)に重ねず、かつ、風が吹く方向に所定の間隔を空けて階段状(又は千鳥状)に配列することが望ましい。隣接する風力発電装置24の影響を低減することができるためである。
次に、上記第1、第2実施形態に係る構造体の変形例について説明する。
構造体14には、側壁14A、14B、14C、14Dに沿って下降する風を第2通風路16B、18B、36B、38Bへ導くガイド部を設けても良い。具体的には、図9に示されるように、構造体14の側壁14A、14Cには、当該側壁14A、14Cから凹んだガイド部としての溝74がそれぞれ形成されている。溝74は平面視にて矩形状で、構造体14の底部から当該構造体14の高さ方向(矢印H方向)に延びて構造体14の頂部に達している。これらの溝74は、基礎12に設けられた地下通風路76の通風口76Cにそれぞれ通じている。
地下通風路76は、第1通風路76Aと第2通風路76Bを備えている。第1通風路76Aは構造体14の下に設けられており、第2通風路76Bは第1通風路76Aの両端部から上方へ延び、構造体14の周囲の基礎12に形成された通風口76Cにそれぞれ通じる。これにより、構造体14の溝74に沿って下降する風が、通風口76Cから第2通風路76Bへ導入可能になっている。
なお、構造体14の周囲とは、側壁14A、14B、14C、14Dの外側だけでなく、溝74のように側壁14A、14Cから凹んだ部分も含む概念である。
なお、構造体14の周囲とは、側壁14A、14B、14C、14Dの外側だけでなく、溝74のように側壁14A、14Cから凹んだ部分も含む概念である。
このように、構造体14の側壁14A、14Cに溝74を形成することにより、当該溝74に沿って下降する風が通風口76Cから第2通風路76Bへ導かれる。これにより、第2通風路76Bへ導入される風量が増加するため、構造体14の反対側における空気の循環効率が向上する。また、第2通風路76B内に導入される風の風量が増加し、地下通風路76内の風速が大きくなるため、風力発電装置24(図1(B)参照)の発電効率が向上する。更に、溝74によって構造体14の側壁14A、14Cに沿って下降する風を第2通風路76Bへ導くことにより、構造体14の側壁14B、14D側へ回り込む風(矢印R)の風量が低減される。従って、高層ビル等で問題となるビル風等の突風が抑制される。
ここで、構造体の側方へ回り込む風(ビル風)を低減する手段として、植栽などを設けることが一般に行われている。しかしながら、都心部等では敷地面積に余裕がなく、植栽の設置スペースの確保が困難であることが多い。これに対して本変形例では、このような植栽等を省略することできるため、敷地面積に余裕がない構造体にも適用することができる。
また、図10に示されるように、溝74に、構造体14の頂部に向かって幅が広がる幅増加部78を設けることにより、第2通風路76Bへ導く風量を更に増加することができる。これにより、構造体14の反対側における空気の循環効率、及び風力発電装置24の発電効率を更に向上することができる。なお、溝74の幅だけでなく、溝74の深さによっても第2通風路76Bへ導入する風量を調整することができる。
なお、溝74は、必ずしも構造体14の頂部から設ける必要はなく、構造体14の任意の高さから設けても良い。
なお、溝74は、必ずしも構造体14の頂部から設ける必要はなく、構造体14の任意の高さから設けても良い。
また、図11に示されるように、構造体14の側壁14A、14Cに一対のガイド部材80A、80Bを設けても良い。ガイド部材80A、80Bは構造体14の側壁14A、14Cから突出し、側壁14A、14Cの幅方向に対向すると共に、構造体14の底部から当該構造体14の高さ方向(矢印H方向)へ延びている。ガイド部材80A、80Bの間には、構造体14の側壁14A、14Cに隣接して形成された通風口16Cが設けられており、これらのガイド部材80A、80Bによって構造体14の側壁14A、14Cに沿って下降する風が通風口16Cを通して第2通風路16Bへ導入可能となっている。
従って、第2通風路16B、18Bへ導入される風量が増加するため、構造体14の反対側における空気の循環効率が向上する。また、第2通風路16B内に導入される風の風量が増加し、地下通風路16内の風速が大きくなるため、風力発電装置24(図1(B)参照)の発電効率が向上する。更に、ガイド部材80A、80Bの間隔や高さ、構造体14の側壁14A、14Cから突出する突出量を増減することにより、第2通風路16B、18Bへ導入する風量を調整することができる。
次に、風洞実験について説明する。本風洞実験では、ケース1、2について実験を行った。以下、ケース1、2ごとに説明する。
[ケース1]
<実験概要>
先ず、ケース1について説明する。ケース1では、地下通風路の数、ガイド部の有無、ガイド部の形状をパラメータとして付与し、特定方向から試験体としての建物に風洞気流を当て、地下通風路内の風速を計測した。
<実験概要>
先ず、ケース1について説明する。ケース1では、地下通風路の数、ガイド部の有無、ガイド部の形状をパラメータとして付与し、特定方向から試験体としての建物に風洞気流を当て、地下通風路内の風速を計測した。
<試験体>
図12(A)〜図12(E)には、試験体としての建物T1〜T5の平面図が示されており、図13(A)及び図13(B)には、建物T2の斜視図及び立面図がそれぞれ示されている。図13(A)及び図13(B)に示されるように、各建物T1〜T5は構造体84を備えている。構造体84は正四角柱で4つの側壁84A、84B、84C、84Dを有し、高さH=300mm、幅B=100mmである。
図12(A)〜図12(E)には、試験体としての建物T1〜T5の平面図が示されており、図13(A)及び図13(B)には、建物T2の斜視図及び立面図がそれぞれ示されている。図13(A)及び図13(B)に示されるように、各建物T1〜T5は構造体84を備えている。構造体84は正四角柱で4つの側壁84A、84B、84C、84Dを有し、高さH=300mm、幅B=100mmである。
建物T1には、図12(A)に示されるように、地下通風路が設けられておらず、評価基準となっている。
建物T2には、図12(B)に示されるように、2つの地下通風路86、88が設けられている。各地下通風路86、88は、構造体84の側壁84A及び側壁84Bにそれぞれ直交する方向に延びており、平面視にて構造体84を横切っている。これらの地下通風路86、88は平面視にて十字状に形成されており、構造体84の中央部で交差する交差部90で相互に通じている。地下通風路86、88の断面は、図13(A)及び図13(B)に示されるように、幅b=50mm、高さh=20mmとされており、地下通風路86、88の通風口86C、88Cは、幅b=50mm、奥行d=20mmとされている。なお、地下通風路86の寸法は、以下の建物T3〜T5に共通である。
建物T3には、図12(C)に示されるように、1つの地下通風路86が設けられている。
建物T4には、図12(D)に示されるように、1つの地下通風路86が設けられている。また、構造体84の側壁84A、84Cに、ガイド部としてのガイド部材92A、92B(高さ100mm)がそれぞれ設けられている。
建物T5には、図12(D)に示されるように、1つの地下通風路86が設けられている。また、構造体84の側壁84A、84Cには、ガイド部としての溝94(深さ20mm)が設けられている。
建物T2には、図12(B)に示されるように、2つの地下通風路86、88が設けられている。各地下通風路86、88は、構造体84の側壁84A及び側壁84Bにそれぞれ直交する方向に延びており、平面視にて構造体84を横切っている。これらの地下通風路86、88は平面視にて十字状に形成されており、構造体84の中央部で交差する交差部90で相互に通じている。地下通風路86、88の断面は、図13(A)及び図13(B)に示されるように、幅b=50mm、高さh=20mmとされており、地下通風路86、88の通風口86C、88Cは、幅b=50mm、奥行d=20mmとされている。なお、地下通風路86の寸法は、以下の建物T3〜T5に共通である。
建物T3には、図12(C)に示されるように、1つの地下通風路86が設けられている。
建物T4には、図12(D)に示されるように、1つの地下通風路86が設けられている。また、構造体84の側壁84A、84Cに、ガイド部としてのガイド部材92A、92B(高さ100mm)がそれぞれ設けられている。
建物T5には、図12(D)に示されるように、1つの地下通風路86が設けられている。また、構造体84の側壁84A、84Cには、ガイド部としての溝94(深さ20mm)が設けられている。
<実験方法>
矢印X方向(図13(A)参照)から各建物T1〜T5に風洞気流を当て、建物T1については、構造体84の頂部中央部に設置された風速計Pで風速を計測し、建物T2〜T5については、地下通風路86内の中央部に設置された風速計Pで風速を計測した。この風速計Pは、構造体84の頂部の床又は地下通風路86の床から高さ10mmの位置に設置されている。
矢印X方向(図13(A)参照)から各建物T1〜T5に風洞気流を当て、建物T1については、構造体84の頂部中央部に設置された風速計Pで風速を計測し、建物T2〜T5については、地下通風路86内の中央部に設置された風速計Pで風速を計測した。この風速計Pは、構造体84の頂部の床又は地下通風路86の床から高さ10mmの位置に設置されている。
なお、評価基準となる構造体84の高さH=300mmでの平均風速(以下、「基準風速UH」という)も計測した。この基準風速UHは、構造体84の影響を受けないように構造体84から充分離れた位置で計測した。
<実験結果>
建物T1の構造体84の頂部中央部の平均風速U、及び建物T2〜T5の地下通風路86、88内の平均風速Uの計測結果を表1に示す。なお、各平均風速Uの計測結果は、基準風速UHに対する平均風速Uの比(以下、「風速比U/UH」という)として表している。
建物T1の構造体84の頂部中央部の平均風速U、及び建物T2〜T5の地下通風路86、88内の平均風速Uの計測結果を表1に示す。なお、各平均風速Uの計測結果は、基準風速UHに対する平均風速Uの比(以下、「風速比U/UH」という)として表している。
なお、地下通風路内の平均風速の理論値は、下記式(1)によって求められる。
ただし、
α :流量係数(地下通風路の形状に起因する係数)
ΔC:=C1−C2
C1:構造体の風上側の風圧係数(構造体の形状に起因する係数)
C2:構造体の風下側の風圧係数(構造体の形状に起因する係数)
UH:基準風速(構造体高さでの平均風速)
である。
ただし、
α :流量係数(地下通風路の形状に起因する係数)
ΔC:=C1−C2
C1:構造体の風上側の風圧係数(構造体の形状に起因する係数)
C2:構造体の風下側の風圧係数(構造体の形状に起因する係数)
UH:基準風速(構造体高さでの平均風速)
である。
表1から分かるように、建物T1における構造体84の頂部中央部の風速比U/UHが0.45であるのに対し、建物T2〜T5における地下通風路86、88内の風速比U/UHは、それぞれ0.57、0.73、0.75、0.85となっており、建物T1における構造体84の頂部中央部の平均風速Uよりも、建物T2〜T5における地下通風路86内の平均風速Uが増加した。
ここで、風力発電装置の発電効率は、一般に風力発電装置が受ける風速の3乗に比例する。従って、構造体84の頂部中央部に風力発電装置24を設置した場合と比較して、地下通風路86、88内に風力発電装置24(図1(B)参照)を設置することにより、風力発電装置24の発電効率を向上することができる。仮に、地下通風路86内の平均風速Uを構造体84の頂部中央部の平均風速Uの2倍として試算すると、地下通風路86内に設置された風力発電装置24の発電効率は、構造体84の頂部中央部の設置された風力発電装置24の発電効率の8倍(=23)になる。
また、表1から分かるように、建物T4及び建物T5では、建物T2及び建物T3よりも風速比U/UHが大きくなっている。即ち、ガイド部材92A、92B又は溝94を設けることにより、風力発電装置24の発電効率が向上することが分かる。これは、ガイド部としてのガイド部材92A、92B又は溝94によって、構造体84の側壁84Aに沿って下降した風が通風口86Cから地下通風路86に導かれ、地下通風路86内の風量が増加したためと考えられる。
また、図14には、建物T5の構造体84の側方(側壁84D側)で計測した風速比分布が示されている。この建物T5の風速比分布は、建物T1の構造体84の側方の平均風速UT1に対する建物T5の構造体84の側方の平均風速UT5の比(風速比UT5/UT1)を算出し、同じ値の風速比UT5/UT1を線で結んだものであり、例えば、1.00の線上では平均風速UT1と平均風速UT5が同じであることを意味する。これらの建物T1及び建物T5の構造体84の側方の平均風速UT1、UT5は、図15に示されるように、床から高さ10mmの位置に設置された複数の計測点(二点鎖線で囲まれた領域内の黒丸)で計測した。
図14から分かるように、建物T5の構造体84の側方では、風速比UT5/UT1=1.00の線を境に構造体84側で、建物T1よりも平均風速UT5が小さくなった。このことから、ガイド部として溝94を設けることにより、構造体84の側方へ回り込む風の風速が低減されたことが分かる。これは、ガイド部としての溝94によって構造体84に側壁84Aに吹き付けられた風が地下通風路86へ導かれた結果、構造体84の側方へ回り込む風の風量が減少したためと考えられる。
更に、図19には、建物T3の中心位置での縦断面図が示されており、数値流体解析で解析した地下通風路86内及び構造体84の高さ方向の風速比分布が示されている。この風速比分布は、基準風速UHに対する建物T3の平均風速Uの比(風速比U/UH)として表している。
図19から分かるように、構造体84の頂部における中央部及び風下側端部付近では風速比U/UHが約0〜0.1となり、平均風速が小さくなることが分かる。また、構造体84の頂部における風上側端部付近では風速比U/UHが約1になっているものの、これは前述したように、構造体84の側壁84A(図12(C)参照)に沿って上昇する上昇風に起因する平均風速の鉛直成分によるものであり、その水平成分は小さくなる。従って、構造体14の頂部付近に一般的な水平軸型の風力発電装置を設置しても発電効率を高めることはできない。一方、構造体84の頂部の上方では、風速比U/UHが約1となっているが、構造体84の頂部から相当離れている。従って、この領域に風力発電装置のプロペラを設置するためには、プロペラ高さを高くする必要があり、風力発電装置が大型化する。
これに対して地下通風路86内では、風速比U/UHが約0.6〜0.8となっており、構造体84の頂部と比較して、風力発電装置の発電効率が向上することが分かる。また、地下通風路86内では、床付近で風速比U/UHが大きくなっているため、プロペラ高さを低く抑えることが可能となり、構造体84の頂部に風力発電装置を設置する場合と比較して、風力発電装置の小型化を図ることができる。
[ケース2]
<実験概要>
次に、ケース2について説明する。ケース2では、建物T3に対して通風口86C、88Cの開口幅bをパラメータとして付与し、開口幅bが地下通風路86、88内の風速、及び構造体84の側方(地上)へ回り込む風の風速に与える影響を検証した。
<実験概要>
次に、ケース2について説明する。ケース2では、建物T3に対して通風口86C、88Cの開口幅bをパラメータとして付与し、開口幅bが地下通風路86、88内の風速、及び構造体84の側方(地上)へ回り込む風の風速に与える影響を検証した。
<試験体>
図16(A)、図16(B)、図17(A)、及び図17(B)には、試験体としての4つの建物T31、T32、T33、T34が示されている。各建物T31、T32、T33、T34の開口幅bは、それぞれ10mm、30mm、50mm、80mmであり、構造体84の幅B(100mm)に対する開口幅bの比(以下、「開口幅比b/B」という)は、それぞれ0.1、0.3、0.5、0.8である。なお、開口幅bに応じて地下通風路86の幅も増減している。また、建物T33は、図12(C)に示す建物T3と同じ構成である。
図16(A)、図16(B)、図17(A)、及び図17(B)には、試験体としての4つの建物T31、T32、T33、T34が示されている。各建物T31、T32、T33、T34の開口幅bは、それぞれ10mm、30mm、50mm、80mmであり、構造体84の幅B(100mm)に対する開口幅bの比(以下、「開口幅比b/B」という)は、それぞれ0.1、0.3、0.5、0.8である。なお、開口幅bに応じて地下通風路86の幅も増減している。また、建物T33は、図12(C)に示す建物T3と同じ構成である。
<実験結果>
図16(A)、図16(B)、図17(A)、及び図17(B)には、各建物T31〜T34の構造体84の側方(側壁84D側)で計測した風速分布が示されている。これらの風速分布は、建物T1の構造体84の側方の平均風速UT1に対する各建物T31〜T34の構造体84の側方の平均風速UT31、UT32、UT33、UT34の比(風速比)をそれぞれ算出し、建物T31〜T34ごとに同じ値の風速比UT31/UT1、UT32/UT1、UT33/UT1、UT34/UT1を線で結んだものである。なお、各平均風速UT1、UT31、UT32、UT33、UT34は、図15に示した複数の計測点(二点鎖線で囲まれた領域内の黒丸)で計測した。
図16(A)、図16(B)、図17(A)、及び図17(B)には、各建物T31〜T34の構造体84の側方(側壁84D側)で計測した風速分布が示されている。これらの風速分布は、建物T1の構造体84の側方の平均風速UT1に対する各建物T31〜T34の構造体84の側方の平均風速UT31、UT32、UT33、UT34の比(風速比)をそれぞれ算出し、建物T31〜T34ごとに同じ値の風速比UT31/UT1、UT32/UT1、UT33/UT1、UT34/UT1を線で結んだものである。なお、各平均風速UT1、UT31、UT32、UT33、UT34は、図15に示した複数の計測点(二点鎖線で囲まれた領域内の黒丸)で計測した。
図16(A)及び図16(B)から分かるように、建物T31、T32では構造体84の側方の平均風速UT31、UT32が、風速比1.00の線を境に構造体84側で建物T1の平均風速UT1よりも小さくなった。一方、図17(A)及び図17(B)から分かるように、建物T33、T34では構造体84の側方の平均風速UT31、UT32が、建物T1の平均風速UT1よりも大きくなった。このことから、開口幅比b/Bを0.3以下にすることにより、構造体84の側方へ回り込む風の平均風速を低減することができることが分かる。従って、構造体84の側方へ回り込む風の平均風速を低減するためには、開口幅比b/Bを0.3以下(b/B≦0.3)にすることが望ましい。
また、図18には、開口幅比b/Bと地下通風路86内の風速比U/UHの関係が示されている。なお、図18には、追加で実施した開口幅比b/B=0.6の実験結果も示されている。この図18から分かるように、開口幅比b/Bが0.1〜0.5では、風速比U/UHが0.75前後で保持されるのに対し、開口幅比b/Bが0.5を超えると、風速比U/UHが徐々に減少することが分かる。即ち、開口幅比b/Bを0.5以下にすることにより、地下通風路86、88内の平均風速を確保できることが分かる。従って、地下通風路86、88内の平均風速を確保するためには、開口幅比b/Bを0.5以下(b/B≦0.5)にすることが望ましい。
ただし、開口幅比b/Bは、地下通風路86内に設置される風力発電装置の設置数や大きさを考慮して設定することが望ましい。地下通風路86の断面積が大きいほど、風力発電装置の設置数を増やしたり、大きな風力発電装置を設置したりすることができ、発電量を増加することができるためである。
このように、上記第1、第2実施形態に係る建物10、30では、開口幅比b/Bを0.5以下にすることにより、地下通風路86、88内の平均風速を確保することができ、更に、開口幅比b/Bを0.3以下にすることにより、構造体14の側方に回り込む風の風速を低減することができる。
以上、本発明の第1、第2の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1、第2の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 建物
12 基礎
14 構造体
16 地下通風路
16A 第1通風路
16B 第2通風路
18 地下通風路
18A 第1通風路
18B 第2通風路
24 風力発電装置
30 建物
32 基礎
36 地下通風路
36A 第1通風路
36B 第2通風路
38 地下通風路
38A 第1通風路
38B 第2通風路
40 基礎スラブ(地下基礎)
44 免震装置
68 風力発電装置
74 溝(ガイド部)
76 地下通風路
76A 第1通風路
76B 第2通風路
80A ガイド部材(ガイド部)
80B ガイド部材(ガイド部)
12 基礎
14 構造体
16 地下通風路
16A 第1通風路
16B 第2通風路
18 地下通風路
18A 第1通風路
18B 第2通風路
24 風力発電装置
30 建物
32 基礎
36 地下通風路
36A 第1通風路
36B 第2通風路
38 地下通風路
38A 第1通風路
38B 第2通風路
40 基礎スラブ(地下基礎)
44 免震装置
68 風力発電装置
74 溝(ガイド部)
76 地下通風路
76A 第1通風路
76B 第2通風路
80A ガイド部材(ガイド部)
80B ガイド部材(ガイド部)
Claims (7)
- 地上に構築された構造体と、
地下に設けられ、前記構造体に吹き付けられて該構造体に沿って下降する風を、該構造体の下を通して該構造体の反対側へ導く地下通風路と、
を備える建物。 - 前記地下通風路が、
前記構造体の下に設けられた第1通風路と、
前記構造体の周囲の地盤又は基礎に設けられ、前記第1通風路へ風を導入し又は該第1通風路から風を導出する第2通風路と、
を有する請求項1に記載の建物。 - 前記地下通風路内に、風力発電装置が設置されている請求項2に記載の建物。
- 前記構造体の側壁に設けられ、該構造体に沿って下降する風を前記第2通風路へ導くガイド部を備える請求項2又は請求項3に記載の建物。
- 前記ガイド部が、前記構造体の側壁に形成され、前記構造体の高さ方向に延びると共に、前記第2通風路に通じる溝である請求項4に記載の建物。
- 前記ガイド部が、前記構造体の側壁から突出し、前記構造体の高さ方向に延びると共に、前記第2通風路を間において対向するガイド部材である請求項4に記載の建物。
- 前記構造体の下の地下に構築された地下基礎と、
前記構造体と前記地下基礎との間に設けられ、免震層を形成する免震装置と、
を備え、
前記地下通風路が、前記免震層に設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載の建物。
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