JP2011225649A - イミド難燃剤、樹脂溶液、フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

イミド難燃剤、樹脂溶液、フィルム、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のポリイミド粒子は、最大粒径が大きく、電子材料のような微細な加工品に使用し、難燃性を付与することが困難であった。また金属水和物などの難燃剤を多量に併用することにより、樹脂の特性を低下させてしまうという課題があった。
【解決手段】 テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて得られるイミドであり、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とするイミド難燃剤により上記課題を解決し得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、イミド難燃剤、樹脂溶液、フィルム、及びその製造方法に関する。
従来の難燃剤には、ハロゲン化合物及びアンチモン化合物を併用した難燃剤が広く使われている。しかしながら、近年ハロゲン系難燃剤は、環境への影響が問題視されており、欧州での規制等から使用が禁止もしくは制限される方向にあり、各社で非ハロゲン系難燃剤の開発が進んでいる。
非ハロゲン系難燃剤の例として、特許文献1には難燃性ポリエステル組成物、つまりポリエステルと、トリアジン、グアニジン、シアヌレート、イソシアヌレート及びこれらの含窒素難燃剤の1種以上を含む混合物からなる群から選択される含窒素難燃剤と、ホスフィン酸塩又はジホスフィン酸塩及び/又はそのポリマーと、チャー生成ポリマーとを含んでなる組成物が提案されている。しかしチャー生成ポリマーとしてエーテルイミドを難燃性付与として樹脂と少量ブレンドしているが、その他の含窒素難燃剤やホスフィン酸系の難燃剤等を大量に含有することで難燃性を付与しているため、廃棄の際のリン酸溶出等による環境負荷が大きかった。また押出し機等で溶融混合や溶液混合しペレット化するため、プリント配線板の様な電子材料の微細な加工品を形成する上で十分に難燃剤の微細粒子を均一に分散した液を得ることが困難であり、微細な成形品での難燃性を付与することが困難であった。またホスフィン酸等の難燃剤を使用すると成形時のブリードアウトや電気絶縁信頼性に影響することが問題であった。
また、特許文献2には(a)熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂、(b)ポリイミド粒子、(c)金属水和物を必須成分とする難燃性樹脂組成物において、上記ポリイミド粒子として、ポリイミドフィルム又はシートを原料としこれを石臼式粉砕機を用いて湿式粉砕して得た、ポリイミドフィルム又はシート由来の平行面が消失したポリイミド粒子を使用したことを特徴とする難燃性樹脂組成物が提案されている。この発明はポリイミドフィルムやシートを石臼式湿式粉砕機により最大粒径400μm程度に粉砕し、ブレンドすることで難燃性を付与した成形品を得ているが、プリント配線板の様な電子材料の微細な加工品を形成する上で十分な微細粒子を得ることが困難であり、均一に分散し難く、微細な加工品における難燃性や屈曲性を付与することが困難であった。
特表2007−514828号公報 特開2009−298939号公報
特許文献2には、メディアン径が10〜200μmかつ最大粒径が1000μmのポリイミド粒子が記載されているが、実際には最大粒径が400μm程度のものを使用しており、また粒子径の小さいものを得ようとするとポリイミドの構造破壊が生じ、樹脂本来の特性が損なわれるとの記載がある。またメディアン径が小さくとも最大粒径が大きければ電子材料のような微細な加工品に使用するのは困難であるという課題があった。また、従来の難燃剤においては、金属水和物などの難燃剤とポリイミドを併用する必要があり、金属水和物などを多量に使用することにより、樹脂の特性を低下させてしまうという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて得られるイミドであり、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とする完全イミド難燃剤、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート及びジアミンを反応させて得られるアミド酸結合を含むイミドあるいはアミド酸をイミド化した完全イミドであり、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とするイミド難燃剤は、樹脂に分散しやすく、難燃効果に優れることを見出しなされた発明である。また、従来のようなハロゲン系、リン系、金属水和物系難燃剤を使用せずに本発明のイミド難燃剤を使用した場合には、樹脂と難燃剤がともに樹脂系であるために、樹脂本来の特性の低下を抑えることが可能となる。イミド難燃剤に他の難燃剤を併用する場合にも、他の難燃剤の使用量を低下させることが可能となるため、樹脂本来の特性の低下を抑えることが可能となる。また平均粒径ではなく、最大粒径を規定することにより、微細な加工品にも適用可能である。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1)テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて得られるイミドであり、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とする完全イミド難燃剤、
2)前記イミドはさらに末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて得られるイミドであることを特徴とする1)に記載の完全イミド難燃剤、
3)テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート及びジアミンを反応させて得られるアミド酸結合を含むイミドあるいはアミド酸をイミド化した完全イミドであり、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とするイミド難燃剤、
4)前記イミドはさらに末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて得られるイミドであることを特徴とする3)に記載のイミド難燃剤、
5)溶剤、樹脂、及び最大粒子径が1μm以上、50μm以下である、1)または2)に記載の完全イミド難燃剤あるいは3)または4)に記載のイミド難燃剤を含有することを特徴とする樹脂溶液、
6)樹脂及び最大粒子径が1μm以上、50μm以下である、1)または2)に記載の完全イミド難燃剤あるいは3)または4)に記載のイミド難燃剤を含有し、フィルムの厚みが最大粒子径以上であり、かつ5〜50μmであることを特徴とするフィルム、
7)芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジイソシアネート、及び末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて、イミドを得るイミド化工程、前記イミドを粉砕し、最大粒子径が1μm以上、100μm以下の完全イミド難燃剤を得る粉砕工程を含むことを特徴とする完全イミド難燃剤の製造方法、
8)前記粉砕工程は、溶剤、樹脂及びイミドを含む樹脂溶液の状態で粉砕を行うことを特徴とする7)に記載の完全イミド難燃剤の製造方法、
9)芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジイソシアネート、芳香族ジアミン、及び末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて、アミド酸結合を含むイミドを得るイミド化工程、前記イミドを粉砕し、最大粒子径が1μm以上、100μm以下のイミド難燃剤を得る粉砕工程を含むことを特徴とするイミド難燃剤の製造方法、
10)前記粉砕工程は、溶剤、樹脂及びイミドを含む樹脂溶液の状態で粉砕を行うことを特徴とする9)に記載のイミド難燃剤の製造方法。
本発明のイミド難燃剤は、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることにより、樹脂などに分散し、難燃性が優れるという効果を奏する。
また、イミドの微細粒子を粉砕・分散することで、組成物中の樹脂との界面の親和性、接着性がよくなることで屈曲性に優れ、またブリードアウト抑制による耐熱性や電気絶縁信頼性に優れ、プリント配線板の様な電子材料の微細な加工品を形成する上で良好に用い得るという効果を奏する。
本発明のテトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート、またはテトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート及びジアミンとを反応させて得られるイミド難燃剤は、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とし、樹脂中に分散させることにより、樹脂を燃焼させにくい効果があるイミド難燃剤である。最大粒子径は、JIS K5600に準じて、イミド難燃剤を含有する樹脂溶液を用いて、グラインドメータにより測定することができる。具体的には、イミド難燃剤を含有する樹脂溶液をグラインドメータのゲージの一番深い所へ流し込みスクレーパーで溝の浅い方向に向って引いた際に、引いた方向にスジや粒が出始めたところに着目し、3mm幅の帯に5〜10個の粒子を含む部分の上限の位置を各サイズのゲージに対応した最も近い帯の上限の位置とする。例えば、100μmゲージでは、5μmきざみで確認し、25μmゲージでは、1μmきざみで確認し、最も近い数値を最大粒子径とする。最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることにより、樹脂中に分散しやすくなり、難燃性の効果が高くなる。好ましくは、最大粒子径が1μm以上、50μm以下、より好ましくは、最大粒子径が1μm以上、10μm以下であることにより、難燃効果が高まるとともに微細な加工品やフィルムにする際に所望の成形品を得ることができる。1μm未満の場合は、技術的に粉砕が難しく、粉砕できたとしても再凝集により、分散性が乏しく、取り扱いが難しくなる傾向がある。100μmより大きいと、微細な加工品やフィルムにする際、所望の成形品を得にくい。なお、本発明においてはテトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて得られるイミドを完全イミド難燃剤と呼ぶ。テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートの反応では、アミド酸を経ずに直接にイミド環が生じ、全ての反応点がイミド環となっているためである。これに対し、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート及びジアミンを反応させた場合には、ジアミンの反応点はアミド酸となるために、まずアミド酸結合を含むイミドが得られる。これをそのままイミド難燃剤としてもよいし、あるいは、アミド酸をイミド化して完全イミド難燃剤としてもよい。ここでイミド難燃剤とは、アミド酸結合を含むイミドの場合と完全イミドの場合の両方を含む概念である。また、本発明で使用する用語としての「イミド」とは、少なくとも主鎖骨格中の一部にイミド環を含むものを意味する。 本発明のイミドは、少なくとも原料としてテトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて得られる。特に芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジイソシアネートとを反応させて得られるイミドが、燃焼する樹脂と点火源との間に絶縁性のチャー(炭化層)を形成しやすく、難燃効果が高い点で好ましい。更に、リン及びハロゲンを含有しない芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジイソシアネートとを反応させて得られるイミドが、安価で且つ入手性がよく、環境に優しい点で、好ましい。更に、上記イミドの末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを用いることにより、イミドの分子量を制御しやすくなり、その結果オリゴマー状のイミドとし、溶剤または樹脂溶液と混合、粉砕・分散を容易にし、副反応を抑制し、凝集を抑制し、安定に分散したイミドの微細粒子を得る点で好ましい。
上述の説明はテトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート及びジアミンとを反応させて得られるイミドの場合にも当てはまり、特に記載がない限り、本明細書中の以下の説明においても同様である。
本発明のテトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて得られるイミドは、イミド化前のアミド酸を経由せず、直接イミド化するため、以下の方法では分子量を測定できない場合もあるが、可溶性のイミドの場合は、分子量を以下の方法で測定することができる。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
以上の様な測定条件で、可溶性イミドの分子量分布を測定できる。測定後の解析は、システム由来のピークを除く全てのピークにおいて、始めのピークのピークスタートから最後のピークのピークエンドまで直線を引き、各ピークのピークエンドで垂直方向に線を引き、重なっている場合は、ピーク間の谷部分で垂直方向に線を引くことで、各ピークの面積及び面積比を求めることができる。上記分子量分布の面積比が最大のピークについて、数平均分子量は、500以上15,000以下であることが好ましく、重量平均分子量は、500以上45,000以下、ピークトップが500以上35,000以下であることが好ましい。数平均分子量が500未満、重量平均分子量が500未満、ピークトップが500未満であれば、耐久性や難燃性に問題が生じることがある。また、数平均分子量が15,000以上、重量平均分子量が45,000以上、ピークトップが35,000以上であれば、粉砕・分散することが困難となり、均一に分散することが困難になることがある。また、剛直性が増すことで、屈曲性の点で、絶縁膜用途で用いることが難しいことがある。
本発明のイミド難燃剤の粒子径を制御するための一例としては、イミド難燃剤に溶剤、樹脂を混合して、粉砕・分散すること、又は、粉砕なしで混合・分散することが挙げられる。以下に溶剤、樹脂、それらを混合した樹脂溶液について述べる。
<溶剤>
本発明の溶剤は、イミド難燃剤を溶解させない及び/又はイミド難燃剤を一部溶解する媒質であり、イミド難燃剤の粒子が分散することができる媒質であれば、無極性溶媒、極性溶媒、混合溶媒、何れでも構わない。
具体的には、メチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2−(2−メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2−ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2−エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2−ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n―プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類の溶媒を用いることもできる。フィルム作製等の操作性がよい点で、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)が好ましい。
更に、イミド難燃剤を反応液から単離することなく、反応液をフィルム作製等にそのまま使用できる点で、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。汎用な点で、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒が好ましく、更に安価な点で、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
イミド難燃剤の粒子が分散することができる媒質であれば構わないので、その他、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチルアルコール、2−ヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、t−ブチルアルコールなどが挙げられる。上記アルコールの中でもイソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、2−ペンチルアルコール、フェノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t−ブチルアルコール等の2級又は3級アルコールが、イミド難燃剤のイミド化率を高位に安定化させるという観点から好ましく、イソプロピルアルコールがさらに好ましい。次に安価という観点で考えた場合、水、酸性水、塩基性水が好ましい。その他、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒を用いることができる。何れも混合溶媒として適時使用しても良い。
<樹脂>
本発明の樹脂は、イミド難燃剤と相溶する樹脂であれば使用可能であり、特に限定されない。また、イミド難燃剤を溶剤、樹脂と混合して、粉砕・分散する場合に用いられる樹脂は、イミド難燃剤を粉砕・分散できる樹脂であれば特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリ1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリカプロアミド(ナイロン6)樹脂、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)樹脂、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)樹脂、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)樹脂、ポリドデカンアミド(ナイロン12)樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6T)樹脂、ポリヘキサンメチレンイソフタラミド(ナイロン6I)樹脂、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)樹脂、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)樹脂、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)樹脂等のナイロン樹脂及びナイロン共重合体樹脂から選ばれるポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリオキシメチレン(POM)樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリエーテルイミド(PEI)樹脂;ポリスルホン(PSF)樹脂;ポリエーテルスルホン(PES)樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂;ポリエーテルケトン(PEK)樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂;ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂;ポリイミド(PI)樹脂;ポリウレタンイミド(PUI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂;フッ素樹脂;又はこれらの樹脂を変性させた変性樹脂等、又はこれらの樹脂同士もしくは他の樹脂類との混合物等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂等)、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、シアネート樹脂(例えばシアネートエステル樹脂等)、ユリア樹脂、グアナミン樹脂、スルホアミド樹脂、アニリン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、チオウレタン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン−チオール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド(PI)、これらの共重合体樹脂、これら樹脂を変性させた変性樹脂、又はこれらの樹脂同士もしくは他の樹脂類との混合物等が挙げられる。
<樹脂溶液>
本発明の樹脂溶液は、少なくとも上記イミド難燃剤、上記溶剤と上記樹脂を含む混合物であり、イミド難燃剤と相溶し、分散できればよい。上記樹脂溶液中に含まれるイミド難燃剤の最大粒子径は1μm以上、50μm以下であることが、フィルムを作成する際の厚みとの関係で、ピンホール、ハジキ、凹みなどの欠陥が発生しない点で、好ましい。
<フィルム>
本発明のフィルムは、上記イミド難燃剤を含む樹脂溶液を、以下のようにして膜又はフィルムを作製することができる。先ず、上記イミド難燃剤含有樹脂溶液を基材に塗布する。或いは上記イミド難燃剤含有樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥して有機溶媒を除去する。基材への塗布はダイコーティング、ローラーコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷などを利用した塗布により行うことができる。塗布膜の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。塗布膜の乾燥後の厚みは、含有するイミド難燃剤の最大粒子径以上であり、5〜100μm、好ましくは、5〜50μm、更に好ましくは、5〜40μm、より好ましくは、5〜30μm、特に好ましくは、5〜25μmである。上記塗布膜の厚みにあわせて、イミド難燃剤の粒子径は、上記塗布膜の厚み以下であり、1μm以上、50μm以下が好ましい。
上記イミド難燃剤含有樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥して得られた膜又はフィルムは、そのまま基材から引き剥がして使用してもよいし、次いで、加熱処理を行って使用してもよい。このときの加熱温度は100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。最終加熱温度が高くなると得られる膜又はフィルムの酸化劣化が進むので望ましくない。
本願発明のイミド難燃剤含有樹脂溶液から形成した膜又はフィルムは、屈曲性に優れ、またブリードアウト抑制による耐熱性や電気絶縁信頼性に優れ、プリント配線板の様な電子材料の微細な加工品を形成する上で良好である。
本発明のイミドは、ジイソシアネートに加えて、ジアミンを使用する場合、及び、末端封止剤として芳香族モノアミンを使用する場合、部分イミド(イミド骨格とアミド酸骨格の混合)であることも含む。部分イミドは、完全にイミド化していないことであり、イミドとイミド前駆体であるアミド酸の混合物である。部分イミドは、イミド難燃剤を示差走査熱量測定(DSC)で測定した際に、イミド難燃剤が溶融する場合は、アミド酸とイミドに該当する2つの吸熱ピークを示す。また、測定のRun回数を増やすことで、イミド化が進行し、ピークが1つになることが確認できる。また、イミド難燃剤が溶融しない場合は、イミド化する際の脱水が吸熱ピークとして確認でき、測定のRun回数を増やすとことで、イミド化が進行し、吸熱ピークを示さないことで確認できる。DSC測定条件の例を以下に示す。
測定装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC220
温度プログラム:
Run1:20℃→350℃昇温(昇温速度10℃/分)
350℃→20℃降温(降温速度40℃/分)
Run2:Run1同条件
測定試料量:9mg程度
ガス雰囲気:N2 20mL/min
本発明のイミド難燃剤は、部分イミドの方が完全イミドよりも粉砕しやすく、均一に分散することが容易な傾向がある。
本発明のイミド難燃剤は、次の様な工程を経て、製造することができる。代表的な工程として、
1)有機溶媒中、テトラカルボン酸二無水物、ジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)、末端封止剤である芳香族ジカルボン酸無水物又は芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて、イミド(完全イミド、又は、一部アミド酸骨格を含むイミド)を得るイミド化工程
2)反応液より析出したイミド粉体、又は、貧溶剤を添加して析出したイミド粉体を濾過、洗浄して単離する工程
3)得られたイミド粉体を乾燥する工程
4)前記イミドを粉砕し、最大粒子径が1μm以上、100μm以下のイミド難燃剤を得る粉砕工程
などの様な工程である。これらの工程を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
<1.イミド化工程>
本発明におけるテトラカルボン酸二無水物は特に制限されないが、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、その他テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物の例としては、1,2,4,5−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−メチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−エチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジエチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラエチル−1
,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラフェニルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジアリール−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ジアリール−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ビシクロ[2,2,2] −オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,1] −ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−コハク酸二無水物等が挙げられる。尚、他の特性を調整する等の為に、これらのうち複数の酸二無水物を併用して用いることも可能である。
本発明において使用できる適当な芳香族テトラカルボン酸二無水物は特に制限されないが、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジフェニル−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、パラ−ターフェニル−3,4,3”,4”−テトラカルボン酸二無水物、3,3’−メタ−ターフェニル−3,3”,4,4”−テトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−イソプロピルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(t−ブチル)フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,5−ジメチルフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3−ジメチルフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、1,4−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,6−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物及びそれらの誘導体を含み、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を用いることができる。
その他ハロゲンを含有するテトラカルボン酸二無水物の例としては、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2−ビス(4−トリメリット酸モノエステル酸フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、p−クロロフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−フルオロフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,5−ジクロロフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,5−ジフルオロフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3,5−トリクロロフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3,5−トリフルオロフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,5−ジフルオロピロメリット酸二無水物、2−フルオロピロメリット酸二無水物、2,5−ビストリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、2−トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、2,2’−ビストリフルオロメチル−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジブロモ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などがあげられる。
前述のテトラカルボン酸二無水物に加えてジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、1,4−ヒドロキノンジベンゾエ−ト−3.3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などの酸二無水物も用いてもよい。
本発明のイミド難燃剤は上記テトラカルボン酸二無水物を単独で、または任意の割合で混合した混合物を用いることができる。ハロゲンを含有せず、難燃効果の高い点で、芳香族酸二無水物が好ましく、安価且つ入手性がよい点で、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、更にピロメリット酸二無水物が好ましい。
本発明におけるジイソシアネートは特に制限されないが、本発明におけるジアミンに対応するジイソシアネートなどの単独又は任意の割合で混合した混合物を用いることができる。また、ジイソシアネートとジアミンを混合して用いることができる。ジイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等のジイソシアネートが挙げられる。特に本願発明に好適に用いられるジイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートである。
また、本願発明では、上記ジイソシアネートをブロック剤で安定化したブロックイソシアネート化合物等を使用することができる。上記ブロックイソシアネート化合物とは、常温では不活性であり、加熱されることにより、オキシム類、ジケトン類、フェノール類、カプロラクタム類等のブロック剤が解離してイソシアネート基を再生する化合物であり、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名デュラネート17B−60PX、デュラネートTPA−B80E、デュラネートMF−B60X、デュラネートMF−K60X、デュラネートE402−B80T、三井化学ポリウレタン株式会社製の商品名タケネートB−830、タケネートB−815N、タケネートB−846N、タケネートB−882N、日本ポリウレタン工業株式会社製の商品名コロネートAP−M、コロネート2503、コロネート2507、コロネート2513、コロネート2515、ミリオネートMS−50等が挙げられる。特に本願発明に好適に用いられるブロックイソシアネート化合物は、ブロック剤の解離温度が160℃以下であるヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型等のブロックイソシアネート化合物、水添ジフェニルメタンジイソシアネート系、水添キシリレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート化合物である。また、上記ジイソシアネート及び上記ブロックイソシアネートは単独で、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明におけるジアミンは特に制限されないが、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、その他ジアミンが挙げられる。
脂肪族ジアミンの例としては、エチレジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,2−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。尚、他の特性を調整する等の為に、これらのうち複数の脂肪族ジアミンを併用して用いることも可能である。
本発明において使用し得る適当な芳香族ジアミンとしては特に制限されないが、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1,2−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、5(6)−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,6−ジヒドロキシ−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を用いることができる。
その他、ハロゲン含有ジアミンとしては、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、2,2’−ビス(トリクロロメチル)−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、2,2’−ビス(トリブロモメチル)−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、2,2’−ジブロモ−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノシクロへキシル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,3−ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリクロロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリブロモメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジブロモ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノ−2−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を用いることができる。
その他、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、シロキサンジアミン(信越化学社製商品名KF8010)などがある。リン含有ジアミンとして、ビス(3−アミノフェニル)フェニルホスフェート、ビス(4−アミノフェニル)フェニルホスフェート、ビス(3−アミノフェニル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェート、ビス(4−アミノフェニル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェートなどがある。
本発明のイミド難燃剤は上記ジアミンを任意の割合で混合した混合物を用いることができる。ハロゲンを含有せず、難燃効果の高い点で、芳香族ジアミンが好ましく、安価且つ入手性がよい点で、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノベンゼンが好ましく、更に4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノベンゼンが好ましい。
これらジイソシアネート、又はジアミンを含むジイソシアネートとテトラカルボン酸二無水物を適宜組み合わせて分子設計をし、所望とする特性を有したアミン末端イミド及びジカルボン酸末端イミドとすることができる。
本発明において使用し得る適当なアミン末端封止剤としては特に制限されないが、芳香族酸無水物として、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を用いることができる。
本発明において使用し得る適当なジカルボン酸末端封止剤としては特に制限されないが、芳香族モノアミンとして、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネジン、m−フェネジン、p−フェネジン、o−アミノベンツアルデヒド、m−アミノベンツアルデヒド、p−アミノベンツアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を用いることができる。また、芳香族モノイソシアネートとして、上記芳香族モノアミンに対応する芳香族モノイソシアネートなどの単独又は任意の割合で混合した混合物を用いることができる。また、上記芳香族モノアミンと上記芳香族モノイソシアネートを混合して用いることができる。
本発明の方法において使用されるジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)及びテトラカルボン酸二無水物のモル比は、芳香族ジカルボン酸無水物で封止される場合、ジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)1モル当たり、テトラカルボン酸二無水物0.3〜1.0モル比、芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートで封止される場合、テトラカルボン酸二無水物1モル当たり、ジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)0.3〜1.0モル比である。両者とも難燃性向上の点、加工性の点で、0.5〜1.0モル比が好ましい。更に難燃性向上、耐熱性向上の点で、0.8〜1.0モル比が好ましい。更に0.9〜1.0モル比が好ましい。尚、本発明のジアミンを含むジイソシアネートは、任意の割合で使用すればよい。
また、芳香族ジカルボン酸無水物で封止される場合において、用いられる芳香族ジカルボン酸無水物の量は、ジイソシアネート1モル当たり、前記ジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)とテトラカルボン酸二無水物とのモル数の差をmとしたとき、2mの0.5〜3.0倍量である。
また、芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートで封止される場合において、用いられる芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートの量は、テトラカルボン酸二無水物1モル当たり、前記テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)とのモル数の差をnとしたとき、2nの0.5〜3.0倍量である。両者とも、2m、2nが加工性の点で、0.5〜1.5倍量が好ましい。尚、芳香族モノアミン及び芳香族モノイソシアネートを使用する場合は、任意の割合で使用すればよい。
本発明においてイミドを合成するための好ましい溶媒は、上記テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)を溶解又は懸濁する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。汎用な点で、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒が好ましく、更に安価な点で、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。これらは単独または2種以上混合して用いてもよい。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
更に、イミド粉体を単離することなく、反応液をフィルム作製等にそのまま使用できる点で、例えばメチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2−(2−メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2−ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2−エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2−ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n―プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類の溶媒を用いることもできる。 フィルム作製等の操作性がよい点で、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)が好ましい。
本発明の方法で有機溶媒に、ジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)、テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジカルボン酸無水物又は芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを添加、反応させる方法としては、例えば、イ)テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)を反応させた後に、芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを添加して反応を続ける方法、ロ)ジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)に芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを加えて反応させた後、テトラカルボン酸二無水物を添加して、更に反応を続ける方法、ハ)テトラカルボン酸二無水物、ジイソシアネート(又はジアミンを含むジイソシアネート)、芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを同時に添加し反応させる方法、などが挙げられ、何れの添加方法をとっても差し支えない。
反応中のイミドの重量%は、反応溶媒中にイミドが5〜50wt%、好ましくは5〜20wt%溶解又は混合されているのが取扱い面から好ましい。イミド化が進行するにつれ析出による流動性が悪くなる、または脱炭酸が激しく操作性が悪い場合は、適宜反応溶媒を追加して濃度を希釈しても構わない。
反応液を加熱して、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートの反応より、脱炭酸しながら完全イミドにすることができ、また、ジアミンを含有する場合は、一部アミド酸結合を含むイミドにすることができ、更に加熱することで、完全イミドにすることができ、またイミド化剤を用いて化学イミド化することにより、アミド酸に対応する完全イミドにすることができる。上記完全イミドを難燃剤として使用できるだけでなく、一部アミド酸結合を含むイミドも難燃剤として使用できる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを含むジイソシアネート、芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートとを有機溶媒中に懸濁または溶解させた後加熱し、イミドの前駆体であるアミド酸の生成と同時にイミド化を行なうことにより、イミドを得ることも可能である。イミド粉体を粉砕・分散する点で、化学イミド化は高分子量体を得る場合にゲル状になる傾向があり、乾燥後の粉砕・分散が困難な場合があるため、熱的イミド化の方が好ましい傾向である。
熱的イミド化は、例えば、イミド化する際の温度は40℃〜イミド化で使用する反応溶媒の沸点以下、更に好ましくは50℃〜イミド化で使用する反応溶媒の沸点以下で、加熱時間は0.5〜20時間であることが好ましい。温度が40℃を下回るとイミド化が進行しないことがあるので好ましくない。
化学的イミド化法は、少なくとも化学脱水剤が含有されており、より好ましくは、化学脱水剤および触媒が含有されている。化学脱水剤とは、アミド酸に対する脱水閉環剤であれば特に限定されるものではないが、その主成分としては、具体的には、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。これら化合物の中でも、特に、脂肪族酸無水物および芳香族酸無水物を特に好ましく用いることができる。無水酢酸を用いることがイミド粉体の析出工程に適しているという点から好ましい。
また、上記触媒とは、アミド酸に対する化学脱水剤の脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンを用いることができる。これら化合物の中でも、ピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリン等の含窒素複素環化合物を特に好ましく用いることができる。特に低沸点でイミド難燃剤に含有しにくい点で、ピリジンがより好ましい。
上記化学脱水剤および触媒の使用量は、所望の程度でイミド化ができる量であれば特に限定されるものではないが、化学脱水剤については、化学脱水剤を添加するアミド酸溶液に含有されるアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.1〜5モルの範囲内であることが好ましく、0.1〜4モルの範囲内であることがより好ましい。さらに好ましくは0.1〜2であるように用いることが好ましい。また、触媒については、化学脱水剤および触媒を添加するアミド酸溶液に含有されるアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜3モルの範囲内であることが好ましく、0.2〜2.5モルの範囲内であることがより好ましい。化学脱水剤および触媒の使用量が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分となり、イミド粉体の析出が生じないため、貧溶媒で析出するため、粉砕・分散に適した粒径の制御が困難になる傾向がある。また、化学脱水剤および触媒の使用量が上記範囲を上回ると、単離したイミド粉体に含有する量が増えて、除去することが困難になる傾向である。
また、可溶性のイミドの場合、イミドの分子量を上述の方法で測定することができる。
<2.イミド粉体の析出、濾過単離>
イミド粉体の析出方法について記載する。上記1.のようにして得られたイミド粉体を含む溶液から、イミド粉体を析出する方法としては、公知の各種方法が選択できるが、例えば、イミド、化学脱水剤、触媒などを含有するイミド粉体の溶液をイミド粉体の貧溶媒中に投入すること、もしくはイミド粉体の溶液に貧溶媒を投入することでイミド粉体を固形状態で得ることができる。但し、全芳香族イミド粉体の場合は、イミド化反応が進行するに連れて、析出することが多く、その場合は、そのまま濾過するか、貧溶媒によって流動性及びろ過性をよくしてから濾過することができる。イミド粉体が沈殿するのであれば、特に制限するものではない。析出時の形状は、糸状、粉末状、フレーク状等、種々の形態で析出させることができる。また、これらを必要により粉砕・分散して使用することができる。
本発明で用いられるイミド粉体の貧溶媒は、特に限定されるものではないが、アミド酸を溶解する溶媒として使用した反応溶媒と混和するものが好ましく例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチルアルコール、2−ヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、t−ブチルアルコールなどが挙げられる。上記アルコールの中でもイソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、2−ペンチルアルコール、フェノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t−ブチルアルコール等の2級又は3級アルコールが、得られるイミド樹脂のイミド化率を高位に安定化させるという観点から好ましく、イソプロピルアルコールがさらに好ましい。次に安価という観点で考えた場合、水、酸性水、塩基性水が好ましい。貧溶媒量はイミド樹脂の溶液の2倍以上、さらに好ましくは3倍以上の量で抽出することが好ましい。
イミド粉体の溶液からイミド粉体を析出させ分離するだけでは、乾燥後に所望の形状(粉砕・分散しやすい形状)のイミド樹脂を得ることが難しいことがある。これはイミド粉体に反応溶媒が多く含有されていることによるものであり、イミド粉体を前記貧溶媒で洗浄することで反応溶媒をできるだけ含有しないイミド粉体を得ることができる。
<3.イミド粉体乾燥工程>
本発明で凝固させたイミド粉体の乾燥方法は、真空乾燥によってもよいし熱風乾燥によってもよい。ただし、後工程で容易に粉砕・分散するためには、乾燥時の溶融を避け、低温〜200℃以下で徐々に乾燥温度を上げることが望ましい。
尚、上記のように1.〜3.の工程を経て得られたイミド粉体は、次に記載する溶剤及び樹脂溶液と粉砕・分散することができるが、粉砕・分散する溶剤が反応重合溶媒と同じであれば、2.濾過・単離、3.乾燥を省略することもできる。
単離したイミド粉体の粒子径は、SEM測定によって観測することができ、所望の粒子径が得られていれば、そのまま上記溶剤、上記樹脂と混合して使用することができ、所望の粒子径より大きい場合は、後述する粉砕・分散工程を経て、所望の粒子径にすることができる。
上記部分イミド粉体の乾燥は、上記イミド粉体と同様に実施でき、乾燥工程で熱的イミド化が一部進行することがあるので、低温で乾燥し、乾燥後に部分イミドにすることができる。完全にイミド化する場合は、高温で乾燥し、完全イミドにすることができる。
次にイミド難燃剤の粉砕・分散の方法について記載する。
<4.イミド難燃剤の粉砕・分散方法>
上記イミド難燃剤、上記溶剤、上記樹脂を混合し、後述する粉砕・分散方法で、所望のイミド難燃剤の粒子径にすることができる。粉砕・分散する方法としては、乾式、湿式がある。乾式はイミド粉体をジェットミルなどの一般的な装置を使用して、微細な粉体を得ることができる。また、湿式は、イミド粉体と溶剤または樹脂溶液を混合し、ビーズミル、ボールミル、3本ロール装置等の一般的な混練装置を用いて混合、粉砕・分散すればよい。
ビーズミル(AIMEX製)で粉砕・分散する例を挙げると、樹脂10〜200部、イミド粉体10〜200部、溶剤10〜200部を混合し、ビーズと混合して、所定の装置で攪拌することで、煎断をかけ、イミド難燃剤を微細化することができる。ビーズの種類はジルコニア、ジルコン、ガラス、チタニアなどを使用し、目標とする粒径や用途に適したビーズを使用すればよい。また、ビーズの粒径は、目標とする粒子径に適したものを使用すればよく、特に限定されるものではない。攪拌速度(周速)は、装置によって異なるが、100〜3000rpmの範囲で攪拌すればよく、高速になれば、温度が上昇するので、適宜、冷却水をジャケットに流すことで、温度上昇を抑えればよい。所望の粒子径に粉砕できたら、ビーズを濾別し、イミド難燃剤を含有する樹脂溶液を得ることができる。イミド粉体の粒子径はグラインドメータによって、最大粒径を確認することができ、また粒度分布測定装置を使用すれば、平均粒径、最大粒径、粒度分布を確認することができる。また、イミド難燃剤含有樹脂溶液を適当な溶剤で樹脂を溶解すれば、イミド粉体を単離することができ、水酸化ナトリウム水溶液にて分解することで、イミド粉体のモノマー構成を確認することができる。
得られたイミド難燃剤含有樹脂溶液はそのままフィルムなどに加工することができ、また、用途に適した形で、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、感光性樹脂組成物などと混合し、フィルムなどに加工することができる。混合の仕方は相溶すれば特に限定しない。混合できるその他の成分として、必要に応じて難燃剤、消泡剤、カップリング剤、充填剤、接着助剤、レベリング剤、重合禁止剤等の各種添加剤を加えることができる。充填剤としては、シリカ、マイカ、タルク、硫酸バリウム、ワラストナイト、炭酸カルシウムなどの微細な無機充填剤、微細な有機ポリマ−充填剤を含有させてもよい。含有量は適宜選定することが好ましい。
<フィルム作製法>
本願発明のイミド難燃剤含有樹脂溶液を調製した後に、以下のようにして膜又はフィルムを作製することができる。先ず、上記イミド難燃剤含有樹脂溶液を基材に塗布する。或いは上記イミド難燃剤含有樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥して有機溶媒を除去する。基材への塗布はダイコーティング、ローラーコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷などを利用した塗布により行うことができる。塗布膜の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。塗布膜の乾燥後の厚みは、含有するイミド難燃剤の最大粒子径以上であり、5〜100μm、好ましくは、5〜50μm、更に好ましくは、5〜40μm、より好ましくは、5〜30μm、特に好ましくは、5〜25μmである。上記塗布膜の厚みにあわせて、イミド難燃剤の粒子径は、上記塗布膜の厚み以下であり、1μm以上、50μm以下が好ましい。
上記イミド難燃剤含有樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥して得られた膜又はフィルムは、そのまま基材から引き剥がして使用してもよいし、次いで、加熱処理を行って使用してもよい。このときの加熱温度は100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。最終加熱温度が高くなると得られる膜又はフィルムの酸化劣化が進むので望ましくない。上記膜又はフィルムの厚みにあわせて、イミド難燃剤の粒子径は、上記膜又はフィルムの厚み以下であり、1μm以上、50μm以下が好ましい。
本願発明のイミド難燃剤含有樹脂溶液から形成した膜又はフィルムは、屈曲性に優れ、またブリードアウト抑制による耐熱性や電気絶縁信頼性に優れ、プリント配線板の様な電子材料の微細な加工品を形成する上で良好である。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(合成例1)
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコにビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンを21.50g(0.05モル)、シロキサンジアミンとして下記一般式(1)に示される信越化学社製商品名KF8010を41.50g(0.05モル)、N,N−ジメチルホルムアミド300gをとり、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物57.65g(0.10モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌し、ポリアミド酸溶液を得た。以下条件のGPC測定により分子量分布の最大ピークの重量平均分子量は64000(数平均分子量33000)あった。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
このポリアミド酸溶液を、フッ素系樹脂コートしたバットにとり、真空オーブンで、150℃10分、160℃10分、170℃10分、180℃10分、190℃10分210℃30分、5mmHgの圧力で減圧加熱した。 真空オーブンより取り出し、115gのポリイミド樹脂を得た。このポリイミド樹脂の上記条件のGPC測定により分子量分布の最大ピークの重量平均分子量は62000(数平均分子量30000)であった。得られたポリイミド樹脂をメチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)115gに溶解させ、樹脂溶液を得た。
Figure 2011225649
(式中、R、Rがメチル基、n=3、m=6〜11(平均9)である。)
(実施例1)
攪拌機、還流冷却器、および窒素導入管を備えた容器にトリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート=80/20)70.70g(0.41モル)、ピロメリット酸二無水物 85.00g(0.39モル)、無水フタル酸4.81g(0.03モル)、N,N−ジメチルホルムアミド1375.18gを混合し、窒素雰囲気下において室温下で攪拌し、オイルバスを175〜180℃まで昇温し、還流条件でイミド化反応を行なった。イミド反応が進行するに連れ、イミド粉体が析出し、4時間加熱反応した。冷却後、2−プロパノールを642.04g添加して流動性をよくした後、ヌッチェと濾過鐘、アスピレーターを使用して、イミド粉体を濾別し、2−プロパノール642.04gで十分洗浄を行なった。得られたイミド粉体を真空乾燥100〜200℃で溶剤を除去した。取得したイミド粉体は128.4g(収率80%対仕込原料)であった。
取得したイミド粉体111.65gを合成例1で取得した樹脂溶液135.92g、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)101.92gをAIMEX製ビーズミルに入れ、760rpmで混合攪拌した。ジルコニアビーズ粒径1mmを350mL添加し、1000rpmで粉砕した。粉砕した液中のイミドの粒子径をグラインドメーターで確認、最大粒子径が9μm以下であった。粉砕した液からジルコニアビーズを濾別し、イミド難燃剤含有樹脂溶液を136.0g取得した。
(実施例2)
攪拌機、還流冷却器、および窒素導入管を備えた容器にトリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート=80/20)68.00g(0.39モル)、ピロメリット酸二無水物 88.70g(0.41モル)、フェニルイソシアネート3.88g(0.03モル)、N,N−ジメチルホルムアミド1375.78gを混合し、窒素雰囲気下において室温下で攪拌し、オイルバスを175〜180℃まで昇温し、還流条件でイミド化反応を行なった。イミド反応が進行するに連れ、イミド粉体が析出し、4時間加熱反応した。冷却後、2−プロパノールを642.32g添加して流動性をよくした後、ヌッチェと濾過鐘、アスピレーターを使用して、イミド粉体を濾別し、2−プロパノール642.32gで十分洗浄を行なった。得られたイミド粉体を真空乾燥100〜200℃で溶剤を除去した。取得したイミド粉体は128.5g(収率80%対仕込原料)であった。
取得したイミド粉体111.65gを合成例1で取得した樹脂溶液135.92g、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)101.92gをAIMEX製ビーズミルに入れ、760rpmで混合攪拌した。ジルコニアビーズ粒径1mmを350mL添加し、1000rpmで粉砕した。粉砕した液中のイミドの粒子径をグラインドメーターで確認、最大粒子径が9μm以下であった。粉砕した液からジルコニアビーズを濾別し、イミド難燃剤含有樹脂溶液を135.0g取得した。
(実施例3)
攪拌機、還流冷却器、および窒素導入管を備えた容器にトリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート=80/20)69.00g(0.40モル)、ピロメリット酸二無水物 90.01g(0.41モル)、アニリン3.07g(0.03モル)、N,N−ジメチルホルムアミド1388.66gを混合し、窒素雰囲気下において室温下で攪拌し、オイルバスを175〜180℃まで昇温し、還流条件でイミド化反応を行なった。イミド反応が進行するに連れ、イミド粉体が析出し、4時間加熱反応した。冷却後、2−プロパノールを648.33g添加して流動性をよくした後、ヌッチェと濾過鐘、アスピレーターを使用して、イミド粉体を濾別し、2−プロパノール648.33gで十分洗浄を行なった。得られたイミド粉体を真空乾燥100〜200℃で溶剤を除去した。取得したイミド粉体は131.3g(収率81%対仕込原料)であった。
取得したイミド粉体111.65gを合成例1で取得した樹脂溶液135.92g、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)101.92gをAIMEX製ビーズミルに入れ、760rpmで混合攪拌した。ジルコニアビーズ粒径1mmを350mL添加し、1000rpmで粉砕した。粉砕した液中のイミドの粒子径をグラインドメーターで確認、最大粒子径が9μm以下であった。粉砕した液からジルコニアビーズを濾別し、イミド難燃剤含有樹脂溶液を135.0g取得した。
(比較例1)
厚み50〜100μmのポリイミドフィルム(カプトン)を裁断し、約2mmの角片を得た後、この角片500gを石臼式摩砕機に投入し、加水して湿式粉砕した。粉砕した粒子を取り出し、乾燥によって水分を除去した。その結果、ポリイミドフィラメント由来の平行面が消失した最大粒径400μmのポリイミド粒子が得られた。
取得したポリイミド粒子111.65gを合成例1で取得した樹脂溶液135.92g、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)101.92gをAIMEX製ビーズミルに入れ、760rpmで混合攪拌した。ジルコニアビーズ粒径1mmを350mL添加し、1000rpmで粉砕を試みた。最大粒子径が400μm以下のままであり粉砕できなかった。イミド樹脂溶液からジルコニアビーズを濾別し、イミド難燃剤含有樹脂溶液を90.0g取得した。
(比較例2)
ポリエーテルイミド(ULTEM)111.65gを合成例1で取得した樹脂溶液135.92g、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)101.92gをAIMEX製ビーズミルに入れ、760rpmで混合攪拌した。ジルコニアビーズ粒径1mmを350mL添加し、1000rpmで粉砕を試みた。イミドの粉砕ができなかったため、ジルコニアビーズを濾別できなかった。混合した樹脂溶液で評価を実施した。
<ポリイミドフィルム上へのフィルムの作製>
実施例1で得られたイミド難燃剤含有樹脂溶液を、ベーカー式アプリケーターを用いて、膜厚25μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名アピカル25NPI)に最終乾燥厚みが25μmになるように流延・塗布し、80℃で20分乾燥して、ベースとなるポリイミドフィルム両面に本願発明の樹脂フィルムを形成した。
<フィルムの評価>
得られたフィルムについて、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表1に記載する。
(i)塗膜性評価
イミド難燃剤の粉砕が充分でないと、フィルムを形成した際のイミド難燃剤の均一性が低下し、ピンホール、ハジキ、凹みなどのフィルム欠陥が発生する。そのため、フィルムを形成すべく基材上にイミド難燃剤含有樹脂溶液を塗布した際の塗膜性を評価した。塗膜性は、基材上にイミド難燃剤含有樹脂溶液を塗布した際のフィルムの外観で判断した。
フィルムが均一で欠陥がないものを〇、
フィルムが不均一で欠陥が多発しているものを×とした。
(ii)難燃性評価
プラスチック材料の難燃性試験規格UL94に従い、以下のように難燃性試験を行った。上記<ポリイミドフィルム上へのフィルムの作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名アピカル25NPI)両面に25μm厚みのフィルムを作製した。 上記作製したサンプルを寸法:50mm幅×200mm長さ×75μm 厚み(ポリイミドフィルムの厚み25μmを含む、両面に25μm、25μm)に切り出し、125mmの部分に標線を入れ、直径約13mmの筒状に丸め、標線よりも上の重ね合わせ部分(75mmの箇所)、及び、上部に隙間がないようにPIテープを貼り、難燃性試験用の筒を20本用意した。 そのうち10本は(1)23℃/50%相対湿度/48時間で処理し、残りの10本は(2)70℃で168時間処理後無水塩化カルシウム入りデシケーターで4時間以上冷却した。これらのサンプルの上部をクランプで止めて垂直に固定し、サンプル下部にバーナーの炎を3秒間近づけて着火する。3秒間経過したらバーナーの炎を遠ざけて、サンプルの炎や燃焼が何秒後に消えるか測定する。
○:各条件((1)、(2))につき、サンプルからバーナーの炎を遠ざけてから平均(10本の平均)で10秒以内、最高で10秒以内に炎や燃焼が停止し自己消火し、かつ、評線まで燃焼が達していないもの。
×:1本でも10秒以内に消火しないサンプルがあったり、炎が評線以上のところまで上昇して燃焼するもの。
Figure 2011225649

Claims (10)

  1. テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて得られるイミドであり、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とする完全イミド難燃剤。
  2. 前記イミドはさらに末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて得られるイミドであることを特徴とする請求項1に記載の完全イミド難燃剤。
  3. テトラカルボン酸二無水物とジイソシアネート及びジアミンを反応させて得られるアミド酸結合を含むイミドあるいはアミド酸をイミド化した完全イミドであり、最大粒子径が1μm以上、100μm以下であることを特徴とするイミド難燃剤。
  4. 前記イミドはさらに末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて得られるイミドであることを特徴とする請求項3に記載のイミド難燃剤。
  5. 溶剤、樹脂、及び最大粒子径が1μm以上、50μm以下である、請求項1または2に記載の完全イミド難燃剤あるいは請求項3または4に記載のイミド難燃剤を含有することを特徴とする樹脂溶液。
  6. 樹脂及び最大粒子径が1μm以上、50μm以下である、請求項1または2に記載の完全イミド難燃剤あるいは請求項3または4に記載のイミド難燃剤を含有し、フィルムの厚みが最大粒子径以上であり、かつ5〜50μmであることを特徴とするフィルム。
  7. 芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジイソシアネート、及び末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて、イミドを得るイミド化工程、前記イミドを粉砕し、最大粒子径が1μm以上、100μm以下の完全イミド難燃剤を得る粉砕工程を含むことを特徴とする完全イミド難燃剤の製造方法。
  8. 前記粉砕工程は、溶剤、樹脂及びイミドを含む樹脂溶液の状態で粉砕を行うことを特徴とする請求項7に記載の完全イミド難燃剤の製造方法。
  9. 芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジイソシアネート、芳香族ジアミン、及び末端封止剤として芳香族ジカルボン酸無水物、あるいは芳香族モノアミン及び/又は芳香族モノイソシアネートを反応させて、アミド酸結合を含むイミドを得るイミド化工程、前記イミドを粉砕し、最大粒子径が1μm以上、100μm以下のイミド難燃剤を得る粉砕工程を含むことを特徴とするイミド難燃剤の製造方法。
  10. 前記粉砕工程は、溶剤、樹脂及びイミドを含む樹脂溶液の状態で粉砕を行うことを特徴とする請求項9に記載のイミド難燃剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06192445A (ja) * 1992-12-25 1994-07-12 Shin Etsu Chem Co Ltd 易滑性ポリイミドフィルムの製造方法
JP2004292682A (ja) * 2003-03-27 2004-10-21 Osaka Prefecture ポリイミド微粒子及びその製造方法
JP2009298939A (ja) * 2008-06-13 2009-12-24 Du Pont Toray Co Ltd 難燃性樹脂組成物

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