JP2011225510A - 新規な抗腫瘍剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】顕著な抗腫瘍効果を示す新規併用療法の提供。
【解決手段】カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を組み合わせてなり、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体は、ポリエチレングリコール類とポリグルタミン酸とのブロック共重合体のカルボン酸基とカンプトテシン類のフェノール性水酸基とがエステル結合した構造を有することを特徴とする抗腫瘍剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を組み合わせてなる新規な抗腫瘍剤に関する。
従来、固形癌に対する化学療法として、国内外において5−フルオロウラシル(以下、「5−FU」)、シスプラチン、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、テガフール・ウラシル配合剤(商品名:ユーエフティ(登録商標)、以下、UFTと称す。)、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(商品名:ティーエスワン(登録商標)、以下、テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムがモル比1:0.4:1で配合された製剤をTS−1と称す。)などの抗腫瘍剤が単剤でもしくは併用にて臨床応用されている。しかし、抗腫瘍剤の併用療法は、効果の増強だけではなく、通常、副作用の増強も生じ、それによる治療の中止を余儀なくされ、期待できるだけの効果が得られていなかった。
カンプトテシン(以下、CPTという)は、クロタキカズラ科クサミズキ(Nothapodytes foetida)、ヌマミズキ科カンレンボク(Camptotheca acuminata)等植物に含有するキノ
リン骨格をもつアルカロイドであり、細胞内のDNA構造変化を担うトポイソメラーゼIを阻害し、細胞死をもたらす(非特許文献1)。腫瘍細胞のように速い速度で分裂している細胞は、娘細胞が複製される度に絶えずDNAの巻き付きの解消が起きているので、特にカンプトテシンに感受性がある。しかし、CPTは、極めて難溶性であり、又、骨髄抑制や出血性膀胱炎等重篤な副作用で臨床試験が中止となった。
そこで、CPT誘導体が探索され、顕著な抗腫瘍効果を持つ7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(以下、SN−38という)が見出されたが(特許文献1)、これも極めて難溶性の化合物であった。これを克服するため、SN−38のプロドラッグとして7−エチル−10−ピペリジノピペリジノカルボニルオキシカンプトテシン(以下、CPT−11という)が見出され(特許文献2)、現在、大腸癌、胃癌、肺癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌など臨床現場で幅広く用いられている。
しかしながら、CPT−11の抗腫瘍活性は、体内でSN−38に変換された後に効果を発揮すると考えられているが、その変換効率が10%以下であることから、より効率的で有効な抗腫瘍効果を得るためには、SN−38を直接利用することが有用であると考えられた。そこで、水難溶性のSN−38をポリエチレングリコールとポリグルタミン酸のブロック共重合体に化学的に結合させ、静脈内投与を可能とした(特許文献3)。この高分子誘導体は、外核に親水性鎖、内核に疎水性鎖を有するナノパーティクル(SN−38内包ミセル)を形成する。
一方、TS−1は5−FUのプロドラックとしてテガフールを含有し、効果と副作用の両面で改善が図られてきた抗腫瘍剤であり、胃癌、大腸癌、非小細胞肺癌、乳癌、膵癌等の多くの癌腫に奏効することで患者の延命に寄与し、且つ副作用が軽減され患者のQuality of Life(QOL)が改善された薬剤である。
CPT誘導体と5−FU系抗腫瘍剤の併用は、例えばCPT−11とUFTの併用や、CPT−11とTS−1の併用が検討されており(非特許文献2)、CPT−11とTS−1の併用は、有用な効果を奏することが認められている(非特許文献3)。
しかし、CPT−11、TS−1とも、各々が下痢、口内炎等で例示される消化管障害
、血液毒性などの副作用が高頻度で発生し、CPT−11とTS−1の併用では、様々な投与レジメンが検討されているが、共通して発生する用量制限毒性(DLTという)は、主に下痢、好中球減少である(非特許文献4)。特に下痢は、患者のQOLを著しく低下させ、それに起因する抗腫瘍剤服用のコンプライアンスが低下することは、患者の治療効果の低下に直結する課題である。従って、この課題を克服するとともに抗腫瘍効果が増強され、長期生存に寄与する治療法の提供が望まれている。
特公昭62−47193号公報 特公平3−4077号公報 WO2004/039869
癌と化学療法 14:850,1987 Ann Oncol 17:968,2006 Anticancer Res 27:1657,2007 癌と化学療法 33:896,2006
本発明は、顕著な抗腫瘍効果を示す新規な抗腫瘍剤及び抗腫瘍治療法を提供することを目的とする。
本発明者はこのような現状に鑑み、より患者の生存期間延長に寄与する腫瘍治療法を開発すべく、CPT誘導体と5−FU系抗腫瘍剤を組み合わせた新規な併用療法に関して研究を重ねた結果、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体と、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を組み合わせてなる抗腫瘍剤は、抗腫瘍効果が顕著に増強される一方で、副作用の発症は軽減されることを確認し、本発明を完成するに至った。抗腫瘍剤に他の抗腫瘍剤を新たに併用させる場合、抗腫瘍効果の増強に伴い、副作用も増強されることが一般的であり、本発明のように顕著に強い抗腫瘍効果をもつにもかかわらず、副作用の発症リスクが顕著に軽減できたことは驚くべきことである。
すなわち本発明は、以下の1)〜8)の発明に係るものである。
1)カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を組み合わせてなり、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体は、ポリエチレングリコール類とポリグルタミン酸とのブロック共重合体のカルボン酸基とカンプトテシン類のフェノール性水酸基とがエステル結合した構造を有することを特徴とする抗腫瘍剤。
2)カンプトテシン類が7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(SN−38)であり、SN−38と前記カルボン酸基とが、エステル結合した構造を有することを特徴とする1)記載の抗腫瘍剤。
3)カンプトテシン類を含有する高分子誘導体がNK012である1)〜2)のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
4)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤がテガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1のモル比で含有するものである1)記載の抗腫瘍剤。
5)カンプトテシン類を含有する高分子誘導体がNK012であり、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤がテガフール:ギメラシル:オテラシルカ
リウム=1:0.4:1のモル比で含有するものである1)記載の抗腫瘍剤。
6)カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とからなる製剤形態である1)〜5)のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
7)カンプトテシン類を含有する高分子誘導体が静脈内及び動脈内による投与経路により、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤が経口による投与経路により、投与されることを特徴とする1)に記載の抗腫瘍剤。
8)カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とからなるキットである1)〜6)のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
さらに、本発明は、治療に有効な量のテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、及び治療に有効な量のカンプトテシン類を含有する高分子誘導体を哺乳動物、特にヒトに併用投与することを特徴とする癌治療方法を提供するものである。
本発明の抗腫瘍剤は、従来の抗腫瘍剤の併用と比較して顕著に高い抗腫瘍効果、例えば腫瘍体積の減少や腫瘍成長の停滞などを奏し、副作用の発症が軽減される。従って、本発明の抗腫瘍剤は、腫瘍患者により長い生存期間を奏することができる。
PC−14のマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1による相対腫瘍体積(A)と相対体重(B)。 EBC−1のマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1による相対腫瘍体積(A)と相対体重(B)。 PC−14のマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1とCPT−11+TS−1による相対腫瘍体積(A)と相対体重(B)。 EBC−1のマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1とCPT−11+TS−1による相対腫瘍体積(A)と相対体重(B)。
後記実施例に示すように、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体及びテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を併用する本発明の抗腫瘍剤は、それぞれ単独で用いた場合と比較して、副作用の発症が顕著に軽減される一方で、顕著に高い抗腫瘍効果を実現できる。なお、本発明において抗腫瘍効果は腫瘍増殖抑制効果より評価され、副作用は体重減少及び下痢より評価される。
本発明において、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とは、ポリエチレングリコール類とポリグルタミン酸とのブロック共重合体のカルボン酸基と、カンプトテシン類のフェノール性水酸基とが、エステル結合した構造を有することを特徴とするものであり、公知の方法、例えばWO2004/039869に記載されている方法に従って製造できる。
本発明におけるカンプトテシン類とは、フェノール性水酸基を有するカンプトテシン誘導体であれば、特に限定されず、カンプトテシン骨格中の芳香環部位、特にその10位の位置に水酸基が結合している化合物である。上記カンプトテシン類として具体的には、例えば7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(SN−38)や9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(トポテカン)等が挙げられる。
上記で記載したポリエチレングリコール類とポリグルタミン酸とのブロック共重合体の詳細についてはWO2004/039869に記載されており、ここに記載されているもの
である限り、特に限定はされない。WO2004/039869はその全体が参考として本明細書に援用される。
本発明におけるポリエチレングリコール類とポリグルタミン酸とのブロック共重合体にカンプトテシン類をエステル結合したカンプトテシン類の高分子誘導体としては、例えば、一般式(I)の化合物
Figure 2011225510
[式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい(C〜C)アルキル基を示し、tは5〜11500の整数を示し、Aは結合基を示し、d+e+fは3〜200の整数を示し、Rは水素原子、置換基を有していてもよい(C〜C)アルキル基又は置換基を有していてもよいシリル基を示し、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい(C〜C)アルキル基を示し、Rは同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい(C〜C20)アルコキシ基、置換基を有していてもよい(C〜C20)アルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジ(C〜C20)アルキルアミノ基又は置換基を有していてもよい(C〜C20)アルキルアミノカルボニル(C〜C20)アルキルアミノ基を示し、Xは水素原子、(C〜C)アシル基又は(C〜C)アルコキシカルボニル基を示す]が挙げられる。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよい(C〜C)アルキル基としては、置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖の(C〜C)アルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖の(C〜C)アルキル基が好ましく、具体的には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基、2,2−ジメトキシエチル基、2,2−ジエトキシエチル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
一般式(I)のAで表される結合基は、ポリエチレングリコール類とポリ酸性アミノ酸との結合部分であり、生理活性を阻害しない限り特に限定されないが、(C〜C)アルキレン基が好ましく、具体的には、例えば、エチレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられ、特にトリメチレン基が好ましい。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよい(C〜C)アルキル基のアルキル基としては、直鎖または分岐鎖の(C〜C)アルキル基が挙げられ、直鎖または分岐鎖の(C〜C)アルキル基が好ましく、具体的には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。また、置換基としては、アミノ基、(C〜C)アルキルアミノ基、ジ(C〜C)アルキルアミノ基等が挙げられる。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよいシリル基としては、例えば、(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル基等が挙げられる。
一般式(I)のRとして具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、ジメチルアミノメチル基、2−[(1−メチルエチル)アミノ]エチル基、2−(トリメチルシリル)エチル基、(4−メチル−1−ピペリジニル)メチル基、[(2,3−ジデオキシ−α−D−エリスロヘキシ−2−エノピラノシル)オキシ]メチル基等が挙げられる。Rとして好ましくは水素原子又はエチル基である。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよい(C〜C)アルキル基のアルキル基としては、上記Rにおける(C〜C)アルキル基と同じ基が挙げられる。また、置換基としては、上記Rの置換基を有していてもよい(C〜C)アルキル基におけるのと同じ置換基が挙げられる。
一般式(I)のRとして具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、ジメチルアミノメチル基、2−[(1−メチルエチル)アミノ]エチル基等が挙げられる。Rとして好ましくは水素原子又はジメチルアミノメチル基である。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよい(C〜C20)アルコキシ基として、好ましくは置換基を有していてもよい(C〜C)アルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられる。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよい(C〜C20)アルキルアミノ基として、好ましくは置換基を有していてもよい(C〜C)アルキルアミノ基が挙げられ、具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ベンジルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。又、カルボキシル基を保護したアミノ酸基でもよい。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよいジ(C〜C20)アルキルアミノ基として、好ましくは置換基を有していてもよいジ(C〜C)アルキルアミノ基が挙げられ、具体的には、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基等が挙げられる。
一般式(I)のRにおける置換基を有していてもよい(C〜C20)アルキルアミノカルボニル(C〜C20)アルキルアミノ基は、N(R)CONHR[R及びRは同一でも異なっていてもよい(C〜C20)のアルキル基]であり、好ましくは置換基を有していてもよい(C〜C)アルキルアミノカルボニル(C〜C)アルキルアミノ基が挙げられ、具体的には、メチルアミノカルボニルメチルアミノ基、エチルアミノカルボニルエチルアミノ基、イソプロピルアミノカルボニルイソプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノカルボニルシクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。
一般式(I)のXにおける(C〜C)アシル基としては、特に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基等が挙げられ、アセチル基が好ましい。
一般式(I)のXにおける(C〜C)アルコキシカルボニル基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカル
ボニル基等が挙げられる。
一般式(I)のd、e及びfはそれぞれ整数であって、d+e+fとしては、3〜200の整数であるが、好ましくは6〜60の整数、更に好ましくは6〜40の整数である。また、d+e+fに対するdの割合は好ましくは0〜60%、より好ましくは5〜50%、更に好ましくは15〜40%であり、eの割合は好ましくは0〜60%、より好ましくは0〜40%であり、fの割合は1〜100%、好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜70%である。上記一般式(I)の化合物中におけるカンプトテシン類とそれ以外の基の結合したポリグルタミン酸と遊離のポリグルタミン酸とは、ブロック重合型であっても、ランダム重合型であってもよい。d+e+fは上記のポリマー1分子中のカルボン酸基の総数であり、原料の仕込み量や中和滴定から求められる。ポリマー中のカンプトテシン類の結合したグルタミン酸基数fは、例えば紫外線吸収スペクトルの強度から求めることができる。Rの結合したグルタミン酸基数dは、もしカンプトテシン類を含有する高分子誘導体がミセルを形成する場合にはミセルを壊す条件下、水素核磁気共鳴スペクトルを測定し、得られるシグナルの強度比から求めることができる。
一般式(I)のtは、通常5〜11500程度の整数であるが、好ましくは8〜2300程度の整数であり、更に好ましくは16〜1200程度の整数、特に好ましくは100〜300程度の整数である。上記tは、例えばポリエチレングリコール類部分及び側鎖のカルボン酸基を有するポリマーの分子量から、上記カルボン酸基の総数に基づく側鎖にカルボン酸基を有する部分ポリマーの分子量を除くことにより求めることができる。
上記ポリエチレングリコール類とカンプトテシン類の結合したポリグルタミン酸とのブロック共重合体は、水中でポリエチレングリコール類を外殻とするミセルを形成していてもよい。
カンプトテシン類を含有する高分子誘導体の中で特に好ましくはSN−38をポリエチレングリコールとポリグルタミン酸のブロック共重合体に化学的に結合させたものである、NK012として臨床試験中のものが挙げられる。
Figure 2011225510
本発明のカンプトテシン類を含有する高分子誘導体は、抗腫瘍剤として使用することができ、主としてプロドラッグとして、体内においてカンプトテシン類を放出し、それが抗腫瘍活性を示すものと推定される。本発明のカンプトテシン類を含有する高分子誘導体は、注射剤、錠剤、散剤等通常使用されている剤形に製剤化することにより使用され得る。製剤化に当っては、通常使用されている薬学的に許容される担体、例えば結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、保存剤、無痛化剤、色素、香料等が使用できる。注射剤の場合は、通常溶剤を使用する。溶剤としては、例えば水、生理食塩水、5%ブドウ糖又はマンニトール液、水溶性有機溶媒、例えばグリセロール、エタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ポリエチレングリコ
ール、クレモフォア等、及びそれらの混合液、並びに水と該水溶性有機溶媒の混合液等が挙げられる。
本発明のカンプトテシン類を含有する高分子誘導体の投与量は、患者の性別、年齢、生理的状態、病態等により当然変更され得るが、非経口的に、通常、成人1日当たり、カンプトテシン類に換算して0.01〜500mg/m(体表面積あたり)、好ましくは0.1〜100mg/mを投与する。注射による投与は、静脈、動脈、患部(腫瘍部)等に行われる。
本発明において、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤としては、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを任意の割合で混合し、適宜、後述するような薬学的に許容される担体を添加して調製された製剤が挙げられる。
ここで、「テガフール」は、5−フルオロ−1−(2−テトラヒドロフリル)−2,4−(1H,3H)−ピリミジンジオンで表される公知の化合物であり、生体内で活性化を受けて抗腫瘍活性の本体である5−FUを放出する薬剤である。テガフールは、公知の方法、例えば特公昭49−10510号に記載されている方法に従って製造できる。
「ギメラシル」は、2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジンで表される公知の化合物であり、それ自身全く抗腫瘍活性を有さないものであるが、5−FUが生体内において代謝されて不活性化されることを抑制するものであり、抗腫瘍効果を増強させることができる。
「オテラシルカリウム」は、モノポタシウム 1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−1,3,5−トリアジン−6−カルボキシレートで表される公知の化合物であり、それ自身は抗腫瘍活性を有さないが、主に消化管に分布してその部位での5−FUの活性化を抑制することにより消化管障害を抑制するものである。
テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムの配合割合は、それぞれの配合目的を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、特許第2614164号公報に記載されている公知の配合剤と同様の範囲で良く、テガフール1モルに対して、ギメラシルを0.1〜5モル程度、好ましくは0.2〜1.5モル程度とすればよく、オテラシルカリウムを0.1〜5モル程度、好ましくは0.2〜2モル程度とすればよい。特に好ましくは、各有効成分の配合割合は、テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1であり、一般名「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤」(商品名:ティーエスワン)として市販され、TS−1とも称されているものが挙げられる。
本発明のテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムの3成分を有効成分として含有する抗腫瘍剤を、人を含む哺乳動物(例えばヒト、ウシ、ウマ、ブタ、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジなど)の悪性腫瘍の治療の目的で使用する際の投与単位形態については特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、エアゾール剤等の非経口剤、錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、丸剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤を例示でき、好ましくは経口剤の投与形態である。上記投与剤は、この分野で通常知られた製剤方法により製造される。
本発明における各有効成分を含有する製剤は、薬理学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を例示できる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、イノシトール、デキストラン、ソルビトール、アルブミン、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム及びこれらの混合物等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられる。結合剤としては、例えば、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖及びこれらの混合物等が挙げられる。希釈剤としては、例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類及びこれらの混合物等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸及びこれらの混合物等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ホウ酸、ブドウ糖、グリセリン及びこれらの混合物等が挙げられる。pH調整剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。無痛化剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明のテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤における各有効成分の投与量は、それぞれの配合目的を奏する量であれば特に制限されず、患者の年齢、癌種、病期、転移の有無、治療暦、他の抗腫瘍剤の有無などにより適宜設定されるが、テガフールは20〜500mg/m(体表面積あたり)/day、好ましくは60〜120mg/m/day、ギメラシルは5.8〜145mg/m/day、好ましくは17.4〜34.8mg/m/day、オテラシルカリウムは19.6〜490mg/m/day、好ましくは58.8〜117.6mg/m/dayが例示できる。
従って、本発明の抗腫瘍剤は、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を、1日量が上記投与量になるように含有してなるのが好ましいと云える。
すなわち、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体を、1日量として0.01〜500mg/m(体表面積あたり)、好ましくは0.1〜100mg/mを、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を、1日量としてテガフール換算量で20〜500mg/m、好ましくは60〜120mg/m、それぞれ含有するのが好ましい。
本発明の抗腫瘍剤におけるカンプトテシン類を含有する高分子誘導体のカンプトテシン類の配合割合は、抗腫瘍効果の増強効果を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、1日量としてテガフール1モルに対して、カンプトテシン類を0.01〜100モル程度、好ましくは0.1〜30モル程度、特に好ましくは0.2〜20モル程度とすればよい。
本発明の抗腫瘍剤は、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体と、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を上記の配合比となるように配合した配合剤(複数の有効成分を含有する製剤)として一の剤型に製剤化したもの(1剤型製剤)
でも、同時に又は間隔を空けて別々に使用できるように、上記有効成分を単剤(単一の有効成分を含有する製剤)として複数の剤型に製剤化したもの(多剤型製剤)であってもよい。好ましくは、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体を単剤として調製したものと、別個に製剤化されたテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を組み合わせて、多剤型形態で用いるのがよい。
本発明の抗腫瘍剤によって治療できる癌としては特に制限されるものではなく、例えば、結腸・直腸癌、肝臓癌、腎臓癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、胆道癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍、睾丸腫瘍等が挙げられ、好ましくは結腸・直腸癌、胃癌、頭頸部癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、胆道癌、肝臓癌であり、特に好ましくは結腸・直腸癌、胃癌、肺癌、乳癌、膵臓癌である。
上記製剤の投与形態としては特に制限は無く、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には経口剤(錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤など)、注射剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤等が例示できる。本発明の抗腫瘍剤を複数の剤型に製剤化する場合は、当該製剤はそれぞれ異なる投与形態であっても同一の投与形態であってもよい。例えば、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体は経口剤又は注射剤とすることが好ましく、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤は経口剤が好ましい。
本発明の抗腫瘍剤の各有効成分の投与スケジュール(投与順序や投与間隔)は、抗腫瘍効果の増強効果が得られ、重篤な副作用が生じない範囲であれば特に制限されない。
本発明の抗腫瘍剤は、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体と、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤が併用投与される限り、上記製剤ごとにそれぞれ個別に製造・包装・流通されるものでもよく、又、上記製剤のすべて又は一部を併用投与に適した単一のパッケージ(キット製剤)として製造・包装・流通されるものでもよい。
本発明の抗腫瘍剤をキットとする場合は、それぞれ単独の製剤を、同時に或いは間隔を空けて投与してもよい。
本発明では、上記したカンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムの配合剤とを、
(a)治療に有効な量のカンプトテシン類を含有する高分子誘導体を含有する抗腫瘍組成物、並びに
(b)治療に有効な量のテガフール、抗腫瘍効果増強のために有効な量のギメラシル、及び副作用抑制のために有効な量のオテラシルカリウムを含有する抗腫瘍組成物、
からなる哺乳動物における癌治療のための医薬組成物の組み合わせからなるキットとすることができる。該キットでは、これを構成する各組成物は公知の各種の製剤形態とすることができ、一般に各々の組成物は、その製剤形態に応じて、通常用いられる各種の容器に収納される。
ここで、本発明において、癌治療のための医薬組成物の組み合わせからなるキットとは、医薬組成物を任意の組み合わせで含むキット、又は全有効成分を一つの形態で含むキットを意味する。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本実施例のNK012は上記WO2004/0
39869の実施例に記載の方法により得られた化合物である。また、NK012の薬剤量は薬効成分換算で表示した。
参考例1 in vitro腫瘍増殖抑制
腫瘍細胞は、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)由来であるヒト非小細胞肺癌細胞株A549、PC−9、PC−14、EBC−1及びH520を使用し、細胞培地に10%ウシ胎児血清含有RPMI−1640培地を用い、5%CO中37℃で培養維持継代した。
96穴細胞培養プレートに1×10個/穴の細胞を播種し、24時間培養した。その後、培地を除去し、様々な濃度のSN−38、NK012、CPT−11又は5−FUを含有する培地を添加し72時間培養した。その後、WST−8(同仁化学社製)を用いて細胞増殖アッセイ法により、生細胞数を測定した。
測定した生細胞数より、各薬剤の濃度依存的生細胞数曲線を描き、50%細胞増殖抑制濃度(IC50(μmol/L))を算出した。
各細胞における各薬剤のIC50を表1に示す。
NK012のIC50は、SN−38より1.07〜2.00倍であり、CPT−11より1/56〜622倍であった。
NK012のin vitro細胞増殖抑制は、CPT−11より強力であり、又、SN−38と同等であることが確認できた。
Figure 2011225510
実施例1 PC−14細胞株のin vivoマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1の腫瘍増殖抑制と体重減少
6週齢雌性BALB/cヌードマウスの皮下に、参考例1で使用した細胞株である2.5×10個のPC−14を移植した。腫瘍径(長径及び短径)を測定し、下記式1で算出される腫瘍体積(Tumor Volume;TV)の平均が約250mmとなった時点で、各群の腫瘍体積の平均が均等になるように各群5匹に群分けした。群分けした日をday0とした。
(式1)腫瘍体積(TV)(mm)=(腫瘍長径×腫瘍短径÷2)
NK012投与群は、day0及びday7に、最大耐量(以下、MTDという)の1
/6倍である5mg/kg/dayのNK012を尾静脈内注射投与し、TS−1投与群は、day0からday13までの連日に、MTDであるテガフール量換算で10mg/kg/dayのTS−1を経口投与し、NK012+TS−1投与群は、各々単独投与群と同じ投与スケジュールと用量のNK012とTS−1を併用投与し、対照群(薬剤未投与群)は0.9%生理食塩水のみを投与した。薬剤投与期間中、1週間に2回腫瘍径と体重を測定した。
腫瘍増殖抑制及び体重減少は、下記式2で算出される相対腫瘍体積(Relative
Tumor Volume;RTV)及び下記式3で算出される相対体重(Relative Body Weight;RBW)からWelchの検定により有意確率を求め、評価した。
(式2)相対腫瘍体積(RTV)=dayNの腫瘍体積÷day0の腫瘍体積
(式3)相対体重(RBW)=dayNの体重÷day0の体重
NK012投与群、TS−1投与群及びNK012+TS−1投与群のRTVとRBWの推移グラフを図1に示す。
NK012投与群及びTS−1投与群のRTVは、対照群と比較し、有意に低値であった。NK012+TS−1投与群のRTVは、NK012投与群及びTS−1投与群と比較し、有意に低値であった。全ての薬剤投与群のRBWは、対照群と比較し、有意な差は認められなかった。
NK012投与群、TS−1投与群及びNK012+TS−1投与群は、腫瘍増殖抑制が確認され、NK012+TS−1投与群はNK012投与群及びTS−1投与群より腫瘍増殖抑制が増強されることが確認された。一方で、各薬剤投与群は体重減少を引き起こさないことが確認された。
実施例2 EBC−1細胞株のin vivoマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1の腫瘍増殖抑制と体重減少
移植した腫瘍細胞を、参考例1で使用した細胞株である1.0×10個のEBC−1とした以外は、実施例1と同様に評価した。
NK012投与群、TS−1投与群及びNK012+TS−1投与群のRTVとRBWの推移グラフを図2に示す。
NK012投与群及びTS−1投与群のRTVは、対照群と比較し、有意に低値であった。NK012+TS−1投与群のRTVは、NK012投与群及びTS−1投与群と比較し、有意に低値であった。全ての薬剤投与群のRBWは、対照群と比較し、有意な差は認められなかった。
NK012投与群、TS−1投与群及びNK012+TS−1投与群は、腫瘍増殖抑制が確認され、NK012+TS−1投与群はNK012投与群及びTS−1投与群より腫瘍増殖抑制が増強されることが確認された。一方で、各薬剤投与群は体重減少を引き起こさないことが確認された。
実施例3 PC−14細胞株のin vivoマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1とCPT−11+TS−1の腫瘍増殖抑制と体重減少
NK012+TS−1投与群は、day0及びday7に、NK012単独投与時のM
TDの1/6倍である5mg/kg/dayのNK012を尾静脈内注射投与し、day0からday13まで連日に、MTDであるテガフール量換算で10mg/kg/dayのTS−1を経口投与し、CPT−11+TS−1投与群は、day0及びday7に、CPT−11単独投与時のMTDの1/6倍である10mg/kg/dayのCPT−11を尾静脈内注射投与し、day0からday13まで連日に、MTDであるテガフール量換算で10mg/kg/dayのTS−1を経口投与し、対照群は、0.9%生理食塩水を投与した。それ以外は、実施例1と同様に評価した。
NK012+TS−1投与群及びCPT−11+TS−1投与群のRTVとRBWの推移グラフを図3に示す。
NK012+TS−1投与群及びCPT−11+TS−1投与群のRTVは、対照群と比較し、有意に低値であった。NK012+TS−1投与群のRTVは、CPT−11+TS−1投与群と比較し、有意に低値であった。全ての薬剤投与群のRBWは、対照群と比較し、有意な差は認められなかった。
NK012+TS−1投与群及びCPT−11+TS−1投与群は、腫瘍増殖抑制が確認され、NK012+TS−1投与群はCPT−11+TS−1投与群より腫瘍増殖抑制が強力であることが確認された。一方で、各薬剤投与群は体重減少を引き起こさないことが確認された。
実施例4 EBC−1細胞株のin vivoマウス皮下移植モデルにおけるNK012+TS−1とCPT−11+TS−1の腫瘍増殖抑制と体重減少
移植した腫瘍細胞を、参考例1で使用した細胞株である1.0×10個のEBC−1とした以外は、実施例3と同様に評価した。
NK012+TS−1投与群及びCPT−11+TS−1投与群のRTVとRBWの推移グラフを図4に示す。
NK012+TS−1投与群及びCPT−11+TS−1投与群のRTVは、対照群と比較し、有意に低値であった。NK012+TS−1投与群のRTVは、CPT−11+TS−1投与群と比較し、有意に低値であった。全ての薬剤投与群のRBWは、対照群と比較し、有意な差は認められなかった。
NK012+TS−1投与群及びCPT−11+TS−1投与群は、腫瘍増殖抑制が確認され、NK012+TS−1投与群はCPT−11+TS−1投与群より腫瘍増殖抑制が強力であることが確認された。一方で、各薬剤投与群は体重減少を引き起こさないことが確認された。
実施例5 マウスにおけるNK012+TS−1の下痢発生率
6週齢雌性BALB/cヌードマウスに、NK012投与群は、day0及びday7に、MTDの1/6倍である5mg/kg/dayのNK012を尾静脈内注射投与し、CPT−11投与群は、day0及びday7に、MTDの1/6倍である10mg/kg/dayのCPT−11を尾静脈内注射投与し、TS−1投与群は、day0からday13までの連日に、MTDであるテガフール量換算で10mg/kg/dayのTS−1を経口投与し、NK012+TS−1投与群は、各々単独投与群と同じ投与スケジュールと用量のNK012とTS−1を併用投与し、CPT−11+TS−1投与群は、各々単独投与群と同じ投与スケジュールと用量のCPT−11とTS−1を併用投与し、対照群は、0.9%生理食塩水を投与した。
投与期間中のday4及びday11並びに投与終了後であるday18に、マウスの下痢発症の有無を観察した。
各群の下痢発症率をフィッシャーの正確確率検定により有意確立を求め、評価した。
各群の下痢の発症状況を表2に示す。
観察期間中、対照群、CPT−11投与群及びNK012投与群は、下痢が発症しなかった。TS−1投与群、NK012+TS−1投与群及びCPT−11+TS−1投与群は、下痢が発症した。NK012+TS−1投与群の下痢の発症率は、CPT−11+TS−1投与群と比較し、有意に低かった。
NK012+TS−1投与群は、CPT−11+TS−1投与群と比較し、下痢の発症が軽減されることが確認された。
Figure 2011225510
以上の実施例から、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とを組み合わせてなる抗腫瘍剤は、抗腫瘍効果が顕著に増強される一方で、副作用の発症は軽減されることが認められた。

Claims (8)

  1. カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を組み合わせてなり、カンプトテシン類を含有する高分子誘導体は、ポリエチレングリコール類とポリグルタミン酸とのブロック共重合体のカルボン酸基とカンプトテシン類のフェノール性水酸基とがエステル結合した構造を有することを特徴とする抗腫瘍剤。
  2. カンプトテシン類が7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(SN−38)であり、SN−38と前記カルボン酸基とが、エステル結合した構造を有することを特徴とする請求項1記載の抗腫瘍剤。
  3. カンプトテシン類を含有する高分子誘導体がNK012である請求項1〜2のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  4. テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤がテガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1のモル比で含有するものである請求項1記載の抗腫瘍剤。
  5. カンプトテシン類を含有する高分子誘導体がNK012であり、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤がテガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1のモル比で含有するものである請求項1記載の抗腫瘍剤。
  6. カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とからなる製剤形態である請求項1〜5のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
  7. カンプトテシン類を含有する高分子誘導体が静脈内及び動脈内による投与経路により、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤が経口による投与経路により、投与されることを特徴とする請求項1に記載の抗腫瘍剤。
  8. カンプトテシン類を含有する高分子誘導体とテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とからなるキットである請求項1〜6のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
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