JP2018012694A - ラパマイシン類結合ブロック共重合体 - Google Patents

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学道 佐藤
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佳奈 水沼
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Abstract

【課題】薬理効果がラパマイシン類と同等以上である高分子製剤を得ること。【解決手段】ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖カルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基がエステル結合しているラパマイシン類結合ブロック共重合体、該ラパマイシン類結合ブロック共重合体と、ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩からなる組成物、及びそれらを有効成分とする医薬品を提供する。【選択図】図4

Description

本発明はラパマイシン類結合ブロック共重合体、その製造方法及び用途に関する。
ラパマイシンはシロリムスとしても知られるマクロライド系の化合物である。ラパマイシンは免疫抑制活性を有しており、欧米において臓器移植患者の移植拒絶抑制剤として承認されている。日本ではリンパ脈管筋腫症治療剤として承認されている。
ラパマイシンの免疫抑制活性は哺乳類のラパマイシン類ターゲット蛋白(mTOR:mammalian target of rapamycin)を阻害することで現れると考えられている。また、アポトーシスを誘導し、癌細胞を破壊する抗腫瘍剤としての機能もあることを示すことが知られている。
mTORは、細胞の栄養状態や増殖因子などのシグナルを統合し、細胞の増殖と代謝をコントロールする働きを担っているセリンスレオニンキナーゼである。ラパマイシンは、免疫抑制剤として臨床で使用されていることに加え、細胞増殖抑制作用も見いだされ、現在ではその誘導体エベロリムスおよびテムシロリムスが癌治療薬として用いられている。
ラパマイシン類は水への溶解性が極めて低いため、可溶化の研究がなされている。例えば特許文献1では、可溶化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを親油性助剤およびノニオン界面活性剤として組み合わせて使用することで水に難溶性のラパマイシンを可溶化することが記載されている。
また特許文献2では親水性ブロックと疎水性ブロックを有するジブロック共重合体、末端に少なくとも一つのカルボキシ基を有するポリ乳酸またはその誘導体のアルカリ金属塩、ラパマイシン及び二価または三価の金属イオンを含む組成物として、ラパマイシンを可溶化させている。
非特許文献1ではポリエチレングリコール−ポリ乳酸からなるジブロック共重合体によりラパマイシンがパクリタキセル及び17−allylamino−17−demethoxygeldanamycinとともにミセル様組成物として可溶化されることが開示されている。
非特許文献2ではポリエチレングリコール−ポリカプロラクトンからなるジブロック共重合体によりラパマイシンがミセル様組成物として可溶化されることが開示されている。
しかし、親水性のポリエチレングリコールセグメントと疎水性のポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体のポリアミノ酸誘導体セグメントにラパマイシン類が結合したラパマイシン類結合ブロック共重合体は知られていない。
特表平08−512303号公報 特開2015−078247号公報
Mol. Pharmaceutics 2011,8,1257−1265 Cancer Chemother. Pharmacol. 2008 January;61(1):133−144
本発明は薬効がラパマイシン類と同等以上であるラパマイシン類の高分子製剤を提供することを課題とする。
本発明者等はポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基が結合しているラパマイシン類結合ブロック共重合体、及び該ラパマイシン類結合ブロック共重合体と、ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩からなる組成物が本発明の課題を解決することを見出した。
本発明は以下の[1]〜[16]に関する。
[1] ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基が結合しているラパマイシン類結合ブロック共重合体。
[2] ポリアミノ酸誘導体セグメントがポリアスパラギン酸誘導体である[1]に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
ポリアミノ酸誘導体をポリアスパラギン酸とすることで、該ラパマイシン類結合ブロック共重合体からラパマイシン類を放出しやすくすることができる。
[3] 下記一般式(1)
Figure 2018012694

[式中、Rは水素原子又は炭素数(C1〜C6)アルキル基を示し、Rは結合基を示し、Rは水素原子又は炭素数(C1〜C6)アシル基を示し、Rはラパマイシン類のアルコール性水酸基の残基を示し、Rは疎水性置換基及び/又は−N(R)CONH(R)であり(R、Rは同一でも異なっていてもよい、炭素数(C3〜C6)の環状アルキル基又は三級アミノ基で置換されていてもよい炭素数(C1〜C5)のアルキル基である)、tは5〜11,500の正数を示し、k、l、m、n、o、p及びqは各々0または200以下の正数を示し、且つk+lは1〜200の正数を示し、k+l+m+n+o+p+qは3〜200の正数を示す]で表される[1]又は[2]に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
[4] Rの疎水性置換基が炭素数(C1〜C30)のアルコキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルオキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルキルアミノ基、炭素数(C2〜C60)のジアルキルアミノ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルアミノ基、およびアミノ酸誘導体残基からなる群から選ばれた基である[3]に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
[5] Rが炭素数(C1〜C6)のアルキル基であり、Rが炭素数(C2〜C6)のアルキレン基であり、Rが炭素数(C1〜C6)のアシル基であり、tが20〜1,000の正数であり、k+l+m+n+o+p+qが3〜150の正数である[3]又は[4]に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
[6] Rが炭素数(C1〜C6)のアルキル基であり、Rが炭素数(C2〜C6)のアルキレン基であり、Rが炭素数(C1〜C6)のアシル基であり、tが10〜150の正数であり、k+l+m+n+o+p+qが3〜50の正数であり、k+lが1〜25の正数であり、m+nが1〜25の正数である[3]乃至[5]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
[7] 分子量が2kDa以上で30kDa以下である[1]乃至[6]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
[8] 分子量が2kDa以上で15kDa以下である[1]乃至[7]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
[9] [1]乃至[8]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体、及びラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩からなる組成物を有効成分とする医薬品。
[10] [1]乃至[8]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体:ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を質量比で0.5〜100:1で含有する[9]に記載の医薬品。
[11] [1]乃至[8]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体から形成されるナノ粒子。
[12] ナノ粒子の体積平均粒径が20nm未満である[11]に記載のナノ粒子。
[13] ポリエチレングリコールセグメント及びポリアスパラギン酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基を有機溶媒中、脱水縮合剤を用いてエステル結合させることを特徴とする[1]乃至[8]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体の製造方法。
[14] [1]乃至[8]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体を有効成分とする医薬品。
[15] [1]乃至[8]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体を有効成分とする抗腫瘍剤。
[16] [1]乃至[8]の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体を有効成分とする免疫抑制剤。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体は、ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基がエステル結合していることを特徴とする。このブロック共重合体は優れた水溶性を示し、生体内において安定である。また、このブロック共重合体は酵素非依存的にラパマイシン類を放出することができ、腫瘍部位や炎症部位等への高い集積性を有する。そして、水中で親水性の高いポリエチレングリコールセグメントを外殻、疎水性の高いポリアミノ酸誘導体セグメントを内殻としたナノ粒子を形成することも可能である。レーザー光を用いた動的光散乱法による該ナノ粒子の体積平均粒径が20nm以下の場合、組織深部への浸透性がより向上する。更に、本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体と、ラパマイシン類又はその塩との組成物も優れた水溶性を示し、生体内において安定であり、酵素非依存的にラパマイシン類を放出することができ、腫瘍部位や炎症部位等への高い集積性を有する。その結果、本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体は、ラパマイシン類よりも同等以上の抗腫瘍活性、免疫抑制活性や抗炎症活性を発揮し、ラパマイシン類の副作用の低減も期待される。
PBS(リン酸緩衝生理食塩水:pH7.1)中での本発明の化合物からラパマイシンの放出率を経時的にプロットした結果である。 PBS(リン酸緩衝生理食塩水:pH7.1)中での本発明の化合物からエベロリムスの放出率を経時的にプロットした結果である。 本発明の化合物の投与によって、実験的自己免疫性脳脊髄炎EAEのモデルにおけるEAEスコアが3もしくは4になった頻度の平均値の結果である。 ヒト腎がん移植マウスに対する本発明の化合物の抗腫瘍試験の結果である。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体は、ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基がエステル結合していることを特徴とする。
以下に、その詳細について説明する。
ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるポリマーにはグラフト型ポリマーやブロック型ポリマーが含まれるが、好ましくはブロック共重合体が挙げられる。
ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の分子量は、通常0.5kDa以上100kDa以下程度であり、好ましくは0.6kDa以上50kDa以下程度であり、更に好ましくは0.8kDa以上30kDa以下である。なお、本明細書中において分子量とは、ポリエチレングリコール標準品を基準としたGPC法により測定されるピークトップ分子量である。
ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の1分子あたりのカルボキシ基の数は、平均で、3〜200個程度であり、3〜150個が好ましく、より好ましくは3〜120個である。カルボキシ基の数はアルカリによる中和滴定により求められる。
本発明におけるポリエチレングリコール類には、両末端又は、片方の末端が修飾されたポリエチレングリコールも含まれ、両末端の修飾基は同一でも異なっていてもよい。末端の修飾基としては、置換基を有していてもよい炭素数(C1〜C6)のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい炭素数(C1〜C4)のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等が挙げられる。更に好ましくはメトキシポリエチレングリコールが挙げられる。
ポリエチレングリコールセグメントの平均分子量は通常0.3kDa以上100kDa以下程度であり、好ましくは0.5kDa以上50kDa以下程度、更に好ましくは0.5kDa以上30kDa以下である。該分子量はポリエチレングリコールセグメントを構築するポリエチレングリコール化合物の分子量測定値であり、ポリエチレングリコール標準品を基準としたGPC法により測定されるピークトップ分子量により求められる平均分子量を採用する。
該ポリアミノ酸誘導体セグメントを構成するアミノ酸は特に限定されるものではなく、天然型アミノ酸、合成アミノ酸及びその側鎖修飾体の何れを用いても良い。また、L体、D体及びラセミ体の何れを用いても良い。例えばグリシン、アラニン、β−アラニン、ロイシン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、システイン等を挙げることができる。また、側鎖が修飾されたアミノ酸としては、アスパラギン酸又はグルタミン酸のアルキルエステル、アスパラギン酸又はグルタミン酸のアラルキルエステル、アスパラギン酸又はグルタミン酸のアルキルアミド、アスパラギン酸又はグルタミン酸のアラルキルアミド、Bocリシン等のアルキルオキシカルボニルリシン等が挙げられる。該ポリアミノ酸誘導体セグメントは、これらのアミノ酸の何れか1種であっても良く、複数種類が混在してセグメントを構築していても良い。
該ポリアミノ酸誘導体セグメントとして好ましくは、ポリグルタミン酸誘導体セグメント、ポリアスパラギン酸誘導体セグメント、ポリリシン誘導体セグメント、ポリオルニチン誘導体セグメント、ポリチロシン誘導体セグメント、ポリセリン誘導体セグメント、ポリトレオニン誘導体セグメント等が挙げられ、中でも反応性置換基としてカルボキシ基を有するポリアスパラギン酸誘導体セグメントまたはポリグルタミン酸誘導体セグメントが特に好ましい。これらの側鎖カルボキシ基を有するポリアミノ酸誘導体セグメントの結合様式は、α−アミド結合体であっても、側鎖カルボキシ基とのアミド結合体であっても、その混合物であってもよい。後記の製造方法からは、ポリアミノ酸誘導体セグメントとしてポリアスパラギン酸誘導体セグメントが好ましい。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体において、ラパマイシン類のアルコール性水酸基が側鎖カルボキシ基に結合しているポリアミノ酸としてはアスパラギン酸が少なくとも2個結合したポリアスパラギン酸が好ましい。該ポリアスパラギン酸誘導体セグメントの結合様式はペプチド結合であり、α結合体であってもβ結合体であっても良く、その混合物であってもよい。
本発明のブロック共重合体は、ポリエチレングリコールセグメントとポリアミノ酸誘導体セグメントが連結している。該連結様式としては、2つのポリマーセグメントを化学結合により連結する基であれば特に限定されるものではなく、ポリエチレングリコール末端基及びポリアミノ酸誘導体の末端基と、それぞれ結合できる官能基を具備した連結基であれば良い。好ましくは、末端基に結合官能基を有する炭素数(C1〜C6)のアルキレン基である。ポリエチレングリコールセグメントとの結合様式は、ポリオキシエチレン基;(CHCHO)の末端酸素原子によるエーテル結合が好ましく、ポリアミノ酸誘導体セグメントとの結合様式はアミド結合またはエステル結合であることが好ましい。すなわち、連結基としては−(CH)s−基(sは1〜6である)、−(CH)s−NH−基(sは1〜6である)又は−(CH)s−CO−基(sは1〜6である)が好ましい。
ラパマイシン類としては、ラパマイシンの基本骨格を有していれば特に限定されないが、例えば下記式(I)〜(III)で表されるラパマイシン(I)、エベロリムス(II)、テムシロリムス(III)等が挙げられる。ラパマイシン類のアルコール性水酸基は複数あるが、該ブロック共重合体と結合する水酸基の置換位置は限定されない。
Figure 2018012694
Figure 2018012694
Figure 2018012694

好ましい結合様式としては、該ラパマイシン類の水酸基とポリアスパラギン酸セグメントの側鎖カルボキシ基とのエステル結合が挙げられる。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体として、例えば下記一般式(1)[式中、Rは水素原子又は炭素数(C1〜C6)のアルキル基を示し、Rは結合基を示し、Rは水素原子又は炭素数(C1〜C6)のアシル基を示し、Rはラパマイシン類のアルコール性水酸基の残基を示し、Rは疎水性置換基及び/又は−N(R)CONH(R)であり(R、Rは同一でも異なっていてもよい、炭素数(C3〜C6)の環状アルキル基又は三級アミノ基で置換されていてもよい炭素数(C1〜C5)のアルキル基である)、tは5〜11,500の正数を示し、k、l、m、n、o、p及びqは各々0または200以下の正数を示し、且つk+lは1〜200の正数を示し、k+l+m+n+o+p+qは3〜200の正数を示す]で表される化合物が挙げられる。なお、ポリアスパラギン酸誘導体セグメントの各繰り返し単位の配列順はランダムであり、一般式(1)の記載は配列順を表してはいない。
Figure 2018012694
一般式(1)のRにおける炭素数(C1〜C6)のアルキル基としては炭素数(C1〜C6)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数(C1〜C4)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数(C1〜C3)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。炭素数(C1〜C6)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、中でも好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられ、メチル基が殊更好ましい。
一般式(1)のRで表される結合基としては特に限定されないが、炭素数(C2〜C6)のアルキレン基が挙げられ、炭素数(C2〜C4)のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられ、特にトリメチレン基が好ましい。
一般式(1)のRにおける炭素数(C1〜C6)のアシル基としては特に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基等が挙げられ、特にアセチル基が好ましい。
一般式(1)のRであるラパマイシン類のアルコール性水酸基の残基におけるラパマイシン類としては、前記のラパマイシン類が挙げられ、ポリアスパラギン酸誘導体セグメントのカルボン酸部分と脱水縮合剤等によりエステル結合をするアルコール性水酸基であれば置換位置は特に限定されない。すなわち、ラパマイシン類のアルコール性水酸基の残基とは、ラパマイシン類のアルコール性水酸基の水素原子を除いた基である。
一般式(1)のRは疎水性置換基を取り得る。該疎水性置換基としては、炭素数(C1〜C30)のアルコキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルオキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルキルアミノ基、炭素数(C2〜C60)のジアルキルアミノ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルアミノ基、およびアミノ酸誘導体が挙げられる。
特に好ましくは炭素数(C1〜C20)のアルコキシ基、炭素数(C1〜C20)のアルケニルオキシ基、炭素数(C1〜C20)のアルキルアミノ基、炭素数(C2〜C40)ジアルキルアミノ基、炭素数(C1〜C20)のアルケニルアミノ基、およびアミノ酸誘導体残基である。
前記炭素数(C1〜C20)のアルコキシ基としては特に限定されないが、例えば、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
前記炭素数(C1〜C20)のアルケニルオキシ基としては特に限定されないが、例えば、9−ヘキサデセニルオキシ基、cis−9−オクタデセニルオキシ基、cis,cis−9,12−オクタデカジエニルオキシ基等が挙げられる。
前記炭素数(C1〜C20)のアルキルアミノ基としては特に限定されないが、例えば、n−ブチルアミノ基、オクチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、テトラデシルアミノ基、ヘキサデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基等が挙げられる。
前記炭素数(C2〜C40)のジアルキルアミノ基としては特に限定されないが、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基等が挙げられる。
前記炭素数(C1〜C20)のアルケニルアミノ基としては特に限定されないが、例えば、9−ヘキサデセニルアミノ基、cis−9−オクタデセニルアミノ基、cis,cis−9,12−オクタデカジエニルアミノ基等が挙げられる。
前記アミノ酸誘導体としては、例えば、トリプトファン誘導体、フェニルアラニン誘導体、イソロイシン誘導体、ロイシン誘導体、バリン誘導体等が挙げられ、好ましくはトリプトファン誘導体、イソロイシン誘導体、フェニルアラニン誘導体であり、該アミノ酸誘導体はアミド結合しているのが好ましい。
における該疎水性置換基としては、水酸基及び/又はアミノ基を有する蛍光性化合物であってもよい。例えば、2−(2−アミノエトキシ)−9−(ジエチルアミノ)−5H−ベンゾ[a]フェノキサジン−5−オン、BODIPY(登録商標) TR Cadaverine、Alexa Fluor(登録商標) 594 Cadaverine、Texas Red(登録商標) Cadaverine、ATTO(登録商標) 594 amine等が挙げられる。
一般式(1)のRは−N(R)CONH(R)を取り得る。ここでR、Rは同一でも異なっていてもよい、炭素数(C3〜C6)の環状アルキル基又は三級アミノ基で置換されていてもよい炭素数(C1〜C5)のアルキル基である。
炭素数(C3〜C6)の環状アルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基等が挙げられる。
三級アミノ基で置換されていてもよい炭素数(C1〜C5)のアルキル基としては、例えば、エチル基、イソプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。
一般式(1)で表されるラパマイシン類結合ブロック共重合体における全アスパラギン酸数の平均値はk+l+m+n+o+p+qで表され、3〜200個程度であり、好ましくは3〜150個程度であり、特に好ましくは3〜120個である。該重合数はポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体のポリアミノ酸の側鎖カルボキシ基を中和滴定により定量する方法や、H−NMRの積分値から算出することで求めることができる。中和滴定法を用いることが好ましい。
一般式(1)で表されるラパマイシン類結合ブロック共重合体における全アスパラギン酸数(k+l+m+n+o+p+q)に対するラパマイシン類の結合したアスパラギン酸数(k+l)の割合は1〜100%、好ましくは2〜90%、更に好ましくは3〜60%である。又、ラパマイシン類の結合したアスパラギン酸数(k+l)は1〜200個、好ましくは1〜100個程度、特に好ましくは1〜80個程度である。該結合数は、HPLCによる反応液中の未反応ラパマイシン類の計量から算出する方法や、当該ラパマイシン類結合ブロック共重合体からラパマイシン類を開裂させて、それに由来するフラグメント分子を定量分析する方法により求めることができる。
一般式(1)で表されるラパマイシン類結合ブロック共重合体における疎水性置換基の結合したアスパラギン酸数(m+n)の割合は0〜80%でよい。ラパマイシン類以外の置換基の結合数は、HPLCによる反応液中の未反応該結合残基を計量算出する方法や、ポリアミノ酸からの加水分解後の定量分析により求めることができる。また、H−NMRの積分値から算出することもできる。
一般式(1)のtは平均値であり、5〜11,500程度の正数であるが、好ましくは10〜1,500程度の正数であり、特に好ましくは10〜1,000程度の正数である。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体が水溶液中においてナノ粒子を形成する物性である場合、薬理作用効果の増強及び/または副作用の軽減が見られる。すなわち、本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体は、親水性のポリエチレングリコールセグメントと、ラパマイシン類や他の疎水性側鎖により疎水性を示すポリアスパラギン酸誘導体セグメントが連結したブロック共重合体であるため、水溶液中では複数の該ブロック共重合体同士のポリアスパラギン酸誘導体セグメントが疎水性相互作用に基づき会合しやすい。結果として、ポリアスパラギン酸誘導体セグメントを内核(コア部)とし、その周りを親水性のポリエチレングリコールセグメントが覆い外殻層(シェル部)を形成したコア−シェル構造のミセル様会合体であるナノ粒子を形成する。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体の分子量は、その構成部分の各構成分子量を合算した計算値を当該ブロック共重合体の分子量として採用する。すなわち、(1)ポリエチレングリコールセグメントの分子量、(2)ポリアミノ酸誘導体セグメントの主鎖部分の分子量、(3)ラパマシン類の結合残基分子量にその結合数を乗じたラパマイシン類の総分子量、並びに(4)ラパマイシン類以外の結合基残基分子量にその結合数を乗じた該結合基の総分子量、を合算した計算値を当該分子量とする。したがって、該ブロック共重合体の両末端基やブロック共重合体を構築する連結基は、特段に事由が無い限りにおいて、当該ブロック共重合体の分子量算出に考慮しない。
なお、該ブロック共重合体の分子量は、kDa単位での精度による分子量規定でよい。したがって、前記各構成部分の分析方法は、当該ポリアミノ酸誘導体のkDa単位での分子量測定において、十分な精度の分析方法であれば特に限定されるものではなく、様々な分析方法を適宜選択して良い。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体の分子量は2kDa以上で30kDa以下である。前記分子量が2kDaより小さい場合、該ラパマイシン類結合ブロック共重合体は十分なナノ粒子形成能を有しないため標的組織への十分な集積性が得られない。したがって、ラパマイシン類の薬理作用効果を効率的に発揮させることができないことになる。一方、前記分子量が30kDaより大きい場合、当該ブロック共重合体がμmオーダーの粒子を形成することが懸念され、組織移行性が下がり薬理作用効果を効率的に発揮させることができないことになる。当該ブロック共重合体の分子量は、3kDa以上で25kDa以下であることが好ましい。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体1〜5mg/mL水溶液(純水による水溶液)を、レーザー光を用いた動的光散乱法による粒度分布測定を行うと、後記する体積平均粒径として約1nm〜数百nmのナノ粒子として計測される物性である。好ましくは体積平均粒径が1〜100nm、より好ましくは1〜50nmのナノ粒子である。
本発明におけるレーザー光を用いた動的光散乱法による体積平均粒径とは、Malvern社製粒子径・ゼータ電位測定装置Zetasizer Nano ZS(解析方法:NNLS法)で測定し得られた体積分布の内、存在する割合が一番多いピークの粒径である。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体1分子中の各セグメントやその構成単位の質量含有率を説明する。以下において、質量含有率は本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体1分子に対するものを表す。
ポリエチレングリコールセグメントの質量含有率は10質量%以上で80質量%以下であることが好ましい。すなわち、当該ブロック共重合体の分子量中のポリエチレングリコールセグメント相当の分子量が占める割合が10質量%〜80質量%であることが好ましい。ポリエチレングリコールセグメントの質量含有率が10質量%より少ない場合、水溶性が著しく低下してしまい水溶液中で自己会合によるナノ粒子を形成できない懸念がある。また、可溶化できない懸念がある。一方、ポリエチレングリコールセグメントの質量含有率が80質量%より多い場合、自己会合性を担うポリアミノ酸誘導体セグメントが少なくなるため疎水性相互作用に基づくナノ粒子形成能が低下してしまう懸念がある。十分な薬効と副作用の軽減を達成するために、ポリエチレングリコールセグメントの質量含有率を設定することが好ましい。
前記ポリエチレングリコールセグメントの質量含有率は、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上65質量%以下であることが殊更好ましい。
ポリアミノ酸セグメントの質量含有率は10質量%以上で80質量%以下であることが好ましい。すなわち、当該ブロック共重合体の分子量中のポリアミノ酸セグメント相当の分子量が占める割合が10質量%以上で80質量%以下であることが好ましい。ポリアミノ酸セグメントの質量含有率が10質量%より少ない場合、疎水性相互作用に基づくナノ粒子形成能を奏しない懸念がある。一方、ポリアミノ酸セグメントの質量含有率が80質量%より多い場合、疎水性相互作用が強すぎるために体積平均粒径が数μmの粒子を形成する可能性がある。また、可溶化できない懸念がある。十分な薬効と副作用の軽減を達成するために、ポリアミノ酸セグメントの質量含有率を設定することが好ましい。
前記ポリアミノ酸セグメントの質量含有率は、10質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上60質量%以下であることが殊更好ましい。
ラパマイシン類の質量含有率は5質量%以上で60質量%以下であることが好ましい。該ラパマイシン類含有率が5質量%より低い場合、薬理活性を示すための有効成分が少なくなるため薬効が低下する懸念がある。一方、該ラパマイシン類の含有率が60質量%より多い場合、該ブロック共重合体の自己会合性のバランスが著しく低下してしまい、所望のナノ粒子形成能を奏しない懸念がある。
該ラパマイシン類の質量含有率は、好ましくは5質量%以上で50質量%以下であり。さらに好ましくは5質量%以上で40質量%以下である。
疎水性置換基の質量含有率は0質量%以上50質量%以下であることが望ましい。すなわち、疎水性置換基は任意の置換基であり結合していてもしていなくても良い。疎水性置換基の質量含有率が50%より高い場合、疎水性相互作用が強すぎるために体積平均粒径として数μmの粒子を形成する可能性がある。また、可溶化できない懸念がある。十分な薬効と副作用の軽減を達成するために、疎水性置換基の質量含有率を設定することが好ましい。
前記のように、本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体は腫瘍部位へ集積するが、特に、ラパマイシン類結合ブロック共重合体1〜5mg/mL水溶液におけるレーザー光を用いた動的光散乱法による体積平均粒径が20nm未満のナノ粒子である物性を示すラパマイシン類結合ブロック共重合体は、腫瘍部位への浸透性がより向上する。体積平均粒径が3〜15nmであることがより好ましい。そして、このラパマイシン類結合ブロック共重合体の分子量は2kDa以上15kDa以下である。
以下、レーザー光を用いた動的光散乱法による体積平均粒径が20nm未満のナノ粒子を形成し分子量が2キロダルトン以上15キロダルトン以下であるラパマイシン類結合ブロック共重合体について説明する。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体の分子量が15kDaより大きい場合、該ブロック共重合体は腎排泄性が抑制されることに伴い体内滞留性が高くなる。このため、疾病標的組織以外の正常組織へのラパマイシン類の分布が起こり正常組織の障害発現が懸念される。該ブロック共重合体の分子量は、3kDa以上で12kDa以下であることが好ましく、更に好ましくは3kDa以上で10kDa以下である。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体において、ポリエチレングリコールセグメント及びポリアスパラギン酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の分子量は0.5kDa以上10kDa以下が好ましい。
ポリエチレングリコールセグメントの平均分子量は0.8kDa以上12kDa以下程度であり、好ましくは1kDa以上10kDa以下程度、更に好ましくは1.3kDa以上10kDa以下程度である。
該ポリアミノ酸誘導体セグメントのアミノ酸数は1分子当たり3〜50個であることが好ましい。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体におけるtの平均値は10〜250の正数であり、20〜100の正数であることがより好ましい。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体における全アスパラギン酸数の平均値はk+l+m+n+o+p+qで表され、3〜50個程度であり、好ましくは3〜30個程度であり、特に好ましくは4〜25個である。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体における全アスパラギン酸数(k+l+m+n+o+p+q)に対するラパマイシン類の結合したアスパラギン酸数(k+l)の割合は1〜100%、好ましくは2〜90%、更に好ましくは3〜60%である。又、ラパマイシン類の結合したアスパラギン酸数(k+l)は1〜25個、好ましくは1〜15個程度、特に好ましくは1〜10個程度である。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体における疎水性置換基の結合したアスパラギン酸数(m+n)の割合は1〜80%、好ましくは2〜70%、更に好ましくは3〜50%である。又、疎水性置換基の結合したアスパラギン酸数(m+n)は1〜25個、好ましくは1〜15個程度、特に好ましくは1〜10個程度である。
一般式(1)で表され、体積平均粒径が20nm未満のナノ粒子を形成し分子量が2kDa以上15kDa以下であるラパマイシン類結合ブロック共重合体において、R〜Rは前記の置換基と同様であり、好ましい置換基も同様である。
該ラパマイシン類結合ブロック共重合体は、疎水性置換基の質量含有率が1質量%以上50質量%以下であることが望ましい。疎水性置換基の質量含有率が1質量%より低い場合、該ブロック共重合体の自己会合性のバランスが著しく低下してしまい、体積平均粒径が20nm未満のナノ粒子の形成能を奏しない懸念がある。一方、疎水性置換基の質量含有率が50%より高い場合、疎水性相互作用が強すぎるために体積平均粒径20nm以上のナノ粒子を形成する懸念がある。疎水性置換基の質量含有率は、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。3質量%以上20質量%以下であることが殊更好ましい。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体は、ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基と、ラパマイシン類のアルコール性水酸基とを有機溶媒中、脱水縮合剤を用いてエステル結合させることにより得られ、本製造方法も本発明に含まれる。すなわち、該ブロック共重合体と、必要に応じて反応させる基以外の官能基を保護したラパマイシン類とを、両者が溶解する有機溶媒中、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒中、0〜180℃、好ましくは5〜50℃でジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキシキノリノン(EEDQ)等の脱水縮合剤を用いた反応に付す製造方法である。又、縮合反応の際にN、N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)等の反応補助剤を用いてもよい。縮合反応後、必要に応じて脱保護を行い、通常の分離精製等の操作によりラパマイシン類結合ブロック共重合体が製造される。
又、Rが−N(R)CONH(R)基であるラパマイシン類結合ブロック共重合体は、上記のカルボジイミド類を縮合剤として用いても得られる。
に炭素数(C1〜C30)のアルコキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルオキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルキルアミノ基、炭素数(C2〜C60)のジアルキルアミノ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルアミノ基、およびアミノ酸誘導体残基(カルボキシ基が保護されたアミノ酸を含む)等を導入する方法としては、ポリマーのカルボキシ基を上記の方法にて活性化してから対応するアルコール、対応するアミンやカルボキシ基が保護されたアミノ酸等を塩基性条件下で反応させる方法、対応するアルコール、対応するアミンやカルボキシ基が保護されたアミノ酸等を活性化させてからポリマーに反応させる方法等も可能である。ポリマーを精製した後に同様の反応でポリマー中の未反応のカルボン酸基を再活性化させることができ、ここにラパマイシン類のアルコール性水酸基を縮合させてもよい。或いは異なるアルコール、アミン等を繰り返し反応させて、Rの種々の置換基の混成体を合成し、次いでラパマイシン類のアルコール性水酸基を縮合させてもよい。又、ラパマイシン類を縮合させた後に炭素数(C1〜C30)のアルコキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルオキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルキルアミノ基、炭素数(C2〜C60)のジアルキルアミノ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルアミノ基、およびアミノ酸誘導体残基等を導入してもよい。
ただし、本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体の製造法は上記の方法に限定されるわけではない。
更に、本発明には前記のポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体にラパマイシン類が結合したラパマイシン類結合ブロック共重合体に、ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を含有する組成物を含む。 ラパマイシン類としては前記のラパマイシン類が挙げられ、その薬理学的に許容される塩としては通常の造塩条件で調製されるラパマイシン類の塩が挙げられる。
該組成物中の該ラパマイシン類結合ブロック共重合体と該ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩との比率は任意に調整し得るものである。それぞれの成分の質量比、ラパマイシン類結合ブロック共重合体:ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩は0.5〜100:1が好ましい。より好ましくは0.5〜50:1であり、特に好ましくは1〜50:1であり、殊更好ましくは2〜20:1である。
該組成物は、前記ラパマイシン類結合ブロック共重合体並びに前記ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩が相互作用による複合体を形成する態様が好ましい。該複合体として特に好ましくは、水中でナノ粒子を形成する態様である。すなわち、前記ラパマイシン結合ブロック共重合体のような両親媒性ポリマーを医薬品の担体としても利用し、薬物動態を改善することにより、薬効向上及び/又は副作用低減を達成させる医薬組成物とする方法である。
該組成物の調製方法としては、例えば、特許第2777530号公報に記載の下記のa)〜c)の方法や、特開2001−226294号公報に記載の下記d)の方法が知られている。又、特開2003−342168号公報や文献(例えば、Park et. al., Biomaterials and Drug Delivery toward New Mellenium, 2000, 321−332、Lavasanifar et. al., Journal of Controlled Release, 2001, 77, 155−160)には下記方法e)が記載されている。
a)攪拌による薬物の封入法
疎水性薬物を、必要により水混和性の有機溶媒に溶解して、ブロック共重合体分散水溶液を攪拌混合する方法。なお、攪拌混合時に加熱することも可能である。
b)溶媒揮散法
疎水性薬物の水非混和性の有機溶媒溶液と、ブロック共重合体分散水溶液とを混合し、攪拌しながら有機溶媒を揮散させる方法。
c)透析法
水混和性の有機溶媒に疎水性薬物及びブロック共重合体を分散溶解した後、得られる溶液を透析膜により緩衝液及び/又は水に対して透析する方法。
d)乳化揮散法
水非混和性の有機溶媒に疎水性薬物及びブロック共重合体を分散溶解して得られる溶液を水と混合した後、攪拌して水中でO/W型エマルジョンを形成し、次いで有機溶媒を揮散させる方法。
e)固溶体法
疎水性薬物とブロック共重合体を有機溶媒に溶解し、両者を均一に混合した後溶媒を留去して固溶体を調製し、次いで固溶体を40〜60℃で水に溶解させることで調製する方法。
上記の組成物調製方法において使用する有機溶媒は、蒸発又は透析により除去可能なものであれば制限なく用いることができる。好ましい有機溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、アセトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)、酢酸メチル、酢酸エチル、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。
これらの有機溶媒の使用量は、薬剤やブロック共重合体が溶解できる量であれば特に問題なく、その調製態様に応じて適宜設定すれば良い。
本発明の組成物を調製する場合、前記の何れの方法でも特に制限されるものではないが、一例として上記b)溶媒揮散法による調製方法を以下に示す。
所定量のラパマイシン類結合ブロック共重合体を水性溶媒に溶解する。該水性溶媒としては水が好ましく、医薬製剤に用いられる製剤添加剤を含む水溶液であっても良い。例えば、リン酸やクエン酸緩衝剤を含む緩衝水溶液、グルコース、マルトース、乳糖等の糖類の水溶液、生理食塩水等の無機塩水溶液、及びこれらの添加剤が混合した水溶液であっても良い。該ブロック共重合体と水性媒体の量比は、分散可能な適当量であれば特に制限されるものではないが、質量/容量(w/v)比で1:10〜1,000の範囲で調製すれば良い。撹拌中の該ブロック共重合体水溶液にジクロロメタン等水非混和性の有機溶媒に溶解したラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を滴下する。これを適当な温度、例えば40℃以下、好ましくは30℃以下の温度で撹拌し、水非混和性有機溶媒が揮発するまで撹拌する。この撹拌は水非混和性有機溶媒がほぼ完全に揮発するのに十分な時間行われ、ラパマイシン類結合ブロック共重合体及びラパマイシン類の種類や含有量、選択する水非混和性溶媒によって変動するので限定されない。その後、得られた水性溶液はそのまま、あるいは不溶物や析出物を濾過処理してもよい。使用する濾過膜に制限はないが、好ましくは孔径が0.1〜1μm程度の膜である。以上の方法で、ラパマイシン類結合ブロック共重合体、及びラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩が相互作用を及ぼし得る好ましい態様の本発明に係る組成物の溶液を調製することできる。なお、この溶液を任意に濃縮処理や限外濾過処理することにより、所定の濃度に濃縮することができる。また、更なる溶媒溜去処理や凍結乾燥により、固体状態とすることができる。
上記の方法により調製された本発明の組成物は、水溶液中において会合し、ナノ粒子を形成しても良い。該ナノ粒子はラパマイシン類結合ブロック共重合体換算1mg/mLの濃度でのレーザー光を用いた動的光散乱法による粒度分布測定において、体積平均粒径として1〜900nmの粒子として検出される。好ましくは体積平均粒径として1〜500nmであり、特に好ましくは1〜100nmである。
本発明の組成物は、両新媒性のブロック共重合体を用いていることから、水性媒体中で疎水性のポリアミノ酸セグメントを内核(コア部)とし、親水性のポリエチレングリコールセグメントを外殻層(シェル部)とするコア‐シェル型のミセル様会合体を形成すると考えられる。ここで、疎水的物性のラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩は、疎水性のポリアミノ酸セグメントと相互作用するため、該ミセル様会合体の内核部に取り込まれるように内包され複合体を形成する。
前記ラパマイシン類結合ブロック共重合体に前記ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を含有する本発明の組成物におけるブロック共重合体に結合していないラパマイシン類の含量は、組成物のHPLC分析により検量線を用いて算出することができる。ブロック共重合体に結合しているラパマイシン類と結合していないラパマイシン類を合わせた本発明の組成物のラパマイシン類の含量は、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%であることがより好ましい。該組成物を構成するラパマイシン類結合ブロック共重合体及び内包するラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩の両者からラパマイシン類は放出される。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体又はラパマイシン類結合ブロック共重合体とラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする組成物は、生体内に投与後、ラパマイシン類を徐々に遊離する性質を有し、該ラパマイシン類を有効成分とする医薬品としての用途を有する。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体又はラパマイシン類結合ブロック共重合体とラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする組成物は、抗腫瘍剤として用いることができる。抗腫瘍剤として悪性腫瘍、例えば乳癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、直腸結腸癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝細胞癌、胃癌、膵臓癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭部及び頸部の癌、メラノーマ、卵巣癌、胆管癌、中皮腫、及び多発性骨髄腫等の治療に適用することができる。特に、ラパマイシン類が治療に供せられている非小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能または再発)、結腸・直腸癌(手術不能または再発)、乳癌(手術不能または再発)、有棘細胞癌、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)の治療に適する。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体又はラパマイシン類結合ブロック共重合体とラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする組成物は、免疫抑制剤又は抗炎症剤として用いることができる。例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、臓器移植及び骨髄移植における拒絶反応の抑制等の治療に用いられる医薬品に適する。特に好ましくは、自己免疫疾患あるいは炎症性疾患の治療用医薬である。全身性自己免疫疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、シェーグレン症候群等を挙げることができ、臓器特異性自己免疫疾患としては、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、慢性胃炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症等を挙げることができる。炎症性疾患としては、間質性肺炎等が挙げられる。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体を含む医薬品は、医薬品に通常容認される他の添加剤を含有していても良い。該添加剤としては、賦形剤、増量剤、充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤及び等張化剤等が挙げられる。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体を含む医薬品は、治療用の医薬品製剤として調製されても良い。該製剤としては、経口、注射、直腸内投与、門脈内投与、臓器の灌流液に混合、患部臓器への局所投与等いずれの投与方法でも可能であるが、好ましくは非経口的投与であり、注射による静脈内投与、動脈内投与又は患部臓器への局所投与がより好ましく、通常、例えば、水、生理食塩水、5%ブドウ糖又はマンニトール液、水溶性有機溶媒(例えば、グリセロール、エタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ポリエチレングリコール、クレモホール等及びそれらの混合液)並びに水と該水溶性有機溶媒の混合液等が使用可能である。
本発明のラパマイシン類結合ブロック共重合体又はラパマイシン類結合ブロック共重合体とラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする組成物の投与量は、患者の性別、年齢、生理的状態、病態等により当然変更され得るが、非経口的に、通常、成人1日当たり、活性成分の合算として0.01〜500mg/m、好ましくは0.1〜250mg/mを投与する。注射による投与は、静脈、動脈、患部(腫瘍部)等に行われる。
抗腫瘍剤としては、腫瘍組織への浸透性が一段と優れるラパマイシン類結合ブロック共重合体の分子量が2kDa以上15kDa以下であり、レーザー光を用いた動的光散乱法による平均体積粒径が20nm未満のナノ粒子を形成するラパマイシン類結合ブロック共重合体が特に好ましい。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例のラパマイシン類結合ブロック共重合体及び組成物の体積平均粒径の測定は、Malvern社製粒子径・ゼータ電位測定装置Zetasizer Nano ZS(測定温度:25℃、Analysis model:General purpose(normal resolution)、Material RI:1.59)にて行った。体積平均粒径測定サンプルは、ラパマイシン類結合ブロック共重合体濃度として1mg/mLもしくは5mg/mLになるように超純水を加え、氷冷下にて超音波を10分間照射して溶解後、0.2μmメンブレンフィルターで濾過した溶液を用いた。
[合成例1]ポリエチレングリコール−α,β−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体(ポリエチレングリコール分子量12kDa、ポリアスパラギン酸重合数23.8;ブロック共重合体1)の合成。
片末端メトキシ基、片末端3−アミノプロピル基のポリエチレングリコール(SUNBRIGHT MEPA−12T、日油社製、平均分子量12kDa、75.0g)をDMSO(1,430mL)に溶解後、γ−ベンジル L−アスパラギン酸 N−カルボン酸無水物(45.0g、29当量)を加えて32.0℃で一夜撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテル(12L)及びエタノール(3L)混合液中に1時間かけて滴下し、室温にて1時間撹拌した。その後、析出物を濾取し、減圧下で乾燥し、重合物(106.0g)を得た。
得られた重合物(105.0g)をDMF(1,050mL)に溶解し、無水酢酸(3.3mL)を加えて35℃にて3時間撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテル(9,450mL)及びエタノール(1,050mL)混合液中に1時間かけて滴下し、室温にて1時間撹拌した。その後、析出物を濾取し、減圧下で乾燥することによりアセチル化ポリマー(103.0g)を得た。
得られたアセチル化ポリマー(100.0g)をアセトニトリル(2,000mL)に溶解後、0.2規定の水酸化ナトリウム(2,000mL)を加えて、23℃にて3時間加水分解を行った。反応液に2規定の塩酸を加えて中和したのち、減圧濃縮にてアセトニトリルを除去後、酢酸エチル(2,000mL)を用い濃縮液を3回洗浄した。水層を減圧濃縮後、1規定の水酸化ナトリウム水溶液にて溶解液のpHを11.0に調製し、食塩(100g)を添加後、分配吸着樹脂カラムクロマトグラフィー、続いてイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、溶出した溶液を減圧濃縮したのち、凍結乾燥し、メトキシポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体N−Ac体(ブロック共重合体1 75.4g)を得た。
0.1N水酸化カリウムを用いた滴定法により、ブロック共重合体1におけるアスパラギン酸の重合数は23.8と算出した。
[合成例2]ポリエチレングリコール−α,β−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体(ポリエチレングリコール分子量2kDa、ポリアスパラギン酸重合数12.5;ブロック共重合体2)の合成。
片末端メトキシ基、片末端3−アミノプロピル基のポリエチレングリコール(SUNBRIGHT MEPA−20H、日油社製、平均分子量2kDa、20.0g)をDMSO(400mL)に溶解後、γ−ベンジル L−アスパラギン酸 N−カルボン酸無水物(29.8g、12当量)を加えて32.5℃で20時間撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテル(3,200mL)及びエタノール(800mL)混合液中に1時間かけて滴下し、室温にて3時間撹拌した。その後、析出物を濾取し、減圧下で乾燥し、重合物(31.2g)を得た。
得られた重合物(30.0g)をDMF(300mL)に溶解し、無水酢酸(7.3mL)を加えて35℃にて3時間撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテル(2,700mL)及びエタノール(300mL)混合液中に1時間かけて滴下し、室温にて1時間撹拌した。その後、析出物を濾取し、減圧下で乾燥することによりアセチル化ポリマー(26.6g)を得た。
得られたアセチル化ポリマー(25.0g)をアセトニトリル(500mL)に溶解後、0.2規定の水酸化ナトリウム(500mL)を加えて、23℃にて3時間加水分解を行った。反応液に2規定の塩酸を加えて中和したのち、減圧濃縮にてアセトニトリルを除去後、酢酸エチル(500mL)を用い濃縮液を3回洗浄した。水層を減圧濃縮後、1規定の水酸化ナトリウム水溶液にて溶解液のpHを11.0に調製し、食塩(50g)を添加後、分配吸着樹脂カラムクロマトグラフィー、続いてイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、溶出した溶液を減圧濃縮したのち、凍結乾燥し、メトキシポリエチレングリコール−ポリアスパラギン酸ブロック共重合体N−Ac体(ブロック共重合体2 13.0g)を得た。
0.1N水酸化カリウムを用いた滴定法により、ブロック共重合体1におけるアスパラギン酸の重合数は12.5と算出した。
[実施例1]ブロック共重合体1のラパマイシン(RAP)結合体(実施例1化合物)の合成。
合成例1で得られたブロック共重合体1(928.5mg)及びラパマイシン(RAP 685.6mg)をN−メチルピロリドン(NMP 10.0mL)に溶解し、ジメチルアミノピリジン(DMAP 91.6mg)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI 465μL)を加え、25℃にて20.5時間撹拌した。その後、DIPCI(232μL)を追加し、さらに9.5時間撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテル(475mL)及び酢酸エチル(25mL)混合液中に15分かけて滴下し、室温にて3時間撹拌した後、析出物を濾取し、減圧下で乾燥することで生成物(1.12g)を得た。得られた生成物をアセトニトリル/水(50/50(v/v)、82mL)に溶解後、イオン交換樹脂を加えて5℃にて45分間撹拌した。イオン交換樹脂を濾別後にアセトニトリルを減圧留去し、凍結乾燥することにより標記のラパマイシン類結合ブロック共重合体(実施例1化合物 1.09g)を得た。
実施例1化合物のRAP結合量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した反応溶液中のRAPの消費率から6.6分子であった。したがって、実施例1化合物の総RAP分子量は6,026と算出された。
これらの値より、実施例1化合物の総分子量は20,786≒20kDaと算出された。
実施例1化合物中のRAPの含有量は29.0質量%、ポリエチレングリコールセグメントの含有量は57.7質量%である。
体積平均粒径は、26nm(5mg/mL)であった。
[実施例2]ブロック共重合体1のエベロリムス結合体(実施例2化合物)の合成。
合成例1で得られたブロック共重合体1(700mg)及びエベロリムス(213mg)をN−メチルピロリドン(NMP 7.50mL)に溶解し、ジメチルアミノピリジン(DMAP 69.1mg)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI 348μL)を加え、25℃にて24時間撹拌した。その後、DIPCI(174μL)を追加し、さらに3時間撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテル(375mL)中に10分かけて滴下し、室温にて17時間撹拌した後、析出物を濾取し、減圧下で乾燥することで生成物(895mg)を得た。得られた生成物をN,N−ジメチルホルムアミド(14mL)に溶解後、イオン交換樹脂を加えて25℃にて1時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾別後にジイソプロピルエーテル(750mL)中に10分かけて滴下し、室温にて3時間撹拌した後、析出物を濾取し、減圧下で乾燥することで標記のラパマイシン類結合ブロック共重合体(実施例2化合物 780mg)を得た。
実施例2化合物のエベロリムス結合量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した反応溶液中のエベロリムスの消費率から4.3分子であった。したがって、実施例2化合物の総エベロリムス分子量は4,105と算出された。
これらの値より、実施例2化合物の総分子量は18,842≒19kDaと算出された。
実施例2化合物におけるエベロリムスの含有量は21.8質量%、ポリエチレングリコールセグメントの含有量は63.7質量%である。
体積平均粒径は、68nm(1mg/mL)であった。
[実施例3]ブロック共重合体2のラパマイシン(RAP)及びn−ブチルアミン結合体(実施例3化合物)の合成。
合成例2で得られたブロック共重合体2(50.0mg)及びラパマイシン(RAP 44.2mg)をN−メチルピロリドン(NMP 583μL)に溶解し、n−ブチルアミン(9μL)、ジメチルアミノピリジン(DMAP 10.9mg)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI 64μL)を加え、25℃にて21時間撹拌した。その後、DIPCI(16μL)を追加し、さらに2時間撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテル(25mL)及び酢酸エチル(1mL)混合液中に滴下し、室温にて40分撹拌した後、上澄みを除去しジイソプロピルエーテル(25mL)加え30分撹拌する操作を2回繰り返した後、溶媒を減圧留去し、減圧下で乾燥することで生成物(61.4mg)を得た。得られた生成物(20mg)を水(1mL)に溶解後、イオン交換樹脂を加えて室温にて30分間撹拌した。イオン交換樹脂を濾別後、凍結乾燥することにより標記のラパマイシン類結合ブロック共重合体(実施例3化合物)を得た。
実施例3化合物のRAP結合量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した反応溶液中のRAPの消費率から1.4分子であった。したがって、実施例3化合物の総RAP分子量は1,278と算出された。
実施例3化合物のn−ブチルアミン結合量は、n−ブチルアミンの仕込量が全て反応したと仮定すると6.2分子であった。したがって、実施例3化合物の総n−ブチルアミン分子量は453と算出された。
これらの値より、実施例3化合物の総分子量は5,100≒5kDaと算出された。
実施例3化合物におけるRAPの含有量は25.1質量%、n−ブチルアミンの含有量は8.9質量%、ポリエチレングリコールセグメントの含有量は39.2質量%である。
体積平均粒径は、9nm(5mg/mL)であった。
[実施例4]実施例1化合物とRAPの組成物(実施例4化合物)の調製。
氷冷下撹拌中の実施例1化合物(1.6g)を溶解した40mg/mLマルトース水溶液(160mL)にRAP(160mg)のジクロロメタン(8mL)溶液を滴下することでO/W型エマルションを形成した。この後、O/W型エマルション液を撹拌しながらジクロロメタンを除去した。その後、マクロゴール(3.2g)を加え、得られた水溶液を凍結乾燥することにより、標記の組成物(実施例4化合物)を得た。
実施例4化合物の体積平均粒径は、57nm(1mg/mL)、ブロック共重合体に結合していないRAPの含有量は1.4質量%であった。
[実施例5]実施例3化合物とRAPの組成物(実施例5化合物)の調製。
氷冷下撹拌中の実施例3化合物(10mg)を溶解した40mg/mLマルトース水溶液(1mL)にRAP(1mg)のジクロロメタン(50μL)溶液を滴下することでO/W型エマルションを形成した。この後、O/W型エマルション液を撹拌しながらジクロロメタンを除去した。その後、マクロゴール(20mg)を加え、得られた水溶液を凍結乾燥することにより、標記の組成物(実施例5化合物)を得た。
実施例5化合物の体積平均粒径は、23nm(1mg/mL)、ブロック共重合体に結合していないRAPの含有量は1.4質量%であった。
[試験例1]ラパマイシン(RAP)結合ブロック共重合体の酵素非存在下での薬剤放出。
実施例1化合物又は実施例3化合物を、PBS(リン酸緩衝生理食塩水:pH7.1)にポリマー換算1mg/mLの濃度で溶解し、37℃にてインキュベートした。該RAP結合ブロック共重合体から加水分解され放出されたRAPを、HPLCにて分析し検量線を用いて定量した。定量値とブロック共重合体の薬剤含有量から求めた全薬剤量との比を図1に示した。
図1に明らかなように、本発明のブロック共重合体は加水分解酵素非存在下でもRAPを放出する薬剤放出性能を示している。また、実施例3化合物は、実施例1化合物よりもRAP放出速度が速かった。
[試験例2]エベロリムス結合ブロック共重合体の酵素非存在下での薬剤放出。
実施例2化合物を、PBS(リン酸緩衝生理食塩水:pH7.1)にポリマー換算1mg/mLの濃度で溶解し、37℃にてインキュベートした。該エベロリムス結合ブロック共重合体から加水分解され放出されたエベロリムスを、HPLCにて分析し検量線を用いて定量した。定量値とブロック共重合体の薬剤含有量から求めた全薬剤量との比を図2に示した。
図2に明らかなように、本発明のブロック共重合体は加水分解酵素非存在下でエベロリムスを放出する薬剤放出性能を示した。
[試験例3]実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおける薬効評価。
SJL/Jマウス(日本チャールズ・リバー株式会社)に、完全フロイントアジュバント含有プロテオリピッドタンパク質ペプチド139−151エマルジョン(コスモバイオ株式会社)50μLを背部皮下に4カ所投与することでEAEを誘発した。また血液脳関門を破綻させるため、百日咳毒素(コスモバイオ株式会社)のPBS水溶液(1μg/mL)200μLを尾静脈内投与した。感作日を0日目とし、7日目から対照薬としてラパマイシンの10%エタノール及び10%クレモホール含有5%グルコース水溶液(1mg/kg)を2日間隔で8回静脈内投与した。実施例1化合物又は実施例2化合物はラパマイシン類換算5mg/kgまたは20mg/kgの5%グルコース水溶液に調製し、7日間隔(7日目、14日目、21日目)で3回静脈内投与した。EAEの発症及び各実施例の薬効は、表1に示すEAEスコアの基準を参考に、28日目まで経時的にEAEスコアを測定することにより確認した。結果を図3に示す。
[表1]
Figure 2018012694
上記の結果はEAEスコアが3もしくは4になった頻度の平均値である。この結果から、実施例1化合物及び実施例2化合物の投与群はいずれもラパマイシンと同程度EAEスコアの上昇を抑制していることを確認した。また、対照薬であるラパマイシン投与群では、尻尾に異常がみられる個体があり中には尻尾が切れる個体も確認されたが、実施例1化合物及び実施例2化合物の投与群ではそのような尻尾の異常は確認されなかった。
試験例3の結果から、ラパマイシン類を高分子誘導体化することで、投与間隔を広げてもラパマイシンと同等の効果が得られ、副作用が軽減されたと考えられる。
[試験例4]ヒト腎がん移植マウスに対する抗腫瘍効果。
SCIDマウスの皮下移植で継代したヒト腎がん786−Oの腫瘍塊を、約3mm角のブロックにし、套管針を用いてSCIDマウスの背側部皮下に移植した。腫瘍移植後平均腫瘍体積が約200mm以上になった時点で群分けを行った。
実施例4化合物を生理食塩水で溶解し、ラパマイシン換算25mg/kgまたは100 mg/kgを尾静脈内に7日毎に3回投与した。
また、対照薬としてラパマイシンを投与溶液(5%エタノール、5%クレモホール、4.5%ブドウ糖注射液)で溶解し、25mg/kgまたは100mg/kgを、尾静脈内に7日毎に3回投与した。
投与開始日の腫瘍体積から相対腫瘍体積を求め、抗腫瘍効果の指標とした。なお、腫瘍体積は、腫瘍の長径(L:mm)及び短径(W:mm)を計測して、(L×W)/2の計算式にて算出した。結果を図4に示した。
上記の結果から、実施例4化合物は対照薬と比較し、同投与量においてより優れた効果を示した。

Claims (16)

  1. ポリエチレングリコールセグメント及びポリアミノ酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基が結合しているラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  2. ポリアミノ酸誘導体セグメントがポリアスパラギン酸誘導体である請求項1に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  3. 下記一般式(1)
    Figure 2018012694
    [式中、Rは水素原子又は炭素数(C1〜C6)アルキル基を示し、Rは結合基を示し、Rは水素原子又は炭素数(C1〜C6)アシル基を示し、Rはラパマイシン類のアルコール性水酸基の残基を示し、Rは疎水性置換基及び/又は−N(R)CONH(R)であり(R、Rは同一でも異なっていてもよい、炭素数(C3〜C6)の環状アルキル基又は三級アミノ基で置換されていてもよい炭素数(C1〜C5)のアルキル基である)、tは5〜11500の正数を示し、k、l、m、n、o、p及びqは各々0または200以下の正数を示し、且つk+lは1〜200の正数を示し、k+l+m+n+o+p+qは3〜200の正数を示す]で表される請求項1又は請求項2に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  4. の疎水性置換基が炭素数(C1〜C30)のアルコキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルオキシ基、炭素数(C1〜C30)のアルキルアミノ基、炭素数(C2〜C60)のジアルキルアミノ基、炭素数(C1〜C30)のアルケニルアミノ基、およびアミノ酸誘導体残基からなる群から選ばれた基である請求項3に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  5. が炭素数(C1〜C6)のアルキル基であり、Rが炭素数(C2〜C6)のアルキレン基であり、Rが炭素数(C1〜C6)のアシル基であり、tが20〜1,000の正数であり、k+l+m+n+o+p+qが3〜150の正数である請求項3又は請求項4に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  6. が炭素数(C1〜C6)のアルキル基であり、Rが炭素数(C2〜C6)のアルキレン基であり、Rが炭素数(C1〜C6)のアシル基であり、tが10〜150の正数であり、k+l+m+n+o+p+qが3〜50の正数であり、k+lが1〜25の正数であり、m+nが1〜25の正数である請求項3乃至請求項5の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  7. 分子量が2kDa以上で30kDa以下である請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  8. 分子量が2kDa以上で15kDa以下である請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体、及びラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩からなる組成物を有効成分とする医薬品。
  10. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体:ラパマイシン類又はその薬理学的に許容される塩を質量比で0.5〜100:1で含有する請求項9に記載の医薬品。
  11. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体から形成されるナノ粒子。
  12. ナノ粒子の体積平均粒径が20nm未満である請求項11に記載のナノ粒子。
  13. ポリエチレングリコールセグメント及びポリアスパラギン酸誘導体セグメントからなるブロック共重合体の側鎖のカルボキシ基にラパマイシン類のアルコール性水酸基を有機溶媒中、脱水縮合剤を用いてエステル結合させることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体の製造方法。
  14. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体を有効成分とする医薬品。
  15. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体を有効成分とする抗腫瘍剤。
  16. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のラパマイシン類結合ブロック共重合体を有効成分とする免疫抑制剤。
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