JP2011225472A - がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤を提供すること。
【解決手段】 本発明のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤は、エリスロポエチンを有効成分としてなることを特徴とするものである。本発明によれば、がんに対する効果的なPDTやPDDを行うことが可能となる他、副作用のない治療効果に優れた化学療法が可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤は、エリスロポエチンを有効成分としてなることを特徴とするものである。本発明によれば、がんに対する効果的なPDTやPDDを行うことが可能となる他、副作用のない治療効果に優れた化学療法が可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤に関する。
ポルフィリンががん細胞に特異的に取り込まれる現象が20世紀初頭に報告されて以来、ポルフィリンを光増感剤として利用したがんに対する光線力学的療法(PDT)は一定の成果をあげてきたが、ポルフィリンはそれ自体が蛍光性を有するため、副作用として光毒性が発現する問題がある。そこで近年では、ヘム合成系におけるポルフィリンの前駆体である5−アミノレブリン酸がポルフィリンにかわる光増感剤として利用されている。化学式:HOOC−(CH2)2−CO−CH2−NH2で表される5−アミノレブリン酸は、δ−アミノレブリン酸とも呼ばれ、がん細胞においてポルフィリンに変換されてその蓄積を生ぜしめ、蛍光を発する(例えば非特許文献1を参照)。5−アミノレブリン酸はポルフィリンと異なってそれ自体が蛍光性を有さないため、副作用としての光毒性の問題がない。従って、5−アミノレブリン酸は、がんに対するPDTに加え、光線力学的診断法(PDD)においても光増感剤として利用されている。しかしながら、5−アミノレブリン酸を光増感剤として利用したPDTやPDDががんに対する万能の治療法や診断法であるわけではない。その効果には改善の余地があり、例えば、がん細胞において5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換をいかに促進し、がん細胞におけるポルフィリン量をいかに増加させるかといった技術課題が存在する。
Divaris,DX,Kennedy,J.C.et al.Am.J.Pathol.,136,891−897,1990
そこで本発明は、がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、赤芽球系前駆細胞から赤血球への分化を促す造血ホルモンであるエリスロポエチンが、がん細胞において5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換を促進し、がん細胞におけるポルフィリン量を増加させる作用を有することを知見した。
上記の知見に基づいてなされた本発明のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤は、請求項1記載の通り、エリスロポエチンを有効成分としてなることを特徴とする。
また、請求項2記載のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤は、請求項1記載のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤において、5−アミノレブリン酸を投与する前に投与されることを特徴とする。
また、請求項2記載のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤は、請求項1記載のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤において、5−アミノレブリン酸を投与する前に投与されることを特徴とする。
本発明によれば、がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤を提供することができる。
本発明のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤は、エリスロポエチンを有効成分としてなることを特徴とするものである。本発明によれば、がんに対するPDTやPDDを行うための5−アミノレブリン酸を投与する前にエリスロポエチンを投与しておくことで、がん細胞において投与された5−アミノレブリン酸が早期にポルフィリンに変換され、がん細胞におけるポルフィリン量が増加するので、がんに対する効果的なPDTやPDDを行うことが可能となる。また、本発明者らは、5−アミノレブリン酸が、抗癌剤のがん細胞に対する細胞毒性を増強する一方で、正常細胞に対してはこのような作用を示さず、がん細胞に対して選択的に機能する抗癌剤の効果増強剤の有効成分となることを見出している。従って、本発明によれば、副作用のない治療効果に優れた化学療法を行うことも可能となる。
本発明において用いるエリスロポエチンは、165個のアミノ酸から構成され、主に腎臓で産生、分泌される糖蛋白質であって、赤芽球系前駆細胞から赤血球への分化を促す造血ホルモンであるが、当業者にエリスロポエチンとして認識されうるものであれば、既知のアミノ酸配列を持つヒト由来の天然体に限らず、その遺伝子工学的手法による産生体であってもよい。また、天然体のアミノ酸配列に対して1以上のアミノ酸が置換・欠失・付加・挿入され、かつ、天然体が本来有する生物活性を保持乃至増強させた誘導体であってもよい。
本発明においてエリスロポエチンによってポルフィリンへの変換が促進される、PDTやPDDにおいて利用される5−アミノレブリン酸は、自体公知の化学合成法によって製造されたものであってもよいし発酵法によって製造されたものであってもよい。5−アミノレブリン酸はエステルの形態で投与されてもよいし、塩の形態で投与されてもよい。5−アミノレブリン酸のエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、n−ヘキシルエステルなどの炭素数が1〜6のアルキルエステルが挙げられる。5−アミノレブリン酸の塩としては、例えば、塩酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩などの酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などの金属塩が挙げられる。
エリスロポエチンは、例えば、PDTやPDDを行う患者に対し、5−アミノレブリン酸投与の前日〜半日前に投与すればよい。エリスロポエチンの投与経路は特段制限されるものではなく、自体公知の静脈内投与や皮下投与の他、筋肉内投与などであってよい。また、その製剤形態は自体公知のアンプル製剤やシリンジ製剤であってよい。投与量は、患者の性別、年齢、体重、症状の程度などに応じて適宜決定されるべきものであるが、例えば成人では1日あたり500〜100000unitを1日1回〜少なくとも2週間に1回投与すればよい。
なお、前述したように、本発明者らは、5−アミノレブリン酸ががん細胞に対して選択的に機能する抗癌剤の効果増強剤の有効成分となることを見出している。5−アミノレブリン酸が抗癌剤のがん細胞に対する細胞毒性を選択的に増強する理由の全容は現段階においては必ずしも明らかではない。しかしながら、がん細胞が抗癌剤耐性を獲得する機序の一つとして、がん細胞におけるABCトランスポーターファミリーの一つであるABCG2の発現の亢進と、ABCG2を介した抗癌剤の排出が知られており(例えば、Doyle LA et al.,PNAS,95,15665−70,1999などを参照)、また、がん細胞においては5−アミノレブリン酸から生成したポルフィリンはABCG2を介して排出されることが知られている(例えば、田村藍ら,日薬理誌(Folia Pharmacol.Jpn.),130,270−274,2007などを参照)ことからすれば、5−アミノレブリン酸が抗癌剤のがん細胞に対する細胞毒性を選択的に増強する理由としては、がん細胞における抗癌剤のABCG2を介した排出と5−アミノレブリン酸に由来するポルフィリンのABCG2を介した排出が競合することによってがん細胞からの抗癌剤の排出が阻害される結果、抗癌剤の濃度ががん細胞においてのみ高濃度に維持されることが推測される(正常細胞においては5−アミノレブリン酸に由来するポルフィリンは最終的にヘムとなりABCG2以外のトランスポーターを介して排出されるのでABCG2を介した抗癌剤の排出は阻害されない)。従って、5−アミノレブリン酸と併用することによってがん細胞に対する細胞毒性が増強される抗癌剤としては、例えば、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドキシフルリジン、テガフール、シタラビン、ゲムシタビンに例示される代謝拮抗剤、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、ニムスチンに例示されるアルキル化剤、マイトマイシン、ドキソルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、ペプロマイシンに例示される抗癌性抗生物質、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンに例示される微小管作用薬、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチンに例示される白金製剤、イリノテカン、ノギテカンに例示されるトポイソメラーゼ阻害剤、エトポシドに例示されるアルカロイド系抗癌剤、ゲフィチニブ、トラスツズマブに例示される分子標的薬などが挙げられるが、中でも、ドキソルビシン、イリノテカン、ゲフィチニブ、トラスツズマブ、シスプラチン、メトトレキサートなどのABCG2を介して排出されることが知られている抗癌剤(例えば、Ross DD et al.,Methods Mol.Biol.,596,251−90,2010などを参照)が適している。なお、治療対象となるがんは特段制限されるものではなく、化学療法の対象となるがんであればどのようながんであってもよいが、具体的には、頭頚部癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮頚癌などの固形癌や、悪性リンパ腫、白血病などの血液癌が挙げられる。
5−アミノレブリン酸は、例えば、標準化学療法を行う患者に対し、化学療法開始の前日〜半日前から投与を開始し、化学療法期間中は投与を継続し、化学療法を終了する時点で投与を中止する(5−アミノレブリン酸は6時間ほどでがん細胞に特異的にポルフィリンの蓄積を生ぜしめる)。この場合、エリスロポエチンは、例えば、5−アミノレブリン酸投与の前日〜半日前に投与すればよい。エリスロポエチンの投与経路や製剤形態や投与量は前述のとおりであってよい。5−アミノレブリン酸の投与経路は特段制限されるものではなく、経口投与であってもよいし非経口投与であってもよく、その製剤形態は投与経路に応じた公知の形態でよい。例えば5−アミノレブリン酸塩酸塩は水に易溶の白色粉末であるので、そのまま粉末製剤として服用することもできるし、蒸留水や生理食塩水に溶解して液状製剤として飲用したり注射剤として静脈内投与したりすることもできる。投与量は、患者の性別、年齢、体重、症状の程度などに応じて適宜決定されるべきものであるが、例えば成人では1日あたり0.01〜1000mgを1〜数回で投与すればよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:エリスロポエチンのがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進作用
ラット癌様変異細胞であるRGK1細胞(WO2007/018182)とヒト胃癌細胞であるMKN45細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換に対してエリスロポエチンがどのような作用を及ぼすか、以下の方法で調べた。
10%FBSを混和したDMEM/HamF12培地(GIBCO)に懸濁したそれぞれの細胞を96ウェルプレートに2×104個播種し、37℃、5%CO2条件下で1晩培養した後、10unit/mLの組換えヒトエリスロポエチン(Sigma)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。次に、1mMの5−アミノレブリン酸塩酸塩(Sigma)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地(5−アミノレブリン酸塩酸塩は培地にそのまま溶解することで添加)に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養した後、415nmの励起光を照射してポルフィリンに基づく630nmの蛍光を観察することで、それぞれの細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換の程度を評価した。評価は5−アミノレブリン酸存在下での培養1時間後における蛍光量を1とした場合の相対値で行った。なお、5−アミノレブリン酸存在下での1時間培養と4時間培養は異なるプレートを用いて行ったが、個々の培養においてはインタクトな細胞を播種したレーンを設定し、ポルフィリンに基づく蛍光量は、当該レーンの蛍光量を基準にした補正を行って数値化した。結果を図1に示す(EPO)。なお、図1には、エリスロポエチンを添加しないこと以外は上記と同じ実験を行った場合の結果をあわせて示す(mock)。
図1から明らかなように、5−アミノレブリン酸の添加に先立ってエリスロポエチンを添加しておくことで、がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換が促進され、細胞内においてプロトポルフィリンIX量が増加したことによる蛍光量の大幅な増加が認められた。以上の結果から、エリスロポエチンは5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤の有効成分となることがわかった。
ラット癌様変異細胞であるRGK1細胞(WO2007/018182)とヒト胃癌細胞であるMKN45細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換に対してエリスロポエチンがどのような作用を及ぼすか、以下の方法で調べた。
10%FBSを混和したDMEM/HamF12培地(GIBCO)に懸濁したそれぞれの細胞を96ウェルプレートに2×104個播種し、37℃、5%CO2条件下で1晩培養した後、10unit/mLの組換えヒトエリスロポエチン(Sigma)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。次に、1mMの5−アミノレブリン酸塩酸塩(Sigma)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地(5−アミノレブリン酸塩酸塩は培地にそのまま溶解することで添加)に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養した後、415nmの励起光を照射してポルフィリンに基づく630nmの蛍光を観察することで、それぞれの細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換の程度を評価した。評価は5−アミノレブリン酸存在下での培養1時間後における蛍光量を1とした場合の相対値で行った。なお、5−アミノレブリン酸存在下での1時間培養と4時間培養は異なるプレートを用いて行ったが、個々の培養においてはインタクトな細胞を播種したレーンを設定し、ポルフィリンに基づく蛍光量は、当該レーンの蛍光量を基準にした補正を行って数値化した。結果を図1に示す(EPO)。なお、図1には、エリスロポエチンを添加しないこと以外は上記と同じ実験を行った場合の結果をあわせて示す(mock)。
図1から明らかなように、5−アミノレブリン酸の添加に先立ってエリスロポエチンを添加しておくことで、がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換が促進され、細胞内においてプロトポルフィリンIX量が増加したことによる蛍光量の大幅な増加が認められた。以上の結果から、エリスロポエチンは5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤の有効成分となることがわかった。
参考例1:ドキソルビシンが有する細胞毒性に対する5−アミノレブリン酸の作用
ラット正常胃粘膜細胞であるRGM1細胞とヒト胃癌細胞であるAGS細胞に対するドキソルビシンの細胞毒性に対して5−アミノレブリン酸がどのような作用を及ぼすか、以下の方法で調べた。
10%FBSを混和したDMEM/HamF12培地(GIBCO)に懸濁したそれぞれの細胞を96ウェルプレートに2×104個播種し、37℃、5%CO2条件下で1晩培養した後、10mMの5−アミノレブリン酸塩酸塩(Sigma)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。次に、10nMのドキソルビシン塩酸塩(Wako)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地(ドキソルビシン塩酸塩はDMSOに溶解して培地に添加)に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した後、MTTアッセイを行い、それぞれの細胞に対する細胞毒性を評価した。評価はドキソルビシンを添加しないこと以外は上記と同じ実験を行った場合の細胞生存率を1とした場合の相対値で行った。結果を図2に示す(ALA:10mM)。なお、図2には、5−アミノレブリン酸を添加しないこと以外は上記と同じ実験を行った場合の結果をあわせて示す(ALA:0mM)。
図2から明らかなように、ドキソルビシンの添加に先立って5−アミノレブリン酸を添加しておくことで、AGS細胞に対する細胞毒性が増強される一方、RGM1細胞に対する細胞毒性の発現が回避された。以上の結果から、5−アミノレブリン酸は、ドキソルビシンのがん細胞に対する細胞毒性を増強する一方で、正常細胞に対してはこのような作用を示さず、がん細胞に対して選択的に機能する抗癌剤の効果増強剤の有効成分となり、エリスロポエチンは、予め投与しておくことで、その抗癌剤の効果増強作用の早期発現に寄与することがわかった。
ラット正常胃粘膜細胞であるRGM1細胞とヒト胃癌細胞であるAGS細胞に対するドキソルビシンの細胞毒性に対して5−アミノレブリン酸がどのような作用を及ぼすか、以下の方法で調べた。
10%FBSを混和したDMEM/HamF12培地(GIBCO)に懸濁したそれぞれの細胞を96ウェルプレートに2×104個播種し、37℃、5%CO2条件下で1晩培養した後、10mMの5−アミノレブリン酸塩酸塩(Sigma)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。次に、10nMのドキソルビシン塩酸塩(Wako)を含有させた10%FBS混和DMEM/HamF12培地(ドキソルビシン塩酸塩はDMSOに溶解して培地に添加)に培地を交換し、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した後、MTTアッセイを行い、それぞれの細胞に対する細胞毒性を評価した。評価はドキソルビシンを添加しないこと以外は上記と同じ実験を行った場合の細胞生存率を1とした場合の相対値で行った。結果を図2に示す(ALA:10mM)。なお、図2には、5−アミノレブリン酸を添加しないこと以外は上記と同じ実験を行った場合の結果をあわせて示す(ALA:0mM)。
図2から明らかなように、ドキソルビシンの添加に先立って5−アミノレブリン酸を添加しておくことで、AGS細胞に対する細胞毒性が増強される一方、RGM1細胞に対する細胞毒性の発現が回避された。以上の結果から、5−アミノレブリン酸は、ドキソルビシンのがん細胞に対する細胞毒性を増強する一方で、正常細胞に対してはこのような作用を示さず、がん細胞に対して選択的に機能する抗癌剤の効果増強剤の有効成分となり、エリスロポエチンは、予め投与しておくことで、その抗癌剤の効果増強作用の早期発現に寄与することがわかった。
製剤例1:アンプル製剤
組換えヒトエリスロポエチン8μg、ヒト血清アルブミン5mg、注射用蒸留水にて全量を2mLとした溶液を無菌的に調製し、アンプルに分注して密封し、アンプル製剤とした。
組換えヒトエリスロポエチン8μg、ヒト血清アルブミン5mg、注射用蒸留水にて全量を2mLとした溶液を無菌的に調製し、アンプルに分注して密封し、アンプル製剤とした。
本発明は、がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
Claims (2)
- エリスロポエチンを有効成分としてなることを特徴とするがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤。
- 5−アミノレブリン酸を投与する前に投与されることを特徴とする請求項1記載のがん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤。
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JP2010095318A JP2011225472A (ja) | 2010-04-16 | 2010-04-16 | がん細胞における5−アミノレブリン酸からポルフィリンへの変換促進剤 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022202477A1 (ja) * | 2021-03-23 | 2022-09-29 | 国立大学法人九州大学 | アントラサイクリン系抗がん剤の副作用の予防剤又は治療剤 |
-
2010
- 2010-04-16 JP JP2010095318A patent/JP2011225472A/ja not_active Withdrawn
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WO2022202477A1 (ja) * | 2021-03-23 | 2022-09-29 | 国立大学法人九州大学 | アントラサイクリン系抗がん剤の副作用の予防剤又は治療剤 |
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