JP2011225428A - セメントクリンカの製造装置および製造方法 - Google Patents

セメントクリンカの製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン元素を含むセメント原料および/または燃料の一部を取り出して焼成することによりエーライトの生成を促進させ、かつ高温の焼成工程に投入する際の熱損失を防いでセメントクリンカの焼成熱量を減少させるセメントクリンカの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン元素を含むセメント原料および/または燃料を用いて、予熱するプレヒータと、このプレヒータの下流側に上記セメント原料を焼成するロータリーキルンとを備えたセメントクリンカの製造装置であって、プレヒータ3のサイクロン4のシュート5から上記セメント原料の一部を抜き出す抜出ライン6と、この抜出ライン6から抜き出された上記セメント原料を焼成する焼成手段7と、この焼成手段7において焼成された上記セメント原料の一部をロータリーキルン1に戻す戻りライン9とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、セメントクリンカを製造する際の焼成熱量を低減させるセメントクリンカの製造装置および製造方法に関するものである。
近年のセメント製造技術の大きな変化は、セメントクリンカの焼成熱量を減らす技術の進歩であったといえる。すなわち、調合原料に水を加えて均一化した後に焼成することによって、大きな焼成熱量を必要としていた湿式焼成法から、セメント原料を熱風により乾燥した後に粉砕し焼成することによって、焼成熱量を減らす乾式焼成法へと移行し、そして予め調整原料をプレヒータによりか焼し、得られたか焼原料をロータリーキルンに投入することによって、焼成熱量をさらに低減させるニューサスペンション方式の開発といった一連の流れである。
また、上記の方法以外にセメントクリンカの焼成熱量を減らす対策としては、調合原料の主要化学組成を変更して、焼成時の液相量を増やし、比較的低温でもセメントクリンカが生成しやすくする方法や、焼成反応を促進させる蛍石(フッ化カルシウム)などの鉱化剤をセメント原料に添加する方法がある。また、廃棄物を原燃料として利用する方法もある。
しかし、調合原料の主要化学組成の変更では、アルミナ、鉄、硫黄などの含有量を増やして、高温での液相量を増やしたり、比較的低温で生成しやすい鉱物組成にするため、汎用のポルトランドセメントとは、クリンカ鉱物組成が異なる。このため、コンクリートやモルタルにした場合には、特異な流動性状や強度発現性を示し、ユーザーが使い慣れた普通ポルトランドセメントのように、広範囲の用途に供することはできないという問題がある。
また、蛍石などの鉱化剤をセメント原料に添加する方法は、その構成成分の元素がロータリーキルン内で揮発し、ロータリーキルンやサスペンション式予熱器(以下、プレヒータ)の内壁に付着して、コーチングトラブルの原因となったり、構成成分の作用で特異な物性のセメントになったり、希には鉱化剤添加量の変動によりセメントキルン内でクリンカの融着の原因となったりするなどの問題が生じる。
これらの問題により、上記2つの方法は、クリンカの焼成熱量を減らす主要な対策ではなく、副次的な対策に留まるのみとなりやすかった。
そこで、発明者等は、下記特許文献1および2において、新発見したクリンカ鉱物の結晶成長機構から、クリンカ焼成時にクリンカ中の液層の温度より高い融点を有し、かつクリンカの主要鉱物であるエーライトの生成の核となる物質または該エーライトの生成の核となる物質を含む核含有物を、原料工程と回転炉(以下、ロータリーキルン)の窯前側から投入し、エーライトの生成を促進させて、焼成熱量の低減を図るという主旨の発明を行った。
この発明は、汎用のポルトランドセメントの主要化学組成及び鉱物組成を変えることなく、主要クリンカ鉱物であるエーライトの成長機構を利用して、その生成をより低温から促進させ、従来より少ない焼成熱量でクリンカを製造することを目的としたものであり、エーライトが他の物質を核として結晶成長を開始する際に、核になる物質を液相生成時に共存させると、それを結晶核として約1250℃以上の温度で液相の生成にともなって、エーライトが晶出し始めることに注目したものである。
特許第3969445号公報 特許第4010339号公報
ところで、一般にクリンカの液相は、1200〜1300℃間で生成し始めるため、核となる物質は、液相と接触しても分解したり融解せずに、ロータリーキルンで焼き出されたクリンカ中で固相として安定して存在する物質が好ましい。
そのため、核となる物質は、融点が1300℃以上の物質がふさわしく、例えば、セメント工場で入手しやすい物質としてセメントクリンカがあげられる。このセメントクリンカを核となる物資として用いることにより、エーライトの生成が促進されて、クリンカの焼成熱量の減少につながることになる。
また、エーライトの核となる物質は、予めセメント原料中に混入しても、原料を焼成中にロータリーキルンの液相生成域より低温側に投入しても良い。したがって、核となる物質の粒径は細かいほど効果が大きくなり好ましい。
以上のことから、上記特許文献1および2の発明では、原料工程で混合した複数のセメント原料からなる調合原料を焼成工程で焼成し、エーライトを含むセメントクリンカを製造する際に、前記セメントクリンカの液相の温度より高い融点を有し、かつ、前記セメントクリンカの生成の核となるセメントクリンカ、セメントまたは耐火レンガを粉砕して、前記原料工程にて前記セメント原料および前記調合原料のうち少なくとも1つに混入することにより、ロータリーキルン内でエーライトの生成を促進させるに至ったのである。
ところが、上記特許文献1および2の発明において、結晶核となる物質を上記原料工程にて、上記セメント原料および上記調合原料のうち少なくとも1つに混入する際に、粉砕したクリンカ粉砕物や集塵したクリンカ粉を使用するため、このクリンカ粉砕物やクリンカ粉は、通常100℃以下に冷却されていることから、高温の焼成工程に投入することにより、熱損失になるという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、ハロゲン元素を含むセメント原料および/または燃料の一部を取り出して焼成することによりエーライトの生成を促進させ、かつ高温の焼成工程に投入する際の熱損失を防いでセメントクリンカの焼成熱量を減少させるセメントクリンカの製造装置および製造方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ハロゲン元素を含むセメント原料および/または燃料を用いて、上記セメント原料を予熱するプレヒータと、このプレヒータの下流側に上記セメント原料を焼成するロータリーキルンとを備えたセメントクリンカの製造装置であって、上記プレヒータのサイクロンのシュートから上記セメント原料の一部を抜き出す抜出ラインと、この抜出ラインから抜き出された上記セメント原料を焼成する焼成手段と、この焼成手段において焼成された上記セメント原料の一部を上記ロータリーキルンに戻す戻りラインとを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記焼成手段は、1200℃以上で焼成する焼成炉であるとともに、ハロゲン元素を含む物質を供給する供給ラインを備えていることを特徴とするものである。
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記焼成手段は、上記抜出ラインから供給された上記セメント原料にハロゲンを含むハロゲン含有物を直接接触させて上記ハロゲンを含む可燃性ガスと残留物とを生成させるハロゲン分離手段と、上記ハロゲン分離手段から排出された上記ハロゲンを含む可燃性ガスから上記ハロゲンを回収するハロゲン回収手段と、このハロゲン回収手段によって上記ハロゲンが回収された後の上記可燃性ガスを上記セメントクリンカの製造装置の燃料として供給するガス供給ラインとを備えたハロゲン含有物燃料化システムを有することを特徴とするものである。
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記ロータリーキルンの窯尻には、排ガスの一部を回収する塩素回収手段が備えられていることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1または2に記載のセメントクリンカ装置を用いたセメントクリンカの製造方法であって、内部が1200℃以上の温度雰囲気に保持された上記焼成手段に、上記プレヒータのサイクロンのシュートから上記セメント原料の一部を供給して焼成し、焼成した上記セメント原料の一部を上記ロータリーキルンに供給することを特徴とするものである。
そして、請求項6に記載の発明は、上記請求項3に記載のセメントクリンカの製造装置を用いたセメントクリンカの製造方法であって、内部が1200℃以上の温度雰囲気に保持された上記ハロゲン分離手段に、上記プレヒータのサイクロンのシュートから上記セメント原料の一部を供給して焼成し、焼成した上記セメント原料の一部を上記ロータリーキルンに供給するとともに、上記ハロゲン回収手段によって、上記ハロゲンが回収された後の上記可燃性ガスを上記セメントクリンカ製造装置に燃料として供給することを特徴とするものである。
請求項1〜4に記載のセメントクリンカの製造装置および請求項5〜6に記載のセメントクリンカの製造方法においては、ハロゲン元素を含むセメント原料および/または燃料を用いて、上記セメント原料をプレヒータで予熱した後に、上記燃料の燃焼排ガスにより内部が高温雰囲気に保持されたロータリーキルンに供給して焼成することによって、セメントクリンカを製造する際に、上記プレヒータのサイクロンのシュートから、上記セメント原料の一部を抜き出す抜出ラインと、この抜出ラインから抜き出された上記セメント原料を焼成する焼成手段と、この焼成手段において焼成された上記セメント原料の一部を上記ロータリーキルンに戻す戻りラインとを備えているため、ハロゲン元素を含む上記セメント原料の一部を抜き出し、そのセメント原料を低温焼成することにより、上記セメント原料に含まれるエーライトの生成を促進させ、この焼成された上記セメント原料を上記ロータリーキルンに戻すことにより、上記ロータリーキルン内において、その一部または全部がエーライトの結晶核となって、低い温度からエーライトの生成が促進され、セメントクリンカの焼成熱量を減少させることができる。これにより、上記セメント原料の主要化学組成を変更することなく、比較的低い温度でもセメントクリンカを製造することができるとともに、汎用のポルトランドセメントに用いることができる。
請求項2に記載の発明においては、上記焼成手段は、1200℃以上で焼成する焼成炉であるため、上記プレヒータのサイクロンのシュートから抜き出した上記セメント原料の一部が、上記セメント原料に含まれているエーライトの生成を促しながら、焼成することができるとともに、焼成された上記セメント原料を高温のまま上記ロータリーキルン内に供給することができる。この結果、上記ロータリーキルン内においてセメントクリンカを焼成する際に、熱損失をなくすことができるとともに、上記ロータリーキルンの長さを短縮することができ、設備費や動力費、さらにはメンテナンス費用の削減につながる。
さらに、上記焼成炉には、ハロゲン元素を含む物質が供給される供給ラインが備えられているため、上記焼成炉内に供給された上記セメント原料の焼成を促進することができる。これにより、上記焼成炉に用いられる燃料コストを抑えることができる。
請求項3に記載の発明によれば、上記焼成手段が、上記抜出ラインから供給された上記セメント原料にハロゲンを含むハロゲン含有物を直接接触させて、上記ハロゲンを含む可燃性ガスと残留物とを生成させるハロゲン分離手段と、上記ハロゲン分離手段から排出された上記ハロゲンを含む可燃性ガスから、上記ハロゲンを回収するハロゲン回収手段と、このハロゲン回収手段によって上記ハロゲンが回収された後の上記可燃性ガスを、上記セメントクリンカの製造装置の燃料として供給するガス供給ラインとを備えたハロゲン含有物燃料化システムを有しているため、上記プレヒータのサイクロンのシュートから抜き出した上記セメント原料の一部に含まれる、塩素や臭素などのハロゲンに起因する弊害を取り除きやすくできるとともに、上記セメント原料の一部に含まれているエーライトの生成を促進を促しながら焼成することができる。この結果、上記ロータリーキルン内において、セメントクリンカの焼成を促進することができる。
請求項4に記載の発明によれば、上記ロータリーキルンの窯尻に、上記焼成手段において焼成された上記セメント原料の排ガスの一部または全てを回収する塩素回収手段が備えられているため、上記ロータリーキルン内において、上記セメント原料を供給し、セメントクリンカを焼成する際に、上記ロータリーキルン内に塩素が滞留した場合でも、速やかに取り除くことができやすくなり、高品質のセメントクリンカを得ることができる。
本発明のセメントクリンカの製造装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。 本発明のセメントクリンカの製造装置の第1の実施形態の変形例を示す概略構成図である。 本発明のセメントクリンカの製造装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。 本発明のセメントクリンカの製造装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。
(実施の形態1)
図1は、本発明のセメントクリンカの製造装置の第1の実施形態を示し、図2は、その変形例を示すものである。
図1に示すように、第1の実施形態は、セメント原料を焼成するためのロータリーキルン1と、このロータリーキルン1の図中左方の窯尻2に、直列的に設けられるセメント原料を予熱するためのプレヒータ3と、図中右方の窯前24に内部を加熱するための主バーナ19と、窯前24に焼成後のセメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラ20と、プレヒータ3の最下段のサイクロン4のシュート5からセメント原料を抜き出す抜出ライン6と、この抜出ライン6に接続された焼成炉8と、この焼成炉8において焼成された上記セメント原料をロータリーキルン1の窯尻2に戻す戻りライン9とを備えて概略構成されている。
ここで、上記プレヒータ3は、上下方向に直列的に配置された複数段(図では4段)のサイクロン4a〜4dによって構成されており、1段目のサイクロン4aにセメント原料が供給されている。また、3段目のサイクロン4cと4段目のサイクロン4dとの間には、下端部にロータリーキルン1の窯尻2から燃焼排ガスが導入されるとともに、内部に図示されない燃料供給ラインから供給される石炭等の燃料の燃焼装置が設けられた仮焼炉21が設けられている。
そして、最上段のサイクロン4aに供給された上記セメント原料が、順次下方のサイクロン4へと落下するにしたがって、下方から上昇するロータリーキルン1からの高温の排ガスによって予熱され、さらに下から2段目のサイクロン4cから抜き出されて仮焼炉21に送られ、この仮焼炉21において焼成された後に、最下段のサイクロン4dからシュート5を介してロータリーキルン1の窯尻2に導入されるようになっている。
さらに、ロータリーキルン1から排出された燃焼排ガスは、仮焼炉21を介して最下段のサイクロン4dへと送られ、順次上方のサイクロンへと送られて、上記セメント原料を予熱するとともに、最終的には最上段のサイクロン4aの上部から、排気ファン23によって排気ライン22を介して排気されて行くようになっている。
また、プレヒータ3においては、最下段のサイクロン4dのシュート5から、上記セメント原料を抜き出す抜出ライン6が設けられ、この抜出ライン6の先端部が焼成炉8に接続されている。これにより、プレヒータ3からの上記セメント原料の一部が、焼成炉8内に導入されるようになっている。この焼成炉8は、上記セメント原料を1200℃以上に連続加熱するバーナが設けられている。また、焼成炉8は、ロータリーキルン1から燃焼排ガスを供給した流動層にして対応可能である。そして、焼成炉8には、ハロゲン元素を含む物質を供給する供給ライン10が設けられているとともに、焼成炉8内で焼成した上記セメント原料をロータリーキルン1に戻す戻りライン9が接続されている。
さらに、図2に示す上記第1の実施形態の変形例では、ロータリーキルン1の窯尻2から仮焼炉21へ排ガスを送るダクトに、塩素バイパス管17が接続され、この塩素バイパス管17によって抜き取られた排ガスの一部を、後段のバッグフィルタ18に送って塩素分を除去する塩素回収手段が設けられている。
次に、上記第1の実施形態に示したセメントクリンカの製造装置を用いた本発明に係るセメントクリンカの製造方法の一実施形態について説明する。
先ず、プレヒータ3の1段目のサイクロン4aに投入されたセメント原料は、図中実線矢印で示すように、順次下方のサイクロン4b〜4dへと落下するにしたがって、下方から上昇するロータリーキルン1からの高温の排ガスによって予熱され、最終的に最下段のサイクロン4dのシュート5からロータリーキルン1の窯尻2に導入される。
このときに、上記セメント原料の一部が、最下段のサイクロン4dのシュート5に接続された抜出ライン6から抜き出されて、焼成炉8に供給される。この最下段のサイクロン4dのシュート5から抜き出す上記セメント原料の量は、上記セメント原料全量の5%以下とし、望ましくは、1%以下である。そして、焼成炉8に接続された供給ライン10から、ハロゲン元素を含む物質が焼成炉8に供給される。このハロゲン元素を含む物質は、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、廃プラ、塩素バイパスダストなどである。この際に、焼成炉8内で焼成された上記セメント原料のF(フッ素)量は、0.2%以上、好ましくは0.3%以上とし、またMgOにもフラックスの作用があるため、焼成炉8内で焼成された上記セメント原料中のMgO量は、1.0%以上、好ましくは1.5%以上とすることが望ましい。
そして、焼成炉8に供給された上記セメント原料の一部およびハロゲン元素を含む物質は、焼成炉8に設けられたバーナによって連続加熱され、1200℃以上の温度で焼成される。上記セメント原料を1200℃以上で、焼成することにより、上記セメント原料の液相の生成にともないエーライトが晶出する。そして、このエーライトが晶出した上記セメント原料を焼成炉8に接続された戻りライン9から、ロータリーキルン1の窯尻2に導入される。
このように、ロータリーキルン1の窯尻2に導入された上記セメント原料は、ロータリーキルン1内において、窯尻2側から窯前24側へと徐々に送られる過程において、主バーナ19からの燃焼排ガスによって加熱され、焼成されてクリンカとなる。この際に、焼成炉8から導入された上記セメント原料の一部が、既にエーライトが晶出し始めているため、これが結晶核となり、ロータリーキルン1内に最下段のサイクロン4dのシュート5から直接導入された上記セメント原料のエーライトの生成が促進され、ひいてはセメントクリンカの焼成熱量が減少する。
ところで、セメント原料に含まれる塩素分やアルカリ分は、ロータリーキルン1内における高温(約1400℃)雰囲気下において、揮発して排ガス中に移行する。そして、この排気ガスは、ロータリーキルン1の窯尻2からプレヒータ3側に排気されて順次下方から上方のサイクロン4d〜4aへと上昇する際に、セメント原料を予熱することにより冷却され、当該排ガス中に含まれる塩素分が再びセメント原料側に移行してしまう。
この結果、塩素分は上記ロータリーキルン1およびプレヒータ3からなる系内を循環するために、新たに燃焼排ガスまたはセメント原料から系内に持ち込まれる塩素分によって、内部の塩素濃度が徐々に上昇し、ひいてはプレヒータ3のサイクロンを閉塞させ、運転に支障をきたす。
そこで、第1の実施形態の変形例では、図2に示すように、塩素回収手段16を用いて、定期的に塩素バイパス管17から上記排ガスの一部を抜き取り、冷却することで塩素分をアルカリ塩化物として後段のバッグフィルタ18において回収することにより、系内の塩素濃度が上昇することを防止している。
そして、窯前24に到達したセメントクリンカは、図中矢印で示すように、クリンカクーラ20内に落下して図中右方に送られる。この際に、クリンカクーラ20内に供給された空気によって所定温度まで冷却されて最終的に当該クリンカクーラ20から取り出される。
(実施の形態2)
図3は、本発明に係るセメントクリンカの製造装置の第2の実施形態を示すもので、図1に示したものと同一構成部分については、同様に同一付してその説明を簡略化する。
図3に示すように、第2の実施形態では、ロータリーキルン1、4段のサイクロン4からなるプレヒータ3よび仮焼炉21等を有するセメントクリンカの製造装置に、焼成手段7として、塩素を含む可燃性プラスチック廃棄物を前処理してロータリーキルン1に導入するための廃棄物燃料化システムが設けられている。
この廃棄物燃料化システムには、この廃棄物燃料化システムの最上流側に設けられた選別装置25が設けられている。この選別装置25は、処理すべき可燃性プラスチック廃棄物を、比重選別あるいは赤外線選別等によって、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素含有量の多い廃棄物(以下、塩素含有プラスチックと略す。)と、ポリエチレンやポリプロピレン等の塩素含有量が少ない廃棄物(以下、低塩素濃度プラスチックと略す。)とに分離するものである。
そして、この選別装置25によって分離された低塩素濃度プラスチックは、廃棄物燃料供給ライン26を介して、ロータリーキルン1の窯前24から内部にその燃料の一部として投入されるようになっている。なお、廃棄物燃料供給ライン26は、ロータリーキルン1に代えて仮焼炉21に上記低塩素濃度プラスチックをその燃料の一部として投入するようにしてもよい。他方、選別装置25によって分離された塩素含有プラスチックは、熱分解ライン27から後段の熱分解炉(ハロゲン分離手段)12に導入されるようになっている。
この熱分解炉12は、軸線回りに回転自在に設けられて内部に塩素含有プラスチックが供給される円筒状の熱分解炉であり、その一端側に熱分解ライン27が接続され、他端側に回収ライン(戻りライン)15が接続されている。また、この一端側には、内部に下水汚泥を導入するための供給管29が接続されている。さらに、熱分解炉12の内部には、上記セメント原料を焼成するためのバーナが設けられている。
ここで、上記下水汚泥は、主として付着防止材として供給するものであり、これに代えて、粘土等の土質材、紙材、木材、プラスチックフィルム等が適用可能である。この際に、下水汚泥、建築廃木材あるいは廃プラスチックフィルム等の廃棄物を代替使用すれば、これらの廃棄物の処理も同時に行うことが可能になる。
さらに、熱分解炉12の一端側には、熱媒体として最下段のサイクロン4dのシュート5から上記セメント原料を抜き出して熱分解炉12に供給するための熱媒体供給ライン(抜出ライン)11が接続されている。
他方、熱分解炉12の他端部には、この熱分解炉12において焼成した熱分解残渣を含む上記セメント原料をロータリーキルン1の窯尻2に戻すための回収ライン15が接続されている。また、この熱分解炉12の上部には、この熱分解炉12において生成した熱分解ガスを、後段のガス洗浄装置(ハロゲン回収手段)13へと送る分解ガス抜き出しライン30が接続されている。
このガス洗浄装置13は、熱分解炉12から排出された上記熱分解ガス(可燃性ガス)に、供給管13aから添加される水酸化カルシウム等のアルカリ成分を接触させて、当該熱分解ガス中に含まれる塩素分を、塩化カルシウム等の塩として熱分解ガスから除去するためのもので、湿式あるいは乾式の各種ガス洗浄装置が適用可能である。ここで、図中符号13bは、上記塩化カルシウム水溶液等の排出管であり、符号13cは、未反応のアルカリ成分を含む熱分解ガスをガス洗浄装置13の入口に戻す戻り管である。
そして、このガス洗浄装置13の排出側には、このガス洗浄装置13によって洗浄された可燃性の熱分解ガスを、仮焼炉21内に燃料の一部として供給するためのガス供給ライン14が接続されている。
なお、プレヒータ3においては、ロータリーキルン1の窯尻2から導入される燃焼排ガスが、順次上方のサイクロン4d〜4aへと送られる過程で、セメント原料を予熱することにより、漸次冷却される。このため、最上段のサイクロン4aにおいて約270℃であった上記セメント原料は、最下段のサイクロン4dにおいて約879℃になるため、いずれのサイクロン4a〜4dから上記セメント原料を抜き出したとしても、上記熱分解に必要な約250℃〜900℃の範囲の高温セメント原料を熱分解炉12に供給することが可能である。
したがって、本実施形態においては、一例として最下段のサイクロン4dのシュート5から上記高温セメント原料を抜き出す場合について示しているが、上記廃棄物の性状や可燃性ガスの仕様用途等を勘案して、抜き出すサイクロン4a〜4dを適宜選択することにより、上記加熱温度を選択することが可能である。
また、図2に示す上記第1の実施形態の変形例のように、塩素回収手段16を設けることも可能である。この場合には、ロータリーキルン1の窯尻2から仮焼炉21へ排ガスを送るダクトに、塩素バイパス管17が接続され、この塩素バイパス管17によって抜き取られた排ガスの一部を、後段のバッグフィルタ18に送って塩素分を除去する。また、塩素バイパス管17に熱媒体供給ライン11(図2点線)を接続することにより、塩素を多く含むダスト状の高温セメント原料を抜き出して上記熱分解炉12に供給するようにしてもよい。
なお、この場合には、排ガス中に上記セメント原料がダスト状に含まれているために、熱媒体供給ライン11の中間部に、別途サイクロン等のダスト収集手段を介装し、収集された粗粒のセメント原料のみを熱分解炉12に供給することが好ましい。
次に、上記第2の実施形態に示したセメントクリンカの製造装置を用いた本発明に係るセメントクリンカの製造方法の一実施形態について説明する。
先ず、プレヒータ3の1段目のサイクロン4aに投入されたセメント原料は、図中実線矢印で示すように、順次下方のサイクロン4b〜4dへと落下するにしたがって、下方から上昇するロータリーキルン1からの高温の排ガスによって予熱され、最終的に最下段のサイクロン4dからロータリーキルン1の窯尻2に導入される。
そして、このロータリーキルン1内において、窯尻2側から窯前24側へと徐々に送られる過程において、主バーナ19からの燃焼排ガスによって加熱され、焼成されてクリンカとなる。次いで、窯前24に到達したクリンカは、図中矢印で示すように、クリンカクーラ20内に落下して図中右方に送られる。この際に、クリンカクーラ20内に供給された空気によって所定温度まで冷却されて最終的に当該クリンカクーラ20から取り出される。
ところで、この第2の実施形態においても、セメント原料に含まれる塩素分やアルカリ分は、ロータリーキルン1内における高温(約1400℃)雰囲気下において、揮発して排ガス中に移行する。そして、この排気ガスは、ロータリーキルン1の窯尻2からプレヒータ3側に排気されて順次下方から上方のサイクロン4d〜4aへと上昇する際に、セメント原料を予熱することにより冷却され、当該排ガス中に含まれる塩素分が再びセメント原料側に移行してしまう。
この結果、塩素分は上記ロータリーキルン1およびプレヒータ3からなる系内を循環するために、新たに燃焼排ガスまたはセメント原料から系内に持ち込まれる塩素分によって、内部の塩素濃度が徐々に上昇し、ひいてはプレヒータ3のサイクロンを閉塞させ、運転に支障をきたす。このため、図2に示すように、上記第1の実施形態の変形例の塩素回収手段16を用いることにより、系内の塩素濃度が上昇することを防止することができる。
以上のセメントクリンカの製造と並行して、塩素含有プラスチックを含む処理すべき可燃性廃棄物を選別装置25に投入し、塩素含有プラスチックと、他の低塩素濃度プラスチック等の廃棄物とに分離する。そして、低塩素濃度プラスチックについては、廃棄物燃料供給ライン26を介して直接ロータリーキルン1の窯前24側から内部に投入することにより、ロータリーキルン1内で燃焼させて、その燃料の一部として利用する。
他方、選別装置25によって分離された塩素含有プラスチックについては、熱分解ライン27から後段の熱分解炉12に導入する。これと平行して、熱媒体供給ライン11によって最下段のサイクロン4dまたは塩素バイパス管17(図2)からセメント原料を抜き出して、熱分解炉12に供給する。
すると、熱分解炉12内において、塩素含有プラスチックが上記セメント原料と直接接触することによって熱分解される。この結果、熱分解炉12内には、主に塩化水素を含む熱分解ガスと、大部分のハロゲンが除去された炭化物を主成分とする熱分解残渣とが生成する。また、熱分解炉12をバーナにより連続加熱して、上記セメント原料を1200℃以上で焼成することにより、上記セメント原料の液相の生成にともないエーライトが晶出される。
この際に、下水汚泥の供給管29から供給された下水汚泥によって、上記塩素含有プラスチックやその熱分解残渣が熱分解炉12の内壁に付着することが防止される。また、下水汚泥に含まれる大量の水分が水蒸気となることにより、上記熱分解時における廃棄物からの塩素の揮発が促進されるとともに、これと併行して当該下水汚泥に含まれるアンモニア分が、揮発した塩素と反応して塩化アンモニウムを生成する。この結果、熱分解残渣への塩素の残留が最小限に抑えられる。
そして、上記熱分解残渣を含む上記セメント原料は、回収ライン15からロータリーキルン1の窯尻2に導入される。これにより、セメント原料および熱分解残渣は、他のセメント原料とともに、最終的にロータリーキルン1に送られて焼成される。この際に、熱分解残渣に含まれる可燃分は、仮焼炉21またはロータリーキルン1内における燃料の一部として利用されるとともに、回収ライン15から供給された上記セメント原料は、既にエーライトが晶出し始めているため、ロータリーキルン1内に最下段のサイクロン4dのシュート5から直接導入された上記セメント原料のエーライトの生成が促進され、ひいてはセメントクリンカの焼成熱量が減少する。
他方、上記可燃性の熱分解ガスについては、ガス洗浄装置13において塩素分等のハロゲンを除去したうえで、ガス供給ライン14によって仮焼炉21内に供給され、燃料の一部として利用される。また、ガス洗浄装置13において、上記熱分解ガス中に含まれる塩素分等を除去した後に、仮焼炉21に戻しているので、塩素バイパス管17とバッグフィルタ18とからなる塩素回収手段16と同様の機能が得られる。
このようにして、塩素を含む可燃性廃棄物を、セメントクリンカの製造装置において円滑に処理することができ、かつ上記廃棄物に含まれる塩素等に起因する弊害を生じることなくその発熱量をセメントクリンカ製造の燃料の一部として有効に活用することができる。
(実施の形態3)
図4は、本発明に係るセメントクリンカの製造装置の第3の実施形態を示すもので、図1および図3に示したものと同一構成部分については、同様に同一付してその説明を簡略化する。
図4に示すように、第3の実施形態では、焼成手段7として、図1に示す第1の実施形態の焼成炉8が設けられるとともに、第2の実施形態に用いられた熱分解炉12を有する塩素を含む可燃性プラスチック廃棄物を前処理して、ロータリーキルン1に導入するための廃棄物燃料化システムが設けられている。
この第3の実施形態では、上記第1の実施形態において説明した下段のサイクロン4dのシュート5から上記セメント原料を抜き出す抜出ライン6に、上記第2の実施形態において説明した熱媒体供給ライン11が接続されている。そして、上記廃棄物燃料化システムの熱分解炉12には、この熱分解炉12から排出された上記セメント原料を、ロータリーキルン1の窯尻2に戻す回収ライン15が接続されている。この回収ライン15には、熱分解炉12から排出された上記セメント原料等を水洗浄して塩類を除去するためのダスト洗浄装置31が介装されている。
また、熱分解炉12に接続された後段のガス洗浄装置13へと送る分解ガス抜き出しライン30に、この熱分解炉12において生成した熱分解ガスの一部を、焼成炉8に供給する熱分解ガス供給ライン28が分岐している。また、ガス洗浄装置13に接続された上記熱分解ガスから取り除いた塩化カルシウム水溶液の排出管13bに、この塩化カルシウム水溶液の一部を焼成炉8に供給する塩化カルシウム水溶液供給管13dが接続されている。
また、図2に示す上記第1の実施形態の変形例のように、塩素回収手段16を設けることも可能である。この場合には、ロータリーキルン1の窯尻2から仮焼炉21へ排ガスを送るダクトに、塩素バイパス管17が接続され、この塩素バイパス管17によって抜き取られた排ガスの一部を、後段のバッグフィルタ18に送って塩素分を除去する。また、塩素バイパス管17に熱媒体供給ライン11(図2点線)を接続することにより、塩素を多く含むダスト状の高温セメント原料を抜き出して上記熱分解炉12に供給するようにしてもよい。
なお、この場合には、排ガス中に上記セメント原料がダスト状に含まれているために、熱媒体供給ライン11の中間部に、別途サイクロン等のダスト収集手段を介装し、収集された粗粒のセメント原料のみを熱分解炉12に供給することが好ましい。
次に、上記第3の実施形態に示したセメントクリンカの製造装置を用いた本発明に係るセメントクリンカの製造方法の一実施形態について説明する。
上記第1の実施形態と同様に、プレヒータ3の1段目のサイクロン4aに投入されたセメント原料が、順次下方のサイクロン4b〜4dへと落下するにしたがって、下方から上昇するロータリーキルン1からの高温の排ガスによって予熱され、最終的に最下段のサイクロン4dのシュート5からロータリーキルン1の窯尻2に導入される。
このときに、上記セメント原料の一部が、最下段のサイクロン4dのシュート5に接続された抜出ライン6から抜き出されて、焼成炉8に供給される。さらに、抜き出された上記セメント原料の一部から、抜出ライン6に接続された熱媒体供給ライン11を介して、熱分解炉12に上記セメント原料が供給される。この際に、熱分解炉12は、この熱分解炉12内において、塩素含有プラスチックが上記セメント原料と直接接触することによって熱分解される。この結果、熱分解炉12内には、主に塩化水素を含む熱分解ガスと、大部分のハロゲンが除去された炭化物を主成分とする熱分解残渣とが生成される。
そして、上記熱分解残渣を含む上記セメント原料は、回収ライン15から先ずダスト洗浄装置31に送られ、その内部で水洗されることによって、上記セメント原料等に含まれていたハロゲンが洗浄されて除去される。次いで、このダスト洗浄装置31を経たセメント原料および熱分解残渣を、回収ライン15からロータリーキルン1の窯尻2に導入する。
ところで、この第3の実施形態においても、セメント原料に含まれる塩素分やアルカリ分は、ロータリーキルン1内における高温(約1400℃)雰囲気下において、揮発して排ガス中に移行する。そして、この排気ガスは、ロータリーキルン1の窯尻2からプレヒータ3側に排気されて順次下方から上方のサイクロン4d〜4aへと上昇する際に、セメント原料を予熱することにより冷却され、当該排ガス中に含まれる塩素分が再びセメント原料側に移行してしまう。
この結果、塩素分は上記ロータリーキルン1およびプレヒータ3からなる系内を循環するために、新たに燃焼排ガスまたはセメント原料から系内に持ち込まれる塩素分によって、内部の塩素濃度が徐々に上昇し、ひいてはプレヒータ3のサイクロンを閉塞させ、運転に支障をきたす。このため、図2に示すように、上記第1の実施形態の変形例の塩素回収手段16を用いることにより、系内の塩素濃度が上昇することを防止することができる。なお、この場合はダスト洗浄装置31を省略することもできる。
他方、熱分解炉12内で発生した可燃性の熱分解ガスは、ガス洗浄装置13において塩素分等のハロゲンを除去したうえで、ガス供給ライン14によって仮焼炉21内に供給され、燃料の一部として利用される。さらに、上記熱分解ガスをハロゲン元素を含む物質または燃料の一部として、分解ガス抜き出しライン30から分岐した熱分解ガス供給ライン28を介して、焼成炉8に供給される。
また、ガス洗浄装置13において、熱分解炉12から排出された上記熱分解ガスに、供給管13aから添加される水酸化カルシウム等のアルカリ成分を接触させて、当該熱分解ガス中に含まれる塩素分を、塩化カルシウム等の塩として熱分解ガスから除去した後の
上記塩化カルシウム水溶液等を排出する塩化カルシウム水溶液排出管13bから分岐した塩化カルシウム水溶液供給管13dを介して、上記上記塩化カルシウム水溶液の一部が、ハロゲン元素を含む物質として焼成炉8に噴霧される。
そして、上記熱分解残渣を含む上記セメント原料は、回収ライン15から先ずダスト洗浄装置31に送られ、その内部で水洗されることによって、上記セメント原料等に含まれていたハロゲンが洗浄されて除去される。次いで、このダスト洗浄装置31を経たセメント原料および熱分解残渣を、回収ライン15からロータリーキルン1の窯尻2に導入する。これにより、セメント原料および熱分解残渣は、他のセメント原料とともに、最終的にロータリーキルン1に送られて焼成される。この際に、熱分解残渣に含まれる可燃分は、仮焼炉21またはロータリーキルン1内における燃料の一部として利用される。
一方、焼成炉8には、最下段のサイクロ4dのシュート5から抜き出された上記セメント原料の一部が供給されるとともに、焼成炉8接続された供給ライン10から、ハロゲン元素を含む物質が焼成炉8に供給される。さらに、熱分解ガス供給ライン28を介して、上記熱分解ガスと、塩化カルシウム水溶液供給管13dを介して、上記上記塩化カルシウム水溶液が供給される。
そして、焼成炉8に供給された上記セメント原料の一部およびハロゲン元素を含む物質、さらには上記熱分解ガスおよび上記上記塩化カルシウム水溶液は、焼成炉8に設けられた上記バーナによって連続加熱され、1200℃以上の温度で焼成される。上記セメント原料を1200℃以上で焼成することにより、上記セメント原料の液相の生成にともないエーライトが晶出する。そして、このエーライトが晶出した上記セメント原料を焼成炉8に接続された戻りライン9から、ロータリーキルン1の窯尻2に導入される。
このように、ロータリーキルン1の窯尻2に導入された上記セメント原料は、ロータリーキルン1内において、窯尻2側から窯前24側へと徐々に送られる過程において、主バーナ19からの燃焼排ガスによって加熱され、焼成されてクリンカとなる。この際に、焼成炉8から導入された上記セメント原料の一部が、既にエーライトが晶出し始めているため、これが結晶核となり、ロータリーキルン1内に最下段のサイクロン4dのシュート5から直接導入された上記セメント原料のエーライトの生成が促進され、ひいてはセメントクリンカの焼成熱量が減少する。さらには、塩素を含む可燃性廃棄物を、セメントクリンカの製造装置において円滑に処理することができ、かつ上記廃棄物に含まれる塩素等に起因する弊害を生じることなくその発熱量をセメントクリンカ製造の燃料の一部として有効に活用することができる。
上述の実施形態によるセメントクリンカの製造装置および製造方法によれば、セメントクリンカを製造する際に、プレヒータ3のサイクロン4のシュート5に接続された抜出ライン6から、上記セメント原料の一部を抜き出し、焼成炉8に供給するとともに、この焼成炉8において1200℃以上で焼成して、上記セメント原料の一部を戻りライン9からロータリーキルン1に戻すため、ハロゲン元素を含む上記セメント原料の一部を低温焼成することにより、上記セメント原料に含まれるエーライトの生成を促進させ、この焼成された上記セメント原料を上記ロータリーキルンに戻すことにより、上記ロータリーキルン内において、その一部または全部がエーライトの結晶核となって、低い温度からエーライトの生成が促進され、セメントクリンカの焼成熱量を減少させることができる。これにより、上記セメント原料の主要化学組成を変更することなく、比較的低い温度でもセメントクリンカを製造することができるとともに、汎用のポルトランドセメントに用いることができる。さらに、ロータリーキルン1内においてセメントクリンカを焼成する際に、熱損失をなくすことができるとともに、上記ロータリーキルンの長さを短縮することもでき、設備費や動力費、さらにはメンテナンス費用の削減につながる。
また、焼成炉8には、ハロゲン元素を含む物質が供給される供給ライン10が備えられているため、焼成炉8内に供給された上記セメント原料の焼成を促進することができる。これにより、上記焼成炉に用いられる燃料コストを抑えることができる。
そして、焼成手段7は、プレヒータ3の最下段のサイクロン4dのシュート5から、250℃以上に加熱された上記セメント原料の一部を抜き出す熱媒体供給ライン11と、この熱媒体供給ライン11から供給された上記セメント原料にハロゲンを含むハロゲン含有物を直接接触させて上記ハロゲンを含む可燃性ガスと残留物とを生成させるとともに、1200℃以上で加熱して焼成する熱分解炉12と、熱分解炉12から排出された上記ハロゲンを含む可燃性ガスから上記ハロゲンを回収するハロゲンガス洗浄装置13と、このハロゲンガス洗浄装置13によって上記ハロゲンが回収された後の上記可燃性ガスを上記セメントクリンカの製造装置の燃料として供給するガス供給ライン14と、熱分解炉12から排出された上記セメント原料および残留物をロータリーキルン1の窯尻に戻す回収ライン15とを備えたハロゲン含有物燃料化システムを有しているため、上記セメント原料の一部に含まれる、塩素や臭素などのハロゲンに起因する弊害を取り除きやすくできるとともに、上記セメント原料の一部に含まれているエーライトの生成を促進を促しながら焼成することができる。この結果、上記ロータリーキルン内において、セメントクリンカの焼成を促進することができる。
さらに、ロータリーキルン1の窯尻2に、排ガスの一部を回収する塩素バイパス管17およびバッグフィルタ18からなる塩素回収手段16が備えられているため、ロータリーキルン1内において、上記セメント原料を供給し、セメントクリンカを焼成する際に、ロータリーキルン1内に塩素が滞留した場合でも、速やかに取り除くことができやすくなり、高品質のセメントクリンカを得ることができる。
なお、上記実施形態においては、選別装置25によって廃棄物を塩素含有プラスチックおよび低塩素濃度プラスチックに分離した場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、上記選別装置25を設置しないことにより塩素含有プラスチックおよび低塩素濃度プラスチックを選別することなく、共に熱分解炉12に導入してもよい。さらに、処理すべき廃棄物が塩素含有プラスチックを多量に含む場合に、当該構成を採用することにより、システム全体の簡易化を図ることができて好適である。
また、熱分解炉12から排出された高温セメント原料および残留物を、回収ライン15からロータリーキルン1の窯尻2に戻すようにしたが、これに限るものではなく、上記セメント原料等を上段のサイクロン4aあるいはその上流側の図示されないセメント原料を混合するための乾式ミル等に戻すことができる。
また、高温セメント原料を抜き出す位置についても、上述した最下段のサイクロン4dのシュート5や塩素バイパス管17に限らず、その上方のサイクロン4a〜4cから抜き出すこともできる。特に、上段のサイクロン4a等から抜き出した場合には、その温度が比較的低いものの当該高温セメント原料には塩類の含有物が少ないために、熱分解炉12から排出した後に、そのままサイクロン4aや、上記乾式ミルあるいはセメント原料の貯蔵設備に戻すことが可能である。
セメントクリンカの製造に利用することができる。
1 ロータリーキルン
2 窯尻
3 プレヒータ
4 サイクロン
5 シュート
6 抜出ライン
7 焼成手段
8 焼成炉
9 戻りライン
10 供給ライン
11 熱媒体供給ライン(抜出ライン)
12 ハロゲン分離手段
13 ハロゲン回収手段
14 供給ライン
15 回収ライン(戻りライン)
16 塩素回収手段
17 塩素バイパス管
18 バッグフィルタ
19 主バーナ
20 クリンカクーラ
21 仮焼炉

Claims (6)

  1. ハロゲン元素を含むセメント原料および/または燃料を用いて、上記セメント原料を予熱するプレヒータと、このプレヒータの下流側に上記セメント原料を焼成するロータリーキルンとを備えたセメントクリンカの製造装置であって、
    上記プレヒータのサイクロンのシュートから上記セメント原料の一部を抜き出す抜出ラインと、この抜出ラインから抜き出された上記セメント原料を焼成する焼成手段と、この焼成手段において焼成された上記セメント原料の一部を上記ロータリーキルンに戻す戻りラインとを備えていることを特徴とするセメントクリンカの製造設備。
  2. 上記焼成手段は、1200℃以上で焼成する焼成炉であるとともに、ハロゲン元素を含む物質を供給する供給ラインを備えていることを特徴とする請求項1に記載のセメントクリンカの製造装置。
  3. 上記焼成手段は、上記抜出ラインから供給された上記セメント原料にハロゲンを含むハロゲン含有物を直接接触させて上記ハロゲンを含む可燃性ガスと残留物とを生成させるハロゲン分離手段と、
    上記ハロゲン分離手段から排出された上記ハロゲンを含む可燃性ガスから上記ハロゲンを回収するハロゲン回収手段と、このハロゲン回収手段によって上記ハロゲンが回収された後の上記可燃性ガスを上記セメントクリンカの製造装置の燃料として供給するガス供給ラインとを備えたハロゲン含有物燃料化システムを有することを特徴とする請求項1また2に記載のセメントクリンカの製造装置。
  4. 上記ロータリーキルンの窯尻には、排ガスの一部を回収する塩素回収手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセメントクリンカ製造装置。
  5. 上記請求項1または2に記載のセメントクリンカ装置を用いたセメントクリンカの製造方法であって、
    内部が1200℃以上の温度雰囲気に保持された上記焼成手段に、上記プレヒータのサイクロンのシュートから上記セメント原料の一部を供給して焼成し、焼成した上記セメント原料の一部を上記ロータリーキルンに供給することを特徴とするセメントクリンカの製造方法。
  6. 上記請求項3に記載のセメントクリンカの製造装置を用いたセメントクリンカの製造方法であって、
    内部が1200℃以上の温度雰囲気に保持された上記ハロゲン分離手段に、上記プレヒータのサイクロンのシュートから上記セメント原料の一部を供給して焼成し、焼成した上記セメント原料の一部を上記ロータリーキルンに供給するとともに、上記ハロゲン回収手段によって、上記ハロゲンが回収された後の上記可燃性ガスを上記セメントクリンカ製造装置に燃料として供給することを特徴とするセメントクリンカの製造方法。
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