JP2011224605A - 鍛造方法 - Google Patents

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直樹 平位
Hiroshi Ishita
寛史 井下
Koji Shimoda
好司 霜田
Akinori Tomioka
晃徳 富岡
Takuya Sukeda
拓也 助田
Toshiaki Masui
稔明 増井
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Abstract

【課題】素材の成形限界を高めることができる鍛造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、中心軸を中心に回転する円筒形状の素材18の端面28に対し円筒形状のローラ12を押し当てることにより素材18を当該素材18の径方向に拡げる鍛造方法において、素材18が拡がり始めた時から、または、素材18が拡がり始める前から素材18に対し素材18が拡がる方向と反対方向に荷重を付与しながら素材18を径方向に拡げること、を特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ローラを素材に押し当てて素材を径方向に拡げる成形を行う鍛造方法に関するものである。
従来より、回転する円筒形状の金属製の素材の端面に素材と連れ回りする円筒形状のローラを押し当てて圧力を加えることにより、素材を径方向に拡げる成形を行う鍛造方法が行われている。しかし、素材が径方向に拡がるときに素材の外周部に引張応力が発生するが、この引張応力が大きいと割れが発生してしまうおそれがある。
この問題に対処するために、従来技術においては、素材に中間焼鈍を施したり、素材の成形時に素材の外周部がバックアップローラに接触するのを待って、素材の外周部にバックアップローラを押し当てて圧縮応力を付与したりしていた。
しかし、素材に中間焼鈍を施す工程が増えるため、コストの増大や生産性の低下が生じてしまう。また、素材の成形時に素材の外周部にバックアップローラを当てて圧縮応力を付与するためには、成形用のローラを上下方向に移動させる機構とバックアップローラを左右に移動させる機構とが必要になる。そのため、機構が複雑となり設備費の増加に伴ってコストが増大してしまう。
ここで、特許文献1には、素材の外径を大きくする成形において、ローラにストッパ部を設けて、素材の外径が設計値以上に広がらないようにする技術が開示されている。
特開2006−218496号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、素材の外径が設計値に達するまでは素材はローラのストッパ部に接触しないので、素材の材質によっては成形時において素材の外周部に生じる引張応力が大きくなって素材の材料強度が負けて、割れが発生するおそれがある。そのため、素材の外径の大きく成形することができず、素材の成形限界が低くなってしまう。
また、ローラの位置は固定されているため、成形時において素材がローラのストッパ部に接触した時に成形荷重が大きくなるおそれがある。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、素材の成形限界を高めることができる鍛造方法を提供すること、を課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、中心軸を中心に回転する円筒形状の素材の端面に対し円筒形状のローラを押し当てることにより前記素材を当該素材の径方向に拡げる鍛造方法において、前記素材が拡がり始めた時から、または、前記素材が拡がり始める前から前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与しながら前記素材を前記径方向に拡げること、を特徴とする。
本発明によれば、素材に常に圧縮応力を付与しながら素材を径方向に拡げることになるので、素材に発生しうる周方向のひずみを低減して、割れの発生を抑制できる。そのため、素材の成形限界を高めることができる。
上記の態様においては、前記素材をリング状部材の内径側に挿入しておくことにより、前記リング状部材から前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与すること、が好ましい。
かかる態様によれば、素材をリング状部材の内径側に挿入するだけでよいので、簡易な構造にて素材に圧縮応力を付与でき、素材に発生しうる周方向のひずみを低減して、割れの発生を抑制できる。
上記の態様においては、前記リング状部材は弾性部材であること、が好ましい。
かかる態様によれば、リング状部材を繰り返し使用することができ、コストの低減を図ることができる。
上記の態様においては、前記リング状部材の内径と外径との間の幅の大きさを調整することにより前記荷重の大きさを調整すること、が好ましい。
かかる態様によれば、素材に付与する圧縮応力の大きさを調整することができ、素材の材質や硬度などの特性に応じて成形することができる。
上記の態様においては、前記リング状部材のヤング率の大きさを調整することにより前記荷重の大きさを調整すること、が好ましい。
かかる態様によれば、素材に付与する圧縮応力の大きさを調整することができ、素材の材質や硬度などの特性に応じて成形することができる。
上記の態様においては、前記ローラの中心軸方向の一方の端部に荷重を付与する荷重付与手段を有し、前記ローラは、前記端部にて径方向に突出した突起部を備え、前記素材の側面に前記突起部を押し当てた状態で前記荷重付与手段により前記ローラの前記端部に荷重を付与することにより、前記ローラの前記突起部を介して前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与すること、が好ましい。
かかる態様によれば、素材の成形用のローラから素材に対して圧縮応力を付与することができるので、従来技術におけるバックアップローラを用いるときのように機構が複雑とならず、コストを低減できる。
上記の態様においては、前記荷重付与手段は、バネであること、が好ましい。
かかる態様によれば、簡易な構造とすることができるので、コストをさらに低減できる。
上記の態様においては、前記荷重付与手段は、油圧付与手段であること、が好ましい。
かかる態様によれば、素材に付与する圧縮応力の大きさをより正確に制御することができる。
上記の態様においては、前記油圧付与手段により付与される油圧を一定に制御すること、が好ましい。
かかる態様によれば、素材に付与する圧縮応力の大きさを一定にできるので、素材に発生しうる周方向のひずみをより確実に低減して、より確実に割れの発生を抑制できる。
上記の態様においては、前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与することにより前記素材に発生する圧縮応力を、前記素材の端面に対し前記ローラを押し当てることにより前記素材に発生する前記素材が拡がる方向の応力よりも小さくすること、が好ましい。
かかる態様によれば、素材に対して圧縮応力を付与しながら、より確実に素材を径方向に拡げることができる。そのため、より確実に素材に発生しうる周方向のひずみを低減して、割れの発生を抑制できる。したがって、より確実に素材の成形限界を高めることができる。
本発明に係る鍛造方法によれば、素材の成形限界を高めることができる。
実施例1の鍛造方法に使用する装置の構成概要図である。 素材の端部を径方向に拡げている時の様子を示す図である。 素材の成形時のすえ込み率と相当ひずみとの関係を示す図である。 すえ込み率に関する説明図である。 リング状部材に関する説明図である。 実施例1においてすえ込み率と相当ひずみとの評価結果を示す図である。 実施例1においてすえ込み率と相当ひずみとの評価結果を示す図である。 実施例2の鍛造方法に使用する装置の構成概要図である。 素材の端部を径方向に拡げている時の様子を示す図である。 実施例2においてすえ込み率と相当ひずみとの評価結果を示す図である。
以下、本発明を具体化した形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施例1〕
<装置構成>
図1は、実施例1の鍛造方法で使用する装置の構成概要図である。図1に示すように、実施例1の鍛造方法で使用する装置では、回転台10、ローラ12、リング状部材14、支持台16などを有する。
本実施例では、回転台10に円筒形状の素材18を載せて回転台10を回転させている。なお、素材18の材質は、例えば炭素鋼である。ローラ12は、円筒形状に形成された成形用のローラである。ローラ12の材質として、例えばダイス鋼のSKD11などを使用する。そして、ローラ12の中心軸部分に、シャフト20が取り付けられている。そして、シャフト20は不図示の昇降手段に回転可能な状態で取り付けられており、昇降手段を駆動することによりローラ12を素材18に向かって移動させることや素材18から退避させることができる。
リング状部材14は、素材18の端部22に圧縮応力を付与する手段である。本実施例では、リング状部材14の内径側に素材18を挿入し、リング状部材14を支持台16の上に載せている。リング状部材14の内周面26と成形前の素材18の側面24とのクリアランス(隙間)は、リング状部材14の内径側に成形前の素材18を挿入することができ、リング状部材14の内径側に成形前の素材18を挿入したときにリング状部材14の内周面26と素材18の側面24とが接触する程度に確保されている。なお、リング状部材14の材質は、ゴムや樹脂などである。また、素材18を回転させると、リング状部材14はともに回転する。
<作用>
このような装置構成のもと、実施例1の鍛造方法は以下のように行われる。まず、前記の図1に示すように、回転台10に載せた素材18をリング状部材14の内径側に挿入して、リング状部材14を支持台16の端面16aに載せる。そして、回転台10を回転して、素材18について中心軸を中心に回転させる。
次に、図2に示すように、シャフト20に接続する不図示の昇降手段によりローラ12を素材18に向かって移動させて、ローラ12を素材18の端面28およびリング状部材14の端面14aに押し当てる。そして、ローラ12を素材18に向かってさらに移動させていくと、ローラ12から素材18の端面28に圧力が付与され、素材18の端部22が径方向に拡がっていく。
このとき、本実施例では素材18の端部22における外周側にリング状部材14を設けており、素材18の側面24がリング状部材14の内周面26に接触している。そのため、素材18の端部22が径方向に拡がり始めると同時に、素材18の端部22が拡がる方向と反対方向に素材18の側面24に圧縮荷重が付与されて、素材18の端部22に圧縮応力が付与される。その後、素材18の端部22に常に圧縮応力が付与されながら、素材18の端部22が径方向に拡がっていく。これにより、素材18の端部22が径方向に拡がった外周部分である拡径部22aにおいて、周方向のひずみが低減し、割れの発生が抑制される。したがって、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界を高めることができる。
また、素材18をリング状部材14の内径側に挿入するだけでよいので、簡易な構造にて素材18に圧縮応力を付与できる。
なお、リング状部材14から素材18の端部22に付与される圧縮応力が、素材18の端部22が径方向に拡がるように素材18の端部22に付与される応力よりも小さくなるように、リング状部材14の材質や厚みを調整する。これにより、リング状部材14により圧縮応力を付与しながら、確実に素材18の端部22を径方向に拡げる成形を行うことができる。
このように本実施例では、従来技術のように中間焼鈍を施さなくても素材18の端部22において割れの発生を抑制できるので、コストの低減と生産性の向上とを図ることができる。また、従来技術のようにバックアップローラを設けて素材18の端部22に対して接近および退避させる必要がなく、不図示の昇降手段によりローラ12を素材18の端面28に対して接近および退避させるだけでよい。そのため、本実施例によれば、簡易な構造となりコストの低減を図ることができる。
また、前記の特許文献1の技術では、素材がローラのストッパ部に当たるまで圧縮応力は付与されない。しかし、本実施例では素材18の成形開始時から常に圧縮応力を付与するので、成形中の素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみを常に低くすることができる。そのため、成形中に素材18の端部22の拡径部22aにおいて割れが発生することを抑制することができる。したがって、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界を高めることができる。
図3では、すえ込み率Sと相当ひずみεとの関係を示す図である。ここで、図4に示すように、素材18の成形前における保持部16の端面16aとローラ12との間の距離をh0、素材18の成形後における保持部16の端面16aとローラ12との間の距離をh1とする。このとき、すえ込み率Sは、S={(h0−h1)/h0}×100の式で表現される。また、ここでいう相当ひずみεとは、素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみを表すものであり、多軸応力状態で発生するひずみの量について単軸応力状態での相当量として表したものである。
図3に示すように、前記の従来技術のように素材18の端部22に圧縮応力を付与しない場合には、すえ込み率Sの増加による相当ひずみεの増加量が大きく、相当ひずみεが非常に大きくなってしまう。また、前記の特許文献1の技術のように素材18の端部22が径方向に所定量拡がるまでは圧縮応力を付与しないとすると、素材18の端部22が径方向に所定量拡がるまでの相当ひずみεの増加量が大きく、相当ひずみεが大きくなってしまう。
一方、本実施例では、成形開始時からすえ込み率Sの増加に対する相当ひずみεの増加量が小さく、相当ひずみεが小さい。そのため、素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみが小さく、割れの発生を抑制することができる。したがって、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界を高めることができる。
なお、図5に示すリング状部材14の内径と外径との間の幅である肉厚δ(以下、「リング状部材14の肉厚δ」という)を調整することにより、素材18に付与する圧縮応力の大きさを調整することができる。具体的には、リング状部材14の肉厚δを大きくすることにより素材18に付与できる圧縮応力を大きくすることができ、リング状部材14の肉厚δを小さくすることにより素材18に付与できる圧縮応力を小さくすることができる。
これにより、素材18に付与する圧縮応力の大きさを調整することができ、素材18の材質や硬度などの特性に応じて成形することができる。
また、リング状部材14のヤング率を調整することにより、素材18に付与する圧縮応力の大きさを調整することができる。具体的には、リング状部材14のヤング率を大きくすることにより素材18に付与できる圧縮応力を大きくすることができ、リング状部材14のヤング率を小さくすることにより素材18に付与できる圧縮応力を小さくすることができる。これにより、素材18に付与する圧縮応力の大きさを調整することができ、素材18の材質や硬度などの特性に応じて成形することができる。
リング状部材14のヤング率は、リング状部材14の材質により調整することが考えられる。例えば、ヤング率を1000MPaとするときには、リング状部材14の材質としてポリエチレンなどを使用することが考えられる。また、ヤング率を4000MPaとするときには、リング状部材14の材質としてポリエステルなどを使用することが考えられる。
また、リング状部材14としてゴムなどの弾性部材を使用すると、成形時に素材18の端部22が径方向に拡がってリング状部材14の内径が拡がっても、素材18の端部22をリング状部材14の内径側から取り外せばリング状部材14の内径は元の径に戻る。そのため、素材18の端部22を径方向に拡げる成形を行う鍛造方法において、リング状部材14を繰り返し使用することができ、さらなるコストの低減を図ることができる。
<評価結果>
ここで、実施例1の鍛造方法を行ったときの素材18の端部22のひずみに関する評価を行った。
まず、リング状部材14の肉厚δを2種類設定して評価を行った。この評価においては、リング状部材14として、肉厚δが15mmのものと、肉厚δが30mmのものとを使用した。また、リング状部材14の中心軸方向の高さh(図5参照)を15mmとした。
図6は、横軸にすえ込み率Sを取り、縦軸に相当ひずみεを取って、素材18の端部22に発生する周方向のひずみに関する評価結果を示した図である。なお、図6において、相当ひずみεが約1.3未満では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生せず、相当ひずみεが約1.3以上約1.7未満では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する場合があり、相当ひずみεが約1.7以上では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する可能性が高いことを示している。
すると、図6に示すように、リング状部材14を使用しなかった場合に比べて、リング状部材14を使用した場合のほうが、同じすえ込み率Sにおいて素材18の端部22の拡径部22aにおける周方向のひずみの量を低減でき、素材18の端部22の拡径部22aの割れを抑制できることが分かった。例えば、すえ込み率Sが0.6のとき、リング状部材14を使用しなった場合には相当ひずみεが約1.3になり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する場合があるが、リング状部材14を使用した場合には相当ひずみεが1.3よりも小さくなり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生しない、という結果が得られた。
このように、リング状部材14を使用することにより、素材18の端部22の拡径部22aにおいて、発生する周方向のひずみの量を低減することができ、割れの発生を抑制することができる。そのため、リング状部材14を使用することにより、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界を高めることができる。
また、肉厚δが30mmのリング状部材14を使用した場合のほうが、肉厚δが15mmのリング状部材14を使用した場合よりも、同じすえ込み率Sにおいて素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみの量を低減でき、素材18の端部22の拡径部22aの割れを抑制できることが分かった。例えば、すえ込み率Sが0.7のとき、肉厚δが15mmのリング状部材14を使用した場合には相当ひずみεが約1.4になり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する場合があるが、肉厚が30mmのリング状部材14を使用した場合には相当ひずみεが約1.1となり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生しない、という結果が得られた。
このように、リング状部材14の肉厚δを大きくすることにより、素材18の端部22の拡径部22aにおいて発生する周方向のひずみの量を低減することができ、割れの発生を抑制することができる。そのため、リング状部材14の肉厚δを大きくすることにより、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界をさらに高めることができる。
次に、リング状部材14のヤング率と素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみとの関係に関する評価を行った。この評価においては、リング状部材14として、肉厚δが15mmであってリング高さhが15mmのものを使用した。そして、リング状部材14として、ヤング率が1000MPaのものと、ヤング率が4000MPaのものを使用した。また、図7において、相当ひずみεが約1.3未満では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生せず、相当ひずみεが約1.3以上約1.7未満では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する場合があり、相当ひずみεが約1.7以上では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する可能性が高いことを示している。
すると、図7に示すように、ヤング率が1000MPaのリング状部材14を使用した場合よりも、ヤング率が4000MPaのリング状部材14を使用した場合のほうが、同じすえ込み率Sにおいて素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみの量を低減でき、素材18の端部22の拡径部22aの割れを抑制できることが分かった。例えば、すえ込み率Sが0.6のとき、ヤング率が1000MPaのリング状部材14を使用した場合には相当ひずみεが約1.0であったが、ヤング率が4000MPaのリング状部材14を使用した場合には相当ひずみεが約0.7であった。
また、例えば、すえ込み率Sが0.8のとき、ヤング率が1000MPaのリング状部材14を使用した場合には相当ひずみεが約1.4になり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する場合があるが、ヤング率が4000MPaのリング状部材14を使用した場合には相当ひずみεが約1.1となり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生しない、という結果が得られた。
このように、リング状部材14のヤング率を大きくすることにより、素材18の端部22の拡径部22aにおいて発生する周方向のひずみを低減することができ、割れの発生を抑制することができる。そのため、リング状部材14のヤング率を大きくすることにより、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界をさらに高めることができる。
本実施例によれば、素材18の成形中に常に素材18の端部22に圧縮応力を付与するので、素材18の成形中に素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみを低減することができ、割れの発生を抑制することができる。そのため、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界を高めることができる。
〔実施例2〕
<装置構成>
図8は、実施例2の鍛造方法で使用する装置の構成概要図である。図8に示すように、実施例2の鍛造方法で使用する装置では、回転台10、ケース30、つば付きローラ32、ベアリング34、荷重付与手段36、支持台16などを有する。実施例1の鍛造方法で使用する装置と異なる構成として、ケース30、つば付きローラ32、ベアリング34、荷重付与手段36などを有する。
つば付きローラ32は、円筒形状のローラ部44における中心軸方向の一方の端部に、径方向に突出した突起部であるつば部40を設けたローラ部材である。つば付きローラ32の材質として、例えばダイス鋼のSKD11などを使用する。つば付きローラ32は、シャフト42に取り付けられている。なお、シャフト42は不図示の昇降手段に回転可能な状態で取り付けられており、昇降手段を駆動させることによりつば付きローラ32を素材18に向かって移動させることや素材18から退避させることができる。
ベアリング34には、荷重付与手段36が設けられている。そして、荷重付与手段36によりベアリング34とつば付きローラ32を介して、つば付きローラ32のつば部40から素材18の端部22に圧縮応力を付与する。荷重付与手段36の荷重発生源は、バネや油圧付与手段などが考えられる。荷重付与手段36の荷重発生源をバネにすると、簡易な構造とすることができるのでコストを低減できる。また、荷重付与手段36の荷重発生源を油圧付与手段にすると、素材18に付与する圧縮応力の大きさをより正確に制御することができる。
<作用>
このような装置構成のもと、実施例2の鍛造方法は以下のように行われる。まず、前記の図8に示すように、回転台10に載せて回転させた素材18の端面28に、つば付きローラ32のローラ部44を接触させる。このとき、素材18の側面24に、つば付きローラ32のつば部40を押し当てておく。また、荷重付与手段36によりベアリング34とつば付きローラ32を介してつば付きローラ32のつば部40から素材18の側面24に対し、素材18の端部22を拡げる方向と反対方向に圧縮荷重を付与して、素材18の端部22に圧縮圧力を付与しておく。
次に、図9に示すように、シャフト42に接続した不図示の昇降手段によりつば付きローラ32を素材18に向かって移動させて、つば付きローラ32から素材18の端面28に圧力に圧力を付与すると、素材18の端部22が径方向に拡がっていく。
このとき本実施例では、素材18の端部22が径方向に拡がり始める前から、荷重付与手段36により素材18の側面24に対し素材18の端部22を拡げる方向と反対方向に圧縮荷重を付与して、素材18の端部22に圧縮圧力を付与している。その後、素材18の端部22に常に圧縮応力を付与しながら、素材18の端部22が径方向に拡がっていく。これにより、素材18の端部22が径方向に拡がった外周部分である拡径部22aにおいて、周方向のひずみが低減し、割れの発生が抑制される。したがって、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界を高めることができる。
また、素材18の成形用のつば付きローラ32から素材18に対して圧縮応力を付与することができるので、従来技術におけるバックアップローラを用いるときのように機構が複雑とならず、コストを低減できる。
なお、変形例として、素材18の端部22が径方向に拡がり始めると同時に素材18の端部22に対し、荷重付与手段36により圧縮応力を付与してもよい。例えば、荷重付与手段36としてバネを使用する場合には、素材18の端部22が径方向に拡がり始めると同時に素材18の端部22に対し圧縮応力を付与されるように、バネ定数を調整しておく。また、荷重付与手段36として油圧制御手段を使用する場合には、素材18の端部22が径方向に拡がり始めると同時に素材18の端部22に対し圧縮応力を付与されるように、油圧を制御しておく。
また、荷重付与手段36から素材18の端部22に付与される圧縮応力が、素材18の端部22が径方向に拡がるように素材18の端部22に付与される応力よりも小さくなるように、バネ定数や油圧を調整して荷重付与手段36から付与する荷重を調整する。これにより、荷重付与手段36により圧縮応力を付与しながら、確実に素材18の端部22を径方向に拡げる成形を行うことができる。
このように本実施例では、従来技術のように中間焼鈍を施さなくても素材18の端部22の拡径部22aにおいて割れの発生を抑制できるので、コストの低減と生産性の向上とを図ることができる。また、従来技術のようにバックアップローラを設けて素材18の端部22に対して接近および退避させる必要がなく、不図示の昇降手段によりつば付きローラ32を素材18の端面28に対して接近および退避させるだけでよい。そのため、本実施例によれば、簡易な構造となりコストの低減を図ることができる。
また、荷重付与手段36におけるバネの張力や油圧を調整することにより、素材18の端部22に付与する圧縮応力の大きさを制御することができる。例えば、油圧制御手段により油圧を制御することにより、素材18の成形中に素材18の端部22に付与する圧縮応力の大きさを常に一定にすることができる。これにより、素材18に付与する圧縮応力の大きさを一定にできるので、素材18に発生しうる周方向のひずみをより確実に低減して、より確実に割れの発生を抑制できる。
<評価結果>
ここで、実施例2の鍛造方法を行ったときの素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみに関する評価を行った。なお、荷重付与手段36によりつば付きローラ32に対して一定の荷重10tを加えることにより、圧縮応力を付与して評価を行った。また、図10において、相当ひずみεが約1.3未満では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生せず、相当ひずみεが約1.3以上約1.7未満では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する場合があり、相当ひずみεが約1.7以上では素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する可能性が高いことを示している。
すると、図10に示すように、つば付きローラ32や荷重付与手段36などを使用しなかった場合に比べて、つば付きローラ32や荷重付与手段36を使用した場合のほうが、同じすえ込み率Sにおいて素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみの量を低減でき、素材18の端部22の拡径部22aの割れを抑制できることが分かった。例えば、すえ込み率Sが約0.8のとき、つば付きローラ32や荷重付与手段36を使用しなかった場合には相当ひずみεが約1.7になり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生する可能性が高くなったが、つば付きローラ32や荷重付与手段36を使用した場合には相当ひずみεが約1.0になり素材18の端部22の拡径部22aに割れが発生しない、という結果が得られた。
このように、つば付きローラ32や荷重付与手段36を使用することにより、素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみの量を低減することができ、素材18の端部22の拡径部22aの割れの発生を抑制することができる。そのため、つば付きローラ32や荷重付与手段36を使用することにより、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界をさらに高めることができる。
本実施例によれば、素材18の成形中に常に素材18の端部22に圧縮応力を付与するので、素材18の成形中に素材18の端部22の拡径部22aに発生する周方向のひずみを低減することができ、割れの発生を抑制することができる。そのため、素材18の端部22を径方向に大きく拡げることができ、素材18の成形限界を高めることができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
10 回転台
12 ローラ
14 リング状部材
14a端面
16 支持台
18 素材
22 端部
22a拡径部
24 側面
26 内周面
28 端面
32 つば付きローラ
36 荷重付与手段
40 つば部

Claims (10)

  1. 中心軸を中心に回転する円筒形状の素材の端面に対し円筒形状のローラを押し当てることにより前記素材を当該素材の径方向に拡げる鍛造方法において、
    前記素材が拡がり始めた時から、または、前記素材が拡がり始める前から前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与しながら前記素材を前記径方向に拡げること、
    を特徴とする鍛造方法。
  2. 請求項1に記載する鍛造方法において、
    前記素材をリング状部材の内径側に挿入しておくことにより、前記リング状部材から前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与すること、
    を特徴とする鍛造方法。
  3. 請求項2に記載する鍛造方法において、
    前記リング状部材は弾性部材であること、
    を特徴とする鍛造方法。
  4. 請求項2または3に記載する鍛造方法において、
    前記リング状部材の内径と外径との間の幅の大きさを調整することにより前記荷重の大きさを調整すること、
    を特徴とする鍛造方法。
  5. 請求項2または3に記載する鍛造方法において、
    前記リング状部材のヤング率の大きさを調整することにより前記荷重の大きさを調整すること、
    を特徴とする鍛造方法。
  6. 請求項1に記載する鍛造方法において、
    前記ローラの中心軸方向の一方の端部に荷重を付与する荷重付与手段を有し、
    前記ローラは、前記端部にて径方向に突出した突起部を備え、
    前記素材の側面に前記突起部を押し当てた状態で前記荷重付与手段により前記ローラの前記端部に荷重を付与することにより、前記ローラの前記突起部を介して前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与すること、
    を特徴とする鍛造方法。
  7. 請求項6に記載する鍛造方法において、
    前記荷重付与手段は、バネであること、
    を特徴とする鍛造方法。
  8. 請求項6に記載する鍛造方法において、
    前記荷重付与手段は、油圧付与手段であること、
    を特徴とする鍛造方法。
  9. 請求項8に記載する鍛造方法において、
    前記油圧付与手段により付与される油圧を一定に制御すること、
    を特徴とする鍛造方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載する鍛造方法において、
    前記素材に対し前記素材が拡がる方向と反対方向に荷重を付与することにより前記素材に発生する圧縮応力を、前記素材の端面に対し前記ローラを押し当てることにより前記素材に発生する前記素材が拡がる方向の応力よりも小さくすること、
    を特徴とする鍛造方法。
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