JP2011224447A - 粉体処理装置および粉体処理方法 - Google Patents

粉体処理装置および粉体処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粉体の処理後に加熱処理を必要としない粉体合成を短時間で実現可能な粉体処理装置および同装置を用いた粉体処理方法を提供する。
【解決手段】被処理粉体を受け入れるケーシング1と、ケーシング1に対して相対回転され、その外周にケーシング1の内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部5を設けたロータ2と、相対回転の開始後、被処理粉体がケーシング1内で占める体積比率が所定値以上に保持されるように、ケーシング1内に被処理粉体を補充する補充手段16とを設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理粉体を受け入れるケーシングと、同ケーシングに対して相対回転され、その外周に同ケーシングの内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部を設けたロータとを備えた粉体処理装置、および、同装置を用いた粉体処理方法に関する。
この種の粉体処理技術に関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1に記された粉体処理装置は、被処理粉体を受け入れる円筒状のケーシングと、同ケーシングに対して相対回転されるロータとを備え、ロータの外周には同ケーシングの内周面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える押圧部(羽根部)と、ケーシングの内周面に付着した処理物を掻き取る掻取部とが設けられた構成となっている。ケーシングの内周面と押圧部の間を微小間隙としているため、異なる種類の粉体同士を融合化、複合化させて複合粒子を作製することが可能とされている。また、掻取部とケーシングの内周面との間隙は、ケーシングの内周面と押圧部との微小間隙よりも小さく設定されているので、押圧部とケーシングの内周面との間隙に相当する厚さに堆積した処理物の層も掻取部によって掻き取られる。
特開2006−175368号公報(請求項1、図1−2)
このような粉体処理装置の一つの用途として、種類の異なる複数の原料粉体から新たな種類の粉体を主に被処理粉体に対する圧縮剪断力によって得る粉体合成がある。粉体合成のテーマの例として、金属酸化物であるLa23及びMn23、並びに、金属塩であるSrCO3からなる3種類の原料粉体から、SOFC(固体酸化物型燃料電池)の空気極材料として有用な複合酸化物粉体のLaxSr1-xMnO3を得るという課題が知られている。しかし、この粉体合成の用途に特許文献1の装置を適用しても満足できる結果は得られなかった。
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術における課題に鑑み、圧縮剪断力の付与によって良好な粉体合成が得られ、例えば上記LaxSr1-xMnO3の粉体合成も比較的短時間の処理によって可能で、しかも処理後に加熱処理を必要としない粉体処理装置および同装置を用いた粉体処理方法を提供することにある。
本発明による粉体処理装置の第1の特徴は、
被処理粉体を受け入れるケーシングと、
前記ケーシングに対して相対回転され、その外周に前記ケーシングの内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部を設けたロータと、
前記相対回転の開始後、被処理粉体が前記ケーシング内で占める体積比率が所定値以上に保持されるように、前記ケーシング内に被処理粉体を補充する補充手段と、を備えている点にある。
ケーシング内に被処理粉体を投入して、ロータの回転駆動を開始すると、一般にケーシング内では被処理粉体の圧密作用、摩砕混合に伴う微粒子化、被処理粉体の球形化、被処理粉体どうしの複合化や造粒が進行し、その結果、被処理粉体がケーシング内で占める嵩密度が大きくなる。被処理粉体の嵩密度が大きくなると、ケーシング内において被処理粉体が移動し易くなり、被処理粉体がロータの羽根部とケーシングの内面との間隙部に留まり難くなる。その結果、被処理粉体がロータの羽根部から十分な圧縮剪断力を受けることができず、短時間での粉体合成が難しくなる。
しかし、本発明の第1の特徴を備えた粉体処理装置では、ロータの回転駆動開始後に被処理粉体の見掛け体積が減少しても、補充手段により被処理粉体をケーシング内に補充することで、被処理粉体がケーシング内で占める体積比率を常に所定値以上に保持させることができる。したがって、ケーシング内における被処理粉体の移動を抑えて、被処理粉体をロータの羽根部とケーシングの内面との間隙部に留まり易くすることで、被処理粉体がロータの羽根部から圧縮剪断力を受ける機会も常に一定に保たれ、粉体合成も進行し易くなる。その結果、当該粉体処理後に別途加熱処理を行わなくても粉体合成を短時間で実現可能となった。
本発明による粉体処理装置の他の特徴は、前記補充手段が、前記体積比率を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記ケーシング内に被処理粉体を補充する供給装置とを備えている点にある。
本構成であれば、ロータの回転駆動開始後に被処理粉体の見掛け体積が減少すると、体積比率が低下したことを判定手段が判定し、同判定結果に基づいて供給装置が被処理粉体をケーシング内に補充するので、常に体積比率が所定値以上に保持される。
本発明による粉体処理装置の他の特徴は、前記判定手段は、前記ロータを回転駆動させる駆動手段が、前記ロータから受ける負荷動力を検出する負荷動力検出器を備える点にある。
一般に、ロータの回転が開始された直後には、攪拌混合されて被処理粉体の見掛け体積が減少すると同時に、被処理粉体内に空気が入ることで、被処理粉体の流動抵抗が減少する傾向がある。そこで、本構成は、被処理粉体の流動抵抗の減少に起因してロータの駆動手段が受ける負荷動力の変化に基づいて、被処理粉体の体積比率を判定し、その体積比率の判定結果に基づいて、被処理粉体が補充される。
尚、この場合、体積比率の判定という段階を経ずに、ロータの駆動手段が受ける負荷動力の変化に基づいてそのまま被処理粉体が補充される構成でもよい。後者の構成の場合、制御装置が負荷動力の判定結果を体積比率の変化と読み替えることを意味し、具体的には、後者の構成は、負荷動力または負荷動力の変化率から最適な粉体補充量をダイレクトに決めるLUT(ルック・アップ・テーブル)を用いる例が該当する。前者の構成は2つのLUTを用いる例が該当する。
本発明による粉体処理装置の他の特徴は、前記補充手段が、前記ケーシング内の壁面に設けた開口を介して前記ケーシング内と連通した原料チャンバーと、前記原料チャンバーに収納された被処理粉体を前記開口から前記ケーシング内に所定の圧力で押し込む圧入手段とを備える点にある。
本構成であれば、被処理粉体が圧入手段によって所定の圧力で強制的にケーシング内に押し込まれるので、体積比率をより高く保持することができる。また、前記開口を常に開放状態に維持し、圧入手段を常時駆動させておけば、被処理粉体の見掛け体積が減少する要因の種類と無関係に、また、被処理粉体の見掛け体積の減少からの時間的な遅れも生じることなく常に、体積比率が一定に保持され易いので、被処理粉体がロータの羽根部から圧縮剪断力を受ける機会も高く保たれる。
本発明による粉体処理装置の他の特徴は、前記開口を閉鎖可能な弁が設けられている点にある。
前記開口を介して原料チャンバーから被処理粉体を押し込む構成では、ケーシング内への補充を終えた後、又は粉体処理装置による当該粉体処理が完了した後に処理済み粉体をケーシングから取り出す際に、原料チャンバーの出口付近に位置する未処理の被処理粉体が開口から落下して処理済み粉体に混入する虞がある。しかし、本構成であれば、ロータの停止後に開口を弁で閉鎖してから、処理済み粉体をケーシングから取り出すことで、開口から未処理の被処理粉体が落下して処理済み粉体に混入する虞がなくなり、品質の高い粉体製品が得られる。
本発明による粉体処理装置の第2の特徴は、
被処理粉体を受け入れるケーシングと、
前記ケーシング内に支持され、駆動手段によって前記ケーシング内で回転駆動されるロータとを備え、
前記ロータの外周に、前記ケーシング内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部が設けられており、
前記ケーシング内面の側面と前記ロータの端面との隙間に進入する被処理粉体を前記ロータの外周に向けて押し戻す戻し部材が前記端面に設けられている点にある。
被処理粉体を受け入れるケーシングと、同ケーシングに対して相対回転され、その外周に同ケーシングの内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部を設けたロータとを備えた粉体処理装置では、当該処理中にケーシング内側面とロータの端面との間隙に未処理の被処理粉体や処理途中の被処理粉体が進入/滞留してしまうため、処理済みの被処理粉体を回収する際に未処理粉体が混入して品質が低下する虞があった。しかし、本発明の第2の特徴を備えた粉体処理装置では、ロータの端面に進入する被処理粉体をロータの外周に向けて押し戻す戻し部材がロータの端面に設けられているので、ケーシング内側面とロータの端面との間隙に進入しようとする被処理粉体は戻し部材によってロータの外周に向けて押し戻されるため、被処理粉体が同間隙に滞留することがなくなる。その結果、未処理または処理の不十分な被処理粉体が生じ難くなり、処理後に回収する粉体の品質低下が抑制される。
本発明による粉体処理装置の他の特徴は、前記ケーシング内の温度上昇および/または前記ロータの負荷動力変動を検出する検出装置と、前記検出装置による検出結果に基づいて前記ロータの回転数を制御する制御装置が設けられている点にある。
ケーシング内面とロータの羽根部との間で被処理粉体が受ける圧縮剪断力はロータの回転数によって左右される場合がある。また、ロータの回転数が高くなってケーシングやロータの羽根部が過熱され、損傷を受ける場合もある。しかし、本構成であれば、制御装置がケーシング内の温度上昇および/またはロータの負荷動力変動の検出結果に基づいてロータの回転数を制御するので、被処理粉体に与える作用をコントロールしたり、ケーシングやロータの羽根部が過熱したりするのを防止できる。
本発明による粉体処理装置の他の特徴は、前記ロータの軸芯に沿った中間部に、被処理粉体の前記軸芯に沿った移動を促す偏向手段を含む貯留領域が設けられている点にある。
一つの円筒状のロータの軸芯に沿って羽根部が全長に亘って設けられた構成であっても、ケーシング内面とロータとの間隙からなる空間に相当する容積の被処理粉体を一度に処理することはできるが、前記構成では被処理粉体を受け入れる空間が狭いために、一度に少量の被処理粉体しか処理できない。しかし、本構成であれば、ロータの軸芯に沿った中間部に設けられている貯留領域に比較的多量の被処理粉体を貯留させることができ、しかも、同貯留領域に貯留された被処理粉体は、偏向手段によってロータの軸芯に沿って羽根部のある側に移動させられて、順次その羽根部によって圧縮剪断力を受けることになる。また、貯留領域に貯留された被処理粉体が偏向手段によってロータの軸芯に沿って羽根部側に移動する際には、同時に、羽根部で或る程度以上の処理を受けた被処理粉体が貯留領域に進入するため、処理の進行レベルの異なる被処理粉体どうしが貯留領域で混合されて、その一部が再び羽根部側に移動するという一連の操作が連続的に行われる。その結果、一度に多量の被処理粉体を処理可能で、しかも、全体として処理の進行レベルが均一な高品質の粉体を製造可能な粉体処理装置が得られる。
本発明による粉体処理装置の他の特徴は、前記貯留領域は前記ロータに形成された縮径部を含む点にある。
本構成であれば、被処理粉体を受け入れる貯留領域を更に大きくできるので、より多くの被処理粉体を一度に処理可能な粉体処理装置が得られる。
本発明による粉体処理方法の第1の特徴は、
内面が円筒状のケーシングと、駆動手段によって前記ケーシング内で回転駆動されるロータとを備えた粉体処理装置を用い、
前記ケーシング内に所定量の被処理粉体を供給する供給工程と、
前記ロータの回転駆動に基づいて、前記ロータの外周に設けられた羽根部と前記ケーシング内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える処理工程と、を備えており、
前記処理工程は、前記処理工程の開始後も、被処理粉体の前記ケーシング内で占める体積比率が所定値以上に保持されるように、前記ケーシングに被処理粉体を補充する粉体補充工程を含む点にある。
本発明の第1の特徴を備えた粉体処理方法では、ロータの回転駆動開始によって被処理粉体の見掛け体積が減少しても、粉体補充工程によって被処理粉体のケーシング内で占める体積比率が所定値以上に保持されるので、ケーシング内における被処理粉体の移動自由度が粉体処理の途中で変わることもなく、被処理粉体がロータの羽根部とケーシングの内面との間隙部に十分に留まり、被処理粉体がロータの羽根部から圧縮剪断力を受ける機会も常に一定に保たれ、最も重要な目的の一つである粉体合成も進行し易くなる。その結果、当該粉体処理後にさらに加熱処理を必要としない粉体合成を効率よくかつ短時間で実現可能となった。
本発明による粉体処理方法の他の特徴は、前記補充工程が、体積比率を判定する判定工程と、前記判定工程での判定結果に基づいて、前記ケーシング内に被処理粉体を押し込むための圧入工程とを含む点にある。
本方法によれば、判定工程での判定結果次第で被処理粉体が圧入工程によって強制的にケーシング内に押し込まれるので、体積比率が自動的に高く保持され、被処理粉体がロータの羽根部から圧縮剪断力を受ける効果が高く保たれる。
本発明による粉体処理方法の他の特徴は、被処理粉体は少なくとも一つの化合物粉体を含み、前記処理工程において前記圧縮剪断力の付与により少なくとも2種類の粉体間に化学反応が生じ、前記化学反応によって前記処理工程の開始前の被処理粉体とは組成の異なる化合物粉体が合成される点にある。
これまで、複数種類の化合物粉体、特に酸化物粉体などから組成の異なる新たな粉体を合成するには、複数種類の微細な酸化物粉体をバインダーなどと共に十分に混合した上で加圧成形し、乾燥後の成形体を高温加熱炉にて1200℃などの高温で焼成することで焼結反応(化学反応の一例)を生ぜしめ、放冷後に焼結体を粉砕するという一連の煩雑な操作と数種類の装置が必要であった。しかし、本方法であれば、ケーシング内に複数種類の微細な酸化物粉体(被処理粉体)を供給し、羽根部とケーシング内面との間で酸化物粉体に圧縮剪断力を加える処理工程を粉体補充工程と共に実施することによって、組成の異なる新たな粉体の合成が可能となる。すなわち、当該粉体処理により粉体合成された後は、焼結反応(化学反応の一例)、加圧成形も高温加熱炉による焼成も焼結体の粉砕も行う必要がない。また、得られる合成粉体の組成に成形用バインダーの影響が及ばない点でも有利である。
本発明による粉体処理方法の他の特徴は、被処理粉体は複数の化合物粉体を含み、前記圧縮剪断力の付与により少なくとも2種類の化合物粉体の間で複合化、融合化、被覆の少なくとも一つを含む表面改質、または、精密混合が可能となる点にある。
本方法によれば、内面が円筒状のケーシング内に複数種類の化合物粉体(被処理粉体)を供給し、羽根部とケーシング内面との間で化合粉体に圧縮剪断力を加える処理工程を粉体補充工程と共に実施することによって、表面改質や精密混合が短時間で効率よく行える。
本発明による粉体処理方法の他の特徴は、前記圧縮剪断力の付与により被処理粉体に平滑化、形状制御の少なくとも一つを含む表面改質が可能となる点にある。
本方法であれば、内面が円筒状のケーシング内に複数種類の微細な酸化物粉体(被処理粉体)を供給し、羽根部とケーシング内面との間で酸化物粉体に圧縮剪断力を加える処理工程を少なくとも1回の粉体補充工程と共に実施することによって、平滑化、形状制御の少なくとも一つを含む表面改質が効率よく行える。
本発明による粉体処理装置を示す概略側面図である。 粉体処理装置の横断面図である。 粉体処理装置のロータを示す斜視図である。 ロータの羽根部付近を示す説明図である。 粉体処理装置の制御ユニットを示すブロック図である。 実施例1(実験1)に関連する粉体のX線回折パターンである。 実施例1(実験2)に関連する粉体のX線回折パターンである。 実施例1(実験3)に関連する粉体のX線回折パターンである。 ロータの羽根部の別実施形態を示す説明図である。
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
(粉体処理装置の概略構成)
図1および図2に示す粉体処理装置100は、被処理粉体を受け入れる概して横型円筒状のケーシング1と、ケーシング1の横軸心X1廻りで回転可能に支持されたロータ2と、ロータ2を回転駆動するモータM1とを備えている。モータM1の回転数はインバータ10を介して制御される。
ケーシング1の上部には被処理粉体を供給する開口部1hが形成されており、開口部1hに設置された供給装置14からケーシング1内に被処理粉体を供給することができる。粉体処理装置100は、基本的にはバッチ式で粉体処理を行うことを前提として構成されている。
(ロータの構成)
図3に示すように、ロータ2は概して円柱状のシャフト部3を備えるが、このシャフト部3は横軸心X1に関してほぼ中央付近に位置する一つの小径部3a(縮径部の一例)と、小径部3aから前後に延びた一対の大径部3bとからなる。開口部1hは小径部3aと対向する位置に設けられている。
各大径部3bの外周面には、最もモータM1側および最も反モータM1側の各々に設けた戻し領域を除いて、凸状の複数枚の羽根部5が横軸心X1方向に向かって延設されている。羽根部5の形状は、大径部3bよりも径の小さな円柱又は楕円柱の一部で構成され、モータM1によるロータ2の回転駆動に応じて、羽根部5の外周とケーシング1の内面との間で被処理粉体に強い圧縮剪断力を加えることができる。羽根部5はシャフト部3と一体成形することができるが、別体の羽根部5をシャフト部3の外周に溶接などで接合してもよい。
図3の例では、モータM1側に配置された羽根部5と反モータM1側に配置された羽根部5とが同じ角度位相で配置されているが、モータM1側の羽根部5と反モータM1側の羽根部5とを異なる角度位相で配置してもよい。例えば、モータM1側の互いに隣接する羽根部5どうしの中心に反モータM1側の羽根部5が位置する形態などが可能である。
さらに別の態様として、羽根部5を横軸心X1に対して傾斜した配置とすることで被処理粉体を横軸心X1に沿って積極的に移動させる移動力を付与させることができる。また、各々の羽根部5を横軸心X1に沿って2つ以上に分割してもよい。分割することで、各羽根部5にかかる力を分散させて羽根部5およびロータ2等への負荷を軽減させることが可能である。
羽根部5はロータ2の回転に基づく振動の発生を抑制するために、横軸心X1に関して回転対称状に、言い換えれば隣接する羽根部5どうしが全て等間隔となるように配置されている。その結果、羽根部5の枚数をNとし、互いに周方向で隣接する羽根部5どうしのなす角度をθとすると、θ=360/N(但しN≧2)が成立する。図1の例では4枚の羽根部5が90°間隔で設けられているが、2枚、3枚、5枚など任意の枚数の羽根部5で構成することが可能である。羽根部5の枚数は、処理の目的、被処理粉体の粒径その他の特性、粉体処理装置の全体的な規模、羽根部5を構成する素材などに応じて適宜決定される。
図4に例示するように、羽根部5の断面形状を構成する円弧の半径をr、大径部3bから羽根部5の先端までの高さをh、シャフト部3の大径部3bの外径をRとすると、rは(2r/R)<1なる数式を満たすように、hは(h/R)<0.5なる数式を満たすように決められる。図1に示す例では、(R:r:h=5:1:0.7)の関係となるように構成されている。
羽根部5の径方向における先端とケーシング1の円弧状の内面との間の間隙は約0.5〜5.0mmに設定されている。
中央の小径部3aの外周面、および、前述した最もモータM1側および最も反モータM1側の両端部領域には、羽根部5の代わりに複数枚の偏向パドル6(偏向手段の一例)が径方向外側に向かって延設されている。小径部3aの偏向パドル6は、横軸心X1に関して中心付近に位置する被処理粉体を左右の羽根部5に向けて送り出すように、横軸心X1に対して傾斜した送りパドル6aと、左右の羽根部5付近に位置する被処理粉体を中心付近に導くように傾斜した戻しパドル6bとを備える。端部領域の偏向パドル6cは、ロータ2を図1の左側から見て時計方向(矢印Aで示す)に回転させた時に、シャフト部3の両端に位置する被処理粉体を左右の羽根部5に向けて送り出すように傾斜した比較的短い補助パドル6cで構成されている。
各領域に配置するパドル6a,6b,6cの各枚数やパドル6を構成する素材等は、粉体処理装置の大きさや、処理の目的、被処理粉体の材料とその粒径、その他の特性などに応じて適宜決定される。
ロータ2の両端面には直線状のフィン8(戻し部材の一例)が延設されている。ロータ2の両端面とケーシング1との間隙に被処理粉体が進入しても、フィン8によってロータ2の外周部に押し戻されるため、未処理または処理の不十分な被処理粉体が同間隙に滞留することがなくなる。横軸心X1に沿った方向において、フィン8の先端とケーシング1の側面との間隙は約0.5mmに設定されている。
(供給装置の構成)
供給装置14は、粉体処理装置100を運転開始する前に被処理粉体をケーシング1に供給する(供給工程の一例)機能と、ロータの回転駆動によって被処理粉体に生じる混合、粉砕、合成、被覆、表面改質(いずれも処理工程の一例)などの作用によって被処理粉体の見掛け体積が減少した時に、その減少した体積に見合う量の被処理粉体をケーシング1に補充する(粉体補充工程の一例)補充手段の機能とを果たす。
供給装置14は、被処理粉体を貯留可能なホッパー15(原料チャンバーの一例)と、ホッパー15の下部から開口部1hに延びたスクリュー16(押し込み手段の一例)とを有する。スクリュー16は、スクリュー16を構成する円筒状のシャフト16aに固定されたスクリュー羽根16bと、シャフト16aの上端に取り付けられたプーリ16cと、プーリ16cに巻回された無端ベルト16dを回転駆動するモータM2によって適宜駆動される。
小径部3aの位置する付近は、羽根部5がなく、ケーシング1の内面に大きな空間を形成するため、圧縮剪断力の効果はあまり発揮しないが、開口部1hからの被処理粉体を円滑に受け入れ、貯留するためのバッファ領域7(貯留領域の一例)を構成している。バッファ領域7に受け入れられた被処理粉体は送りパドル6aによって左右の羽根部5の在る粉体処理領域に送り出され、その時に、粉体処理領域にある被処理粉体が代わりにバッファ領域7に進入するため、圧縮剪断処理による粉体処理において、処理の進行レベルの異なる被処理粉体どうしがバッファ領域7で混合され、その一部が再び羽根部5側に移動するという一連の操作が連続的に行われる。
(制御ユニット)
粉体処理装置100の各部の駆動を制御する制御ユニット50を図5に示す。制御ユニット50は、被処理粉体の処理目的や粉体処理装置100の運転状況などに基づいてロータ2の回転速度を制御する回転速度制御部51と、ケーシング1内で被処理粉体が占める体積比率を設定する目標体積設定部52と、実際にケーシング1内で被処理粉体が占めている体積比率を判定する体積比率判定部53などを備える。
粉体処理装置100に接続されたコンピュータにキーボードなどから被処理粉体の処理目的が入力されると、回転速度制御部51が処理目的に適したロータ2の基本的な回転速度を設定し、インバータ10を介してモータM1が回転駆動される。同時に、この際、目標体積設定部52には処理目的に適した体積比率を設定しておく。次にモータM1の回転駆動時の体積比率判定部53による判定結果が、目標体積設定部52によって設定された体積比率(体積比率の所定値の一例)を下回るときは、モータM2によってスクリュー16が駆動されて、不足分の被処理粉体がバッファ領域7に補充される。
体積比率判定部53(判定手段の一例)は、ロータ2を回転駆動させているモータM1の負荷動力を検出する負荷動力検出器12(判定手段の一例)の検出結果から体積比率を判定する。判定は予め測定された種々の実験結果に基づいて作成されたLUT54を参照して行われる。原則的には負荷動力の低下傾向は体積比率の低下に対応する。
被処理粉体の補充は、ロータ2を停止した状態で行われてもよいが、ロータ2の回転駆動による処理を継続しながら行ってもよい。いずれの場合にも、被処理粉体の補充後もロータ2の回転駆動による処理が続けられ、通常は、1バッチの処理量として事前に設定された量の被処理粉体の処理が終了するまで、粉体補充工程と補充後の処理工程とからなる一連の操作が複数回に亘って繰り返される。
また、制御ユニット50が、体積比率判定部53の判定結果に基づいて、被処理粉体に対して目的とする処理が完了したか否かを判定し、同判定に基づいてロータ2の駆動を停止する構成としてもよい。
ケーシング1の一部に、ケーシング1の内面付近の温度を測定する温度センサ18を設け、この温度センサ18による測定温度値によって、ケーシング1やロータ2が過熱により損傷することのないようにロータ2の回転数を制御してもよい。
また、回転速度制御部51が、負荷動力の変動のみに基づいてロータ2の回転数を制御することができる。すなわち、回転速度制御部51が、ロータ2を駆動するモータM1への負荷動力が一定値(例えば8kW)に近似するようにロータ2の回転数を制御する動力制御法で実施することも可能である。
尚、ケーシング1の外周には水などの流体を温調用として循環させるジャケット1cを設け、ここに冷却水などを流入させる。循環経路には冷却水を送り出すポンプ20と、冷却水の流量を制御する操作バルブ21と、冷却水を冷やす熱交換器22が介装される。制御ユニット50が温度センサ18による測定温度値に基づいて操作バルブ21の開度を調節することでケーシング1の温度を或る程度自動的に制御できるように構成してもよい。
(弁)
開口部1hには、開口部1hを開閉操作できる弁30を設けてもよい。図に例示した弁30は、スクリュー16のシャフト16a内を貫通し、同シャフト16aによって軸支されたロッド30bと、同ロッド30bの下端に固定された弁体30aと、ロッド30bを介して弁体30aを上下に移動操作するためのアクチュエータ30cとを備える。弁体30aはアクチュエータ30cによって上方の閉鎖位置と下方の開放位置との間で切り換え可能とされている。ロータ2による被処理粉体の処理中は基本的に弁体30aを閉鎖位置に維持し、粉体補充の際にのみ弁体30aを開放位置に切り換える。弁体30aが閉鎖位置にあるときに開口部1hが密閉されるように、弁体30aの下面はケーシング1の内面と一致した形状を呈している。また、弁体30aが開放位置にあるときに開口部1hから被処理粉体を補充できるように、被処理粉体の補充が円滑にできるように弁体30aの上面はテーパ形状を備えている。アクチュエータ30cはエアシリンダによって構成することができるが、電動シリンダまたは油圧シリンダなどで構成してもよい。
ロータ2の停止後に開口部1hを弁30で閉鎖した後に、処理済み粉体をケーシング1から回収することで、スクリュー16内の未処理の被処理粉体などが落下して処理済み粉体に混入する虞がなくなる。尚、ロータ2の回転中でも、被処理粉体を補充する必要がない間は弁30を閉鎖しておくことで、スクリュー16内の未処理の被処理粉体が不用意に処理済み粉体に混入することを防止できる。
ケーシング1の下面には、処理中は常に密閉蓋17によって密閉状に閉じられた円形の下部開口1gが形成されている。下部開口1gはバッファ領域7に設けられており、処理済み粉体を排出・回収する際には、密閉蓋17を取り外した状態でロータ2を正転または逆転することで大半の処理済み粉体は下部開口1gを介して回収することができる。下部開口1gと密閉蓋17との間の密閉性を確保するために、密閉蓋17の側面部を上に向かって縮径されるテーパ状としたり、密閉蓋17の上面に加圧気体で膨張させたパッキンを設けてもよい。
因みに、ケーシング1はロータ2の外周と対向する内面を備えた円筒状のケーシング本体1aと、ケーシング本体1aの反モータM1側の開放部を閉鎖するカバー部1bとからなり、ケーシング本体1aを密閉しているカバー部1bを取り外し、ロータ2をモータM1の軸から切り離して、ケーシング本体1aから図の左側に引抜けば、ロータ2やケーシング1の内面に付着した粉体を除去することができる。
(適用可能な被処理粉体の種類と効果)
本発明による粉体処理装置および粉体処理方法では、金属、金属酸化物、金属塩、金属有機塩、その他の金属化合物、その他の無機化合物および有機化合物を含むグループから選択された2種類以上の金属元素を含む任意の粉体を被処理粉体として適用可能である。
本発明による粉体処理装置および粉体処理方法がその特徴を最も発揮する作用は、組成の異なる複数の被処理粉体、特に金属酸化物どうし、または、金属酸化物と金属塩とを焼結反応または化学反応させて新たな組成の粉体を合成することであるが、他に、混合(精密混合)、複合化(融合化)、表面改質、平滑化、球形化などの形状制御、など多数の処理に対しても顕著な効果を生み出す。
実施例1では、従来型の粉体処理装置(図1に示す本発明による装置と類似の羽根部とパドルを備えるが「粉体補充」用の開口のない特許文献1の図1−3に記載された装置)と、図1と同様の本発明による粉体処理装置(但し、供給装置14からスクリュー16を省略したもの)との各々によって、組成の異なる複数の被処理粉体を焼結反応または化学反応させて新たな組成の粉体を合成する粉体合成を試み、処理によって得られた粉体を比較した。
具体的な処理の内容は、La23、Mn34という2種類の原料粉体からLaMnO3なる粉体の合成(実験1)、La23、SrCO3、Mn34という3種類の原料粉体からLa0.8Sr0.2MnO3なる粉体の合成(実験2)、BaCO3、TiO2という2種類の原料粉体からBaTiO3なる粉体の合成(実験3)からなる。尚、いずれの実験でも、本発明による粉体処理装置でのみ「粉体補充」を実施した。
〔実験1〕
実験1では、原料粉体として比表面積が8.9m2/gのLa23と比表面積が18.2m2/gのMn34が用いられた。
いずれの粉体処理装置でもLa23とMn34の供給比率(重量比)は合成目的物の組成に合わせて(68.1:31.9)とした。
尚、以下に記した「体積比率」とは、供給された被処理粉体の見掛け体積の、ケーシング1の内容積からロータ2の体積を差し引いた空間の全空間容積に対する比率を指し、被処理粉体の見掛け体積は各原料粉体の嵩密度から算出した。
図6には、処理前の被処理粉体A1、従来型の粉体処理装置で処理された処理済み粉体A2、本発明の粉体処理装置で「粉体補充」を伴って処理された処理済み粉体A3、という3種類の粉体のX線回折パターン(粉末X線回析図)を示す。
従来型の粉体処理装置による処理済み粉体A2のX線回折パターンは、LaMnO3のピークが低く、原料粉体の一つであるMn34の残存を示すピークが見られ、LaMnO3の合成は不完全な結果に終わっている。
他方、本発明の粉体処理装置による処理済み粉体A3のX線回折パターンは、合成されたLaMnO3の顕著なピークのみで占められており、合成に成功していることが確認される。
〔実験2〕
実験2では、原料粉体として比表面積が8.9m2/gのLa23、比表面積が19.7m2/gのSrCO3と比表面積が18.2m2/gのMn34が用いられた。
いずれの粉体処理装置でもLa23とSrCO3とMn34の供給比率(重量比)は合成目的物の組成に合わせて(55.2:12.5:32.3)とした。
図7には、処理前の被処理粉体B1、従来型の粉体処理装置で処理された処理済み粉体B2、本発明の粉体処理装置で「粉体補充」を伴って処理された処理済み粉体B3、という3種類の粉体のX線回折パターン(粉末X線回析図)を示す。
従来型の粉体処理装置による処理済み粉体B2のX線回折パターンは、La0.8Sr0.2MnO3のピークが低く、原料粉体の一つであるMn34の残存を示すピークが見られ、La0.8Sr0.2MnO3の合成は不完全な結果に終わっている。
他方、本発明の粉体処理装置による処理済み粉体B3のX線回折パターンは、合成されたLa0.8Sr0.2MnO3の顕著なピークのみで占められており、合成に成功していることが確認される。
〔実験3〕
実験3では、原料粉体として比表面積が20.1m2/gのBaCO3と比表面積が321.7m2/gのTiO2が用いられた。
いずれの方法でもBaCO3とTiO2の供給比率(重量比)は合成目的物の組成に合わせて(71.2:28.8)とした。
図8には、処理前の被処理粉体C1、従来型の粉体処理装置で処理された処理済み粉体C2、本発明の粉体処理装置で「粉体補充」を伴って処理された処理済み粉体C3、という3種類の粉体のX線回折パターン(粉末X線回析図)を示す。
従来型の粉体処理装置による処理済み粉体C2のX線回折パターンは、BaTiO3のピークがなく、原料粉体の一つであるBaCO3の残存を示すピークが見られ、BaTiO3の合成はされていない。
他方、本発明の粉体処理装置による処理済み粉体C3のX線回折パターンは、合成されたBaTiO3の顕著なピークのみで占められており、合成に成功していることが確認される。
実施例2では、実施例1の実験1〜3で用いたものと共通の本発明による粉体処理装置を用い、実施例1の実験1〜3で用いたものと共通の原料粉体に対して、2つの異なるロータ回転数制御による処理を試みた。
2つのロータ回転数制御は、温度センサ18によって検出されるケーシング1の温度を所定の温度カーブに近似させるようにロータ2の回転数を制御する温度制御法、および、ロータ2を駆動するモータM1への負荷動力が一定値(例えば8kW)に近似するようにロータ2の回転数を制御する動力制御法である。尚、温度制御法で用いた温度カーブは、約25℃/minの勾配でケーシング1に悪影響の少ない400℃まで昇温する前半部と、400℃付近に維持する後半部とからなる温度カーブである。
Figure 2011224447
表1に示すように、La23、Mn34という2種類の原料粉体からLaMnO3なる粉体の合成、La23、SrCO3、Mn34という3種類の原料粉体からLa0.8Sr0.2MnO3なる粉体の合成の場合、温度制御による粉体合成は成功したが、動力制御では成功しなかった。他方、BaCO3、TiO2という2種類の原料粉体からBaTiO3なる粉体の合成の場合は、逆に、動力制御による粉体合成は成功したが、温度制御では成功しなかった。このように、合成反応に寄与する条件(圧縮剪断などのエネルギー若しくは熱エネルギー)が、原料粉体によって異なるという興味深い知見が得られた。
実施例3では、図1と同様の本発明による粉体処理装置を用い、複数種類の原料粉体からの粉体合成を、「粉体補充」を含む本発明による方法と、「粉体補充」を含まない従来方法とで試み、結果を比較した。
Figure 2011224447
表2は、実施例1と同様に、La23、Mn34という2種類の原料粉体からLaMnO3の合成を試みた際の結果を示す。「粉体補充」を含む本発明による方法では、ケーシング1内に当初供給した50gの粉体(体積比率=67%)に対して、ロータ2の回転開始から4分後に、被処理粉体がケーシング1内で占める体積比率が所定値(100%)以上に保持されるように被処理粉体を補充する粉体補充操作が1回行われ、その結果、最終的に100gの粉体をケーシング1内に供給することになり、体積比率は133%になった。本発明による方法では、X線回折パターン(不図示)によってLaMnO3の合成に成功したことが確認された。
他方、「粉体補充」を行わない従来技術による方法では、ケーシング1内に50gの粉体を供給し(体積比率=67%)、補充操作なしで処理を行った。この方法ではX線回折パターン(不図示)によってLaMnO3の合成は不完全であったことが確認された。
Figure 2011224447
表3は、実施例2と同様に、La23、SrCO3、Mn34という3種類の原料粉体からLa0.8Sr0.2MnO3の合成を試みた際の結果を示す。「粉体補充」を含む本発明による方法では、ケーシング1内に当初供給した100gの粉体(体積比率=79%)に対して、ロータ2の回転開始から4分後に、被処理粉体がケーシング1内で占める体積比率が所定値(100%)以上に保持されるように被処理粉体を補充する粉体補充操作が1回行われ、その結果、最終的に200gの粉体をケーシング1内に供給することになり、体積比率は157%になった。本発明による方法では、X線回折パターン(不図示)によってLa0.8Sr0.2MnO3の合成に成功したことが確認された。
他方、「粉体補充」を行わない従来技術による方法では、ケーシング1内に100gの粉体を供給し(体積比率=79%)、補充操作なしで処理を行った。この方法ではX線回折パターン(不図示)によってLa0.8Sr0.2MnO3の合成は不完全であったことが確認された。
Figure 2011224447
表4は、実施例3と同様に、BaCO3、TiO2という2種類の原料粉体からBaTiO3なる粉体の合成を試みた際の結果を示す。「粉体補充」を含む本発明による方法では、ケーシング1内に当初供給した100gの粉体(体積比率=76%)に対して、ロータ2の回転開始から5分後に、被処理粉体がケーシング1内で占める体積比率が所定値(100%)以上に保持されるように被処理粉体を補充する粉体補充操作が1回行われ、その結果、最終的に200gの粉体をケーシング1内に供給することになり、体積比率は217%になった。本発明による方法では、X線回折パターン(不図示)によってBaTiO3の合成に成功したことが確認された。
他方、「粉体補充」を行わない従来技術による方法では、ケーシング1内に100gの粉体を供給し(体積比率=76%)、補充操作なしで処理を行った。この方法ではX線回折パターン(不図示)によってBaTiO3の合成は不完全であったことが確認された。
〔別実施形態〕
〈1〉判定手段の判定結果に基づいて被処理粉体を追加供給する補充手段としての供給装置14には、ホッパー15に収納された被処理粉体を開口部1hから圧力の高いケーシング1内に押し込む圧入能力が必要である。そこで、供給装置14を構成するスクリュー16としては、スクリュー羽根間のピッチが先端側ほど狭くなるものや、羽根の外径が根元から先端に向けてテーパ状に小さくなるものを用いると、被処理粉体が開口部1h付近でより圧密化され、押込み効果を高めることができる。また、スクリューに代えて、シリンダとプランジャとによる押出し機構を補充手段として設けてもよい。
〈2〉開口部1hを閉鎖するための弁30を設けない構成で実施することも可能であり、この実施形態の場合、スクリュー16の先端の羽根を開口部1hにおけるケーシング1の内面とレベルが一致する位置まで延出させておき、ロータ2による粉体処理中はスクリュー16を継続的に回転駆動させる構成とすることができる。但し、バッファ部7における粉体圧力が異常に高まらないように、ホッパー15の下部の一部に粉体の上方移動を許す細い圧力緩和経路を設けてもよい。
〈3〉非処理粉体の体積比率が低下すると、処理中におけるケーシング1の内面付近の温度上昇傾向が低下する傾向が見られる場合は、判定部がケーシング1の内面付近の温度を測定する温度センサ18の検出値に基づいて体積比率を判定する構成としてもよい。
〈4〉偏向パドル6は、中心付近に位置する被処理粉体を左右の羽根部5に向けて送り出す送りパドル6aのみとし、羽根部5付近からバッファ領域7への被処理粉体の戻りは、羽根部5の作用に基づいて自然に生じる戻りに任せてもよい。
〈5〉ロータ2のシャフト3に小径部を設けず、シャフト3を全長に亘って大径部で構成してもよい。
〈6〉バッファ領域は必ずしも軸心方向の中心に配置されている必要はなく、例えば、モータM1側の端部付近、反モータM1側の端部付近などにバッファ領域を設けてもよい。
〈7〉羽根部5と偏向パドル6とが横軸心X1に沿って交互に配置された構成とすることも可能である。
〈8〉偏向パドル6は粉体処理の目的や求められる処理能力によっては必ずしも必要でなく、羽根部5のみが設けられたロータ2の形態で実施することも可能である。
〈9〉ケーシング1の内面と羽根部5との間の圧縮剪断力によって生じる粉体の合成、化学または焼結等の反応、および、混合、複合化(融合化)、表面改質、平滑化、球形化などの形状制御などの粉体処理を促進する目的でケーシング1の外側にヒータを設けることも可能である。
〈10〉金属化合物およびその他の無機化合物を含む被処理粉体を処理する場合の処理能力を高める目的で、ケーシング1の内部に水蒸気を導入する設備を並置することも可能である。金属化合物粉体の表面の少なくとも一部が水蒸気と反応して、機械的強度が低い金属の水酸化物が生成されるため、この水酸化物がケーシング1の内面と羽根部5との間の圧縮剪断力によって効率的に粉砕されて高活性且つ微細な金属の水酸化物の粉体となり、更に、同圧縮剪断力の付与により、その金属の水酸化物が他金属の粉体と脱水を伴って固相反応するという合成処理工程が進行するため、後に高温での熱処理を行うことなく、或いは比較的低温度での熱処理を行うことで、短時間で比表面積が非常に大きい合成粉体を製造することができる。
〈11〉さらに、ケーシング1の内面と羽根部5との間の圧縮剪断力による粉体への作用を制御するために、ケーシング1内部の雰囲気制御として、ケーシング1の内部にアルゴン、窒素、酸素など種々のガスを導入する設備を並置することも可能である。このようなガスはポンプによってケーシング1の内部に導入することもできる。或いは、ケーシング1の一端に設けた導入口にガスの供給路を接続し、ケーシング1の他端にケーシング1の内部を負圧にするためのブロワーや真空ポンプを接続することでガスを導入してもよい。また、ケーシング1の一端に設けた原料チャンバーと、ケーシング1の他端とをケーシング1の外部で接続する循環経路を設け、この循環経路の途中に、防塵フィルタを設置するほか、ケーシング1内の気体を脱気して前記他端からケーシング1内に戻すポンプを配置してもよい。さらに、この循環経路に雰囲気制御のためのガスの供給路を接続してもよい。
〈12〉上記の実施形態では、図4に示すように、ロータ2の羽根部5とシャフト部3との間に断面が三角形の凹部が形成されており、この凹部に粉体が付着し易い傾向が生じる。この傾向を抑制するために、図9に例示するように、例えば、頂点部が湾曲状の二等辺三角形を呈する羽根部5′とすることができる。
被処理粉体を受け入れるケーシングと、ケーシングに対して相対回転され、その外周にケーシングの内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部を設けたロータとを備えている粉体処理装置を、より高能力の装置に改良する技術として利用可能である。
1 ケーシング
1a ケーシング本体
1b カバー部
1h 開口部(開口)
2 ロータ
3 シャフト部
3a 小径部(縮径部)
3b 大径部
5、5′羽根部
6 偏向パドル(偏向手段)
6a 送りパドル
6b 戻しパドル
6c 補助パドル
7 バッファ領域(貯留領域)
8 フィン(戻し部材)
10 インバータ
14 供給装置(補充手段)
15 ホッパー(原料チャンバー)
16 スクリュー(圧入手段)
18 温度センサ
20 ポンプ
21 操作バルブ
30 弁
30a 弁体
30b ロッド
50 制御ユニット(制御装置)
51 回転速度制御部
52 目標体積設定部
53 体積比率判定部(判定部)
54 LUT
100 粉体処理装置
M1 モータ
M2 モータ
X1 横軸心

Claims (14)

  1. 被処理粉体を受け入れるケーシングと、
    前記ケーシングに対して相対回転され、その外周に前記ケーシングの内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部を設けたロータと、
    前記相対回転の開始後、被処理粉体が前記ケーシング内で占める体積比率が所定値以上に保持されるように、前記ケーシング内に被処理粉体を補充する補充手段と、を備えている粉体処理装置。
  2. 前記補充手段が、前記体積比率を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記ケーシング内に被処理粉体を補充する供給装置とを備えている請求項1に記載の粉体処理装置。
  3. 前記判定手段は、前記ロータを回転駆動する駆動手段が、前記ロータから受ける負荷動力を検出する負荷動力検出器を備える請求項2に記載の粉体処理装置。
  4. 前記補充手段が、前記ケーシングの壁面に設けた開口を介して前記ケーシング内と連通した原料チャンバーと、前記原料チャンバーに収納された被処理粉体を前記開口から前記ケーシング内に押し込む圧入手段とを備える請求項1に記載の粉体処理装置。
  5. 前記開口を閉鎖可能な弁が設けられている請求項4に記載の粉体処理装置。
  6. 被処理粉体を受け入れるケーシングと、
    前記ケーシング内に支持され、駆動手段によって前記ケーシング内で回転駆動されるロータとを備え、
    前記ロータの外周に、前記ケーシング内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部が設けられており、
    前記ケーシング内面の側面と前記ロータの端面との間隙に進入する被処理粉体を前記ロータの外周に向けて押し戻す戻し部材が前記端面に設けられている粉体処理装置。
  7. 前記ケーシング内の温度上昇および/または前記ロータの負荷動力変動を検出する検出装置と、前記検出装置による検出結果に基づいて前記ロータの回転数を制御する制御装置が設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の粉体処理装置。
  8. 前記ロータの軸芯に沿った中間部に、被処理粉体の前記軸芯に沿った移動を促す偏向手段を含む貯留領域が設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載の粉体処理装置。
  9. 前記貯留領域は前記ロータに形成された縮径部を含む請求項8に記載の粉体処理装置。
  10. 内面が円筒状のケーシングと、駆動手段によって前記ケーシング内で回転駆動されるロータとを備えた粉体処理装置を用い、
    前記ケーシング内に所定量の被処理粉体を供給する供給工程と、
    前記ロータの回転駆動に基づいて、前記ロータの外周に設けられた羽根部と前記ケーシング内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える処理工程と、を備えており、
    前記処理工程は、前記処理工程の開始後も、被処理粉体の前記ケーシング内で占める体積比率が所定値以上に保持されるように、前記ケーシングに被処理粉体を補充する補充工程を含む粉体処理方法。
  11. 前記補充工程は、体積比率を判定する判定工程と、前記判定工程での判定結果に基づいて、前記ケーシング内に被処理粉体を押し込むための圧入工程とを含む請求項10に記載の粉体処理方法。
  12. 被処理粉体は少なくとも一つの化合物粉体を含み、前記処理工程において前記圧縮剪断力の付与により少なくとも2種類の粉体間に化学反応が生じ、前記化学反応によって前記処理工程の開始前の被処理粉体とは組成の異なる化合物粉体が合成される請求項10または11に記載の粉体処理方法。
  13. 被処理粉体は複数の化合物粉体を含み、前記圧縮剪断力の付与に基づいて少なくとも2種類の化合物粉体の間で複合化、融合化、被覆の少なくとも一つを含む表面改質、または、精密混合が付与される請求項10または11に記載の粉体処理方法。
  14. 前記圧縮剪断力に基づいて被処理粉体に平滑化、形状制御の少なくとも一つを含む表面改質が付与される請求項10または11に記載の粉体処理方法。
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