JP2011223822A - モータアクチュエータ及び水平軸風車 - Google Patents

モータアクチュエータ及び水平軸風車 Download PDF

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Abstract

【課題】予圧の付与が容易であり、テーブルに作用する荷重が大きく変動しても案内部が破損するのを防止できるモータアクチュエータを提供する。
【解決手段】モータアクチュエータ12は、ベース14に対してテーブル16が運動するのを案内する案内部22と、ベース14に対してテーブル16を運動させるモータ部19と、を備える。モータ部19の電機子部18と界磁部17との間に働く磁気的な吸引力によって、移動部材20の転動体転走部20bが軌道レール21の転動体転走部21bに向かって押し付けられ、移動部材20の転動体転走部20bと軌道レール21の転動体転走部21bとの間に挟まれる複数の転動体31に予圧が付与される。
【選択図】図3

Description

本発明は、ベースに対してテーブルが運動するのを案内する案内部と、ベースに対してテーブルを運動させるモータ部と、を備えるモータアクチュエータ、及びこのモータアクチュエータが組み込まれる水平軸風車に関する。
ベースに対してテーブルが運動するのを案内する案内部と、ベースに対してテーブルを運動させるモータ部と、を備えるモータアクチュエータが知られている(特許文献1参照)。モータアクチュエータの案内部として、軌道レールと、軌道レールに沿って移動する移動ブロックと、軌道レールと移動ブロックとの間に介在される複数の転動体と、を備える運動案内装置が用いられる。軌道レール及び移動ブロックの一方がベースに取り付けられ、他方がテーブルに取り付けられる。軌道レールに対する移動ブロックの移動に伴ってこれらの間に介在される転動体が転がり運動するので、移動ブロックが移動するときの摩擦抵抗を小さくすることができる。
一般的な運動案内装置には、断面略四角形の軌道レールの上面に対向する中央部と、中央部の幅方向の両端部から下方に垂下し、軌道レールの側面に対向する袖部と、を有する鞍形状の移動ブロックが用いられる。運動案内装置の剛性を高め、テーブルを精度良く案内するために、転動体には予圧が付与される。鞍形状の移動ブロックの場合、移動ブロックの一対の袖部間で軌道レールを挟み込んでいるので、一対の袖部と軌道レールとの間に挟まれる転動体に予圧を付与することができ、運動案内装置単体で予圧をかけることができる。
ベースとテーブルとの間の上下方向の寸法が取れないときや、運動案内装置をコンパクトにしたい場合など、図9に示すように、軌道レール61の側方に断面四角形の移動ブロック62を配置することがある。しかし、軌道レール61の側方に移動ブロックが配置される場合、その構造上予圧を付与しにくいという課題がある。予圧を付与するため、テーブル63に押しねじ64を取り付け、押しねじ64で移動ブロック62を軌道レール61に向かって押すとか、テーブルに偏心ピンを取り付け、偏心ピンを回転させて移動ブロックをテーブルに向かって押すなどの機械的な予圧付与方法が採用されていた。
特開2009−264586号公報
しかし、押しピンや偏心ピンを使用して機械的に予圧を付与すると、テーブルにかかる荷重(例えば移動ブロックを軌道レールに向かって押し付ける荷重やこれとは反対方向の荷重)が大きく変動すると、案内部の転動体や転動体転走部、押しピン等の予圧付与機構に大きな負荷がかかるおそれがある。
軌道レールとして円弧状に湾曲した軌道レールを使用する場合、リング状の内輪及び外輪を分割したタイプの運動案内装置にも、円弧状の軌道レールの側方に移動ブロックを配置したり、分割した円弧状の外輪の側方に分割した円弧状の内輪を配置する限り、同様な課題がある。
そこで、本発明は、予圧の付与が容易であり、テーブルに作用する荷重が変動しても案内部に大きな負荷がかかるのを防止できるモータアクチュエータを提供することを目的とする。
以下、本発明について説明する。上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ベースに対してテーブルが運動するのを案内する案内部と、前記ベースに対して前記テーブルを運動させるモータ部と、を備えるモータアクチュエータであって、前記案内部は、前記ベース及び前記テーブルのいずれか一方に取り付けられ、長手方向に沿って転動体転走部を有する軌道レールと、前記ベース及び前記テーブルの他方に取り付けられ、前記軌道レールの前記転動体転走部に対向する転動体転走部を有する移動部材と、前記軌道レールと前記移動部材との間に転がり運動可能に介在される複数の転動体と、を含み、前記モータ部は、前記ベース及び前記テーブルのいずれか一方に取り付けられ、コア、及びコアに巻かれるコイルを有する電機子部と、前記ベース及び前記テーブルの他方に取り付けられ、前記コイル部の前記コアにすきまを持って対向するマグネットを有する界磁部と、を含み、前記電機子部の前記コアと前記界磁部の前記マグネットとの間に働く磁気的な吸引力によって、前記移動部材の前記転動体転走部及び前記軌道レールの前記転動体転走部のいずれか一方が他方に向かって押し付けられ、前記移動部材の前記転動体転走部と前記軌道レールの前記転動体転走部との間に挟まれる前記複数の転動体に予圧が付与され、前記案内部は、前記吸引力の方向の荷重を負荷できると共に、前記吸引力と逆方向の荷重を負荷できないモータアクチュエータである。
本発明の一態様によれば、電機子部のコアと界磁部のマグネットとの間に働く磁気的な吸引力を利用して案内部に予圧を付与するので、予圧の付与が容易になる。テーブルに作用する荷重が変化するときは、磁気的な吸引力がばねのように機能するので、案内部が荷重の変動の影響を受けにくくなる。このため、案内部が破損しにくくなる。さらに吸引力以上の力を加えれば、移動部材を取り外すことができるので、メンテナンスが容易になる。
本発明の一実施形態のモータアクチュエータが組み込まれた水平軸風車の斜視図 複数の扇形のアクチュエータを組み合わせたリング状のアクチュエータの平面図 本発明の一実施形態のモータアクチュエータの斜視図 上記モータアクチュエータの平面図 上記モータアクチュエータの断面図(図4のIV-IV線断面図) リング状の案内部の斜視図 移動ブロックの水平断面図 案内部の他の例を示す斜視図 従来の機械的な予圧付与機構を示す断面図
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態のモータアクチュエータを説明する。以下の実施形態では、複数のモータアクチュエータをリング状に組み合わせ、水平軸風車のヨー軸駆動装置として使用する例を示す。
図1は、水平軸風車の斜視図を示す。水平軸風車は、風力により翼を有するロータ4を回転させ、風力エネルギをロータ4の動力に変換する装置である。ロータ4は、水平な回転軸3の回りを回転するハブ2と、ハブ2に放射状に配列される複数枚のブレード1と、ハブ2の回転を変速機5に伝動する回転軸3と、を備える。ハブ2及び複数枚のブレード1が翼を構成する。ロータ4の回転軸3の回転力は変速機5を介して発電機6に伝えられる。発電機6は、ロータ4の回転力を受けて電力を発生する。ロータ4の回転軸3、変速機5、及び発電機6はナセル7の中に格納される。
地上には、ロータ4を所定の高さに支持するためにタワー8が設置される。タワー8の上部には、ヨー駆動装置10が設置される。ヨー駆動装置10は、ナセル7を支持すると共に、風向に従ってナセル7を垂直軸の回りに旋回させる。ナセル7に格納される制御装置(図示せず)は、ヨー駆動装置10を操作して、ロータ4の翼を変動する風向に対向させるように、風向きとロータ4の回転軸3との偏差角を所定の角度内に制御する。
図2は複数のアクチュエータを組み合わせたリング状モータアクチュエータ10(ヨー駆動装置10)の平面図を示す。リング状モータアクチュエータ10は、複数の扇形のモータアクチュエータ12を周方向に配列・連結してなる。この実施形態では、5つの扇形のモータアクチュエータ12を周方向に配列・連結してリング状モータアクチュエータ10を構成する。
図3ないし図5は、扇形のモータアクチュエータ12を示す。図3は斜視図を示し、図4は平面図を示し、図5は図3のA−A線断面図を示す。モータアクチュエータ12は、タワー8側に固定されるベース14と、ナセル7側に固定されるテーブル16と、を備える。ベース14及びテーブル16の平面形状は扇形に形成される。ベース14とテーブル16との間には、ベース14に対するテーブル16の運動を案内する案内部22が配置されると共に、テーブル16を運動させる扇形のモータ部19が配置される。モータ部19の電機子部18と界磁部17との間に働く磁気的な吸引力P1によって、テーブル16には半径方向の外側に引っ張られる力が働く。このテーブル16の吸引力によって案内部22に予圧P2(P1≒P2)が付与される。
案内部22は吸引力P1の方向の荷重を負荷できるが、吸引力P1と逆方向の荷重を負荷できない。移動ブロック20に吸引力以上の逆方向の力を加えれば、移動ブロック20を分割軌道レール21cから取り外すことができる。
扇形のベース14の上面には、案内部22の軌道レール21及び移動ブロック20の一方と、モータ部19の電機子部18及び界磁部17の一方とが固定される。この実施形態では、案内部22の軌道レール21及びモータ部19の電機子部18がベース14に固定される。ベース14の上面の内径側と外形側との間には段差14aが形成される。ベース14の内径側が肉厚に形成され、外径側が薄肉に形成される。ベース14の肉厚の内径側に案内部22の軌道レール21が固定され、ベース14の薄肉の外径側にモータ部19の電機子部18が固定される。
図3に示すように、ベース14の外周側の縁部及び内周側の縁部には、ベース14をタワーに固定するためのボルト等の締結部材が挿入される複数の通し孔13,15が空けられる。扇形のベース14の外周の縁部、及び内周の縁部には、モータ部19の配線25が通される切欠き26が形成される。複数のベース14を繋げてリング形状にしたときに中心に円形の開口27(図2参照)が空くように、複数のベース14の内周縁は外周縁と同心の円弧形状に形成される。
扇形のテーブル16の下面には、軌道レール21及び移動ブロック20の他方と、電機子部18及び界磁部17の他方とが固定される。この実施形態では、移動ブロック20及び界磁部17がテーブル16の下面に固定される。テーブル16の下面の内径側と外径側との間には段差16aが形成される。テーブル16の内径側が肉厚に形成され、外径側が薄肉に形成される。肉厚の内径側に案内部22の移動ブロック20が固定され、薄肉の外形側にモータ部19の界磁部17が固定される。図5に示すように、モータ部19が配置される位置におけるベース14とテーブル16との間の距離(言い換えればモータ部19の高さh1)は、案内部22が配置される位置におけるベース14とテーブル16との間の距離(言い換えれば案内部22の高さh2)よりも大きい。
図3に示すように、テーブル16の内周側には、移動ブロック20をテーブル16の下面に固定するための複数のザグリ孔30が空けられ、テーブル16の外周側には、界磁部17をテーブル16の下面に固定するための複数のザグリ孔29が空けられる。ボルト等の多数の締結部材をザグリ孔29,30に通し、締結部材を移動ブロック20や界磁部17にねじ込むことで、これらがテーブル16に固定される。テーブル16に作用する垂直方向の荷重は、テーブル16の内径側で移動ブロック20、軌道レール21を介してベース14に伝わる。テーブル16はその内径側のみにおいて片持ち状態で案内部22に支持される。
なお、ナセル7に対してテーブル16が僅かに移動できるように、複数の扇形のモータアクチュエータ12をリング状に組み合わせたとき、隣接するモータアクチュエータ12のテーブル16間にわずかなすきまが空くようにしてもよい。そして、テーブル16の回転をナセル7に伝達でき、かつナセル7に対するテーブル16の僅かな移動を許容できるように、ナセルとテーブル16とは、積層ゴム、ばね、リニアガイド、あり溝等のトルク伝達手段で連結されてもよい。
図3に示すように、案内部22は、円弧状の軌道レール21と、円弧状の軌道レール21の内径側に配置される移動ブロック20と、を備える。軌道レール21の下面がベース14の上面に固定され、移動ブロック20の上面がテーブル16の下面に固定される。ベース14を水平面に配置した状態で、軌道レール21の長手方向と直交する断面で見たとき、移動ブロック20は軌道レール21の右側又は左側にのみ(この実施形態では右側にのみ)に配置される。軌道レール21及び移動ブロック20の互いに対向する側面(すなわち、軌道レール21の右側の側面21a及び移動ブロック20の右側の側面20a)には、転動体転走部として上下二条のボール転走溝21b及び上下二条の負荷ボール転走溝20bが形成される。
図3に示すように、案内部22の軌道レール21は円弧状に湾曲する。円弧状に湾曲した軌道レール21の内周側の側面には、上述の二条のボール転走溝21bが形成される。各ボール転走溝21bの断面形状は、二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状に形成される。転動体としてのボール31は軌道レール21のボール転走溝21bに2点で接触する(図7参照)。軌道レール21の断面形状は上下方向に細長い四角形に形成される。軌道レール21には、上下方向に貫通する複数のザグリ孔21cが形成される。ザグリ孔21cにボルト等の締結部材を通し、締結部材をベース14にねじ込むことで、軌道レール21がベース14に固定される。
複数のモータアクチュエータ12を周方向に配列すると、図6に示すように、円弧状の軌道レール21が複数組み合わされたリング状の全体軌道レール32が形成される。軌道レール21の内径側の二条のボール転走溝21bもリング状に繋がる。リング状の全体軌道レール32を形成するために、円弧状の軌道レール21の繋ぎ目に僅かなすきまをあける必要があるが、僅かなすきまがあっても移動ブロック20は問題なく繋ぎ目を通過する。
図7に示すように、移動ブロック20は、軌道レール21の二条のボール転走溝に対向する二条の負荷ボール転走溝20bが形成されるブロック本体34と、ブロック本体34の移動方向の両端部に設けられる蓋部材としての一対のエンドキャップ35と、を備える。図6に示すように、移動ブロック20の上面には複数のタップ孔20dが加工される。テーブル16のザグリ孔にボルト等の締結部材を通し、締結部材を移動ブロック20のタップ孔39にねじ込むことにより、テーブル16が移動ブロック20に結合される。
図7に示すように、ブロック本体34には、軌道レール21のボール転走溝12bに対向する負荷ボール転走溝20bが形成される。負荷ボール転走溝20bの断面形状も二つの円弧からなるゴシックアーチ溝に形成される。軌道レール21のボール転走溝12bと移動ブロック20の負荷ボール転走溝20bとの間に負荷ボール転走路が形成される。軌道レール21に対する移動ブロック20の相対的な移動に伴い、ボール31はこの負荷ボール転走路で荷重を受けながら転がり運動する。
ブロック本体34には、負荷ボール転走溝20bとほぼ平行に直線通路37が形成される。エンドキャップ35には、ブロック本体34の負荷ボール転走溝20bと直線通路37を接続するU字形状の方向転換路38が形成される。直線通路37及び一対のU字形状の方向転換路38によって、負荷ボール転走溝20bの一端と他端を接続する無負荷戻し路が形成される。負荷ボール転走路と無負荷戻し路によって、サーキット状のボール循環路が形成される。
図5に示すように、モータ部19は、ベース14及びテーブル16の一方に取り付けられ、コア41、及びコア41に巻かれるコイル42を有する電機子部18と、ベース14及びテーブル16の他方に取り付けられ、電機子部18のコア41に磁気的なすきまgを介して対向するマグネット43を有する界磁部17と、を備える。この実施形態では、ベース14に電機子部18が取り付けられ、テーブル16に界磁部17が取り付けられる。
ベース14の上面には、コア保持体45がボルト等の締結部材を用いて固定される。コア保持体45はコア41を固定できるように、上下の端部に突出片45a,45aを有し、この突出片45a,45a間にコア41が挟まれる。コア保持体45も円弧状に湾曲する。
図3に示すように、コア41は、円弧状に湾曲する本体部41bと、本体部41bから半径方向の内側に櫛歯状に突出する複数の突極41aと、を有する。本体部41bの断面形状は上下方向に細長い矩形形状に形成される。複数の突極41aは本体部41bの周方向に均等間隔を空けて設けられる。突極41aの突出方向に直交する垂直断面で突極41aは矩形形状に形成され、その高さは幅(水平面内における突極41aの周方向の長さ)よりも大きい。突極41aの高さは本体部41bの高さと略等しい。コア41は鉄等の磁性材料からなる
複数の突極41aのそれぞれにコイル42が巻かれる。コイル42は突極41aの垂直断面に合わせて上下方向に細長い断面四角形の環状に形成される。環状のコイル42の中心線は水平方向を向く。モータアクチュエータ12の平面図で見たとき、コイル42の中心線はテーブル16の回転中心の方向を向く。
コイル42は三相コイルであり、コイル42は周方向に順番にU,V,W,U,V,W,U,V,W相…のコイルとなる。コイル42に120度位相がずれる三相交流を流すと、コイル42が巻かれる複数の突極41aに周方向に移動する移動磁界が発生する。
図5に示すように、テーブル16の下面には、界磁部17にマグネット保持体51がボルト等の締結部材を用いて固定される。マグネット保持体51も円弧状に湾曲する。マグネット保持体51は、断面が上下方向に細長い矩形に形成されると共に円弧状に湾曲する本体部51aと、本体部51aの上端部から半径方向の外側に突出する円弧状の上部壁51bと、本体部51aの下端部から半径方向の外側に突出する円弧状の下部壁51cと、を備える。マグネット保持体51はボルト等の締結部材を用いてテーブル16の下面に固定される。マグネット保持体51の本体部51a、上部壁51b及び下部壁51cによってマグネット収納部が形成される。マグネット収納部に収納された複数のマグネット43は、ボルト等の締結部材によってマグネット保持体51に固定される。
図3に示すように、マグネット保持体51の収納部には、複数のマグネット43が円弧状に配列される。マグネット43は上下方向に細長い板状に形成される。マグネット43は、半径方向に着磁され、すなわち半径方向の内側がN極又はS極の一方になり、半径方向の外側がN極又はS極の他方になる(図5参照)。複数のマグネット43はその外周面に周方向に交互にN極及びS極が形成されるように配列される。マグネット43はコア41の突極41aにすきまgを空けて対向する。複数のマグネット43を備える界磁部17は、コアの複数の突極41aに発生する移動磁界により推力を得て、周方向に回転する。
本実施形態のモータアクチュエータの組み立て方法は以下のとおりである。まず、ベース14にモータ部19の電機子部18及び案内部22の軌道レール21を固定する。次に、テーブル16にモータ部19の界磁部17及び案内部22の移動ブロック20を固定する。移動ブロック20のボール循環路には、あらかじめ複数のボール31が配列・収納されている。その後、移動ブロック20を軌道レール21の長さ方向の端部から軌道レール21に組み付ける。これと同時に界磁部17のマグネット43を電機子部18のコア41に対向させる。その後、テーブル16を軌道レール21に沿って回転させることで、モータアクチュエータの組み立てが完了する。
モータアクチュエータを組み立てると、図3に示すように、界磁部17のマグネット43と電機子部18のコア41との間に吸引力が働く。この吸引力は、ベース14及び軌道レール21を水平面に配置した状態で水平方向を向く。コア41はベース14に固定されているので、吸引力によってマグネット43がコア41に引き付けられる。マグネット43と移動ブロック20とはテーブル16を介して一体に結合されているので、コア41がマグネット43を引き付ける力によって、移動ブロック20の側面20aが軌道レール21の側面21aに向かって押し付けられる。移動ブロック20の負荷ボール転走溝20bと軌道レール21のボール転走溝21bとの間には多数のボール31が介在されるので、多数のボール31に予圧(ボールを圧縮する荷重)が付与される。
以上のように、モータアクチュエータ12を組み立てた後、水平軸風車のタワーの上部で扇形の複数のモータアクチュエータ12をヨー軸の回りに周方向に配列する。これにより、リング状モータアクチュエータ10(すなわちヨー駆動装置10)が組み立てられる。リング状モータアクチュエータ10を組み立てると、案内部22の軌道レール21もリング状に繋がり、モータ部19の電機子部18及び界磁部17もリング状に繋がる。リング状モータアクチュエータを組み立てた後、テーブル16の上部にナセル7を固定する。モータ部19の電機子部18に三相交流を流すと、ナセル7がヨー軸の回りを回転する。
本実施形態によれば、モータ部19の電機子部18のコア41と界磁部17のマグネット43との間に働く磁気的な吸引力を利用して案内部22に予圧を付与するので、案内部22への予圧の付与が容易なる。テーブル16に作用する荷重が変動するときは、磁気的な吸引力がばねのように機能するので、案内部22が荷重の変化の影響を受けにくくなる。
これを詳述するに、押しねじや偏心ピンを利用して機械的に予圧を付与した場合、テーブル16にかかる荷重が変動した場合、荷重の変動がそのまま押しねじや偏心ピン、ボール、ボール転走溝に伝わるので、これらに過負荷が作用するおそれがある。マグネットの吸引力を利用することで、テーブル16に作用する荷重が変動しても、テーブル16が僅かに変位して(マグネット43とコア41との間のすきまgが僅かに変位して)荷重の変動を吸収するので、ボール31及び負荷ボール転走溝20b,ボール転走溝21bに過大な荷重が作用するのを防止できる。特に、風力エネルギは自然エネルギであり、風車に作用する荷重変動も予測しにくい。マグネットの吸引力を利用した予圧付与方法は、荷重の変動の大きい風車にも安全に使用することができる。
モータ部19のコア41とマグネット43との間のすきまはわずかなので、これらの間に働く磁気的な吸引力は大きく、したがってこの磁気的な吸引力を案内部22の予圧として利用することができる。モータ部19が配置される位置におけるベース14とテーブル16との間の距離h1を、案内部22が配置される位置におけるベース14とテーブル16との間の距離h2よりも大きくすることで、マグネット43とコア41との間に働く磁気的な吸引力をより大きくすることができる。
リング状モータアクチュエータ10を複数の扇形のモータアクチュエータ12に分割することで、モータアクチュエータ12の製造が容易になり、搬送性や材料の入手性も向上する。特に、リング状の軌道レール21を複数に分割することにより、軌道レール21の材料の入手性を向上させることでき、軌道レール21の加工に大型の加工機を使用する必要もなくなる。
案内部22に移動ブロック20を使用することで、リング状の案内部22を複数の円弧状の案内部22に分割し易くなる。
案内部22として、軌道レール21の側方に移動ブロック20が配置されるタイプのものを使用することにより、案内部22の高さを、内輪及び外輪から構成される旋回リングと同程度に低くすることができる。
本実施形態のリング状モータアクチュエータ10をヨー駆動装置として水平軸風車に組み込む場合、地上にて扇形のモータアクチュエータ12を組み立てた後、タワー8の上部にてリング状モータアクチュエータ10を組み立てることができる。このため、タワー上部でのリング状のモータアクチュエータの組立てが容易になる。
なお、本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々に変更可能である。
例えば、上記実施形態ではテーブルを回転運動させるモータアクチュエータの例を説明したが、テーブルを直線運動させるリニアモータアクチュエータとして使用することができる。この場合、テーブルの直線運動を案内できるように軌道レールは直線的に伸び、モータ部は直線方向に推力を発するように直線的に伸びる。
案内部の移動部材としては、図6に示す移動ブロック20の替わりに、図8に示すように、内輪を複数に分割した円弧状の移動レール55aを用いることもできる。この場合、ベアリングと同様に、ボール等の転動体は複数の円弧状の移動レールからなる内輪55と、複数の円弧状の軌道レール55bからなる外輪56との間のリング状のボール転走路を循環する。
360度までの回転角度を必要としない場合、複数の扇形のモータアクチュエータを組み合わせてリング状にしなくても、必要な角度分のモータアクチュエータを組み合わせればよい。
ボール転走溝の条数、配置は上記実施形態に限られることはない。ボール転走溝の条数は一条でもよいし、移動ブロック及び軌道レールの対向面の上下端にボール転走溝が配置されてもよい。転動体としてはボールの替わりにローラを使用することもできる。
軌道レールは水平面に取り付けられなくても垂直面に取り付けられてもよい。この場合、軌道レールを水平面に取り付けたと仮定した状態で移動部材が軌道レールの左側又は右側に配置されればよい。
モータ部の磁気的な吸引力によって案内部に予圧を付与することができれば、軌道レール及び移動部材のどちらをベース側に取り付けてもよく、モータ部の電機子部及び界磁部のどちらをベース側に取り付けてもよい。
ベース及びテーブルの少なくとも一方は、他の機械部品と一体に形成されてもよい。
リング状のモータアクチュエータは、風車以外にも、パワーショベルやクレーンなどの建設機械において、下部構造体であるトラックフレームに対して運転席や上部フレームが旋回可能に搭載される旋回機構に用いることができる。また、大画面ディスプレイ用のガラス基板等のワークを回転させるターンテーブルとしても用いることができる。
リニアモータアクチュエータは、工作機械、半導体製造装置、液晶製造装置等の産業機械に利用することができる。
10…ヨー駆動装置(リング状のモータアクチュエータ),12…モータアクチュエータ,12b…ボール転走溝(転動体転走部),14…ベース,16…テーブル,17…界磁部,18…電機子部,19…モータ部,20…移動ブロック(移動部材),20a…移動ブロックの側面,20b…負荷ボール転走溝(転動体転走部),21…軌道レール,21a…軌道レールの側面,21b…ボール転走溝(転動体転走部),22…案内部,31…ボール(転動体),41…コア,42…コイル,43…マグネット

Claims (5)

  1. ベースに対してテーブルが運動するのを案内する案内部と、前記ベースに対して前記テーブルを運動させるモータ部と、を備えるモータアクチュエータであって、
    前記案内部は、
    前記ベース及び前記テーブルのいずれか一方に取り付けられ、長手方向に沿って転動体転走部を有する軌道レールと、
    前記ベース及び前記テーブルの他方に取り付けられ、前記軌道レールの前記転動体転走部に対向する転動体転走部を有する移動部材と、
    前記軌道レールと前記移動部材との間に転がり運動可能に介在される複数の転動体と、を含み、
    前記モータ部は、
    前記ベース及び前記テーブルのいずれか一方に取り付けられ、コア、及びコアに巻かれるコイルを有する電機子部と、
    前記ベース及び前記テーブルの他方に取り付けられ、前記コイル部の前記コアにすきまを持って対向するマグネットを有する界磁部と、を含み、
    前記電機子部の前記コアと前記界磁部の前記マグネットとの間に働く磁気的な吸引力によって、前記移動部材の前記転動体転走部及び前記軌道レールの前記転動体転走部のいずれか一方が他方に向かって押し付けられ、前記移動部材の前記転動体転走部と前記軌道レールの前記転動体転走部との間に挟まれる前記複数の転動体に予圧が付与され、
    前記案内部は、前記吸引力の方向の荷重を負荷できると共に、前記吸引力と逆方向の荷重を負荷できないモータアクチュエータ。
  2. 前記軌道レールを水平面に配置したと仮定した状態で、前記軌道レールの長手方向と直交する断面で見たとき、前記移動部材は前記軌道レールの左側又は右側に配置されると共に、前記移動部材及び前記軌道レールの互いに対向する側面に前記転動体転走部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
  3. 前記ベース及び前記テーブルは、扇形に形成され、
    前記軌道レールは、円弧形状に湾曲し、
    前記コイル部は、複数のコア及び複数コイルが周方向に配列されて全体が円弧形状をなし、
    前記マグネット部は、周方向に交互にN極及びS極が形成されるように複数のマグネットが周方向に配列されて全体が円弧形状をなすことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータアクチュエータ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のモータアクチュエータが周方向に複数配列されてなるリング状のモータアクチュエータ。
  5. 風力によって回転するロータと、ロータを回転可能に支持するナセルと、地上に設置され、前記ナセルが上部に載せられるタワーと、前記ロータの回転軸が風向きに対向するように、前記ナセルをタワーに対してヨー軸の回りに旋回させるヨー駆動装置を備える水平軸風車において、
    前記ヨー駆動装置に請求項4に記載のモータアクチュエータを使用することを特徴とする水平軸風車。
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