JP2011221866A - 操舵意図判断装置、及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】操舵トルクセンサを備えていない車両においても運転者の操舵意図を精度良く判断できる操舵意図判断装置、及びその方法を提供する。
【解決手段】自車両の運転者が操舵意図を有しているか否かを判断する操舵意図判断装置であって、自車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、自車両の走行車線の曲率半径を検出する曲率半径検出手段と、ヨーレートに基づき、運転者の操舵意図の有無を判断する第1の操舵意図判断手段と、第1の操舵意図判断手段の判断結果として操舵意図有と判断されたとき、曲率半径に基づいて当該判断結果の正否を判断する第2の操舵意図判断手段とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、運転者の操舵意図を判断する操舵意図判断装置、及びその方法に関する。
従来、自動車などの車両には、走行車線を逸脱するか否かを予測し、逸脱すると予測したときに警報を発して運転者に通知する車線逸脱警報装置が搭載されている。このような従来の車線逸脱警報装置の一例として、特許文献1に記載の車線逸脱警報装置(以下、従来技術と称する)が挙げられる。
上記従来技術では、運転者が意識して自車両を走行車線から逸脱する方向に移動させていると判断した場合には、車線逸脱警報を強制的に停止する。そして、上記従来技術では、自車両が走行車線から逸脱する方向に移動しているのが運転者の意識によるものか否かを判断する手法の1つとして、操舵トルクをしきい値と比較する手法を用いている。
特開2006−331304号公報
しかしながら、上記従来技術では、次に述べるような課題を有する。すなわち、上記従来技術では、自車両が走行車線から逸脱する方向に移動しているのが運転者の意識によるものか否か、すなわち、運転者の操舵意図を判断するのに操舵トルクをしきい値と比較する。このため、上記従来技術では、操舵トルクセンサが車両に備えられている必要がある。換言すれば、上記従来技術は、操舵トルクセンサを備えている車両にのみ用いることのできる技術である。
それ故に、本発明は、操舵トルクセンサを備えていない車両においても運転者の操舵意図を精度良く判断できる操舵意図判断装置、及びその方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べる特徴を有する。
第1の発明は、自車両の運転者が操舵意図を有しているか否かを判断する操舵意図判断装置であって、自車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、自車両の走行車線の曲率半径を検出する曲率半径検出手段と、ヨーレートに基づき、運転者の操舵意図の有無を判断する第1の操舵意図判断手段と、第1の操舵意図判断手段の判断結果として操舵意図有と判断されたとき、曲率半径に基づいて当該判断結果の正否を判断する第2の操舵意図判断手段とを備える。
第2の発明は、上記第1の発明に従属する発明であって、第2の操舵意図判断手段は、曲率半径が予め定められたしきい値以上でないとき、第1の操舵意図判断手段の判断結果が否であると判断する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明に従属する発明であって、第1の操舵意図判断手段は、ヨーレートが、予め定められたヨーレートしきい値以上であるとき、運転者に操舵意図が有ると判断する。
第4の発明は、上記第1または第2の発明に従属する発明であって、ヨーレートから定常的な誤差を除去するフィルタリング手段と、自車両の走行速度を検出する走行速度検出手段とをさらに備え、第1の操舵意図判断手段は、曲率半径で走行速度を除算することにより理論ヨーレートを算出する第1の算出手段と、理論ヨーレートに基づいてヨーレートしきい値を算出するしきい値算出手段と、誤差除去ヨーレートと理論ヨーレートとを加算することにより自車両に生じるヨーレートを推定ヨーレートとして推定する推定手段と、推定ヨーレートとヨーレートしきい値とに基づき運転者の操舵意図の有無を判断する第3の操舵意図判断手段とを含む。
第5の発明は、上記第2乃至第4のいずれかひとつの発明に係る操舵意図判断装置と、自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測する予測手段と、運転者に対して警報を発する警報手段と、予測手段によって自車両が走行車線から逸脱すると予測され、且つ、第2の操舵意図判断手段によって、第1の操舵意図判断手段の判断結果が否であると判断されたとき、警報手段に対して警報を発する指示を与える指示手段とを備える、逸脱警報装置である。
第6の発明は、自車両の運転者が操舵意図を有しているか否かを判断する操舵意図判断方法であって、自車両のヨーレートを検出するヨーレート検出ステップと、自車両の走行車線の曲率半径を検出する曲率半径検出ステップと、ヨーレートに基づき、運転者の操舵意図の有無を判断する第1の操舵意図判断ステップと、第1の操舵意図判断手段の判断結果として操舵意図有と判断されたとき、曲率半径に基づいて当該判断結果の正否を判断する第2の操舵意図判断ステップとを備える。
本発明によれば、トルクセンサを備えていない車両においても運転者の操舵意図を精度良く判断できる操舵意図判断装置、及びその方法を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る操舵意図判断装置の概略構成を示すブロック図 直線路を走行しているときの自車両の走行軌跡の一例を示す図 直線路を走行しているときのヨーレートの遷移の一例を示す図 曲線路を走行しているときの自車両の走行軌跡の一例を示す図 曲線路を走行しているときのヨーレートの遷移の一例を示す図 本発明の第1の実施形態に係る操舵意図判断部の処理を示すフローチャート
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る操舵意図判断装置1の概略構成を示すブロック図である。本実施形態に係る操舵意図判断装置1は、まず、始めにヨーレートに基づいて運転者の操舵意図を判断し、次に、自車両の走行している走行車線が曲線路か否かを判断して、1度判断した運転者の操舵意図を再び判断する。
本実施形態に係る操舵意図判断装置1は、ヨーレート検出部10と、フィルタリング部11と、道路形状検出部12と、操舵意図判断部13と、逸脱警報部14とを備えている。
ヨーレート検出部10は、フィルタリング部11と接続されている。ヨーレート検出部10は、典型的には、自車両の中心を鉛直方向に通る軸周りの回転角速度、すなわち、ヨーレートを少なくとも逐次検出可能なジャイロセンサである。ヨーレート検出部10は、ヨーレートを検出しながら、検出したヨーレートを示す信号(以下、ヨーレート信号と称する)をフィルタリング部11に出力する。
フィルタリング部11は、ヨーレート検出部10と、操舵意図判断部13とが接続されている。フィルタリング部11は、ヨーレート検出部10から出力されるヨーレート信号の中から相対的に高い予め定められた高周波数帯域成分の信号のみを通過させるハイパスフィルタである。ヨーレート検出部10によって検出されるヨーレートには、周囲の温度に応じた大きさの誤差、所謂温度ドリフトが生じる。この温度ドリフトとして生じる誤差は、定常的であって、当該誤差を示す信号は、相対的に低い低周波数帯域の信号としてヨーレート検出部10から出力されるヨーレート信号に含まれる。そこで、本実施形態に係る操舵意図判断装置1では、フィルタリング部11で、ヨーレート検出部10から出力されるヨーレート信号から高周波数帯域の信号のみを通過させることにより、温度ドリフトとして生じる低周波数帯域の誤差を示す信号を除去する。以下では、ヨーレート検出部10によって出力されるヨーレート信号から、温度ドリフトとして生じる低周波数帯域の誤差を示す信号を除去した信号のことを、ハイパスヨーレート信号と称する。フィルタリング部11は、ハイパスヨーレート信号を操舵意図判断部13に出力する。
道路形状検出部12は、操舵意図判断部13と接続されている。道路形状検出部12は、自車両が走行している走行車線の左右の区画線を検出し、検出した左右の区画線に基づき、自車両の走行車線に関する値を算出する。より具体的には、道路形状検出部12は、典型的には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)素子、或いはCCD(Charge Coupled Device)素子を用いて自車両の前方の画像を撮像するカメラと、当該カメラで撮像された画像を処理する処理回路とで主に構成される。道路形状検出部12は、自車両の走行車線の左右の区画線を含む画像を前述のカメラで撮像し、前述の処理回路で当該画像を処理することにより、自車両の走行車線の左右の区画線を逐次検出する。さらに、道路形状検出部12は、任意の周知の手法を用いて、検出した区画線に基づき、自車両の走行車線の車線幅と、曲率半径と、自車両の走行車線におけるオフセットとを少なくとも逐次検出する。そして、道路形状検出部12は、検出した車線幅と、曲率半径と、オフセットとを少なくとも示す信号(以下、レーン信号と称する)を操舵意図判断部13に出力する。ここで、オフセットとは、自車両の走行車線の幅方向の中心から、幅方向に沿った自車両の中心までの距離である。
操舵意図判断部13は、フィルタリング部11、道路形状検出部12、及び逸脱警報部14と接続されている。操舵意図判断部13は、フィルタリング部11から出力されるハイパスヨーレート信号、及び道路形状検出部12から出力されるレーン信号をそれぞれ受け取る。
操舵意図判断部13は、フィルタリング部11から出力されるハイパスヨーレート信号によって示されるヨーレートと、道路形状検出部12から出力されるレーン信号によって示される曲率半径とに基づき、運転者の操舵意図の有無を判断する。以下、本実施形態に係る操舵意図判断部13が運転者の操舵意図の有無を判断する処理について詳細に説明する。
操舵意図判断部13は、運転者の操舵意図の有無を判断するとき、まず、ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレートの絶対値(以下、ハイパスヨーレート値Yvと称する)に基づいて、第1の操舵意図判断処理をする。第1の操舵意図判断処理をするとき、操舵意図判断部13は、ハイパスヨーレート信号によって示されるハイパスヨーレート値Yvと、当該ハイパスヨーレート値Yvについて予め定めたしきい値Ythとを比較することによって、運転者の操舵意図の有無を判断する。ハイパスヨーレート値Yvがしきい値Yth以上であるとき、それは、運転者によって相対的に大きく操舵されたことにより、自車両の走行方向が大きく変化した結果であるとして、操舵意図判断部13は、運転者の操舵意図が有ると判断する。一方、ハイパスヨーレート値Yvがしきい値Yth以上でないとき、運転者はほとんど操舵していないとして、操舵意図判断部13は、運転者の操舵意図が無いと判断する。
ただし、本実施形態に係る操舵意図判断部13の第1の操舵意図判断処理だけでは、運転者の操舵意図を正確に判断できない場合がある。第1の操舵意図判断処理で運転者の操舵意図を正確に判断できない場合について、図2A〜図3Bを参照して説明する。図2Aは、直線路を走行する自車両の運転者に操舵意図が有るときと、無いときとのそれぞれにおける走行軌跡の一例を示す図である。また、図2Bは、図2Aに一例として示すように直線路を走行する自車両の運転者に操舵意図が有るときと、無いときとのそれぞれにおけるハイパスヨーレート値Yvの遷移の一例を示す図である。また、図3Aは、曲率半径が略一定の曲線路に沿って走行する自車両の運転者に操舵意図が有るときと、無いときとのそれぞれにおける自車両の走行軌跡の一例を示す図である。また、図3Bは、図3Aに一例として示すように曲率半径が略一定の曲線路に沿って走行する自車両の運転者に操舵意図が有るときと、無いときとのそれぞれにおけるハイパスヨーレート値Yvの遷移の一例を示す図である。
例えば、図2Aに一例として示すように、直線路に沿って自車両を走行させているときに運転者が操舵意図を無くして、ステアリングホイールから手を離したとしても、自車両の走行方向はほとんど変化しないため、図2Bに一例として示すように、ハイパスヨーレート値Yvもゼロからほとんど変化しない。一方、図2Aに一例として示すように、自車両を直線路に沿って走行させているときに、運転者が操舵したときには、自車両の走行方向は、相対的に大きく変化するため、図2Bに一例として示すように、ハイパスヨーレート値Yvも相対的に大きく変化してしきい値Yth以上となる。
また、例えば、図3Aに一例として示すように、曲率半径が略一定の曲線路に沿って自車両を走行させようとして、運転者が操舵角を略一定に維持して自車両を旋回させているときは、図3Bに一例として示すように、ハイパスヨーレート値Yvがゼロからほとんど変化しない。これは、ハイパスヨーレート値Yvを示すハイパスヨーレート信号が、上述したようにフィルタリング部11で低周波数帯域の信号のみを除去した信号であって、曲率半径が略一定の曲線路に沿って走行している自車両に生じるヨーレートのような定常的なヨーレートを示す信号を除去した信号だからである。一方、図3Aに一例として示すように、曲率半径が略一定の曲線路に沿って自車両を走行させているときに運転者が、操舵意図を無くして、ステアリングホイールから手を離すと、曲線路に沿って走行するように旋回していた自車両の走行方向が直進方向に相対的に大きく変化するため、ハイパスヨーレート値Yvも相対的に大きく変化する。
そして、自車両が直線路から逸脱する場合と、曲線路から逸脱してしまう場合とでは、ハイパスヨーレート値Yvは、図2B、及び図3Bから明らかなように、運転者の操舵意図の有無に拘わらず、同じように値が増加してしきい値Yth以上となり、運転者に操舵意図が有ると操舵意図判断部13が第1の操舵意図判断処理で判断してしまう。しかし、図3A、及び図3Bを参照して説明したように、略一定の曲率半径の曲線路に沿って走行している自車両のハイパスヨーレート値Yvがしきい値Yth以上となるときは、直線路を走行している自車両のハイパスヨーレート値Yvがしきい値Yth以上となるときとは異なり、運転者に操舵意図は無いと考えられる。つまり、運転者の操舵意図の有無を正確に判断するためには、ハイパスヨーレート値Yvに基づいて運転者の操舵意図の有無を判断する第1の操舵意図判断処理だけでなく、自車両が曲線路を走行しているか否かを判断する処理も必要となる。
そこで、本実施形態に係る操舵意図判断部13は、第1の操舵意図判断処理で運転者に操舵意図が有ると判断した場合に、レーン信号で示される曲率半径(以下、曲率半径Rと称する)に基づいて、自車両が曲線路に沿って走行しているか否かを判断することにより、第1の操舵意図判断処理の判断結果の正否を判断して、運転者の操舵意図を判断する第2の操舵意図判断処理をする。第2の操舵意図判断処理をするとき、操舵意図判断部13は、レーン信号によって示される曲率半径Rと、当該曲率半径Rについて予め定めたしきい値Rthとを比較することによって、第1の操舵意図判断処理の判断結果の正否を判断する。
具体的には、操舵意図判断部13は、曲率半径Rがしきい値Rth以上であると判断したとき、第1の操舵意図判断処理においてハイパスヨーレート値Yvがしきい値Yth以上となって運転者に操舵意図が有ると判断したのが、直線路に沿って自車両が走行しているときであると判断し、第1の操舵意図判断処理の判断結果が正しいとして、運転者に操舵意図が有ると判断する。一方、曲率半径Rがしきい値Rth以上でないと判断したとき、操舵意図判断部13は、第1の操舵意図判断処理においてハイパスヨーレート値Yvがしきい値Yth以上となって運転者に操舵意図が有ると判断したのが、曲線路に沿って自車両が走行しているときであると判断し、第1の操舵意図判断処理の判断結果が間違いであるとして、運転者に操舵意図が無いと判断する。
なお、前述のしきい値Rthは、操舵意図判断部13が、曲線路を走行していると判断できるのであれば、任意の大きさのしきい値で良いが、実験によって予め定めたしきい値であっても良い。
以上が、本実施形態に係る操舵意図判断部13の第1の操舵意図判断処理、及び第2の操舵意図判断処理の説明である。このように、本実施形態に係る操舵意図判断部13は、第1の操舵意図判断処理と第2の操舵意図判断処理とをすることにより、運転者の操舵意図の有無を正確に判断することができる。
図4は、本実施形態に係る操舵意図判断部13の第1の操舵意図判断処理、及び第2の操舵意図判断処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。以下、図4に示すフローチャートを参照しながら、操舵意図判断部13の処理の流れを説明する。
操舵意図判断部13は、図4のフローチャートに示す処理を開始すると、フィルタリング部11から出力されるハイパスヨーレート信号によって示されるハイパスヨーレート値Yvをしきい値Ythと比較して運転者の操舵意図の有無を判断する、第1の操舵意図判断処理をする(S201)。そして、操舵意図判断部13は、ハイパスヨーレート値Yvが、しきい値Yth以上であると判断したとき(S201でYes)、運転者には操舵意図が有ると判断する。一方、操舵意図判断部13は、ハイパスヨーレート値Yvがしきい値Yth以上でないと判断したとき(S201でNo)、運転者には操舵意図が無いと判断して(S204)、処理をS201へ戻す。
次に、操舵意図判断部13は、第1の操舵意図判断処理で、運転者に操舵意図が有ると判断したとき(S201でYes)、その判断の正否を判断するために、上述したように、レーン信号によって示される曲率半径Rをしきい値Rthと比較する、第2の操舵意図判断処理をする(S202)。そして、操舵意図判断部13は、曲率半径Rが、しきい値Rth以上であると判断したとき(S202でYes)、第1の操舵意図判断処理における判断が正しく、運転者は操舵意図を有していると判断して(S203)、処理をS201へ戻す。一方、操舵意図判断部13は、曲率半径Rが、しきい値Rth以上でないと判断したとき(S202でNo)、第1の操舵意図判断処理における判断が間違いであり、運転者に操舵意図が無いと判断して(S204)、処理をS201へ戻す。
以上が、本実施形態に係る操舵意図判断部13が運転者の操舵意図を判断する処理の詳細な説明である。なお、本実施形態に係る操舵意図判断部13は、運転者の操舵意図を判断する処理の他に、レーン信号で示される情報に基づき、自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測する処理も並行するものとする。自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測するとき、操舵意図判断部13は、例えば、レーン信号で示されるオフセットが、当該レーン信号によって示される車線幅に対して予め定められた割合の幅を超えたときに、自車両が走行車線から逸脱すると予測する。
そして、本実施形態に係る操舵意図判断部13は、自車両が走行車線から逸脱するか否かの予測結果と、上述した運転者の操舵意図を判断する処理で得られる判断結果とに基づいて、警報を発して運転者に注意を促すか否かを判断する。例えば、操舵意図判断部13は、自車両が走行車線から逸脱すると予測し、且つ、第1の操舵意図判断処理、及び第2の操舵意図判断処理をすることによって運転者に操舵意図が無いと判断したときに、後述する逸脱警報部14に警報を発する指示を与える警報信号を出力する。
逸脱警報部14は、操舵意図判断部13と接続されている。逸脱警報部14は、操舵意図判断部13から前述の警報信号が出力されたとき、運転者に注意を促すために警報を発する。
以上が、本発明の第1の実施形態に係る操舵意図判断装置1の詳細な説明である。本実施形態に係る操舵意図判断装置1によれば、ハイパスヨーレート値Yvに基づいて判断した運転者の操舵意図の判断結果の正否を、自車両の走行路の曲率半径Rに基づいて判断することにより、運転者の操舵意図を精度良く判断できる。
ここで、運転者の操舵意図を判断するために操舵トルクセンサを用いる手法が従来用いられている。そして、車両に搭載される操舵トルクセンサは、運転者の操舵力をアシストする電動パワーステアリング(Electric Power Steering、以下EPSと称する)システムにおいて操舵アシスト力を発生する電気モータの制御に必要な操舵トルクを検出するために車両に搭載されるのが一般的である。
しかし、大型車両などの車両重量が相対的に重い車両において充分な操舵アシスト力を得られる出力の大きな電気モータを用いたEPSを搭載するのは、設置スペース、或いはコストなどの観点から考えると難しくなる。したがって、このような大型車両では、充分な操舵アシスト力を得るために、操舵トルクセンサを用いるEPSではなく、油圧式パワーステアリング(Hydraulic Power Steering)が用いられている。このように、EPSではなく、油圧式パワーステアリングを搭載している大型車両は、操舵トルクセンサが搭載されていないため、上記従来技術で本発明のように運転者の操舵意図を判断できない。また、運転者の操舵意図を判断する目的のみで操舵トルクセンサを備えると、コストが不要に増大してしまう。
このように操舵トルクセンサを備えることのできない大型車両においても、本発明によれば、自車両のヨーレート、及び走行車線の曲率半径に基づいて運転者の操舵意図を判断するので、省スペース、及び低コストで運転者の操舵意図を精度良く判断できる。
なお、第1の実施形態におけるしきい値Ythは、運転者の操舵意図を精度良く判断できるのであればどのような値であっても良いが、例えば、次に述べるように算出した値を用いても良い。すなわち、まず、運転者に操舵意図が有るときに自車両に生じると考えられる横加速度aを予め定めておく。そして、操舵意図判断部13は、第1の操舵意図判断処理をするときに、図示しない車速検出部で検出した走行速度Vで予め定められた横加速度aを除算して得られるヨーレート値をしきい値Ythとして用いても良い。
また、第1の実施形態では、第1の操舵意図判断処理において、ハイパスヨーレート値Yv、すなわち、ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレート値の絶対値に基づいて、運転者の操舵意図の有無を判断するものとした。しかしながら、他の一実施形態では、第1の操舵意図判断処理において、ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレート値をそのまま用いて、運転者の操舵意図の有無を判断しても良い。ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレート値をそのまま用いて、運転者の操舵意図の有無を判断する場合、操舵意図判断部13は、ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレート値に対するしきい値として、ゼロを基準とする予め定められた範囲を示し、絶対値が同じ大きさで正負の符号を有する値を用いると良い。そして、操舵意図判断部13は、第1の実施形態で説明した第1の操舵意図判断処理として、ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレート値が、前述の範囲を超えるか否かを判断する処理をする。この場合、操舵意図判断部13は、ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレート値が前述の範囲を超えるとき、運転者には操舵意図が有ると判断する。一方、操舵意図判断部13は、ハイパスヨーレート信号で示されるヨーレート値が前述の範囲を超えないとき、運転者には操舵意図が無いと判断する。
また、第1の実施形態では、しきい値Ythを予め定めるものとした。しかしながら、他の一実施形態では、自車両が走行している走行車線の曲率半径Rと走行速度Vとに基づいてしきい値を算出するようにしても良い。曲率半径Rと走行速度Vとに基づいてしきい値を算出する手法の一例としては、図示しない車速検出部で検出した自車両の走行速度Vを、レーン信号によって示される曲率半径Rで除算して算出する手法が挙げられる。
より詳細には、走行速度Vと曲率半径Rとで略一定の曲線路に沿って自車両が走行しているときの定常的なヨーレート値の絶対値は、走行速度Vを曲率半径Rで除算したヨーレート値の絶対値(以下、理論ヨーレート値Yαと称する)を算出することにより推定できる。そこで、曲率半径Rと走行速度Vとに基づいてしきい値(以下、算出しきい値CYthと称する)を算出する場合、操舵意図判断部13は、第1の実施形態で説明した第1の操舵意図判断処理の前に、まず、上述したように理論ヨーレート値Yαを算出して推定し、予め定められた係数を乗じて、前述の算出しきい値CYthを算出する。
算出しきい値CYthを算出すると、操舵意図判断部13は、次に、自車両に発生している実際のヨーレート値の絶対値(以下、絶対ヨーレート値Yβと称する)を推定する。絶対ヨーレート値Yβを推定する手法の一例としては、前述の理論ヨーレート値Yαに第1の実施形態で説明したハイパスヨーレート値Yvを加算して算出する手法が挙げられる。理論ヨーレート値Yαにハイパスヨーレート値Yvを加えることによって、絶対ヨーレート値Yβを推定できる理由は以下のとおりである。
すなわち、理論ヨーレート値Yαは、上述したように、当該理論ヨーレート値Yαを推定するのに用いた走行速度Vと曲率半径Rとで略一定の曲線路を自車両が走行しているときの定常的なヨーレート値の絶対値であって、フィルタリング部12で上述したように除去される信号で示されるヨーレート値の絶対値とみなすことができる。一方、ハイパスヨーレート値Yvは、上述したようにフィルタリング部12を通過した信号で示されるヨーレート値の絶対値である。したがって、理論ヨーレート値Yαとハイパスヨーレート値Yvとを加算したヨーレート値は、フィルタリング部12を通過した信号で示されるヨーレート値の絶対値であるハイパスヨーレート値Yvと、フィルタリング部12で除去された信号で示されるヨーレート値の絶対値である理論ヨーレート値Yαとを加算したヨーレート値、すなわち、ヨーレート検出部10から出力される信号で示されるヨーレート値の絶対値に相当すると考えられる。このため、理論ヨーレート値Yαにハイパスヨーレート値Yvを加算した値は、絶対ヨーレート値Yβと等しくなると考えられる。
操舵意図判断部13は、算出しきい値CYthと絶対ヨーレート値Yβとを算出する場合、第1の実施形態で説明した第1の操舵意図判断処理として、算出しきい値CYthと絶対ヨーレート値Yβとを比較する処理をする。そして、操舵意図判断部13は、絶対ヨーレート値Yβが算出しきい値CYth以上であるとき、運転者には操舵意図が有ると判断する。一方、操舵意図判断部13は、絶対ヨーレート値Yβが算出しきい値CYth以上でないとき、運転者には操舵意図が無いと判断する。このように、絶対ヨーレート値Yβと算出しきい値CYthとを比較する第1の操舵意図判断処理をした後、操舵意図判断部13は、第1の実施形態で説明した第2の操舵意図判断処理をすることにより、第1の実施形態と同様に運転者の操舵意図を判断する。
このように、操舵意図判断部13が、温度ドリフトに左右されないヨーレート値として推定した絶対ヨーレート値Yβと、走行している曲線路の曲率半径Rと走行速度Vとに応じた算出しきい値CYthとを比較する第1の操舵意図判断処理をすることにより、運転者の操舵意図をより精度良く判断することができる。
尚、絶対ヨーレート値Yβと算出しきい値CYthとを比較する第1の操舵意図判断処理をした後の第2の操舵意図判断処理において用いる曲率半径Rは、上述したように第1の操舵意図判断処理の前に算出しきい値CYthを算出するときに用いる曲率半径Rでも良いし、第2の操舵意図判断処理をするときにレーン信号によって示される曲率半径Rでも良い。
また、上述の説明では、算出しきい値CYthと、絶対ヨーレート値Yβとを比較する第1の操舵意図判断処理において、自車両に発生している実際のヨーレート値の絶対値を推定して運転者の操舵意図の有無を判断するものとした。しかしながら、他の一実施形態では、絶対値ではなく、自車両に発生している実際のヨーレート値を推定して、運転者の操舵意図の有無を判断しても良い。この場合、操舵意図判断部13は、走行速度Vを曲率半径Rで除算した絶対値ではないヨーレート値を前述の理論ヨーレート値Yαとして算出する。そして、操舵意図判断部13は、前述の算出しきい値CYthとして、理論ヨーレート値Yαに予め定めた係数を乗じた値と、当該値と絶対値が同じで符号が反対の値とで示されるゼロを基準とする範囲を算出する。さらに、操舵意図判断部13は、自車両に発生している絶対値ではない実際のヨーレート値を前述の絶対ヨーレート値Yβとして推定する。絶対値ではない絶対ヨーレート値Yβを推定するときは、ハイパスヨーレート信号によって示されるヨーレート値をそのまま絶対値ではない理論ヨーレート値Yαに加算して推定する。そして、操舵意図判断部13は、第1の実施形態で説明した第1の操舵意図判断処理として、絶対値ではない絶対ヨーレート値Yβが、絶対値ではない理論ヨーレート値Yαに基づいて上述したように算出した範囲を超えるか否かを判断する処理をする。この場合、操舵意図判断部13は、絶対値ではない絶対ヨーレート値Yβが、絶対値ではない理論ヨーレート値Yαに基づいて上述したように算出した範囲を超えるとき、運転者には操舵意図が有ると判断する。一方、操舵意図判断部13は、絶対値ではない絶対ヨーレート値Yβが、絶対値ではない理論ヨーレート値Yαに基づいて上述したように算出した範囲を超えるとき、運転者には操舵意図が無いと判断する。
また、第1の実施形態では、第2の操舵意図判断処理において用いる曲率半径Rが絶対値であることを前提として説明した。しかしながら、他の一実施形態において、レーン信号によって示される曲率半径Rが、曲線路の左右方向に応じた符号を有する場合には、第2の操舵意図判断処理において、しきい値Rthの代わりに、予め定められた範囲を示し、絶対値が同じ大きさで正負の符号を有する値を用いても良い。この場合、操舵意図判断部13は、第2の操舵意図判断処理において、符号を有する曲率半径Rが、上述したようにしきい値Rthの代わりに予め定められた範囲を超えるか否かを判断する処理をする。この場合、操舵意図判断部13は、曲率半径Rが予め定められた範囲を超えるとき、第1の操舵意図判断処理における判断が正しく、運転者は操舵意図を有していると判断する。一方、操舵意図判断部13は、曲率半径Rが予め定められた範囲を超えないとき、第1の操舵意図判断処理における判断が間違いであり、運転者に操舵意図が無いと判断する。
また、第1の実施形態では、操舵意図判断部13が、自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測するとき、オフセットが車線幅に対して予め定められた割合の幅を超えたときに自車両が走行車線から逸脱すると予測するものとした。しかしながら、他の一実施形態に係る操舵意図判断部13は、図示しない車速検出部で検出された走行速度Vとヨーレート検出部10によって検出されるヨーレート値などに基づいて予測した走行軌跡が走行車線から逸脱すると判断したときなど、任意の周知の手法で自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測しても良い。
また、第1の実施形態では、フィルタリング部11でヨーレート信号をフィルタリングするものとした。しかしながら、他の一実施形態では、操舵意図判断部13で当該フィルタリングに相当する処理をするようにしても良い。
また、第1の実施形態では、操舵意図判断部13が、自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測するものとした。しかしながら、他の一実施形態では、他の処理部で自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測するようにしても良い。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上述の説明はあらゆる点において本発明の一例にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることはいうまでもない。
本発明によれば、ヨーレート、及び走行車線の曲率半径に基づいて運転者の操舵意図を精度良く判断でき、例えば、自動車などの移動体に搭載される操舵意図判断装置などに利用できる。
10 ヨーレート検出部
11 フィルタリング部
12 道路形状検出部
13 操舵意図判断部
14 逸脱警報部

Claims (6)

  1. 自車両の運転者が操舵意図を有しているか否かを判断する操舵意図判断装置であって、
    前記自車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
    前記自車両の走行車線の曲率半径を検出する曲率半径検出手段と、
    前記ヨーレートに基づき、前記運転者の操舵意図の有無を判断する第1の操舵意図判断手段と、
    前記第1の操舵意図判断手段の判断結果として操舵意図有と判断されたとき、前記曲率半径に基づいて当該判断結果の正否を判断する第2の操舵意図判断手段とを備える、操舵意図判断装置。
  2. 前記第2の操舵意図判断手段は、前記曲率半径が予め定められたしきい値以上でないとき、前記第1の操舵意図判断手段の判断結果が否であると判断する、請求項1に記載の操舵意図判断装置。
  3. 前記第1の操舵意図判断手段は、前記ヨーレートが、予め定められたヨーレートしきい値以上であるとき、前記運転者に操舵意図が有ると判断する、請求項1または2に記載の操舵意図判断装置。
  4. 前記ヨーレートから定常的な誤差を除去するフィルタリング手段と、
    前記自車両の走行速度を検出する走行速度検出手段とをさらに備え、
    前記第1の操舵意図判断手段は、
    前記曲率半径で前記走行速度を除算することにより理論ヨーレートを算出する第1の算出手段と、
    前記理論ヨーレートに基づいてヨーレートしきい値を算出するしきい値算出手段と、
    前記誤差除去ヨーレートと前記理論ヨーレートとを加算することにより前記自車両に生じるヨーレートを推定ヨーレートとして推定する推定手段と、
    前記推定ヨーレートと前記ヨーレートしきい値とに基づき前記運転者の操舵意図の有無を判断する第3の操舵意図判断手段とを含む、請求項1または2に記載の操舵意図判断装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかひとつに記載の操舵意図判断装置と、
    前記自車両が走行車線から逸脱するか否かを予測する予測手段と、
    前記運転者に対して警報を発する警報手段と、
    前記予測手段によって前記自車両が走行車線から逸脱すると予測され、且つ、前記第2の操舵意図判断手段によって、前記第1の操舵意図判断手段の判断結果が否であると判断されたとき、前記警報手段に対して警報を発する指示を与える指示手段とをさらに備える、逸脱警報装置。
  6. 自車両の運転者が操舵意図を有しているか否かを判断する操舵意図判断方法であって、
    前記自車両のヨーレートを検出するヨーレート検出ステップと、
    前記自車両の走行車線の曲率半径を検出する曲率半径検出ステップと、
    前記ヨーレートに基づき、前記運転者の操舵意図の有無を判断する第1の操舵意図判断ステップと、
    前記第1の操舵意図判断手段の判断結果として操舵意図有と判断されたとき、前記曲率半径に基づいて当該判断結果の正否を判断する第2の操舵意図判断ステップとを備える、操舵意図判断方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013117811A (ja) * 2011-12-02 2013-06-13 Fujitsu Ltd 道路形状推定装置及びプログラム
US10829151B2 (en) 2016-11-03 2020-11-10 Ford Global Technologies, Llc Method for differentiating driver input

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