JP2011219562A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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剛士 扇
Koji Yamano
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Abstract

【課題】酸素吸収速度、持続性等の酸素吸収性能が優れた酸素吸収性熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】H−NMR測定から算出した共役樹脂酸量が30質量%以上であるロジン及び/又はその誘導体と、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種類以上の金属原子、並びに少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

従来、医薬品、飲料、食品、化学品などの包装材として、金属缶、ガラス瓶、あるいは熱可塑性樹脂からなる容器や成形体などが使用されている。中でも熱可塑性樹脂からなる容器や成形体はその軽量性、成形性、ヒートシールなどの包装生産性、コストの面で優越しており、最も大量に使用されている。しかしながら、一般に熱可塑性樹脂からなる容器や成型体は、包装材として優れているが、容器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容物の保存性の点で課題が残っている。
容器外からの酸素透過を防止するために、熱可塑性樹脂の容器や成形体では、容器壁を多層構造とし、そのうちの少なくとも1層として、ポリメタキシリレンアジパミド(以下「N−MXD6」という)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルあるいはアルミ箔等の酸素バリア性の層を設けることが行われている。しかし、容器外から進入してくるわずかながらの酸素を十分に遮断できないだけでなく、容器内に残存する酸素によってビール等の酸素に敏感な内容物の劣化を防止できない。
容器内の酸素を除去するため、酸素吸収剤の使用が古くから行われている。例えば、特許文献1及び2には、鉄粉等の酸素吸収剤を樹脂中に分散させた酸素吸収多層体および酸素吸収フィルムが記載されている。特許文献3には、ポリアミド等の高分子材料にコバルト等の金属系触媒を添加した容器内外の酸素を吸収する包装用酸素捕集障壁が記載されている。特許文献4には、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物及びコバルト等の遷移金属触媒を含む酸素掃除去層と、ポリアミド等の酸素遮断層とを有する製品が記載されている。
特開平2−72851号公報 特開平4−90848号公報 特許第2991437号公報 特開平5−115776号公報
本発明は酸素吸収速度、持続性等の酸素吸収性能が優れた酸素吸収性熱可塑性樹脂組成物を供することを目的とする。
本発明は、H−NMR測定から算出した共役樹脂酸量が30質量%以上であるロジン及び/又はその誘導体と、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種類以上の金属原子、並びに少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
本発明によれば、酸素吸収速度、持続性等の酸素吸収性能に優れ、機械物性低下も少ない、酸素吸収性熱可塑性樹脂組成物が得られる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において特定の機能を発現する物質として具体的な化合物を例示する場合があるが、本発明はこれに限定されない。また、例示される材料は、特に記載がない限り、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
(ロジン及びロジン誘導体)
本発明におけるロジンは、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン、精製ロジンなどのことであり、ロジン誘導体は、これらロジンとの反応物であるロジンエステル、ロジンアミド、ロジンの金属塩等のことである。また、α,β−不飽和カルボン酸とロジンとの付加物も使用することができる。
本発明の酸素吸収性能を得るためには、共役二重結合を持つロジンを含有する必要があり、共役二重結合を持つロジン中の化学成分としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、特に強力な酸素吸収性能が必要な場合は、共役二重結合を持つロジンを精製により取り出し、用いることも可能である。
これらの共役二重結合の量を定量的に示す指標として、共役樹脂酸量を用いる。この共役樹脂酸量は、核磁気共鳴分光法(NMR)により、求めることができる。具体的には、プロトンNMR(H−NMR)測定結果の7ppm付近の吸収は芳香族系、5〜6ppm付近の吸収は共役酸系の樹脂酸に夫々由来するため、全体のプロトン吸収に対するそれぞれのプロトン吸収比率を算出することでロジン及び/又はロジン誘導体中の共役樹脂酸量が求められる。
この指標から良好な酸素吸収性能を得るためには、共役樹脂酸量が、30質量%以上であることが好ましく、特に好ましいのは50質量%以上である。
本発明で得られる酸素吸収性能は、共役二重結合を持つロジン中の共役二重結合が酸化されることによって、雰囲気内の酸素が消費されることによるものである。また、酸化反応触媒として、後述の金属触媒化合物を用いることにより、酸化が促進され良好な酸素吸収性能が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、天然物由来のロジンを用いていることから、酸素吸収後の分解生成物もロジンの誘導体であるため、熱可塑性樹脂組成物による臭気などの分解生成物が食品包装等に用いる場合、内容物に及ぼす影響は小さい。
本発明において使用できる前記精製ロジンとは、蒸留、吸着、溶媒抽出、晶析など種々の処理により精製したロジンをいう。
また前記α,β−不飽和カルボン酸とロジンとの付加反応物において、α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。そしてこれらをディールス・アルダー反応させることによりロジンに付加させた樹脂を使用することができる。
前記ロジンエステルは、ロジンとポリオール成分をエステル化反応させることにより得られる。エステル化反応は、公知の方法、例えば、不活性ガスの雰囲気下にロジンとポリオールとを200〜300℃に加熱し、生成した水を系外に除去することによって行うことができる。
このエステル化反応は、エステル化触媒の存在下で行うことができる。エステル化触媒としてはリン酸、p-トルエンスルホン酸、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウムなどの公知の触媒が挙げられる。
ロジンをエステル化するポリオール成分としては、特に限定されないが、n-オクチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールのような1価のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価のアルコール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどの6価のアルコールが挙げられる。これらのポリオール成分の中でもロジンのハンドリング性等を考慮すると、ペンタエリスリトール又はグリセリンを使用することが好ましい。
(金属)
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる金属原子は、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子である。
本発明においては、前記金属原子を含有する化合物(以下、金属触媒化合物と称する)を用いることが好ましい。金属触媒化合物は前記金属原子の低価数の無機酸塩、有機酸塩又は金属錯体の形で使用される。
無機酸塩としては、塩化物や臭化物等のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられる。また、β−ジケトン又はβ−ケト酸エステル等との遷移金属錯体も利用することができる。中でも、酸素吸収機能が良好であることから、前記金属原子を含むカルボン酸塩、ハロゲン化物、アセチルアセトネート錯体が好ましい。
上記金属触媒化合物は、一種以上を添加することができるが、金属原子としてコバルトを含むものが特に酸素吸収機能に優れており、好ましく用いられる。
(熱可塑性樹脂)
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また本発明ではこれらの熱可塑性樹脂とゴムを併用することができる。
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のオレフィン単独重合体;エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ポリブテン−1共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−α ,β−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−α ,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α ,β−不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分又は完全鹸化物等のその他のエチレン共重合体; これらのポリオレフィンを無水マレイン酸等の酸無水物等でグラフト変性したグラフト変性ポリオレフィン等を挙げることができる。
前記ポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種又は二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種又は二種以上とから成るもの、又はヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から成るもの、又は環状エステルから成るものをいう。
ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ) エタン−p ,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、2−リチウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸などに例示される金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸又はそれらの低級アルキルエステル誘導体などが挙げられる。
上記のジカルボン酸のなかでも、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の使用が、得られるポリエステルの物理特性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を共重合しても良い。
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4 ,3’,4 ’−ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
グリコールとしてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4 ’−ジヒドロキシビスフェノ−ル、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ) ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA 、ビスフェノールC 、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加されたグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
上記のグリコールのなかでも、特に、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分として使用することが好適である。これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロ− ル、ヘキサントリオールなどが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、又はこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが例示される。
本発明で用いられるポリエステルとしては、主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル% 以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル% 以上含有するポリエステルである。主たる酸成分がナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルも同様に、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル% 以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル% 以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル% 以上含有するポリエステルである。
本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、上述のジカルボン酸類に例示した1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル% 以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル% 以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル% 以上含有するポリエステルである。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいてもよい。
上記テレフタル酸/エチレングリコール以外の共重合成分は、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが、透明性と成形性を両立する上で好ましく、特にイソフタル酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることがより好ましい。
本発明に用いられるポリエステルの好ましい一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、より好ましくはエチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を80モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレフタレ−ト単位を90モル%以上含む線状ポリエステルである。
また本発明に用いられるポリエステルの好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタレートから構成されるポリエステルであり、より好ましくはエチレン−2,6−ナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくはエチレン−2,6−ナフタレート単位を80モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのは、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以上含む線状ポリエステルである。
また本発明に用いられるポリエステルの好ましいその他の例としては、プロピレンテレフタレ−ト単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、プロピレンナフタレート単位を70モル% 以上含む線状ポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ−ト単位を70モル% 以上含む線状ポリエステル、ブチレンナフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステル、またはブチレンテレフタレ−ト単位を70モル%以上含む線状ポリエステルである。
また本発明に用いられるポリエステルの好ましいその他の例としては、グリコール酸やグリコール酸メチルの重縮合もしくは、グリコリドの開環重縮合にて得られるポリグリコール酸が挙げられる。このポリグリコール酸には、ラクチド等などの他成分を共重合しても構わない。
特にポリエステル全体の組成として、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコールの組み合わせ、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノールの組み合わせ、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコールの組み合わせは透明性と成形性を両立する上で好ましい。なお、当然ではあるが、エステル化(エステル交換)反応、重縮合反応中に、エチレングリコールの二量化により生じるジエチレングリコールを少量(5モル%以下)含んでも良いことは言うまでも無い。
本発明で使用するポリアミドは、ラクタムもしくはアミノカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とするポリアミドや脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とする脂肪族ポリアミド、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミド、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を主構成単位とする部分芳香族ポリアミドなどが挙げられ、必要に応じて、主構成単位以外のモノマー単位を共重合してもよい。
前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸としては、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等が使用できる。
前記脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジアミンあるいはその機能的誘導体が使用できる。さらに、脂環族のジアミンであってもよい。脂肪族ジアミンは直鎖状の脂肪族ジアミンであっても分岐を有する鎖状の脂肪族ジアミンであってもよい。このような直鎖状の脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。また、脂環族ジアミンの具体例としては、シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
また、前記脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖状の脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸が好ましく、さらに炭素数4〜12のアルキレン基を有する直鎖状脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。このような直鎖状脂肪族ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸およびこれらの機能的誘導体などを挙げることができる。脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
また、前記芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラ−ビス(2−アミノエチル) ベンゼンなどが挙げられる。
また、前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸およびその機能的誘導体等が挙げられる。
具体的なポリアミドとしては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6IT、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、イソフタル酸共重合ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6I)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカナミド(ポリアミドMXD12)、ポリ1,3−ビスアミノシクロヘキサンアジパミド(ポリアミドBAC6)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)等がある。より好ましいポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミドMXD6、ポリアミドMXD6Iが挙げられる。
また、前記ポリアミドの共重合成分として、少なくとも一つの末端アミノ基、もしくは末端カルボキシル基を有する数平均分子量が2000〜20000のポリエーテル、又は前記末端アミノ基を有するポリエーテルの有機カルボン酸塩、又は前記末端カルボキシル基を有するポリエーテルのアミノ塩を用いることもできる。具体的な例としては、ビス(アミノプロピル)ポリ(エチレンオキシド)(数平均分子量が2000〜20000のポリエチレングリコール)が挙げられる。
また、前記部分芳香族ポリアミドは、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3塩基以上の多価カルボン酸から誘導される構成単位を実質的に線状である範囲内で含有していてもよい。
前記ポリアミドは、基本的には従来公知の、水共存下での溶融重縮合法あるいは水不存在下の溶融重縮合法や、これらの溶融重縮合法で得られたポリアミドを更に固相重合する方法などによって製造することが出来る。溶融重縮合反応は1 段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。これらは回分式反応装置から構成されていてもよいし、また連続式反応装置から構成されていてもよい。また溶融重縮合工程と固相重合工程は連続的に運転してもよいし、分割して運転してもよい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びその部分若しくは完全鹸化物等を挙げることができる。さらに、その変性品を用いても構わない。
これらの熱可塑性樹脂と併用しうるゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)ゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、ポリ(エチレン−プロピレン−ジエン)ゴム、アクリルゴム、ポリアミド系エラストマー等を例示することができる。
(酸素吸収促進物質)
本発明の熱可塑性樹脂組成物の酸素吸収速度を向上させる手段して、熱可塑性樹脂組成物と酸素との接触面積を広げる効果を付与することが好ましく、こうした効果を持つ酸素吸収促進物質を添加しても良い。具体的な酸素吸収促進物質としては、担体物質、例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、活性炭、モレキュラーシーブス等の合成ゼオライト、モルデナイト、エリオナイト等の天然ゼオライト、パーライト、活性白土等の粘土鉱物、ハイドロタルサイト等の層状化合物等が挙げられる。
(熱可塑性樹脂組成物)
本発明の熱可塑性樹脂組成物の作成方法は特に制限されない。一般的な方法としては、ロジン及び/又はロジン誘導体と上記の熱可塑性樹脂及び上記の金属触媒化合物等を単軸もしくは、多軸の押出機にて溶融混合したペレットを作成する方法や、所望の成形体を成形する際に、ロジン及び/又はロジン誘導体と上記の熱可塑性樹脂及び上記の金属等とをドライブレンドしたものを直接、成形機に投入して成形しても良い。さらに、純度の非常に高いロジン及び/又はロジン誘導体を所望の熱可塑性樹脂の重合前もしくは重合途中で添加する方法等も挙げられる。
ロジン及び/又はロジン誘導体の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは2質量部以上、更に好ましくは、5質量部以上である。この含有量が0.5質量部未満であると、十分な酸素吸収性能が付与されない傾向にある。また、この含有量が、50質量部以下であると、熱可塑性樹脂そのものの性質が保持されるので好ましい。但し、粉砕物として用いる場合は、50質量部を超えても良い。
前記金属原子の濃度は特に制限はないが、ロジン及び/又はロジン誘導体100質量部に対して0.0005質量部(5ppm)以上が好ましく、より好ましくは0.001質量部(10ppm)以上である。通常は、1質量部(10000ppm)以下である。金属原子の添加量が5ppm以上であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物の酸素吸収機能が十分に発現する。金属触媒化合物(金属原子)を添加する方法は特に限定されず、任意の方法で添加することができる。
本発明においてロジン及び/又はロジン誘導体と熱可塑性樹脂とを押出機等で溶融混合する場合、ロジン及び/又はロジン誘導体の軟化点(SP)は、高い方が熱可塑性樹脂と溶融混合する際には好ましい。具体的なSPは、溶融混合する熱可塑性樹脂の成形温度にもよるが、80℃以上が好ましく、より好ましくは、90℃以上である。80℃以下であると、ロジン及び/又はロジン誘導体が押出機のフィーダー下部で軟化し熱可塑性樹脂とブロッキングを起こし、押出機内へ樹脂の食込みが生じる。
軟化点は、ロジン及び/又はロジン誘導体をエステル化する割合を高くすることで高くすることができる。但し、軟化点を高くするためのエステル化により、ロジンの含有率が少なくするとロジン及び/又はロジン誘導体中の共役樹脂酸量が、少なくなり、十分な酸素吸収性能が発現しなくなる。
ロジン及び/又はロジン誘導体をSP以上で可塑化して特殊なフィーダー等で投入する場合や、押出機の途中に専用の投入口を使用する場合はこの限りではない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流通時等の使用前に、酸素吸収機能を抑制するように、リン系やヒンダートフェノール系等の一般的に熱可塑性樹脂に使用される酸化防止剤を含有しても良い。本発明の熱可塑性樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量は、好ましくは500ppm 以下、より好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下である。この含有量が多すぎると、酸素吸収性能を低下させる傾向にある。
酸化防止剤を含有する熱可塑性樹脂組成物は、押出成形時の加工性が良好で平滑なフィルムに成形しやすく、酸素吸収性能や機械的強度の低下が小さい。
酸化防止剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を得るには、ロジン及び/ロジン誘導体に予め酸化防止剤を添加しておいてもよく、熱可塑性樹脂組成物を調製するときに、酸化防止剤を配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を本質的に損なわない限り、酸素吸収性を高める作用を有する触媒、光開始剤、熱安定剤、補強剤、充填剤、難燃剤、着色剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、乾燥剤、脱臭剤、帯電防止剤、粘着防止剤、防曇剤、表面処理剤等の添加剤を配合することができる。
これらの添加剤は、熱可塑性樹脂の分野で従来公知のものの中から、目的に応じて、適宜選択し、適量配合することができる。
また、添加剤の配合方法は、特に制限されず、ロジン及び/又はロジン誘導体を構成する各成分を、溶融混練したり、溶液状態で混合した後に溶媒を除去したりすることにより行なうことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の形態は、特に限定されず、フィルム状、シート状、ペレット状、粉体状又は、各種包装容器形態等各種の形態で使用することができる。ペレット及び粉体の形状にも制限はない。中でも、シート、フィルム又は粉体の形状であると、単位重量当たりの表面積が大きくなり、酸素吸収速度を向上することができるので好ましく、フィルム又は粉体がより好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物が使用されるフィルムの厚みは、通常、1μm以上、250μm未満であり、シートの厚みは、通常、250μ m以上、3mm未満である。粉体の数平均粒子径は、通常、0.1〜1,000μm 、好ましくは1〜500μmである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を所望の形状にする方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用できる。
シート又はフィルムの場合、例えば、溶液キャスト法により成形したり、単軸又は多軸の溶融押出機を用い、T−ダイ、サーキュラーダイ等所定形状のダイを通して押出成形したりすることにより成形できる。勿論、圧縮成形法、射出成形法等を採用することも可能である。
粉体の場合、例えば、熱可塑性樹脂組成物のSP未満の温度雰囲気下で、熱可塑性樹脂組成物を粉砕することにより、粉体状の熱可塑性樹脂組成物を得ることができ、小袋に充填した形で、各種包装内に内容物と一緒に充填して利用できる。
更に、ブロー成形法、射出成形法、真空成形法、圧空成形法、張出成形法、プレグアシスト成形法、粉体成形法を用いて、所望の形状に成形し、各種包装材料、工業用材料などの酸素バリア性を要求されるあらゆる用途に利用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用するにあたり、エネルギー線を照射して、酸素吸収反応の開始を促進したり、酸素吸収速度を高めたりすることができる。エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、X線、電子線、γ線等を利用可能である。照射エネルギー量は、用いるエネルギー線の種類に応じて、適宜選択することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、他の包装と組み合わせて様々な物品を収納、保存することができる。例えば、飲料、調味料、穀類、無菌での充填もしくは加熱殺菌の必要な液体及び固体加工食品、化学薬品、液体生活用品、医薬品、半導体集積回路並びに電子デバイス等、種々の物品を収納することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(ロジンエステルの製造方法)
温度計、攪拌機、水抜き管、窒素導入管を付した60lのSUS製反応容器に中国産ガムロジンを36kg仕込み、窒素気流下ロジンを溶融し、200℃まで昇温した。200℃にてペンタエリスリトールを3kg、加え、275℃まで昇温して、同温度で12時間反応してロジンエステル(ロジンエステル1)を得た。
(酸素吸収性樹脂組成物の製造方法)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ポリエチレン株式会社製 ノバテック UF340)25kgにロジンエステル1を1.25kg(LLDPE100質量部に対して添加量で5質量部、以下同様)及びステアリン酸コバルト(関東化学株式会社製試薬)を53.1mg(コバルト含有量で約200ppm)を入れ、ドライブレンドした後、L/Dが37mmの2軸押出機(東芝機械株式会社製)により、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/h、押出温度230℃にて熱可塑性樹脂組成物1を得た。
(無延伸フィルムの製造方法)
熱可塑性樹脂組成物1のペレットを25mmφ単軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製)により、押出温度230℃、スクリュー回転数60rpm、引き取り速度1.2m/minで製膜し、幅200mm、厚み95〜105μmの無延伸フィルムを作製した。
実施例2
ステアリン酸コバルトを1.3mg(コバルト含有量で約5ppm)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例3
ステアリン酸コバルトを106.2mg(コバルト含有量で約400ppm)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例4
ステアリン酸コバルトを212.4mg(コバルト含有量で約800ppm)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例5
ロジンエステル1の添加量を0.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例6
ロジンエステル1の添加量を10質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例7
ロジンエステル1の添加量を30質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例8
添加する金属触媒化合物をナフテン酸コバルトとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例9
添加する金属触媒化合物を酢酸Mnとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例10
温度計、攪拌機、水抜き管、窒素導入管を付した60lのSUS製反応容器に中国産ガムロジンを27.6kg仕込み、窒素気流下ロジンを溶融し、160℃まで昇温した。160℃でフマル酸を3.6kg加えて200℃まで1時間かけて昇温した。
次いで、そのままの温度で2時間反応させた後、200℃にてペンタエリスリトールを6.5kg加え、275℃まで昇温して、同温度で8時間反応したこと以外は実施例1と同様の方法でロジンエステル2を得た。ロジンエステル2を実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例11
フマル酸を5kg、ペンタエリスリトールを4.6kgにした以外は、実施例10と同様の方法で、ロジンエステル3、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例12
アルコールをグリセリン4.7kgとしたこと以外は実施例1と同様の方法で、ロジンエステル4、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例13
熱可塑性樹脂をPP(日本ポリプロ株式会社製 ノバテック FY6)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例14
熱可塑性樹脂をEVOH(株式会社クラレ製 エバール F101B)とし、押出温度を200℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例15
アルコールをグリセリン3.2kg、添加する金属触媒化合物をヨウ化Cu、熱可塑性樹脂をEVOH(株式会社クラレ製 エバール F101B)とし、押出温度を200℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、ロジンエステル5、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例16
ロジンエステル5とし、添加する金属触媒化合物を酢酸Mnとしたこと以外は、実施例15と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例17
熱可塑性樹脂をポリアミド6(宇部興産株式会社製 UBEナイロン 1024B)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例18
熱可塑性樹脂をポリアミドMXD6(三菱ガス化学株式会社製 MXナイロン S6007)とし、押出温度を260℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例19
ロジンエステル5とし、添加する金属触媒化合物を酢酸Mnとし、熱可塑性樹脂をポリアミドMXD6(三菱ガス化学株式会社製 MXナイロン S6007)とし、押出温度を260℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例20
熱可塑性樹脂をポリアミドMXD6(三菱ガス化学株式会社製 MXナイロン S6007)17.5kg、ポリアミド6(宇部興産株式会社製 UBEナイロン 1024B)7.5kgとし、ポリアミドMXD6とポリアミド6との質量比率が、7対3となるようにし、押出温度を260℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例21
熱可塑性樹脂をポリアミドMXD6I(三菱ガス化学株式会社製 MXナイロン S7007)とし、押出温度を240℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例22
熱可塑性樹脂をイソフタル酸変性ポリエステル(INVISTA社製 1101E)とし、押出温度を270℃としたこと以外は、実施例10と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
比較例1
ロジンエステル1を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
比較例2
ロジンエステル1を添加しないこと以外は、実施例16と同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
比較例3
(ロジンエステルの製造方法)
温度計、攪拌機、水抜き管、窒素導入管を付した60lのSUS製反応容器に不均化ガムロジン(G-100F、ハリマ化成(株))を30kg仕込み、窒素気流下ロジンを溶融し、200℃まで昇温した。200℃にてペンタエリスリトールを3kg加え、275℃まで昇温して、同温度で12時間反応してロジンエステル6、熱可塑性樹脂組成物及び無延伸フィルムを得た。
実施例及び比較例で得られたロジンエステルの共役樹脂酸量及び酸素吸収量を以下の方法で測定した結果を表1に示す。なお、表1中の熱可塑性樹脂の略号はそれぞれ以下の通りである。
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
PP:ポリプロピレン
EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体
PA6:ポリアミド6
PAMXD6:ポリアミドMXD6
PAMXD6I:ポリアミドMXD6I
PET:ポリエチレンテレフタレート
(共役樹脂酸量の測定)
ロジン誘導体を重クロロホルムに溶解し(10%溶液)、H−NMRにより測定した。測定結果のH−NMR7ppm付近の吸収は芳香族系、5〜6ppm付近の吸収は共役酸系の樹脂酸に夫々由来するため、全体のプロトン吸収に対するそれぞれのプロトン吸収比率を算出することでロジン又はロジン誘導体中の共役樹脂酸量(質量%)が求められる。
(酸素吸収量)
フィルムサンプルを400cmに切り出し、アルミ箔積層フィルムからなる25cm×18cmの3方シール袋に、水10mlと共に封入し、空気量400mlとして密封した(袋内の湿度は100%RH(相対湿度)とした。)。40℃下で7日、14日、28日保存後に、袋内の酸素濃度を酸素濃度計(東レエンジニアリング(株)製、商品名:LC−700F)で測定し、この酸素濃度から酸素吸収量を計算した。
ロジンエステルと金属触媒化合物を添加した熱可塑性樹脂組成物は、良好な酸素吸収性能を示した(実施例1から22)。一方、ロジンエステルを添加しない場合は全く酸素吸収性能を示さず(比較例1)、また、遷移金属塩を添加することだけでも、酸素吸収性能を示すポリアミドMXD6は、ロジンエステルを添加することで、非常に良好な酸素吸収性能を示すことが分かった(実施例18及び比較例2)。また、共役樹脂酸を全く含まないロジンエステルを用いても全く、酸素吸収性能を示さなかった(比較例3)。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、優れた酸素吸収性能を持ち合わせ、様々な包装形態にて、食品、飲料、医薬品や電子材料等の酸素による品質劣化を防ぐ用途に好適である。
Figure 2011219562

Claims (7)

  1. H−NMR測定から算出した共役樹脂酸量が30質量%以上であるロジン及び/又はその誘導体と、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種類以上の金属原子、並びに少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ロジン及び/又はその誘導体に対する金属原子の量が、5ppm以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ロジン及び/又はその誘導体がロジンエステルである請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ロジンエステルのポリオール成分がグリセリン又はペンタエリスリトールである請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. さらに担体物質を含む請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂100質量部に対する前記ロジン及び/又はその誘導体の含有量が0.5質量部以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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