JP2011218639A - ブレード剛性調整方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インキング動作で要求される様々な接触角及び押付力を、一つのブレード1で実現する。
【解決手段】 ブレードよりも高い剛性を有するブレード保持板2として繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板2を形成する。ブレード1の基端側部分の裏面側に複数のブレード保持板2より選択した1つのブレード保持板2を配置し、ブレード1及びブレード保持板2の基端寄り部分をブレードホルダ3,4挟持して固定する。使用するブレード保持板2として、繊維配向方向が異なることに起因して剛性の異なるものを選択することで、ブレードホルダ3,4に保持されたブレード1が版面に押し付けられて撓むときの見かけ上の剛性を変化させる。
【選択図】図1
【解決手段】 ブレードよりも高い剛性を有するブレード保持板2として繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板2を形成する。ブレード1の基端側部分の裏面側に複数のブレード保持板2より選択した1つのブレード保持板2を配置し、ブレード1及びブレード保持板2の基端寄り部分をブレードホルダ3,4挟持して固定する。使用するブレード保持板2として、繊維配向方向が異なることに起因して剛性の異なるものを選択することで、ブレードホルダ3,4に保持されたブレード1が版面に押し付けられて撓むときの見かけ上の剛性を変化させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、印刷装置にてドクターブレードやスキージブレード等のブレードを使用する際に、該ブレードの剛性を調整するために用いるブレード剛性調整方法及び装置に関するものである。
凹版を用いたオフセット印刷装置のインキング装置では、インキング動作として、版の印刷パターン溝へインクを押し込む動作と、版の表面の余剰インクを掻き取る動作を、薄い金属製のブレードを用いて行うようにしてある。
上記インキング動作における2つの動作では、最適なブレードの版面に対する当り角度が異なることが知られている。すなわち、たとえば、インクの押し込み動作では、ブレードの版面に対する接触角を20〜40度程度とし、一方、余剰インクの掻き取り動作では、ブレードの版面に対する接触角を60〜80度程度とすることが求められる。
又、上記インキング動作を行う際には、或る程度高い所定の押付力でブレードを版面に押し付ける必要があるが、上記インクの押し込み動作と、余剰インクの掻き取り動作では最適な押付力はそれぞれ異なる。
ところで、上記ブレードは薄い金属製のものであるため、ブレードを版面に対し所要の接触角で接触させた状態で該版面に押し付けると、ブレードが弾性変形してその先端部が版面に倣う方向へ撓む(屈曲する)ようになるが、この際、ブレードの版面に対する接触角の大小に応じて該ブレードの撓み易さが変化する。
そのため、ブレードの版面に対する最適な接触角と押付力を実現するには、上記インクの押し込み動作用と、余剰インクの掻き取り動作用に、それぞれ所望される接触角及び押付力に応じて剛性の異なる材質のブレードを用意することが一般に行われている。
なお、同じ材質のブレードについて、剛性を変化させるための手法として、たとえば、SUS製のブレードの剛性を変化させるために、該SUS製のブレードに炭素鋼製のバックアップ部材を接着固定して二層構造のブレードとする等、或る材質のブレードに剛性の異なるバックアップ部材を密着させて一体化してなる二層構造のブレードを形成させる手法が従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
ところが、印刷装置のインキング装置におけるインクの押し込み動作用と、余剰インクの掻き取り動作用に、それぞれ最適な接触角と押付力を実現するための剛性の異なる材質のブレードを用意する場合は、複数の材質のブレードを用意するための手間とコストが嵩むというのが実状である。
しかも、印刷装置で使用する版やインクの変更に伴って、上記インキング装置におけるインクの押し込み動作と、余剰インクの掻き取り動作の動作条件が変わって、それぞれの動作時に所望されるブレードの接触角及び押付力が変化すると、更に別の剛性の材質のブレードを用意する必要が生じる可能性も懸念される。
特許文献1に示された手法によれば、或る材質のブレードについて、剛性の異なるバックアップ部材を一体化して二層構造のブレードとすることで、剛性を変化させることは可能になるが、二層構造のブレードを製作した時点で、そのブレードの剛性が一つに決まってしまう。そのため、ブレードに異なる剛性が求められるときには、上記二層構造のブレードをその都度製作する必要がある。
よって、インキング装置におけるインクの押し込み動作と、余剰インクの掻き取り動作の動作条件が変化することに伴って、ブレードに要求される剛性が変化する場合は、その変化した剛性に対応する二層構造のブレードを新たに製作する必要が生じるために手間が嵩む。更に、その際、別の剛性を備えたバックアップ部材を新たに用意する必要が生じる可能性もある。
そこで、本発明は、ブレードが撓むときの剛性を、該ブレードの材質の変更やブレード自体に対する加工を要することなく調整できるようにして、印刷装置のインキング装置におけるインクの押し込み動作と、余剰インクの掻き取り動作等、ブレードに要求される接触角と押付力が異なる場合であっても、最適な接触角及び押付力を一つのブレードで実現可能とするために用いるブレード剛性調整方法及び装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ブレードの基端側部分の裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにするブレード剛性調整方法とする。
又、請求項2に対応して、ブレードの基端側部分の表面側と裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及び各ブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記各FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該各ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにするブレード剛性調整方法とする。
更に、請求項3に対応して、ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に選択配置するための繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有するブレード剛性調整装置とする。
更に又、上記構成において、ブレードの基端側部分の表面側に選択配置するための繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板を備えるようにした構成とする。
又、請求項5に対応して、ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に角度変更可能に配置したFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有するブレード剛性調整装置とする。
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ブレードの基端側部分の裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにするブレード剛性調整方法としてあるので、ブレードが版面に対し押し付けられて撓むときの該ブレードの見かけ上の剛性を、上記ブレードの裏面側に配置したブレード保持板の有する剛性に基づいて調整することができる。又、この際、ブレードの材質の変更や、ブレード自体に対する加工は不要にすることができる。
(2)更に、印刷装置のインキング装置におけるインクの押し込み動作と、余剰インクの掻き取り動作で、ブレードに要求される版面との接触角と版面に対する押付力が様々に異なる場合であっても、最適な接触角及び押付力を一つのブレードで実現することが可能になる。
(3)しかも、上記FRP製のブレード保持板は、材質、寸法、形状を変えることなく繊維の配向方向の変化のみで剛性を変化させることができる。
(4)ブレードの基端側部分の表面側と裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及び各ブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記各FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該各ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにするブレード剛性調整方法とすることにより、上記(1)(2)(3)と同様の効果に加えて、ブレードの表面側にブレード保持板が設けてある部分では、ブレードに生じる裏面側のブレード保持板より離反する方向へ膨らむ変形を抑えることができるため、ブレードホルダに保持させたブレードの見かけ上の剛性を更に細かく調整することが可能になる。
(5)ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に選択配置するための繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有するブレード剛性調整装置とすることにより、上記(1)の方法を実施するための装置構成を容易に実現することができる。
(6)ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に角度変更可能に配置したFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有するブレード剛性調整装置とすることによっても、上記(1)の方法を実施するための装置構成を容易に実現することができる。
(1)ブレードの基端側部分の裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにするブレード剛性調整方法としてあるので、ブレードが版面に対し押し付けられて撓むときの該ブレードの見かけ上の剛性を、上記ブレードの裏面側に配置したブレード保持板の有する剛性に基づいて調整することができる。又、この際、ブレードの材質の変更や、ブレード自体に対する加工は不要にすることができる。
(2)更に、印刷装置のインキング装置におけるインクの押し込み動作と、余剰インクの掻き取り動作で、ブレードに要求される版面との接触角と版面に対する押付力が様々に異なる場合であっても、最適な接触角及び押付力を一つのブレードで実現することが可能になる。
(3)しかも、上記FRP製のブレード保持板は、材質、寸法、形状を変えることなく繊維の配向方向の変化のみで剛性を変化させることができる。
(4)ブレードの基端側部分の表面側と裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及び各ブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記各FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該各ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにするブレード剛性調整方法とすることにより、上記(1)(2)(3)と同様の効果に加えて、ブレードの表面側にブレード保持板が設けてある部分では、ブレードに生じる裏面側のブレード保持板より離反する方向へ膨らむ変形を抑えることができるため、ブレードホルダに保持させたブレードの見かけ上の剛性を更に細かく調整することが可能になる。
(5)ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に選択配置するための繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有するブレード剛性調整装置とすることにより、上記(1)の方法を実施するための装置構成を容易に実現することができる。
(6)ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に角度変更可能に配置したFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有するブレード剛性調整装置とすることによっても、上記(1)の方法を実施するための装置構成を容易に実現することができる。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)及び図2(イ)(ロ)は本発明のブレード剛性調整方法及び装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。なお、本明細書においては、インキング装置にてブレードを版面に対し押し付けて該ブレードが版面に倣って撓む(屈曲する)ときに、該ブレードの版面に臨む側の面をブレードの表面、その反対側の面をブレードの裏面と云うものとする。
すなわち、上記本発明のブレード剛性調整装置は、ブレード1の裏面側に、該ブレード1よりも高い剛性を有するFRP(繊維強化プラスチック)製とした平板状のブレード保持板2を、ブレード1の全長に亘り該ブレード1の基端側部分に添わせて配置する。
更に、上記ブレード1及びブレード保持板2の基端寄り部分の外側に、ブレード1の長手方向に延びる一対のブレードホルダ3,4の先端寄り部分を配置し、該各ブレードホルダ3と4における上記ブレード1の基端部より所要寸法離れた個所同士を、ブレード1の長手方向に沿って所要間隔で配置した複数のブレード固定ボルト5で互いに固定し、これにより、上記各ブレードホルダ3と4で上記ブレード1及びブレード保持板2の基端寄りの部分を挟持させて固定する。
なお、上記FRP製のブレード保持板2は、同じ積層構造で且つ繊維の配向方向のみが異なる複数のブレード保持板2を用意しておくものとする。
この種のブレード保持板2は、たとえば、全面に亘り一定の積層構造で且つ一定の繊維の配向方向を備えた大きなサイズのFRP板より、上記ブレード保持板2に対応するサイズの板を、面内での角度を変えながら複数枚切り出すことにより形成するようにすればよい。これにより、たとえば、図2(イ)に示すような長辺に対して平行な方向と垂直な方向の繊維配向方向を備えたブレード保持板2と、図2(ロ)に示すような長辺に対して±45度ずつずれた方向の繊維配向方向を備えたブレード保持板2を形成して用意しておくようにする。上記複数用意してあるブレード保持板2同士では、繊維の配向方向が互いに相違するため、その繊維配向方向の相違に応じて、長辺に直交する方向の剛性が互いに異なるものとなる。
ここで、ブレード1及びブレード保持板2をブレードホルダ3,4に固定した状態で、図1(ロ)に示すように、上記ブレード1を版面6に対し或る角度に傾斜配置した状態で、該版面6に対して或る押付力で押し付けるときにブレード1に生じる撓みと、上記ブレード保持板2の剛性との関係について述べる。
上記ブレード1を版面6に対し或る角度に傾斜配置した状態で、該版面6に対して或る押付力で押し付けると、図1(ロ)に示すように、ブレード1が弾性変形し、その先端部が版面6に倣う方向へ撓むようになる。
この際、上記ブレード1では、該ブレード1の先端部におけるブレード保持板2の先端より突出している部分は、ブレード1の剛性のみに依存した撓みを生じる。
一方、上記ブレード1における裏面側にブレード保持板2が配置されている部分については、該ブレード1よりも高い剛性を有する上記ブレード保持板2により裏面側への撓みが抑制されるが、このブレード保持板2によるブレード1の裏面側への撓みの抑制作用は、該ブレード保持板2自体の剛性の影響を受ける。
すなわち、上記ブレード1に生じる撓みの方向に沿う方向であるブレード保持板2の長辺に直交する方向の剛性が低い場合は、上記ブレード1は裏面側に上記ブレード保持板2が配置してある部分でも、裏面側へ撓む変形を生じるようになるため、版面6に対する接触角が小さくなる。
これに対し、上記ブレード保持板2の長辺に直交する方向の剛性が高い場合は、上記ブレード1における裏面側に上記ブレード保持板2が配置してある部分は、ほとんど裏面側へ撓むことができなくなるため、ブレード1の裏面側へ撓む変形を生じる部分が、該ブレード1の先端部におけるブレード保持板2の先端より突出している部分に限定されるようになるため、版面6に対する接触角が大きくなる(なお、図1(ロ)では、図示する便宜上、ブレード保持板2、及び、該ブレード保持板2が裏面側に存在する部分のブレード1の撓みについては、記載を省略してある)。
したがって、上記ブレード保持板2の長辺と直交する方向の剛性の高低が、上記ブレード1のブレードホルダ3,4の先端より突出する部分全体の見かけ上の剛性の高低に相関するようになる。
以上の点に鑑みて、上記構成としてある本発明のブレード剛性調整装置を使用する場合は、用意してある繊維配向方向が異なるFRP製の複数のブレード保持板2のうち、上述した如きブレード1の見かけ上の剛性が、印刷装置の目的とするインキング動作時にブレード1に要求される最適な接触角と押付力を得るための剛性に一致するか又は近くなるようにするために最も適した剛性を有するブレード保持板2を選択して、ブレード1の基端側部分の裏面側に配置し、次いで、上記ブレード1及びブレード保持板2を、上記ブレードホルダ3と4に挟持させて固定するようにする。更に、図示してないが、上記のようにしてブレード1を保持させたブレードホルダ3,4は、印刷装置のインキング装置に取り付けるものとする。
したがって、本発明のブレード剛性調整方法及び装置によれば、ブレード1が版面6に対し押し付けられて撓むときの該ブレード1の見かけ上の剛性を、上記ブレード1の裏面側に配置したブレード保持板2の有する上記ブレード1撓み方向に沿う方向の剛性に基づいて調整することができる。
よって、この際、上記ブレード1の材質の変更や、ブレード1自体に対する加工を、不要にすることができる。
このため、印刷装置のインキング装置におけるインクの押し込み動作と、余剰インクの掻き取り動作で、ブレード1に要求される版面6との接触角と版面6に対する押付力が様々に異なる場合であっても、最適な接触角及び押付力を一つのブレード1で実現することが可能になる。
しかも、上記FRP製のブレード保持板2は、材質、寸法、形状を変えることなく繊維の配向方向の変化のみで剛性を変化させることができ、このため、複数のブレード保持板2を大きな一枚のFRP板から切り出すことで製作できるため、複数のブレード保持板2を容易に用意することが可能になる。
次に、図3及び図4(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態を示すもので、以下のようにしてある。
すなわち、本実施の形態のブレード剛性調整装置は、図1(イ)(ロ)及び図2(イ)(ロ)に示したと同様の構成において、ブレード1の裏面側に、該ブレード1よりも高い剛性を有するFRP(繊維強化プラスチック)製の平板状のブレード保持板2を配置する構成に代えて、上記ブレード1の裏面側に、該ブレード1よりも高い剛性を有するFRP(繊維強化プラスチック)製とした八角形状のブレード保持板7を、ブレード1の長手方向に所要間隔で配列した状態で該ブレード1の基端側部分に添わせて配置した構成としたものである。
詳述すると、上記各ブレード保持板7は、たとえば、全面に亘り一定の積層構造で且つ一定の繊維の配向方向を備えた大きなサイズのFRP板より、面内での角度を揃えた状態で複数枚切り出すことにより形成するようにすればよい。この際、たとえば、図4(イ)(ロ)に示すように、八角形状の4組の対辺のうち、2組の対辺に沿う方向の繊維配向方向を備えたブレード保持板7を形成するようにすればよい。
上記各ブレード保持板7は、その中心部にピン挿通孔8を穿設した構成としてあり、上記一対のブレードホルダ3,4のうちのブレード1の裏面側に配されるブレードホルダ4における先端部内面の対応する個所にそれぞれ設けた回転中心ピン9に、上記各ブレード保持板7のピン挿通孔8をそれぞれ回転自在に嵌合させる。
なお、上記ブレード1における上記ブレードホルダ4の各回転中心ピン9の設置個所と対応する個所には、該各回転中心ピン9との干渉を防止するための孔10が設けてある。 又、上記ブレードホルダ3における上記ブレードホルダ4の各回転中心ピン9の設置個所と対応する個所には、該各回転中心ピン9の先端部を受け入れるための凹部11が設けてある。
以上の構成としてある本実施の形態のブレード剛性調整装置を用いる場合は、各ブレード保持板7を、図4(イ)に示すように、繊維配向方向が該各ブレード保持板7におけるブレード1先端寄りの端辺に対して平行な方向と垂直な方向に配置される状態、又は、この状態から各ブレード保持板7を45度回転させて、図4(ロ)に示すように、繊維配向方向が該各ブレード保持板7におけるブレード1先端寄りの端辺に対して±45度ずつずれた方向に配置される状態とした後、上記ブレード1及びブレード保持板2を、上記ブレードホルダ3と4に挟持させて固定するようにする。
これにより、上記図4(イ)と図4(ロ)の状態では、各ブレード保持板7の繊維配向方向の相違に応じて、該各ブレード保持板7のブレード1の先端と基端方向に沿う方向の剛性が変化させることができるため、ブレード1が版面6(図1(ロ)参照)に対し押し付けられて撓むときの該ブレード1の見かけ上の剛性を調整することができる。
よって、本実施の形態によっても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記図3及び図4(イ)(ロ)の実施の形態では、FRP製の各ブレード保持板7を八角形状として示したが、図5(イ)(ロ)に示すように、中心角135度で屈曲する略くの字形状として、繊維配向方向が、一方の端辺に対して平行な方向と垂直な方向に配置されたブレード保持板12としてもよい。
かかる構成としてあるブレード保持板12によれば、図5(イ)に示すように、繊維配向方向が該各ブレード保持板12におけるブレード1先端寄りとなる端辺に対して平行な方向と垂直な方向に配置される状態、又は、この状態から各ブレード保持板12を図上反時計周り方向へ135度回転させて、図5(ロ)に示すように、繊維配向方向が該各ブレード保持板12におけるブレード1先端寄りの端辺に対して±45度ずつずれた方向に配置される状態を切り替えることで、図3及び図4(イ)(ロ)の実施の形態と同様の効果を得ることができ、更に、各ブレード保持板12のブレード1先端寄りとなる端辺を、ブレード1の長手方向により密に配置することが可能になる。
更には、図6に示すように、円形のブレード保持板13としてもよい。
上記円形のブレード保持板13によれば、各ブレード保持板13を、隣接するブレード保持板13同士で互いに干渉することなく角度変更できるため、繊維配向方向を変えるためのブレード保持板13の角度変更に要する手間を削減できる。又、各ブレード保持板13を回転させて繊維配向方向を連続的に変化させることができるため、該各ブレード保持板13のブレード1の先端と基端方向に沿う方向の剛性を連続的に変化させることが可能になる。
図5(イ)(ロ)及び図6において、図4(イ)(ロ)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図1(イ)(ロ)及び図2の実施の形態では、繊維配向方向の異なるFRP製のブレード保持板を3枚以上用意して、適宜選択できるようにしてもよい。
又、ブレード1の表面側に、該ブレード1よりも高い剛性を有するFRPブレード保持板を配置する構成としてもよい。このようにすればブレード1が版面6(図1(ロ)参照)に押し付けられて撓むときに、該ブレード1に生じる裏面側のブレード保持板2より離反する方向へ膨らむ変形を、上記ブレード1の表面側に配置したブレード保持板により制限できるようになる。よって、このブレード1の表面側に配置するブレード保持板についても、その繊維配向方向を変化させて剛性を変化させるようにすることで、上記ブレード1の見かけ上の剛性を更に変化させることが可能になる効果が期待できる。
本発明のブレード剛性調整方法及び装置は、ブレードホルダ3,4によってブレード1を保持させる形式を備えていれば、印刷装置におけるドクターブレード、スキージブレード等、いかなる形式のブレード1を保持する部分に適用してもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 ブレード
2 ブレード保持板
3 ブレードホルダ
4 ブレードホルダ
7 ブレード保持板
12 ブレード保持板
13 ブレード保持板
2 ブレード保持板
3 ブレードホルダ
4 ブレードホルダ
7 ブレード保持板
12 ブレード保持板
13 ブレード保持板
Claims (5)
- ブレードの基端側部分の裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにすることを特徴とするブレード剛性調整方法。
- ブレードの基端側部分の表面側と裏面側に、ブレードよりも高い剛性を有するFRP製のブレード保持板を配置して、該ブレード及び各ブレード保持板の基端寄り部分を、ブレードホルダにより挟持して固定するときに、上記各FRP製のブレード保持板における繊維配向方向を変えて、該各ブレード保持板におけるブレードの先端と基端の方向の剛性を変化させるようにすることを特徴とするブレード剛性調整方法。
- ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に選択配置するための繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有することを特徴とするブレード剛性調整装置。
- ブレードの基端側部分の表面側に選択配置するための繊維配向方向が異なる複数のFRP製のブレード保持板を備えるようにした請求項3記載のブレード剛性調整装置。
- ブレードと、ブレードよりも高い剛性を有するものとして上記ブレードの基端側部分の裏面側に角度変更可能に配置したFRP製のブレード保持板と、ブレード及びブレード保持板の基端寄り部分を挟持して固定するためのブレードホルダとからなる構成を有することを特徴とするブレード剛性調整装置。
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