この発明の一実施形態に係る遊技機用の基板ケースの構成について図1を参照にして説明する。図1は、その内部を表側から見たときのスロットマシンの正面図である。以下の説明において、制御基板の表裏方向をZ軸とし、制御基板の裏面が向いた方向をZ1方向とし、制御基板の表面が向いた方向をZ2方向とした。表裏方向に直交する軸をX軸とし、表裏方向及びX軸に対して直交する軸をY軸とした。また、本実施形態では、Z1方向を遊技機に対し奥の方向とし、X軸を水平軸とし、Y軸を垂直軸とした。なお、X軸及びY軸は、表裏方向に対し直交していれば良く。例えば、X軸を垂直軸とし、Y軸を水平軸としても良い。
図1に示すスロットマシン10は、その外郭をなすボックス形状の機本体11を備えている。この機本体11の開口前面には、各種の遊技用構成部材をセットする前扉12がヒンジ(図示省略)により、X軸方向(水平軸方向)へ横開き状態で開閉可能に組み付けられている。
前扉12の前面略中央部には窓口12aが形成されており、この窓口12aには中央表示パネル13が固着されている。中央表示パネル13の中央には表示窓14が設けられている。この表示窓14を通して、機本体11内に配設された3つの回転リール15が視認可能になっている。
中央表示パネル13の下方には、前扉12の前面側に膨出した膨出部17が形成されている。膨出部17の上面にはコインである遊技媒体を投入するコイン投入口19等が設けられている。また、膨出部17の前面にはスタートレバー18及びストップボタン21が並設されている。
スタートレバー18は、操作位置と原位置との間を揺動可能に構成され、原位置の方向に付勢されている。遊技者がスタートレバー18を付勢力に抗して揺動操作するとオンし、スタートレバー18が付勢力により原位置に戻るとオフするレバースイッチ(図示省略)が設けられている。ストップボタン21は、3つの回転リール15に対応して設けられている。ストップボタン21に対応して押圧スイッチ(図示省略)が設けられている。
(制御基板)
次に、スロットマシン10内部に設けられた制御基板(図示省略)について説明する。制御基板は、レバースイッチがオンすると、3つの回転リール15を一斉に回転させる制御を行う。同時に、制御基板は、遊技における役抽選の処理を実行し、抽選結果をメモリ(図示省略)に記憶する。遊技において、遊技媒体の払い出しが行われる役として、セブン役、バー役、ベル役、プラム役、チェリー役があり、遊技媒体の払い出しが行われない役としてハズレ役がある。
制御基板は、押圧スイッチの操作を検知し、対応する回転リール15の回転を停止する制御を行う。全ての回転リール15が停止して、停止した回転リール15の周面にそれぞれ描かれる3個の図柄が、メモリに記憶された抽選結果に対応する図柄になると、遊技における役が確定する。
制御基板は、遊技における役が確定した場合、その役に応じた枚数の遊技媒体(コイン)を払い出すように図2に示す払出装置25を制御する。コインをスロットマシン内部の払出装置からスロットマシン10外部へ放出するためのコイン払出し口22が前扉12の下端部に開設されている。放出されたコインを貯留するためのコイン受け皿23が前扉12の前面下端部に設けられている。
(スロットマシンの内部構成)
次に、スロットマシン10の内部構成を図2及び図3を参照して説明する。図2は、前扉12を外して、スロットマシン10の内部構成を前から見た正面図、図3は図2のIII−III線断面図である。
制御基板30は、図1に示す回転リール15の回転及び停止制御、遊技における役抽選の処理、遊技媒体の払出制御、その他の遊技機全体を制御するためのCPU、RAM、ROM、乱数発生器などの素子を備えている。これらの素子を図3では、省略して示している。
図3に示す制御基板30は、スロットマシン10の内部にあって、3つの回転リール15の上方に配置されている。制御基板30は、不正な基板との交換、あるいは不正改造などを防止するために、基板ケース40に収容されている。
(基板ケース)
次に、制御基板30及び基板ケース40について、図3〜図12を参照して説明する。図4は図2のIV−IV線断面図、図5は、ベース部材に組み付けられた基板ケースの正面図、図6は、図5のVI−VI線断面図、図7は、基板ケースの斜視図、図8(a)は嵌合する前の嵌合部及び被嵌合部の部分正面図、(b)は嵌合したときの嵌合部及び被嵌合部の部分正面図、(c)は、(a)のVIIIc−VIIIc線断面図、図9(a)は図8(a)のIXa−IXa線断面図、(b)は図8(b)のIXb−IXb線断面図、図10(a)はレバー部の第1段部に嵌った状態を示すトレー部材の他方の端縁部の水平断面図、(b)はレバー部の第2段部に嵌った状態を示すトレー部材の他方の端縁部の水平断面図、図11はレバー部の正面図、図12は、カバー部材の裏面を斜め上方から見た斜視図である。
基板ケース40は、制御基板30の表面(CPUなどの素子が実装される側の面)を覆うように形成されたカバー部材50と、制御基板30の裏面を覆うように形成されたトレー部材60とを備えている。カバー部材50及びトレー部材60を図5及び図6に示す。図6においては、紙面の下方がZ2方向(表方向)に相当し、紙面の上方がZ1方向(裏方向)に相当している。
制御基板30は、基板ケース40ごと機本体11にカシメ固定されている。基板ケース40は、機本体11の後壁11aの内面にベース部材70を介して安定的に固定されている。ベース部材70を介して機本体11に固定された基板ケース40を図3及び図4に示す。基板ケース40は、締めることは可能であるが、緩めることが不可能な戻り止めネジを用いて機本体11に固定されている。制御基板30を基板ケース40ごと機本体11にカシメ固定したことにより、第3者が基板ケース40を破壊しない限り(戻り止めネジは緩めることが不可能なため)、基板ケース40は機本体11から取り外すことが不可能となっている。なお、機本体11への固定は、戻り止めネジに限らず、打ち込み鋲であっても良い。
カバー部材50は、トレー部材60と、制御基板30を内部に収容するように組み合わされている。制御基板30をその周縁部501に固定した状態のカバー部材50を図12に示す。制御基板30の表面には、CPUなどの素子が実装されている。また、制御基板30の表面には全部で6個のコネクタ31が配設されている。カバー部材50の周縁部501には、コネクタ用開口502が形成されている。制御基板30の裏側には回路パターン(接続パターン)が形成されている。
カバー部材50とトレー部材60とは表裏方向で組み合わされている。カバー部材50とトレー部材60とは、制御基板30の表面に実装されたCPUなどの素子、また制御基板30の裏側の回路パターン(接続パターン)などを外部から容易に透過可能なように高い透明性を有するポリカーボネート(Polycarobonate)樹脂により形成されている。カバー部材50は略方形状を成し、一対の対向辺縁部、及び、該対向辺縁部に直交する他の一対の対向辺縁部を有する。同様に、トレー部材60は略方形状を成し、一対の対向辺縁部、及び、該対向辺縁部に直交する他の一対の対向辺縁部を有する。
(カバー部材)
次に、カバー部材50について、図5〜図7を参照して説明する。カバー部材50は箱形状に形成されている。基板ケース40を水平面で破断し、その破断面を上方から見た図6では、箱形状のカバー部材50の開口が上を向いている。カバー部材50は、箱形状では底部に相当する天井部51、周壁、及び、周縁部501を備えている。カバー部材50の天井部51は、制御基板30の表面に接触しないように形成されると共に、制御基板30の表面に実装されたCPU(図示省略)などの素子に接触しないように形成されている。
また、カバー部材50の天井部51には、透視窓511が形成されている。透視窓511は、天井部51を制御基板30のROM(図示省略)の方へ凹入することにより、形成されている。Z1方向に凹入することにより形成された透視窓511を図7に示す。
透視窓511の底部512は、略矩形状の平面で、ROMの表面(上面)とわずかな隙間(1ミリから3ミリ程度の隙間)で向き合うように形成され、ROMの表面に記載された表記部の標記内容が視認し易いように構成され、また、ROMの着脱を制止するように構成されている。
さらに、透視窓511の底部512及び凹壁513には移動制止部514が一体的に形成されている。移動制止部514は、ROMの表面(上面)に沿って延ばされ、ROMの表面との間の隙間を僅少(1ミリ程度)にすることにより、ROMの着脱方向(図3に示すZ軸方向)への移動を規制する着脱制止片515を有している。
また、移動制止部514は、ROMを周りから囲むように6個の脚状部材が延ばされ、上下方向等(図3に示すZ軸方向とは直交する方向)への移動を規制する移動制止片516を有している。
さらに、移動制止部514は、天井部51の切り取り(破壊)を防止、抑制するための補強片517を有している。補強片517の一端部は透視窓511の凹壁513と一体化され、補強片517の他端部は、カバー部材50の周壁の一部と一体化されている。
カバー部材50の周壁は、表裏方向で約31ミリの高さ(天井部51から周縁部501までの高低差)を有する壁であって、上側壁、下側壁53及び両側壁54、55を有している。また、カバー部材50の周縁部501は、カバー部材50の上縁部であり、前記上側壁をZ1方向に延長した側縁部52、カバー部材50の下縁部である側縁部56、及び、両端縁部57、58を有している。カバー部材50の側縁部52、側縁部56、及び、両端縁部57、58は、各フランジ503を有している。各フランジ503は、Z軸方向(表裏方向)に約13ミリ〜約18ミリの長さを有し、Z軸方向(表裏方向)で同じ位置に揃った先端部504を有している。前記X軸に沿うように形成された側縁部52、56が前記一対の対向辺縁部であり、前記Y軸に沿うように形成された両端縁部57、58が前記対向辺縁部に直交する対向辺縁部である。
カバー部材50の側縁部56は、下側壁53の端部から下方向へ延設されている。また、カバー部材50の左側の端縁部57は、側壁54の端部からZ1方向へ延設されている。さらに、カバー部材50の右側の端縁部58は、側壁55の端部からZ1方向へ延設されている。なお、カバー部材50の側縁部52は、前記上側壁の端部からは上方に延設されず、約31ミリの高さを有する上側壁であって、約13ミリの長さを有するフランジ503である。
(トレー部材)
次に、トレー部材60について図5から図7を参照して説明する。トレー部材60は、底の浅い皿形状に形成されている。図6では、トレー部材60の開口が下を向いている。トレー部材60は、底部61及び周縁部62を有している。トレー部材60の周縁部62は、X軸方向に沿うように形成された両側縁部63、64、及び、Y軸方向に沿うように形成された両端縁部65、66を有している。X軸に沿って形成された両側縁部63、64が前記一対の対向辺縁部であり、Y軸に沿って形成された両端縁部65、66が前記対向辺縁部に直交する対向辺縁部である。トレー部材60の周縁部62(両側縁部63、64及び両端縁部65、66)を図7に示す。
トレー部材60は、カバー部材50をZ1方向で嵌め合わせ、次に、カバー部材50をX1方向に相対移動するように構成されている。トレー部材60の両側縁部63、64は、325ミリのX軸方向の全長、及び、約15ミリのZ軸方向の高さを有する壁状に形成され、カバー部材50をZ1方向で嵌め合わせるときに、及び、カバー部材50をX1方向に相対移動するときに、カバー部材50の側縁部52、56を案内する案内溝部630を有している。案内溝部630の詳細については後述する。
トレー部材60の両側縁部63、64には、各3つの被嵌合部637が約142ミリのピッチで設けられている。各被嵌合部637は、約10ミリのX軸方向の辺、及び、約10ミリのZ軸方向の片を有する正方形断面で、両側縁部63、64から外方(Y軸方向)に約4ミリ突設されている。以上のようにトレー部材60に設けられた被嵌合部637とベース部材70に設けられた嵌合部737との関係については、後述する。
(ベース部材)
次に、ベース部材70について図3、図5、及び、図6を参照して説明する。ベース部材70は、ベース面部71を有している。ベース面部71の周縁部は、略矩形状に形成され、X軸に沿うように形成された両側縁部73、74、及び、Y軸に沿うように形成された両端縁部75、76を有している。
ベース面部71の四隅部には円形断面形状の凹部711が形成されている。各凹部711は、ベース面部71の表面からZ1方向に約13ミリの深さを有している。凹部711の底部には、約5ミリの径を有する固定用穴712が形成されている。ネジ713を固定用穴712に通し、機本体11の後壁11aに螺着させることにより、ベース面部71の四隅部を固定する。
ベース部材70の両側縁部73、74には、嵌合部737がそれぞれ設けられている。嵌合部737の詳細、及び、嵌合部737と被嵌合部637、647との関係については、後述する。
(カバー部材とトレー部材の組付け)
次に、カバー部材50をトレー部材60に組み付けるための構成について説明する。その組付構成としては、カバー部材50に設けられる被係合部とトレー部材60に設けられる係合部とを含み、カバー部材50とトレー部材60との組付けが、係合部及び被係合部によって係合又は離脱が可能なように構成されている。
(カバー部材の被係合部)
先ず、カバー部材50に設けられる被係合部について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、カバー部材の裏面を斜め上方から見た斜視図、図13(a)は被係合部に係合する前の係合部を示す図、(b)は(a)のXIIIb−XIIIb線断面図、(c)は被係合部に係合した状態の係合部を示す水平断面図、(d)は(c)のXIIId−XIIId線断面図である。
図12及び図13は、カバー部材50の周縁部が、全部で8つの被係合部を有していることを示している。
4つの被係合部521がカバー部材50の側縁部52の端縁に所定の距離を隔てて設けられている。各被係合部521は、Z軸方向に幅約3ミリで、X軸方向に長さ約15ミリの長片状に形成されている。被係合部521は、略矩形状の溝(X軸方向で約37ミリ溝幅、Z軸方向で約6ミリの奥行き)の溝口を約22ミリ(37ミリ−15ミリ)に狭めている。
また、4つの被係合部561がカバー部材50の側縁部56の端縁に所定の距離を隔てて設けられている。各被係合部561は、Z軸方向に幅約3ミリで、X軸方向に長さ約15ミリの長片状に形成されている。被係合部561は、略矩形状の溝(X軸方向で約37ミリ溝幅、Z軸方向で約6ミリの奥行き)の溝口を約22ミリ(37ミリ−15ミリ)に狭めている。
(トレー部材の係合部)
次に、トレー部材60に設けられる係合部について図13を参照して説明する。
トレー部材60の周縁部62は、全部で8つの係合部を有している。カバー部材50の一対の対向辺縁部の一方である側縁部52を案内するためのトレー部材60の案内溝部630を図13に示す。なお、同様に、前記一対の対向辺縁部の他方である側縁部56を案内するための案内溝部630がトレー部材60に設けられている。各4つずつの係合部631が、トレー部材60の他の一対の対向辺縁部である側縁部63及び側縁部64に設けられている。
各被係合部521に対応して4つの係合部631が設けられたトレー部材60の側縁部63は、約2.5ミリの溝幅をもつ案内溝部630を有している。案内溝部630は、その溝内にカバー部材50の側縁部52を嵌め込むことにより、当該側縁部52をX軸方向及びZ軸方向に案内する。係合部631は、案内溝部630に架け渡されるように形成され、Z軸方向で約2ミリの厚み、X軸方向で約6ミリの長さを有する。
各被係合部561に対応して4つの係合部631が設けられたトレー部材60の側縁部64に設けられている。トレー部材60の側縁部64は、約2.5ミリの溝幅をもつ案内溝部630を有している。案内溝部630は、その溝内にカバー部材50の側縁部56を嵌め込むことにより、当該側縁部56をX軸方向及びZ軸方向に案内する。係合部631は、案内溝部630に架け渡されるように形成され、Z軸方向で約2ミリの厚み、X軸方向で約6ミリの長さを有する。案内溝部630に掛け渡された係合部631を図13(a)から(d)に示す。
各係合部631は、案内溝部630を溝壁とし、案内溝部630の底部を溝底壁633とする係合溝634である。係合溝634は、Y軸方向に約2.5ミリの溝幅、Z軸方向に約3ミリの溝高さの溝口635を有する。
(係合部と被係合部との係合)
次に、係合部631を被係合部521、561に係合するための構成について、図12及び図13を参照して説明する。係合部631を被係合部521に係合するための構成と係合部631を被係合部561に係合するための基本的な構成は同一である。図13においては、係合部631を被係合部521に係合するための構成を代表して示している。
カバー部材50の側縁部52を、案内溝部630に嵌め込み、隣接する係合部631の間に各被係合部521、561を位置させ、カバー部材50の側縁部56を、案内溝部630に嵌め込み、隣接する係合部631の間に各被係合部561を位置させる。隣接する係合部631の間に位置する各被係合部521を図13(a)に示し、カバー部材50をZ1方向に移動させて、案内溝部630に嵌め込まれた被係合部521を図13(b)に示す。
カバー部材50をX1方向に移動させ、被係合部521、561を係合溝634の溝口635に入り込ませる。被係合部521の端部には、被係合部521、561を溝口635に入り易くするためのテーパ部522が形成されている。係合部631が被係合部521、561に係合することにより、カバー部材50がZ2方向(表方向)に離脱不能となる。係合部631に係合された被係合部521を図13(c)及び(d)に示す。カバー部材50をZ2方向に離脱させるためには、カバー部材50をX2方向に移動させればよい。隣接する係合部631の間に各被係合部521、561が位置し、カバー部材50がZ2方向に離脱可能となる。
(基板ケースの組み付け)
次に、基板ケース40をベース部材70に組み付けるための構成について図5及び図7から図9を参照して説明する。
ベース部材70の両側縁部73、74には嵌合部737がそれぞれ設けられている。嵌合部737はほぼ同じ構成をしている。以下、側縁部73に設けられた嵌合部737を代表して説明し、側縁部74に設けられた嵌合部737の説明を省略する。
ベース部材70の側縁部73は、略U字形の断面形状に形成され、内側壁731、及び、外側壁732を有している。内側壁731は、所定の距離を隔てて設けられた4つの嵌合部737を有している。同様に、側縁部74は、4つの嵌合部737を有している。側縁部73、74にそれぞれ設けられた4つの嵌合部737を図8及び図9に示す。
各嵌合部737は、ベース面部71の表面からZ2方向に約15ミリの高さを有している。外側壁732は、内側壁731と同様に、ベース面部71の表面からZ2方向に約15ミリの高さを有すると共に、ベース面部71の表面からZ1方向に約13ミリ(凹部711の窪み量と同じ)だけ延ばされている。嵌合部737は、略L字形状に形成された溝であって、出入れ用溝738及びロック用溝739を有している。出入れ用溝738及びロック用溝739を図9に示す。
出入れ用溝738は、Z1方向に内側壁731の上端から下端(ベース面部71の表面と同じ位置)に渡って切り込まれた溝であって、トレー部材60の被嵌合部637を出し入れするための約11ミリ幅の溝口を有する。
ロック用溝739は、出入れ用溝738の下部に連続して設けられ、X1方向に切り込まれ、約10ミリの溝幅を有し、被嵌合部637が嵌め込まれることにより、トレー部材60(基板ケース40)のZ2方向の直線的な移動を阻止し、基板ケース40をベース部材70に対しZ軸方向で位置決めする。
また、基板ケース40(トレー部材60)をベース部材70の両内側壁731の間に嵌め込むことにより、Y軸方向の基板ケース40(トレー部材60)の移動を阻止する。
なお、被嵌合部637は、カバー部材50の両側縁部52、56に設けても良く、トレー部材60の両側縁部63、64と、カバー部材50の両側縁部52、56との両方に設けても良い。
さらに、トレー部材60の被嵌合部637、647をベース部材70の出入れ用溝738に嵌合させた図9(a)に示す状態から、トレー部材60の被嵌合部637、647をベース部材70のロック用溝739に嵌合させた図9(b)に示す状態では、被嵌合部637、647がロック用溝739の溝壁に当接して、ベース部材70に対する基板ケース40(トレー部材60)のX1方向の移動を阻止する。上記したベース部材70は、トレー部材60を固定するためのものであるが、カバー部材50を固定するためのベース部材70であっても良い。以上、基板ケース40をベース部材70に組み付けるための構成について説明した。
(カシメ機構)
次に、カシメ機構について、図5〜図7、図14、図15、及び、図19を参照して説明する。図14はカバー部材の正面図、図15はトレー部材の正面図、図19(a)はカシメ前のカシメ部材の斜視図、図19(b)はカシメ後のカシメ部材の斜視図である。
カシメ機構は、その使用目的により3種類のカシメ機構を有する。図5に示すように、第1カシメ機構は、カバー部材50の端縁部58の識別マーク『B』で示された位置に設けられている。第2カシメ機構は、端縁部58の他の識別マーク『A』、及び、『F』でそれぞれ示された位置に設けられている。第3カシメ機構は、端縁部57の識別マーク『C』で示された位置に設けられている。各識別マークを、図5及び図7にアルファベットで示す。
ここで、第1カシメ機構及び第3カシメ機構は、カバー部材50とトレー部材60とが係合状態であり、かつ、さらに、図9(b)に示すようにトレー部材60とベース部材70とが係合状態(以下、単に「3組の係合状態」という。)であるときに、基板ケース40とベース部材70とをカシメるためのカシメ機構である。また、第2カシメ機構は、図13(c)に示すように、カバー部材50とトレー部材60とが係合状態(以下、単に「2組の係合状態」という。)であるときに、カバー部材50とトレー部材60をカシメるための機構である。
以下の説明において、「カシメ機構」というときは、カシメられる相手の部材を含む場合がある。また、「カシメ状態」というときは、第1カシメ機構〜第3カシメ機構のいずれかにより前記相手の部材をカシメた状態をいう。
第1カシメ機構〜第3カシメ機構は、相手の部材を重ね合わせてカシメるものである。ここで、「重ね合わせ」とは、「カシメができるように互いに関連を有する位置に合わせ」の意味である。また、「各相手の部材を重ね合わせ」とは、次の3種類の態様を含む。第1の態様は、各相手の部材を互いに重ね合わせる態様である。第2の態様は、互いに重ね合わせた各相手の部材をさらに他の部材(例えば、ベース部材70又はサブベース部材78)と重ね合わせる態様である。第3の態様は、各相手の部材の一方を他の部材と重ね合わせると共に、各相手の部材の他方を前記他の部材と重ね合わせる態様である。
なお、カシメ機構としては、上記3つの態様のいずれか一つにより、各相手の部材をカシメるものであれば良いが、本実施形態では、第1カシメ機構は、上記第3の態様で各相手の部材をカシメる。第2カシメ機構は、第1の態様で各相手の部材をカシメる。第3カシメ機構は、第2の態様で各相手の部材をカシメる。
(第1カシメ機構)
次に、第1カシメ機構について説明する。第1カシメ機構は、上記第3の態様で各相手の部材をカシメるカシメ部材80を有する。
先ず、相手の部材について説明し、カシメ部材80の詳細については、後述する。
相手の部材である前記各被カシメ部は、カバー部材50の前記他の一対の辺縁部(端縁部57、58)の少なくとも一方から水平に外方に突出形成された第1被カシメ部581、及び、トレー部材60の前記他の一対の辺縁部(端縁部65、66)の少なくとも一方から水平に外方に突出形成された第2被カシメ部661を有する。
(カバー部材の第1被カシメ部)
先ず、カバー部材50に設けられた第1被カシメ部581について、図5、図7、図14、図15、及び、図23〜図26を参照して説明する。図23は図19bのXXIII−XXIII線断面図、図24は図23cのXXIV−XXIV線断面図、図25は図23cのXXV−XXV線断面図、図26は図23cのXXVI−XXVI線断面図である。
第1被カシメ部581は、カバー部材50の端縁部58の識別マーク『B』で示された位置に設けられている。第1被カシメ部581は、カバー部材50の端縁部58と一体的に、端縁部58から水平に外方(図14に示すX1方向)へ突出形成されている。第1被カシメ部581は、外方に対して基側に設けられた基端部582と、外方に対して先側に設けられた先端部583とを有する。
第1被カシメ部581の基端部582は、板状に形成された第1板状部584を有する。第1板状部584の外周縁部は、ベース部材70の表面に接し又は近接する裏側縁部584a、及び、裏側縁部584aとは反対側の側縁部であって、表方向(Z2方向)に向けられた表側縁部584bを有する。
第1被カシメ部581の先端部583は、前記基端部582と一体的に第1の略溝形断面形状に形成され、第1溝底壁585、及び、X軸方向で互いに対向する第1両側壁586、587を有する。基端部582側の第1側壁586には、第1溝底壁585から下方(Y2方向)に突出した第1被当接部588が設けられている。第1の略溝形断面形状の内部空間を、裏方向(Z1方向)から覆う第1遮蔽部589が設けられている。
(トレー部材の第2被カシメ部)
次に、トレー部材60に設けられた第2被カシメ部661について、図5、図7、図14、図15、及び、図23〜図26を参照して説明する。
第2被カシメ部661は、トレー部材60の端縁部66の識別マーク『B』(図5及び図7に示すアルファベットB)で示された位置に設けられている。
第2被カシメ部661は、トレー部材60の端縁部66と一体的に、端縁部66から水平に外方(図15に示すX1方向)へ突出形成されている。第2被カシメ部材661は、外方に対して基側に設けられた基端部662と、外方に対して先側に設けられた先端部663とを有する。
第2被カシメ部材661の基端部662は、板状に形成された第2板状部664を有する。第2板状部664の外周縁部は、ベース部材70の表面に接し又は近接する裏側縁部664a、及び、裏側縁部664aとは反対側の側縁部であって、表方向(Z2方向)に向けられた表側縁部664bを有する。
第2被カシメ部661の先端部663は、前記基端部662と一体的に第2の略溝形断面形状に形成され、第2溝底壁665、及び、X軸に沿った方向で互いに対向する第2両側壁666、667を有する。基端部662側の第2側壁666には、第2溝底壁665から上方(Y1方向)に突出した第2被当接部668が設けられている。第2の略溝形断面形状の内部空間を、裏方向(Z1方向)から覆う第2遮蔽部669が設けられている。以上に、カバー部材50に設けられた第1被カシメ部581、及び、トレー部材60に設けられた第2被カシメ部661について説明した。
(第1被カシメ部と第2被カシメ部との関係)
次に、第1被カシメ部581と第2被カシメ部661との関係について、図23〜図26を参照して説明する。
図24及び図26に示すように、第1被カシメ部581の基端部582に設けられた第1板状部584及び第2被カシメ部661の基板部662に設けられた第2板状部664
は、前記3組の係合状態のとき互いに重なるように形成されている。
また、第1溝底壁585、及び、第1両側壁586、587により構成された第1の溝形断面形状と、第2溝底壁665、及び、第2両側壁666、667により構成された第2の溝形断面形状とは、溝口同士を対向させるように形成されている。それにより、基端部582側の第1側壁586と、基端部662側の第2側壁666とが、互いに接し又は近接してY軸に沿った方向で対向する。また、第1の溝形断面形状の内部空間をZ1方向から覆う前記第1遮蔽部589と、第2の溝形断面形状の内部空間をZ1方向から覆う前記第2遮蔽部669とが、互いに接し又は近接してY軸に沿った方向で対向する。さらに、基端部582側とは反対側の第1側壁587と、基端部662側とは反対側の第2側壁667とは、所定の隙間である挿入溝S1を間にして、Y軸に沿った方向で対向する。
以上の第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各形状及び位置関係によると、第1の溝形断面形状の内部空間及び第2の溝形断面形状の内部空間から成る収容空間100は、第1側壁586及び第2側壁666によりX1方向から覆われ、また、第1側壁587及び第2側壁667によりX2方向から覆われ、さらに、第1溝底壁585によりY2方向から覆われ、さらに、第2溝底壁665によりY1方向から覆われ、さらに、第1遮蔽部589及び第2遮蔽部669によりZ1方向から覆われる。
また、上記の第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各形状及び位置関係によるものではないが、上記収容空間100はベース部材70によりZ2方向から覆われる。以上の結果、上記収容空間100は、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及び、Z2の全方向から覆われることとなる。それにより、上記収容空間100内に収容されたカシメ部材80に対する外部からの不正なアクセスを防止することが可能となる。
(サブベース部材)
次に、サブベース部材78について、図3、図5、図6、及び、図16から図18を参照して説明する。図16はベース部材70及びサブベース部材78の分解斜視図、図17はサブベース部材78を組み付けたベース部材70の正面図、図18はサブベース部材78の説明図である。
サブベース部材78が、ベース部材70の端縁部76に形成されたベース側突片761に表側から重なるように設けられている。サブベース部材78には、保護用部材79が設けられている。なお、ベース部材70とサブベース部材78とは互いに表裏方向から重なるように設けられていれば良い。また、保護用部材79は、サブベース部材78に限らず、例えば、ベース部材70又はその他の部材に設けられていても良い。
保護用部材79は、前記3組の係合状態において、カシメ部材80、第1被カシメ部581、及び、第2被カシメ部661を外部から覆うように形成されている。ここで、「外部」とは、前記3組の係合状態において、上記カシメ部材80等に対し不正なアクセスがある場合に、その不正なアクセスの方向の全部を含む。また、保護用部材79により外部から覆われる「カシメ部材80、第1被カシメ部581、及び、第2被カシメ部661」は、少なくとも、前記3組の係合状態において、不正なアクセスの対象となる部材の部分であり、カシメ部材80、第1被カシメ部581、及び、第2被カシメ部661の各全部であっても良く、カシメ部材80、並びに、カシメ部材80にカシメられる第1被カシメ部581、及び、第2被カシメ部661の各部分であっても良い。
(保護用部材の一例)
保護用部材79の一例について、図16〜図18及び図23〜図26を参照して説明する。なお、一例として挙げた保護用部材79以外の部材であっても、上記カシメ部材80等に対し、不正なアクセスを防止し得る部材である場合に、当該部材は、保護用部材に含まれる。
保護用部材79は、カシメ部材80、第1被カシメ部581、及び、第2被カシメ部661のうち外周を構成する外面の全部を外部から覆うように形成されている。ここで、「外面の全部」とは、不正なアクセスの方向に対し外面となり得る面の全部をいう。また、「外周を構成する外面」とは、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661により形成された上記収容空間100に第1矢片815、第2矢片825が収容される場合、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各部材であって、かつ、各部材のうち外周を構成する外面の全部となり、上記収容空間100に収容される第1矢片815、第2矢片825は除かれる。
保護用部材79は、裏方向(Z1方向)に開口791を向けた略コ字状断面形状の嵌合用溝792を有している。また、保護用部材79は、保護用部材79の内部を内方(X2方向)から覆うための立壁部793を有する。立壁部793は、約13ミリのY軸方向の幅、約16ミリのZ軸方向の高さを有する。立壁部793には、保護用部材79の外部から内方(X2方向)に保護用部材79の内部へ通す連通穴794を有する。
保護用部材79において、立壁部793が設けられた一方側とはX軸上で反対の他方側には出入口が形成されている。当該出入口は、前記2組の係合状態から前記3組の係合状態にするときに、又は、前記3組の係合状態から前記2組の係合状態にするときに、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663を嵌合用溝792に外方(X1方向)から嵌合させるときの出入口である。
前記3組の係合状態において、前記嵌合用溝792には、第1被カシメ部581の第1溝底壁585、第1側壁587、及び、第1遮蔽部589、並びに、第2被カシメ部661の第2溝底壁665、第2側壁667、及び、第2遮蔽部669が嵌め込まれている。前記出入口と反対側に形成された前記立壁部793に第1側壁587及び第2側壁667が接し又は近接している。
また、前記3組の係合状態において、前記嵌合用溝792の溝周縁部には、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の第1被当接部588及び第2被当接部668が当接していて、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663のそれ以上の嵌め込みを制限する。さらに、嵌合用溝792の前記出入口は、第1側壁586及び第2側壁666により外方(X1方向)から塞がれている。第1側壁586と第2側壁666との間の隙間を通して嵌合用溝792の内部に不正なアクセスがされないよう、前記隙間は、工具(例えば、カッターやニッパー)が入らない大きさに設定されている。
保護用部材79は、第1溝底壁585に沿って形成され、第1溝底壁585をY1方向から覆う第1保護側壁795と、第2溝底壁665に沿って形成され、第2溝底壁665をY2方向から覆う第2保護側壁796と、第1遮蔽部589及び第2遮蔽部669に沿って形成され、第1遮蔽部589及び第2遮蔽部669をZ1方向から覆う保護天井壁799とを有する。前述したように、嵌合用溝792の出入口が前記第1側壁586及び第2側壁666により外方(X1方向)から塞がれているので、第1側壁586と第2側壁666との間の隙間を通した嵌合用溝792の内部への不正なアクセスを防止するために、第1側壁586のY2方向への移動を制限し、かつ、第2側壁666のY1方向への移動を制限して、第1側壁586と第2側壁666との間の隙間が広がらないように、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663と前記嵌合用溝792との両者の嵌め合い公差を小さくしている。
保護用部材79の立壁部793に設けられた前記連通穴794は、前記第1被カシメ部581の第1側壁587と、第2被カシメ部661の第2側壁667との間に設けられた所定隙間である前記挿入溝S1に対応して設けられている。挿入溝S1は、約6ミリのY軸方向の幅を有している。これに対し、連通穴794は、約7.5ミリのZ軸方向の大きさ、約6ミリのY軸方向の大きさを有している。さらに、保護用部材79は、立壁部793の周縁部から外方(X1方向)に張り出して、後記する蓋部材85(カシメ部材80と一体的に形成され、連通穴794を塞ぐ部材)の全周を外部から覆う張出部797を有する。なお、蓋部材85の裏側辺縁851を覆う張出部797は、サブベース部材78の表面部の一部となっている。また、蓋部材85と張出部797との形状関係及び位置関係は後述する。
保護用部材79の嵌合用溝792の開口791は、ベース部材70の一部によってZ2方向から塞がれる。この場合、ベース部材70の一部が保護用部材となっている。ベース部材70は、保護用部材79が設けられた位置に対応した領域にリブ部798を有する。ここで、「対応した領域」とは、表裏方向(Z軸方向)で対応した領域をいい、少なくとも開口791が開設された位置に対応した領域を含む。開口791が開設された位置に対応したベース部材70の領域には、2本のリブ部798が裏方向(Z1方向)に突設されている。それにより、ベース部材70の当該領域を破損させ難くし、開口791への不正なアクセスを防止することが可能となる。なお、リブ部798は、ベース部材70の表方向(Z2方向)に突設されていても良い。
以上のように、略コ字状断面形状に形成され、立壁部793を有する保護用部材79、保護用部材79の前記出入口を塞ぐ第1側壁586及び第2側壁666、立壁部793の連通穴794を塞ぐ蓋部材85、及び、保護用部材79の開口791を覆うベース部材70の一部により、嵌合用溝792に嵌め込まれた第1被カシメ部581の第1側壁587と第2被カシメ部661の第2側壁667とを立壁部793と共にそれぞれカシメるカシメ部材80を、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及び、Z2の外部から覆うため、カシメ部材80への不正なアクセスをし難い構造となる。さらに、第1側壁586と第2側壁666との間の隙間を広がらないようにした構造、蓋部材85の全周を外部から覆う張出部797、及び、ベース部材に設けられたリブ部798により、カシメ部材80への不正なアクセスをさらにし難い構造としている。
第1カシメ機構の前記カシメ状態において、嵌合用溝792には、カシメ部材80が、連通穴794及び挿入溝S1を通って、入り込んでいて、立壁部793は、第1側壁587と共に第1カシメ部材81によりカシメられ、かつ、第2側壁667と共に第2カシメ部材82によりカシメられている。
(カシメ部材)
次に、カシメ部材80について、図19〜図26を参照して説明する。図20(a)は切断された連結部材の斜視図、図20(b)は切断された被カシメ部の斜視図、図21(a)は分離した状態のキャップ部材の斜視図、図21(b)は切断した状態のICタグの斜視図、図22(a)はカシメ部材等の斜視図、図22(b)は(a)のB矢視図である。
以上述べたように、本実施形態に係るカシメ部材80は、内方(X2方向)から、第1被カシメ部581の先端部583(第1側壁587)を保護用部材79の立壁部793と共にカシメ、さらに、第2被カシメ部661の先端部663(第2側壁667)を立壁部793と共にカシメる。本実施形態に係るカシメ部材80は前述した第3の態様でカシメる。しかし、前記したように、第1の態様又は第2の態様でカシメるようにしても良い。また、本実施形態に係るカシメ部材80はベース部材70と共にカシメるようにすれば良い。ここで、「ベース部材70と共に」とは、「ベース部材70及びベース部材に固定される他の部材(例えば、サブベース部材78)うちの少なくとも一つの部材と共に」の意味である。
また、本実施形態に係るカシメ部材80は、内方(X2方向)からカシメる。前記外方(X1方向)に向かって突出形成された第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663に対し、内方(X2方向)からカシメることで、カシメ部材80が、基板ケース40の外形形状を構成する形となる。それにより、基板ケース40の不正開封時においてカシメ部材80等に対する破損等があれば、基板ケース40の外形形状が大きく変化することから、カシメ状態を容易に確認することが可能となる。
カシメ部材80は、弾性を有する樹脂材により一体的に形成された第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82を有する。第1カシメ部材81が第1被カシメ部581の先端部583(第1側壁587)を、サブベース部材78の立壁部793と共にカシメる。また、第2カシメ部材82が第2被カシメ部661の先端部663(第2側壁667)を、サブベース部材78の立壁部793と共にカシメる。上記したように、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663が保護用部材79の嵌合用溝792内に収容され、さらに、それらをカシメる第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82が、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663により形成された上記収容空間100内に収容されている(図23参照)。
(第1カシメ部材、第2カシメ部材)
次に、第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82の詳細について説明する。
第1カシメ部材81は、第1の略矢印断面形状に形成され、先頭部814から後方へX軸に沿った方向に対し斜めの方向に延ばされた第1矢片815を有する。第1矢片815は、約1ミリの板厚、約4ミリのZ軸方向の幅、約5ミリの前記斜め方向の長さを有する。
第2カシメ部材82は、第2の略矢印断面形状に形成され、先頭部824から後方へX軸に沿った方向に対し第1矢片815と反対の斜めの方向に延ばされた第2矢片825を有する。第2矢片825は、約1ミリの板厚、約4ミリのZ軸方向の幅、約5ミリの前記斜め方向の長さを有する。
第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82の各先頭部814、824同士は、連結され、同一箇所で結合されている。X軸線対称に形成されたカシメる相手(第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663)に対応して、第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82がX軸線対称に形成されている。それによれば、X軸線で非対称に形成されたカシメる相手に対し、第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82が非対称に形成される。
カシメ部材80の先頭部814、824を先行させて、連通穴794及び挿入溝S1に通すとき、前記第1カシメ部材81の第1矢片815及び第2被カシメ部661の第2矢片825が、その復元力に抗して狭まる。連通穴794及び挿入溝S1を通った後に、その復元力により広がって、前記第1カシメ部材81の第1矢片815が、第1被カシメ部581の第1側壁587を立壁部793と共にカシメ、また、第2被カシメ部661の第2矢片825が、第2被カシメ部661の第2側壁667を立壁部793と共にカシメる。
(被覆部材)
次に、被覆部材84について、図22から図26を参照して説明する。なお、被覆部材84の説明においては、前記3組の係合状態を想定して、被覆部材84の説明をする。
被覆部材84は、樹脂成形により、連結部材83を介してカシメ部材80と一体的に形成されている。被覆部材84は、前記3組の係合状態では、互いに重なるように形成された前記第1被カシメ部581及び前記第2被カシメ部661の各基端部582、662を外部から覆うように形成されている。ここで、「被覆部材84により外部から覆われる各基端部582、662」は、各基端部582、662のうち外周を構成する外面である。
本実施形態で、基端部582のうち外周を構成する外面は、第1板状部584の裏側縁部584a、表側縁部584b、及び、Y2方向に向けられた板面部584cである。また、基端部662のうち外周を構成する外面は、第2板状部664の裏側縁部664a、表側縁部664b、及び、Y1方向に向けられた板面部664cである。
上記裏側縁部584a〜板面部664cのうち、「被覆部材84」により外部から覆われる外面は、表側縁部584b、664b、及び、板面部584c、664cである。また、「サブベース部材78」により外部から覆われる外面は、裏側縁部584a、664aである。したがって、「被覆部材84」及び「サブベース部材78」により、基端部662のうち外周を構成する外面の全部が外部から覆われることとなる。
被覆部材84は、裏方向(Z1方向)に開口を向けた略コ字状断面形状に形成され、両被覆側壁841、842、及び、被覆天井壁843を有する。両被覆側壁841、842が前記板面部584c、664cを外部から覆い、被覆天井壁843が表側縁部584b、664bを外部から覆う。すなわち、被覆部材84は、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662のうち外周を構成する外面を外部から覆う。
(連結部材)
次に、連結部材83について、図22から図26を参照して説明する。なお、連結部材83の説明において、前記3組の係合状態を想定して、連結部材83の説明をする。ここで、「連結部材」とは、カシメ部材80と前記被覆部材84との間の連結部分の全部又は一部をいう。
連結部材83は、被覆部材84による被覆の解除と、カシメ部材80によるカシメの解除との両方の解除をするために切断可能に形成されている。「両方の解除をするために切断可能」とは、「直接的又は間接的に両方の解除をするために切断可能」をいい、連結部材83を切断した場合に、被覆部材84による被覆の解除が可能となり、被覆部材84による被覆の解除をした後に、カシメ部材によるカシメの解除が可能となる場合を含む。
連結部材83は、X2方向に開口を向けた略コ字状断面形の枠体に形成され、両側枠部831、832と、両側枠部831、832同士を連結した中間部枠833とを有する。
両側枠部831、832は、枠体の両側部を構成し、カバー部材50の一端縁部58側の位置に設けられたその一端部から、前記第1被カシメ部581の第1溝底壁585及び前記第2被カシメ部661の第2溝底壁665の各外面に沿って、前記一端部とは反対側の位置に設けられた他端部まで延ばされるようにそれぞれ形成されている。
前述したように、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663を前記保護用部材79の嵌合用溝792に嵌め込むように構成されている関係で、両側枠部831、832が保護用部材79に対して外部から嵌め込まれるように構成され、両側枠部831、832が第1保護側壁795及び第2保護側壁796に沿ってそれぞれ形成されている(図25参照)。
中間部枠833は、枠体の中間部を構成し、蓋部材85より外方(X1方向)の位置に設けられ、Y軸に沿うように形成されている。
前述したように、カシメ部材80の各先頭部814、824は同一箇所で結合されている。その結合された箇所からX軸に沿って外方(X1方向)に延ばされ、軸形状に形成された軸部材86を有している。軸部材86は略板形状に形成され、Y軸方向の長さ約1ミリの板幅、Z軸方向の長さ約4ミリ〜7ミリの板厚、及び、X軸方向の長さ約10ミリの板長を有する。軸部材86の板幅は、基板側(先頭部814、824側)が4ミリと狭く、軸部材86の先端側が7ミリと広くなっている。先端側の板幅7ミリは、連通穴794のZ軸方向の長さ7.5ミリに相当していて、軸部材86の先端側を連通穴794に通したとき、各先頭部814、824側をガタつかせないようになっている。
連結部材83において、切断可能な部分は、前記中間部枠833から内方(X2方向)に突設された連結突片834の突端835に設けられている。連結突片834は、略T字状断面形の横断面を有し、X−Zの平面の板面を有する板状部は、約1ミリのY軸方向の板厚、約6ミリのZ軸方向の板幅、約10ミリのX軸方向の板長を有する。X−Y平面の板面を有する板状部は、約1ミリのX軸方向の板厚、約5ミリ〜約8ミリのY軸方向の板幅、約10ミリのX軸方向の板長を有する。約5ミリの板幅を有する板状部が、切断可能な部分である連結突片834の突端835となっている。
前記軸部材86が延ばされた先の先端と、連結突片834の突端835との間には、蓋部材85が設けられている。蓋部材85は、約12ミリのY軸方向の幅、約15.5ミリのZ軸方向の高さを有する。前記した約13ミリのY軸方向の幅、約16ミリのZ軸方向の高さを有する立壁部793の周縁部には、外方(X1方向)に突設した張出部797が設けられている。立壁部793の周縁部に張出部797を設けることによって、立壁部793には、約13ミリのY軸方向の幅、約16ミリのZ軸方向の高さ、約4ミリのX軸方向の深さを有する収容部が形成される。カシメ部材80によるカシメ時において、立壁部793に接し又は近接した蓋部材85は、前記収容部に嵌め込まれる。それにより、蓋部材85の全周が張出部797により外部から覆われる。
また、両側枠部831、832の各一端部には、前記被覆部材84が連結されている。以上の構成によれば、連結突片834の突端835と両側枠部831、832の一端部との間の連結部分が連結部材83となっている。
第1カシメ機構のカシメ状態において、被覆部材84は、連結部材83を介してカシメ部材80に連結されているため、カシメ部材80からの拘束を受けて、所定位置から移動不能となり、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662のうち外周を構成する外面を外部から覆う状態に維持される。
第1カシメ機構のカシメ状態において、連結部材83(切断可能な部位である連結突片834の突端835)を切断した場合、被覆部材84は、カシメ部材80からの拘束が解除され、所定位置から移動可能となり、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662のうち外周を構成する外面が外部に露出する(被覆部材84による被覆の解除)。
なお、カシメ状態において、連結突片834の突端835を切断した場合であっても、蓋部材85は、カシメ部材80からの拘束を受けたままであるため、張出部797により囲まれた収容部に嵌め込まれた状態をあって、連通穴794を外部から覆った状態に維持される。したがって、カシメ部材80が保護用部材79に外部から覆われた状態に維持され、カシメ部材80に対し、外部からのアクセスが困難な状態のままである。一方で、前述したように、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662のうち外周を構成する外面が外部に露出する(被覆部材84による被覆の解除がされる)ため、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662(第1板状部584、第2板状部664)を切除することで、第1カシメ機構のカシメ状態を解除することが可能となる(カシメ部材80によるカシメの解除)。以上により、カシメ部材80と基板ケース40(カバー部材50及びトレー部材60)との一方の部材に対し傷を付けずに、他方の部材を切除することは困難な構造であるため、両方の部材に切断痕が残ることとなる。
(遮蔽部材)
次に、遮蔽部材87について、図19、図23、及び、図24を参照して説明する。遮蔽部材87は、第1遮蔽部材871及び第2遮蔽部材872を有する。
第1遮蔽部材871は、カバー部材50又はトレー部材60の少なくも1つに設けられていて、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662を覆う被覆部材84とカバー部材50又はトレー部材60の一方の端縁部58、66との間に形成される隙間S2を塞ぐように形成されている。
被覆部材84と前記一方の端縁部58、66との間に形成される隙間S2とは、第1カシメ機構のカシメ状態を確実にするために、カシメる相手である第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663に対して予め設定されたカシメ部材の遊びに起因し、被覆部材84が前記一方の端縁部58、66に対して前記遊び分だけ外方(X1方向)に相対移動することにより生じる隙間を含む。
「遊び分」とは、カシメ状態において、第1矢片815と第1側壁587とのX軸方向の隙間、又は、第2矢片825と第2側壁667とのX軸方向の隙間の少ない方の量に、蓋部材85と立壁部793との間のX軸方向の隙間の量を加算したものである。
「隙間S2を塞ぐ」とは、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661が突出形成される方向である外方(X1方向)に対し直交する方向で第1遮蔽部材871と被覆部材84とが相互に重なり合うことで、隙間S2を塞ぐことをいう。
第1遮蔽部材871は、カシメ状態において、被覆部材84と第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662との間に位置して、Z1方向から隙間S2を塞ぐ(図23c及び図24参照)。
第1遮蔽部材871は、第1板状部584及び第2板状部664の各表側縁部584b、664bをZ1方向から覆うように、カバー部材50又はトレー部材60の一方の端縁部58、66から外方(X1方向)に突設されている。カバー部材50の一方の端縁部58から外方に庇形状に突設され、庇形状の下面が第1板状部584の表側縁部584bに連続するように形成された第1遮蔽部材871を図23cに示す。
以上、被覆部材84と前記一方の端縁部58、66との間に形成される隙間S2を塞ぎ、第1板状部584及び第2板状部664の各基端部582、662を外部に露出させなにための第1遮蔽部材871が、カバー部材又はトレー部材60の少なくとも一方に設けられたものを示したが、同じ目的で第2遮蔽部材872をベース部材70に設けても良い。なお、ここで、「ベース部材70」というときは、サブベース部材78を含むものである。第1板状部584及び第2板状部664の各基端部582、662をY軸に沿った方向に対し露出させないように覆うための第2遮蔽部材872がサブベース部材78の表面から突設されている。
第2遮蔽部材872は、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661が突出形成される方向である外方(X1方向)に対し直交する方向で第2遮蔽部材872と被覆部材84とが相互に重なり合うことで、被覆部材84とサブベース部材78の表面との間に形成される隙間をY2方向から塞いでいる。第2遮蔽部材872は、カシメ状態で、被覆部材84の被覆側壁842に沿うように形成されている(図19b、図24参照)。
なお、被覆部材84とサブベース部材78の表面との間に形成される隙間をY1方向から塞ぐ後述するキャップ部材95は、被覆部材を構成している。以上の第1遮蔽部材871、第2遮蔽部材872、及び、キャップ部材95により、第1板状部584及び第2板状部664の各基端部582、662を外部に露出させる可能性のある被覆部材84の周りに形成される隙間の全部を塞ぐことが可能となった。
(第2カシメ機構)
次に、第2カシメ機構について図7、図19、図27及び図28を参照して説明する。図19(a)はカシメ前のカシメ部材の斜視図、図19(b)はカシメ後のカシメ部材の斜視図、図27は図7のXXVII−XXVII線断面図、図28(a)はカシメフックの斜視図、図28(b)は(a)のB矢視図、図28(c)は(a)のC矢視図である。
第2カシメ機構は、前述したように、各相手の部材を互いに重ね合わせる態様である第1の態様で各相手の部材をカシメる。第2カシメ機構は、カシメフック88及び被カシメ部材89を有する。カシメフック88は、第1カシメ機構を構成する第1矢片815、第2矢片825、先頭部824、825、蓋部材85、及び、軸部材86に相当する、フック用第1矢片881、フック用第2矢片882、フック用先頭部884、885、フック用蓋部材886、及び、フック用軸部材887をそれぞれ有している。
トレー部材60の端縁部66には2つの被カシメ部材89が設けられている。一方の被カシメ部材89は、識別マーク『A』(図5及び図7に示すアルファベットA)で示された位置に設けられ、他方の被カシメ部材89は、識別マーク『F』(図5及び図7に示すアルファベットF)で示された位置に設けられている。一方の被カシメ部材89は、カバー部材50とトレー部材60との最初の組立時において使用される。他方の被カシメ部は、制御基板の検査の際に、カバー部材50とトレー部材60との再度組立時において使用される。一方の被カシメ部材89と他方の被カシメ部材89とは同じ構成をしている。以下、一方の被カシメ部材89を代表して説明する。
トレー部材60の端縁部66には、その開口691を外方(X1方向)に向けた収容凹部69が形成されている。被カシメ部材89は、略筒形状に形成され、X2方向から収容凹部69に外嵌して固定される大径筒部891と、開口691より小さな口径に形成され、カシメフック88のフック用先頭部884、885を先頭にして、その復元力に抗して互いの間隔が狭くなったフック用第1矢片881及びフック用第2矢片882を外部からX2方向へ収容凹部69の開口691に通すための小径筒部892とを有する。大径筒部891と小径筒部892との間には、前記収容凹部69に入って、その復元力により互いの間隔が広がったフック用第1矢片881及びフック用第2矢片882に係止する段差部893が形成されている。カバー部材50の端縁部58は、外方(X1方向)へ略筒状に突出形成され、前記2組の係合状態において、小径筒部892に外嵌する外筒部598を有し、外筒部598の筒入口部599の外筒部598の一般口径より広い径に形成され、筒入口部599の周縁部にカシメフック88のフック用蓋部材886が当接する(第2カシメ機構のカシメ状態)。筒入口部599の周縁部外方に張り出したフック用張出部599aが形成されている。
第2カシメ機構のカシメ状態では、カシメフック88により、トレー部材60の収容凹部69に外嵌固定された大径筒部891の段差部893とカバー部材50の筒入口部599の周縁部とがカシメられる。それにより、2組の係合状態にあるカバー部材50とトレー部材60とを相互に離脱させることが不能となる。また、この第2カシメ機構のカシメ状態では、フック用張出部599aにより囲まれた収容部599bに、フック用蓋部材886が収容され、フック用蓋部材886の全周が外部から覆われている。
以上の第2カシメ機構のカシメ状態では、トレー部材60側の収容凹部69にカシメフック88のフック用第1矢片881及びフック用第2矢片882が収納されていて、また、カバー部材50側の収容部599bにより、フック用蓋部材886の全周が外部から覆われているため、カシメフック88を破壊することが困難となる。そのため、外筒部598をカバー部材50から切り離す必要がある。
(第3カシメ機構)
次に、第3カシメ機構について、図5〜図7、図29を参照して説明する。
第3カシメ機構は、カバー部材50の他方の端縁部57に一体的に形成され、カバー側結束穴575を有するカバー側舌状片574と、トレー部材60の他方の端縁部65に一体的に形成され、係合部631が被係合部521に係合した場合に、カバー側舌状片574と表裏方向で重畳する位置に配され、かつ、重畳する位置にカバー側結束穴575と一致するトレー側結束穴655を有するトレー側舌状片651と、表裏方向からカバー側結束穴575、トレー側結束穴655及びベース側結束穴755に通してカバー側舌状片574、トレー側舌状片651及びベース側舌状片751を結束する結束用バンド92とを有している。カバー側舌状片574の先端部をトレー部材60の連通穴652に通すことによりカンヌキ構造となるため、カバー部材50をトレー部材60に対してZ2方向(表方向)へ直線的に離脱させないことができる。カバー側舌状片574の先端部を連通穴652に通したカンヌキ構造を図29に示す。
トレー部材60の他方の端縁部65は壁状に形成されている。壁状に形成されたトレー部材60の他方の端縁部65は、トレー部材60の内部とトレー部材60の外部とに連通する連通穴652を有している。連通穴652は、Y軸方向の幅約12ミリ、Z軸方向の幅約4ミリの矩形状の穴に形成されている。
トレー側舌状片651は、連通穴652の穴周縁653の一部からX2方向に約9ミリ突出するように形成されている。連通穴652の穴周縁653及びトレー側舌状片651が、連通穴652を通るカバー側舌状片574をトレー部材60の外部に案内する。連通穴652の穴周縁653は、壁状の端縁部65からX2方向に約2ミリ突設されている。穴周縁653を設けたことにより、連通穴652の強度を向上させることができる。トレー側舌状片651のX軸方向の全長は、穴周縁653の突設量約2ミリを加算した場合に約11ミリである。トレー側舌状片651は、約11.5ミリのY軸方向の幅、及び、約2ミリのZ軸方向の幅を有している。
カバー側舌状片574は、約13ミリのX軸方向の長さ、約11.5ミリのY軸方向の幅、及び、約4ミリのZ軸方向の幅を有している。
カバー側舌状片574は、トレー部材60をカバー部材50に対しX1方向に相対移動し、係合部631を被係合部521に係合させた場合に、カバー側舌状片574の先端部がトレー部材60の内部から連通穴652を通り抜け、X2方向に突出して、トレー側舌状片651の先端部に重なり合うように形成されている。カバー側結束穴575は、トレー部材60の連通穴652を通り抜けたカバー側舌状片574の先端部に設けられている。
カバー側結束穴575は、連通穴652の穴周縁653からX2方向に約9ミリ突出したカバー側舌状片574の先端部の略中央位置に設けられている。カバー側結束穴575は、X軸方向で約2ミリの幅、及び、Y軸方向で約8ミリの幅を有する。トレー側舌状片651の先端部には、カバー側結束穴575に対応する位置にトレー側結束穴655が設けられている。トレー側結束穴655は、X軸方向で約2ミリの幅、及び、Y軸方向で約8ミリの幅を有する。カバー側結束穴575の周縁の強度及びトレー側結束穴655の周縁の強度を維持しつつ、不必要に外方(X2方向)に突出させないようにし、基板ケース40がX軸方向に大きく拡幅するのを防止するようになっている。
結束用バンド92は、トレー部材60の内部にあって一方の端縁部66に沿うように収納されている。制御基板30の点検作業時に、図7に『F』で示す第2カシメ機構及び第3カシメ機構を共に使用する。第2カシメ機構は、トレー部材60の一方の端縁部66に設けられており、前記したようにトレー部材60は透光性を有するので、端縁部66に沿って設けられた結束用バンド92を容易に視認することができ、第3カシメ機構と結束用バンド92との関連性を認識し易くなる。
結束用バンド92は、約1ミリの厚さ、約5ミリ幅、及び、約115ミリの全長を有している。結束用バンド92の基端部は、結束用バンド92を通すための細長穴を有し、細長穴の内周面には係止溝が設けられ、結束用バンド92の中間部には、長手方向に係止溝にそれぞれ係止する被係止溝が連続して形成されている。
結束用バンド92の収容部93は、トレー部材60の端縁部66に形成されている。収容部93は、約10ミリのX軸方向の幅、約2ミリの壁厚(Y軸方向の厚さ)、及び、約8ミリのZ軸方向の高さを有する保持用壁931を有している。保持用壁931は、端縁部66に沿うように3つ設けられている。保持用壁931のZ軸方向の高さを確保するため、端縁部58が他の周縁部501より約5ミリZ2方向に高くなっている。各保持用壁931は、約1ミリのX軸方向の幅、及び、約5ミリのZ軸方向の深さをもつ保持溝932を有している。各保持溝932に、結束用バンド92が嵌め込まれている。
基板ケース40をベース部材70に拘束するには、図6及び図7に示すように、各穴中心を一致させたカバー側結束穴575、トレー側結束穴655、及び、ベース側結束穴755に結束用バンド92を通すことにより、カバー側舌状片574及びトレー側舌状片651をベース側舌状片751に固定する。結束用バンド92により、基板ケース40をX2方向に移動するのを阻止すると共に、Z2方向に移動するのを阻止する。
(封印機構)
次に、封印機構について、図5〜図7、図21、及び、図29を参照して説明する。図21(a)は分離した状態のキャップ部材の斜視図、(b)は切断した状態のICタグの斜視図、図29は、水平面により破断されたICタグ90及びキャップ部材95の断面図である。
封印機構は、カバー側突片591、トレー側突片671、及び、ICタグ90を有している。カバー側突片591は、カバー部材50の一方の端縁部58からX軸方向に突出するように設けられている。
カバー側突片591は、Z軸方向(表裏方向)に対し直交する平面から構成されるカバー側平面部592を有している。カバー側平面部592は、略矩形状に形成され、X軸方向に約24ミリの幅、Y軸方向に約65ミリの幅を有する。また、トレー側突片671は、トレー部材60の一方の端縁部66からX軸方向に突出するように設けられている。トレー側突片671は、Z軸方向に対し直交する平面から構成されるトレー側平面部672を有している。トレー側平面部672は、略矩形状に形成され、X軸方向に約20ミリの幅、Y軸方向に約65ミリの幅を有している。
係合部631が被係合部521に係合した場合に、トレー側平面部672がカバー側平面部592と滑らかに連なるように形成されている。トレー側平面部672がカバー側平面部592に当接し又はわずかな隙間をもって近接している。ICタグ90は、シート状に形成され、カバー側平面部592とトレー側平面部672との一方から他方に掛け渡すように貼り付けられている。ハッチングを付して表したICタグ90を図21に示す。シート状のICタグ90をカバー側平面部592とトレー側平面部672との表側の面だけに貼り付け、カバー側平面部592とトレー側平面部672との裏側の面に取り回す必要がないので、作業性を容易にすることが可能となる。
ICタグ90を設けたことにより、セキュリティ強化を図ることができる。また、トレー部材60からカバー部材50を外す際には、カバー部材50とトレー部材60とを固定しているネジ部材94を覆っているICタグ90を破る必要がある。したがって、破損されたICタグ90により、基板ケース40の開封の履歴を残すことが可能となる。さらに、ICタグ90を貼り付けるための専用スペースであるカバー側平面部592とトレー側平面部672を、カバー部材50とトレー部材60とに設け、平面状に形成し、ICタグ90をフラットに貼ることができたので、ICタグ90を破損し難くすることが可能となる。
トレー側平面部672は、約2ミリのZ軸方向の板厚を有する。トレー側平面部672のX軸方向に沿うように形成された両側縁部は、Z軸方向(表裏方向)で約5ミリの高さを有するフランジ形状に形成されている。フランジ形状に形成された側縁部は、トレー側平面部672の表側の面よりZ2方向(表方向)に約1ミリだけ高く形成された段部676を有している。
トレー側平面部672の裏側の面は、トレー部材60の一方の端縁部66からX軸方向に約9ミリの位置に円筒部674を有している。円筒部674は、トレー側平面部672の裏側の面からZ1方向に約2.0ミリの高さ、約6ミリの外径、約3ミリの内径を有する。円筒部674の内径部は、貫通穴675になっている。
(カバー側突片等)
次に、カバー側突片591の詳細、及び、カバー側突片591とトレー側突片671との組み付けについて説明する。
延長片593は円筒部595及びリブ595bを有している。円筒部595には、中心軸に沿ってネジ穴595aが形成されている。円筒部595は、約6ミリの外形、及び、延長片593の位置からZ2方向に13ミリの高さを有している。円筒部595から後記する側壁597b及び端壁597dに、リブ595bが延ばされている。リブ595bは、Z2方向に約13ミリの高さを有し、円筒部595を補強している。円筒部595及びリブ595bを図29に示す。
また、ネジ穴595aは、約3ミリの溝径を有している。係合部631が被係合部521に係合した場合に、円筒部595がZ軸方向で円筒部674と重なり、ネジ穴595aが貫通穴675と一致する。ネジ部材94は、貫通穴675を通り、ネジ穴595aに螺合し、カバー側突片591とトレー側突片671とを組み付け、トレー部材60に対しカバー部材50のX2方向(図29において左方向)の移動を阻止する。それにより、ネジ穴595a、貫通穴675、及び、ネジ部材94等は、カシメ機構としての機能を有する。ネジ部材94の頭部は、後記するICタグ90により覆われている。ICタグ90によりネジ部材94の頭部を覆ったので、ネジ部材94の頭部を覆うための部品を別途設ける必要がない。
(カバー側突片、延長片)
次に、カバー側突片591及び延長片593の各形状の詳細について説明する。カバー側突片591は、開口をZ1方向(裏方向)に向けた略直方体の箱形状に形成されている。カバー側突片591は、箱の底面部であるカバー側平面部592を有し、外周壁である、X軸に沿うように形成された側面壁596a、596b、及び、Y軸に沿うように形成された端面壁596c、596dを有している。外周壁を構成する各壁596a〜596cが、サブベース座面部781に当接するように形成されている。
これに対して、延長片593は、開口をZ1方向(裏方向)に向けた略直方体の小箱形状に形成されている。延長片593は、X軸方向に約16ミリの幅、Y軸方向に約33ミリの幅をもつ箱の底面部597aを有し、X軸に沿うように形成された側壁597b、597c、及び、Y軸に沿うように形成された端壁597d、597eから構成された周面壁597を有している。端壁597eは前記端面壁596cの一部を構成している。
以上のように、箱形状に形成された延長片593の開口をZ1方向に向けることにより、周面壁を構成する各壁597c〜597eをサブベース座面部781に当接させ、カバー側突片591及び延長片593をX軸方向に安定的に移動させることが可能となる。
底面部597aは、カバー側平面部592のZ軸方向の位置より約4ミリ低くすることにより、カバー側平面部592がトレー側平面部672と滑らかに連なるように形成されている。
トレー側突片671をトレー部材60の右側の端縁部66に設け、カバー側突片591をカバー部材50の右側の端縁部58に設けた一つの理由は、カバー部材50をトレー部材60に対してX1方向(右方向)に相対移動して、カバー部材50をトレー部材60に組み付ける場合において、カバー部材50の端縁部58とトレー側突片671との間の隙間(延長片673の上部空間)を、トレー側突片671のトレー側平面部672の移動空間に利用し、カバー側突片591及びトレー側突片671の構成を単純化し、また、カバー部材50をトレー部材60に対して右方向に相対移動して、カバー部材50をトレー部材60に組み付ける作業の動作を単純化するためである。
前記したように、カバー部材50をトレー部材60に対してX1方向に相対移動した場合、トレー側突片671のトレー側平面部672が延長片593の上部空間を移動し、カバー側突片591のカバー側平面部592に当接又は接近し、2つの平面部によりICタグ90を貼り付けるためのX−Y平面を形成することが可能となる。
これに対して、仮に、トレー部材60をカバー部材50に対してX1方向(右方向)に相対移動して、トレー部材60をカバー部材50に組み付ける場合において、トレー側突片671をトレー部材60の左側の端縁部66に設け、カバー側突片591をカバー部材50の左側の端縁部58に設けた場合に、カバー側突片591の上方をトレー側突片671を通過させる構成にする必要があり、その構成が複雑となる。トレー側突片671を通過させた後、トレー側突片671のトレー側平面部672とカバー側突片591のカバー側平面部592とで、X−Y平面を形成するため、例えば、カバー部材50とトレー部材60とをZ軸方向(表裏方向)に相対移動させる必要があり、カバー部材50をトレー部材60に組み付ける作業の動作が複雑となり、点検作業等が困難を伴う。
(ICタグ)
次に、ICタグ90及び段部について説明する。トレー側平面部672の周縁部は、トレー側平面部672の位置よりZ2方向(表方向)に約1ミリだけ高く形成された段部676を有している。共に約1ミリの高さを有する前記段部594及び段部676は、カバー側平面部592及びトレー側平面部672に貼り付けられる所定の厚さを有する前記ICタグ90を取り囲むように、かつ、ICタグ90の厚さ分以上高くなるように形成されている。基板ケース40の組付作業や制御基板30の点検作業の際に、段部594及び段部676に遮られて、作業者がICタグ90の周縁を触れることがなく、ICタグ90の剥がれを防止することが可能となる。
(キャップ部材の組付け)
次に、キャップ部材95の組み付けについて、図27、図29及び図30を参照して説明する。カバー部材50の端縁部58には、キャップ部材95のX2方向への抜けを阻止するための係止穴58aが形成されている。
キャップ部材95は、カバー側突片591及びトレー側突片671にX軸方向から嵌め込まれている。キャップ部材95は、箱蓋形状に形成されている。キャップ部材95は、Z軸方向で対面するように形成され天面部951、及び、箱蓋内部を一つの方向を除く三つの方向から覆う周壁部952を有している。周壁部952は、X軸に沿うように形成された一対の側壁部953、954及び、Y軸方向に沿うように形成された端壁部955を有している。
キャップ部材95の天面部951は、カバー部材50の端縁部58に対向した辺縁からX2方向へ矢印形状の係止突起958を有している。係止突起958の基本的な形状は、カシメ部材80の第1矢片815及び第2矢片825と同じであり、約3ミリのZ軸方向の丈を有する点で、約4ミリのZ軸方向の丈を有する第1矢片815及び第2矢片825と異なる。係止突起958がカバー部材50側の係止穴58aに嵌め込まれることで、キャップ部材95のX2方向への抜けが阻止される。
キャップ部材95の端壁部955には、Y軸方向を長手方向、Z軸方向を短手方向とした長穴957が形成されている。端壁部955の壁端部には、X1方向に折曲形成させた先端縁959が設けられている。長穴957のZ1方向側の辺縁と先端縁959とは、連続的に形成されている。
ベース部材70の周縁部72であって、Y軸に沿って形成された両端縁部75、76の一方は、嵌合部737が被嵌合部637に嵌合した場合に、キャップ部材95をZ2方向(表方向)へ直線的に離脱させないようにキャップ部材95に嵌合する嵌合凹部785を有している。キャップ部材95の装着方向は、X2方向であり、カシメ部材80のカシメ方向と同じであり、キャップ部材95の装着作業を容易にすることが可能となる。
(操作用突片)
次に、基板ケース40に対しX2方向に移動するのを阻止するための操作用突片756について、図10及び図11を参照して説明する。
ベース部材70の端縁部75は、X2方向に突出するように形成された操作用突片756を有している。操作用突片756は、X2方向に向かって順番に、可撓性片部757、中間片部758、及び、操作片部759を有している。中間片部758は、可撓性片部757よりZ2方向に約2ミリ高く形成されている。中間片部758の端部(可撓性片部757側の端部)に段部758aが形成されている。操作片部759は、約12ミリのZ軸方向の長さを有し、中間片部758よりZ2方向に約2ミリ高く形成されている。操作片部759の端部(中間片部758側の端部)に段部759aが形成されている。
中間片部758上にあるトレー部材60の端縁部65を図10に示す。図10において、中間片部758は、トレー部材60の端縁部65をZ2方向に約2ミリ高くし、トレー部材60全体をベース部材70のベース面部71からZ2方向に約2ミリ浮かせるため、被嵌合部637を嵌合部737の出入れ用溝738の下端まで嵌め込ませず、嵌合部737がロック用溝739への進入するのを阻止する。組付作業中に、被嵌合部637が不用意にロック用溝739に進入せず、作業者は各段階を確認しながら、次の段階に移ることができ、誤作業を防止することができる。
トレー部材60の端縁部65が、中間片部758から可撓性片部757に落とし込まれた場合、トレー部材60の端縁部65をZ1方向に約2ミリ下げ、トレー部材60全体をベース部材70のベース面部71の方向(Z1方向)に約2ミリ下げたため、被嵌合部637がロック用溝739へ進入するのを許容する。組付作業中に、作業者は可撓性片部757を撓ませることで、被嵌合部637をロック用溝739に進入させる次の段階に移ることができ、誤作業を防止することができる。また、トレー部材60の端縁部65が段部758aに当接することにより、被嵌合部637のロック用溝739からの退出を阻止し、基板ケース40(トレー部材60)のX2方向への移動を阻止する。可撓性片部757上にあるトレー部材60の端縁部65を図11に示す。
基板ケース40(トレー部材60)をX2方向へ移動するためには、操作片部759をZ1方向に下げ、トレー部材60の端縁部65を段部758aから外し、被嵌合部637のロック用溝739からの退出を許容し、基板ケース40(トレー部材60)をX2方向への移動可能とする。
(基板ケースの組み付け作業)
次に、基板ケース40を機本体11に組み付ける作業、及び、制御基板を点検する作業について説明する。
(カバー部材とトレー部材との組み付け作業)
先ず、カバー部材50とトレー部材60とを組み付ける作業について説明する。
カバー部材50をトレー部材60に対してZ1方向に相対移動させて、カバー部材50の側縁部52、56をトレー部材60の案内溝部630に嵌め込むと共に、隣接する係合部631の間に被係合部521、561を入れる(図13(a)に示す状態)。案内溝部630により、カバー部材50をトレー部材60に対してX1方向に案内することが可能となる。
次に、カバー部材50をトレー部材60に対してX1方向に相対移動させて、被係合部521、561を係合部631に係合させる(図13(c)に示す2組の係合状態)。それにより、カバー部材50をトレー部材60に対してZ2方向に直線的に移動させることが阻止される。
(第2カシメ機構『A』の使用)
次に、図7に『A』で示す第2カシメ機構を使用する。上記2組の係合状態において、小径筒部892に対し、外部からX2方向へカシメフック88をフック用先頭部884、885を先頭にして差し込むと、復元力に抗して互いの間隔が狭まっていたフック用第1矢片881及びフック用第2矢片882が収容凹部69に入って復元力で広がって、段差部893に係止し、かつ、筒入口部599の周縁部にフック用蓋部材886が当接する(第2カシメ機構のカシメ状態)。それにより、カバー部材50をトレー部材60に対してX2方向に相対移動することが阻止される。
(封印機構の使用)
次に、封印機構を使用する。当該封印機構において、カバー側平面部592とトレー側平面部672とが滑らかに連続しX−Y平面を構成する。カバー側突片591のネジ穴595aとトレー側突片671の貫通穴675とが一致する。ネジ穴595aと貫通穴675とにネジ部材94を螺合する。カバー側平面部592とトレー側平面部672とに、ICタグ90を貼り付ける(図29に示す状態)。キャップ部材95の係止突起958がカバー部材50側の係止穴58aに嵌っている。また、キャップ部材95の長穴957にカバー側突片591の先端部が嵌め込まれている。(図29に示す状態)。それにより、ICタグ90をZ1方向から覆った状態にキャップ部材95を拘束する。
なお、カバー部材50とトレー部材60とを組み付ける作業では、図7に『A』で示す第2カシメ機構を使用し、図7に『B』に示す第1カシメ機構及び『F』で示す第2カシメ機構を使用しない。
また、図7に『C』で示す第3カシメ機構を使用しない。第3カシメ機構では、トレー側舌状片651がカバー部材50の連通穴571を通り、カバー側舌状片574と重なり、カバー側結束穴575とトレー側結束穴655との各穴中心が一致する。しかし、結束用バンド92によりカバー側舌状片574及びトレー側舌状片651を結束しない。以上により、カバー部材50とトレー部材60とを組み付ける作業を完了し、制御基板30を基板ケース40内に封印することが可能となる。
(基板ケースの組み付け作業)
次に、基板ケース40を機本体11に組み付ける作業を説明する。
なお、予め、サブベース部材78をベース部材70に組み付けておく。また、ベース部材70を機本体11の後壁11aの所定位置に取り付けておく。カバー部材50の天井部51を手前側にして、基板ケース40をベース部材70に対向させ、基板ケース40をベース部材70に対してZ1方向に相対移動し、トレー部材60の被嵌合部637、647をベース部材70の出入れ用溝738に入れる。トレー部材60の他方の端縁部65が操作用突片756の中間片部758に当接し(図10(a)に示す状態)、被嵌合部637、647とベース部材70の出入れ用溝738の溝底との間に2ミリ程度の隙間が形成される。可撓性片部757の弾性力に抗して、操作用突片756をZ1方向に変位させた場合(図10(b)に示す状態)、被嵌合部637、647がベース部材70の出入れ用溝738の溝底に達し(図12(a)に示す状態)、ベース部材70のロック用溝739の溝口にX軸方向で対峙させ、基板ケース40をベース部材70に対してX1方向に相対移動することが可能となる。このとき、キャップ部材95の端壁部955の先端縁959は、ベース部材70の嵌合凹部785に対しZ2方向で離間しており、嵌合凹部785に嵌っていない(図30に示す状態)。組付作業中に、作業者は可撓性片部757を撓ませることで、基板ケース40のX1方向の移動を可能にする次の段階に移ることができ、誤作業を防止することができる。
さらに、基板ケース40をベース部材70に対してX1方向に相対移動し、トレー部材60の被嵌合部637、647をベース部材70のロック用溝739に入れる(図9(b)に示す3組の係合状態)。それにより、基板ケース40をベース部材70に対してZ2方向に相対移動することが阻止される。前後して、トレー部材60の他方の端縁部65が操作用突片756の中間片部758から外れ(図10(c)に示す状態)、可撓性片部757がその弾性力によって復元し、可撓性片部757と中間片部758との間の段部758aに他方の端縁部65が嵌る(図10(d)に示す状態)。3組の係合状態では、保護用部材79の嵌合用溝792には、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663が嵌め込まれている。先端部583の第1側壁587と、先端部663の第2側壁667との間には隙間S2が形成されている。隙間S2は、保護用部材79の立壁部793に形成された連通穴794を通して、外方(X1方向)の外部に通じている。
(第1カシメ機構の使用)
次に、図7に『B』で示す第1カシメ機構を使用する。カシメ部材80の先頭部814、824を先行させて、前記連通穴794及び挿入溝S1に差し込む。連通穴794及び挿入溝S1を通るとき、前記第1カシメ部材81の第1矢片815及び第2被カシメ部661の第2矢片825が、その復元力に抗して狭まり、連通穴794及び挿入溝S1を通った後に、その復元力により広がって、第1カシメ部材81の第1矢片815が、第1被カシメ部581の第1側壁587を立壁部793と共にカシメ、また、第2被カシメ部661の第2矢片825が、第2被カシメ部661の第2側壁667を立壁部793と共にカシメる。基板ケース40(2組の係合状態にあるカバー部材50及びトレー部材60)を、ベース部材70に対してX2方向に相対移動することが阻止される。なお、第1カシメ機構の使用に際しては、カシメ部材80を連通穴794及び挿入溝S1に差し込むだけで良いので、専用治具を必要とせず、作業性を向上させることが可能となる。また、カシメ部材80を差し込むことで、基板ケース40の外形形状が凸状部を有することとなるので、第1カシメ機構のカシメ状態を容易に判断することが可能となる。
封印機構において、基板ケース40をベース部材70に対してX1方向に相対移動し、前記3組の係合状態としたとき、キャップ部材95の端壁部955の先端縁959は、長穴957に通したカバー側突片591の先端縁591aと共に、ベース部材70の嵌合凹部785に嵌め込まれている(図29に示す状態)。それにより、キャップ部材95をベース部材70に対しZ2方向に相対移動することが阻止される。
(制御基板の点検作業)
次に、制御基板を点検する作業について説明する。
制御基板の点検作業においては、『B』で示す第1カシメ機構、『A』で示す第2カシメ機構及び封印機構の状態、及び、それらの履歴情報を確認すると共に、基板ケース40を開封し、制御基板30を点検する。前記履歴情報を確認した後、基板ケース40を開封するために、図7に『B』で示す第1カシメ機構、『A』で示す第2カシメ機構、並びに、封印機構を除去する。
(点検作業時における第1カシメ機構『B』の除去)
図7に『B』で示す第1カシメ機構の除去では、先ず、連結部材83を切断して、被覆部材84による被覆の解除と、カシメ部材80によるカシメの解除とを行う。連結部材83を切断すると、カシメ部材80と被覆部材84との連結関係が断たれ、被覆部材84に対するカシメ部材80による拘束が解除され、被覆部材84が、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662を外部から覆っている所定位置から移動可能となる。被覆部材84を所定位置から外し、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662を共に切断する。それにより、3組の係合状態から、カバー部材50とトレー部材60との2組の係合状態となる。
基板ケース40をベース部材70に対しX2方向に移動させるとき、可撓性片部757をその弾性力に抗してZ1方向に撓ませ、可撓性片部757と中間片部758との間の段部758aから他方の端縁部65を外すようにする(図10(c)に示す状態)。このとき、キャップ部材95の端壁部955の先端縁959が、ベース部材70の嵌合凹部785から外れる(図30に示す状態)。
基板ケース40をベース部材70に対しX2方向に移動させ、トレー部材60の被嵌合部637、647をベース部材70のロック用溝739から外し(図9(a)に示す状態)、基板ケース40をベース部材70に対しZ2方向(手前側)に移動し、被嵌合部637、647をベース部材70の出入れ用溝738から外し、基板ケース40をベース部材70から外す。
(点検作業時における第2カシメ機構『A』の除去)
図7に『A』で示す第2カシメ機構の除去では、外筒部598をカバー部材50の端縁部58から切り離して、トレー部材60側の収容凹部69に収納されているカシメフック88のフック用第1矢片881及びフック用第2矢片882と、フック用蓋部材886との連結関係を断つようにする。それにより、トレー部材60に対するX2方向へのカバー部材50の移動を阻止する第2カシメ機構の拘束が解除される。
(封印機構の除去)
封印機構の除去では、キャップ部材95の係止突起958をカバー部材50の係止穴58aから外す。それにより、キャップ部材95をZ2方向に移動可能となる。キャップ部材95をICタグ90上から外し、ICタグ90をカバー側平面部592及びトレー側平面部672から剥がし、ネジ部材94をネジ穴595a及び貫通穴675から外す。それにより、カバー部材50をトレー部材60に対しX2方向に移動することが可能となる。
カバー部材50をトレー部材60に対しX2方向に移動し、隣接する被係合部521の間に係合部631を位置させる(図13(a)に示す状態)。このとき、カバー部材50の連通穴571からトレー部材60のトレー側舌状片651が抜ける。さらに、カバー部材50をトレー部材60に対しZ2方向に移動する。それにより、カバー部材50をトレー部材60から外し、基板ケース40内の制御基板30を点検することが可能となる。
(第2カシメ機構『F』、及び、第3カシメ機構『C』の使用)
制御基板30の点検等を終了後、カバー部材50をトレー部材60に組み付け、『F』で示す第2カシメ機構を使用し、さらに、基板ケース40を機本体11に組み付け、さらに、『C』で示す第3カシメ機構を使用する。
制御基板30の点検等の終了後、カバー部材50をトレー部材60に組み付ける。当該組み付け作業については、前記した制御基板30の点検作業前における、カバー部材50をトレー部材60に組み付ける作業と同様であるので、その説明を省略する。
(第2カシメ機構『F』の使用)
次に、図7に『F』で示す第2カシメ機構を使用する。第2カシメ機構『F』の使用は、前述した、第2カシメ機構『A』の使用と同様に、小径筒部892に対し、外部からX2方向へカシメフック88をフック用先頭部884、885を先頭にして差し込むと、復元力に抗して互いの間隔が狭まっていたフック用第1矢片881及びフック用第2矢片882が収容凹部69に入って復元力で広がって、段差部893に係止し、かつ、筒入口部599の周縁部にフック用蓋部材886が当接する(第2カシメ機構のカシメ状態)。それにより、カバー部材50をトレー部材60に対してX2方向に相対移動することが阻止される。
次に、基板ケース40を機本体11に組み付ける。当該組み付け作業については、前記した制御基板30の点検作業前における、基板ケース40を機本体11に組み付ける作業と同様であるので、その説明を省略する。
(第3カシメ機構『C』の使用)
次に、図7に『C』で示す第3カシメ機構を使用する。前記した基板ケース40を機本体11に組み付けることにより、カバー側舌状片574、トレー側舌状片651及びベース側舌状片751が重なり、カバー側結束穴575、トレー側結束穴655、及び、ベース側結束穴755の各穴中心が一致する(3組の係合状態)。各穴に通した結束用バンド92により、カバー側舌状片574、トレー側舌状片651及びベース側舌状片751を結束する。それにより、基板ケース40をベース部材70に対してX2方向に移動することが阻止され、基板ケース40をベース部材70を介して機本体11に組み付けることができる。
(カシメ部材の転用、基板ケースの転用)
次に、カシメ部材80の転用、及び、ニコイチによる基板ケースの転用について説明する。先ず、カシメ部材80の転用について説明する。第1カシメ機構のカシメ状態においては、カシメ部材80の第1矢片815が第1被カシメ部581の第1側壁587を立壁部793と共にカシメ、第2被カシメ部661の第2矢片825が第2側壁667を立壁部793と共にカシメている。第1カシメ機構のカシメ状態において、カシメ部材80の転用をする場合、保護用部材79を除去し、さらに、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663を除去し、これらの部材とカシメ部材80とのカシメ関係を解除する必要がある。このとき、第1矢片815に傷を付けずに、立壁部793及び第1側壁587を除外しなければならない。また、第2矢片825に傷を付けずに、立壁部793及び第2側壁667を除外しなければならない。以上により、第1カシメ機構のカシメ状態において、カシメ部材の80の転用をすることは、極めて困難となる。
次に、ニコイチによる基板ケースの転用について説明する。上記の第1カシメ機構のカシメ状態において、保護用部材79を除去し、さらに、カシメ部材80を除去し、これらの部材と、上記の第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663との関係を解除することも極めて困難である。すなわち、第1側壁587に傷を付けずに、立壁部793及び第1矢片815を除外しなければならない。また、第2側壁667に傷を付けずに、立壁部793及び第2矢片825を除外しなければならない。以上により、第1カシメ機構のカシメ状態において、カバー部材50及びトレー部材60を不正取得し難くし、カバー部材50及びトレー部材60を基板ケース40への転用をすること(ニコイチ)が極めて困難となる。
また、例えば、上記第1被カシメ部581等又は第1カシメ部材81等に対し、不正なアクセスをせずに、基板ケース40の不正開封をしようとして、第1被カシメ部581の基端部582を切断し、第2被カシメ部661の先端部663を保護用部材79の嵌合用溝792から抜き出そうとした場合に、第2カシメ部材82が第2被カシメ部661の先端部663を立壁部793と共にカシメているため、嵌合用溝792から抜き出すことが困難となるものである。また、第2被カシメ部661の基端部662を切断し、第1被カシメ部581の先端部583を保護用部材79の嵌合用溝792から抜き出そうとした場合に、第1カシメ部材81が第1被カシメ部581の先端部583を立壁部793と共にカシメているため、嵌合用溝792から抜き出すことが困難となり、カバー部材50及びトレー部材60を基板ケース40への転用をすること(ニコイチ)が極めて困難となる。
さらに、第1被カシメ部581又は第2被カシメ部661の各基端部582、662のいずれか一方を切断しても、一体的に形成された第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82が、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663を立壁部793と共にそれぞれカシメた状態を維持するため、いわば、カシメ部材80、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部583、663が一体となって、嵌合用溝792内に残っているため、第1被カシメ部581又は第2被カシメ部661の各先端部583、663を嵌合用溝792から抜き出すことが困難となり、カバー部材50及びトレー部材60の不正取得が困難となる。この点からも、カバー部材50及びトレー部材60を基板ケース40への転用をすること(ニコイチ)が極めて困難となる。
次に、カシメ状態の確認について説明する。前述したように、カシメ状態にある第1カシメ機構により、基板ケース40の外形形状が凸状部を有することとなるので、カシメ状態を容易に判断することが可能となる。その第1カシメ機構を除去した場合に、前記凸状部が無くなるので、基板ケース40の外形形状が大きく変化するため、基板ケース40の不正開封を容易に視認して、基板ケース40のカシメ状態を容易に判断することができる。
次に、蓋部材85を設けたことによる利点について述べる。連結部材83の切断により、第1カシメ部材81、第2カシメ部材82及び蓋部材85と、被覆部材84との連結が切り離される。このときにおいても、第1カシメ部材81、第2カシメ部材82及び蓋部材85とにより、立壁部793をX軸方向に対し両方向から挟む状態を維持するため、連通穴794及び挿入溝S1を外部に露出させない状態を維持することが可能となり、切断工具等を連通穴794等に通して、第1カシメ部材81、第2カシメ部材82及び第1被カシメ部581、第2被カシメ部661にアクセスすることが困難となる。それにより、基板ケース40を不正開封する場合には、連結部材83を切断し、かつ、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662を切断するしかなく、切断の痕跡を残すこととなり、第1カシメ機構のカシメ状態の判断をし易くすることが可能となる。
次に、第1遮蔽部材871及び第2遮蔽部材872を設けたことによる利点について述べる。第1板状部584及び第2板状部664(図26参照)を第1遮蔽部材871で外部から覆ったので、基板ケース40の不正開封をする場合に、切断工具等を第1板状部584及び第2板状部664にアクセスできず、第1板状部584及び第2板状部664を切断することができないので、連結部材83を切断するしかなく、切断の痕跡を残すこととなる。同様に、第1板状部584及び第2板状部664の各表側縁部584b、664bを第2遮蔽部材872で外部から覆ったので、基板ケース40の不正開封をする場合に、切断工具等を第1板状部584及び第2板状部664にアクセスできず、第1板状部584及び第2板状部664を切断することができないので、連結部材83を切断するしかなく、切断の痕跡を残すこととなる。
次に、リブ部798を設けたことによる利点について述べる。保護用部材79の開口791の位置に対応するベース部材70の領域にリブ部798を設けたので、その領域を破壊し難くなり、しいては、開口791を通して、切断工具等を保護用部材79内にアクセスし難くなる。
次に、張出部797を設けたことによる利点について述べる。張出部797が蓋部材85の全周を外部から覆っているため、蓋部材85の寸法精度誤差、及び、その組立精度誤差により、蓋部材85が立壁部793から離れる場合であっても、張出部797が蓋部材85の全周を外部から覆った状態を維持し、立壁部793の連通穴794を外部に露出させるのを防止することが可能となる。
なお、前記実施形態では、カシメ部材80と被カシメ部との各形状を逆の態様にしても良い。すなわち、第1カシメ部材81及び第2カシメ部材82の各先頭部814、824を略溝形断面形状に形成し、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各先端部581、661を、略矢印断面形状に形成しても良い。
なお、実施形態に係る第1カシメ機構は、3組の係合状態の下で、各相手の部材を第3の態様でカシメる構成を示したが、2組の係合状態の下で、第1又は第2の態様でカシメる構成であっても良い。この場合においても、連結部材83は、被覆部材84による被覆の解除と、カシメ部材80によるカシメの解除とをするために切断可能に形成される。
なお、実施形態で、サブベース部材78に設けた保護用部材79を、カシメ部材80に設けても良い。開口をZ1方向に向けた略コ字状断面形状の保護用部材79は、カシメ部材80と一体的に形成される。連結部材83を切断することで、カシメ部材80及び保護用部材79と、被覆部材84との連結関係が断たれる。被覆部材84による被覆の解除が可能となり、第1被カシメ部581及び第2被カシメ部661の各基端部582、662を切断することで、カシメ部材80によるカシメの解除が可能となる。