以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前面枠の斜視図である。図1および図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABSアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、その最下部に下皿ユニット13を有し、内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、樹脂ベース25(図6参照)と、この樹脂ベース25の後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、前面枠セット14の一部として前面枠ベース部材に固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と演出ボタン79が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。前面枠セット14の上部には、スピーカからの音を出力するための音出力口24が設けられている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタンと、返却ボタンと、度数表示部とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタンは、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタンは、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図4および図5を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図、図5は遊技盤30の構成を示す斜視図である。遊技盤30は、一般入賞口を備える一般入賞装置31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動入賞装置33、第2の始動口を備える第2の始動入賞装置34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置371A、普通図柄表示装置371B、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞装置31、可変入賞装置32、第1の始動入賞装置33、第2の始動入賞装置34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、大入賞口(収容部の入口)61が配置されている。大入賞口61については、後に言及する。大入賞口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞装置31、可変入賞装置32および第1の始動入賞装置33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
上記特別図柄表示装置は、第1の始動入賞装置33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置は第2の始動入賞装置34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
上記特別図柄表示装置は、後にも言及する表示装置371Aにおける第1表示部の9個のLEDセグメントで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
上記普通図柄表示装置は、後述する表示装置371B内に配置された普通図柄用の2個のランプ(以下、第1ランプおよび第2ランプとも称す)を備えている。この実施例では、普通図柄用の第1ランプは、その外観形状は「○」形状となっている一方、第2ランプは、第1ランプの右側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置は、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過する毎に例えば第1および第2ランプによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、第1および第2ランプが交互に光り、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、第1および第2ランプは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動入賞装置33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす金属板にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)には、所定間隔をおいて複数個所に鋲56が設けられており、内レール51および外レール52は該鋲56を打ちつけるようにして遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図6はパチンコ機10の背面の構成を示す分解斜視図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の裏カバー(保護カバー)等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を3つの取付台に分けて搭載して3つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板、電源監視基板、これら基板を収容する基板ボックスおよび該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される主制御装置261を一つにユニット化し、表示制御基板、該表示制御基板を収容する基板ボックスおよび装飾図柄表示装置42から構成される表示制御装置45とサブ制御基板および該サブ制御基板を収容する基板ボックスから構成されるサブ制御装置262とを後述する外包部材82に搭載してユニット化し、さらに払出制御基板、該払出制御基板を収容する基板ボックス(払出制御基板ケース)および該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される払出制御装置311と電源基板、発射制御基板およびこれら基板を収容する基板ボックス(電源・発射制御基板ケース203A)から構成される電源・発射制御装置とを1つの取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、各ユニットを上記の順に「第1制御基板ユニット201」、「第2制御基板ユニット202」および「第3制御基板ユニット203」と称することとする。
また、払出機構および裏カバー(保護カバー)も上記第3制御基板ユニット203に一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここでは第3制御基板ユニット203を「裏パックユニット203」とも称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201は、後述するように、取り外す場合には工具で封止状態を解除する必要があるが取付はネジ等の締結具も工具も何ら要することなく行い得るよう構成されており、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されている。更に、これに加え、各ユニット201〜203は、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板を有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。この基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
第2制御基板ユニット202は、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御を司る表示制御装置45と主制御基板からの指示に従い音声ランプ制御を司るサブ制御基板とを有する。上記表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42および表示制御基板がユニットとして構成され、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて後述する外包部材82の背面側に取り付けられている。上記サブ制御基板は透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容され、上記表示制御装置45の背面側に取り付けられている。
次に、前記第3制御基板ユニット(裏パックユニット)203は、払出制御基板、電源基板、発射制御基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記電源基板および発射制御基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力されるとともに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われる。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース(図示せず)内に収納されており、上記電源基板および発射制御基板は、透明樹脂材料等よりなる電源・発射制御基板ケース203A内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース(図示せず)内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチと電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす裏カバー部(保護カバー部)354とを有する。裏カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。裏カバー部354の背面には多数の通気孔が設けられている。この通気孔は各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、裏カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ359とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ359が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチの左方には、前面枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図9を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置は上記したように9個のLEDセグメントで構成されており、普通図柄表示装置は上記したように普通図柄用の第1および第2ランプで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、9個のLEDセグメントの点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動入賞装置33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、大当たりを示す点灯パターンあるいは外れを示す点灯パターンが表示され、外れの場合は、始動入賞装置33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動入賞装置33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動入賞装置33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
次いで、普通図柄表示装置の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、第1ランプ(外観が○形状)と、第2ランプ(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動入賞装置34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動入賞装置33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが上記とは別の特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、9つのLEDセグメントで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動入賞装置34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動入賞装置33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(33a及び33b:図4および図5参照)が設けられ、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
(特徴構成1)
上記パチンコ機10においては、遊技領域に配置された一般入賞装置31、可変入賞装置32、第1の始動入賞装置33、可変表示装置ユニット35等において、遊技球と接触し得る部位の少なくとも一部が、光沢層と透過層とを積層してなる積層構造を有するものとなっている。
可変表示装置ユニット35は、図4および図5に示すように、遊技領域の中央部に配置され、遊技領域内の大きな面積を占める大型の役物となっており、電動役物ユニットあるいはセンター役物とも称される。この可変表示装置ユニット35は、表示部として装飾図柄表示装置42を中央に備え、該装飾図柄表示装置42の上辺部、下辺部、左辺部および右辺部をセンターフレーム43で包囲するようにして構成されている。センターフレーム43は、図10に示すように、装飾図柄表示装置42が配置される概略横長の長方形状の開口を内側に包含する枠状の部材となっていて、右側部は下方に延出してその先端部に前述の一般入賞装置31のうちの1つが形成されており、全体として正面視概略「9」の字形状のやや不規則な外形を有している。また、外周にはネジ孔を有するフランジ43Fが設けられており、木ネジ等により遊技盤30上に前方側から固定されるようになっている。
図10に示すように、センターフレーム43の上端縁の右側部分は、左側部分よりも一段高く上方へ膨出して膨出部371を形成している。この膨出部371には、前記特別図柄表示装置371Aおよび普通図柄表示装置371Bが左から順に配置されている。
センターフレーム43の外周縁には、図5に示すように、左側端部から上端部を経て右側部分の下端部まで延びるようにして、前方へ延出する鍔部372が設けられている。センターフレーム43の上方へ飛来した遊技球は、上記鍔部372上を転動して右下または左下へ流下する。
センターフレーム43の下部には、図10に示すように、ステージユニット426が配置されている。ステージユニット426は、センターフレーム43において装飾図柄表示装置42の下辺部に対応する横架部であって右端部を除く部分を構成する部材であり、図11に示すように、概略板状の装飾板428、ステージ形成部材429、背面板430等の部材から構成されている。
装飾板428は、図11に示すように、左右にやや長く延びる概略横長の長方形状の板状材が、横臥した状態で中央よりやや右寄りの位置を中心として下方に凹むようにして全体的に緩やかに下方に湾曲し、下端部が上方に若干隆起する形状に成形され、全体的に波打つように起伏する形状となっている。該装飾板428は、前後幅がやや広い前側片428Fと前後幅がやや狭い後側片428Rとに分割形成されている。前側片428Fの上記隆起部における前側端縁には、概略逆U字形状の入球切欠428Sが形成されている。
装飾板428は、不透明樹脂を成形してなり、山積する金貨や財宝を模した不規則な多数の凹凸が全面に形成されている(図示せず)。
装飾板428は、背面板430の前面に対しほぼ直角をなして配置固定され、パチンコ機10の前面部から所定の角度(ほぼ90°)をなして前方に延出する段面部となっている。また、装飾板428は、センターフレーム43の内周面すなわち装飾図柄表示装置42に向いた面に配置されている。
背面板430は、光透過性を有する樹脂よりなり、横長の長方形の左下隅部が角落ちして左上端から下端中央よりやや左寄りの位置にかけてやや長く緩やかに弧状に延びるとともに、右下隅部が角落ちして右下端よりやや上方の位置から右下端よりやや左寄りの位置にかけてやや短く緩やかに弧状に延びる外形を有する立板体となっていて、周縁は後方に延びて小幅の周壁を形成し、前面から上端面(上部の周壁面)にかけて連続するように多数の凹凸が形成されている。背面板430の前面には、中央よりやや右寄りの位置に、船の舵輪を模した形状を有し表面に金色のメッキ層が形成された装飾成形物430Sが配置されている。
ステージユニット426には、点灯部435が配設されている。点灯部435は、西洋式の剣を模した正面形状に成形され、下端部には背面側へ延出する延出部が形成されて、全体として概略鉤形状に構成されており、上端部から前方へ光が照射されるようになっている。点灯部435は横方向に4体が一列に配置されており、装飾効果を奏しながら、保留ランプ800aとしても機能するようになっている。
ステージ形成部材429は、下ステージ429L、中ステージ429M、上ステージ429Hおよび上段部429Tが前下部から後上部にかけてこの順に階段状に形成された部材となっている。下ステージ429Lおよび上ステージ429Hはいずれも、前記装飾板428にほぼ対応して、中央よりやや右寄りの位置を中心として下方に凹むようにして全体的に緩やかに下方に湾曲し、下端部が上方に若干隆起する形状となっていて、隆起部分の左右両側部に、前側へ向けて下傾する溝状誘導部がそれぞれ形成され、下ステージ429Lの隆起部分の頂部には後側へ向けて下傾する溝状誘導部が、上ステージ429Hの隆起部分の頂部には前側へ向けて下傾する溝状誘導部がそれぞれ形成されている。中ステージ429Mは、全体として概ね上記下ステージ429Lおよび上ステージ429Hと同様に緩やかに下方に湾曲する形状となっているが、下ステージ429Lおよび上ステージ429Hの隆起部分に対応する部分は、後端から前端にかけて下傾する平面状に形成され、下ステージ429Lおよび上ステージ429Hの隆起部分の左右両側部に対応する部分は、それぞれ上方に隆起する形状に形成されている。また、上記下ステージ429Lの隆起部分の頂部と中ステージ429Mの平面状部の中央部とを跨ぐようにして、上下に貫通する入球孔429Pが穿設されており、前記装飾板428の入球切欠428Sに連通している。また、下ステージ429Lの隆起部分の左右両側部と中ステージ429Mの左右の隆起部分との境界部からは、それぞれ垂下片が下方に延出し(図示せず)、両垂下片に対応して、前記装飾板428の前側片428Fには左右2箇所に、左右方向に長く延びるスリット428Lが穿設されている。上段部429Tは、ステージ形成部材429の最上段部を構成し、左右方向に水平に延びるとともに、後側端縁から前側端縁にかけてやや下傾するように形成されている。ステージ形成部材429は、上記垂下片を装飾板428のスリット428Lに挿入するようにして、装飾板428および背面板430の全体を上方から覆うようにして嵌着される。このとき、点灯部435(保留ランプ800a)の上端が上ステージ429Hにより、背面板430の上端が上段部429Tによりそれぞれ上方から覆われる。
ステージ形成部材429は、各部がおよそ1mmないし数mm程度の肉厚を有して上記のような中空状の全体形状となるように樹脂を成形して得られた部材となっており、より詳細には、例えば図12に模式的に示すような積層構造を有するものとなっている。この積層構造は、同図に示すように、ステージ形成部材429の内側の基体層42Sと外側の表皮層42Dとを積層したものとなっており、さらに該表皮層42Dは、接着層42C、光沢層42Lおよび透過層42Tを内側からこの順に積層したものとなっている。
上記光沢層42Lは、樹脂を金属層に近似するように成形したものとなっている。即ち、屈折率の異なる2種類のポリエチレンテレフタレート(PET)を交互に積層したものであり、積層数は1000、各層の厚さはnmオーダーで、上層ほど薄く、下層ほど厚くなっており、全体の厚みは200μmとなっている。この構成により、全可視光線の光を均等に反射して、金属光沢のような外観を呈するようになっている。光沢層42Lの内側には、基体層42Sと同種の透明樹脂よりなる接着層42Cが形成され、光沢層42Lの外側には、透明なPETよりなる透過層42Tが形成されて、全体として表皮層42Dが構成されている。
上記表皮層42Dは、インサート成形により基体層42Sと一体化され積層される。即ち、表皮層42Dをシート状に調製し、これを必要な形状に裁断して金型で予備成形し、この後、この予備成形体を金型内に挿入し、基体層42Sの材料である溶融樹脂を射出して、表皮層42Dと基体層42Sとが積層一体化されたインサート成形品が得られる。このとき、表皮層42Dの内側層は上述の通り基体層42Sと同種の樹脂よりなる接着層42Cとなっているので、これが溶融して基体層42Sと接着するようになっている。このインサート成形により、ステージ形成部材429を得ることができる。
上記ステージ形成部材429の積層構造においては、光沢層42Lが上述の通り金属薄膜に近似する樹脂薄膜となっており、その両面がそれぞれ、透明樹脂よりなる基体層42S(および接着層42C)ならびに透明樹脂よりなる透過層42Tとなっているので、半透明鏡(マジックミラー)と同等の構成となっており、明るい側からは光を反射して鏡のようにしか見えず、一方、暗い側からは明るい側からの光を透過させるため明るい側が透視できるようになっている。即ち、金属を使用することなく全て樹脂で構成されていながら、金属光沢調の外観を呈するという視覚効果と、半透明鏡と同等の視覚効果とが併せて得られる構成となっている。
ステージユニット426は、図10に示すように、センターフレーム43の後方から嵌着するようにして取り付けられている。センターフレーム43の前面部における下端部中央には排出口376が穿設されており、この排出口376は前記ステージ形成部材429の入球孔429Pおよび装飾板428の入球切欠428Sに連通している。
図5に示すように、センターフレーム43における前記鍔部372の左端部の直下部には入球口391が形成され、該入球口391は、センターフレーム43の左側部の内部に形成された球誘導路392に連通している。該球誘導路392は、センターフレーム43の左側部の内部を前上から後下まで蛇行しながら延びて下端部が前記ステージ形成部材429の上ステージ429Hの左端部にむけて開口する袖開口393となっている。
上記入球口391に入球した遊技球は、球誘導路392内を流下し、上記袖開口393から上ステージ429Hへ案内される。袖開口393から出てきた遊技球は、上ステージ429H、中ステージ429Mおよび下ステージ429Lの各ステージ上を左右に往復するように転動し、その途上で前記溝状誘導部などから下のステージへ順に転落していき、そのうちの、多くは下ステージ429Lから前面側へ転落し、少数がうまく前記入球孔429Pに入球して下方の装飾板428の入球切欠428Sから排出口376へと案内されて前面側へ排出され、直下に位置する第1の始動入賞装置33に高確率で入球することとなる。
このように、上ステージ429H、中ステージ429Mおよび下ステージ429Lは、間の壁面も含め、遊技球が頻繁に接触するものとなっており、従って例えば仮にその表面にメッキ層が形成されていたりした場合には、メッキが次第に剥離してささくれ立つように突起し、遊技球がこの突起物に抵触してその流路に多少ともずれが生じ、また見栄えも悪くなって意匠性が低下するといった問題があるが、本パチンコ機10のステージ形成部材429は全体として、上述の通り、メッキ層と同等に金属光沢調の外観を呈する光沢層42Lの外側に透明樹脂よりなる透過層42Tが積層された構成となっているので、光沢層42Lが透過層42Tによって外力から防護され、これにより、たとえ遊技球が頻繁に接触しても表面の剥離等の変形は生じ難く、また、光沢層42Lが透過層42Tによって外部から視認可能に覆われているため、見栄えが損なわれることもなく、したがって意匠性も良好に維持されるようになっている。
また、ステージユニット426は、第1の始動入賞装置33の直上に位置するので、遊技球が流下する経路のなかでも、入賞の成否に対する影響もそのぶん大きく、遊技者の注目も集中しやすい部位であるから、上述のように透過層42Tで防護される構成が特に有用となっているが、さらに加えて、第1の始動入賞装置33の入賞検出スイッチに悪影響が及ぶことも回避されるようになっている。遊技盤の設計によっては、ステージが始動入賞装置に近接して配置されていてその表面にメッキ層が形成された構成や、あるいは始動入賞装置自体の表面にメッキ加工を施して意匠性を向上させた構成等もあり得るが、このような配置構成においては、遊技球との接触等によってメッキが帯電し、これにより入賞検出スイッチがノイズを生じるなどの悪影響を受けて誤作動する惧れがある。この場合、メッキ層の形成部分から遠ざけて入賞検出スイッチを配置しようとすると、結果的に始動入賞口からも離れることとなり、入賞検出のタイミングが入賞のタイミングよりも遅れるので、保留ランプの点灯等の演出と入賞との対応が把握しづらくなって、入賞検出スイッチに対して不正行為がなされたような場合にも発覚され難いこととなる。またあるいは、入賞検出スイッチを誤作動し難いようなものとすることも考えられるが、これによれば入賞検出スイッチ自体が高価となってそのぶんコストが増大することとなる。したがっていずれにせよ、意匠性を向上させるために役物等にメッキ層を形成することは、遊技盤の設計に多少とも制約を生じることとなる。これに対し、本パチンコ機10のステージ形成部材429は、金属を使用することなく樹脂で構成されていながら、メッキ層と同等に金属光沢調の外観を呈する光沢層42Lが形成されているので、第1の始動入賞装置33に近接して配置されているにも関わらず入賞検出スイッチに対して悪影響を生じ難く、このためメッキ層の形成部分と入賞検出スイッチとを遠ざけて配置したり入賞検出スイッチとして高性能のものを用いたりといった対策は不要となっている。したがって、意匠性を向上させながら、遊技盤の設計が制約されることなく高い設計自由度を確保することができる。
また、センターフレーム43の装飾部分(フランジ43F等)や、始動入賞装置の表面等にも上記積層構造を用いることができるが、これらの積層構造においては、金属光沢調の光沢層42Lを有する表皮層42Dの内側に基体層42Sが形成された構成となっているので、例えば基体層42Sとしてリサイクル樹脂等を用いることもできるようになっている。センターフレーム43の装飾部分や始動入賞装置の表面等は、外観の良好性とともに、遊技球が転動することから平滑性ないし低い摩擦係数を有することなどが要求される部位であるが、リサイクル樹脂は不純物が混入することから平滑性や摩擦係数にはどうしてもバラツキが生じて要求レベルの品質は確保し難く、したがって遊技球が転動する部位の表面を構成する材料としては適さない。ところが、上述のようにセンターフレーム43の装飾部分や始動入賞装置の表面等に上記積層構造を用いると、表面が表皮層42Dとなり、この表皮層42Dが外観や平滑性等の特性を担うようになるので、内側の基体層42Sとしては、一定の剛性のような基体に必要な特性を備えるものであればよく、したがってリサイクル樹脂も問題なく使用することができ、そのぶん、材料コストを低減することができるとともに、資源の有効利用および環境保全の観点からも望ましい。
なお、ステージ形成部材429の積層構造における基体層42Sとしても、リサイクル樹脂等を用いるようにしてもよい。
また、ステージ形成部材429が上述の通り半透明鏡としても機能し得るようになっており、また該ステージ形成部材429に覆われて内部には点灯部435(保留ランプ800a)が配置されているので、点灯部435が消灯している状態では、ステージ形成部材429が全体的に一様に光を反射して金属光沢を呈し、点灯部435から前方に光を照射すると、この光がステージ形成部材429を透過し、遊技者から視認されることとなる。したがって、点灯部435の消灯時にはステージ形成部材429の表面が全体的に鏡面状であったのが、遊技球が始動口に入賞する毎に、先端から輝きを放つ剣形の点灯部435が内部から露見されてくるという視覚的な演出効果も得られるようになっている。
また、点灯部435は、遊技球が始動口に入賞する毎に保留ランプ800aとして点灯させる以外にも、例えば、始動口への入賞に基づいて、抽選により所定の演出が選択されたときに点灯させ、これにより演出効果を高めるように制御することもできる。
(特徴構成2)
上記パチンコ機10においては、遊技を制御する主制御基板が内部に収容され、第1制御基板ユニット201としてユニット化された第1制御基板ボックス201Aが遊技盤30の裏面側に取り付けられており、この第1制御基板ボックス201Aが、不正行為の対象となり得る部位(以下、「不正対象部位」とも称す)である主制御基板のコネクタ接続部分を覆う被覆部と発光部とを備える構成となっている。
第1制御基板ボックス201Aは、図13ないし図21に示すように、外形が概略直方体状であって、より具体的には概略横長の長方形の正面形状を有し前後方向にやや厚みを有する概略平板状に閉塞されたケースであり、制御基板の表面側を覆うボックスカバー71と、制御基板の裏面側を覆うボックスベース72とから構成されている。上記ボックスカバー71およびボックスベース72はそれぞれカバーおよびベースとしているが、ボックスカバー71およびボックスベース72のうちいずれをカバーとしいずれをベースとするかは任意である。該第1制御基板ボックス202Aは、ボックスカバー71とボックスベース72とをつき合わせた状態で内部に制御基板が収容される構成となっている。
上記ボックスカバー71およびボックスベース72は、それぞれ透明樹脂を概略横長の長方形状に成形してなり、図20によく表れているように、ボックスカバー71は、前後方向にやや厚みを有して内部に収容スペースが形成され、一方面側が開放された概略直方体状のカバーとなっており、ボックスベース72は該ボックスカバー71の開放側を覆う平板状の部材となっている。
図13および図14に示すように、ボックスカバー71の前上端縁部には、該端縁に沿って右端近傍の位置から中央より左寄りの位置まで概略横長の直方体状(角棒状)に延びる形状の凹入部71Rが形成され、該凹入部71Rの内奥面(後側面)は上端縁を除いて開放されてコネクタ接続開口71Sが形成されている。換言すれば、ボックスカバー71の上端縁部が、該端縁に沿って右端近傍の位置から中央より左寄りの位置まで、正面視凹形状をなして一段下方へ陥入し、該陥入部の両端面における後上端部の間が連絡するように延びて架橋部71Cが一体的に形成された構成となっている。架橋部71Cにおける中央よりやや右寄りの位置には、4体のコネクタカバー封止部71Dが一列に配置形成されている。各コネクタカバー封止部71Dは、架橋部71Cの上面から上方へ直方体状に突出し、その前面から内方(後方)へ正面視略T字形状をなして凹入する挿入穴が穿設された構成となっており、該挿入穴には、先端部の上面が前方へ下傾してカム面とされた係止突片73が、前方へ突出するように付勢された状態で出入可能に挿入されるようになっている。凹入部71Rの底面には、両端部を含む5箇所に、一定幅で前後方向に延びる間隙部71Gが等間隔に穿設され、各間隙部71Gは前端がボックスカバー71の前面壁に沿ってやや下方まで延びており、全体として断面L字形状となっている。各間隙部71Gの両側端縁における後端部の間には角棒状の補強部が連絡するように延びて、これにより、凹入部71Rにおける底面壁の後端縁部が、各間隙部71Gの後端部を跨ぐようにして連続している。図20にも示すように、間隙部71Gにおける先端縁の中央部からは、ボックスカバー71の前面壁が片状に前方へ延出し、側面視半円形状をなして上方へUターン状に湾曲してその先端が間隙部71Gの前面部に近接し、これにより湾曲係合片71Eが形成されている。
上記凹入部71Rは、コネクタカバー74が嵌着されて閉塞されるようになっている。コネクタカバー74は、図21にも示すように凹入部71R内にほぼ隙間なく嵌まり込んでボックスカバー71の前面および上面と同一面をなして該凹入部71Rを閉塞し得る、概略横長の直方体状の中空の部材となっており、図13および図14に示すように、底面の後半部から後面の全体にかけて開放され、それ以外は基本的に閉塞されている。コネクタカバー74における底面の前端縁部には、前記間隙部71Gに対応する5箇所に下方へ延出する係合軸片74Eが形成されている。該係合軸片74Eは、間隙部71Gより僅かに狭い幅を有し、中央部には前記湾曲係合片71Eより僅かに広い幅を有する開口が穿設され、先端縁は断面円形状にやや膨出して軸部が一体的に形成され、該軸部は係合軸片74Eの先端縁における一端から他端まで延びて上記開口を閉塞しており、したがって係合軸片74Eは全体として略コ字状のループをなして閉じた形状となっている。コネクタカバー74の上面部には、前記コネクタカバー封止部71Dに対応する位置に、封止係合部74Dが一体的に形成されている。封止係合部74Dは、コネクタカバー封止部71Dをほぼ隙間なく収容し得る内部空間を有する概略直方体形状を有し、後側面および底面は開放され、前側面は、間隔をおいて形成された2枚の延出片を介してコネクタカバー74の上面部に一体的に連続している。図21にも示すように、封止係合部74Dにおける前面壁の内面には、先端部の下面が後方へ上傾してカム面とされた係止爪部74Nが一体的に形成されている。封止係合部74Dの左側に隣接する位置には、主制御基板と外部とを接続する配線(ハーネス)を束ねて挿通するハーネス集束部74Cが配設されている。ハーネス集束部74Cは、コネクタカバー74における上面壁を後側縁から凹状に切欠き、該切欠部の後端部(開放端部)をやや上方から覆うように正面視鉤形状をなして延びる弾性片を形成した構成となっており、該弾性片は、コネクタカバー74の上面において切欠部の後端部より一方側寄り(図では右側寄り)の位置から上方へ突出してその先端から他方側(図では左側)へ向けて直角に折曲するように延び、その先端部には内側に突出する爪部が形成されている。
上記凹入部71Rには、内側から裏打部材75が嵌着、固定されるようになっている。裏打部材75は、図20に示すように、凹入部71Rの内奥面(後側面)に対応する第1垂直片75Sの下端から、凹入部71Rの底面に対応する水平片75Hが前方へ延出し、その先端から第2垂直片75Vが下方へ延出して、全体としてS字状に折曲した断面形状を有し、凹入部71Rとほぼ同程度に横長に延びる樹脂成形体となっている。上記第1垂直片75Sは、前記コネクタ接続開口71Sを裏側からほぼ閉塞するとともに、複数のコネクタ挿通孔が配置形成されている。上記水平片75Hは前記間隙部71Gを裏側から閉塞する。上記第2垂直片75Vは、ボックスカバー71の前面壁に内側から当接し、このとき、第2垂直片75Vには前方に突出する突条75Eが、ボックスカバー71の前面壁には該突条75Eに対応する位置に内側から凹入する溝部71Lがそれぞれ形成されており、突条75Eが溝部71Lに嵌入して係合するようになっている。
第1制御基板ボックス201Aの組立および取付は、例えば以下のような手順で行うことができる。
(1)まず、ボックスカバー71の湾曲係合片71Eに、コネクタカバー74の係合軸片74Eを係合させる。裏打部材75を取り付ける前の段階では、凹入部71Rの間隙部71Gは開放されているので、この間隙部71Gからコネクタカバー74の係合軸片74Eを挿入し、ボックスカバー71の湾曲係合片71Eに内側から引っ掛けるようにして係合する。この係合状態では、係合軸片74Eの軸部を中心としてコネクタカバー74がボックスカバー71にヒンジ式に回動可能に保持されており、この段階では、コネクタカバー74をボックスカバー71の前下方へ引き出すように開放した状態としておくようにする。
(2)ついで、凹入部71Rの内側から裏打部材75を取り付ける。裏打部材75の取付後は、凹入部71Rの間隙部71Gが裏打部材75によって閉塞され、図20からもわかるように、ボックスカバー71の湾曲係合片71Eの先端も裏打部材75に殆ど隙間なく近接するので、該湾曲係合片71Eからコネクタカバー74の係合軸片74Eが脱離し得ない状態となり、したがって、少なくとも一部を破断したり破壊したりしない限り、コネクタカバー74がボックスカバー71に取り外し得ない状態で回動(開閉)可能に保持される。
(3)ついで、図13ないし図20に示すように、主制御基板(図示せず)を間に挟んで固定した状態で、ボックスカバー71とボックスベース72とを嵌合、固定して、第1制御基板ボックス201Aを得る。
(4)ついで、第1制御基板ボックス201Aを遊技盤30の裏面側における所定の取付位置に取り付け、コネクタ接続開口71S内の、裏打部材75のコネクタ挿通孔を通して、外部からの配線(ハーネス)を主制御基板に接続する。
(5)この後、図21に示すように、コネクタカバー74を後上方へ引き上げるように回動させて閉じ、凹入部71Rを閉塞する。この途上で、外部からの配線(ハーネス)を束ねてハーネス集束部74Cに挿通するようにする。このとき、図13ないし図20に示すように、4体のコネクタカバー封止部71Dのうちの1体に係止突片73を挿入しておくようにする。コネクタカバー74を回動させる途上で、コネクタカバー74の係止爪部74Nが係止突片73に上方から抵触することとなるが、係止爪部74Nの下面のカム面と係止突片73の上面のカム面とが当接し合うので、係止爪部74Nが、係止突片73をコネクタカバー封止部71Dの挿入穴に押し込むように押し退けながら通過することができる。係止爪部74Nが係止突片73を通過した後は、係止突片73が付勢力により元の位置に復帰して係止爪部74Nを係止し、これによりコネクタカバー74が閉じた位置に保持される。このとき、図21に示すように、係止突片73はコネクタカバー封止部71Dとコネクタカバー74の封止係合部74Dとの間に挟持され閉塞されるので、外部からは係止突片73を動かして係止状態を解除することができず、したがって、少なくとも一部を破断したり破壊したりしない限りは取り外しが不可能な状態すなわち封止状態でコネクタカバー74が閉じた位置に保持されることとなる。この後、点検等の何らかの理由によりコネクタカバー74を強制的に開放する場合には、延出片をニッパで切断する等して封止係合部74Dをコネクタカバー74から切り離して取り除き、封止状態を解除する。上述の通り、コネクタカバー封止部71Dと封止係合部74Dとは計4組形成されているので、この初回の手順と同様にして、封止およびその解除の操作をあと3回まで繰り返すことができる。
以上のようにして、ボックスカバー71のコネクタ接続開口71Sがコネクタカバー74により封止状態で閉塞され、破断や破壊等の痕跡を残すことなしには、不正対象部位である主制御基板のコネクタ接続部分に外部から接触することが困難となり、これによりコネクタ接続部分に対する不正行為が防止されることとなる。さらに、本パチンコ機10においては、視覚的にも主制御基板のコネクタ接続部分に対する不正行為が困難な構成となっている。
コネクタカバー74は、全体的に、金属薄膜に近似する樹脂薄膜を形成して半透明にしたものとなっており、これにより半透明鏡となっている。即ち、コネクタカバー74は前述のステージ形成部材429の場合と同様のインサート成形により、同様の積層構造を有するように成形されている。なおこのため、ここではこのコネクタカバー74の成形方法および積層構造についての説明は省略する。
また本パチンコ機10においては、制御基板表面の通電状態確認用LEDから照射される光により、パチンコ機10の稼動中は基本的に常時コネクタカバー74を通して内側から外側へ光が照射されるようになっている。
上記構成により、パチンコ機10の電源をオフにしている状態では、コネクタカバー74より内側は外側よりも暗くなるため、該コネクタカバー74が覆う主制御基板のコネクタ接続部分が外側からは透視し得ないように保持されることとなり、例えば不正行為者が夜間に暗がりの中でコネクタカバー74の外側から照明をあてて主制御基板のコネクタ接続部分に不正行為を施そうとしても、コネクタカバー74は照明の光を鏡状に反射するだけで内部のコネクタ接続部分は視認することができず、したがって不正行為を行うことは困難である。一方、パチンコ機10の電源をオンにしている間(稼動中)は、制御基板表面の通電状態確認用LEDから照射される光によってコネクタカバー74より内側が明るく保持されるため、主制御基板のコネクタ接続部分が外側から透視し得る状態に保持されることとなり、したがって、透明性が要求される第1制御基板ボックス201Aにあって、コネクタカバー74も、パチンコ機10の稼動時にはこれが透明な状態に保持されるようになっている。
また、コネクタカバー74が覆う主制御基板のコネクタ接続部分およびその周辺には多数の電気部品が配置されているので、例えば仮にコネクタカバーを、透明樹脂等よりなる部材に金属をめっきしたり蒸着したりすることによって金属薄膜を形成して半透明鏡としたとすると、この金属により電気部品がノイズを生じるなどの悪影響を受けて誤作動する惧れがある。これに対し、本パチンコ機10のコネクタカバー74は、金属を使用することなく、樹脂を金属層に近似するように成形することによって、金属薄膜に近似する樹脂薄膜を形成して半透明鏡としたものとなっているので、電気部品に対して悪影響を生じ難くなっている。
(特徴構成1による作用)
上述の通り、パチンコ機10は、遊技球が流下する遊技領域を備え、上記遊技領域内において遊技球と接触し得る部位の一部であるステージ形成部材429が、金属と同等の光沢を呈し得る光沢層42Lと、該光沢層42Lを外部から視認可能に(実質的に隙間なく)覆う透過層42Tとが積層された構造を有するものとなっているので、光沢層42Lが透過層42Tによって外力から防護されるようになっており、これにより、たとえ遊技球が頻繁に接触しても表面の剥離等の変形は生じ難く、遊技球の流下の様態が影響を受けるといった事態も回避されるようになっている。また、光沢層42Lが透過層42Tによって、このように防護されながら外部から視認可能に覆われているため、見栄えが損なわれることもなく、したがって意匠性も良好に維持されている。
また、上記光沢層42Lが、金属を使用することなく、非金属材料である樹脂を金属層に近似するように成形して得られた層となっているので、電気部品に対して悪影響を生じ難く、このためメッキ層の場合のように光沢層の形成部分と電気部品とを遠ざけて配置したり電気部品自体として悪影響を受け難い高性能のものを用いたりといった対策は不要となっている。したがって、意匠性が向上していながら、遊技盤の設計が制約されることなく高い設計自由度が確保されている。
また、ステージ形成部材429が、光沢層42Lを有する表皮層42Dの内側に基体層42Sが形成された積層構造を有するので、例えば基体層42Sとしてリサイクル樹脂等を用いることもできるようになっている。遊技球と接触し得る部位であるステージ形成部材429の表面は、外観の良好性とともに、遊技球が転動することから平滑性ないし低い摩擦係数を有することなどが要求される部位であるが、リサイクル樹脂は不純物が混入することから平滑性や摩擦係数にはどうしてもバラツキが生じて要求レベルの品質は確保し難く、したがってステージ等の遊技球が転動する部位の表面を構成する材料としては適さない。ところが、本パチンコ機10においては上述の通りステージ形成部材429の表面は表皮層42Dとなっていて、この表皮層42Dが外観や平滑性等の特性を担うようになっているので、内側の基体層42Sとしては、一定の剛性のような基体に必要な特性を備えるものであればよく、したがってリサイクル樹脂も問題なく使用することができ、そのぶん、材料コストを低減することができるとともに、資源の有効利用および環境保全の観点からも望ましい。
(特徴構成2による作用)
また上述の通り、パチンコ機10は、不正対象部位である主制御基板のコネクタ接続部分を覆う被覆部としてコネクタカバー74と、上記コネクタカバー74よりも内側にあって該コネクタカバー74側へ光を照射し得る発光部としてセンターフレーム43における装飾演出用のLEDランプと、を備え、上記コネクタカバー74が半透明鏡となっているので、LEDランプが消灯している状態では、コネクタカバー74より内側は外側よりも暗くなるため、該コネクタカバー74が覆う主制御基板のコネクタ接続部分が外側からは透視し得ないように保持されることとなり、例えば不正行為者が夜間に暗がりの中でコネクタカバー74の外側から照明をあてて主制御基板のコネクタ接続部分に不正行為を施そうとしても、コネクタカバー74は照明の光を鏡状に反射するだけで内部のコネクタ接続部分は視認することができず、したがって不正行為を行うことは困難となる。一方、LEDランプが点灯している状態すなわちパチンコ機10が稼動している状態では、このLEDランプから照射される光によってコネクタカバー74より内側が明るくなるため、主制御基板のコネクタ接続部分が外側から透視し得ることとなり、したがって、透明性が要求される第1制御基板ボックス201Aの一部であるコネクタカバー74が被覆部となっていながら、パチンコ機10の稼動時にはこれを透明な状態としておくことができる。
また、コネクタカバー74が、金属を使用することなく、樹脂を金属層に近似するように成形することによって、金属薄膜に近似する樹脂薄膜を形成して半透明鏡としたものとなっているので、不正対象部位である主制御基板のコネクタ接続部分およびその周辺の電気部品に、ノイズなどの悪影響が生じ難くなっている。
また、不正対象部位が主制御基板のコネクタ接続部分であり、被覆部としてコネクタカバー74が半透明鏡となっているので、コネクタ接続部分に対して不正行為が加えられることを効果的に防止することができる。
(変更態様)
上記パチンコ機10には、例えば以下に列挙するように様々な変更を加えることが可能である。
(1)前記実施形態においては、ステージ形成部材429の光沢層42Lが、金属を使用することなく、非金属材料である樹脂を金属層に近似するように成形して得られた層となっているが、光沢層としては、例えば固体表面に金属をめっきしたり蒸着したり等して形成された層や、金属または合金よりなる層等であってもよい。より具体的には、例えば、透過層の内側面ないし基体層の外側面に、金属をめっきしたり蒸着したり、金属箔等の金属または合金よりなる膜を積層したり等して光沢層を形成した構成や、あるいは、金属または合金を部材の形状に成形して光沢層とし、この外側面に透明樹脂を塗着する等して透過層とした構成なども可能である。
なお、前記実施形態においては、ステージ形成部材429が光沢層42Lおよび透過層42Tを積層した構成を有する上に、基体層42Sが透明樹脂から構成されて、全体として半透明鏡ともなっているが、光沢層および透過層が形成される部位はこのように半透明鏡となっていなくてもよく、例えば、基体層を不透明樹脂より構成して、その外側の光沢層および透過層によりこの部位が鏡状となるようにしてもよい。
(2)前記実施形態においては、ステージ形成部材429の基体層42Sとしてリサイクル樹脂等を用いることもでき、これによりコスト低減等も可能となっているが、基体層としてはリサイクル樹脂と新材の樹脂とのいずれを用いるようにしてもよい。また、例えば入賞装置においては、フランジ部分やスイッチ取付部分等の基体層をリサイクル樹脂で成形し、入賞口や樋部分等はフランジ部分の透過層と一体の透明樹脂よりなる部品とする、等の構成が可能である。一方、最外層である透過層は平滑性ないし低い摩擦係数を有することなどが要求されることから、少なくとも透過層としては新材の樹脂を用いるほうが望ましい。
図22は、入賞装置の構成例を示す模式図である。同図に示す入賞装置901は、入賞検出スイッチ取付部902とフランジ裏側部903Rとを一体的に有する裏側部材901Rと、入賞口形成部904とフランジ表側部903Fとを一体的に有する表側部材901Fとの2部品よりなり、フランジ裏側部903Rとフランジ表側部903Fとを貼り合せて一葉のフランジを形成するようにして裏側部材901Rと表側部材901Fとを組み付けることにより構成されている。上記裏側部材901Rは基体層となっていてリサイクル樹脂を成形して構成され、表側部材901Fは透過層および光沢層を有する表皮層となっていて新材の樹脂を成形して構成されている。この構成においては、表側部材901Fは、遊技球が接触することから平滑性ないし低い摩擦係数を有することが要求されるとともに、表側であって視認されることから外観も良好であることが望ましく、このため新材の樹脂で構成されており、一方、裏側部材901Rは、遊技球が接触することもないことから平滑性ないし摩擦係数も特に要求されず、また裏側であって視認されることもないことから外観も問題とならず、このためリサイクル樹脂で構成されてコストも低減されている。
(3)前記実施形態においては、ステージユニット426のステージ形成部材429が、光沢層42Lと透過層42Tとが積層された構造を有するものとなっているが、このような積層構造は、遊技領域の内外において遊技球と接触し得る部位であればいずれの部位にも、例えば、遊技領域内外に配置されたセンターフレーム(特にフランジ、鍔部等)、入賞装置等の入球部品、風車、装飾部材等の各種役物、レールユニット、遊技盤の盤面、等のいずれに適用してもよい。上記入球部品としては、例えば、始動入賞部品、ゲート部品、一般入賞部品、その他、電動役物、等が挙げられる。また、前記実施形態におけるように、光沢層が、金属を使用することなく、非金属材料である樹脂を金属層に近似するように成形して得られた層となっている場合には、例えば各種入賞装置における入球部、樋部、フランジ部等のように、入賞検出スイッチに近い位置にある部位に上記積層構造を適用すると、入賞検出スイッチに対する悪影響を回避できる効果が特に発揮される。また例えば、センターフレームには、上部から両側部へかけて、あるいはステージ中央部等に、ワープルートと称される遊技球誘導路が形成されたものがあるが、さらにこのワープルートのいずれかの部位にワープ検出手段として入賞センサを設けるようにしたものがあり、このような構成のワープルートの場合にも、入賞検出スイッチが近い位置に配置されることとなるため、上記積層構造が特に好適に適用される。
図23および図24は、ステージに入賞口を設けることができるようにした例を示す。同図に示す例においては、センターフレーム820に、ステージ821が設けられ、該ステージ821における左右方向中央位置の内奥側壁面には入球口822が開口されて、前下方の下部排球口823に連通するワープルートが構成されており、このワープルートの構成は前記実施形態のセンターフレーム43の場合と基本的に同様である。この例(変更態様)において前記実施形態と異なって特徴的となっているのは、図23に示すように、上記入球口822から下部排球口823に至る途上に、非検出型通路部材824Aが着脱可能に取り付けられ、さらに、この非検出型通路部材824Aが、図24に示す検出型通路部材824Bに付け替え可能に構成されている点である。
非検出型通路部材824Aは、図23に示すように、上面および前面が開放された樋状の部材であり、センターフレーム820における上記入球口822の位置に裏面側から着脱可能に取り付けられ、上記入球口822に入球した遊技球を上方から受容し、前方の下部排球口823へと送出し得るように構成されている。この非検出型通路部材824Aが取り付けられた状態では、前記実施形態のセンターフレーム43の場合と基本的に同様のワープルートが構成される。一方、検出型通路部材824Bは、図24に示すように、上面が開放されて遊技球を上方から受容し得る樋状となっている点は上記非検出型通路部材824Aの場合と同様であるが、この検出型通路部材824Bの場合は、前面が閉塞されるとともに、入賞センサ825が配置され、底面に排球口(図示せず)が設けられており、上記入球口822に入球した遊技球を上方から受容し、入賞センサ825で検出しながら、排球口から遊技盤30の裏面へと排出していくようになっている。したがってこの検出型通路部材824Bが取り付けられた状態では、ワープルートが構成されず、上記入球口822に入球した時点で入賞が成立して内部抽選が行われるようになっている。このように、非検出型通路部材824Aと検出型通路部材824Bとが付け替え可能となっていることで、同一のパチンコ機で二通りの遊技性が変換可能に得られるようになっている。
本変更態様においては、ステージ821に、前記実施形態におけるステージ形成部材429の場合と同様の、樹脂を金属層に近似するように成形して得られた光沢層を有する積層構造が適用されており(図示せず)、したがって、特に検出型通路部材824Bが取り付けられた場合に、入賞センサ825がステージ821に近い位置に配置されることとなるため、上記積層構造が特に有用となっている。
また、上記積層構造は、入賞装置に適用する場合にも任意の入賞装置に適用することができるが、入賞装置のうち、始動入賞装置や一般入賞装置以外にも、例えば大入賞装置等にも好適に適用することができる。図25ないし図28は大入賞装置の一例を示す図である。同図に示す大入賞装置700の基本構成は、前述の可変入賞装置32の場合と同様に、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口701T、701Bからの入球を収容部702に収容し、該収容部702に設けた排出部703T、703Bから検出センサ704T、704Bに至って検出するものとなっているが、この例の大入賞装置700において前記可変入賞装置32と異なって特徴的であるのは、図27および図28に示すように、大入賞口701T、701Bが上下2段に設けられ、それぞれに排出部703T、703B、検出センサ704T、704B等が付設されている点である。
大入賞装置700は、正面視において横長の長円が、中央部でやや上下両側から凹入して幅狭となった外形を有する板状のフランジ701Fに、上下2段の横長の長方形状の大入賞口701T、701Bが穿設され、後面側に、上下の大入賞口701T、701Bにそれぞれ対応して、収容部702やソレノイド706T、706Bを嵌挿して保持する周壁状の突壁部が一体的に形成された構成を有する本体部701を基体とし、上下の大入賞口701T、701Bには扉部材707T、707Bが下端縁を中心軸として回動可能に枢支されて上記ソレノイド706T、706Bにより開閉駆動され、上下の大入賞口701T、701Bの前方には立板部材708が取り付けられている。立板部材708は、正面視概略上下が欠損した部分円形の板状の部材で、上下の大入賞口701T、701Bを共に前方から覆うように、遊技球1球が通過し得る間隔をおいてフランジ705Fに平行に配置、固定されている。立板部材708の両側には、両翼部材709R、709Lがそれぞれ取り付けられている。両翼部材709R、709Lは、立板部材708の両側縁から、全体的にやや外側上方へ拡がる正面形状を有する板状の部材であり、図28に示すように、それぞれ、上面が中央側へ下傾する斜面となっていて遊技球を大入賞口701T、701Bの方へ案内し得る略直角三角形状の断面形状をなして後方へ延出する上下2本の腕木部709Aを介して、立板部材708と略面一となるようにフランジ705Fに平行に配置、固定されている。
上記大入賞装置700の前面部や収容部702には、遊技球が接触する部位も多く、なかでも、フランジ705Fの前面、扉部材707T、707B、立板部材708、両翼部材709R、709L等は遊技球が特に頻繁に接触する部位であり、したがってこれらの部位に、前記実施形態におけるステージ形成部材429の場合と同様の透過層を有する積層構造を好適に適用することができる。特に、この例では大入賞口701T、701Bが上下2段に設けられている分、大入賞装置700の前面部が大面積となっていて遊技球の接触も頻繁となっていることから、透過層を有する積層構造とすることがいっそう好適となっている。
また、大入賞装置700の前面部に近接する収容部702に検出センサ704T、704Bが配置されているので、前記実施形態におけるステージ形成部材429の場合と同様に、金属を使用することなく、非金属材料である樹脂を金属層に近似するように成形して得られた光沢層を有する積層構造を適用することにより、検出センサ704T、704Bに対して悪影響を生じることなく、大入賞装置700の前面部等にも、高い設計自由度で金属光沢調の意匠性を付与することができる。
さらには特に、立板部材708および両翼部材709R、709L、なかでも立板部材708は、最も前面側に位置していて装飾性ないし意匠性も特に要求され、また遊技球が大入賞口701T、701Bに入球していくかまたは入球せずに流下していくかという挙動が視認し得るようにしておくことも要求される部位であるから、前記実施形態におけるステージ形成部材429の場合と同様の、半透明鏡の構成とすることが特に有用である。
(4)前記実施形態においては、ステージユニット426のステージ形成部材429が、光沢層42Lと透過層42Tとが積層された構造を有するものとなっているが、例えば、ステージ形成部材429の上ステージ429Hおよび上段部429Tを透過層のみで構成してもよい。この構成によれば、ステージ形成部材429の内部であって上ステージ429Hおよび上段部429Tの下方の位置に、表面に金色のメッキ層が形成された装飾成形物430Sが配置されているので、透過層である上ステージ429Hおよび上段部429Tが、光沢層である装飾成形物430Sのメッキ層を、一定の空隙を間に介在させて覆い、装飾成形物430Sが常時外部から視認し得ることとなる。
(5)前記実施形態においては、第1制御基板ボックス201Aの一部であるコネクタカバー74が、金属を使用することなく、樹脂を金属層に近似するように成形することによって、金属薄膜に近似する樹脂薄膜を形成して半透明鏡としたものとなっているが、これにかえて、例えば、透明樹脂に、金属をめっきしたり蒸着したりすることによって金属薄膜を形成して半透明鏡とするようにしてもよい。
(6)前記実施形態においては、コネクタカバー74が、いずれも透明樹脂よりなる基体層と透過層との間に、金属薄膜に近似する樹脂薄膜が形成された積層構造を有するものとなっているが、半透明鏡を構成するには、例えば、この積層構造から透過層を省略した積層構造としてもよい。即ち、透明性を有する層に金属薄膜ないし金属薄膜に近似する非金属薄膜を形成して半透明鏡とした構成となっていればよい。
(7)前記実施形態においては、不正対象部位の一つである主制御基板のコネクタ接続部分を覆う被覆部として、上記コネクタカバー74が半透明鏡となっているとともに、発光部として制御基板表面の通電状態確認用LEDを用いた構成となっているが、不正対象部位、これを覆う被覆部および発光部としては、上記のもの以外にも広汎なものに適用することができ、例えば以下にa〜eとして列挙するような組合せがいずれも可能である。
a.不正対象部位:制御基板表面、被覆部:基板ボックスの表側部材(ボックスカバー)または後述するような裏カバー、発光部:制御基板表面の通電状態確認用LEDや状態報知用セグメント等
b.不正対象部位:制御基板表面のCPU、被覆部:基板ボックスの表側部材(ボックスカバー)における少なくともIC被覆部分、発光部:制御基板表面の通電状態確認用LEDや状態報知用セグメント等
c.不正対象部位:制御基板のコネクタ接続部分、被覆部:後述するような裏カバー、発光部:センターフレーム照明用のLEDランプ(反射手段も含む)
d.不正対象部位:遊技機の背面部の少なくとも一部(各種制御基板を備える主制御装置、払出制御装置等の各種制御装置、各種入賞検出スイッチ、払出装置、CRサンドと称されるカードリーダーユニット(カードユニット;玉貸機)、CRサンドと遊技機との接続部(配線、コネクタ部、カードユニット接続基板等)、等のうちの少なくとも一部)、被覆部:後述するような裏カバー、発光部:センターフレーム等の遊技盤内外照明用のLEDランプ(反射手段も含む)
e.不正対象部位:封印シール切断部材(カッター部材)の係止部、被覆部:封印シールカバー、発光部:封印シール状態確認用LED
図29は、上記bの組合せの一例を示す模式図である。同図に示す例においては、主制御基板ボックス710のボックスカバー711の内側面に、正面視方形状に内側へ延出する周壁状の防護壁711Dが一体的に形成され、ボックスカバー711とボックスベース712とを主制御基板713を内側に取り付けた状態で組み付けると、主制御基板713の表面に搭載されたCPU713Cが、防護壁711Dの内側に殆ど隙間なく嵌り込んで覆われるようになっている。ボックスカバー711の外側面の全面には、前記実施形態におけるステージ形成部材429の表皮層42Tと同様の表皮層71Tが形成されており、これによりボックスカバー711の外皮が半透明鏡となっている。主制御基板713の表面には、通電状態確認用LED713Lおよび状態報知用セグメント(7セグ)713Sが搭載されている。
この例では、不正対象部位である主制御基板713のCPU713Cを覆う被覆部としてボックスカバー711と、上記ボックスカバー711よりも内側にあって該ボックスカバー711側へ光を照射し得る発光部として通電状態確認用LED713Lおよび状態報知用セグメント713Sと、を備え、上記ボックスカバー711が半透明鏡となっているので、通電状態確認用LED713Lおよび状態報知用セグメント713Sが消灯している状態では、ボックスカバー711が覆うCPU713Cが外側からは透視し得ないように保持されることとなり、例えば夜間に暗がりの中でCPU713Cに不正操作を加えることは困難となる。一方、通電状態確認用LED713Lないし状態報知用セグメント713Sが点灯している状態では、この通電状態確認用LED713Lないし状態報知用セグメント713Sからの発光によってCPU713Cが外側から透視し得ることとなり、したがって、透明性が要求されるボックスカバー711が被覆部となっていながら、パチンコ機の稼動時にはこれを透明な状態としておくことができる。
また、上記のように消灯時にボックスカバー711の内部が透視し得ないように保持されることに加えて、CPU713Cが防護壁711Dに覆われていることにより外部からの接触が困難となっており、これによりさらに不正行為が困難となっている。換言すれば、不正対象部位である主制御基板713のCPU713Cが、ボックスカバー711の半透明鏡としての機能により隠蔽することと、防護壁711Dにより防護することとの二通りの対策によって、効果的に不正行為から防御されるようになっている。
また、ボックスカバー711が、金属を使用することなく、樹脂を金属層に近似するように成形することによって、金属薄膜に近似する樹脂薄膜を形成して半透明鏡としたものとなっているので、不正対象部位である主制御基板713のCPU713Cおよび他の電気部品に、ノイズなどの悪影響が生じ難くなっている。
なお、この例では、ボックスカバー711の外側面の全面に表皮層71Tが形成されているが、例えば、防護壁711Dの内側面ならびに防護壁711Dより内側におけるボックスカバー711の内側面(即ちCPU713Cに対向して該CPU713Cを包囲する5面)のみに表皮層を形成するようにしても、上述と同様に不正防止効果を得ることができる。この場合、防護壁711Dが半透明鏡となるため、通電状態確認用LED713Lないし状態報知用セグメント713Sあるいはその他の光源よりなる発光部は、防護壁711Dの内側に配置するようにする。ただし、このように不正対象部位であるCPU713Cを局所的に表皮層で覆う構成とすると、不正対象の位置が外部からより明瞭に把握されやすくなるため、前述のようにボックスカバー711の全面に表皮層71Tを形成することが望ましい。また、このようにボックスカバー711の全面に表皮層71Tを形成する場合、内側面には防護壁711Dが一体的に形成されていることから表皮層の積層が煩瑣となるため、ボックスカバー711の外側面のほうが表皮層71Tをより容易に形成することができる。
図30ないし図32は、上記dの組合せの一例を示す模式図である。同図に示す例においては、パチンコ機10Aの背面に、裏カバー720が配置されている。
この裏カバー720は、前記実施形態におけるパチンコ機10の裏カバー354(図6参照)と同様の本体部720Bに、さらに延長部720Eが形成された構成となっている。上記本体部720Bは、前記実施形態の裏カバー354の場合と同様に、パチンコ機10Aの後方に突出する略直方体形状であって左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)や音声ランプ制御装置の全体を囲むのに十分な大きさを有している。本体部720Bの下端側は、基本的に第1制御基板ユニット721Aの中央よりやや上方の位置まで延びており、コネクタ接続用の開口等は本体部720Bにより覆われるようになっている。
本体部720Bの背面には多数の放熱用の通気孔720aが設けられており、該通気孔720aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔720aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。
本体部720Bの下端縁において、中央より若干右寄り(図では左寄り)の位置から左端(図では右端)までの、概略左半部(図では右半部)からは、下方に延出する延長部720Eが一体的に形成されている。この延長部720Eは、左側面(図では右側面)は本体部720Bの左側面と同一面をなして延び、背面(図では前面)は本体部720Bの背面よりもやや後方(図では前方)へ段状に膨出し、全体として、パチンコ機10Aの正面(または背面)方向に沿って拡がる正面視方形の平板状の、概略直方体形状(箱形状)の外形を有する部位となっており、その下端部は外枠11Aの下板112Aの内側面(上面)まで僅かな間隔で近接する位置まで延びていて、この延長部720Eが、前記実施形態の裏カバー354にはなかった部位となっている。第1制御基板ユニット721Aにおいて上述の本体部720Bの下端部に覆われた部位より下方の、内部にCPUやROM、RAM等が配置された部分や封印シールが貼付された左端部(図では右端部)等は延長部720Eにより覆われるようになっている。パチンコ機10Aの背面における右下端部(図では左下端部)は、裏カバー720によっては、即ち本体部720Bによっても延長部720Eによっても、覆われることなく開放されており、したがって第1制御基板ユニット721Aにおける右寄りの位置(図では左寄りの位置)の一部や、電源装置722の概略右側半部(図では左側半部)等はこの裏カバー720の開放部から後方へ露出している。
また、パチンコ機10Aの左側(図では右側)にはカードリーダーユニット(CRサンド)が隣接して配置されており(図示せず)、このカードリーダーユニットからのハーネス(配線)724が、図31および図32に示すように、払出制御装置723に接続されているが、カードユニット接続基板等を含むハーネス724の接続部分が、裏カバー720の延長部720Eによって覆われるようになっている。
上記構成により、パチンコ機10Aの背面における、上端部のタンク355Aから左下端(図では右下端)近傍の払出装置358Aを含む払出機構が配置された、上端縁および左側端縁(図では右側端縁)に沿って延びる逆L字形状の帯域よりも内側であって上記右下端部(図では左下端部)の開放部を除く大部分の領域(以下、「中央領域」とも称す)が、本体部720Bと延長部720Eとをあわせて裏カバー720の全体によって覆われるようになっている。即ち、中央領域の上部に配置されている前記センター役物や音声ランプ制御装置等の全体と、中央領域の下部に配置されている第1制御基板ユニット721Aや電源装置722、払出制御装置723、カードユニット接続用ハーネス724の接続部分等の大部分とが、裏カバー720により覆われるようになっている。
裏カバー720において、第1制御基板ユニット721Aのコネクタ接続用の開口(図示せず)に対向する位置は通気孔720aが設けられず閉塞されている。図30ないし図32に示すように、通気孔720aは、縦方向および横方向に多数の列をなすようにして配置されているが、最下段に配置された列は第1制御基板ユニット721Aのコネクタ接続用の開口に対向する位置より上側に位置しており、この最下段の列から、延長部720Eの全体も含め、裏カバー720の下端までの間においては、裏カバー720に通気孔やその他の開口は穿設されておらず閉塞されている。
裏カバー720の右下端部(図では左下端部)は部分的に下方に延出するように成形されて遮蔽部720Sが形成されている。即ち、裏カバー720の右側側壁部(図では左側側壁部)および該側壁部に連なる背面部の右側端部が下方に延出しており、これにより概略鉤形状に屈曲する横断面形状を有する遮蔽部720Sが形成されている。該遮蔽部720Sは、第1制御基板ユニット721Aの右側部(図では左側部;封印部721S形成側部)をほぼ覆い得る程度の幅を有し、下端は第1制御基板ユニット721Aの下端にほぼ対応する高さ位置まで延びている。遮蔽部720Sの内側端縁(裏カバー720の他方側を向いた端縁;図では右側端縁)における上端および下端の入隅部および出隅部はそれぞれ弧形状に成形されている。遮蔽部720Sは、第1制御基板ユニット721Aの封止機構の大部分を覆うものとなっている。また、第1制御基板ユニット721Aは、右側部(図では左側部;封印部721S形成側部)が取付機構(図示せず)を介して遊技盤30の裏面側に支持固定されているが、該取付機構において外側に露出した部分も、ほぼ全体的に裏カバー720の遮蔽部720Sに覆われるようになっている。
裏カバー720の両側端縁には、舌片状の係合部(図示せず)が形成されており、該係合部がセット板400Aの側壁に内接して弾性変形しつつ嵌合され、該係合部がその側壁の端部を過ぎると弾性復元して前記側壁の端部に係合するように構成されている。また、裏カバー720の両側端縁にはネジ穴部(図示せず)が形成されており、セット板400Aの前側(遊技盤30側)からネジが螺入されて締結固定され、セット板400Aが閉じた状態では外部からネジを取り外して裏カバー720を開放することができない構造となっている。即ち、裏カバー720がセット板400Aに封止される構造となっている。
裏カバー720の外側面の全面には、前記実施形態におけるステージ形成部材429の表皮層42Tと同様の表皮層(積層構造は図示省略)が形成されており、これにより裏カバー720の外皮が半透明鏡となっている。
裏カバー720の内側においては、センターフレーム等を含む遊技盤の内外で照明を行うための多数のLEDランプからの発光が反射手段(図示せず)により遊技盤の裏面側へも照射されるように構成されており、これにより、パチンコ機10Aの稼動中は裏カバー720の全体に内側から光が照射されるようになっている。
この例では、不正対象部位である、遊技機の背面部の大部分、即ち、センター役物や音声ランプ制御装置等の全体と、第1制御基板ユニット721Aや電源装置722、払出制御装置723、カードユニット接続用ハーネス724の接続部分等の大部分と、を覆う被覆部として裏カバー720と、上記裏カバー720よりも内側にあって該裏カバー720側へ光を照射し得る発光部として遊技盤内外照明用のLEDランプと、を備え、上記裏カバー720が半透明鏡となっているので、遊技盤内外照明用のLEDランプが消灯している状態では、裏カバー720が覆う中央領域が外側からは透視し得ないように保持されることとなり、例えば夜間に暗がりの中で中央領域内のいずれかの部位に不正操作を加えることは困難となる。特に、裏カバー720を被覆部としたことにより、不正対象部位を広範囲に渡り一度に覆うことができて不正操作を効果的に防止することができる。一方、遊技盤内外照明用のLEDランプが点灯している状態では、このLEDランプからの発光によって、中央領域の状況を、被覆部である裏カバー720の外側から透視して把握できる状態としておくことができる。
また、裏カバー720が、実質的にパチンコ機10Aの背面における下端まで延びる延長部720Eを有するものとなっているので、不正対象部位をさらに広範囲に渡り一度に覆うことができて不正操作をより効果的に防止することができる。
なおこの例の場合、第1制御基板ユニット721A等の各種制御基板ボックスの全体が不正対象部位として被覆部である裏カバー720により覆われる構成となっているが、言うまでもなく、この構成とあわせて、例えば前述の例と同様に、各制御基板ボックスの制御基板(コネクタ接続部分も含め)を不正対象部位とし、ボックスカバーおよびコネクタカバーの少なくとも一方を被覆部として半透明鏡とするようにしてもよく、これによればさらに効果的に不正行為を防止することができる。
図33は、上記eの組合せの一例を示す模式図である(なお、以下の記述では、方向は基本的に、基板ボックス単体としてではなく遊技機全体としてみた場合の方向を基準とする)。同図に示す例においては、第1制御基板ボックス730Aにおける一方側端縁部(図では右側端縁部)が、外部との電波の送受信を行うように構成されたシール(封印シール)601によって封印されるようになっている。第1制御基板ボックス730Aにおける当該端縁部(図における右側端縁部)には、矩形状突起部731が設けられており、該矩形状突起部731は、第1制御基板ボックス730Aのボックスカバー732およびボックスベース733の左側端縁部分(図では右側端縁部分)に、互いに合同な縦長の長方形状を有する突起片をそれぞれ左方(図では右方)へ突出するように形成しておき、ボックスカバー732にボックスベース733を嵌着するとともにこれら突起片を重合させるようにすることによって構成されている。封印シール601は、横断面コの字形状をなすように折り曲げた状態で、前記ボックスカバー732およびボックスベース733の両突起片を跨ぐようにして貼付されるようになっている。
封印シール601は、図35および図36に示すように、前記第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731の上下面を除く3面を折り曲げ状態でほぼ全面的に覆い得る長方形状の平面形状を有し、図34に示すように、基材層602、粘着材層603および剥離紙604を積層して構成され、粘着材層603上にはICタグユニット605が配置されている。
基材層602は、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムよりなり、封印シール601を剥がす力に伴う応力によって一部が破壊される程度の適度な脆性を有するとともに、粘着材層603を構成する粘着剤に対する溶解性を有するトルエン等の有機溶剤や粘着剤層の粘着力が低下する温度(例えば50℃以上)の熱により変色するものとなっている。これにより、第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731から封印シール601を不正に剥がすことを意図して溶剤をかけたり熱を加えたりすると、基材層602が変色して不正行為の痕跡が残るようになっている。
粘着剤層603を構成する粘着剤は、一旦貼付した後に剥がされると基材層602から剥がれる程度の粘着力を有している。よって、封印シール601が剥がされた場合には再度貼付することが困難であり、さらに粘着剤層603の一部が被着体側に残存することとなる。これにより、封印シール601を不正に剥がした場合に痕跡を残すことができる。
ICタグユニット605は、ICチップ605aおよびアンテナ605bより構成されており、帯状に延びる長尺状のアンテナ605bの中央付近にICチップ605aが配置されている。ICチップ605aは集積回路として形成されるものであり、制御部およびメモリー領域を有する。メモリー領域には、識別データとしてのID情報が格納されている。アンテナ605bは、アルミ等の金属薄層で形成されており、その厚みはICチップ605aの厚みよりも薄い。また、アンテナ605bは、共振周波数が2.45GHz等の一定周波数となるようにアンテナパターンとして作製されている。
ICチップ605aのメモリー領域に格納されたID情報は、制御部により呼び出されてアンテナ605bから発信し得るように構成されており、アンテナ605bから発信されたID情報をリーダー/ライターとして形成されるスキャナーで受信して読み取ることができるようになっている。詳細には、スキャナーから前記周波数の微弱な電波で呼び出しが行われ、この電波で誘導電磁界が形成される。この誘導電磁界内にアンテナ605bが位置する程度に、スキャナーをアンテナ605bに近接させると、アンテナ605bに電磁誘導により起電力が発生する。ICチップ605aではこの起電力を電源として、メモリー領域に格納されているID情報が制御部で呼び出されてアンテナ605bから送信され、このように発信されたID情報をスキャナーで受信して読み取ることができるようになっている。
ICタグユニット605(アンテナ605b)は、図36に示すように、粘着剤層603が形成された基材層602に対し、当該基材層602の一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。詳細には、アンテナ605bは基材層602の対角線上にはなく、アンテナ605bの長手方向が基材層602の両対角線と交差している。この場合、長尺状のアンテナ605bはその長手方向が基材層602のすべての辺方向と交差することとなる。そして、前記矩形状突起部731を構成する両突起片に跨って封印シール601が貼付されているのに伴って、アンテナ605bも両突起片に跨っている。
また、封印シール601には、アンテナ605bの長手方向に沿って多数のアンテナ用切り込み606が等間隔に並置するようにして形成されている。アンテナ用切り込み606は、アンテナ605bの長手方向に対して略直交する方向に延びる直線状であり、基材層602の表面側から粘着剤層603の背面側まで貫通している(なお、図35ではアンテナ用切り込み606は図示省略している)。ちなみに、アンテナ用切り込み606が延びる方向は、アンテナ605bの長手方向に対して略直交する方向であるため、基材層602のすべての辺方向と交差している。また、アンテナ用切り込み606は、アンテナ605bに若干掛かる構成となっている。この場合に、アンテナ605bはアンテナ用切り込み606により分断されていないため、ID情報の送信に関して弊害は生じない。また、アンテナ用切り込み606がアンテナ605bを挟んで直線状に並ばないように、アンテナ605bの一側に位置するアンテナ用切り込み606と他側に位置するアンテナ用切り込み606とはずらして形成されている。詳細には、アンテナ605bの一側に位置するアンテナ用切り込み606と他側に位置するアンテナ用切り込み606とは、アンテナ605bの長手方向に沿って交互に並ぶように形成されている。
上記封印シール601を第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731から剥がそうとする場合、できるだけ該封印シール601を損なわないようにするには、剥がす力に伴う応力が、基材層602の隅角に対して局所的に集中したり封印シール601の折り曲げ部分に集中したりしないように、封印シール601の短辺に沿う方向に剥がすことが必要となるが、この方向はアンテナ605bの延びる方向に対して交差する方向である。従って、剥がす力に伴う応力がアンテナ605bの周囲に位置するアンテナ用切り込み606の端部に集中することで、アンテナ用切り込み606を端緒とする断裂が生じて基材層602が破壊され、これに伴いアンテナ605bが分断されることとなる。アンテナ605bが分断されるとID情報がアンテナ605bから送信されなくなるので、ID情報をスキャナーで読み取ることができなくなる。よって、封印シール601を第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731からできる限りきれいに剥がして第1制御基板ボックス730Aを開封し、制御基板80に対して不正を行った後に、第1制御基板ボックス730Aを封印すべく封印シール601を再度きれいに原状に復すように貼ったとしても、当該不正行為を容易に発見することができる。
封印シール601の4隅には、基材層602の表面側から粘着剤層603の背面側まで貫通する隅部切り込み607がそれぞれ形成されている。詳細には、隅部切り込み607は、封印シール601の隅角の内側にて当該隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。よって、封印シール601がその一辺に沿う方向に剥がされるのではなく隅角側から(即ち封印シール601の辺に対し斜方向に)剥がされたとしても、隅部切り込み607から封印シール601に破壊が生じることとなる。これにより、不正行為の痕跡を残すことができる。
封印シール601の外縁には、図35に示すように、外側端部から内側に向けて多数の外縁切り込み608が形成されている。これら外縁切り込み608は、内側から外側に向けて開く鋭角のV字状となっており、さらに封印シール601の外周に沿う方向に等間隔で形成されている。従って、第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731から封印シール601を剥がそうとすると、この剥がす力に伴う応力が外縁切り込み608の内側端部に集中して封印シール601に破れなどといった破壊が生じる。これにより、封印シール601が剥がされたことの痕跡を残すことができ、制御基板80に対して不正行為が行われたことを容易に発見することができる。
ただし、上記のように外縁切り込み608が形成された構成においては、封印シール601の一辺全体からその辺に直交する方向に沿って封印シール601が剥がされると封印シール601の破壊が生じ難い。即ち、封印シール601をその角から剥がす場合や、封印シール601の外縁における隣り合う外縁切り込み608間を摘んで剥がす場合などは、剥がす力に伴う応力が少数の外縁切り込み608の内側端部に集中するため、外縁切り込み608を介した封印シール601の破壊が生じ易いのに対し、矩形状の封印シール601の一辺全体からその辺に直交する方向に沿って剥がす場合には、剥がす力に伴う応力が多数の外縁切り込み608の内側端部に分散されるため、外縁切り込み608を介した封印シール601の破壊が生じ難い。よって、後者の方式で封印シール601が剥がされると、外縁切り込み608では不正の痕跡が残らない場合がある。ところが、前述したように、アンテナ605bが封印シール601の一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って延びるようにして斜めに配置されているので、封印シール601の一辺全体からその辺に直交する方向に沿って封印シール601が剥がされたとしてもアンテナ605bが分断されることとなる。これにより、不正行為を容易に発見することができる。
基材層602の表面には、図35に示すように、インク塗布部609、識別情報部610および機種情報部611が設けられている。インク塗布部609には、紫外線等の特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別情報部610には、複数の数字が記載されており、当該識別情報部610に記載される数字は遊技機毎に異なっている。この場合に、識別情報部610に記載される数字はICチップ605aに格納されているID情報と対応づけて設定されている。例えば、ID情報が数字で登録されている場合には、ID情報の数字と識別情報部610に記載された数字との和が、遊技ホールなどに設置された複数の遊技機において同一となるように設定されている。機種情報部611には、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカー名などが記載されている。
ここで、封印シール601の図35における上部領域R1は、図33に示すように、ボックスカバー732の突起片の表側面(重合面と反対側の面)に貼付することを意図して形成された領域となっている。よって、第1制御基板ボックス730Aに対峙する位置からは、インク塗布部609および識別情報部610を視認することができるので、インク塗布部609および識別情報部610の確認作業を容易に行うことができる。また、封印シール601の図35における中間領域R2は、図33に示すように、ボックスカバー732およびボックスベース733の両突起片の突出端面(即ち矩形状突起部731の突出端面)に貼付することを意図して形成された領域となっている。よって、機種情報部611に記載された内容は第1制御基板ボックス730Aを取り外すことなく確認することができる。なお、下部領域R3は、ボックスベース733の突起片の表側面(重合面と反対側の面)に貼付することを意図して形成された領域となっている。
上述のようにインク塗布部609および識別情報部610が設けられていることにより、第1制御基板ボックス730Aが不正に交換された場合に、その交換がなされていることを容易に発見することができる。即ち、交換された不正用の基板ボックスが正規の第1制御基板ボックス730Aと外観上区別できなかったとしても、インク塗布部609に特定の光を照射し模様が表れないことを確認することで交換されたことを発見することができる。また、不正用の基板ボックスのシールにICタグユニットが設けられていたとしても、ID情報をスキャナーで読み取り、その情報と識別情報部610の情報とを確認することで交換されたことを発見することができる。
上記構成によれば、制御基板80を収容するボックスカバー732とボックスベース733とを跨ぐようにしてICタグユニット605を有する封印シール601が貼り付けられているので、第1制御基板ボックス730Aを開封するためには、矩形状突起部731から封印シール601を剥がし当該矩形状突起部731のネジ固定を解除する必要がある。この場合に、封印シール601をその隅角から剥がしていくと、剥がす力に伴う応力が基材層602の隅角部分に集中し、基材層602は適度な脆性を有しているので、基材層602が大きく破壊されることとなる。また、封印シール601の外縁には、内側から外側端部に向けて鋭角のV字状に開いた外縁切り込み608が形成されているので、封印シール601をその隅角から剥がしていくと、剥がす力に伴う応力が外縁切り込み608の内側端部(内側に尖った部位)に集中し、基材層602がより破壊されやすくなっている。さらに、封印シール601が第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731に対して略コ字状に折り曲げて貼り付けられているので、封印シール601をその隅角から剥がしていくと、剥がす力に伴う応力が折り曲げ部分に集中し、同様に基材層602が大きく破壊されることとなる。この場合、封印シール601が不正に剥がされたこと、即ち、制御基板80に対して不正が行われたことの痕跡が明確に残ることとなる。よって、制御基板80に対して不正を行おうとする者は、封印シール601の一辺全体からその辺に直交する方向に沿って剥がすことで、剥がす力に伴う応力を基材層602の一辺全体に分散させ、ベース部材が極力破壊されないようにすることとなる。ところが、アンテナ605bをその長手方向が封印シール601のすべての辺方向と交差するように配置する構成とすることにより、封印シール601をその一辺全体から剥がそうとすると、アンテナ605bの長手方向と交差する方向に破壊が生じる。そして、アンテナ605bが長尺状であり、アンテナ605bの長手方向と交差する方向の寸法は短くなっていることにより、破壊が生じた位置にてアンテナ605bが分断されることとなる。この場合、遊技ホールの管理者等がスキャナーによりICチップ605aに格納されたID情報を確認できなくなるため、主基板に対して不正が行われたことを容易に且つ確実に発見することができる。
また、上記のとおり、アンテナ605bを基材層602の一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って延びるように配置する構成とすることにより、アンテナ605bを基材層602の一辺に沿って設ける構成に比べ、アンテナ605bの長さ寸法が大きく確保されている。よって、封印シール601が剥がされた場合におけるアンテナ605bの分断が生じる機会を多く設けることができる。
また、ICチップ605aをアンテナ605bの長手方向の略中央に配置する構成とすることにより、上記のとおりアンテナ605bが封印シール601の一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置された構成においてはICチップ605aの位置は封印シール601の中央付近となる。よって、ICチップ605aの厚みに起因して封印シール601が剥がし易くなることを抑制することができる。即ち、ICチップ605aは所定の厚みを有するため、封印シール601におけるICチップ605aの周囲と第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731との間には隙間が生じることとなる。この場合に、ICチップ605aが封印シール601の外縁側にあるとその外縁と第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731との隙間に指を掛けることで封印シール601が剥がし易くなる。これに対して、ICチップ605aの位置が封印シール601の中央付近であることにより、ICチップ605aの厚みに起因して封印シール601の外縁と第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731との間に隙間が生じることはない。
また、基材層602におけるアンテナ605bの周囲にアンテナ用切り込み606を形成する構成とすることにより、封印シール601が剥がされた場合にアンテナ用切り込み606の端部から基材層602が破壊されるのに伴ってアンテナ605bも破壊され、その位置にてアンテナ605bが分断されることとなる。よって、アンテナ605bが分断され易くなり、主基板に対して不正が行われた場合の発見をより確実に行うことができる。特に、アンテナ用切り込み606をアンテナ605bの長手方向及び基材層602のすべての辺方向に対して交差する方向に延びる線状の切り込みとすることにより、封印シール601がその一辺に沿う方向に剥がされた場合の剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み606のアンテナ側端部に集中し易くなる。これにより、封印シール601がその一辺に沿う方向に剥がされた場合のアンテナ605bの分断をより確実に発生させることができる。なお、アンテナ用切り込み606はアンテナ605bに達する位置まで形成されているので、封印シール601が不正に剥がされた場合にアンテナ605bが分断され易い構成となっている。また、アンテナ用切り込み606がアンテナ605bを挟んで直線上に並ばないように形成されていることにより、例えば、遊技機の製造時における封印シール601の貼り付け作業時などといった不正と関係のない場合にアンテナ605bを挟んで位置するアンテナ用切り込み606が繋がりそれに伴ってアンテナ605bが分断されてしまうことを抑制することができる。
また、封印シール601の4隅に、基材層602の表面側から粘着材層603の背面側まで貫通するL字状の隅部切り込み607をそれぞれ形成する構成とすることにより、封印シール601がその隅角側から剥がされた場合には、剥がす力に伴う応力が隅部切り込み607の端部に集中し、隅部切り込み607から封印シール601に破れなどといった破壊が生じる。よって、制御基板80に対して不正が行われたことの痕跡が封印シール601に残り、当該不正が行われたことを容易に発見することができる。また、当該隅部切り込み607を介した封印シール601の破壊を回避すべく、封印シール601の一辺に沿う方向に当該封印シール601が剥がされたとしても、上記のとおりアンテナ605bの分断が生じるので不正を容易に発見することができる。
なお、粘着材層603を構成する粘着剤に対して溶解性を示す溶剤が封印シール601にかけられたり塗布されたりした場合、基材層602が変色する構成とすることにより、溶剤により粘着材層603の接着力を弱めアンテナ605bを分断させることなく封印シール601を剥がし制御基板80に対して不正行為が行われたとしても、当該不正行為が行われたことを容易に発見することができる。また、封印シール601に対して所定温度以上の熱が加えられた場合も同様に、基材層602が変色する構成とすることにより、所定温度以上の熱を加えることにより粘着材層603の接着力を弱めアンテナ605bを分断させることなく封印シール601を剥がし制御基板80に対して不正行為が行われたとしても、当該不正行為が行われたことを容易に発見することができる。
本変更態様においてはさらに、図33に示すように、第1制御基板ボックス730Aの矩形状突起部731に、カッター部材(封印シール切断部材)734およびシールカバー部材735が組み付けられるようになっている。
上記カッター部材734は、上記矩形状突起部731に対応して縦長の帯状に延びる本体部734Bの上端に係止部734Nが、下端に軸支部(図示せず)がそれぞれ一体的に形成された樹脂製の部材となっており、ボックスカバー732およびボックスベース733の両突起片の間に挟み込むようにして、矩形状突起部731内に配置されるようになっている。本体部734Bの上端近傍および下端近傍にはそれぞれ、上記矩形状突起部731における突起片のネジ固定用のネジ挿通孔に対応するネジ挿通孔が穿設され、本体部734Bの外側端縁(図では右側端縁)は刃状に鋭利に成形されている。軸支部は、矩形状突起部731の下端部の内部に、前後方向の軸を中心に回動可能に支持される構成となっており、カッター部材734が、下端部を中心として回動することにより、矩形状突起部731から外側(図では右側)へ傾倒するようにして引き出され、あるいは逆に矩形状突起部731内へ起立するようにして収容されるように、即ち図33に矢印A1で示すように揺動可能に保持されるようになっている。係止部734Nは、本体部734Bの上端から前方(図では後方)へ側面視鉤状に折曲して延出した延出片となっており、該延出片の上面には左右方向(カッター部材734が回動する場合の周方向)に沿って延びる係止突条734Eが一体的に形成され、該係止突条734Eの外側端部(図では右側端部)は先端へかけて下傾する斜面となっている。
上記シールカバー部材735は、上記矩形状突起部731を内部にかなり余裕をもって収容し得る、概略縦長の直方体状であって第1制御基板ボックス730Aに対向する一側面(図では左側面)が全面的に開放された概略箱形のキャップ状部材となっている。該シールカバー部材735の上下両壁における開放側端縁(図では左側端縁)には、上記カッター部材734の係止突条734Eに係止し得る爪(図示せず)が内側面に突設された係止片735Eが一体的に形成されている。
上記シールカバー部材735において、前側壁面、後側壁面および一方側壁面の上端部ならびに上側壁面の4面に渡る領域(以下、「上部領域」と称す)735Tと、前側壁面、後側壁面および一方側壁面の下端部ならびに下側壁面の4面に渡る領域(以下、「下部領域」と称す)735Bとには、それぞれ、前記実施形態におけるステージ形成部材429の表皮層42Tと同様の表皮層(積層構造は図示省略)が形成されており、これにより上部領域735Tおよび下部領域735Bにおける外皮が半透明鏡となっており、一方、上部領域735Tおよび下部領域735Bとの間の3面に渡る領域(以下、「中部領域」と称す)735Mは、表皮層が形成されることなく透明樹脂のみで構成されている。
ボックスカバー732の矩形状突起部731形成側端面壁(図では右側端面壁)の内側には、矩形状突起部731の上端よりやや後下方(図では前下方)の位置ならびに矩形状突起部731の下端よりやや後上方(図では前上方)の位置にそれぞれ、封印シール状態確認用LED736T、736Bが外側(図では右側)へ向けて配置され、パチンコ機の稼動中は矩形状突起部731とシールカバー部材735との間の隙間(余裕)を通して外部へ光を照射するようになっており、矩形状突起部731を挟んで反対側(図では後側)においても、同様にして上下2箇所に封印シール状態確認用LEDが配置されている(図示せず)。
上記第1制御基板ボックス730Aを組み立てる工程においては、ボックスカバー732にボックスベース733を嵌着する際に、カッター部材734を軸支部で軸支させながらボックスカバー732およびボックスベース733の両突起片の間に介装し上下のネジ737で固定するようにして矩形状突起部731を構成し、この矩形状突起部731に封印シール601を貼付した後、該矩形状突起部731の基端部までシールカバー部材735を被せるように嵌着する。そうすると、シールカバー部材735の係止片735Eがカッター部材734の係止突条734Eに弾性的に係止する(図示省略)。こうして、矩形状突起部731にシールカバー部材735をいったん嵌着すると、第1制御基板ボックス730Aを開封するためにボックスカバー732とボックスベース733とを分離するにはまずシールカバー部材735を取り外すことが必要となるが、上記のように係止片735Eと係止突条734Eとが係止していることにより、シールカバー部材735を取り外すと、これに引きずられるようにしてカッター部材734が不可避的に取り外されることとなる。このとき、上述の通り封印シール601がカッター部材734も含め矩形状突起部731を外側から覆うように貼付されているので、必然的に封印シール731がカッター部材734により切断されることとなる。したがって上記のようにしてカッター部材734およびシールカバー部材735を第1制御基板ボックス730Aに取り付けた構成により、封印シール601による封印がより確実なものとなっている。
内部の点検等の目的で上記第1制御基板ボックス730Aを開封する場合には、シールカバー部材735の係止片735Eをカッター部材734の係止突条734Eから工具等により強制的に取り外してシールカバー部材735を矩形状突起部731から取り除き、封印シール601を剥離、除去して、矩形状突起部731を固定しているネジ737を取り外し、ボックスカバー732とボックスベース733とを分離する。この後、再度第1制御基板ボックス730Aを封印する場合には、新たな封印シールを用意して前述の手順を繰り返すようにする。
上記第1制御基板ボックス730Aにおいては、上述の通り、カッター部材734が、下端部の軸支部で矩形状突起部731の下端部の内部に回動可能に支持され、上端部の係止突条734Eにシールカバー部材735の係止片735Eが弾性的に係止する構成となっているが、本変更態様においては、これと上下対称の構成、即ち、カッター部材が、上端部の軸支部で矩形状突起部の上端部の内部に回動可能に支持され、下端部の係止突条にシールカバー部材735の係止片735Eが弾性的に係止する構成とした、別タイプの第1制御基板ボックスとあわせて、二通りのタイプの第1制御基板ボックスが作製されるようになっている(以下、前者の構成を「下側支持タイプ」、後者の構成を「上側支持タイプ」とも称す)。一方、シールカバー部材735は上下対称に構成されているから、同一構成のシールカバー部材735を用いて、下側支持タイプにおけるカッター部材734の係止突条734Eには上側の係止片735Eで、上側支持タイプにおけるカッター部材の係止突条には下側の係止片で、それぞれ係止するよういなっている。
上記構成においては、矩形状突起部731にシールカバー部材735を嵌着すると、カッター部材734の上端部および下端部がそれぞれ、シールカバー部材735の上部領域735Tおよび下部領域735Bに覆われることになって、封印シール状態確認用LEDの消灯時には上部領域735Tおよび下部領域735Bが鏡面状となり、したがって、これら上部領域735Tおよび下部領域735Bの内側の状況は外部から視認し得ない状態となり、当該第1制御基板ボックスが上側支持タイプおよび下側支持タイプのいずれのものであるかが不明となる。このような状態で、例えば不正行為者が第1制御基板ボックスを不正に開封しようとした場合には、カッター部材の係止突条とシールカバー部材735の係止片735Eとの係止状態を解除して、封印シールを切断することなくシールカバー部材735を取り外そうとすることになるが、このとき、カッター部材とシールカバー部材735とが上側で係止しているのか下側で係止しているのかが不明であるため、見当を付けて上側または下側で係止状態を解除しようとすることになる。すると、1/2の確率で見当が外れた場合には、係止状態が正しく解除されないままシールカバー部材735が取り外されることとなって封印シールが切断されることとなる。即ち、発覚することなく不正行為がなされることを、一定の確率で阻止することができる。
また、上記構成においては、シールカバー部材735の上部領域735Tおよび下部領域735Bが半透明鏡となっているが、中部領域735Mは透明樹脂となっているから、封印シール状態確認用LEDが消灯している状態であっても、封印シール601の状況や表面に付された識別情報部610等の情報等を中部領域735Mを通して外部から目視により容易に確認し得る状態に保持されるようになっている。
この例では、不正対象部位であるカッター部材の係止部を覆う被覆部としてシールカバー部材735の上部領域735Tおよび下部領域735Bと、上記シールカバー部材735の上部領域735Tおよび下部領域735Bよりも内側にあって該上部領域735Tおよび下部領域735B側へ光を照射し得る発光部として封印シール状態確認用LED736T、736B(反対側の図示しない封印シール状態確認用LEDも含む)と、を備え、上記シールカバー部材735の上部領域735Tおよび下部領域735Bが半透明鏡となっているので、封印シール状態確認用LED736T、736Bが消灯している状態では、シールカバー部材735の上部領域735Tおよび下部領域735Bが覆うカッター部材の係止部が外側からは透視し得ないように保持されることとなり、例えば夜間に暗がりの中でカッター部材の係止部に確実に(100%の確率で)不正操作を加えることは困難となる。一方、封印シール状態確認用LED736T、736Bが点灯している状態では、この封印シール状態確認用LED736T、736Bからの発光によって封印シール601の全体が外側から透視してその状況を容易に確認し得ることとなる。
また、シールカバー部材735の上部領域735Tおよび下部領域735Bが、金属を使用することなく、樹脂を金属層に近似するように成形することによって、金属薄膜に近似する樹脂薄膜を形成して半透明鏡としたものとなっているので、不正対象部位であるカッター部材の係止部の近傍に配置された封印シール601に、ノイズなどの悪影響が生じ難くなっている。
なお、本変更態様においては、第1制御基板ボックスとして上側支持タイプおよび下側支持タイプの2タイプが作製されるようになっているが、例えば、係止位置を2箇所だけでなく3箇所以上に設けて基板ボックスを3タイプ以上用意するようにしてもよく、これによれば、見当が外れる確率をより高く(2/3以上と)することができ、したがって、発覚することなく不正行為がなされることを、より高確率で阻止することができる。
(8)前記実施形態ならびに以上の変更態様において、基板ボックスの表側部材(ボックスカバー)、裏カバー、基板ボックスの表側部材(ボックスカバー)における少なくともIC被覆部分ないしコネクタカバーが被覆部となっている場合には、これらの各部がそれぞれ全体的に半透明鏡となっているが、例えばこれらの各部のうち、遊技機における開閉軸側とは反対側の壁のみを半透明鏡とし、これにより被覆部の形成をより容易としてコストも低減するようにしてもよい。例えば不正行為者が夜間に島内に忍び込んで遊技機の裏側から不正行為を行おうとする場合、遊技機を全開にせず少しだけ隙間を空けるように開いて不正行為を行おうとすることもあり、このような場合には、少なくともこの隙間から見える側の壁、即ち遊技機における開閉軸側とは反対側の壁が半透明鏡となっていれば一定の不正防止効果を得ることが可能である。
(9)前記実施形態ならびに以上の変更態様においては、発光部として、制御基板表面の通電状態確認用LEDや状態報知用セグメント、センターフレーム照明用ないしセンターフレーム等の遊技盤内外照明用のLEDランプ(反射手段も含む)といった、本来は別の所定の箇所の照明用として配置された光源を、被覆部へ光を照射する発光部として利用した構成が幾つか例示されているが、このように別の所定の箇所の照明に用いられる光源からの光を、それ自体でも、あるいは反射手段を介しても、被覆部へ十分に照射することが困難な場合には、前記封印シール状態確認用LEDのように、被覆部よりも内側にあって該被覆部側へ光を照射し得る発光部を別途用意して配置するようにしてもよい。
(10)前記実施形態においては、パチンコ機10が例示されていたが、遊技機としては、パチンコ機以外にも、スロット機、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機も例示される。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
なお本明細書は、次に掲げる発明をいずれも開示している。
本発明にかかる遊技機は、手段A1として、
遊技球が流下する遊技領域を備え、
前記遊技領域の内外において遊技球と接触し得る部位の少なくとも一部が、金属と同等または実質的に同等の光沢を呈し得る光沢層と、該光沢層を外部から視認可能に覆う透過層とが積層された構造を有することを特徴とする。
本発明において、「金属と同等または実質的に同等の光沢を呈し得る光沢層」とは、外光を反射して金属と同等または実質的に同等の光沢を有する外観を呈することが可能なものであれば任意のものを含意し、例えば、金属または合金よりなる層、固体表面に金属をめっきしたり蒸着したり等して形成された層、前述したように樹脂等の非金属材料を金属層に近似するように成形して得られた層、等がいずれも含まれる。
また、「光沢層を覆う」とは、例えば部品を配置したり、断熱層としたりといったように、それ自体で何らかの用途に利用され得るような、一定の空隙を間に介在させて覆うこと、ならびに一定の空隙を間に介在させることなく密着して光沢層を覆うこと(即ち光沢層を実質的に隙間なく覆うこと)のいずれをも意味する。この場合、例えば積層工程で予期せず混入した気泡等はこのような一定の空隙には該当せず、したがってこの気泡等のみを含んだ状態で光沢層を覆うことは後者の一定の空隙を間に介在させることなく密着して(即ち実質的に隙間なく)光沢層を覆うことに相当する。一方、例えば光沢層との間に一定の余裕を有した状態で透明なカバーを配置すること等は前者の一定の空隙を間に介在させて覆うことに相当する。
上記手段A1の構成によれば、光沢層が透過層によって外力から防護されることとなり、これにより、たとえ遊技球が頻繁に接触しても表面の剥離等の変形は生じ難くなり、遊技球の流下の様態が影響を受けるといった事態も回避することができる。また、光沢層が透過層によって、このように防護されながら外部から視認可能に覆われるため、見栄えが損なわれることもなく、したがって意匠性も良好に維持されることとなる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A2として、手段A1の遊技機において、
前記光沢層が、非金属材料を金属層に近似するように成形して得られた層となっていることを特徴とする。
上記手段A2の構成によれば、光沢層が電気部品に対して悪影響を生じ難く、このためメッキ層の場合のように光沢層の形成部分と電気部品とを遠ざけて配置したり電気部品自体として悪影響を受け難い高性能のものを用いたりといった対策は不要とすることができる。したがって、意匠性を向上させながら、遊技盤の設計を制約されることなく高い設計自由度を確保することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A3として、手段A2の遊技機において、
前記光沢層と透過層とが積層された構造が、入賞装置の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする。
上記手段A3の構成によれば、入賞装置は入賞検出スイッチに近い位置にあるので、入賞検出スイッチに対する悪影響を回避できる効果が特に発揮される。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A4として、手段A1から手段A3のいずれかの遊技機において、
前記光沢層と透過層とが積層された構造が、大入賞装置において大入賞口を前方から覆う板部材に形成され、
前記板部材が、半透明鏡となっていることを特徴とする。
大入賞口を前方から覆う板部材は、遊技球が頻繁に接触するとともに、最も前面側に位置していて装飾性ないし意匠性も特に要求されるので、上記手段A4のように光沢層と透過層とが積層された構造が好適に適用され、さらにその上、遊技球が大入賞口に入球していくかまたは入球せずに流下していくかという挙動が視認し得るようにしておくことも要求される部位であるから、上記手段A4のように半透明鏡の構成とすることが特に有用である。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A5として、手段A2または手段A3の遊技機において、
前記光沢層と透過層とが積層された構造が、入賞口を備えるステージの少なくとも一部に形成されていることを特徴とする。
上記手段A5の構成によれば、入賞検出スイッチが近い位置に配置されることとなるため、入賞検出スイッチに対する悪影響を回避できる効果が特に発揮される。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A6として、手段A1から手段A5のいずれかの遊技機において、
前記遊技領域の内外において遊技球と接触し得る部位の少なくとも一部が、光沢層を有する表皮層の内側に基体層が形成された積層構造を有することを特徴とする。
上記手段A6の構成によれば、例えば基体層としてリサイクル樹脂等を用いることもできる。遊技球と接触し得る部位の表面は、外観の良好性とともに、遊技球が接触することから平滑性ないし低い摩擦係数を有することなどが要求されるが、リサイクル樹脂は不純物が混入することから平滑性や摩擦係数にはどうしてもバラツキが生じて要求レベルの品質は確保し難く、したがって遊技球が接触する部位の表面を構成する材料としては適さない。ところが、上記手段A6の構成においては上述の通り遊技球と接触し得る部位の少なくとも一部の表面は表皮層となっていて、この表皮層が外観や平滑性等の特性を担うようになっているので、内側の基体層としては、一定の剛性のような基体に必要な特性を備えるものであればよく、したがってリサイクル樹脂も問題なく使用することができ、そのぶん、材料コストを低減することができるとともに、資源の有効利用および環境保全の観点からも望ましい。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B1として、
不正行為の対象となり得る部位(本明細書においては、「不正対象部位」とも称す)を覆う被覆部と、
前記被覆部よりも内側にあって該被覆部側へ光を照射し得る発光部と、を備え、
前記被覆部が半透明鏡となっていることを特徴とする。
本発明において、「不正行為の対象となり得る部位(不正対象部位)」とは、遊技機内外にあって不正行為の対象として狙われ得る部位であれば任意の部位を含意し、例えば、主制御基板、払出制御基板等の各種制御基板、各種制御基板を備える主制御装置、払出制御装置等の各種制御装置、各種入賞検出スイッチ、払出装置、CRサンドと称されるカードリーダーユニット(玉貸機)、CRサンドと遊技機との接続部(配線、コネクタ部、基板等)、等がいずれも含まれる。
また、「発光部」は、専ら被覆部に光を照射するように構成されたものだけでなく、例えば被覆部以外の部位に照射することを意図して構成された光源からの光を、そのまま利用したり反射させたり等して被覆部にも照射されるようにしたもの、等も含意する。
また、「半透明鏡」とは、マジックミラー、ハーフミラーなどとも称され、板ガラス、透明樹脂等の透明部材に、金属をめっきしたり蒸着したりすることによって金属薄膜を形成して半透明にしたものであり、これを設置した場合、その両側のうち、明るい側からは光を反射して鏡のようにしか見えず、一方、暗い側からは明るい側からの光を透過させるため明るい側が透視できるようになるものであるが、本発明においては、これに加えて、前述したように、透明部材に、樹脂等の非金属材料を金属層に近似するように成形することによって、金属薄膜に近似する非金属薄膜を形成して半透明にし、これにより上述と同等の機能を奏し得るようにしたもの、等も含意する。
上記手段B1の構成によれば、発光部が消灯している状態では、被覆部より内側は外側よりも暗くなるため、該被覆部が覆う不正対象部位が外側からは透視し得ないように保持されることとなり、例えば不正行為者が夜間に暗がりの中で被覆部の外側から照明をあてて不正対象部位に不正行為を施そうとしても、被覆部は照明の光を鏡状に反射するだけで内部の不正対象部位は視認することができず、したがって不正行為を行うことは困難となる。一方、発光部が点灯している状態では、この発光部から照射される光によって被覆部より内側が明るくなるため、不正対象部位が外側から透視し得ることとなり、例えば遊技機が稼動している間は、少なくとも遊技機の内部は遊技盤が常時照明されていることから、これが発光部の点灯となって不正対象部位が外部から視認し得る状態に保持されることとなり、したがって、例えば透明性が要求される基板ボックス等が被覆部となっている場合であっても、遊技機の稼動時にはこれを透明な状態としておくことができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B2として、手段B1の遊技機において、
前記被覆部が、非金属材料を金属層に近似するように成形することによって、金属薄膜に近似する非金属薄膜を形成して半透明鏡としたものとなっていることを特徴とする。
上記手段B2の構成によれば、不正対象部位およびその周辺の電気部品に、ノイズなどの悪影響が生じ難いようにすることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B3として、手段B1または手段B2の遊技機において、
前記不正対象部位が主制御基板のコネクタ接続部分であり、被覆部としてコネクタカバーが半透明鏡となっていることを特徴とする。
上記手段B3の構成によれば、コネクタ接続部分に対して不正行為が加えられることを効果的に防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B4として、手段B1から手段B3のいずれかの遊技機において、
前記不正対象部位が制御基板のCPUであり、被覆部としてボックスカバーにおける少なくともIC被覆部分が半透明鏡となっていることを特徴とする。
上記手段B4の構成によれば、制御基板のCPUに対して不正行為が加えられることを効果的に防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B5として、手段B4の遊技機において、
前記被覆部としてボックスカバーの全体が半透明鏡となっていることを特徴とする。
上記手段B5の構成によれば、不正対象部位である制御基板のCPUの位置が外部からより把握され難くなって不正行為をより効果的に防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B6として、手段B4または手段B5の遊技機において、
前記制御基板のCPUが防護壁に覆われていることを特徴とする。
上記手段B6の構成によれば、CPUが防護壁により外部からの接触が困難となり、これによりさらに不正行為が困難となる。換言すれば、不正対象部位である制御基板のCPUが、前記ボックスカバーの半透明鏡としての機能により隠蔽することと、防護壁により防護することとの二通りの対策によって、効果的に不正行為から防御されることとなる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B7として、手段B1から手段B6のいずれかの遊技機において、
前記不正対象部位が遊技機の背面部の少なくとも一部であり、被覆部として裏カバーが半透明鏡となっていることを特徴とする。
上記手段B5の構成によれば、裏カバーにより不正対象部位である遊技機の背面部を広範囲に渡り一度に覆うことができて不正操作を効果的に防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B8として、手段B7の遊技機において、
前記裏カバーが、実質的に遊技機の背面における下端まで延びる延長部を有するものとなっていることを特徴とする。
上記手段B7の構成によれば、不正対象部位をさらに広範囲に渡り一度に覆うことができて不正操作をより効果的に防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B9として、手段B1から手段B8のいずれかの遊技機において、
前記不正対象部位が封印シール切断部材の係止部であり、被覆部として封印シールカバーにおける、少なくとも封印シール切断部材の係止部を覆う部分が半透明鏡となっていることを特徴とする。
上記手段B9の構成によれば、封印シール切断部材の係止部に対して不正行為が加えられることを効果的に防止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B10として、手段B1から手段B9のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機であることを特徴とする。
パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて有価物体の一例である球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カード書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
パチンコ機にあっては、半透明鏡とした被覆部で不正対象部位を覆い、発光部により該被覆部側へ光を照射し得る構成としたことにより、不正行為が加えられることを効果的に防止することが可能なパチンコ機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B11として、手段B1から手段B9のいずれかの遊技機において、
遊技機がスロット機であることを特徴とする。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
スロット機にあっては、半透明鏡とした被覆部で不正対象部位を覆い、発光部により該被覆部側へ光を照射し得る構成としたことにより、不正行為が加えられることを効果的に防止することが可能なスロット機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B12として、手段B1から手段B9のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機とスロット機を融合させた遊技機であることを特徴とする。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機にあっては、半透明鏡とした被覆部で不正対象部位を覆い、発光部により該被覆部側へ光を照射し得る構成としたことにより、不正行為が加えられることを効果的に防止することが可能な、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機が得られる。