JP2011216761A - 圧着ツール、圧着方法、および液滴吐出ヘッドの製造方法。 - Google Patents

圧着ツール、圧着方法、および液滴吐出ヘッドの製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】フレキシブル基板の端子部と接続部品の電極とを、確実に導通可能に圧着可能な圧着ツールを提供する。
【解決手段】圧着ツール800は、フレキシブル基板500の端子部512を、電極80に対して圧着させるものであり、本体部810と、複数の凸部820a,820a…を備えた圧着層820と、この圧着層820を本体部810の下面810aに貼り付ける接着層830とを備えている。凸部820aは、圧着時に配線の長手方向に対して略直角方向に沿って延在する断面矩形の突条であればよい。
【選択図】図6

Description

本発明は、フレキシブル基板の端子部を電極に対して圧着するための圧着ツール、およびこれを用いた圧着方法に関する。
マイクロデバイスを製造する方法の1つとして液滴吐出法(インクジェット法)が知られている。この液滴吐出法は、デバイスを形成するための材料を含む液状体を液滴状にして液滴吐出ヘッドより吐出するものである。液滴吐出法に基づいてマイクロデバイスを製造する際、マイクロデバイスの更なる微細化の要求に応えるために、液滴吐出ヘッドに設けられたノズル開口部どうしの間の距離(ノズルピッチ)はできるだけ小さい(狭い)ことが好ましい。上記圧電素子はノズル開口部に対応して複数形成されるため、ノズルピッチを小さくすると、そのノズルピッチに応じて圧電素子どうしの間の距離も小さくする必要がある。ところが、圧電素子どうしの間の距離が小さくなると、それら複数の圧電素子のそれぞれとICドライバとをワイヤボンディングの手法によって接続することが困難となる。
このため、液滴吐出ヘッドの溝内に形成された圧電素子の電極とICドライバとを、フレキシブル基板を介して接続した液滴吐出装置が記載されている。こうした液滴吐出装置によれば、溝の深さ方向に向けて下がるフレキシブル基板の端子部(接続部)を水平方向に折り曲げて、圧電素子の電極に対してフレキシブル基板の端子部を圧着させて接続している。
従来、こうしたフレキシブル基板の端子部と、接続対象となる部品の電極との接続においては、フレキシブル基板の端子と接続部品の電極との間に異方導電性ペースト(ACP:Anisotropic Conductive paste)を接合材として挟んで接合してなるものが知られている。このACPは、樹脂に導電性粒子(例えば銀粒子)を分散させたものであり、端子の接合方向だけに導電性が得られ、端子の配列方向は絶縁を確保することができる。
しかしながら、この異方導電性ペースト(ACP)は極めて高価であり、また、隣接する端子間の形成ピッチを狭めると端子間の絶縁性が低下し、隣接する端子間で短絡する虞があるため、端子を狭い間隔で高密度に配列できないという課題があった。このため、例えば、フレキシブル基板の端子部と接続部品の電極との間に比較的安価な絶縁性樹脂(NCP:Non Conductive Polymer)を挟んで圧着するものが知られている。
こうした接合材を介して基板の端子部と接続部品の電極とを圧着する方法として、例えば、特許文献1には、圧着対象物に対して往復移動をする出力軸を備えた流体シリンダと、この出力軸に支持される圧着ヘッドとを備え、圧着ヘッドの自重を調整し、流体シリンダが発生させる往動時の推力を増加させることによって、圧着ヘッドの自重を調整し、圧着対象物どうしを圧着させる圧着方法が記載されている。
特開2004−273687号公報
しかしながら、フレキシブル基板の端子部と接続部品の電極とを絶縁性樹脂(NCP)を用いて接続する場合、フレキシブル基板の端子部の一面と、接続部品の電極の一面との間に絶縁性樹脂を配して、特許文献1のような方法で圧着面を一様に(均一に)押圧すると、フレキシブル基板の端子部と接続部品の電極との間から絶縁性樹脂が完全に排除されず、電極からフレキシブル基板の端子部の浮き上がった状態になりやすい。このため、フレキシブル基板の端子部と、接続部品の電極との間にNCPが残ってしまい、導通不良を引き起こす懸念があった。
本発明にかかるいくつかの態様は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フレキシブル基板の端子部と接続部品の電極とを、確実に導通可能に圧着可能な圧着ツールを提供することを目的とする。
また、フレキシブル基板の端子部と接続部品の電極とを、確実に導通可能に圧着させる圧着方法を提供することを目的とする。
更に、こうした圧着方法を用いて、フレキシブル基板と溝内に形成された電極とを確実に導通可能に接続できる液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のいくつかの態様は次のような圧着ツール、圧着方法、および液滴吐出ヘッドの製造方法を提供した。
すなわち、本発明の圧着ツールは、フレキシブル基板の一面に配線が複数配列された端子部を、電極に対して圧着させる圧着ツールであって、
前記圧着ツールは、少なくとも前記配線の長手方向に対して略直角方向に沿って設けた、複数の凸部を備えたことを特徴とする。
こうした圧着ツールによれば、フレキシブル基板の配線と電極とを、間欠的に形成された圧着領域で接合材層を排除して互いに圧着(密着)させることが可能になる。これによって、配線と電極との間が確実に導通されるとともに、圧着領域どうしの間に存在する接合材層によって配線と電極とが強固に接着される。
前記凸部は、前記略直角方向に沿って延在する突条からなることが好ましい。
これによって、凸部を容易に形成できるとともに、1つの凸部で複数の配線を電極に圧着することができる。
また、前記凸部は、前記略直角方向に沿って間欠的に配置された複数の突起からなることが好ましい。
これによって、配線と電極との圧着部分を多数形成することができ、配線と電極との間の導通をより一層確実に確保することができる。
前記凸部は、金属を電鋳法によって成形したものであればよい。
電鋳法を用いることで、微細な形状の凸部を金属によって形成することができる。
前記凸部は、樹脂をナノインプリント法によって成形したものであればよい。
ナノインプリント法を用いることで、微細な形状の凸部を樹脂材料によって形成することができる。
前記凸部の突出高さは15μm以上であることが好ましい。
これによって、配線510aの長手方向全体に加重が広がらず、特定部分だけに加重が掛けて、圧着領域を間欠的に形成することができる。
本発明の圧着方法は、フレキシブル基板の一面に配線が複数配列された端子部を、電極に対して圧着させる圧着方法であって、
前記電極の一面に接合材をディップする工程と、少なくとも前記配線の長手方向に対して略直角方向に沿って延びる、複数の凸部を備えた圧着ツールを用いて、前記フレキシブル基板の他面から前記端子部を前記電極に押し付ける工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
このような圧着方法によれば、フレキシブル基板の配線と電極とを、間欠的に形成された圧着領域で接合材層を排除して互いに圧着(密着)させることが可能になる。これによって、配線と電極との間が確実に導通されるとともに、圧着領域どうしの間に存在する接合材層によって配線と電極とを強固に圧着することが可能になる。
前記接合材は絶縁性樹脂であることが好ましい。
これによって、配線間のピッチを狭めても、隣接する配線どうしの絶縁を確実に確保しつつ、配線と電極とを強固に圧着することが可能になる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法は、前記各項記載の圧着方法を備え、圧着ツールを用いて前記フレキシブル基板を電極に圧着したことを特徴とする。
本発明の圧着方法を用いて製造した液滴吐出ヘッドの一例を示す外観斜視図である。 液滴吐出ヘッドを下側から見た斜視図である。 図1のA−A線断面矢視図である。 フレキシブル基板を下面側から見た図である。 (a)は、フレキシブル基板の端子部と圧電素子の電極との圧着部分を上から見たときの説明図である。また、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)は(a)のB−B線での断面図である。 (a)は、本発明の圧着ツールを示す斜視図である。また、(b)は圧着ツールの圧着面を示す平面図であり、(c)は圧着ツールの側断面図である。 本発明の圧着ツールの製造方法の一例を段階的に示した要部拡大断面図である。 本発明の圧着ツールの製造方法の一例を段階的に示した要部拡大断面図である。 本発明の圧着ツールの凸部の形状例を示す断面図、平面図である。 本発明の圧着ツールの別な実施形態を示す側断面図である。 本発明の圧着ツールのナノインプリント法による製造工程を段階的に示した要部拡大断面図である。 本発明の圧着方法によって形成した液滴吐出ヘッドの一適用例である液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る圧着ツール、圧着方法、および液滴吐出ヘッドの製造方法の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
まず、本発明の圧着方法を用いて製造した液滴吐出ヘッドの概要について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は液滴吐出ヘッドの一実施形態を示す外観斜視図、図2は液滴吐出ヘッドを下側から見た斜視図の一部破断図、図3は図1のA−A線断面矢視図、図4はフレキシブル基板を下面側から見た図である。
液滴吐出ヘッド1は、機能液の液滴を吐出するものであって、液滴が吐出されるノズル開口部15を備えたノズル基板16と、ノズル基板16の上面に接続され、液滴が流れる流路を形成する流路形成基板10と、流路形成基板10の上面に接続され、圧電素子300の駆動によって変位する振動板400と、振動板400の上面に接続され、リザーバ100を形成するためのリザーバ形成基板20と、リザーバ形成基板20の上面側に設けられた可撓性を有するフレキシブル基板500と、フレキシブル基板500の下面(一面)500Aに設けられ、圧電素子300を駆動するための駆動回路部(ICドライバ)200と、フレキシブル基板500の下面500Aに設けられ、駆動回路部200と圧電素子300とを電気的に接続する導電部(導電パターン、配線パターン)510とを備えている。
液滴吐出ヘッド1の動作は、外部コントローラCTによって制御される。そして、流路形成基板10と、ノズル基板16と、振動板400とで囲まれた空間によって、ノズル開口部15より吐出される前の機能液が配置される圧力発生室12が形成されている。また、リザーバ形成基板20と流路形成基板10とで囲まれた空間によって、圧力発生室12に供給される前の機能液を予備的に保持するリザーバ100が形成されている。
流路形成基板10の下面側は開口しており、その開口を覆うようにノズル基板16が流路形成基板10の下面に接続されている。流路形成基板10の下面とノズル基板16とは、例えば接着剤や熱溶着フィルム等を介して固定されている。そのノズル基板16には、液滴を吐出するノズル開口部15が設けられている。図2に示すように、ノズル開口部15はノズル基板16に複数設けられている。
具体的には、ノズル基板16には、Y軸方向に複数並んで設けられたノズル開口部15によって構成された、第1ノズル開口群15A、第2ノズル開口群15B、第3ノズル開口群15C、及び第4ノズル開口群15Dのそれぞれが設けられている。第1ノズル開口群15Aと第2ノズル開口群15BとはX軸方向に関して互いに対向するように配置されている。第3ノズル開口群15Cは第1ノズル開口群15Aの+Y側に設けられており、第4ノズル開口群15Dは第2ノズル開口群15Bの+Y側に設けられている。これら第3ノズル開口群15Cと第4ノズル開口群15DとはX軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
なお図2においては、各ノズル開口群15A〜15Dのそれぞれは6個のノズル開口部15によって構成されているように示されているが、実際には、例えば720個程度のノズル開口部15によって構成されている。
流路形成基板10の内側には複数の隔壁11が形成されている。流路形成基板10はシリコンによって形成されており、複数の隔壁11は、流路形成基板10の母材であるシリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより形成される。そして、複数の隔壁11を有する流路形成基板10と、ノズル基板16と、振動板400とで囲まれた空間によって、複数の圧力発生室12が形成される。圧力発生室12は、複数のノズル開口部15に対応するように複数形成されている。すなわち、圧力発生室12は、第1〜第4ノズル開口群15A〜15Dのそれぞれを構成する複数のノズル開口部15に対応するように、Y軸方向に複数並んで設けられている。
そして、第1ノズル開口群15Aに対応して複数形成された圧力発生室12によって第1圧力発生室群12Aが構成され、第2ノズル開口群15Bに対応して複数形成された圧力発生室12によって第2圧力発生室群12Bが構成され、第3ノズル開口群15Cに対応して複数形成された圧力発生室12によって第3圧力発生室群12Cが構成され、第4ノズル開口群15Dに対応して複数形成された圧力発生室12によって第4圧力発生室群12Dが構成されている。第1圧力発生室群12Aと第2圧力発生室群12BとはX軸方向に関して互いに対向するように配置されており、それらの間には隔壁10Kが形成されている。同様に、第3圧力発生室群12Cと第4圧力発生室群12Dとの間にも隔壁10Kが形成されており、それらはX軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
第1圧力発生室群12Aを形成する複数の圧力発生室12のうち、−X側の端部は上述した隔壁10Kによって閉塞されているが、+X側の端部は互いに接続するように集合しており、リザーバ100と接続している。リザーバ100は、機能液導入口25より導入され、圧力発生室12に供給される前の機能液を一時的に保持するものであって、リザーバ形成基板20にY軸方向に延びるように形成されたリザーバ部21と、流路形成基板10にY軸方向に延びるように形成され、リザーバ部21と各圧力発生室12のそれぞれとを接続する連通部13とを備えている。
すなわち、リザーバ100は、第1圧力発生室群12Aを構成する複数の圧力発生室12の共通の機能液保持室(インク室)となっている。機能液導入口25より導入された機能液は、導入路26を経てリザーバ100に流れ込み、供給路14を経て、第1圧力発生室群12Aを構成する複数の圧力発生室12のそれぞれに供給される。
また、第2、第3、第4圧力発生室群12B、12C、12Dのそれぞれを構成する圧力発生室12のそれぞれにも、上述と同様のリザーバ100が接続されている。
流路形成基板10とリザーバ形成基板20との間に配置された振動板400は、流路形成基板10の上面を覆うように設けられた弾性膜50と、弾性膜50の上面に設けられた下電極膜60とを備えている。弾性膜50は、例えば厚み1〜2μm程度の二酸化シリコンによって形成されている。下電極膜60は、例えば厚み0.2μm程度の金属によって構成されている。本実施形態において、下電極膜60は、複数の圧電素子300の共通電極となっている。
振動板400を変位するための圧電素子300は、下電極膜60の上面に設けられた圧電体膜70と、その圧電体膜70の上面に設けられた上電極膜80とを備えている。圧電体膜70は例えば厚み1μm程度、上電極膜80は例えば厚み0.1μm程度である。なお、圧電素子300の概念としては、圧電体膜70及び上電極膜80に加えて、下電極膜60を含むものであってもよい。
すなわち、本実施形態における下電極膜60は、圧電素子300としての機能と、振動板400としての機能とを兼ね備えている。また、本実施形態では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板400として機能するが、弾性膜50を省略した構造とし、下電極膜60が弾性膜(50)を兼ねるようにしてもよい。
圧電体膜70及び上電極膜80、すなわち圧電素子300は、複数のノズル開口部15及び圧力発生室12のそれぞれに対応するように複数設けられている。すなわち、圧電体膜70及び上電極膜80からなる圧電素子300は、各ノズル開口部15毎(圧力発生室12毎)に設けられている。そして、上述したように、下電極膜60は複数の圧電素子300の共通電極として機能し、上電極膜80は複数の圧電素子300の個別電極として機能する。
また、第1ノズル開口群15Aを構成するノズル開口部15のそれぞれに対応するようにY軸方向に複数並んで設けられた圧電素子300によって、第1圧電素子群300Aが構成されており、第2ノズル開口群15Bを構成するノズル開口部15のそれぞれに対応するようにY軸方向に複数並んで設けられた圧電素子300によって、第2圧電素子群300Bが構成されている。これら第1圧電素子群300Aと第2圧電素子群300BとはX軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
同様に、第3、第4ノズル開口群15C、15Dを構成するノズル開口部15のそれぞれに対応するようにY軸方向に複数並んで設けられた圧電素子300によって、第3、第4圧電素子群300C、300Dが構成されており、それら第3、第4圧電素子群300C、300Dどうしは、X軸方向に関して対向するように配置されている(なお、第3、第4圧電素子群300C、300Dは図3の紙面奥側に形成されているものであって、図示されていない)。
リザーバ形成基板20には、封止膜31と固定板32とを有するコンプライアンス基板30が接合されている。封止膜31は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚み6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルム)からなり、この封止膜31によってリザーバ部21の上部が封止されている。
また、固定板32は、金属等の硬質の材料(例えば、厚み30μm程度のステンレス鋼)で形成される。この固定板32のうち、リザーバ100に対応する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部33となっているため、リザーバ100の上部は、可撓性を有する封止膜31のみで封止され、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部22となっている。
通常、機能液導入口25からリザーバ100に機能液が供給されると、例えば、圧電素子300の駆動時の機能液の流れ、あるいは、周囲の熱などによってリザーバ100内に圧力変化が生じる。しかしながら、上述のように、リザーバ100の上部が封止膜31のみよって封止されて可撓部22となっているため、この可撓部22が撓み変形してその圧力変化を吸収する。したがって、リザーバ100内は常に一定の圧力に保持される。なお、その他の部分は固定板32によって十分な強度に保持されている。
そして、リザーバ100の外側のコンプライアンス基板30上には、リザーバ100に機能液を供給するための機能液導入口25が形成されており、リザーバ形成基板20には、機能液導入口25とリザーバ100の側壁とを連通する導入路26が設けられている。
リザーバ形成基板20のうち、X軸方向に関して中央部には、Y軸方向に延びる溝部700が形成されている。溝部700によって、リザーバ形成基板20は、第1圧力発生室群12Aに対応して設けられた第1圧電素子群300Aを封止する第1封止部20Aと、第2圧力発生室群12Bに対応して設けられた第2圧電素子群300Bを封止する第2封止部20Bとに分けられる(図3参照)。
同様に、溝部700によって、第3圧力発生室群12Cに対応して設けられた第3圧電素子群300Cを封止する第3封止部20Cと、第4圧力発生室群12Dに対応して設けられた第4圧電素子群300Dを封止する第4封止部20Dとに分けられる(なお、第3、第4封止部20C、20Dは図3の紙面奥側に形成されているものであって、図示されていない)。そして、溝部700においては、流路形成基板10(隔壁10K)の一部が露出している。
つまり、リザーバ形成基板20のうち、圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部24が設けられている。圧電素子保持部24は、第1〜第4封止部20A〜20Dのそれぞれに形成されており、第1〜第4圧電素子群300A〜300Dを覆う大きさで形成されている。また、圧電素子300のうち、少なくとも圧電体膜70は、この圧電素子保持部24内に密封されている。
このように、リザーバ形成基板20は、圧電素子300を外部環境と遮断して、圧電素子300を封止するための封止部材としての機能を有している。リーザバ形成基板20によって圧電素子300を封止することで、水分等の外部環境による圧電素子300の破壊を防止することができる。また、本実施形態では、圧電素子保持部24の内部を密封状態にしただけであるが、例えば、圧電素子保持部24内の空間を真空にしたり、あるいは窒素又はアルゴン雰囲気等とすることにより、圧電素子保持部24内を低湿度に保持することができ、圧電素子300の破壊をさらに確実に防止することができる。
また、リザーバ形成基板20は剛体であって、そのリザーバ形成基板20を形成する材料としては、例えば、ガラス、セラミック材料等の流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板が用いられている。
図3に示すように、第1封止部20Aの圧電素子保持部24によって封止されている圧電素子300のうち、上電極膜80の−X側の端部は、第1封止部20Aの外側まで延びており、溝部700における流路形成基板10上に配置されている。また図3に示すように、溝部700における流路形成基板10上に下電極膜60の一部が配置されている場合においては、上電極膜80と下電極膜60との間の電気的な接続を防止するための絶縁膜600が、上電極膜80と下電極膜60との間に設けられる。
同様に、第2封止部20Bの圧電素子保持部24によって封止されている圧電素子300のうち、上電極膜80の+X側の端部が、第2封止部20Bの外側まで延びて、溝部700における流路形成基板10上に配置されている。同様に、不図示ではあるが、第3、第4封止部20C、20Dで封止されている圧電素子300のうち、上電極膜80の一部が、第3、第4封止部20C、20Dの外側まで延びでおり、第3、第4封止部20C、20Dどうしの間に設けられた溝部700における流路形成基板10上に配置されている。
圧電素子300を駆動するための駆動回路部200は、例えば回路基板あるいは駆動回路を含む半導体集積回路(IC)を含んで構成されており、フレキシブル基板500の下面(一面)500Aに接続されている。圧電素子300は駆動回路部200により駆動される。フレキシブル基板500は可撓性を有しており、例えばポリイミドからなる絶縁性のフィルム状部材によって構成されている。また、フレキシブル基板500の下面500Aには、銅などの導電性材料からなる導電性の配線パターン510が、プリント方式により、メッキやエッチングなどの手法によって設けられている。
図4に示すように、フレキシブル基板500の下面500Aの所定領域には駆動回路部200が設けられている。駆動回路部200は、フレキシブル基板500の下面500Aにフリップチップ実装されて前記配線パターン510の一部と接続している。駆動回路部200は、第1〜第4ノズル開口群15A〜15Dに応じて複数(4つ)設けられている。第1〜第4ノズル開口群15A〜15Dに応じて設けられた第1〜第4駆動回路部200A〜200Dのそれぞれは、フレキシブル基板500に対してフリップチップ実装された後、樹脂201によってフレキシブル基板500に対して固定される。
フレキシブル基板500の一部には開口部520が形成されている。具体的には、開口部520は、第1駆動回路部200Aと第2駆動回路部200Bとの間の領域、及び第3駆動回路部200Cと第4駆動回路部200Dとの間の領域において、Y軸方向に延びるように形成されている。
フレキシブル基板500とリザーバ形成基板20との間には、樹脂(樹脂材料:モールド材)202が配置されており、フレキシブル基板500とリザーバ形成基板20とは、その樹脂202による樹脂モールドによって固定されている。更に、その樹脂202は、溝部700の内側にも配置されており、端子部512と圧電素子300(上電極膜80)との接続部が樹脂モールドされている。
図4に示すように、開口部520のY軸方向両端部のそれぞれには切欠部521が形成されている。そして、その切欠部521によって、フレキシブル基板500のうち、開口部520に対向する一部の領域(エッジ領域)530が開口部520の内側に曲げる(撓む)ことができるようになっている。エッジ領域530は、各駆動回路部200A〜200Dと開口部520との間の領域であって、開口部520に対向するエッジ領域530のエッジ部530Eは、Y軸方向に沿ってほぼ直線状に形成されている。すなわち、本実施形態においては、エッジ領域530は、Y軸方向を長手方向とする矩形状の領域であって、エッジ部530EがY軸まわり(θY方向)に回転するように曲げられるようになっている。
フレキシブル基板500の下面500Aのうち、開口部520におけるエッジ領域530には、配線パターン510の一部を構成する端子部512が形成されている。第1駆動回路部200Aと開口部520との間の第1エッジ領域530Aには、第1駆動回路部200Aに配線パターン510を介して電気的に接続する複数の端子部512が形成されている。第1エッジ領域530Aに設けられた複数の端子部512は、第1圧電素子群300Aを構成する複数の圧電素子300(上電極膜80)のそれぞれに接続するものであって、第1圧電素子群300Aを構成する複数の圧電素子300に対応するように、Y軸方向に複数(例えば720個)並んで設けられており、第1端子群512Aを構成している。したがって、端子部512と圧電素子300とが接続することで、その端子部512を含む配線パターン510を介して、駆動回路部200と圧電素子300とが電気的に接続される。
同様に、第2駆動回路部200Bと開口部520との間の第2エッジ領域530Bには、第2圧電素子群300Bを構成する複数の圧電素子300に対応するようにY軸方向に複数(例えば720個)並んで設けられた端子部512からなる第2端子群512Bが設けられている。第1エッジ領域530Aと第2エッジ領域530Bとは、X軸方向に関して互いに対向するように配置されており、それら第1、第2エッジ領域530A、530Bのそれぞれに形成されている第1端子群512A及び第2端子群512Bも、X軸方向に関して互いに対向するように配置された構成となっている。
また同様に、第3駆動回路部200Cと開口部520との間の第3エッジ領域530Cには、第3圧電素子群300Cを構成する複数の圧電素子300に対応するようにY軸方向に複数(例えば720個)並んで設けられた端子部512からなる第3端子群512Cが設けられており、第4駆動回路部200Dと開口部520との間の第4エッジ領域530Dには、第4圧電素子群300Dを構成する複数の圧電素子300に対応するようにY軸方向に複数(例えば720個)並んで設けられた端子部512からなる第4端子群512Dが設けられている。そして、第3エッジ領域530Cと第4エッジ領域530Dとは、X軸方向に関して互いに対向するように配置されている。
このような構成の液滴吐出ヘッド1より機能液の液滴を吐出する際には、外部コントローラCTは、機能液導入口25に接続された不図示の外部機能液供給装置を駆動する。外部機能液供給装置から送出された機能液は、機能液導入口25を介してリザーバ100に供給された後、ノズル開口部15に至るまでの液滴吐出ヘッド1の内部流路を満たす。また、外部コントローラCTは、フレキシブル基板500に設けられた外部信号入力部580を介して、駆動回路部200等に駆動電力や指令信号を送る。
フレキシブル基板500の下面500Aには配線パターン510が設けられており、外部信号入力部580からの指令信号等は、その配線パターン510を介して駆動回路部200に送られる。駆動回路部200は、外部コントローラCTからの指令に基づいて、端子部512を含む配線パターン510を介して、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜70を変位させることにより、各圧力発生室12内の圧力を高めて、ノズル開口部15より液滴を吐出する。
フレキシブル基板500の端子部512と圧電素子300の電極(上電極膜80)との圧着部分の構成について詳述する。
図5(a)は、フレキシブル基板の端子部と圧電素子の電極との圧着部分を上から見たときの説明図である。また、図5(b)は図5(a)のA−A線での断面図、図5(c)は図5(a)のB−B線での断面図である。
フレキシブル基板500は、一端側が溝部700(図1参照)に入り込み、端子部512において配線パターン510を構成する複数本の配線510a,510a…は、圧電素子300の上電極膜(電極)80と電気的に接続される。即ち、フレキシブル基板500の下面(一面)500Aに形成されている配線510aが上電極膜(電極)80に対して導通可能に圧着されている。
図5(a)、図5(b)に示すように、フレキシブル基板500の下面(一面)500Aには、互いに所定の間隔を開けて複数本の配線510aが形成され、配線パターン510を構成している。それぞれの配線510aは、長手方向Lに沿って延びる。一方、圧電素子300の上電極膜(電極)80も、所定の間隔を開けて複数形成され、上電極膜(電極)80と配線510aとが1対1で対応するように圧着されている。そして、このフレキシブル基板500の下面(一面)500Aと圧電素子300の上電極膜(電極)80との間には、フレキシブル基板500と上電極膜(電極)80とを接着するための接合材層(接合材)85が形成されている。
この接合材層(接合材)85は、例えば、先供給型アンダーフィル材が用いれば良く、圧電素子300の上電極膜(電極)80の一面にペースト状のNCP(Non Conductive Polymer)を塗布しておいたり、フィルム状のNCF(Non Conductive Film)を貼り付けておくことによって形成される。接合材層85を構成する接合材は、こうした絶縁性樹脂以外にも、例えば、異方性導電膜(ACF:anisotropic conductive film)や異方性導電ペースト(ACP:anisotropic conductive paste)を含む異方性導電性材料を用いることもできる。
図5(a)、図5(c)に示すように、配線510aと上電極膜(電極)80とは、配線510aの長手方向Lに対して略直角方向Mに沿って延びる圧着領域Pで、接合材層(接合材)85を介さずに互いに密着される。
また、こうした圧着領域Pは、配線510aの長手方向Lに対しては間欠的に形成される。そして、これら圧着領域Pどうしの間には接合材層(接合材)85が介在し、配線510aと上電極膜(電極)80とを強固に接着する。
このような構成によって、フレキシブル基板500の配線510aと圧電素子300の上電極膜(電極)80とは、間欠的に形成された圧着領域Pで接合材層(接合材)85を介さずに互いに圧着(密着)され、配線510aと上電極膜(電極)80との間が確実に導通されるとともに、圧着領域Pどうしの間に存在する接合材層(接合材)85によって配線510aと上電極膜(電極)80とが強固に接着される。
図6(a)は、こうしたフレキシブル基板の配線と圧電素子の電極との圧着に用いる本発明の圧着ツールを示す斜視図である。また、図6(b)は圧着ツールの圧着面を示す平面図であり、図6(c)は圧着ツールの側断面図である。
本発明の圧着ツール800は、フレキシブル基板500の端子部512を、電極80に対して圧着させるものであり、本体部810と、複数の凸部820a,820a…を備えた圧着層820と、この圧着層820を本体部810の下面810aに貼り付ける接着層830とを備えている。凸部820aは、圧着時に配線80の長手方向Lに対して略直角方向M(図5参照)に沿って延在する、断面矩形の突条であればよい。
こうした凸部820aを含む圧着層820は、例えばニッケル、銅などの金属から形成されれば良い。また、複数の凸部820aは、例えば電鋳法によって形成されれば良い。凸部820aは、延在方向に直交する幅W1が5〜20μm、例えば10μm程度に形成されれば良い。また、隣接する凸部820aどうしの形成ピッチW2は、10〜100μm、例えば50μm程度に形成されれば良い。また、凸部820aの突出高さHは、15μm以上に形成されれば良い。
図7は、本発明の圧着ツールの製造方法の一例を段階的に示した要部拡大断面図である。
凸部を金属によって形成した圧着ツールは、以下に示す電鋳法によって形成することが好ましい。まず、図7(a)に示すように、金属製の基板825の一面825aに、例えば紫外線硬化樹脂からなるレジスト層840を形成する。そして、凸部を形成する部分を遮光させたレジストマスク845を介して、例えば紫外線UVをレジスト層840に照射する。これによって、紫外線UVが照射された部分だけレジスト層840が硬化する。この後、未硬化のレジスト層840を除去すれば、凸部の形成部分が凹部840aとして形成された形状のレジスト層840が得られる(図7(b)参照)。
次に、基板825を陰極とし、NiやCuを陽極として、電鋳法によってレジスト層840の凹部840aに陽極の金属を析出させる(図7(c)参照)。その後、レジスト層840を除去すれば、基板825の一面825aに金属の凸部820aが複数形成された圧着層820を得ることができる(図7(d)参照)。こうして得た圧着層820を接着層などを介してブロック状の本体部に貼り付けることによって、図6に示すような本発明の圧着ツール800を得ることができる。
次に、こうした圧着ツールを用いた本発明の圧着方法について説明する。フレキシブル基板の配線と圧電素子の上電極膜(電極)とを圧着させる際には、まず、図8(a)に示すように、圧電素子300の上電極膜(電極)80の一面(上面)に、例えばNCPなどの絶縁性樹脂からなる接合材をディップし、接合材層85を形成する。
次に、図8(b)に示すように、フレキシブル基板500の一端側で複数の配線510aが配列された配線パターン510を、接合材層85を介して上電極膜(電極)80に対向させる。そして、図8(c)に示すように、本発明の圧着ツール800を用いてフレキシブル基板500の上面(他面)500B側から、フレキシブル基板500を上電極膜(電極)80に押し付ける。この時、圧着ツール800の少なくとも凸部820aが、フレキシブル基板500の基材(例えばポリイミド)を塑性変形可能な温度以上に加熱されているのが好ましい。
複数の凸部820aを備えた圧着ツール800を用いて、フレキシブル基板500を上面500Bから押圧すると、図8(c)に示すように、長手方向Lに沿って延在する配線510aのうち、凸部820aによって押圧された部分が、上電極膜(電極)80の一面(上面)80aに形成された接合材層85を確実に押し退け(排除し)、上電極膜(電極)80に圧着(密着)される。この時、凸部820aの突出高さH(図6(c)参照)が、例えば15μm以上になるように圧着ツール800を形成しておくことによって、配線510aの長手方向Lにおける全体に加重が広がらず、特定部分だけに加重が掛かる。
こうして、フレキシブル基板500の配線510aと圧電素子300の上電極膜(電極)80との間に、凸部820aで押された領域だけに間欠的に圧着領域Pが形成される。こうして形成された圧着領域Pで、配線510aと上電極膜(電極)80とが絶縁性の接合材層(接合材)85を介さずに互いに圧着(密着)され、配線510aと上電極膜(電極)80との間で確実に導通が確保される。一方、こうした圧着領域Pどうしの間に存在する接合材層(接合材)85によって、配線510aと上電極膜(電極)80とが強固に接着される。
以上のような工程を経て、図8(d)に示すように、フレキシブル基板500の配線510aと圧電素子300の上電極膜(電極)80とが、間欠的に形成された圧着領域Pで接合材層(接合材)85を介さずに互いに圧着(密着)され、配線510aと上電極膜(電極)80との間が確実に導通されるとともに、圧着領域Pどうしの間に存在する接合材層(接合材)85によって配線510aと上電極膜(電極)80とが強固に接着される。 この後、さらに、溝部700内(図3参照)に樹脂(樹脂材料:モールド材)202を充填することにより、フレキシブル基板500全体をより強固に固定することができる。
以上のような本発明の圧着方法に用いる圧着ツールは、上述した実施形態のように、凸部の形状が、圧着時に配線の長手方向に対して略直角方向に沿って延在する断面矩形の突条に限定されない。図9は、圧着ツールの凸部の形状例を示す断面図、平面図である。図9(a)に示す圧着ツール801では、凸部821aを延在方向の断面が三角形となるように形成した。これによって、配線と電極との圧着に絶縁性樹脂(NCP)を用いても、圧着部分の絶縁性樹脂の排除性がより一層高められ、配線と電極との導通を確実に確保して圧着することが可能となる。
また、図9(b)に示す圧着ツール802では、凸部822aを延在方向の断面が先端部分が半円形のカマボコ形となるように形成した。こうした形状の凸部822aであっても、配線と電極との圧着にあたって、圧着面での絶縁性樹脂(NCP)の排除性を高め、配線と電極との導通を確実に確保して圧着することが可能となる。
また、図9(c)に示す圧着ツール803は、圧着時に配線の長手方向に対して略直角となる方向Mに沿って、間欠的に配置された多数の三角錐状の突起823bから凸部823aを構成したものである。こうした凸部823aを備えた圧着ツール803も、配線と電極との圧着にあたって、圧着面での絶縁性樹脂(NCP)の排除性を高め、多数の圧着領域を形成して、配線と電極との導通を確実に確保しつつ圧着することが可能となる。
さらに、図9(d)に示す圧着ツール804は、圧着時に配線の長手方向に対して略直角となる方向Mに沿って、間欠的に配置された多数の半球状の突起824bから凸部824aを構成したものである。こうした凸部824aを備えた圧着ツール804も、配線と電極との圧着にあたって、圧着面での絶縁性樹脂(NCP)の排除性を高め、多数の圧着領域を形成して、配線と電極との導通を確実に確保しつつ圧着することが可能となる。
上述した実施形態では、本発明の圧着方法に用いる圧着ツールの凸部を金属から構成しているが、それ以外にも、例えば、樹脂から形成することも好ましい。図10(a)は、圧着ツールの別な実施形態を示す側断面図である。
本発明の圧着ツール900は、フレキシブル基板の端子部を、電極に対して圧着させるものであり、本体部910と、複数の凸部920a,920a…を備えた圧着層920とを備えている。凸部920aは、圧着時に配線80の長手方向Lに対して略直角方向M(図5参照)に沿って延在する、断面矩形の突条であればよい。
こうした凸部920aを含む圧着層920は、例えば紫外線硬化樹脂などの樹脂材料から形成されている。こうした樹脂材料からなる複数の凸部920aは、例えばナノインプリント法によって形成されれば良い。このような、凸部920aを樹脂材料で形成した圧着ツール900は、例えば、図10(b)に示すような、互いに異なる厚みの配線511aと配線511bとを備えたフレキシブル基板501と、圧電素子300の上電極膜(電極)80との圧着にも好ましく適用することができる。
即ち、図10(c)に示すように、配線511aよりも厚みが厚い配線511bを圧電素子300の上電極膜(電極)80に押し付けると、この配線511bが形成された部分のフレキシブル基板501が盛り上がるようになる。この時、圧着ツール900の凸部920aが柔軟な樹脂材料で形成されていると、凸部920aの一部が変形して(凹んで)こうしたフレキシブル基板501の一部の盛り上がりを吸収できる。これによって、互いに厚みが異なる配線511aと配線511bとを備えたフレキシブル基板501を、圧電素子300の上電極膜(電極)80に対してほぼ均等な圧着力で圧着することができ、配線511aと配線511bと上電極膜(電極)80とを確実に導通させることができる。
図11は、上述したような凸部が樹脂材料で形成された圧着ツールのナノインプリント法による製造工程を段階的に示した要部拡大断面図である。
まず、図11(a)に示すように、例えば基板925の一面925aに、例えば紫外線硬化樹脂からなるレジスト層940を形成する。次に、図11(b)に示すように、形成する凸部の形状を象った電鋳金型945を用意して、レジスト層940に対面させる。この電鋳金型945は、前述した電鋳法によって、陰極となる金属基板に陽極の金属を析出させて凸部を形成したものであればよい。
次に、図11(c)に示すように、電鋳金型945をレジスト層940に押し付ける。そして、図11(d)に示すように、電鋳金型945をレジスト層940に押し付けた状態で、レジスト層940に紫外線UVを照射しレジスト層940を硬化させる。なお、レジスト層として熱硬化型樹脂を使用した場合には、この工程においてレジスト層を加熱すればよい。
この後、硬化したレジスト層940から電鋳金型945を取り外すと、図11(d)に示すように、基板925の一面925aに樹脂材料からなる凸部920aが複数形成された圧着層920を得ることができる。
次に、本発明の圧着方法によって形成した液滴吐出ヘッドの適用例として、液滴吐出装置IJを図12を参照しながら説明する。図12は液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
図12において、液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と、駆動軸4と、ガイド軸5と、コントローラCTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ6とを備えている。ステージ7は液滴吐出ヘッド1より機能液を吐出される基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。液滴吐出ヘッド1のノズル開口部からは、ステージ7に支持されている基板Fに対して機能液が吐出される。
駆動軸4には駆動モータ2が接続されている。駆動モータ2はステッピングモータ等であり、コントローラCTからY軸方向の駆動信号が供給されると、駆動軸4を回転させる。駆動軸4が回転すると、液滴吐出ヘッド1はY軸方向に移動する。ガイド軸5は基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、駆動モータ3を備えている。駆動モータ3はステッピングモータ等であり、コントローラCTからX軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をX軸方向に移動する。
コントローラCTは液滴吐出ヘッド1に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。更に、コントローラCTは、駆動モータ2に対して液滴吐出ヘッド1のY軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給するとともに、駆動モータ3に対してステージ7のX軸方向への移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構8は液滴吐出ヘッド1をクリーニングするものであって、図示しない駆動モータを備えている。この駆動モータの駆動により、クリーニング機構8はガイド軸5に沿ってX軸方向に移動する。クリーニング機構8の移動もコントローラCTにより制御される。ヒータ6はここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された機能液に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ6の電源の投入及び遮断もコントローラCTにより制御される。
そして、液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。
なお、上述した実施形態において、液滴吐出ヘッド1より吐出される機能液としては、液晶表示デバイスを形成するための液晶表示デバイス形成用材料、有機EL表示デバイスを形成するための有機EL形成用材料、電子回路の配線パターンを形成するための配線パターン形成用材料などを含むものとする。これにより、液滴吐出装置IJは、液滴吐出法に基づいて吐出した機能液によって、上記各デバイスを製造することができる。
1…液滴吐出ヘッド、15…ノズル開口部、15A〜15D…ノズル開口群、20…リザーバ形成基板(封止部材)、70…圧電体膜(圧電素子)、80…上電極膜(電極)、85…接合材層(接合材)、200…駆動回路部、202…樹脂(樹脂材料:モールド材)、300…圧電素子(駆動素子)、300A、300B…圧電素子群(駆動素子群)、500…フレキシブル基板、510…配線パターン(導電部)、510a…配線、512…端子部、513…屈折部、700…溝部、800…圧着ツール、820…圧着層、820a…凸部、830…接着層。

Claims (9)

  1. フレキシブル基板の一面に配線が複数配列された端子部を、電極に対して圧着させる圧着ツールであって、
    前記圧着ツールは、少なくとも前記配線の長手方向に対して略直角方向に沿って設けた、複数の凸部を備えたことを特徴とする圧着ツール。
  2. 前記凸部は、前記略直角方向に沿って延在する突条からなることを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
  3. 前記凸部は、前記略直角方向に沿って間欠的に配置された複数の突起からなることを特徴とする請求項1または2記載の圧着ツール。
  4. 前記凸部は、金属を電鋳法によって成形したものであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の圧着ツール。
  5. 前記凸部は、樹脂をナノインプリント法によって成形したものであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の圧着ツール。
  6. 前記凸部の突出高さは15μm以上であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の圧着ツール。
  7. フレキシブル基板の一面に配線が複数配列された端子部を、電極に対して圧着させる圧着方法であって、
    前記電極の一面に接合材をディップする工程と、
    少なくとも前記配線の長手方向に対して略直角方向に沿って延びる、複数の凸部を備えた圧着ツールを用いて、前記フレキシブル基板の他面から前記端子部を前記電極に押し付ける工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする圧着方法。
  8. 前記接合材は絶縁性樹脂であることを特徴とする請求項7記載の圧着方法。
  9. 請求項7または8記載の圧着方法を備え、圧着ツールを用いて前記フレキシブル基板を電極に圧着したことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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