JP2011214623A5 - - Google Patents
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上記課題を解決するための手段として、本発明は、ディスクロータを挟んで両側に配置されるブレーキパッドと、少なくとも一側の該ブレーキパッドを前記ディスクロータに押圧するためのピストンと、該ピストンが摺動可能に嵌装されるシリンダボアと、該シリンダボアの内周面に環状溝として設けられたシール溝と、該シール溝に嵌合されて前記ピストンと前記シリンダボアとの間をシールする断面方形状のシール部材とを備え、前記シール溝の底面は、シリンダボア開口側のシール溝壁面からシリンダボア底部側へ向かって拡径されて形成される第1の傾斜部と、該第1の傾斜部よりもシリンダボア底部側に設けられ、前記第1の傾斜部側からシリンダボア底部側へ向かって縮径されて形成される第2の傾斜部と、を有し、前記第1の傾斜部と前記第2の傾斜部との変化部位は、前記シール溝の前記シリンダボア軸方向中心よりも前記シリンダボア開口側に位置し、前記ピストンが前記シリンダボアに嵌装されて圧力がない状態で前記シール部材の外周面と前記シール溝の底面との間に隙間が形成され、かつ、前記シール部材と前記第2の傾斜部との当接により生じる、前記シール溝の底面に対するシリンダボア底部側の前記シール部材の面圧が、前記シール部材と前記第1の傾斜部との当接により生じる、前記シール溝の底面に対するシリンダボア開口側の前記シール部材の面圧よりも高く設定されていることを特徴とする。
本第1の実施形態に係るシール溝15aは、その底面29にシリンダボア開口側のシール溝壁面26からシリンダボア底部側へ向かって拡径する方向に延びる直線状の第1の傾斜部30と、該第1の傾斜部30よりもシリンダボア底部側に連続するように設けられ、第1の傾斜部30のシリンダボア底部側端部からシリンダボア底部側へ向かって縮径する方向にシリンダボア底部側のシール溝壁面27に至るまで延びる直線状の第2の傾斜部31とを有する。第1の傾斜部30と第2の傾斜部31との変化部位32は、シール溝15aのシリンダボア軸方向中心よりもシリンダボア開口側に位置し、ピストンシール部材12のシリンダボア軸方向における略中心に位置している。
また、ピストン5がシリンダボア11に嵌装されて、ピストン5にブレーキ液圧が付与されない状態では、ピストンシール部材12の外周面とシール溝15aの底面29(第1の傾斜部30と第2の傾斜部31)との間に断面三角形状の隙間33が形成されている。しかも、シリンダボア11にピストン5が嵌装された状態では、シリンダボア底部側の第2の傾斜部31からピストンシール部材12に作用する面圧がシリンダボア開口側の第1の傾斜部30からピストンシール部材12に作用する面圧より高く設定されている。
なお、第1の実施形態に係るシール溝15aの底面29に設けた第1の傾斜部30及び第2の傾斜部31は共に直線状で形成されているが、共に凹または凸の湾曲状に形成してもよく、いずれか一方を湾曲状に形成してもよい。
対向するピストン5が近接する方向に推進された時、ピストンシール部材12は、液圧室17の液圧及びピストン5との締め代の嵌合力により、各ピストン5のディスクロータ2側への推進に伴ってシリンダボア開口側に移動する。これによって、各ピストンシール部材12は弾性変形してシリンダボア開口側のシール溝壁面26に設けた面取り部28に入り込んで、ブレーキ液圧が解除されたときのピストン5のシリンダ底部側への復元力が蓄積される。
ここで、第1の実施形態に係るシール溝15aに配置されたピストンシール部材12の熱膨張の挙動を説明する。第1の実施形態に係るシール溝15aは、図4に示すように、ピストンシール部材12の外周面とシール溝15aの底面29との間に断面三角形状の隙間33が設けられ、第1の傾斜部30と第2の傾斜部31との変化部位32が、シール溝15aの軸方向中心からシリンダボア開口側にオフセットされていると共にピストンシール部材12の軸方向略中心に設定され、しかも、シール溝15aの底面29に対するピストンシール部材12のシリンダボア底部側の面圧がシリンダボア開口側の面圧より高く設定されて形成されている。
次に、第2の実施形態に係るピストンシール用のシール溝15bを図5に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態に係るシール溝15aに対して、同様の部位には同一符号を使用して、異なる部位についてのみ詳細に説明する。
第2の実施形態に係るシール溝15bでは、図5に示すように、シリンダボア開口側のシール溝壁面36が、シール溝15bの底面29bに設けた第1の傾斜部30のシリンダボア開口側端部からシリンダボア開口側に向かってピストンシール部材12のシリンダボア開口側の側面との隙間37が次第に大きくなるように傾斜して形成されている。本第2の実施形態においては、該シール溝15bに設けたシリンダボア開口側のシール溝壁面36のシリンダボア11の径方向線に対する傾斜角度γは0°〜5°の範囲内の値に設定されており、好ましくは、傾斜角度γは3°に設定される。なお、シール溝15bのシリンダボア底部側のシール溝壁面27は、シリンダボア11の径方向線と同方向に延びている。
第2の実施形態に係るシール溝15bでは、図5に示すように、シリンダボア開口側のシール溝壁面36が、シール溝15bの底面29bに設けた第1の傾斜部30のシリンダボア開口側端部からシリンダボア開口側に向かってピストンシール部材12のシリンダボア開口側の側面との隙間37が次第に大きくなるように傾斜して形成されている。本第2の実施形態においては、該シール溝15bに設けたシリンダボア開口側のシール溝壁面36のシリンダボア11の径方向線に対する傾斜角度γは0°〜5°の範囲内の値に設定されており、好ましくは、傾斜角度γは3°に設定される。なお、シール溝15bのシリンダボア底部側のシール溝壁面27は、シリンダボア11の径方向線と同方向に延びている。
次に、第3の実施形態に係るピストンシール用のシール溝15cを図6に基づいて説明する。なお、上記第1の実施形態に係るシール溝15aに対して、同様の部位には同一符号を使用して、異なる部位についてのみ詳細に説明する。
第3の実施形態に係るシール溝15cでは、図6に示すように、その底面29cの、ピストンシール部材12のシリンダボア底部側の側面よりもシリンダ底部側に、制動時に発生する熱が冷めて略常温状態となる冷間時にピストンシール部材12の外周面が当接せず、第2の傾斜部31のシリンダボア底部側端部から縮径する方向に延びる第3の傾斜部40が形成されている。該第3の傾斜部40はシリンダボア底部側のシール溝壁面27に接続される。言い換えれば、第3の傾斜部40は、シール溝15cのピストンシール部材12のシリンダボア底部側の側面と、シリンダボア底部側のシール溝壁面27との間の隙間35に臨む底面29cに形成される。また、本第3の実施形態においては、第3の傾斜部40のシリンダボア11の軸線に対する傾斜角度θは45°〜80°の範囲内の値に設定されており、好ましくは、傾斜角度θは68°に設定される。
なお、本第3の実施形態においては、シリンダボア11の軸線に対する第1、第2及び第3の傾斜部30、31、40の傾斜角度α、β、θはα<β<θの関係となるように設定されている。
第3の実施形態に係るシール溝15cでは、図6に示すように、その底面29cの、ピストンシール部材12のシリンダボア底部側の側面よりもシリンダ底部側に、制動時に発生する熱が冷めて略常温状態となる冷間時にピストンシール部材12の外周面が当接せず、第2の傾斜部31のシリンダボア底部側端部から縮径する方向に延びる第3の傾斜部40が形成されている。該第3の傾斜部40はシリンダボア底部側のシール溝壁面27に接続される。言い換えれば、第3の傾斜部40は、シール溝15cのピストンシール部材12のシリンダボア底部側の側面と、シリンダボア底部側のシール溝壁面27との間の隙間35に臨む底面29cに形成される。また、本第3の実施形態においては、第3の傾斜部40のシリンダボア11の軸線に対する傾斜角度θは45°〜80°の範囲内の値に設定されており、好ましくは、傾斜角度θは68°に設定される。
なお、本第3の実施形態においては、シリンダボア11の軸線に対する第1、第2及び第3の傾斜部30、31、40の傾斜角度α、β、θはα<β<θの関係となるように設定されている。
そして、第3の実施形態に係るシール溝15cでは、ピストンシール部材12が熱膨張する際、ピストンシール部材12はその外周面とシール溝15cの底面29cとの間の断面三角形状の隙間33へ体積変化し、且つ第3の傾斜部40によりピストンシール部材12のシリンダボア底部側への体積変化が阻害されるため、ピストンシール部材12のシリンダボア底部側の隙間35への体積増加が第1の実施形態に係るシール溝15aよりもさらに抑制される。したがって、制動熱でピストンシール部材12が熱膨張する際のピストン5のシリンダボア底部側への移動を抑制することができる。
しかも、第3の実施形態に係るシール溝15cでは、その底面29cに第3の傾斜部40を備えているので、シール組付時に、ピストンシール部材12をシール溝15cのシール溝壁面26側に安定して配置することができ、初期の液圧供給時のピストンストローク量のバラツキを低減することができる。
以上説明したように、上述した第1〜第3の実施形態に係るディスクブレーキ1では、ピストン5が嵌装されるシリンダボア11に設けた、ピストンシール部材12が装着されるシール溝15a、15b、15cにおいて、少なくとも、その底面29、29b、29cにシリンダボア開口側のシール溝壁面26からシリンダボア底部側へ向かって拡径する方向に延びる第1の傾斜部30と、該第1の傾斜部30のシリンダボア底部側端部からシリンダボア底部側へ向かって縮径する方向に延びる第2の傾斜部31とを有し、ピストンシール部材12の外周面と第1の傾斜部30と第2の傾斜部31とで囲まれる断面三角形状の隙間33を形成して、第1の傾斜部30と第2の傾斜部31との変化部位32を、シール溝15a、15b、15cのシリンダボア軸方向中心よりもシリンダボア開口側に位置させ、且つピストンシール部材12のシリンダボア軸方向における略中心に位置するように形成している。しかも、シリンダボア11にピストン5が嵌装された状態では、シール溝15a、15b、15cの底面29、29b、29cに対するシリンダボア底部側のピストンシール部材12の面圧がシリンダボア開口側のピストンシール部材12の面圧よりも高く設定されるようになっている。
Claims (8)
- ディスクロータを挟んで両側に配置されるブレーキパッドと、少なくとも一側の該ブレーキパッドを前記ディスクロータに押圧するためのピストンと、該ピストンが摺動可能に嵌装されるシリンダボアと、該シリンダボアの内周面に環状溝として設けられたシール溝と、該シール溝に嵌合されて前記ピストンと前記シリンダボアとの間をシールする断面方形状のシール部材とを備え、
前記シール溝の底面は、シリンダボア開口側のシール溝壁面からシリンダボア底部側へ向かって拡径されて形成される第1の傾斜部と、該第1の傾斜部よりもシリンダボア底部側に設けられ、前記第1の傾斜部側からシリンダボア底部側へ向かって縮径されて形成される第2の傾斜部と、を有し、
前記第1の傾斜部と前記第2の傾斜部との変化部位は、前記シール溝の前記シリンダボア軸方向中心よりも前記シリンダボア開口側に位置し、
前記ピストンが前記シリンダボアに嵌装されて圧力がない状態で前記シール部材の外周面と前記シール溝の底面との間に隙間が形成され、かつ、前記シール部材と前記第2の傾斜部との当接により生じる、前記シール溝の底面に対するシリンダボア底部側の前記シール部材の面圧が、前記シール部材と前記第1の傾斜部との当接により生じる、前記シール溝の底面に対するシリンダボア開口側の前記シール部材の面圧よりも高く設定されていることを特徴とするディスクブレーキ。 - 前記シリンダボアの軸線に対して前記第2の傾斜部のなす角は、前記第1の傾斜部のなす角よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。
- 前記第1の傾斜部及び前記第2の傾斜部は、前記シリンダボア軸方向断面が直線状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
- 前記シール部材は、前記シリンダボア開口側のシール溝壁面に少なくとも一部が当接することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
- 前記シール溝は、前記シリンダボアに前記ピストンが組み付いた状態で、少なくとも前記シール部材の外周面における軸方向のシリンダボア底部側端部に締め代が設定されるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のディスクブレーキ。
- 前記シール溝は、前記シリンダボアに前記ピストンが組み付いた状態で、少なくとも前記シール部材の外周面における軸方向の両端部に締め代が設定されるように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のディスクブレーキ。
- 前記シール溝のシリンダボア開口側のシール溝壁面は、前記シール溝の底面側からシリンダボア開口側に向かって前記シール部材のシリンダボア開口側の側面との隙間が大きくなるように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のディスクブレーキ。
- 前記シール溝の底面には、前記シール部材のシリンダボア底部側の側面よりもシリンダボア底部側に、前記第2の傾斜部のシリンダボア底部側端部から縮径する方向に延びる第3の傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のディスクブレーキ。
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