JP2011214051A - 蒸着用メタルマスク及び蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の自重たわみを安定させると共にこのたわみを利用して基板との密着を容易にする蒸着用メタルマスクを提供する。
【解決手段】金属フレーム10と、金属フレーム10に固定され、複数の開口11を有する金属箔12と、から構成され、金属フレーム10の内縁の角部に基板受け部13が設けられ、基板受け部13のみによって基板20が支持されることを特徴とする、蒸着用メタルマスク1。
【選択図】図1
【解決手段】金属フレーム10と、金属フレーム10に固定され、複数の開口11を有する金属箔12と、から構成され、金属フレーム10の内縁の角部に基板受け部13が設けられ、基板受け部13のみによって基板20が支持されることを特徴とする、蒸着用メタルマスク1。
【選択図】図1
Description
本発明は、蒸着用メタルマスク及び蒸着装置に関する。
有機EL表示装置を構成する電極膜や有機化合物層は、蒸着法等の方法によって所望のパターン形状で形成される。ここで蒸着法でこのパターン形状を形成する際に、従来から所定の開口パターンを有する蒸着用メタルマスクが多用されている。この蒸着用メタルマスクを使用すると、通常1回の蒸着操作によって所望の形状の薄膜(電極膜、有機化合物層)を形成することができる。尚、蒸着用メタルマスクを使用する際には、蒸着時に生じる熱によって開口の形状が変形したり、この開口の形状の変形に伴う精度変化が発生したりするのを防ぐため、鉄、ニッケル等の強度が大きい材料からなる金属箔が使用されている。
ところで、ガラス等からなる基板上に、薄膜(電極膜、有機化合物層)を塗り分けによって所望の形状に形成するためには、基板とメタルマスクとを合わせたときの相互の位置関係が重要である。具体的には、蒸着源から見てXY方向(幅、奥行き)の位置あわせは、各種アライメント方法を利用して適宜調整される。一方、Z方向(高さ)に関しては、基板とメタルマスクを構成する金属箔との密着性向上という観点から、押圧や引力を利用する。
また近年の有機EL装置の製造プロセスにおいては、素子の細密化により、隣接する素子や隣接する画素の混色を防ぐため、基板とマスクを数μm以内のギャップ精度で密着させることが要求されている。
例えば、特許文献1では、基板と被蒸着マスクの密着性を向上するための具体的な方法が提案されている。具体的には、額縁形状の押さえ板によって基板の上面を押すと共に、押さえ板上に配置させたマグネット板の磁力によってメタルマスクが基板の一主面に完全に密着させる方法が開示されている。
図3は、従来の蒸着用メタルマスクを示す模式図であり、(a)は、平面図を表し、(b)〜(d)は、それぞれ(a)のA−A’断面、B−B’断面、C−C’断面の断面図を表す。図3に示されるように、真空蒸着の際に使用するメタルマスクの多くは、蒸着装置の構成やパネルの面付け個数を考慮して、矩形(長方形)を基本にしている。
ここで図3の蒸着用メタルマスク100は、金属箔101と、フレーム102とから構成される。また金属箔101は、一定の張力を加えながらフレーム102に固定されると共に、複数の蒸気通孔から成るパターン開口部103が開けられている。図3の蒸着用メタルマスク100を使用して真空蒸着を行う際には、基板104を蒸着用メタルマスク100上に載置した上で真空蒸着を行う。
ところで基板104を蒸着用メタルマスク100上に載置したときに、基板104自身が中央部を凹部とする緩やかな撓みを持った状態で、基板104の縁部はフレーム102、具体的には、フレーム102の内縁に支持されている(図3(b))。図3(b)に示されるように、基板104は、フレーム102の内縁において支持されながら金属箔101に密着している。このように、基板104の中央部から近いフレーム位置から順に、基板104は蒸着用メタルマスク100に支持されることになる。
このように、基板104を支えるフレーム上の支持点は、中央から近い順に基板中央部より遠い場所へと順次移動していくが、ある程度進んだ位置で、基板の撓みバランスが安定し、支持点が落ち着く場所がある。即ち、図2のような四角形形状の蒸着用メタルマスク100に備えるフレーム102の場合、マスクの中央部から一番遠くなる基板の角部の近傍では、図2(c)や(d)に示されるように、基板101はフレーム102にて支持されていない部分が発生する。このため基板104は、特にその角部が蒸着用メタルマスク100に密着せずわずかに浮いた状態になっていることが、計測によって判明した。
この角部の浮きについてレーザー変位計で計測すると、蒸着用メタルマスク100(に備える金属箔101)と密着している領域では、基板とマスクとのギャップが5μm以下であるのに対して、基板の角部においてこのギャップは数10μm以上ある。このため、蒸着用メタルマスク上に載置される基板において、その角部に浮きが生じていることが判明した。
ここでマスクと基板の角部との密着性を向上させる方法として、特許文献1に記載されている方法、即ち、額縁状に形成された押さえ板を用いて基板の周辺を押し中央部を押上げる方法がある。しかしこの方法を用いると、基板の形状が大きくなればなるほど、自重撓みの影響を受けて基板中央部が沈み込むので、磁力とのバランスをとることが難しくなり、基板の角部以外の場所において基板とマスクとの間の隙間が新たに生じることが懸念される。
また特許文献1にて示されている押さえ板は、マスクや基板の周辺上を全面に渡って押している。その為マスク表面の平面度やガラスの厚み誤差、反りなどの製造上の誤差が生じた場合には、基板の撓み量に不均一が生じることで、特にマスク開口内部に近接する部分やマスクコーナー部近傍において隙間が発生する可能性が懸念される。
このようなことから、真空装置内における基板及びマスクの密着状態に関してはフレームや基板の平面度に左右されること無く、ギャップ量が均一に密着状態が保たれる技術の開発が望まれていた。
本発明の目的は、基板の自重たわみを安定させると共にこのたわみを利用して基板との密着を容易にする蒸着用メタルマスクを提供することである。
本発明の蒸着用メタルマスクは、金属フレームと、
該金属フレームに固定され、複数の開口を有する金属箔と、から構成され、
該金属フレームの内縁の角部に基板受け部が設けられ、
該基板受け部のみによって基板が支持されることを特徴とする。
該金属フレームに固定され、複数の開口を有する金属箔と、から構成され、
該金属フレームの内縁の角部に基板受け部が設けられ、
該基板受け部のみによって基板が支持されることを特徴とする。
本発明によれば、基板の自重たわみを安定させると共にこのたわみを利用して基板との密着を容易にする蒸着用メタルマスクを提供することができる。即ち、基板の支持点を基板の中心から最も遠いところに配置する構成にすることによってマスクと基板との密着性を向上させることができる。
このように、本発明の蒸着用メタルマスクを使用することで、基板の角部の加圧あるいはマスクの吸引を行うことで、フレームの平坦性や基板の厚みばらつきや反りといった、製造上のばらつきを抑えることができ、さらに密着性が上がる。そして本発明の蒸着用メタルマスクを使用することで、配列精度のよい素子を作製することができる。
本発明の蒸着用メタルマスクは、金属フレームと、該金属フレームに固定され、複数の開口を有する金属箔と、から構成される。また金属フレームの内縁の角部には基板受け部が設けられており、この基板受け部のみによって基板が支持されている。
以下、図面を参照しながら、本発明の蒸着用メタルマスクの実施形態について説明するがこれらはあくまでも実施形態の1つであり本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の蒸着用メタルマスクにおける実施形態の例を示す模式図であり、(a)は、平面図を表し、(b)〜(d)は、それぞれ(a)のA−A’断面、B−B’ 断面、C−C’ 断面の断面図を表す。図1の蒸着用メタルマスク1は、金属フレーム10と、この金属フレーム10に固定され、複数の開口11を有する金属箔12と、から構成される。また4箇所ある金属フレーム10の内縁の角部には基板受け部13が設けられており、図1(a)に示されるように、この基板受け部13のみによって基板20が支持されている。
このように本発明の蒸着用メタルマスクは、金属フレーム10の内縁の角部に設けられる基板受け部13のみで基板20を支持しながら、基板20を蒸着用メタルマスク1上に載置させている。
このような構成にすることで、基板20の角部を支持点として基板20の撓みが安定する。具体的には、図1(b)〜(d)に示されるように、基板20が自重により撓んでいるときに、基板20の縁部は、金属フレーム10(の内縁)に支持されずに金属箔12上に載置される(図1(b))。一方、基板20の角部は、金属箔12を介して基板受け部13上に載置される(図1(c)、(d))。従って、従来のように基板20の角部が蒸着用メタルマスク1に対して浮くことがないため、成膜用マスク201との密着状態が良くなり、蒸着ずれが生じないことによって、安定したパネルを製作できるようになる。
以下に、本実施例で使用される蒸着用メタルマスクの構成部材について説明する。
金属フレーム10は、例えば、剛性が大きい金属材料、具体的には、SUS材等からなる矩形形状の枠部材である。本発明において、金属フレーム10、特に、向かい合う内縁の距離は、被蒸着基板の寸法よりも長くする。具体的には、図1(a)に示されるように、基板の長手方向の寸法よりも金属フレームの長手方向の内縁の寸法を長くする一方で、基板の短手方向の寸法よりも金属フレームの短手方向の内縁の寸法を長くする。このようにすることで、基板20が金属箔12を介して基板受け部13にのみ接触・支持されることになる。
金属箔12は、インバー材をエッティング処理して複数の蒸気通孔(開口11)からなるパターン部を有する部材である。また金属箔12は、厚さが数十μm(例えば、30μm)のものが使用される。
基板受け部13は、金属フレーム10の加工、又は金属フレーム10とは別の部材を金属フレーム10の内縁角部に取り付けることで、4箇所ある金属フレーム10の内縁角部にそれぞれ設けられている。
基板受け部13の形状は、例えば、図1(a)に示されるように、平面から視て三角形の形状であるが、基板の支持点が確保できる形状であれば、三角形に限定されるものではない。例えば、三角形にする代わりに扇形にしてもよいし、基板の支持部になる頂点又は辺を有する四角形等の多角形の形状にしてもよい。
ここで基板受け部13を平面から視て三角形の形状とする場合、基板受け部13の斜辺が基板20の対角線と垂直になるようにするのが好ましい。こうすることで、各内縁角部に対して、基板の中心からの距離が均等になり、基板20を蒸着用メタルマスク1に載置する際の位置ずれを防ぐからである。
本実施例において、基板20は、特に限定されるものではないが、例えば、厚さが0.5mmの板ガラスが使用される。
本実施例において、基板20と金属箔12との密着性を評価した。具体的には、基板20を蒸着用メタルマスク1(金属箔12)上に載置した後、レーザー変位計を用いて蒸着用メタルマスク1と基板20の変位量の差からギャップ量を算出した。
その結果、ギャップ量が5μm以下であることが確認された。
[比較例1]
図3の蒸着用メタルマスク100において、実施例1と同様の方法でギャップ量を計測したところ、30μm〜100μmであった。
図3の蒸着用メタルマスク100において、実施例1と同様の方法でギャップ量を計測したところ、30μm〜100μmであった。
次に、図面を参照しながら本発明の真空成膜装置について説明する。
図2は、本発明の真空成膜装置における実施形態の例を示す斜視模式図である。図2の真空成膜装置21は、チャンバ(図示せず)内に、基板20を載置した蒸着用メタルマスク1と、基板押え機構22と、蒸着源23と、を備えている。
図2の真空成膜装置21において、蒸着用メタルマスク1及び基板20は、それぞれ真空成膜装置21の外部にある搬送装置(図示せず)によって真空成膜装置21に搬送される。そして基板20は、アライメント機構(図示せず)によってX,Y方向の位置合わせをした後、基板搬送機構(図示せず)によって蒸着用メタルマスク1上に載置される。
基板押え機構22は、被成膜基板(基板20)を保持するために真空成膜装置21内に設けられている。ここで基板押え機構22とは、具体的には、基板上部から押圧して基板を固定する押圧機構、又はメタルマスク(に備える金属箔)を吸引して基板を固定する吸引機構である。この押圧機構又は吸引機構を用いて基板20の角部を押圧又は吸引することで基板20を蒸着用メタルマスク1上に固定・密着させる。
ここで押圧機構とは、ばね、重り、フランジピン、ボールプランジャなどの部品で構成され、力学的に押圧する手段を備える基板固定機構である。図2の真空成膜装置21において、押圧機構を採用する場合は、基板押え機構22に備えるピン24を基板20上にある固定箇所25に押し当てることで基板20を固定する。
一方、吸引機構とは、マグネット等の吸引手段を備える基板固定機構である。図2の真空成膜装置21において、吸引機構を採用する場合は、基板押え機構22に備えるピン24の先端に取り付けられる磁石(図示せず)を基板20上の固定箇所25に近付け、蒸着用メタルマスク1に備える金属箔を吸引することで基板20を固定する。
このような構成にすると、基板20を蒸着用メタルマスク1上に載置したときに基板20に自重によって生じたそりや厚みのばらつきが抑制されることによって、さらにマスクとの密着状態を増すことができる。また吸引機構によって蒸着用メタルマスクを吸引する場合は、マグネットによって吸引される蒸着用メタルマスク1は剛直な基板20に添って密着する。このため蒸着用メタルマスク1に対しての負担を減らすことによって蒸着用メタルマスク1へのダメージを軽減することができる。
以上説明したように、本発明によれば、蒸着用メタルマスク1上に載置される基板20がフレーム(金属フレーム)の内縁に角部に設けられている基板受け部13で支持されているため、基板20の角部と蒸着用メタルマスク1との間に浮きが生じなくなる。このため基板20と蒸着用メタルマスク1との密着性を向上させることができる。
ここで、図2の真空成膜装置21を用いて、公知の発光材料を用い有機ELパネルの作製を行ったところ、画素領域の全域において、表示ムラのない良好な有機EL素子が得られた。
本発明の蒸着用メタルマスクは、基本的には、有機ELディスプレイに用いる基板に薄膜を形成する際に利用される。ただし、本発明の蒸着用メタルマスクの用途はこれに限定されることはなく、マスクを用いて蒸着プロセスやCVDプロセス等を利用することによって薄膜形成を行う際に広く利用することができる。
1:蒸着用メタルマスク、10:金属フレーム、11:開口、12:金属箔、13:基板受け部、21:真空成膜装置、22:基板押え機構、23:蒸着源、24:ピン、25:固定箇所
Claims (2)
- 金属フレームと、
該金属フレームに固定され、複数の開口を有する金属箔と、から構成され、
該金属フレームの内縁の角部に基板受け部が設けられ、
該基板受け部のみによって基板が支持されることを特徴とする、蒸着用メタルマスク。 - 請求項1又は2に記載の蒸着用メタルマスクと、
被成膜基板を保持するための基板押え機構と、を備えることを特徴とする、真空成膜装置。
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