JP2011213926A - 離型フィルム用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 晶偏光板離型フィルムの広幅化や高速化において、加工適正に優れ、且つ光学特性にも優れた偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルムおよび偏光板離型フィルムを提供する。
【解決手段】 フィルム幅が1460mm以上であり、配向主軸の向きが11度以下であり、ヘーズ値が10〜25%であり、120℃の雰囲気下で5分間保持したときのフィルム長手方向加熱収縮率のフィルム両端の差が0.25%以下であることを特徴とする偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルム、および当該ポリエステルフィルムの片面に離型層を有し、たるみ量が15mm/m以下であることを特徴とする偏光板離型フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、近年著しい成長が見られる液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合がある)において、今後更なる需要が見込まれる40インチ型以上の大きさを有するLCD・偏光板用離型フィルムに用いられるポリエステルフィルムに関するものであり、この大画面分野における生産効率の向上と、それに伴う低価格の実現、また、各種光学検査の適合性に好適な偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルムを提供するものである。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種の用途において使用されている。 その中でも特に、液晶偏光板離型フィルムに関しては、LCD市場の著しい成長に伴う生産量の急激な増加が見られる。また、LCD低価格化に伴い、部材の低価格実現のため、製造歩留まりの向上、および、製造の高速化が大きな問題となっている。
今後40インチ型以上の大きさを有する大画面LCD市場の成長に対応するため、離型フィルムには広幅化とともに偏光板の取り効率の向上も求められている。例えば42インチ型LCD偏光板離型フィルムであれば横930mm×縦520mmの偏光板の縦横を同一フィルム幅から得る場合、1460mm以上の幅が必要とされる。
さらに加えて、品質に関してはフィルムの広幅化に反して、現状の幅のフィルムを離型フィルムへ加工を行う際の加熱による形状変化と、広幅フィルムに起こる形状変化は同程度を求められている。これは両端間の加熱による形状変化の差が大きい場合は、フィルムが加熱加工工程を経て離型フィルムとして巻き取られるまでに、本来のフィルム走行部分を外れ、清浄度が低い部分を走行してしまうことでフィルム表面にキズの発生や異物付着という不具合が生じるためである。この不具合はフィルムに光を透過して見る、視認性を重視する用途向けの検査が必須でもあるため、通常のフィルム用途では全く問題とならないフィルム表面のキズや異物ですら大問題となるため避けなければならない。
また、フィルム表面のキズにより検査の正確性を欠くことが大きな問題となることへの改良方法としてフィルム自体のヘーズを規定する方法(例えば特許文献1)が提案されているが、この方法では表面のキズの隠蔽性に効果はあるものの、表面粗度は低く抑えられることとなるためフィルムの加熱加工工程において滑りやすく、両端間の加熱による形状変化の差が大きいため、本来のフィルム走行部分から大きく外れて走行しやすくなり、より多くのキズを発生させてしまい製造歩留を下げるという問題がある。
さらに、偏光板の欠陥検査としては、クロスニコル法による目視検査が一般的であり、大型TV用途に使用する偏光板等では、クロスニコル法を利用した自動異物検査器による検査も実施されつつある。このクロスニコル法は2枚の偏光板をその配向主軸を直交させて消光状態とし、異物や欠陥があればそこが輝点として現れるので、目視による欠陥検査ができるという方法である。ここで、通常、偏光板には粘着剤層が設けられ、そのための離型フィルムとしては離型層を設置したポリエステルフィルムが使用されている。かかる構成の製品を検査する場合、2枚の偏光板の間に離型ポリエステルフィルムが挟み込まれた状態でクロスニコル検査を実施することになる。一般に、配向の悪いポリエステルフィルムをこれに用いた場合には、クロスニコル法の検査において、異物や欠陥が見にくくなり、それらを見逃しやすくなるという不具合が生じる場合がある。
特開2001−335649号公報
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、その解決課題は、液晶偏光板離型フィルムの広幅化や高速化において、加工適正に優れ、かつ光学特性にも優れた偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成を有する偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルムにより、上記課題が容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、フィルム幅が1460mm以上であり、配向主軸の向きが11度以下であり、ヘーズ値が10〜25%であり、120℃の雰囲気下で5分間保持したときのフィルム長手方向加熱収縮率のフィルム両端の差が0.25%以下であることを特徴とする偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルム、および当該ポリエステルフィルムの片面に離型層を有し、たるみ量が15mm/m以下であることを特徴とする偏光板離型フィルムに存する。
本発明によれば、液晶偏光板離型フィルムの広幅化や高速化において、加工適正に優れ、かつ光学特性にも優れた偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルとしては、代表的には、例えば、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、構成単位の80モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート、構成単位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。その他には、ポリエチレンイソフタレート、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレート等が挙げられる。
上記の優位構成成分以外の共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸およびオキシモノカルボン酸等のエステル形成性誘導体を使用することができる。
また、ポリエステルとしては、単独重合体または共重合体のほかに、他の樹脂との小割合のブレンドも使用することができる。ポリエチレンテレフタレートにブレンドする樹脂の例としては、例えばイソフタル酸共重合体、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体、ポリエチレングリコール共重合体等の各種共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび共重合ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムの極限粘度は、通常0.40〜0.90、好ましくは0.45〜0.80、さらに好ましくは0.50〜0.70の範囲である。極限粘度が0.40未満では、フィルムの機械的強度が弱くなる傾向があり、極限粘度が0.90を超える場合は、溶融粘度が高くなり、押出機に負荷がかかったり、製造コストがかかったりする等の問題が生じる場合がある。
ポリエステルフィルムへ易滑性を付与すると同時に、フィルムヘーズ値を調整する好ましい方法とし、ポリエステルフィルムに粒子を配合する方法を用いる。配合させる不活性粒子の種類、粒子径、含有量によりフィルムヘーズを調整することができる。
ポリエステルフィルムに含有させる不活性粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。 さらに、フィルム原料の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.1〜5μm、好ましくは0.2〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となったり、フィルムヘーズを高くすることができなかったりすることがある。一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.003〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.05重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分であったり、フィルムヘーズを高くすることができなったりすることがある。一方、5重量%を超えて添加する場合には、フィルムヘーズが高くなりすぎる傾向がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリマーを重合する任意の段階において添加することができる。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、配向主軸の傾きが11度以下、好ましくは5度以下である。なお、ここでいう配向主軸の向きとは、配向角と呼ばれるものであり、フィルム幅方向または縦方向に対する主軸の傾きを指す。配向主軸の傾きが11度を超える二軸配向ポリエステルフィルムを使用した離型フィルムでは、クロスニコル検査の際に、光漏れが大きく、異物や傷等の欠陥検出に支障をきたす。
配向主軸の向きは、縦延伸における温度および延伸倍率、横延伸における温度および延伸倍率、および弛緩処理等の条件を変更することで調整することができる。
本発明は、偏光板の異物や傷等の欠陥検出をさらに容易とするため、フィルムヘーズ値を10〜25%、好ましくは14〜21%の範囲とする。ヘーズ値が10%未満では、ポリエステルフィルムを光が透過する際の散乱光が少なく、検査性は良好であるが、ポリエステルフィルム表面に傷が存在した場合に、検査時にポリエステルフィルム表面の傷が目立ち、検体自身の欠点の検査が正確に行えなくなる。また、ヘーズ値が25%を超えた場合には、表面の散乱光が多く、検査で検出すべき欠陥が検出されず、好ましくない。
また、本発明のポリエステルフィルムは、2層構造以上の構成が好ましい。中間層に添加する粒子の配合でフィルムヘーズを調整し、表層に添加する粒子の配合でフィルムの表面性を調整することができる。
本発明は、フィルムに配合する粒子により、フィルムヘーズを調整するが、単層の場合は、フィルムヘーズを高くした場合に、粒子を多量に配合する等の方法を行うため、フィルム両面の表面粗度が大きくなりうる。
表面粗度の大きなポリエステルフィルムを離型フィルムとして用いた場合に、偏光板の粘着材に離型フィルムを貼り合わされた時に、表面突起の影響で気泡を巻き込んだり、離型フィルムの表面が粘着材の表面に転写して、偏光板をパネルに貼り合せた時に、気泡ができたりすることがある。
本発明のフィルム厚みは、通常10〜100μm、好ましくは20〜75μm、さらに好ましくは20〜50μmの範囲である。この範囲を超えた場合は、フィルムの取扱性が悪くなったり、製造コストが上昇したりすることがある。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常2.0〜7倍、好ましくは2.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては離型フィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法とは、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコーティングを施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能となると共に、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるため、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
ポリエステルフィルムの表面に塗布層を形成する方法は、特に制限されないが、ポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が好適に採用される。具体的には、未延伸シート表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、二軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。これらの中では、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布後、フィルムに熱処理を行う過程で同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済的である。
また、塗布層を形成する方法として、必要に応じ、前述の塗布方法の幾つかを併用した方法も採用し得る。具体的には、未延伸シート表面に第一層を塗布して乾燥し、その後、一軸方向に延伸後、第二層を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。
ポリエステルフィルムの表面に塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
本発明において用いる塗布液は、通常、安全性や衛生性の観点から水を主たる媒体として調整されていることが好ましい。水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使用することが好ましいが、長時間の放置で分離しないような安定した乳濁液(エマルジョン)であれば、水に溶解しない状態で使用してもよい。有機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
120℃の雰囲気下で5分間保持したときのフィルム両端の長手方向の加熱収縮率差が0.25%以下、好ましくは0.1%以下である。0.25%を越える場合は、フィルムが加熱加工工程を経て離型フィルムとして巻き取られるまでに本来のフィルム走行部分を外れ、清浄度が低い部分を走行してしまうことでフィルム表面にキズの発生や異物付着という不具合が生じるため好ましくない。
また、本発明におけるフィルムのたるみ量(平面性)は、通常15mm/m以下、好ましくは8mm/m以下の範囲である。たるみ量は離型フィルムに加工した後の最終製品(液晶偏光板)の平面性に影響を及ぼす。これは、たるみ量が15mm/mを超えた離型フィルムを偏光板に貼り付けた際に偏光板自体の平面性を損なわせ、離型フィルムを剥がした後の偏光板をガラスに貼り付け時に作業性の悪化を引き起こすことがある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)フィルムヘーズ
JISーK6714に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムの濁度を測定した。
(4)配向角の測定
カールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムの幅方向に対して何度傾いているかを測定し配向角とした。この測定を得られたフィルムの中央部と両端の計3カ所について実施し、3カ所の内で最も大きい配向角の値を最大配向角とした。
(5)加熱収縮率の測定
フィルムの両端より長手方向について15mm幅×150mm長の短冊上にサンプルを切り出し、無張力状態で120℃雰囲気中5分間、熱処理しその前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて熱収縮率(%)を計算した。
加熱収縮率(%)=(L1−L0)÷L0×100
(上記式中、L0は熱処理前のサンプル長(mm)であり、L1は熱処理後のサンプル長(mm)である)
また、収縮率差は両端の測定結果より大きい値から小さい値を引いて算出した。
(6)たるみ量の測定
空中に水平に置かれた2本の平行ロールに、ロール状フィルムから巻きだしたフィルムをかける。ここで、ロールの間隔は1.5m、フィルムにかかる張力は40g/mmである。2本の平行ロールを結んでできる平面から、下に沈み込んだフィルム面までの距離を全面積で測定し、その(最大値−最小値)をフィルム幅で割った数値をたるみ量(mm/m)とする。
(7)実用特性
<クロスニコル下での目視検査性>
ポリエステルフィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように重ね合わせ、その上に配向軸がフィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より目視にて観察し、クロスニコル下での目視検査性を下記基準に従い評価した。なお、測定の際には、得られたフィルムの幅方向に対し中央部と両端部の計3ヶ所から、それぞれA4サイズのサンプルを切り出して実施した。
「判定基準」
(検査性良好) ○ > △ > × (検査性不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
<フィルム加工時の良品率>
得られたポリエステルフィルムを用いて硬化型シリコーン樹脂(信越化学製「KS−779H」)100部、硬化剤(信越化学製「CAT−PL−8」)1部、メチルエチルケトン(MEK)/トルエン混合溶媒系2200部よりなる離型剤を塗工量が0.1g/mmになるように塗布してドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件で得た離型フィルムの異常を蛍光灯反射下で目視にて観察し、キズや異物等の異常発生は無いか評価した。なお、測定の際には、得られたフィルムの幅方向に対し中央部と両端部の計3ヶ所から、それぞれA4サイズのサンプルを切り出して実施した。
「判定基準」
(良品率高) ○ > △ > × (良品率低)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
<平面性>
偏光板に下記に示すアクリル粘着剤を、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃の乾燥炉内を30秒で通過させた後、上記の<フィルム加工時の異常発生性>評価サンプルと同様にして作成した離型フィルムを貼り合わせ、粘着剤を介して離型フィルムと偏光フィルムが密着された離型フィルム付き偏光板を作成し、得られた偏光板の平面性を目視にて評価を実施した。
「判定基準」
(平面性良好) ○ > △ > × (平面性不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
・アクリル粘着剤塗布液
アクリル粘着剤(オリバインBPS429−4:東洋インキ製) 100部
硬化剤(BPS8515:東洋インキ製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 50部
[ポリエステルの製造方法]
<ポリエステル(A)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(A)を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(B)の製造>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒子径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が1重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は極限粘度0.63であった。
<ポリエステル(C)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径1.5μmの合成炭酸カルシウム粒子に、ポリエステルに対する含有量を、1重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は極限粘度0.63であった。
実施例1:
中間層の原料として、ポリエステル(A)70wt%と、ポリエステル(B)30wt%を中間層の原料として混合し、表層の原料として、ポリエステル(A)84wt%とポリエステル(B)16wt%を混合し、2台のベント付き押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で5.1倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、幅5000mmのマスターロールを得た。このマスターロールの端から1750mm、3250mmの位置でスリットを行い、コアに1000m巻き取りし、ポリエステルフィルム−1を得た。得られたフィルムの全厚みは38μm、それぞれの層厚みは4μm/30μm/4μmであった。
実施例2:
ポリエステルフィルム−1において、スリット位置をマスターロール端から250mm、1750mmの位置で行う以外はポリエステルフィルム−1と同様にポリエステルフィルム−2を得た。
実施例3:
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−2に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−3を得た。
実施例4:
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−3に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−4を得た。
比較例1:
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−4に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−5を得た。
比較例2:
ポリエステルフィルム−1において、原料配合を表1に示す原料配合−5に変更する以外は、ポリエステルフィルム−1と同様にしてポリエステルフィルム−6を得た。
比較例3:
未延伸シートを得るまではポリエステルフィルム−1と同様にして、その後、100℃にて縦方向に3.4倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.2倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後140℃で幅方向に5.6%の弛緩を加え、幅7500mmのマスターロールを得た。このマスターロールの端から2250mm、3750mmの位置でスリットを行い、コアに1000m巻き取りし、ポリエステルフィルム−7を得た。得られたフィルムの全厚みは25μm、それぞれの層厚みは2.6μm/19.8μm/2.6μmであった。
比較例4:
ポリエステルフィルム−7において、縦方向の延伸倍率を3.6倍、横延伸後の熱処理温度を240℃に変更し、得られたマスターロールの端から450mm、1950mmの位置でスリットを行う以外はポリエステルフィルム−7と同様にしてポリエステルフィルム−8を得た。
比較例5:
ポリエステルフィルム−8において、横延伸後の熱処理温度を220℃に変更する以外はポリエステルフィルム−8と同様にしてポリエステルフィルム−9を得た。
Figure 2011213926
得られた結果をまとめて下記表2〜3に示す。
Figure 2011213926
Figure 2011213926
本発明の偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルムおよび離型フィルムは、液晶偏光板の離型フィルムとして好適に利用することできる。

Claims (2)

  1. フィルム幅が1460mm以上であり、配向主軸の向きが11度以下であり、ヘーズ値が10〜25%であり、120℃の雰囲気下で5分間保持したときのフィルム長手方向加熱収縮率のフィルム両端の差が0.25%以下であることを特徴とする偏光板離型フィルム用ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1記載のポリエステルフィルムの片面に離型層を有し、たるみ量が15mm/m以下であることを特徴とする偏光板離型フィルム。
JP2010084724A 2010-04-01 2010-04-01 離型フィルム用ポリエステルフィルム Pending JP2011213926A (ja)

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