JP2011212778A - バイトおよびこれを用いた切削方法 - Google Patents

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茂徳 飯田
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Abstract

【課題】袋穴加工を短い時間で行う。
【解決手段】バイト1の突出部16は、山部30を複数個、軸方向に並べて構成されている。複数個の山部30は、切れ刃を構成している。バイト1を長穴60の径方向外側に動かしつつ、バイト1に対して軸方向一方側の移動と軸方向他方側の移動とを繰り返し行わせる。これにより、複数個の山部31は、被切削部材50の内周面を径方向外側および軸方向のそれぞれに削り込むことになる。被切削部材50に対して多くの量を削ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被切削部材を削るためのバイト、およびこれを用いた切削方法に関するものである。
従来、バイトを用いた切削方法では、バイトの切れ刃を被切削部材に当てた状態で被切削部材(ワーク)を回転させることにより、バイトにより被切削部材を切削して加工するものがある(特許文献1参照)。
このような切削方法を用いた加工として、いわゆる、袋穴加工がある。袋穴加工は、被切削部材に予め設けられた断面円形状の長穴の軸方向奥側において、長穴の軸線を中心とするリング状の凹部を設けるものである。
袋穴加工に用いられるバイトとして、棒状のシャンク(柄部)とこのシャンクの先端部に配置されて鋭角に尖った切れ刃とから構成され、切れ刃がシャンクの軸方向に対して直交する方向に向くように設けられているものがある。
このものにおいて、長穴の軸線を中心として被切削部材を回転させた状態で、被切削部材の長穴内で切れ刃を軸方向に動かしてこの切れ刃により径方向外側に内周面を切削する動作を繰り返し行うことにより、リング状の凹部を設けることになる。
また、袋穴加工に用いられるバイトとして、上述した鋭角に尖った切れ刃を備えるバイト以外に、シャンクの軸方向に対する直交方向に突出する突出部を有する総型バイトがある。総型バイトの突出部は、軸方向に平行で、かつ軸方向に対する直交方向に平行である面部を有している。そして、面部のうち突出方向の先端側には切れ刃が形成されている。
このものにおいて、長穴の軸線を中心として被切削部材を回転させた状態で、被切削部材の長穴内で切れ刃を径方向外側に押し当てて切れ刃により内周面を切削することにより、凹部を設けることになる。
特開2006−315156号公報
上述した鋭角に尖った切れ刃を備えるバイトを用いた切削方法では、切れ刃を軸方向に動かす動作を繰り返し行うことが必要であるため、凹部を設けるのに長い時間がかかる。
これに対して、総型バイトを用いた場合には、切れ刃を長穴の内周面に押し当てる力を強くすれば、切れ刃により削れられる量も多くなり、短期間で凹部を成形することができると考えられる。
しかし、実際には、長穴の断面の面積が小さく、かつ軸方向長さが長い長穴の軸方向奥側に、凹部を設ける場合には、細くて長いシャンクが必要になる。このため、シャンクの剛性が不足して、切れ刃を長穴の内周面に強く押し当てることができない。よって、切れ刃により削れられる量を多くすることができない。このため、凹部を設けるのに長い時間がかかる。
本発明は、上記点に鑑みて、袋穴加工に要する時間を短くすることを可能としたバイトを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、バイトを用いて成形する切削方法において、袋穴加工に要する時間を短くすることを可能とすることを第2の目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、棒状のシャンクの軸方向一方側に設けられ、前記シャンクの軸方向に対する直交方向に突出するように形成された突出部を有し、
この突出部により被切削部材を前記軸方向に切り込む切れ刃を構成しており、
前記突出部には、前記突出する方向に頂部を向けるように形成された山部が複数個、前記軸方向に並ぶように形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、突出部により構成された切れ刃に、さらにその軸方向に並べられた複数個の山部が形成されているので、被切削部材に対して軸方向およびそれに直交する方向のそれぞれに削り込みを行うことができるので、袋穴加工に要する時間を短くすることが可能になる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記突出部は、前記シャンクの軸方向に平行でかつ前記軸方向に直交する方向に平行である平面を有しており、
前記シャンクの軸線を中心とする円周方向に前記突出部が2つ設けられ、一方の突出部の平面と他方の突出部の平面は、前記円周方向において同一の向きに向けて配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、一方の突出部と他方の突出部を用いて袋穴加工における荒削り工程と仕上げ工程とをそれぞれ行うことができるので、バイトを交換することなく両工程を行うに適したバイトとすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記複数個の山部のそれぞれは、前記軸方向に直交する線に対して線対称になっている第1、第2の側面を有することを特徴とする。
この発明によれば、バイトを軸方向一方側に移動させるときと軸方向他方側に移動させるときとで、接触抵抗に変化が生じにくいものとすることができる。このことにより、切粉の形状に変化が生じ難く、切粉の排出を容易に行うことができる。
請求項4に記載の発明では、棒状のシャンクの軸方向一方側に設けられている切れ刃を有するバイトを用いて、被切削部材に設けられた断面円形の長穴の軸方向奥側を切削して前記長穴の軸線を中心とするリング状の凹部を成形する切削方法であって、
前記バイトとして、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のバイトを用い、
前記長穴の軸線を中心として前記被切削部材を回転させた状態で、前記バイトを前記長穴の軸方向に動かしつつ前記長穴の径方向外側に動かし、前記突出部の複数個の山部によって前記長穴の軸方向奥側の内周面を前記径方向外側および前記軸方向に削り込むことにより、前記凹部を成形することを特徴とする。
この発明によれば、突出部の複数個の山部によって被切削部材の長穴の軸方向奥側の内周面を長穴の軸方向および長穴の径方向外側のそれぞれに削り込むことにより、被切削部材に対して多くの量を削ることができる。このため、短い期間で凹部を成形することができる。よって、袋穴加工に要する時間を短くすることが可能となる。
請求項5に記載の発明では、棒状のシャンクの軸方向一方側に設けられている切れ刃を有するバイトを用いて、被切削部材に設けられた断面円形の長穴の軸方向奥側を切削して前記長穴の軸線を中心とするリング状の凹部を成形する切削方法であって、
前記バイトとして、請求項2または3に記載のバイトを用い、
前記長穴の軸線を中心として前記被切削部材を回転させた状態で、前記バイトを前記長穴の軸方向に動かしつつ前記長穴の径方向外側に動かして前記凹部を成形する工程を有し、この工程は、
前記一方の突出部の複数個の山部によって前記長穴の軸方向奥側の内周面を前記径方向外側および前記軸方向に削り込む荒削りの工程と、
前記他方の突出部の複数個の山部によって前記長穴の軸方向奥側の内周面を前記径方向外側および前記軸方向に削り込む仕上げの工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、一方の突出部と他方の突出部を用いて袋穴加工における荒削り工程と仕上げ工程とをそれぞれ行うことができ、バイトを交換する必要がなくなるので、袋穴加工に要する時間の短縮化を図ることができる。
本発明の第1実施形態におけるバイトの構造を示す図である。 図1の部分拡大図である。 第1実施形態において用いられるNC旋盤のチャック装置を示す図である。 第1実施形態における切削工程を示す図表である。 第1実施形態の切削工程の袋穴加工を示す図である。 第1実施形態の切削工程の袋穴加工を示す図である。 第1実施形態の山部の変形例を示す図である。 本発明の第2実施形態におけるバイトの構造を示す図である。 第2実施形態における袋穴加工の荒削り工程を示す図である。 第2実施形態における袋穴加工の仕上げ工程を示す図である。 第2実施形態における袋穴加工の終了した状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に本発明に係る第1実施形態のバイトを示す。図1(a)はバイトの正面図、図1(b)はバイトの左側面図、図2(a)は図1(a)中のA部分の拡大図である。図2(b)は図2(a)中のB部分の拡大図である。
バイト1は、NC旋盤のバイトホルダーに固定されて、被切削部材(ワーク)を切削するために用いられるものである。具体的には、バイト1は、図1(a)に示すように、棒状の柄部を構成するシャンク10を備える。
シャンク10は、金属製の部材であって、大径部11と小径部12とから構成されている。大径部11は、断面略円形で棒状に形成されたものであって、後述するようにNC旋盤のバイトホルダーに支持される。
小径部12は、断面略円形状で棒状に形成されたものであって、小径部12は、大径部11に比べて断面積が小さくなっている。小径部12は、大径部11の軸方向一方側において、その軸方向が大径部11の軸方向に一致するように配置されている。なお、図1(a)中の符号aは、大径部11の軸線を示している。図1(b)中の符号bは上下方向の中心線であり、符号cは水平方向の中心線である。
小径部12のうち軸方向一方側には、凹部15が形成されている。凹部15は、軸方向(図1(b)の紙面垂直方向)に対して直交する方向Yaに凹むように形成されている。凹部15は、図1(b)および図2(a)に示すように、小径部12のうち軸方向一方側から軸方向他方側に亘って設けられている。凹部15は、
図2(a)に示すように、側面15a、15c、および上面15bとから構成されている。
側面15aは、方向Ya(図1(b)参照)に直交するように配置されている面である。上面15bは、側面15aに対して直交して、かつ方向Yaに平行になるように配置されている面である。側面15cは、上面15bに対して斜めに交差し、かつ側面15aに直交するように配置されている面である。なお、図2(a)の点線dは、側面15aと後述する側面16aとの間の境界を示す仮想線である。
小径部12のうち軸方向一方側に、図1(b)に示すように、突出部16が形成されている。突出部16は、凹部15に隣接して設けられたもので、軸方向に直交する方向Ybに突出するように形成されている。方向Ybは、方向Yaに対して直交する方向である。
突出部16のうち突出側16b(図1(b)参照)は、軸方向から視て略円弧状に形成されている。突出部16のうち凹部15側には、側面16a(図2(a)参照)が形成されている。側面16aは、凹部15の側面15aとともに、1つの平面28を構成する。平面28は、方向Ybに平行で、かつ軸方向に平行に形成されたもので、後述するように、切粉の通過を案内する周知のすくい面を構成している。
突出部16のうちその突出方向側(図2(a)中矢印Yb側)は、山部30を複数個、軸方向に並べて構成されている。図2(a)には4個の山部30が並べられている例が示されている。複数個の山部30は、図2(b)に示すように、それぞれ、突出方向に頂部31を向けるように形成されている。図2(b)は、1つの山部30の拡大図を示している。
複数個の山部30の軸方向一方側には、側面32aが設けられている。複数個の山部30の軸方向他方側には、側面32bが設けられている。側面32a、32bは、図2(b)に示すように、突出方向Ybに対して傾斜している。側面32a、32bは、方向Yaに平行に形成されている。方向Ya(図1(b)参照)は、図2(b)中の紙面に対する垂直方向である。側面32a、32bは、頂部31を通り突出方向に延びる中心線(図示省略)を中心として線対称になっている。
ここで、山部30の角度θ(図2(b)参照)は、被切削部材の材質や仕上げの面粗度によって選択されるものである。例えば、山部30の角度θ(図2(b)参照)として、20°〜150°の値が設定される。山部30の角度θは、側面32a、32bが頂部31で交差して形成される角度のことである。
複数個の山部30のピッチTp(図2(a)参照)は、それぞれ同一長さになっている。ピッチTpは、複数個の山部30のうち隣接する2個の山部30の間の頂部31の間の寸法である。
突出部16のうち複数個の山部30を構成する部分は、被切削部材を削る切れ刃を構成している。具体的には、側面16aのうち複数個の山部30を構成する部分は、第1の切れ刃30aとして、被切削部材に対して突出方向に切り込む役割を果たす。複数個の山部30において側面32a、32b、および頂部31は、第2の切れ刃33として、被切削部材に対してシャンク10の軸方向に削り込む役割を果たす。
また、シャンク10には、軸線方向に貫通したオイルホール17a、17bが設けられている。オイルホール17a、17bの軸線方向一方側に出口が設けられ、オイルホール17a、17bの軸線方向他方側に入口が設けられている。オイルホール17a、17bは、後述するように、複数個の山部30により被切削部材の長穴内を切削する際に長穴内に放出するオイルを流す役割を果たす。
次に、本実施形態のバイト1を用いた切削方法の具体例について説明する。
まず、第1、第2のドリルホルダーおよびバイトホルダーを有するNC旋盤を用意する。NC旋盤の第1のドリルホルダーにはセンタドリルが取り付けられ、第2のドリルホルダーにはドリルが取り付けられ、バイトホルダーにはバイト1が取り付けられている。
NC旋盤は、予め記憶されたプログラムにしたがって、センタドリル、ドリル、およびバイトホルダーの位置制御、チャック装置40の回転、およびバイト1のオイルホール17a、17bの入口に対するオイルの流入を実行するものである。
まず、作業者がNC旋盤のチャック装置40(図3参照)に被切削部材50を取り付ける。本具体例では、被切削部材50として円柱状の金属部材が用いられる。ここで、チャック装置40の回転中心(図3中Kc参照)に円柱状の被切削部材の軸線を一致させる。
NC旋盤がチャック装置40を回転させると、チャック装置40の回転中心を中心として被切削部材50が回転する。この状態で、NC旋盤は、次の第〜第3の工程により、センタドリル、ドリル、およびバイト1を用いて被切削部材50を切削加工する。
以下、第1、第2、第3の工程について図4、図5を参照して説明する。図4は、第1、第2、第3の工程における被切削部材50の加工形状(被切削部材50の断面図)、使用刃具、加工内容を示す。
まず、第1工程では、センタドリルを用いて穴入口のセンタもみを行う。具体的には、センタドリルを被切削部材50の側面51のうち回転中心に当てて切削して円錐形状の穴60aを開ける。
次に、第2工程では、センタドリルに代えてドリルを用いて穴開けを行う。このとき、円錐形状の穴60aは、ドリルの先端部の位置を決める役割を果たす。そして、ドリルによる穴開けによって、被切削部材50においてその回転中心に軸線が一致する断面円形の長穴60が形成されることになる。
次に、第3工程では、ドリルに代わるバイト1を用いて袋穴加工を行う。袋穴加工とは、長穴60の軸方向奥側(軸方向一方側)に長穴60の軸線を中心とするリング状の凹部65を設ける加工のことである。
袋穴加工では、まず、図5に示すように、バイト1の小径部12側を長穴60の軸方向奥側に挿入する。このとき、バイト1の軸方向を長穴60の軸方向に一致させる。そして、図6に示すように、バイト1の平面28を被切削部材50の回転方向Kaの逆向きKhに向ける。図6は、バイト1を軸方向から視た模式図である。
その後、バイト1を図5中の矢印Ycの如く、長穴60の径方向外側に動かしつつ、バイト1に対して軸方向一方側の移動と軸方向他方側の移動とを繰り返し行わせる。
したがって、複数の山部30により長穴60の軸方向奥側の内周面を径方向外側(突出部16の突出方向)および長穴60の軸方向(シャンク10の軸方向)のそれぞれに削り込む。これにより、長穴60の軸方向奥側に凹部65を成形することになる。
ここで、バイト1の軸方向一方側の移動距離と軸方向他方側の移動距離とは、同一の移動距離Lが設定されている。具体的には、移動距離Lとして、上述の山部30のピッチTp(図1(c)参照)の倍数の長さが設定される。
これは、凹部65の内周面を軸方向に平らにするためである。本実施形態では、移動距離Lとして、ピッチTp×1の長さが設定される。このため、凹部65の軸方向長さLaは、突出部16の軸方向長さLb(図2(a)参照)とピッチTpとを足した長さとなる。
また、NC旋盤は、複数個の山部30により切削する際に、オイルホール17a、17bの入口にオイルを流入する。これにより、オイルホール17a、17bの出口からオイルが長穴60の軸方向奥側に放出される。
ここで、複数個の山部30により長穴60の軸方向奥側の内周面を削り込むことにより、切粉が発生するものの、切粉は、オイルホール17a、17bからのオイルによりに流される。このとき、切粉は平面28に案内されて軸方向入口側に移動し、その後、長穴60から排出されることになる。
以上説明した本実施形態では、バイト1の突出部16は、山部30を複数個、軸方向に並べて構成されている。複数個の山部30は、長穴60の軸方向奥側の内周面を径方向外側および長穴60の軸方向のそれぞれに削り込む切れ刃を構成する。そして、バイト1を長穴60の径方向外側に動かしつつ、バイト1に対して軸方向一方側の移動と軸方向他方側の移動とを繰り返し行わせる。
これにより、バイト1は、長穴60の軸方向奥側の内周面を径方向外側および長穴60の軸方向に削り込むことになる。このため、被切削部材50に対して多くの量を削ることができるので、長穴60の軸方向奥側に凹部65を短い時間で成形することができる。これにより、袋穴加工に要する時間を短くすることが可能になる。
本実施形態では、被切削部材50を削る際に、バイト1を軸方向に移動させる距離Lとして、ピッチTp×1の長さが設定される。ここで、上述した尖った切れ刃を備える従来のバイトを用いる場合には、バイトの切れ刃を凹部60の軸方向長さ分移動させる必要がある。
これに対して、本実施形態では、バイト1の軸方向の移動距離Lは、上述の如く、ピッチTp×1の長さに設定されている。このため、バイト1の軸方向の移動距離を短くすることができるので、凹部65の成形に必要な時間をより一層短くすることができる。
本実施形態では、バイト1の突出部16は、上述の如く、山部30を複数個、軸方向に並べて構成されている。このため、本実施形態のバイト1は、従来の総型バイトに比べて被切削部材50に対するバイト1の接触面積を小さくすることができる。
よって、被切削部材50に対するバイト1の切削抵抗を小さくすることができる。このため、バイト1を径方向外側および軸方向に移動させる速度を速くすることができる。これにより、凹部65の成形に必要な時間をより短くすることができる。
本実施形態では、上述の如く、被切削部材50に対するバイト1の切削抵抗を小さくすることができるので、被切削部材50をバイト1により切削する際に生じる振動(いわゆるビビリ音)の発生を抑えることができる。
本実施形態では、被切削部材50を削る際に、バイト1を、上述の如く、径方向外側および軸方向に移動させる。
ここで、従来の総型バイトを用いて被切削部材50を削る際には、バイト1を径方向外側に移動させる。このため、総型バイトにより被切削部材50を削る際に長い切粉が発生する。したがって、被切削部材50の長穴内で切粉が詰まる場合がある。
これに対して、本実施形態では、バイト1を、上述の如く、径方向外側だけでなく、軸方向にも移動させるので、被切削部材50を削る際に生じる切粉は短いものとなる。このため、長穴60内から切粉を容易に排出することができる。
本実施形態では、バイト1の山部30の側面32a、32bは、それぞれ、突出方向に対して傾斜するように形成されている。側面32a、32bは、頂部31を通り突出方向に延びる中心線(図示省略)を中心として線対称になっている。 このため、バイト1を軸方向一方側に移動させるときと軸方向他方側に移動させるときとで、接触抵抗に変化が生じ難い。これに伴い、バイト1を軸方向一方側に移動させるときと軸方向他方側に移動させるときとで、面粗度に変化が生じ難い。
本実施形態では、バイト1は、上述の如く、軸方向一方側に移動させるときと軸方向他方側に移動させるときとで、接触抵抗に変化が生じ難くなっている。これに伴い、バイト1を軸方向一方側に移動させるときと軸方向他方側に移動させるときとで、切粉の形状に変化が生じ難い。よって、切粉の排出をより一層容易に行うことができる。
上述の第1の実施形態では、バイト1の山部30の側面32a、32bを、それぞれ、突出方向に対して傾斜するように形成した例を示したが、これに限らず、バイト1の山部30の側面32a、32bを、図7(a)、(b)に示すようにしてもよい。
この場合、側面32a、32bによりなす山部30の角度が図2に示す山部30の角度に比べて鋭角になっている。このため、山部30の強度が不足して折れたり欠けたりすることが生じやすいものの、被切削部材50に対して多くの量を削ることができる。
ここで、図7(a)では、側面32aを突出方向に平行で、側面32bを突出方向に対して傾斜するように形成してある。このため、バイト1を軸方向一方側に移動する場合には、バイト1を軸方向他方側に移動する場合には、切削抵抗が小さくなる。
図7(b)では、側面32aを突出方向に傾斜し、側面32bを突出方向に対して平行に形成してある。このため、バイト1を軸方向一方側に移動する場合には、バイト1を軸方向他方側に移動する場合には、切削抵抗が大きくなる。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、バイト1のシャンク10に突出部16を1つ設けた例を示したが、これに代えて、本実施形態では、バイト1のシャンク10に突出部を2つ設けた例について説明する。
図8(a)はバイトの正面図、図8(b)はバイトの左側面図である。図8(a)、(b)において、図1(a)、(b)と同一符号は、同一のものを示して、その説明を省略する。
本実施形態のバイト1のシャンク10の小径部12には、図8(a)、(b)に示すように、凹部15A、15Bおよび突出部16A、16Bが設けられている。
凹部15A、15Bは、図1(a)、(b)に示される凹部15と同様の構造になっている。突出部16A、16Bは、図1(a)、(b)に示される突出部16と同様の構造になっている。
突出部16A、16Bは、互いに反対側に突出するように形成されている。突出部16Aは、凹部15Aに隣接するように設けられ、突出部16Bは、凹部15Bに隣接するように設けられている。このため、シャンク10の小径部12には、突出部16A、16Bに対応した平面28A、28Bが設けられていることになる。
平面28A、28Bは、図2(a)中の平面28に相当したものであって、シャフト10の大径部11の垂直方向中心線bに重なるように形成されている。突出部16Aの平面28Aと突出部16Bの平面28Bとは、シャンク10の軸線を中心とする円周方向において同一向きに向けてある。
ここで、突出部16A、16Bのそれぞれには、複数の山部30(図8中図示省略)が成形されていることになる。突出部16A、16Bの複数個の山部30は、図2(b)の突出部16の複数の山部30と同じ構造であって、それぞれ、切れ刃を構成している。
突出部16A、16Bのうち一方の突出部の複数個の山部30は、荒削りに用いられ、残りの突出部の複数個の山部30は、仕上げに用いられる。
本実施形態のシャンク10の小径部12には、2つの面部12aが設けられている。一方の面部12aは図8(b)中右側に設けられ、他方の面部12aは図8(b)中左側に設けられている。2つの面部12aは、面取りのために設けられたもので、小径部12を軸方向から視た左右方向の長さを短くすることができる。
次に、本実施形態においてNC旋盤による袋穴加工について図9〜図11を参照して説明する。
本実施形態の袋穴加工の工程は、荒削りと仕上げとに分かれている。荒削りとは、大まかに切削を行う工程である。具体的には、荒削りの工程では、上述の第1実施形態の第2工程において長穴60が成形された後に、図9に示すように、バイト1を長穴60の軸方向奥側に挿入して、突出部16A、16Bのそれぞれの平面28を被切削部材50の回転方向の逆向きに向ける。
ここで、突出部16Aをシャンク10の図中下側に向け、突出部16Bをシャンク10の図中上側に向ける。その後、突出部16Aの複数個の山部30(図9中図示省略)により長穴60の軸方向奥側の内周面を所定期間に亘って切削する。この際のNC旋盤によるバイト1の位置制御は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、その説明を省略する。
この荒削りの工程が終わると、次に仕上げの工程に移る。この仕上げの工程では、図10に示すように、バイト1を図示上側に移動させて、突出部16Aに代わる突出部16Bの複数個の山部30(図10中図示省略)によって長穴60の軸方向奥側の内周面を径方向外側および軸方向に削り込む。
この場合、バイト1の位置制御は、荒削りの工程の場合と実質的に同様に行われる。このような複数個の山部30による切削を一定期間に亘って継続すると、凹部65の内表面の面粗度が目標値に到達する。
これに伴い、長穴60の軸方向奥側の凹部65(図11参照)が完成したとして、仕上げの工程を終了する。なお、図10中符号70は切粉を示している。
以上説明した本実施形態によれば、バイト1には、突出部16A、16Bが設けられている。すなわち、本実施形態のバイト1では、上記第1実施形態のシャンク10のうち空いた部分に、1つの突出部を追加したことになる。
そして、突出部16Aの複数個の山部30は、荒削りに用いられ、突出部16Bの複数個の山部30は、仕上げに用いられる。このため、凹部65を成形する際に、一本のバイト1で荒削りと仕上げとを両方行うことができる。
ここで、荒削り工程と仕上げ工程とで別々のバイトを用いる場合には、荒削り工程の後で仕上げ工程を始める前に切削に用いるバイトを交換する必要がある。このため、バイトの交換に時間が要することになる。
これに対して、本実施形態では、荒削り工程と仕上げ工程とを一本のバイトで切削する。このため、バイトを交換する必要がなくなるので、袋穴加工に要する時間の短縮化を図ることができる。
これに加えて、上述の如く、一本のバイトで荒削り工程と仕上げ工程との両方を実施することができるので、NC旋盤において、他のバイトを取り付け可能であるバイトホルダーが生じることになる。このため、NC旋盤に取り付けるバイトの本数を増やすことが可能になる。
本実施形形態では、バイト1の突出部16Aの平面部20と突出部16Bの平面部20とは、シャンク10の軸線を中心とする円周方向において同一向きに向けてある。このため、荒削りと仕上げとで、被切削部材50の回転方向を変える必要がない。このため、袋穴加工に要する時間をより一層短縮化することができる。
本実施形形態では、小径部12を軸方向から視た左右方向の長さを短くするために、バイト1の小径部12には、2つの面部12aが設けられている。これにより、袋穴加工の際に、長穴60の内周面に小径部12が接触することを避けることができる。
上述の第2実施形態では、突出部16A、16Bを同様の構造にした例について説明したが、これに代えて、突出部16A、16Bを別の構造にしてもよい。
1 バイト
10 シャンク
11 大径部
12 小径部
15 凹部
16 突出部
16a 突出部
16b 突出部
28 平面
30 山部
30a 第1の切れ刃
33 第2の切れ刃
31 頂部
32a 側面
32b 側面
40 チャック装置
50 被切削部材

Claims (5)

  1. 棒状のシャンクの軸方向一方側に設けられ、前記シャンクの軸方向に対する直交方向に突出するように形成された突出部を有し、
    この突出部により被切削部材を前記軸方向に切り込む切れ刃を構成しており、
    前記突出部には、前記突出する方向に頂部を向けるように形成された山部が複数個、前記軸方向に並ぶように形成されていることを特徴とするバイト。
  2. 前記突出部は、前記シャンクの軸方向に平行でかつ前記軸方向に直交する方向に平行である平面を有しており、
    前記シャンクの軸線を中心とする円周方向に前記突出部が2つ設けられ、一方の突出部の平面と他方の突出部の平面は、前記円周方向において同一の向きに向けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバイト。
  3. 前記複数個の山部のそれぞれは、前記軸方向に直交する線に対して線対称になっている第1、第2の側面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のバイト。
  4. 棒状のシャンクの軸方向一方側に設けられている切れ刃を有するバイトを用いて、被切削部材に設けられた断面円形の長穴の軸方向奥側を切削して前記長穴の軸線を中心とするリング状の凹部を成形する切削方法であって、
    前記バイトとして、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のバイトを用い、
    前記長穴の軸線を中心として前記被切削部材を回転させた状態で、前記バイトを前記長穴の軸方向に動かしつつ前記長穴の径方向外側に動かし、前記突出部の複数個の山部によって前記長穴の軸方向奥側の内周面を前記径方向外側および前記軸方向に削り込むことにより、前記凹部を成形することを特徴とする切削方法。
  5. 棒状のシャンクの軸方向一方側に設けられている切れ刃を有するバイトを用いて、被切削部材に設けられた断面円形の長穴の軸方向奥側を切削して前記長穴の軸線を中心とするリング状の凹部を成形する切削方法であって、
    前記バイトとして、請求項2または3に記載のバイトを用い、
    前記長穴の軸線を中心として前記被切削部材を回転させた状態で、前記バイトを前記長穴の軸方向に動かしつつ前記長穴の径方向外側に動かして前記凹部を成形する工程を有し、この工程は、
    前記一方の突出部の複数個の山部によって前記長穴の軸方向奥側の内周面を前記径方向外側および前記軸方向に削り込む荒削りの工程と、
    前記他方の突出部の複数個の山部によって前記長穴の軸方向奥側の内周面を前記径方向外側および前記軸方向に削り込む仕上げの工程と、を有することを特徴とする切削方法。
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