JP2011212623A - 内圧容器の蓋装填装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大型化したベッセルの場合でもベッセル蓋を芯ずれなく簡便にかつ効率的に装填することができる蓋装填装置を提供する。
【解決手段】 流体分離素子が装填される内圧容器に蓋を装填するための装置であって、蓋の外面側に接続して保持するための蓋保持部材2を有し、該蓋保持部材は流体分離素子装填方向に移動して蓋の装填作業を行うことができ、かつ、流体分離素子装填方向に対し垂直な面内で少なくとも1方向に位置調整可能な位置調整機構5を備えるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】 流体分離素子が装填される内圧容器に蓋を装填するための装置であって、蓋の外面側に接続して保持するための蓋保持部材2を有し、該蓋保持部材は流体分離素子装填方向に移動して蓋の装填作業を行うことができ、かつ、流体分離素子装填方向に対し垂直な面内で少なくとも1方向に位置調整可能な位置調整機構5を備えるものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、流体分離素子が装填される内圧容器である筒状ベッセルにおいて、該ベッセルの蓋を簡便かつ効率的に装填あるいは脱着することができる蓋装填装置に関するものである。
逆浸透膜処理や限外濾過膜処理に使用される流体分離素子の代表的な形態として、スパイラル型流体分離素子があげられる。スパイラル型流体分離素子は、分離膜が透過側流路材と供給側流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられてなり、供給流体が供給側流路材へ導入され、分離膜にて供給流体を分離し、分離された透過側流体が透過側流路材を通過し、集水管へ集水される構造をとる。該流体分離素子は、図7に示すような内圧容器(いわゆる筒状のベッセル31)内へ装填されて使用される。
ベッセル31内に規定本数の流体分離素子32を装填した後には、図9に示すように、スラストリング27を取り付け、さらに、集水管へ集水された透過側流体をベッセル外部へ取り出すための透過水アダプタ28を取り付け、次いで、シールリング19付きのエンドプラグ部13およびエンドプレート部14からなるベッセル蓋(図8参照)を、ベッセル内の端部へ装填し、さらに、リテーナリング29でベッセル31とベッセル蓋1を掛止めすることにより組み立てられる。組み立てられたベッセル内へ高圧ポンプで供給流体が加圧導入されることによって、膜による分離処理が行われる。図9の場合は、図の右側の図示されてない部分から供給流体が加圧導入され左側へと流れる。
筒状のベッセル31は、フィラメントワインディング法によって繊維及び樹脂を巻回積層する方法による繊維強化樹脂によって、あるいは金属によって形成される。繊維強化樹脂により形成されるベッセルとしては、例えば、特開2006-15573号公報に記載されているようなものがある。このようなベッセルは主に外径が4インチや8インチのスパイラル形流体分離素子を装填して使用する際に用いられている。
ベッセル内の端部に装填されるベッセル蓋は、金属あるいは金属と樹脂の複合体あるいは繊維強化樹脂(FRP)によって形成される。ベッセル内の端部に装填されたベッセル蓋はリテーナリング29による掛止めによって、あるいはボルトによって固定されている。該ベッセル蓋をベッセル内に装着する作業は従来から人手によって行われてきている。
しかし、近年、スパイラル型流体分離素子は、外径が16インチや18インチへと、さらにはそれ以上へと大口径化してきており、それに伴い、これら大型流体分離素子を装填するためのベッセルも大型化してきている。このような大型化したベッセルの場合、ベッセル蓋も大型化し重くなる。例えば、16インチ流体分離素子用ベッセルの蓋は、8インチ流体分離素子用ベッセルの蓋に比べて、直径が約2倍、蓋面積が約4倍となり、重量も約4倍となる。そこで、直径が約40cm、重さが60kgのように大きく重い16インチ用蓋の場合、8インチ流体分離素子用ベッセルの場合と同様な方法で人手にてベッセルに装填しようとしても、ベッセル蓋の自重のためにベッセル蓋を人手で持ち上げることが難しい。また、ベッセル蓋の面積が増加するため、ベッセル蓋をベッセル装填方向に対し垂直な蓋面でまっすぐに装填する事が難しく、例えば、ベッセル蓋がベッセル内壁やリテーナリング溝30に引っかかって傾きベッセル蓋1を正常位置に装填することができないという問題が生じる。さらに、ベッセル蓋に取り付けられたシールリング19の大径化により、ベッセル内壁とシールリングの接触面積が増加するため、シールリングの抵抗が増加しリテーナリング29で掛止めすることが出来る位置までベッセル蓋を装填することが容易ではない。
そこで、本発明の目的は、大型化したベッセルの場合でもベッセル蓋を芯ずれなく簡便にかつ効率的に装填することができる蓋装填装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の内圧容器の蓋装填装置は以下の構成からなる。
流体分離素子が装填される内圧容器に蓋を装填するための装置であって、蓋の外面側を接続して保持するための蓋保持部材を有し、該蓋保持部材は流体分離素子装填方向に移動して蓋の装填作業を行うことができ、かつ、流体分離素子装填方向に対し垂直な面内で少なくとも1方向に位置調整可能な位置調整機構を備えることを特徴とする。
本発明の蓋装填装置を用いると、大型化したベッセル蓋の場合でも、ベッセルへの流体分離素子の装填方向に対して垂直に蓋面を把持した状態のままで蓋をベッセル内に容易に移動させ装填することができる。さらに、装填方向に対して直角な面内のベッセル蓋の位置調整を容易に行うことができるので、ベッセル位置に対する蓋の装填位置を容易に最適化させることができ、装填作業を効率化、容易化できる。
本発明の蓋装填装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の蓋装填装置の一例を側面から見た概略図である。図2は、その蓋装填装置における蓋保持部材をベッセル蓋の外面側に接続する状態を例示するものである。図3は、その蓋装填装置における進退移動機構を上面から見た概略図である。図4は、蓋保持部材を上下移動させる機構を例示するものである。図5は、蓋保持部材を2方向移動させる機構を例示するものである。図6は、蓋装填装置を載せた台車を静止させるための固定方式を例示するものである。
図7は、流体分離素子が装填される内圧容器(ベッセル)を例示し、図8は内圧容器の蓋(ベッセル蓋)を例示する。図9は、ベッセル内の端部にベッセル蓋を装填した状態を例示する。
ベッセル蓋には通常、供給水を流入させるための孔や、ブライン水や透過水を排出させるための孔が配置されている。その構造は、ベッセルの上流側に配される場合と、下流側に配される場合とでは孔配置が異なる場合が多い。図2、図8及び図9に示すベッセル蓋は、ベッセルの下流側に配される場合を例示するものである。このベッセル蓋は、一般的にエンドプラグ部13およびエンドプレート部14が積層された構造の円板状であって、エンドプラグ部13の外周面にシールリング19が装着されている。その中央には、透過水を取り出すための透過水孔18が開けられ、周縁部側には、ブライン水を取り出すためのブライン水孔17が開けられている。エンドプレート部14が外側となるようにベッセル内の端部に装填される。
図8に示す構造のベッセル蓋の他に、エンドプラグ部およびエンドプレート部が一体に構成されるような構造のベッセル蓋等を用いることもできる。また、上流側に配されるベッセル蓋の場合には、中央に、供給水を流入させるための供給水孔が開けられている構造のものを用いればよい。さらに、ベッセルの種類によっては透過水孔18が片側にしかないものもある。また、供給水流入させるための供給水孔や、濃縮水取り出しのためのブライン水孔がベッセルの側面に配置されているサイドポート型ベッセルの場合には、ベッセル蓋としてブライン水孔や供給水孔が存在しない蓋が用いられる。これらベッセル蓋は、ベッセル内の高圧に耐えられることが要求されるために、通常は、ステンレス等の金属やFRP又は樹脂と金属による複合体で構成されている。シールリングはOリングに代表させる丸形断面のものが一般的であるが、ベッセル内の圧力に耐えるものであれば何でもよく、たとえば四角、X型、C型などの断面形状のものを使用してもよい。
ベッセルとしては、図7に示すような筒形状のものが一般的であるが、筒の側面に水の流入、流出孔のあるサイドポート型でもよい。ベッセル内の端部に図8のベッセル蓋を装填した状態を図9に例示する。
本発明の蓋装填装置によって、ベッセル内の端部にベッセル蓋を装填させる作業を行う際には、最初に、図2に示すように、ベッセル蓋の装填後に外側となる面(図2ではエンドプレート部14の表面)に蓋保持部材2の先端のフランジ部25を接続し、取り外し可能な固定手段により固定させる。ここで、ベッセル蓋1は、その蓋の表面が、蓋保持部材2の進退移動方向(図1の両向き矢印の方向A)に対して垂直となるように接続させる。
このようにベッセル蓋1は、その蓋面が蓋保持部材2の進退移動方向に対して垂直となるように把持されているので、蓋保持部材をベッセルの流体分離素子装填方向と同じ方向(図1の両向き矢印方向A)に進退移動させることにより、ベッセル長手方向に対するベッセル蓋の装填方向の傾きが無くなる。この結果、ベッセル蓋1の装填時にベッセル内壁や、ベッセル内のリテーナリング溝30に引っかかることが無くなる。
ベッセル蓋1を把持するための蓋保持部材2の構造について詳しく説明する。図2や図8に示す構造のベッセル蓋の場合、ベッセルに取り付けられた時にはエンドプレート部14が外側となる。蓋保持部材2は、ベッセル蓋1をその蓋面が蓋保持部材2の進退移動方向(図1の両向き矢印方向A)に対し垂直となるように把持するため、ベッセル蓋のエンドプレート部14に、図2aに示すように複数本の蓋取り付けボルト3にて固定される。ベッセル蓋1と蓋保持部材2とが上記した位置関係で取り付けられるものであれば、複数本の蓋取り付けボルト3を取り付ける位置(ボルト孔16の位置)は特に限定されず、例えば、ベッセル蓋中心を中心とした円の円周上に2〜8箇所程度(図2では4箇所)設ければよい。但し、ベッセル蓋にある水の流出入用孔(図2では透過水孔18、ブライン水孔17)を避けるように蓋取り付けボルト3の位置を決める必要がある。
蓋保持部材2のフランジ部25とベッセル蓋のエンドプレート部14との接合面に、対応する凸部15及び凹部15′を設けて嵌合可能とすれば、ベッセル蓋1を蓋保持部材2に取り付ける際に、ベッセル蓋1と蓋保持部材2のフランジ部25とのボルト孔16どうしの位置合わせが容易となり、取り付けボルト3を取り付けやすくなる。図2(a)では、対応する凸部15及び凹部15′を、ベッセル蓋中心を中心としたリング状に繋がった環状凸部・環状凹部としているが、これに限定されるものではなく、複数の円弧状の凸部・凹部でもよいし、複数の点状や直線状の凸部・凹部としてもよい。より嵌合しやすくするためには、凸部の先端角部や凹部の開口端角部を面取りあるいはアール取りしてもよい。図2(a)ではベッセル蓋のエンドプレート部14と蓋保持部材2との接続・固定にボルト3を使用しているが、たとえば蝶ネジであってもよく、取り外し可能な固定用治具であればその他の形状や手段であってもよい。図2(b)は図2(a)におけるb−b矢視図である。図2では、ボルト孔16を4つ設けているが、ボルト孔の数は2つ以上であることが望ましく、その孔の配置はほぼ均等位置に配置されていることが望ましい。ボルト孔が1つであってもベッセル蓋を蓋保持部材に取り付けることは可能であるが、特にベッセル蓋をベッセルから取り外す際に1点支持ではベッセル蓋が傾く可能性が高くなり、ベッセル蓋が傾くとその取り出しが難しくなり易く、またベッセル内壁を傷つけ易くなる。蓋把持部材2の材質は、金属や樹脂など、ベッセル蓋を保持できる強度をもつ材質であれば何でもよいが、SUS等の腐食に強いものであることが好ましい。
図1及び図3に示す場合、ベッセル蓋1を把持した蓋保持部材2をベッセルに近づくように前進させ、またはベッセルから離れるように後退させる動作(進退方向の動作)は、主として、進退用保持部材7と進退用ボールネジ8とによって行われる。進退用保持部材7は進退用ボールネジ8を介して前後方向に移動可能となっている。即ち、進退用ボールネジ8の一端に取り付けられたハンドル9を回すことにより進退用ボールネジ8が回転され、この回転が進退用保持部材7を進退方向に移動させる。
進退用保持部材7の先端側には、該進退用保持部材7に対し垂直な平板状のガイド取付け基板26が取り付けられ、該ガイド取付け基板26には蓋保持部材昇降ガイド4とガイド嵌合部33及び蓋保持部材2とが取り付けられている。進退用保持部材7の進退方向の移動によって、蓋保持部材2及びベッセル蓋1を前後に移動させる。蓋保持部材2及びベッセル蓋1を前進方向(図1の右方向)へと移動させることによって、ベッセル蓋1はベッセル(図1に図示なし)内へ挿入され、所定の装填位置へ配置される。また、重いベッセル蓋1と、蓋保持部材2や進退用保持部材7等の部材との自重を支えるための補強として、進退用ボールネジ8に平行となるように1本もしくは複数本のガイド棒10を設けることが好ましい。さらに、重いベッセル蓋1を支えるためには、進退用保持部材7とガイド取付け基板26との垂直接合を補強するための部材を介在させることが好ましい。
図1及び図3の態様では、進退用保持部材7を前後方向へ移動可能とするために進退用ボールネジ8を用いているが、台形ネジやラックアンドピニオンやスクリュージャッキ等の手段によって前後方向に移動可能とさせてもよい。蓋保持部材2はハンドル9を回して進退用ボールネジ8を回転させることで前進あるいは後退され、ベッセル蓋1を進退方向に移動させるが、その回転部へ減速機を設ければより小さい力で進退方向へ移動させることができるため好ましい。
また、蓋面が進退方向に対し垂直となるようにベッセル蓋1を把持するための蓋保持部材2は、ベッセル内へ挿入させる時のベッセル蓋の位置が、ベッセルの位置(例えば、その高さ位置)に対して適切となるように位置調整される。即ち、蓋保持部材2の進退移動方向に対して垂直な面内のうちの少なくとも1方向に移動調整可能となっている。
図1及び図4の場合では、蓋保持部材昇降ガイド4に嵌合されたガイド嵌合部33が上下に移動することによって、蓋保持部材2の進退移動方向に対して垂直な面内のうちの1方向(上下方向)に移動調整可能となっている。ここで、進退用保持部材7の先端側に取り付けられているガイド取付け基板26には、蓋保持部材昇降ガイド4が取り付けられている。蓋保持部材昇降ガイド4は、蓋保持部材2の基端側(図1、図3の左端側)に設けられたガイド嵌合部33の動きを規制するためのものであり、ガイド嵌合部33の左右にガイドレールを設置することによって蓋保持部材昇降ガイド4とすればよい。蓋保持部材2の先端側(図1、図3の右端側)は、ベッセル蓋を接続・保持するためのフランジ部25となっている。ガイド嵌合部33の上端部は垂直に屈曲していて、屈曲した水平部には、昇降用ボルト5が入るように上下方向にネジ切りされたボルト孔が設けられている。このボルト孔とその上に設けられた固定ナット6とに昇降用ボルト5が上下に挿入されて取り付けられ、昇降用ボルト5の下端はガイド取付け基板26の上面に押し当てられている。また、ガイド嵌合部33は、蓋保持部材昇降ガイド4によって動きが規制されていて、蓋保持部材昇降ガイド4に案内されて上下方向のみに移動可能である。ガイド嵌合部33が上下動すると、蓋保持部材2の先端のフランジ部25も同時に上下動する。ガイド取付け基板26は進退用保持部材7の先端に固定されていて、昇降用ボルト5の下端はガイド取付け基板26の上面に押し当てられているので、昇降用ボルト5を回しても、ガイド取付け基板26は上下動せず、ガイド嵌合部33及び固定ナット6が上下動する。この上下方向移動による蓋保持部材2の高さ調整は、昇降用ボルト5もしくは固定ナット6を回転させることによって距離Sを伸縮させ、これによって、蓋保持部材昇降ガイド4に案内されたガイド嵌合部33を上下動させることにより行われる。このようにして、昇降用ボルト5と固定ナット6の操作によって、把持させたベッセル蓋1の高さ位置を、ベッセル位置に適合する所定位置とすることができる。これにより、ベッセルの中心とベッセル蓋1の中心との位置合わせが容易となり、芯ずれなくベッセル蓋1をベッセル内へ容易に装填することができる。
ここで、蓋保持部材2(ガイド嵌合部33)を昇降させるための昇降用ボルト5としては、例えばジャッキボルトを用いることができる。また、ガイド嵌合部33の上端水平部にはネジ貫通用の孔をあけ、この孔の上に設けた固定ナット6のネジ山と昇降用ボルト5のネジ山とを螺合させることによって上下位置調整してもよい。また、昇降ガイド4は、図3に示すようにガイド嵌合部33を抱え込むような鍵形の形状でもよいが、丸棒と穴によるガイド形状(図示なし)であってもよい。さらに軸受け構造をとると動きがスムーズになるため好ましい。またさらに一般的に使用されるガイド、たとえばLMガイドなどでもよい。
さらに、ベッセル蓋1の垂直面内の調整は、図5に示すように、互いにほぼ直交する向きに設けた2個のボールネジ(第1ボールネジ21、第2ボールネジ22)とその規制ガイド(第1ガイド23、第2ガイド24)により、それぞれ水平方向位置調整及び上下方向位置調整を行う2軸調整を行うこととしてもよい。このように2軸調整を行うこととすれば、装填方向に対し垂直な面内で2方向に位置調整することが可能となり、ベッセル装填時における位置調整がさらに容易となる。この場合において、第1ガイド23による位置規制と第1ボールネジ21を回すことによる水平動とにより蓋保持部材は水平方向に移動する。また、第2ガイド24による位置規制と第2ボールネジ22を回すことによる上下とにより蓋保持部材は上下方向に移動する。また調整機構は、通常のラックアンドピニオンによってもよい。
上記した一連のユニット、即ち、ベッセル蓋1、蓋保持部材2、昇降ガイド4,進退用保持部材7、進退用ボールネジ8、ガイド10等を合わせた機構を、車輪付き台車12の上に設置させると、台車12の下部の移動用車輪11によって、ベッセル蓋1をベッセルが置かれた所定位置まで容易に移動させることができる。また、蓋保持部材2に把持させたベッセル蓋1を進退用ボールネジ8によって前進させてベッセル内に挿入させて装填する時、ベッセル蓋とベッセル内壁との抵抗が大きいと、その反力により台車の車輪11が動き、蓋装填装置及び台車が後退移動し、ベッセル蓋1をベッセル内に挿入、装填することが困難となる。このため、台車12に、ストッパー付き車輪やフロアストッパー、さらに車輪止め46を設けることが好ましい。
さらに、ベッセル蓋の装填の動作を行う時には、ベッセルを載置している台(図示なし)の脚部フレーム41と台車12とを連結させるようにして蓋装填装置及び台車の後退移動を防止してもよい。その固定方法としては、蓋装填装置及び台車を前後に移動させないように固定させるものであれば何でも良いが、たとえば、ボルトによる連結、落としピンによる連結、シャコ万力(C型クランプ)によるフレームの連結、ロープ・ワイヤー等でフレームどうしを縛る連結などが簡便な手段として挙げられる。図6(a)は、台車から延びる部材の先端部42と、ベッセルを載せた台のフレーム41とを固定ボルト43で固定する場合を示す。図6(b)は、台車から延びる部材の先端部42と、ベッセルを載せた台のフレーム41に取り付けられた突起部45とを固定落としピン44で固定する場合を示す。
また、台車を移動させる際の操作性を向上させるため、台車に持ち手47を取り付けてもよい。また、耐腐食性のため蓋保持部材、台車フレーム、ハンドル、ネジ、ジャッキボルト等の金属材はSUS製とすることが好ましい。他部材で構成する場合には防錆対応されている部材を用いることが好ましい。
以下、本発明の実施の形態を具体的な実施例を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
流体分離素子として直径16インチの逆浸透膜エレメントを装填したベッセル内の端部へ、図8に示す構造のベッセル蓋(直径40cm、重さ60kg)を装填する作業を、図10に示す蓋装填装置を使用して、下記手順にて行った。
流体分離素子として直径16インチの逆浸透膜エレメントを装填したベッセル内の端部へ、図8に示す構造のベッセル蓋(直径40cm、重さ60kg)を装填する作業を、図10に示す蓋装填装置を使用して、下記手順にて行った。
ベッセル蓋1のエンドプレート部に蓋保持部材2のフランジ部25を4本の蓋取り付けボルト(M16の六角穴付きボルト)にて取り付けた。この際、蓋保持部材2の長さ(フランジ部25も含む長さ、)fは230mmとし、フランジ部25の外径は130mmとした。また、取り付けた時にベッセル蓋1の透過水孔がボルト3の取り付け時や進退用保持部材7の前後動作の邪魔にならないようにした。取り付けられたベッセル蓋1は、その蓋面が蓋保持部材2の長さ方向に対し垂直となるようにした。
蓋保持部材昇降ガイド4として、ガイド嵌合部33の左右側面に無給油ガイドレールを設けた。ガイド嵌合部33の左右側面はガイドレールにあうように角形のプレートであり、このプレートが蓋保持部材2の長さ方向に対し垂直に設けられている。ガイド嵌合部33はガイドレール4に沿って上下方向に可動するようになっている。それらの相対的位置の調整用の昇降用ボルト5としては、M10のジャッキボルトを用い、回転により上下移動を調整可能とした。ガイドレール(蓋保持部材昇降ガイド4)は、進退用保持部材7の先端のガイド取り付け基板26に取り付けられている。水平板状の進退用保持部材7の下には、ブロックナットによって棒状(長さ500mm)の30度台形ネジ8が連結されている。この台形ネジ(進退用ボールネジ8)はフランジ付きスリーブベアリングを介して台車の上に固定されている。なお、重いベッセル蓋の自重やベッセル蓋を把持する部分の自重を支えるために、2本の20mmφのシャフトをガイド棒10として使用し、そのシャフト(ガイド棒10)と進退用保持部材7はフランジ付きスリーブベアリングを介して連結させた。これにより、60kgと重いベッセル蓋の重量を支え、前後への可動を容易にさせた。台車11は支える重量によって転倒しないように、外寸を長さ930mm、幅600mmとし、さらに100mmφのストッパー付きキャスター12を4個、台車11の下部に設けた。ここで、蓋保持部材2、台車のフレーム、ハンドル9、ネジ、ジャッキボルトは耐腐食性に優れたSUS製とした。
台車11に乗せた蓋装填装置でベッセル蓋1を把持したまま、ベッセルの位置まで移動させ、キャスターのストッパーを効かせ、三角型の輪留め46をし、さらに、台車から延びる部材42の先端部を、ベッセルを載せた台のフレームに固定させ、蓋装填時の抵抗により生まれる反力による台車の後退を制限した。
次いで、台形ネジ8の端に取り付けられたハンドル9を回転させることで、進退用保持部材7及びこれに連接されている蓋保持部材2やベッセル蓋1等を前進させ、ベッセル蓋1を、ベッセル内の所定の嵌め込み位置まで挿入させた。
ベッセル蓋1をベッセル内の所定位置に装填した後、ベッセル蓋1とフランジ部25とを連結していたM16六角ボルト3を取り外し、次いで、台車の車輪固定とベッセル台フレームへの固定とを解除し、蓋装填装置を載せた台車を後退させてベッセルから離した。次いで、ベッセル蓋の外周部とベッセルの間に、3つ割のリテーナリングを取り付け、ベッセルへのベッセル蓋の装填を完了させた。
(実施例2)
実施例1で使用した蓋装填装置を使用して、ベッセル内に取り付けられたベッセル蓋の取り外し作業を次の手順で行った。
実施例1で使用した蓋装填装置を使用して、ベッセル内に取り付けられたベッセル蓋の取り外し作業を次の手順で行った。
まず、ベッセル蓋1の外周部とベッセルの間に取り付けられたリテーナリングを取り外した。次いで、蓋装填装置の蓋保持部材2の先端のフランジ部25を前進させ、フランジ部がベッセル蓋1の面に接触するようにし、フランジ部25とベッセル蓋1との対応する凹凸部を嵌合させ、ボルト孔どうしが合わさるようにした。この際、フランジ部25とベッセル蓋1との相対的位置関係が適正となるようにするため、フランジ部25の位置調整を、上下位置調整機構であるM10ジャッキボルト5によって行った。次いで、4本のボルト孔の各々にM16六角ボルト3を取り付けて、ベッセル蓋1とフランジ部25とを連結させた。次いで、ハンドル9を回転させて台形ネジ8を回し、進退用保持部材7及び蓋保持部材2(フランジ部25)等を後退する方向に移動させ、ベッセル蓋1を取り外した。台車11を所定位置まで移動させ、ベッセル蓋1とフランジ部25とを連結しているボルト3を外した。
この取り外し作業において、ベッセル蓋1とフランジ部とを連結するM16六角ボルト3の取り付け本数を2本に変えて同様に取り外し作業を行ってみたが、支障なくベッセル蓋1を取り外すことができた。
(比較例1)
実施例1で用いた16インチ逆浸透膜エレメント用のベッセル蓋1をベッセルに装填する作業を人手によって行った。まず人手によってベッセル蓋1(重さ60kg)を持ち上げようとしたが重過ぎて一人では持っていることが困難であり、2人にて抱えて持った。抱えて持ったベッセル蓋1をベッセル内へ押し込もうとしたが、装填方向にまっすぐに装填することが難しく、ベッセル蓋1が途中で引っかかった。さらに強引に棒状のものでたたいて装填しようとしたが、シールリングの抵抗が高いため、ベッセル蓋1をさらに押し込むことが困難で、リテーナリングが装着可能な所定位置までベッセル蓋1を押し込むことができなかった。
実施例1で用いた16インチ逆浸透膜エレメント用のベッセル蓋1をベッセルに装填する作業を人手によって行った。まず人手によってベッセル蓋1(重さ60kg)を持ち上げようとしたが重過ぎて一人では持っていることが困難であり、2人にて抱えて持った。抱えて持ったベッセル蓋1をベッセル内へ押し込もうとしたが、装填方向にまっすぐに装填することが難しく、ベッセル蓋1が途中で引っかかった。さらに強引に棒状のものでたたいて装填しようとしたが、シールリングの抵抗が高いため、ベッセル蓋1をさらに押し込むことが困難で、リテーナリングが装着可能な所定位置までベッセル蓋1を押し込むことができなかった。
(参考例)
8インチ逆浸透膜エレメントを装填するベッセルへベッセル蓋を装填する作業を人手によって行った。この場合のベッセル蓋は直径約202mm、重さ5〜10kgと比較的小さく軽量であるので、一人で持つことができ、ベッセル内へのリテーナリングの装着が可能となる所定位置まで装填することが手作業で行うことができた。
8インチ逆浸透膜エレメントを装填するベッセルへベッセル蓋を装填する作業を人手によって行った。この場合のベッセル蓋は直径約202mm、重さ5〜10kgと比較的小さく軽量であるので、一人で持つことができ、ベッセル内へのリテーナリングの装着が可能となる所定位置まで装填することが手作業で行うことができた。
1 ベッセル蓋、 2 蓋保持部材、 3 蓋取り付けボルト、 4 蓋保持部材昇降ガイド、 5 昇降用ボルト、 6 固定ナット、 7 進退用保持部材、 8 進退用ボールネジ、 9 ハンドル、 10 ガイド棒、 11 車輪、 12 台車、 13 エンドプラグ部、 14 エンドプレート部、 15 嵌合凸部、 15′ 嵌合凹部、 16 ボルト孔、 17 ブライン水孔、 18 透過水孔、 19 シールリング、 21 第1ボールネジ、 22 第2ボールネジ、 23 第1ガイド、 24 第2ガイド、 25 フランジ部、 26 ガイド取付け基板、 27 スラストリング、 28 透過水アダプタ、 29 リテーナリング、 30 リテーナリング溝、 31 ベッセル、 32 流体分離素子(逆浸透膜エレメント)、 33 ガイド嵌合部、 41 ベッセル台のフレーム、 42 台車から延びる部材の先端部、 43 台車固定用ボルト、 44 台車固定用落としピン、 45 突起部、 46 輪留め、 47 持ち手
Claims (4)
- 流体分離素子が装填される内圧容器に蓋を装填するための装置であって、蓋の外面側を接続して保持するための蓋保持部材を有し、該蓋保持部材は流体分離素子装填方向に移動して蓋の装填作業を行うことができ、かつ、流体分離素子装填方向に対し垂直な面内で少なくとも1方向に位置調整可能な位置調整機構を備えることを特徴とする内圧容器の蓋装填装置。
- 位置調整機構が、流体分離素子装填方向に対し垂直な面内の1方向もしくは2方向に位置調整可能な機構であることを特徴とする請求項1記載の内圧容器の蓋装填装置。
- 蓋保持部材を蓋の外面側に接続する際に、対応する凹凸の嵌合により位置固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内圧容器の蓋装填装置。
- 流体分離素子装填方向に対し垂直な面内で位置調整可能な位置調整機構が、ボルトによる押しつけでの位置調整機構、ボールネジによる位置調整機構、及び、ラックアンドピニオンによる位置調整機構のうちのいずれか1以上である請求項1〜3のいずれかに記載の内圧容器の蓋装填装置。
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Cited By (3)
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JP2014023975A (ja) * | 2012-07-24 | 2014-02-06 | Hitachi Ltd | 逆浸透膜エレメント取外し治具、逆浸透膜エレメント取外し装置、逆浸透膜エレメントの取外し方法 |
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-
2010
- 2010-04-01 JP JP2010084965A patent/JP2011212623A/ja active Pending
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